JP4188195B2 - 金属粉末分散液、これを用いた電解コンデンサ陽極素子用成形体と電解コンデンサ陽極素子およびそれらの製造方法 - Google Patents

金属粉末分散液、これを用いた電解コンデンサ陽極素子用成形体と電解コンデンサ陽極素子およびそれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は弁作用金属粉末分散液に関し、特には電解コンデンサ陽極素子用成形体を製造するための弁作用金属粉末分散液に関する。さらには電解コンデンサ陽極素子、およびこの電解コンデンサ陽極素子を用いて製造される電解コンデンサに関し、またこれら弁作用金属粉末分散液、電解コンデンサ陽極素子用成形体および電解コンデンサ陽極素子の製造方法に関する。
近年、表面実装デバイスの小型化技術が飛躍的に進歩し、携帯電話、パソコン、デジタルカメラなど、電子機器における部品基板への実装技術が高密度化している。こうした中、電子部品であるコンデンサ素子においても、その小型化、大容量化の要求に対して、種々研究がなされている。
現在一般に使用されているコンデンサ素子としては、積層セラミックコンデンサ、アルミ電解コンデンサ、タンタル電解コンデンサ等がその主流となっているが、特に小型、薄型で大容量化が可能である特長を有するタンタル電解コンデンサについて、盛んに研究がなされている。
タンタル金属と同じような特長を有する材料としては、いわゆる弁作用金属として、アルミニウム、ニオブ、チタン等の金属類の材料があげられるが、耐熱性、誘電体被膜形成性の点において、タンタル金属は高い需要を得ている。
前記の弁作用金属粉末、例えばタンタル金属粉末を用いた電解コンデンサの製造方法としては、通常、陽極金属としてタンタルを使用し、バインダーとしての役割を担う樹脂とタンタル金属粉末とを金型に投入し、これらを加圧加工してチップ化した素子を作製する(以下、この方法を「乾式」という場合がある)。
このように作製されたチップ化素子には、陽極端子となる部品(通常はタンタルリード線)を設ける。このリード線は通常、金型内に植立されてタンタル金属粉末を加圧成形することにより固定される。
上記工程により得られた素子は、真空中において高温加熱処理することにより、素子中の不要な樹脂を加熱分解除去する工程を経る。
この工程により、タンタル金属粉末間に存在していた樹脂が加熱分解除去され、かつ、タンタル金属粉末同士の接触点における溶着により、多孔質体の形態をなすタンタル電解コンデンサ陽極素子が得られる。
このようにして得られたタンタル電解コンデンサ陽極素子を電解液槽中に入れ、所定の直流電圧を加えて化成処理を行って素子の多孔質体表面に酸化タンタルからなる誘電体被膜を形成させた後、該被膜の上に二酸化マンガン又は、機能性高分子の固体電解質被膜を形成させる。
この後、さらにカーボン、銀ペースト等により陰極層処理を施して樹脂外装して、最終的なタンタル電解コンデンサを得る。
通常金型に充填されるタンタル金属粉末としては、粒径1〜1000μmのものが用いられる。
近年、電解コンデンサにおける小型化、薄型化の要求に対し、コンデンサの寸法をより一層小型化するための研究が進められている。このように薄型化をすることによって、低い等価直列抵抗(ESR)も実現でき、高周波特性も大幅に向上させることができる。
本発明者らは、タンタル電解コンデンサ陽極素子の小型化とともに、電気特性としての静電容量を高容量化することを目的として、溶剤と、溶剤可溶性バインダー樹脂と、タンタル金属粉末とを含有するタンタル金属粉末分散液と、これを基体に塗布または印刷した塗布物または印刷物を基体より剥離後、焼結して得られる電解コンデンサ陽極素子を提案した(特許文献1参照。以下、このように金属粉末分散液を用いる方法を、前記乾式に対して「湿式」という場合がある)。このタンタル金属粉末分散液は、溶剤、溶剤可溶性バインダー樹脂、タンタル金属粉末、および必要に応じて配合される添加剤を混合し、溶剤中にタンタル金属粉末を分散させることにより、製造することができる。
このように金属粉末分散液を用いることにより、薄型の塗布物または印刷物が得られ、電解コンデンサ陽極素子を薄膜化することができる。
特開2001−203130号公報
電解コンデンサ陽極素子を湿式法で製造する方法は以下の通りである。まず、図1に示すように、金属粉末分散液を基体に塗布または印刷し、乾燥させた塗布物または印刷物を基体より剥離して得られた2枚の電解コンデンサ陽極素子用成形体2,4を、先端が扁平に形成されたリード線3の先端部分3aを挟んで重ね合わせ、必要に応じて加圧して密着させ、接合体5を作製する。
次いで該接合体5を、高温加熱処理(焼結)して、タンタル金属粉末同士およびタンタル金属粉末リード線3を溶着させることにより、図2に示すようなタンタル電解コンデンサ陽極素子8を作製する。
そして、得られたタンタル電解コンデンサ陽極素子8に、前述の乾式法で作製されたタンタル電解コンデンサ陽極素子と同様にして化成処理等を施し、タンタル電解コンデンサを製造する。
ところで、このようにして、タンタル電解コンデンサを製造する際に、高温加熱処理(焼結)前の接合体5において、電解コンデンサ陽極素子用成形体2,4とリード線3との密着が不十分でリード線3の抜けが生じる場合がある。
本発明者らの検討によれば、そのように電解コンデンサ陽極素子用成形体2,4とリード線3との密着が不十分な接合体5を用いて形成されたタンタル電解コンデンサは、短絡不良や漏れ電流不良が発生し易いという問題があった。
焼結前の接合体における電解コンデンサ陽極素子用成形体2,4とリード線3との密着性が悪いと、電解コンデンサにおいて短絡不良や漏れ電流不良が発生し易い理由は、リード線が強固に固定されていないため焼結による溶着が不十分になりリード線とタンタル粉末の溶着点の破壊が起こりやすく、化成処理で形成された誘電体被膜が破壊されやすいためと考えられる。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、焼結前の接合体における電解コンデンサ陽極素子用成形体とリード線との密着性を向上させ、電解コンデンサにおける短絡不良や漏れ電流不良の発生を防止できるようにした弁作用金属の金属粉末分散液、これを用いた電解コンデンサ陽極素子、電解コンデンサ陽極素子用成形体、および該電解コンデンサ陽極素子を用いた電解コンデンサを提供することを課題とする。
前記課題は本発明者らが発明した金属粉末分散液を用いて電解コンデンサ陽極素子を製造した場合の特有の課題である。
本発明者らは、上記課題を見い出し、さらにこの課題を解決すべく鋭意検討した結果、金属粉末分散液中の分散粒子の体積基準による粒度分布の標準偏差の値が、接合体における電解コンデンサ陽極素子用成形体とリード線との密着強度に大きく影響することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、弁作用金属粉末と、バインダー樹脂と、溶剤を含む金属粉末分散液であって、前記弁作用金属粉末の分散粒子の、体積基準による粒度分布における中位径が5〜100μmであり、前記粒度分布に基づいて下記式(1)、式(2)、式(3)で求められる標準偏差σが0.41以上であることを特徴とする金属粉末分散液。
Figure 0004188195
(式中、xは0.08μm〜3000μmまでの対数目盛による横軸を等間隔に50等分したときの小さい方からj番目の値であり、qは粒径がx〜xj+1の間に入る粒子の総体積が全粒子の体積の総和に対して占める比率を百分率で表したものである。)
本発明の金属粉末分散液は、特に電解コンデンサ陽極素子の製造に好適に用いられるものである。
そして本発明の金属粉末分散液を基体に塗布または印刷し、乾燥して電解コンサ陽極素子用成形体とし、これを基体から剥離し、基体から剥離された電解コンデンサ陽極素子用成形体を、弁作用金属からなるリード線を間に挟んで重ね合わせて接合体を形成し、該接合体を焼結することにより電解コンデンサ陽極素子を得ることができる。さらにはこれを用いて電解コンデンサを製造することができる。
本発明によれば、前記分散粒子の体積基準による粒度分布における中位径が5〜100μm、かつ標準偏差が0.41以上になるように調整することにより焼結前の接合体においてリード線の抜けが生じないように、電解コンデンサ陽極素子用成形体とリード線との密着性を向上させることができる。そして、かかる接合体を用いて電解コンデンサを製造することにより、電解コンデンサにおける短絡不良や漏れ電流不良の発生を防止することができる。
本発明の金属粉末分散液は、分散粒子の体積基準による粒度分布の標準偏差σが0.41以上であって粒度分布が広い。そして、該金属粉末の平均粒径よりはるかに小さな粒径を有する多くの微小金属粉末が、より大きな粒径の金属粉末によって形成された空孔を埋めて、金属粉末粉体の充填率が向上している。このためリード線と金属粉末との接触点が増えて保持力が増加するため、焼結前の陽極素子のリード線に抜けが生じることがなくなると考えられる。
本発明の金属粉末分散液は、弁作用金属粉末と、バインダー樹脂と、溶剤とを混合して該金属粉末分散液を製造するにあたり、最終的に得られる金属粉末分散液中の分散粒子の体積基準による粒度分布における中位径が5〜100μmであって、かつ標準偏差の値が0.41以上になるように、金属粉末分散液の製造条件を制御することにより得ることができる。
したがって、基本的に新たな工程を追加する必要はなく、簡便な方法で製造することができる。
本発明において、弁作用金属粉末としては、タンタル、アルミニウム、ニオブ、チタンなどの弁作用金属の粉末を用いることができる。これらの弁作用金属の中でも、タンタル、ニオブが好適であり、特に好ましくはタンタルが用いられる。
ところで、市販のコンデンサ用金属粉末など、前述の乾式法で一般的に用いられる弁作用金属粉末は、主に最小単位となる一次粒子が凝集してなる凝集体粒子からなっており、個々の凝集体粒子が凹凸に富んだ複雑な外形を有すると同時に極めて多孔質な形状をしている。
本発明における「分散粒子」とは、金属粉末分散液中に含まれている弁作用金属粉末の粒子群のことであって、これには、上記凝集体粒子、又は該凝集体粒子が解砕された、さらに細かな多孔質形状を保持した凝集体の粒子、又はさらに解砕の進んだ一次粒子等が含まれ得る。
本発明における粒度分布の標準偏差(σ)は、分散粒子の体積基準による粒度分布において、対数の底を10とした分散粒子の幾何標準偏差を、前記粒子群の粒度分布のデータからその近似値として求めたものである。該標準偏差(σ)は、横軸に対数目盛として粒径をとったときに、0.08μm〜3000μmまでを50等分して求めた粒度分布あるいは累積分布のデータから求めることができる。
すなわち体積基準による粒度分布によって、区分x〜xj+1の粒径に属する粒子群の総体積が全粒子群の体積の総和に対して有する比率をq%とすると、本発明における金属粉末分散液の分散粒子の標準偏差(σ)は下記式(1)〜(3)で表すことができる。この値は、粒子群を形成する個々の粒子の粒径分布に関する10を底とした幾何標準偏差の近似値となっており、粒度分布の測定装置が通常、粒度分布のデータを元に自動的に算出する値である。また(1)式より求まるxは同じく粒度分布のデータを元に算出された幾何平均径の近似値となっている。
Figure 0004188195
(式中、xは0.08μm〜3000μmまでの対数目盛による横軸を等間隔に50等分したときの小さい方からj番目の値であり、qは粒径がx〜xj+1の間に入る粒子の総体積が全粒子の体積の総和に対して占める比率を百分率で表したものである。)
また、本発明における体積基準による粒度分布における中位径は、次のようにして得られる値である。すなわち前記中位径は、測定対象である粒子群について個々の粒子径の測定値を横軸に、その粒子径より大きい粒子径を有する粒子の総体積が、粒子群中の全粒子の体積の総和に対して有する比率を縦軸にとって、累積分布のグラフを作成したときに、縦軸の50%に対応する粒子径の値として得ることができる。以後体積基準による粒度分布における中位径について、50%D径との略称、D50との略記を併用する。
測定対象の粒子群の個々の粒子径を測定して粒度分布を得る方法としては、例えばレーザ回折/光散乱法を利用した測定法を用いることができる。この測定法は、測定対象の粒子群を分散媒に投入して混合分散した分散液を測定対象液とする方法である。
本発明においては、前記測定対象の粒子群が、金属粉末分散液中の弁作用金属粉末の分散粒子であるので、該金属粉末分散液をそれに含まれている溶剤(分散媒)で適度に希釈・拡散したものを測定対象液として用いて、前記レーザ回折/光散乱法を利用した測定法を適用することができる。
このような測定装置を用いることにより、通常は個々の粒子の粒径の測定結果より、前記標準偏差σや前記50%D径が自動的に算出される。
本発明の実施例においては、(株)島津製作所製のレーザ回折式流度分布測定装置(SALD−3000S)を用いて測定を行った。
本発明においては、少なくとも基体に塗布または印刷する金属粉末分散液に含まれる弁作用金属粉末の分散粒子の体積基準による粒度分布における標準偏差が0.41以上になるように金属粉末分散液を調製する。
前記分散粒子の体積基準による粒度分布における標準偏差の上限値は特に限定されないが、小粒径の分散粒子が増えすぎると陽極素子を形成したときにCV値が低下する傾向があるため0.41〜0.47が好ましく、より好ましくは0.41〜0.45である。
金属粉末分散液中の分散粒子の体積基準による粒度分布における標準偏差は、該弁作用金属粉末が、金属粉末分散液の調製が完了するまでの間に受ける解砕力を変化させることによって調整することできる。
本発明において、金属粉末分散液に含まれる弁作用金属粉末の分散粒子に関する他のパラメータは、電解コンデンサ陽極素子や電解コンデンサの製造性や特性等を著しく悪化させない範囲に設定することが必要である。
このために、金属粉末分散液に含まれる弁作用金属粉末の分散粒子の50%D径は、5μm以上100μm以下であること必要である。50%D径の下限は10μm以上であることが好ましい。該分散粒子の50%D径が5μm未満であると静電容量が低下が著しくなる傾向がある。また100μmを超える50%D径を有する分散粒子を含有する分散液では、湿式の製造法の利点である500μm以下の膜厚の成形体を塗布により安定的に形成することができない。
また該分散粒子の最大粒子径は、得ようとする、基体上に金属粉末分散液を塗布または印刷して形成される塗布物または印刷物の厚さを1とするとき、0.5以下であることが好ましく、より好ましくは0.3以下である。分散粒子の最大粒子径が0.5より大きいと、基体上に金属粉末分散液を塗布または印刷して形成される塗布物または印刷物の表面にスジが生じ易くなり、電解コンデンサ陽極素子用成形体およびこれを用いた電解コンデンサ陽極素子の外観が損なわれる。
特に厚さ100μm程度の薄膜の成形体を形成するときは、50%D径を10〜25μmとすることによって、成形体の表面を十分に平滑に保ちつつ、陽極素子を形成したときの良好なCV値を確保することができる。特にこのような粒径範囲を有する弁作用金属粉末の分散粒子については、粒径が3.5μm以下の分散粒子の含有量が12質量%以上であれば、粒径3.5μm以下の粉末が空隙を効果的に埋めて焼結前の成形体におけるリード線の保持力を高め、リード線抜けを防ぐことができる。
以下、金属粉末分散液、電解コンデンサ陽極素子用成形体、電解コンデンサ陽極素子、電解コンデンサおよびその製造方法の一実施形態を説明する。
なお、本実施の形態においては、弁作用金属として好ましいタンタルを用いた場合を例として説明を行う。
工程(1):タンタル金属粉末の調製
まず、金属粉末分散液に含有させるタンタル金属粉末を、その体積基準による粒度分布の標準偏差が0.41以上となるように調製する。
好ましくは、原材料としてのタンタル金属粉末を解砕して、金属粉末分散液に含有させるタンタル金属粉末を調製する。この際に、解砕条件を調整することよって粒度分布の標準偏差を制御することができる。解砕力が大きい方が該標準偏差の値が大きくなる。
原材料としてのタンタル金属粉末は、純度が99.5%以上のものが好ましく、その平均一次粒子径は0.01〜5.0μmであることが好ましく、特に0.01〜1.0μmであることが好ましい。
原材料のタンタル金属粉末としては、例えば、50%D径が溶剤中で解砕することが好ましい。この解砕に用いる粉末は、後述する金属粉200μm程度となるように造粒されたタンタル金属粉末が、乾式法で電解コンデンサを製造するのに好適な粉末として市販されているので、入手が容易である点で好ましい。
原材料のタンタル金属粉末を解砕する方法は特に限定されないが、粉末分散液の調製に用いる溶剤と同様のものを適宜選択して用いることができるが、好ましくは水が用いられる。解砕時の溶剤の使用量は、使用する解砕装置に応じて適宜調整を行う必要があるが、多すぎると解砕効率が悪く、少なすぎると解砕機が過負荷となりやすい。例えば後述のサンドミルの場合は、原材料のタンタル金属粉末100質量部に対して35〜65質量部が好ましい。
また、解砕時に、後述する金属粉末分散液の調製に用いる添加剤と同様の添加剤を加えてもよく、好ましくは分散剤を添加することができる。
解砕に用いる装置は、原材料のタンタル金属粉末に解砕力を作用させることができ、かつ該解砕力を調整可能なものであれば特に限定されず、プラネタリーミキサー等の羽根型混練機、ボール型回転ミル、サンドミル、アトライター等の分散機、超音波分散機、ナノマイザー、振とう機(ペイントコンディショナー)等、各種構成の装置を用いることができる。
具体的には、解砕に用いる装置に、原材料のタンタル金属粉末、溶剤、および必要であれば添加剤を投入し、解砕後に溶剤中に分散しているタンタル金属粉末の粒度分布における幾何標準偏差が0.41以上となるように、またさらに該条件を設定する際、解砕後に溶剤中に分散しているタンタル金属粉末の分散粒子の50%D径が、5μm〜100μmとなるように解砕を行う。最大粒子径が、得ようとする、基体上に金属粉末分散液を塗布または印刷して形成される塗布物または印刷物の厚さを1とするとき、0.5以下の範囲内となるように条件を設定することがより好ましい。
このようにして体積基準による粒度分布の標準偏差及び、50%D径が所定の範囲となるように調製されたタンタル金属粉末は、溶剤中に分散された状態で得られるので、その状態で次の分散液の調製工程に用いることもでき、または適宜の手法により乾燥させて乾燥粉末とし、該乾燥粉末を次の分散液の調製工程に用いてもよい。
工程(2):金属粉末分散液の調製
前記工程(1)で解砕されたタンタル金属粉末、バインダー樹脂、溶剤、および必要に応じて添加剤を混合し、溶剤中にタンタル金属粉末を分散させて金属粉末分散液を調製する。
バインダー樹脂としては、溶剤に可溶なバインダー樹脂を用いることができる。好適なバインダー樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ブチラール樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、尿素樹脂、酢酸ビニルエマルジョン、ポリウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ニトロセルロース樹脂、天然樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は単独で、あるいは2種類以上を混合して利用することができる。
前記バインダー樹脂の使用量は、タンタル金属粉末100質量部あたり0.01〜30質量部の範囲が好ましく、0.01〜15質量部の範囲が特に好ましい。
溶剤としては、水、あるいはメタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、ジエチレングリコール等のアルコール類、メチルセロソルブ等のセロソルブ類、アセトン、メチルエチルケトン、イソホロン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、酢酸エチル等のエステル類、ジオキサン等のエーテル類、塩化メチル等の塩素系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの溶剤は、単独で又は2種類以上混合して用いてもよい。溶剤の使用量は、金属粉末分散液を基体表面に塗布または印刷する工程がスムーズに実行できる程度に設定される。
また、金属粉末分散液には、前記タンタル金属粉末、バインダー樹脂および溶剤の他に、該金属粉末分散液を基体表面に塗布または印刷するために好適な物性とし、金属粉末の分散あるいは流動性を安定に保つため等の目的で、適当な各種添加剤を配合することができる。
好適な添加剤としては、例えばフタル酸エステル、燐酸エステル、脂肪酸エステル等の分散剤、グリコール類等の可塑剤、低沸点アルコール、シリコーン系或いは非シリコーン系等の消泡剤、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ソルスパーズ、4級アンモニウム塩等の分散剤などを必要に応じて適宜使用してもよい。これらの添加剤の使用量は、タンタル金属粉末100質量部当たり0.01〜5.0質量部の範囲が好ましい。なお、これらの添加剤が前記工程(1)および本工程(2)の一方または両方において添加される場合、それらの添加量の合計が上記した添加剤の使用量の範囲であることが好ましい。
この金属粉末分散液の配合比率を例示すれば、例えば、タンタル金属粉末100質量部に対して、バインダー樹脂が0.01〜30質量部、好ましくは0.01〜15質量部、溶剤が5〜160質量部、添加剤が0〜5質量部とされる。
また金属粉末分散液の粘度は0.1〜1000Pa・s、好ましくは0.1〜100Pa・s程度とされる。
本工程(2)において、前記工程(1)で解砕されたタンタル金属粉末、バインダー樹脂、および溶剤等を混合、分散させる方法としては、前記工程(1)で解砕されたタンタル金属粉末の粒度分布が維持される方法が用いられる。例えばプラネタリミキサー等の混合装置を用い、0.25〜5.0(時間)、好ましくは0.5〜2.0(時間)程度混合して、分散させる方法がある。
工程(3):電解コンデンサ陽極素子用成形体の製造
前記工程(2)で得られた金属粉末分散液を、基体上に塗布また印刷し、乾燥して電解コンデンサ陽極素子用成形体を製造する。
金属粉末分散液を、基体上に塗布または印刷し、乾燥させることによって、該基体上に塗布または印刷された金属粉末分散液中の溶剤が揮散し、基体上には金属粉末とバインダー樹脂からなる塗膜(溶剤が残っていてもよい)が残る。これを必要に応じて所望の幅にスリットしたり、所定の長さに打ち抜きしたりして所望のサイズとすることにより、本発明の電解コンデンサ陽極素子用成形体が得られる。
なお、電解コンデンサ陽極素子用成形体の形状は特に限定することはないが、薄形直方体が加工のしやすさ等の点から好ましい。
本工程で用いられる基体としては、電解コンデンサ陽極素子用成形体を、その形状を維持したまま容易に剥離することができる点で、剥離性基体を用いることが好ましい。
剥離性基体用の基体として使用できる材料としては、例えばポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリカーボネートフィルム、ナイロンフィルム、ポリスチレンフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム、エチレンビニル共重合体フィルム等からなるプラスチックフィルムまたはシート;若しくはアルミニウムなどの金属シート;紙、含浸紙;これらの各材料からなる複合体が挙げられる。これらの中から、金属粉末分散液中の樹脂との組み合わせによる接着性、剥離性を考慮して、より適合したものが用いられる。これら以外の材料であっても、必要な強度、可撓性、剥離性等を備えていれば、特に制限なく使用できる。
これら剥離性基体用の基体はそのままでも剥離性を有する基体として用いることができるが、さらに、その表面に後述するように剥離層を形成すると、電解コンデンサ陽極素子用成形体と基体とをより円滑に剥離できるので好ましい。
剥離層を成す樹脂は、金属粉末分散液に適用する樹脂と相溶することが、剥離層と金属粉末層とが接着し易くなるので好ましい。また、金属粉末と併存して焼結されたときに、残留炭素の少ない多孔質金属焼結体を形成する樹脂が好ましい。例えば、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ブチラール樹脂、アクリル樹脂が好適に使用できる。
剥離層の厚さは1μm〜20μmの範囲が好ましく、特に、1μm〜10μmの範囲が焼結後の残留炭素量が少なく、塗膜の強度を適度に持たせるので好ましい。剥離層を設けると、多くの樹脂で安定した剥離が可能となる。
基体上に剥離層を設けるには、種々の塗布方法を用いることができる。塗布方法としては、例えば、公知のロール塗布方法等、具体的には、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押し出しコート、エアーナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビアコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート等が用いられる。
そして、前記工程(2)で作製した金属粉末分散液を、基体の上に塗布または印刷を行う。基体が、剥離層を有しない剥離性基体の場合は、その一面上に金属粉末分散液を塗布または印刷する。一方、基体が剥離層を有する剥離性基体である場合には、剥離層となる塗膜が乾燥された後、その塗膜の上に金属粉末分散液を塗布または印刷する。
前記金属粉末分散液を基体上に塗布する方法は、上述した基体に剥離層を設ける場合と同様の種々の塗布方法を用いることができる。
また、前記金属粉末分散液を基体上に印刷する方法としては、各種印刷方法を適用することができる。具体的には、孔版印刷法、凹版印刷法、平版印刷法などを用いて基体上に所定の大きさに塗布物を印刷することができる。特に、孔版印刷方法は、タンタル電解コンデンサ陽極素子の形状を所望の形状、例えば直方体の形状、円柱の形状、或いは櫛の歯形状のように、種々の形状に形成することができるので好ましい。
次いで、好ましくは40〜70℃程度の熱風で乾燥し、金属粉末分散液中の溶剤を揮散した後、必要に応じて所定の幅にスリットしたり打ち抜いたりすることにより、所望の形状の電解コンデンサ陽極素子用成形体とする。
得られた電解コンデンサ陽極素子用成形体の厚さは、タンタル電解コンデンサとして要求される所望の静電容量により適宜設定することが可能であり、乾燥後の塗布物または印刷物の厚さは例えば数μm〜0.6mm、好ましくは0.2mm以下に薄くすることができる。このような塗布物を用いると、従来の乾式法では製造し得ない薄さにまで薄膜化された電解コンデンサ陽極素子、および電解コンデンサを製造することができる。
以下、電解コンデンサ陽極素子用成形体を用いて電解コンデンサ陽極素子を製造する方法の実施形態を、図を参照しながら説明する。ここでは、リード線として少なくとも陽極素子に埋入する部分が扁平に形成されたリード線を用いた例について説明する。
工程(4):接合体の形成
まず、図1に示すように、基体から剥離した電解コンデンサ陽極素子用成形体2の上に先端が扁平に形成されたリード線3の扁平部分3aを置き、更に別な電解コンデンサ陽極素子用成形体4を重ね合わせ、必要に応じて適当な加圧処理を施して2枚の電解コンデンサ陽極素子用成形体2、4とリード線3とを密着させることによって、電解コンデンサ陽極素子用の接合体5を形成する。
リード線3は、弁作用金属、例えばタンタルからなり、少なくとも陽極素子へ埋入する部分もしくは全体が扁平に形成されている。このリード線3は、タンタル線の少なくとも一部を加圧成形して扁平化することで作製される。リード線3の扁平部分3aの厚さと幅は、製造する電解コンデンサ陽極素子の厚み、リード線強度などを勘案して適宜設定し得るが、好ましくは電解コンデンサ陽極素子用成形体2,4の厚さの5〜70%の厚さに扁平化することが好ましい。
工程(5):焼結
次いで、このようにして得られた電解コンデンサ陽極素子用の接合体5を、必要であれば適宜乾燥し、次いで真空中で約300〜600℃の熱処理工程によって有機物質の除去を行い、さらに約10〜30分間、約1200〜1600℃の高温加熱処理(焼結)を行って完全に有機物質の除去を行うとともに、タンタル金属粉末同士を溶着させ、かつタンタル金属粉末とリード線3とを溶着させることにより、図2に示すように、薄型直方体形状のタンタル多孔質焼結体7内に、リード線3の扁平部分3aが埋入された構造のタンタル電解コンデンサ陽極素子8が得られる。このようにして得られたタンタル電解コンデンサ陽極素子8は、タンタル多孔質焼結体7とリード線3とが強固に接合された状態となる。
なお、電解コンデンサ陽極素子用成形体を形成する際に、基体として剥離層を有する剥離性基体を用いた場合、基体から電解コンデンサ陽極素子用成形体を剥離させた後、剥離層は剥離された電解コンデンサ陽極素子用成形体と一体化されているが、該剥離層は上記焼結工程での有機物の除去により分解除去されるため、電解コンデンサ陽極素子は残留炭素の少ない多孔質金属焼結体を形成する。
このようにして得られたタンタル電解コンデンサ陽極素子8を用いて、タンタル電解コンデンサを製造するには、該陽極素子8を電解液槽に入れ、該陽極素子8に所定の直流電圧を加えて化成処理を施すことにより、該陽極素子8の表面に酸化タンタル被膜を形成させる。
そして、酸化タンタル被膜を形成した後、さらにその上に二酸化マンガン被膜、または機能性高分子被膜の固体電解質層を形成して陽極素子11を得る。
そして、例えば図3に示すように、得られた陽極素子11に、カーボン(グラファイト)層、銀ペースト層を形成し、陽極素子11の焼結体7の部分の表面に陰極端子12の一端側を半田14で接合するとともに、リード線3の先端部分を陽極端子13にスポット溶接(溶接部を符号15で示す)によって接合した後、例えば樹脂成形加工により、あるいは、樹脂溶液中に浸漬させるなどして樹脂外装16を施して、タンタル電解コンデンサ10とする。
本発明は、積層型の電解コンデンサに適用することもできる。積層型の電解コンデンサは、電解コンデンサ陽極素子に酸化被膜、固体電解質被膜を形成して薄形のコンデンサ素子を作製し、これを積層することにより形成することができる。
なお上記実施形態では、金属粉末分散液を調製する前に、原材料としてのタンタル金属粉末を解砕して規定の標準偏差を満足する粒度分布としておき、これを粒度分布が変化しないようにバインダー樹脂および溶剤等と混合して金属粉末分散液を調製したが、本発明の金属粉末分散液は、少なくとも基体に塗布または印刷する際に、この金属粉末分散液中の分散粒子の体積基準による粒度分布における中位径と標準偏差が規定の範囲を満足していればよく、本実施形態の方法以外の方法で金属粉末分散液を調製することもできる。
例えば、原材料としてのタンタル金属粉末とバインダー樹脂と溶剤と、必要に応じて添加剤を、タンタル金属粉末の解砕が生じるような条件で混合、分散して金属粉末分散液を調製してもよい。この場合、混合、分散後に得られる金属粉末分散液中の分散粒子の体積基準による粒度分布における中位径が5〜100μmで、かつ標準偏差が0.41以上を満足するように、混合、分散等の条件を制御する。金属粉末に解砕力を与えながら混合、分散するのに好適な混練・分散機としては、例えば撹拌機、二本ロール、三本ロール等のロール型混練機、縦型ニーダー、加圧ニーダー、プラネタリーミキサー等の羽根型混練機、ボール型回転ミル、サンドミル、アトライター等の分散機、超音波分散機、ナノマイザー等が使用できる。また、振とう機(ペイントコンディショナー)等も好ましい。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例および比較例〕
タンタル金属粉体としては、平均1次粒子径0.5μm、その2次粒子全体の50%D径が226μmの市販のタンタル金属粉体(静電容量が80000CV/gのグレード)を用いた。
解砕のための装置としては、容量0.2リットルの有底円筒状のベッセルと、回転軸に垂直なディスク状の撹拌羽根を備えたサンドミルを用いた。該サンドミルは、通常、サンドミルとして使用される場合よりも分散メディアの投入量を少量、好ましくはベッセルの容量の20〜40%程度とすることにより、湿式法により電解コンデンサを製造するのに用いられる弁作用金属粉末の解砕に、より好適となる。そして、撹拌羽根の周速度を大きくすることにより、解砕力を大きくすることができる。あるいは分散メディアの投入量によっても解砕力を変化させることができる。
まず、サンドミルのベッセル内に、原材料のタンタル金属粉末100g、水50g、分散剤として濃度10質量%に調整されたソルスパーズ20000(アビシア社製)10g、および分散メディアとして外径2mmのセラミックビーズ60gを投入し、撹拌羽根を回転させて金属粉末を解砕した。解砕時の操作条件は下記表1のテストNo.1〜9に示すように、それぞれ設定した。テストNo.1〜3、4〜6、および7〜9は、それぞれ撹拌羽根の周速度を一定として撹拌時間を変化させた。
テストNo.1〜9でそれぞれ得られた解砕後のタンタル金属粉末を含む金属粉末分散液を、平型トレイに移して、凍結乾燥処理を行った。真空凍結乾燥機は日本真空(株)社製の「DFM−05AS」を用い、温度−40℃、真空度7〜10Paで20時間乾燥後、嵩高の乾燥物としてタンタル金属粉末の表面処理物を得た。
表面処理後のタンタル金属粉末50g、バインダー樹脂としてアクリル樹脂「NCB−166」(大日本インキ化学工業(株)製、ガラス転移点−10℃)5g(固形分換算)、およびトルエン(溶剤)50gを混合し、粒度分布が変化しないように低速で撹拌してタンタル金属粉末分散液を得た。
テストNo.1〜9それぞれの金属粉末を用いて得られたタンタル金属粉末分散液について、分散粒子の体積基準による粒度分布における中位径(50%D径)、及び標準偏差を、(株)島津製作所製の、レーザ回折式粒度分布測定装置 SALD−3000Sを使用して測定した。その結果を下記表1に合わせて示す。
一方、厚さが50μmのPETフィルム上にアクリル樹脂「BR−88」(三菱レイヨン(株)製)のトルエン溶液を#16のワイヤバーにて展色し、厚さ3μmの剥離層を設けた。
次に、剥離層を設けたPETフィルム上に上記で得られた各金属粉末分散液(テストNo.1〜9)をそれぞれ250μ mの深さのアプリケータにて展色し、乾燥して厚さ150μmの金属粉末分散液の乾燥塗膜を得た。
この乾燥塗膜のPETを、スリッターを用いて幅3.6mmにスリットし、さらに3.6×4.4mmの大きさに打ち抜いて、電解コンデンサ陽極素子用成形体を得た。
そして、2枚の電解コンデンサ陽極素子用成形体を、直径0.2mmのリード線の先端部分を加圧して扁平化したリード線の扁平部分を挟んで重ね合わせ、さらに両者を密着させる方向に加圧して、図1に示す形状の電解コンデンサ陽極素子用の接合体5を作製した。
テストNo.1〜9それぞれの金属粉末分散液を用いて得られた接合体について、リード線の抜けの有無を調べた。
(リード線抜け試験方法)
図4に示すように、接合体5のリード線3の部分をチャック21に挟み、成形体2,4の部分が下方となるように吊した後、フックつきの分銅皿22を、成形体2,4の肩の部分に加重が掛かるように架けてから、総質量15gとなるように皿に分銅23を加えて30秒間静置し、リード線3の抜けの有無を確認した。
その結果、リード線の抜けの状況によって3段階評価を行った。
次に、各接合体5を6.6×10−3Pa(5×10−5torr)の真空中で350℃に昇温して90分間加熱処理し、有機物質(バインダー樹脂)の分解・除去を行い、さらに1300℃、20分間の焼結処理を行って、図2に示すように、薄形直方体形状のタンタル多孔質焼結体7内に、リード線3の扁平部分3aが埋入された構造のタンタル電解コンデンサ陽極素子8を得た。
この陽極素子8を、燐酸溶液中で直流電圧20Vを印加して陽極化成を行い、その電気特性をEIAJ RC−2361Aに従って測定し、性能を調べた。その結果、テストNo.1〜9の陽極素子において、いずれも静電容量(CV値)が当初のタンタル粉のCV値の90%以上の値を示しており、良好な電気特性を有することが認められた。
Figure 0004188195
表1の結果より、テストNo.1〜9の金属粉末分散液は、いずれも分散粒子の粒度分布における50%D径(中位径)が5〜100μmであったが、標準偏差が0.41未満の範囲、接合体におけるリード線の抜けが生じた。すなわち50%D径(中位径)が5〜100μmで、かつ標準偏差が0.41以上の範囲でリード線抜けを防止できることが確認された。
電解コンデンサ陽極素子の製造方法の例を説明するための図であり、リード線を2枚の電解コンデンサ陽極素子用成形体に挟んで得られる接合体の斜視図である。 接合体を焼結して得られる電解コンデンサ陽極素子の斜視図である。 電解コンデンサ陽極素子を用いて得られた電解コンデンサを例示する概略図である。 リード線抜け試験方法の説明図である。
符号の説明
2,4 電解コンデンサ陽極素子用成形体
3 リード線
3a 扁平部分
5 接合体
7 タンタル多孔質焼結体
8 タンタル電解コンデンサ陽極素子
10 タンタル電解コンデンサ
11 陽極素子
12 陰極端子
13 陽極端子
14 半田
15 溶接部
16 樹脂外装

Claims (8)

  1. 弁作用金属粉末と、バインダー樹脂と、溶剤を含む金属粉末分散液であって、前記弁作用金属粉末の分散粒子の、体積基準による粒度分布における中位径が5〜100μmであり、前記粒度分布に基づいて下記式(1)、式(2)、式(3)で求められる標準偏差σが0.41以上であることを特徴とする金属粉末分散液。
    Figure 0004188195
    (式中、xは0.08μm〜3000μmまでの対数目盛による横軸を等間隔に50等分したときの小さい方からj番目の値であり、qは粒径がx〜xj+1の間に入る粒子の総体積が全粒子の体積の総和に対して占める比率を百分率で表したものである。)
  2. 弁作用金属粉末と、バインダー樹脂と、溶剤を含む金属粉末分散液であって、前記弁作用金属粉末の分散粒子の、体積基準による粒度分布における中位径が10〜25μmであり、かつ粒径が3.5μm以下の分散粒子の含有量が12質量%以上である請求項1に記載の金属粉末分散液。
  3. 電解コンデンサ陽極素子の形成に用いられる請求項1または2に記載の金属粉末分散液。
  4. 請求項1または2に記載の金属粉末分散液を基体に塗布または印刷し、乾燥して得られる電解コンデンサ陽極素子用成形体。
  5. 請求項4に記載の電解コンデンサ陽極素子用成形体を基体から剥離し、前記基体から剥離された電解コンデンサ陽極素子用成形体を、弁作用金属からなるリード線を間に挟んで重ね合わせて接合体を形成し、該接合体を焼結して得られる電解コンデンサ陽極素子。
  6. 請求項5に記載の電解コンデンサ陽極素子を用いた電解コンデンサ。
  7. 請求項1または2に記載の金属粉末分散液を基体に塗布または印刷し、乾燥して電解コンデンサ陽極素子用成形体を得る電解コンデンサ陽極素子用成形体の製造方法。
  8. 請求項7に記載の製造方法により製造された電解コンデンサ陽極素子用成形体を基体から剥離し、前記基体から剥離された電解コンデンサ陽極素子用成形体を、弁作用金属からなるリード線を間に挟んで重ね合わせて接合体を形成し、該接合体を焼結して電解コンデンサ陽極素子を得る電解コンデンサ陽極素子の製造方法。
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