JP4187897B2 - プレキャスト鉄筋コンクリート柱・梁部材の接合方法 - Google Patents
プレキャスト鉄筋コンクリート柱・梁部材の接合方法 Download PDFInfo
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【産業上の利用分野】
本発明は、プレキャスト鉄筋コンクリート柱部材柱頭にプレキャスト鉄筋コンクリート梁部材を簡易に接合する方法に関するものである。
【従来の技術】
【0002】
プレキャスト鉄筋コンクリート(以下PCaと略記)部材を相互に接合して鉄筋コンクリート造建築を構築する工法は一般化している。この際、PCa柱部材柱頭にPCa梁部材を接合する方法は通常以下の慣用方法によって行われていた。
【0003】
PCa柱部材柱頭に左PCa梁部材および右PCa梁部材の端部を間隔をあけて載せ、この間隔空間内で各梁部材から突出している部材水平鉄筋を適当な方法で接合した後、コンクリートを打設して柱部材および左右梁部材を一体化する。これにより柱部材柱頭に2本の梁部材が直線状に接合される。柱頭に接合される梁部材は上記のような2本だけではなく3本(T字形)、4本(十字形)である場合も多い。この慣用方法では狭小な柱頭空間で多数の梁鉄筋の接合を行わねばならず作業が煩雑である。この煩雑は柱頭に接合するPCa梁部材の鉄筋量が多くなるにつれ激しくなる。
【0004】
そこで、柱頭に載る部分をプレキャスト化したPCa部材を使用する改良方法が提案された。柱頭に載る部分すなわちパネルゾーンを形成する中核体(以下中核体と略称)の側面に短梁を一体に付属させた構成の枝付き梁部材を柱頭に接合し、短梁に長梁部材を接合する方法である。これによれば上記の柱頭における煩雑な鉄筋接合作業を省略できる。さらに梁と柱の接合を最も応力集中の大きい部位である柱頭部位を避けて行うことができる利点もある。
【0005】
枝付き梁部材にはこれを鉛直方向に貫通するシース管が埋設されていて、下階PCa柱部材柱頭から上方に突き出ている軸鉄筋がこのシース管を挿通して梁部材上面から突き出るよう枝付き梁部材を建て入れる。この際、柱頭と梁部材下面との間には硬練りモルタルによる目地モルタルが施工される。それから、シース管内にセメントグラウトのような流動性の大きな充填材を注入充填する。充填材の硬化により柱部材と梁部材とが接合される。
【0006】
PCa柱部材の軸鉄筋上端部は柱頭から突き出ていて、これは梁部材接合後も梁を貫通して梁上面から上に突き出している。この突き出した軸鉄筋を利用して梁の上にさらに上階のPCa柱部材柱脚が接合される。こうしてPCa部材による建築軸組の構築が上階へと進行していく。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
枝付き梁部材を用いるPCa柱・梁部材接合方法は、慣用方法による接合方法にくらべ施工上大きな利点を持っているが、以下の問題点がある。
【0008】
枝付き梁部材建て入れ後シース管内に充填材を注入充填するとき、挿通されている鉄筋とシース管内壁との間の間隙が狭いこと、シース管下端が目地モルタルによって塞がれていることと、充填材が上方から注入されることのために充填材とシース管内の空気との置換が順調に進まず、ボイドが発生して充填材の完全充填が達成され難い。充填が完全でないとその分部材間接合力が低下する。また、注入をシース管1本ごとに行っているのでその作業が煩雑である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、「プレキャスト鉄筋コンクリート(以下PCaと略称)柱部材の柱頭にPCa梁部材を接合する方法において、
(1)PCa柱部材は軸鉄筋の上端部が柱頭から上方に突き出て露出しており
(2)PCa梁部材はパネルゾーンを形成する中核体とその側面から水平方向に突き出た短梁との一体構造よりなり、該中核体にはこれを鉛直方向に貫通する鉄筋挿通孔、および注入孔が設けられており
(3)前記中核体が前記柱部材柱頭に載り、柱部材軸鉄筋の前記露出上端部が前記挿通孔を挿通し、柱頭と中核体下面との間に目地空間が形成されるよう柱頭上に梁部材を建て入れるとともに上記目地空間周囲に止め材を設置し
(4)前記中核体下面に開口する連通孔である注入孔から流動性の大きい充填材を注入し、該充填材を目地空間および鉄筋挿通孔内に一工程で充填することを特徴とするプレキャスト鉄筋コンクリート柱・梁部材の接合方法」である。以下、図面を用いてこれを説明する。
【0010】
図1はPCa柱部材1の柱頭にPCa枝付き梁部材3を接合状態に建て入れてときの状態を示す縦断図である。ただし、図示の煩雑を避けるため、梁鉄筋やせん断補強筋などの細部配筋の図示を省略し要部のみを図示してある。柱部材1の軸鉄筋2の上端部は柱頭から上方に突き出て露出している。PCa梁部材3は柱頭に載りパネルゾーンを形成する中核体4とその側面に付属する短梁5とよりなる。短梁端面からは梁軸鉄筋が水平方向に突き出て露出しており長梁部材との接合に利用される。中核体にはこれを鉛直方向に貫通する鉄筋挿通孔6が設けられている。その位置は柱部材軸鉄筋2に対応する位置である。中核体にはその下面に開口する注入孔7が設けられている。なお、図示の都合上中核体のせい高を低く図示してあるが、一般にそのせい高は柱部材辺長と同程度位の高いものである。
【0011】
鉄筋挿通孔6を軸鉄筋2の露出端部が挿通するよう梁部材3を建て入れる。この建て入れに先立って柱頭に目地空間8を形成するためのライナー9を置きこれに接するように梁部材を建て入れる。目地空間8の周縁にこれをシールするための止め材10を配置する。
【0012】
注入孔7から流動性の大きな充填材を注入する。充填材はまず目地空間8を満たした後、鉄筋挿通孔7内を上昇しその内壁と挿通鉄筋との間の間隙を充填する。充填材の硬化により目地の形成と挿通孔への鉄筋定着とが同時に行われ、ここに柱頭への梁部材の接合が完成する。
【0013】
鉄筋挿通孔6は管を埋め殺して形成してもよく、単なるコンクリート孔であってもよい。その内壁には硬化充填材との係合性を高めるための凹凸を設けててもよく、このため凹凸面を有する管、例えばコルゲート管を埋め殺して形成してもよい。
【0014】
注入孔7も同様に管を埋め殺して形成してもよく、単なるコンクリート孔であってもよい。直線状であってもよく曲がっていてもよいが、鉄筋挿通孔と同様に梁部材上面から下面へ真っ直ぐに貫通していることが好ましい。
【0015】
注入孔7を設ける位置は鉄筋挿通孔群の囲む領域のほぼ中央が好ましい。これはこの位置が注入孔から各挿通孔への距離がほぼ同じとなり、充填材の各挿通孔内への上昇速度がほぼ同一となるからである。
【0016】
目地空間周縁に配置する止め材10としては各種のものが利用できるが、例示すると、図示のように柱頭外周に沿って板または型枠を押し当てる態様、柱頭周縁内側に沿って硬練りモルタルを帯状にめぐらす態様がある。
【0017】
本発明の接合方法は、枝付き梁部材建て入れに先立って柱頭に目地モルタルを施工し、建て入れ後鉄筋挿通孔内にその上方開口から1本ずつ充填材を注入する従来の接合方法にくらべ以下の利点がある。
(1)鉄筋挿通孔内への充填材の注入方向が従来方法のように上から下へではなく下から上への方向であるから注入に伴う空気の排出が順調に進行し、従来方法のようにボイドが発生することもなく完全充填が容易に達成できる。
(2)従来方法のように1本ずつの注入ではなく1か所からの注入で多数本の鉄筋挿通孔内への注入が同時に実施できる。
(3)従来方法のように梁部材建て入れに先立って柱頭に目地モルタルを施工する必要がなく、異なる施工工種である目地モルタル施工と鉄筋挿通孔内への充填材注入とが一つの工程で同時に実施でき省力効果、工程短縮効果大である。
【0018】
つぎに充填材を注入孔から注入することの利点について述べる。注入を止め材に設けた注入口から行うと、多数個ある鉄筋挿通孔の注入口からの距離の差のばらつきが大きいため挿通孔内への充填材上昇速度のばらつきが大き過ぎる問題点がある。さらに、注入のヘッド差が大きいという.問題点もある(上述のように中核体のせい高は高い).本発明の方法によれば、各挿通孔と注入孔との距離の差が小さいので上昇速度のばらつきが小さい。さらに、ヘッド差も理論的にはゼロであるからポンプ負荷が過大とならない利点がある。また、止め材に設けた注入口は梁下に位置するので注入作業がやりにくいが、本発明方法では梁上から注入するので作業がやり易い利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の実施状況を示す縦断図
【符号の説明】
1 PCa柱部材
2 柱部材軸鉄筋
3 PCa枝付き梁部材
4 中核体
5 短梁
6 鉄筋挿通孔
7 注入孔
8 目地空間
9 ライナー
10 止め材
Claims (1)
- プレキャスト鉄筋コンクリート(以下PCaと略称)柱部材の柱頭にPCa梁部材を接合する方法において、
(1)PCa柱部材は軸鉄筋の上端部が柱頭から上方に突き出て露出しており
(2)PCa梁部材はパネルゾーンを形成する中核体とその側面から水平方向に突き出た短梁との一体構造よりなり、該中核体にはこれを鉛直方向に貫通する鉄筋挿通孔、および注入孔が設けられており
(3)前記中核体が前記柱部材柱頭に載り、柱部材軸鉄筋の前記露出上端部が前記挿通孔を挿通し、柱頭と中核体下面との間に目地空間が形成されるよう柱頭上に梁部材を建て入れるとともに上記目地空間周囲に止め材を設置し
(4)前記中核体下面に開口する連通孔である注入孔から流動性の大きい充填材を注入し、該充填材を目地空間および鉄筋挿通孔内に一工程で充填することを特徴とするプレキャスト鉄筋コンクリート柱・梁部材の接合方法
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JP2000003373A JP4187897B2 (ja) | 2000-01-12 | 2000-01-12 | プレキャスト鉄筋コンクリート柱・梁部材の接合方法 |
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JP2001193150A JP2001193150A (ja) | 2001-07-17 |
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- 2000-01-12 JP JP2000003373A patent/JP4187897B2/ja not_active Expired - Lifetime
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