JP4187630B2 - 吸収性素材 - Google Patents

吸収性素材 Download PDF

Info

Publication number
JP4187630B2
JP4187630B2 JP2003375393A JP2003375393A JP4187630B2 JP 4187630 B2 JP4187630 B2 JP 4187630B2 JP 2003375393 A JP2003375393 A JP 2003375393A JP 2003375393 A JP2003375393 A JP 2003375393A JP 4187630 B2 JP4187630 B2 JP 4187630B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nonwoven fabric
plasma
seconds
water
plasma treatment
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003375393A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005089946A (ja
Inventor
紀行 柳川
満 貞本
吉久 川上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Priority to JP2003375393A priority Critical patent/JP4187630B2/ja
Publication of JP2005089946A publication Critical patent/JP2005089946A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4187630B2 publication Critical patent/JP4187630B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Description

本発明は、吸収性素材に関し、特に、液透過性に優れ、液戻り量が少なく,かつ実質的に溶出する化学物質のない吸収性素材とその製造方法に関する。
紙オムツや生理用ナプキン等に代表される吸収性素材で最も重要なことは、尿や経血の様な排出液を速やかに吸収材へ透過させ、表面材自身は保液せずべとつかないこと、および吸収剤に保持された液体の肌への戻りを防止することである。前者の性能は、同一場所での吸収性能の繰り返し特性を測定して評価される液透過性能で表され、後者の性能は、吸収剤に吸収された液体が再度表面材を通過して戻る液体量である液戻り量により表される。また、吸収性素材に親水化剤などの化学物質が使用されていた場合,尿や経血、オリモノ等によりこれらの化学物質が溶けだし,皮膚に付着するということがある。
近年、表面材、特にトップシート材に合成繊維の乾式不織布を用いたものが急速に普及しており、乾式不織布を2層にして親水化処理を施し、尿を吸収する層と液戻りを防止する層を積層したものが知られている。
例えば、特開平9−562号公報には、長繊維からなる乾式不織布を用いたセカンドシートを形成し、トップシートと吸収体の間に挟みこむことにより、トップシートの吸収をバックアップするとともに、吸収体に吸収された液体の液戻りを抑制する機能を持たせた吸収性物品が記載されている。
しかし、これらの乾式不織布を用いているものは、不織布自身に親水化剤を含んでおり、尿などが間欠的に供給されることにより親水化剤が流れ去り、トップシートやセカンドシートとして用いた場合に吸水性能を維持しつづけることが困難である。また、親水化剤が化学物質であるために不織布自身が化学物質を含んでいるために、実質的に化学物質の漏出を防ぐことが困難になってしまう。
吸収性素材にプラズマを用いて親水化処理を施したものとして、特表2002−526567号公報(特許文献1)および特表2002−526219号公報(特許文献2)が開示されている。しかし、これらはプラズマ重合を用いたものであり、あるいはプラズマ重合工程に先立ちプラズマ処理を実施したものであり、不織布表面に親水性の重合層を形成したものである。従って、化学物質を含まない親水化処理を施したものではない。
特表2002−526567号公報 特表2002−526219号公報
本発明においては、液透過性及び液戻り量が小さく、かつ実質的に溶出する化学物質を含まない親水性スパンボンド不織布を提供することである。

本発明者らは、一般に疎水性であるポリオレフィン系不織布を、液透過性が大きく液戻り量が小さく、かつ実質的に溶出する化学物質のない吸収性不織布に改質する事を目的に鋭意検討を進め本発明に至った。
プラズマ処理により親水化された不織布であって、不織布重量に対し、200倍から1000倍の重量の25℃の水に漬け込んだ後の残存水の25℃においてリング法で測定される表面張力値が70[mN/m]以上を示すことを特徴とする不織布を提供する。
本発明の不織布には、ポリオレフィン系樹脂を用いることは好ましい態様の1つである。
本発明の親水性スパンボンド不織布は、酸素、二酸化炭素、水、窒素のいずれかもしくは混合させたガス群からなるプラズマが形成可能な真空装置内に不織布を設置することにより、不織布を該プラズマ空間に曝すプラズマ処理工程と、不織布を該プラズマ空間から外す休止工程を複数回繰り返すことを特徴とする方法により製造することができる。
また、上記製造方法は、プラズマ処理工程と休止工程を複数回繰り返した後、加熱処理を行なうことが好ましい。
本発明により、オレフィン系不織布を、実質的に溶出性の化学物質を漏出することなく、衛生材料の表面材として必要な液透過性能、液戻り性能を満足する吸収性素材を提供することができる。
(不織布)
本発明に用いられる不織布は、一般の熱可塑性樹脂を素材とするものが用いられ、メルトブローン法、スパンボンド法、その他の製造方法によって得られたものを使用することができる。また、原料は、熱可塑性樹脂であれば用いることができるので、以下、本発明の好ましい態様の1つであるポリオレフィンを用いる場合について説明する。
本発明に用いられるポリオレフィンは、エチレンおよびC3〜C12のαーオレフィンのホモ重合体、それらの共重合体、たとえば、ポリプロピレンのホモ重合体、α−オレフィンとプロピレンとのランダム共重合体、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリオレフィンを挙げることが出来る。
本発明の不織布を製造する方法としては、たとえばスパンボンド製造方法の場合には、ポリオレフィンを溶融して口金から押し出して紡糸し、空気圧を利用して細化延伸し、移動するコンベアネットに堆積して、熱圧固定してシート化するという。空気圧は、0.2[MPa/cm2]〜2[MPa/cm2]、コンベアの移動速度は、200[m/sec]〜500[m/sec]、熱圧固定の圧力は2[MPa/cm2]〜15[MPa/cm2]の範囲で適宣決定することができる。
得られたロール型に巻き取られた不織布は、そのまま用いても良いが、適当な幅にスリットされた後使用することも可能である。
(プラズマの発生)
プラズマ処理に用いる装置は、図1に示すようなプラズマ発生電極と、送り出しロール、巻取りロールを備えたものであるが、本発明にあたっては、図1の装置の不織布の設置方法を若干変更し、図2に示すような構成とした。すなわち、図2に示すようにプラズマ処理装置の仕込みロールおよび巻取りロールに設置した後、真空引きを行なう。1×10-2[Pa]以下にまで真空引きを行なった後、酸素、窒素、二酸化炭素、水、窒素などの供給ガスを真空チャンバー内に流すとともに圧力調整バルブの開度調整により、所定の圧力になるように調整する。これらのガスを混合ガスとして用いることも当然可能である。例えば,空気ガスを用いることも有効である。またこのときに、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなどのいずれかからなる希ガスを加えることも可能である。ここで希ガスの流量割合は、ガス全体の90%を超えないようにすることが望ましい。
プラズマ発生のための高周波電源は、50Hzから2.45GHzの任意の範囲の周波数のものを用いることができる。
プラズマに用いる電極としては、平板型の電極を用いることもあるが、コイル型の電源を用いることも可能であり、棒状の電極を用いることも可能ある。また、2.45GHzなどの高い周波数を用いる場合には、平板に孔をあけたスロットアンテナを用い、石英板を介して供給電力を投入するタイプを用いることが一般的である。
プラズマ形成時の圧力は、0.5[Pa]以上1,000[Pa]以下であることが望ましく、さらに好ましくは、2[Pa]以上100[Pa]以下である。0.5[Pa]以下の圧力の場合、プラズマ処理の効果が満足に得られない場合があり、その場合は目的とするプラズマ処理の効果を得られないことがある。また、1000[Pa]以上の圧力条件ではプラズマの形成が困難となる場合がある。
(プラズマ処理)
プラズマは、真空チャンバー内において形成されるが、本発明は不織布をプラズマに曝すプラズマ処理工程と、プラズマに曝さない休止工程の繰り返しにより持続性を有する親水性不織布を形成することができる。これは、プラズマの強さあるいは、不織布がプラズマ空間を通過する速度(プラズマ処理時間)によっても変化する。そのため、その条件については適時決定しなければならないが、繰り返し処理の回数を増加させるに従い、その親水性能の持続性は向上する傾向にある。プラズマ処理をしている時間 通常 0.01秒〜10秒、好ましくは0.03秒〜3秒、さらに好ましくは0.1秒〜1秒である。また、プラズマ処理を休止する時間は、 通常 0.01秒〜100秒 、好ましくは 0.03秒〜30秒、さらに好ましくは 0.1秒〜10秒である。また、この繰り返しは、複数回繰り返すことが好ましく、通常は、2回〜1000回、好ましくは、5回〜100回 、さらに好ましくは 10回〜40回である。
繰り返しは、1基の装置でも行なうことができる。図3に示す装置は、複数の電極がある一定の間隔を置いて設置されており、プラズマが形成される空間と、プラズマが形成されていない空間を複数備えている大型の装置である。
プラズマ処理工程と休止工程を複数回繰り返した後に行う加熱処理の際、加熱の際に温度は、50℃以上であることが好ましく、融点を超えないようにすることが好ましい。なお、ポロプロピレン不織布の場合には、融点である160℃に達しないようにすることが肝要であり、ポリエチレンの場合には、融点である120℃に達しないようにすることが肝要である。好ましくは、60℃〜120℃であり、さらに好ましくは、70℃〜110℃である。そして最も好ましくは、80℃〜100℃である。
酸素、二酸化炭素、水、窒素などのガスを用いたプラズマに曝すことにより不織布は親水化されるが、衛生材料であるトップシート素材に要求される低い液戻り性能を達成することが困難になってしまう。しかし、本願に記載した加熱処理を実施することにより、不織布の親水性能を維持しながら、低い液戻り性能を達成することが可能となるのである。
さらにプラズマ処理に用いられるガスは、好ましくは、酸素、二酸化炭素、窒素、水を挙げる事ができる。しかし、炭素、珪素の水素化合物およびその誘導体は、プラズマに曝した際に、プラズマに曝した表面に薄膜を形成する性質を有するガスであり、堆積性のガスとも言われるが、これは用いていない。これらのガスによるプラズマ処理の結果、不織布の最表面層には親水性の官能基が形成され、これらがSTR試験の最中に水中に溶け出す可能性はあるもののその量は極微量であり不純物としてほとんど検出されない程度である。
(処理された不織布)
本発明の衛生材料としての評価は、液透過試験を行った。液透過試験は、10cm角の濾紙5枚の上に測定する不織布を置き、不織布を通過する時間を測定する方法である。濾紙はHollingworth & Vose社のERT EF3 STRIKE THROUGH/WETBAK品を用い、液透過試験装置はLENZING TECHNIK社のものを用いた。試験液として0.9重量%の食塩水を5ccを不織布上に供給することにより測定を開始する。なお、濾紙は、湿度50%以下の室温状態にて保管してあるものを用いる。すなわち、食塩水の通り道でかつ不織布の直上に1mm以下の距離で設置された2本の細い短針電極を対向させて設置し食塩水の接触とともに通電が開始され食塩水が通過し短針電極間に食塩水がなくなると同時にその通電が終了する。通電している時間を正確にタイマーにより求め、これを液透過性の指標とし、通過時間が4秒以下のものを、紙おむつなどの衛生材料として適合するものとした。
液戻り性能は、まず乾燥した濾紙5枚の重量の3.3倍相当量の0.9%食塩水を均等に濾紙5枚に吸い込ませた後、液戻り性能を測定する不織布を敷き、10cm角のウレタンフォームのスポンジを置き、さらに400gの同じく10cm角の金属おもりを置き2分静置する。ここで、濾紙1枚の平均重量は約6.5gである。2分後、おもりを取り除き、ウレタンフォームの付着水分を丁寧に拭き取った後、重量を正確に測定した濾紙2枚を不織布の上に乗せ、ウレタンフォームと400gのおもりを載せて3分間静置する。同じく、ウレタンフォームとおもりをはずし、新たに設置した濾紙2枚の重量を測定する。このとき、濾紙2枚の重量変化増を液戻量の指標とし、0.5g以下のものを、紙おむつなどの衛生材料に適合するものとした。
不織布自体の溶出物を確認するための試験としてSTR(Surface Tension Reduction表面張力減少)試験を行う。この試験は、40ccの蒸留水もしくはイオン交換水に、6cm角に切り取った不織布を1枚漬け込み、10秒攪拌、5分静置、10秒攪拌後不織布を取りだし、さらに10分静置した後に、その水の表面張力をリング法によって測定するというものである。純水であれば、25℃で73 [mN/m2]であるが、水に何らかの溶解物が存在している場合、その表面張力が減少する。衛生用品の表面材料として用いられる目標値は表面張力の測定値が、70[mN/m2]以上である。表面張力の値が70[mN/m2]以上であれば、プラズマ処理後の不織布からの溶出物はほぼ無視することができる。
(プラズマ処理された不織布が溶出物を含まない理由)
このように、酸素、二酸化炭素、窒素、水などを用いることにより、不織布の表面を改質することのみを行なうことになる。少なくとも、プラズマ重合手法とは異なるプロセスである。プラズマ重合手法を用いた場合、たとえわずかであっても重合しきれていないモノマーなどが付着しており、これらが溶出物となって水中に溶け出してしまうのである。しかし、本願に開示した手法を用いた場合、一切のモノマー成分、あるいはプラズマ処理後に残存しやすい成分を用いないことから、水に浸漬させた際に、本質的に溶出物が発生しなくなるのである。
また、本願に開示した手法により、長期に渡る持続性を発現させることが可能となる。一般にプラズマ処理もしくはコロナ放電処理されたポリマーは、特許文献1および特許文献2に記載されているように、「疎水性回復」プロセスを経て、その親水性を消失していく。この「疎水性回復」プロセスは、プラズマ処理によって親水化された大きい表面エネルギーを有する親水性分子セグメントが再配向して自分自身を埋め、代わりに表面エネルギーの低い(すなわち疎水性の高い)分子セグメントがポリマー表面に露出することによって、熱力学的に安定化することによって生じるものと考えられている。従って、特許文献1および特許文献2においては、プラズマ重合のような手法を用いて、化学的な架橋をポリマー表面に形成させれば、ポリマー鎖の移動度が抑制され、「疎水性回復」が著しく遅くすることができ、長期に渡る持続性を発現させることが可能としている。
しかし、このプラズマ重合手法を用いることは、本質的に化学物質を不織布表面に導入することになり、STR試験を行った際に70[mN/m]という極めて高い表面エネルギー値を有する残存水をもたらすことは本質的に困難である。
しかし、本願に開示した手法を用いることにより、繰返しプラズマ処理を行うことにより、親水性分子セグメントをポリマー内部にまで形成することが可能となる。しかも、繰返しプラズマ処理を行う効果により、長時間の連続照射により発生するポリマーの損傷を極力抑制することができるのである。このように、ポリマー自身の損傷を極力抑制しながら、ポリマーに親水性分子セグメントを深さ方向に多く供給することにより、表面だけでなく、内部にまで表面エネルギーの高い分子セグメントを形成することができるようになり、熱力学的に安定な層を形成することが可能となるのである。このことにより、プラズマ処理のみによって、長期間に渡る持続性を有する親水性を有する不織布を形成できるようになったものと考えることができるのである。
また、本願において用いるガスは、酸素、水、二酸化炭素、窒素および希ガスに限定されていることから、表面処理とともにポリマー表面のエッチング作用ももたらしている。このエッチング作用により、ポリマー表面に付着している可能性のある低分子等を除去していることも考えられる。このことがまた、本質的に溶出物の少ない親水性の不織布を形成することに役立っているものと思われる。
(実施例1)アイソタクチックポリプロピレン(MFR;60g/10min、融点160℃)を230℃で溶融紡糸し、エアーサッカーで牽引し、コンベアベルト上に堆積し、125℃のエンボスロールを用いて熱圧着し、繊度1.8デニールでありかつ、単位面積重量が18g/m2のプロピレン不織布を得た。
これにより得られた不織布を、図1に示すロールツーロール型のプラズマ装置のロール仕込み室に設置し、一辺が30cmの正方形型のカソード電極に不織布の下面が接触するように配置しながら、4本のガイドローラーと送り出しロールおよび巻取りロールに輪を形成するように巻きつけた。プラズマはICP(誘導結合型プラズマ)を用い、不織布は、石英板から60mm離れた位置を通過するように配置した。この状態で真空引きを行ない1×10-2[Pa]にまで減圧した後に、酸素ガスを標準状態での70[cm3/min]の流量で流すことにより3[Pa]の圧力に調整した上で、不織布を巻き取りロールにより50[m/min]の速度で回転させた。安定に不織布が回転を始めた時点でプラズマ電源を1[kW]に設定し、放電を開始するとと同時に10回(実施例1−1)、20回(実施例1−2)、30回(実施例1−3)、45回(実施例1−4)連続回転させた。これらの回転を行なった回数を繰り返し回数と称することにする。不織布プラズマ処理の繰り返し回数が終了すると同時に放電を停止した上で回転を止め、真空チャンバーを開放するとともに、真空チャンバー内の不織布を取り出して、そのストライクスルー性能(液透過時間[秒])を測定した
さらに、ストライクスルー性能評価後のサンプルを、60℃一定温度に保持した恒温槽に1ヶ月保管し、1ヶ月後に再度そのストライクスルー性能(液透過時間[秒])を評価した。その結果を実施表1に示す。
Figure 0004187630
繰り返し回数を10回以上行なったものについて、プラズマ処理直後においても、60℃1ヶ月保管後においても液透過時間4秒以内の良好なストライクスルー性能を有していることが認められた。
(比較例1) 実施例1と同じ装置を用い,かつ同じ操作条件、すなわち酸素ガス流量を標準状態での70[cm3/min]、3[Pa]の圧力条件のもとで、不織布を連続回転できるように50[m/min]の速度で回転させた。、但し、実施例1に比較して、繰返しを行わず1回だけの処理を行うことによりその効果を確認した。これらについて、そのストライクスルー性能評価を行なうため、液透過時間をプラズマ処理直後と60℃1ヶ月後について測定した結果を比較表1に示す。
Figure 0004187630

比較例1においては、プラズマ処理直後において4秒を上回るストライクスルー値であり、かつ60℃の恒温糟にて1ヶ月保管した後の液透過時間がより長くなることが判明した。
(実施例2) 実施例1と同じ装置を用い,かつ同様の操作条件(圧力3[Pa])を用い、不織布送り速度100[m/min] 、プラズマ出力を1.0[kW] 、石英板からの距離60[mm])で、プラズマによる親水化を行なった。なお、繰り返しの回数は、20回連続と40回連続の条件で検討を行なっている。すなわち、繰り返し回数を20回(実施例2−1)、40回(実施例2−2)とした。また、ストライクスルー性能の評価も同じように行なった。
Figure 0004187630
繰り返し回数が、20回以上行なったものについて、プラズマ処理直後において3秒以内の液透過時間示し、60℃1ヶ月保管後においても液透過時間4秒以内のストライクスルー性能を有していることが認められた。
(実施例3) 実施例1と同じ装置を用い、操作条件として圧力3[Pa]とし、不織布送り速度50 [m/min]の条件で、プラズマによる親水化を行なった。なお、酸素の代わりに二酸化炭素、水、窒素を用いた。窒素ガス、二酸化炭素、水の流量は標準状態で60[cc/min]である。なお、水については、イオン交換水を別個の容器に入れ、この容器をウオーターバスにて加熱するとともに、ニードルバルブにて調整することによりプラズマ処理装置の中に直接導入することにより100%の水蒸気として供給した。また、プラズマ出力を1.0kWに設定し、かつ石英板からの距離は60[mm]とした。なお、繰り返しの回数は、20回とした。また、ストライクスルー性能の評価も同じように行なった。
Figure 0004187630

酸素に対して二酸化炭素、水、窒素ガスを混合させて形成したプラズマを用いた場合においても、繰り返し回数が、20回の場合について、プラズマ処理直後において4秒以内の液透過時間示し、かつ、60℃1ヶ月保管後においても液透過時間4秒以内のストライクスルー性能を有していることが認められた。
(比較例2) 実施例6と同じ装置を用いかつ同じ圧力、同じ速度条件(圧力3[Pa]、不織布送り速度50[m/min] 、プラズマ出力を1.0[kW] 、石英板からの距離60[mm])で、窒素プラズマによる親水化を行なった。但し、実施例5に比較して、繰り返しは行わず,、1回だけプラズマ空間を通過するようにした。また、ストライクスルー性能の評価も同じように行なった。
Figure 0004187630

比較例2においては、プラズマ処理直後の液透過時間は、実施例3の場合とは異なり、60℃の恒温糟にて1ヶ月保管した後の液透過時間は、大きく増加し、その全てが5秒を大きく上回る結果となってしまっている。実施例6と比較して、1回処理では親水性において持続性に乏しいことが判明した。
(実施例4) 実施例1と同じ装置を用い、かつ同様の操作条件(圧力3[Pa])を用い、不織布送り速度50[m/min])で、プラズマによる親水化を行なった。また、ICPのプラズマ出力を1.0kWに設定した。なお、繰り返しの回数は、20回連続で検討を行なっている。このようにして得たサンプルを80℃の恒温器に保管することにより、そのストライクスルー性能とリウェット性能を比較評価した。恒温器に保管した時間を、60分の場合(実施例4−1)、120分の場合(実施例4−2)での検討結果を実施表5に示した。
Figure 0004187630

80℃での保管時間が、少なくとも60分から120分の間の場合について、プラズマ処理直後において3秒程度の液透過時間示し、かつ、リウェット量が0.5[g]以内であることが認められた。
さらに、このようにして得られたサンプルを、60℃の恒温糟に1ヶ月保管し、そのストライクスルー性能およびリウェット性能を確認した。なお、実施例4−1Aは、実施例4−1を60℃ 1ヶ月保管したものであり、実施例4−2Aは、実施例4−2を60℃ 1ヶ月保管したものである。
Figure 0004187630

60℃で1ヶ月保管後においても、液透過時間もほぼ変化がなく、かつリウェト量も良好な値を維持したままである。

(実施例5) 実施例1、実施例3及び実施例4で得られたサンプルの溶出不純物の検討を行なった。用いた装置は、協和界面科学株式会社のCBVP−A3型/表面張力測定装置である。得られた結果を、実施表10に示す。
Figure 0004187630


STR試験により測定した残存水の表面張力値 実施例で形成したものについて、その溶出物の存在可能性を確認したところ、極めて溶出物の少ないサンプルであることが分かった。
(比較例3) 実施例1と同じ装置を用い、操作条件として圧力3[Pa]とし、不織布送り速度50 [m/min]の条件で、プラズマによる親水化を行なった。なお、酸素の代わりに一酸化二窒素および酸素でバブリングしたスチレンモノマーを用いた。一酸化二窒素ガスの流量は標準状態で60[cc/min]である。また、プラズマ出力を1.0kWに設定し、かつ石英板からの距離は60[mm]とした。なお、繰り返しの回数は、20回とした。ストライクスルー性能の評価も同じように行なった。得られた親水性不織布は、黄色い色を示しており、衛生材料としては重要な要素である白色を得ることができなかった。
Figure 0004187630

酸素に対して一酸化二窒素、スチレンモノマーを用いてプラズマ処理を用いた場合においても、繰り返し回数が、20回の場合について、プラズマ処理直後において3秒以内の液透過時間示し、かつ、60℃1ヶ月保管後においても液透過時間4秒以内のストライクスルー性能を有していることが認められた。
さらに、このようにして得られた不織布のSTR試験を行った。その結果を比較表3に示す。
Figure 0004187630


実施例で形成したものについて、その溶出物の存在可能性を確認したところ、低い表面張力値を示すことが認められた。
本願に示す処理を行なうことにより、まことに驚くべきことに液透過性能と液戻り性能の両方を満足し、しかも、水に漬けた際に、溶出物をほとんど確認することができない不織布が得られた。本願の不織布は親水性不織布として各種衛生材として吸収性物品等に用いることが出来る。
プラズマ処理装置 繰返し処理可能なプラズマ処理装置 複数の電極を備えた大型のプラズマ処理装置
符号の説明
1…不織布
2…真空チャンバー
42…送出しローラー 42…巻取りローラー 44、45、46、47…ガイドローラー
52…カソード電極 53…マッチングボックズ 54…高周波電源
61…油回転ポンプ 62…ターボ分子ポンプ 63…ゲートバルブ
71…ガス供給ライン
81…アノード電極

Claims (3)

  1. 酸素、二酸化炭素、水、窒素のいずれかもしくは混合させたガス群からなるプラズマが形成可能な真空装置内に不織布を設置し、不織布を該プラズマ空間に0.01秒〜10秒間曝すプラズマ処理工程と、不織布を該プラズマ空間から0.01秒〜100秒間外す休止工程を連続して複数回繰り返すことを特徴とする、不織布重量に対し200倍から1000倍の重量の25℃の水に漬け込んだ後の残存水の25℃においてリング法で測定される表面張力値が70[mN/m]以上を示す不織布の製造方法。
  2. 不織布がポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の不織布の製造方法。
  3. 請求項1に記載のプラズマ処理工程と休止工程を複数回繰り返した後、加熱処理を行なうことを特徴とする請求項に記載の不織布の製造方法。
JP2003375393A 2003-08-12 2003-11-05 吸収性素材 Expired - Fee Related JP4187630B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003375393A JP4187630B2 (ja) 2003-08-12 2003-11-05 吸収性素材

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003292451 2003-08-12
JP2003375393A JP4187630B2 (ja) 2003-08-12 2003-11-05 吸収性素材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005089946A JP2005089946A (ja) 2005-04-07
JP4187630B2 true JP4187630B2 (ja) 2008-11-26

Family

ID=34466855

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003375393A Expired - Fee Related JP4187630B2 (ja) 2003-08-12 2003-11-05 吸収性素材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4187630B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20060047311A1 (en) * 2004-08-26 2006-03-02 Lutz David I Expanded PTFE articles and method of making same
JP2017074575A (ja) * 2015-10-14 2017-04-20 近藤工業株式会社 低密度エアフィルタ濾材の製造方法および低密度エアフィルタ濾材

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005089946A (ja) 2005-04-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6613703B1 (en) Thermoplastic nonwoven web chemically reacted with a cyclodextrin compound
KR100449770B1 (ko) 신축가능한열가소성중합물질로개구필름을형성하는방법과이에의해형성된개구필름및이개구필름을이용하는흡수제품
CN105734691B (zh) 用于制造熔喷无纺织物的喷丝头
JP4313677B2 (ja) 吸収性衛生製品の製造方法
JP2007021194A (ja) 超高分子量ポリエチレンを含む組成物から作製されるモノフィラメント縫合糸
KR101569537B1 (ko) 차단 특성이 개선된 대전방지성 통기성 부직 적층체
JP2014083439A (ja) 親水性の医学的デバイス
EP2655061B1 (en) Nonwoven webs having improved barrier properties
KR100390260B1 (ko) 액체 분배성 및 보유성 섬유상 웹 및 이의 제조방법
JP6607874B2 (ja) 吸収性物品及び製造方法
US6350399B1 (en) Method of forming a treated fiber and a treated fiber formed therefrom
AU2011346718A1 (en) Nonwoven webs having improved barrier properties
US7001562B2 (en) Method for treating fibrous web materials
KR100449771B1 (ko) 개선된 유체분산특성을 갖는 개구막과 이를 형성하는 방법
EP3421388A1 (en) Packaging material for sterilization
ES2209554T3 (es) Bandas permeables a los liquidos duramente humectables preparadas usando un procedimiento de polimerizacion por plasma distante.
JP4187630B2 (ja) 吸収性素材
US20060008592A1 (en) Preparation of superabsorbent materials by plasma modification
KR20160125677A (ko) 나노 코팅층이 형성된 흡수제품 및 그 제조방법
JP2006508265A (ja) 水相又は水吸収性ポリマー繊維、繊維マトリックスシート構造、複合体、化学製品及びそれらの使用、水相又は水吸収性ポリマー繊維の製造方法並びに水相又は水吸収性ポリマー繊維の製造装置
JP2001316976A (ja) 連続式プラズマ・グラフト処理方法
JP2001159074A (ja) 布帛の片面改質方法及び片面が改質された布帛
EP0497890B1 (en) Antimicrobial polymeric materials
RU2703727C2 (ru) Поверхностно-активное средство для обработки стерилизационной обертки со сниженной частотой проявления влажных упаковок после паровой стерилизации
JP3787643B2 (ja) シート状脱臭材料の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060612

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080529

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080610

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080710

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080909

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080909

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110919

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120919

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120919

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130919

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130919

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees