JP4187558B2 - スピニングリールのドラグ切換装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドラグ切換装置、特に、スピニングリールのリール本体に回転自在に装着されたハンドルの回転により前後移動するスプールを制動するドラグ機構の制動状態を切り換えるスピニングリールのドラグ切換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
スピニングリールには、スプールの糸繰り出し方向の回転を制動するドラグ機構が装着され、かつドラグ機構を作動可能状態と作動不能状態に切換可能なドラグ切換装置を有するものが従来知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
従来のドラグ切換装置は、リール本体の後部に設けられた第1ドラグ機構とスプール内に配置され第1ドラグ機構より制動力が強い第2ドラグ機構とに切り換えるドラグ切換装置ものと、リール本体の後部に設けられた第3ドラグ機構を作動可能状態と作動不能状態とに切り換えるものとが知られている。
【0004】
第1ドラグ機構と第2ドラグ機構とを切り換えるドラグ切換装置は、スプール軸に回転不能に装着された筒状部材と、筒状部材に回転不能に装着された回転部材と、回転部材に対して係合離脱するロック部材と、ロック部材を操作する操作部材とを備えている。第2ドラグ機構は、筒状部材の外周に配置されている。
【0005】
第3ドラグ機構を作動可能状態と作動不能状態とに切換可能なドラグ切換装置は、スプール軸に回転不能に装着された筒状部材と、筒状部材に回転自在に装着されたドラグ筒部と、ドラグ筒部に回転不能に装着された回転部材と、回転部材に対して係合離脱するロック部材と、ロック部材を操作する操作部材とを備えている。第3ドラグ機構は、筒状部材の外周とドラグ筒部の内周との間に配置されている。
【0006】
何れのドラグ切換装置でも、回転部材は、外周部にロック部材に係合する凹凸からなる複数の係合部を有している。ロック部材は、係合部に係合するロック位置と離脱する離脱位置とに上下移動自在にリール本体に支持されている。操作部材は、スプール軸の上方でハンドルの回転軸と平行な軸回りに揺動自在に装着されており、ロック部材を押圧するためのカムが操作部材に連動して揺動し、ロック部材を下方に押圧する。ロック部材は、回転部材の下方から回転部材の係合部に係合し付勢部材により上方に付勢されている。
【0007】
このように構成されたドラグ切換装置では、操作部材をたとえば後方に揺動させるとカムが後退してロック部材が付勢部材に押圧されて回転部材に係合し回転部材がロックされる。このようにバネの付勢力によりロック部材を回転部材に係合させているので、回転部材が噛み合わない位置にあってもロック部材を回転部材を回転させることにより、ロック部材が回転部材を確実に係止できる。そして、前方に揺動させるとカムがロック部材を押圧してロック部材が係合部から離反して回転部材がロック解除される。
【0008】
両ドラグ機構を切り換えるドラグ切換装置では、回転部材がロックされると第1ドラグ機構は作動不能状態になり、スプール軸がロックされるのでスプール内の第2ドラグ機構が作動可能状態になる。また、回転部材がロック解除されると、スプール軸が回転可能状態になるので第2ドラグ機構が作動不能状態になり、第1ドラグ機構が作動可能状態になる。
【0009】
第3ドラグ機構を切り換えるドラグ切換装置では、回転部材がロックされると、ドラグ筒部が回転不能になりスプール軸がロックされ、第3ドラグ機構がドラグ作動可能状態になる。また、回転部材がロック解除されると、ドラグ筒部が回転可能になり、スプールが自由回転状態になる。
【0010】
【特許文献1】
特公平6−97933号公報(第8図)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の構成では、何れの構成でも上下移動するロック部材により回転する回転部材を下方からロック・ロック解除している。一方、ロック部材は操作部材に連動するカムによりスプール軸より上方で押圧されている。このため、ロック部材は回転部材の側方で回転部材を囲むように形成され回転部材の下方に向けて延びている。しかも、ロック部材で回転部材の回転トルクによる反力を受けなければならないので、ロック部材はリール本体の内壁に接触して反力を受けている。したがって、ロック部材を配置するためのロック部材の占有空間がリール本体の上下方向及び左右方向に必要になり、リール本体の大型化を招くおそれがある。
【0012】
本発明の課題は、スピニングリールのドラグ切換装置において、リール本体の大型化を招くことなく回転部材をロックできるようにすることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
発明1に係るスピニングリールのドラグ切換装置は、スピニングリールのリール本体に回転自在に装着されたハンドルの回転により前後移動するスプールを制動するドラグ機構の作動状態を切り換えるスピニングリールのドラグ切換装置であって、回転部材と、操作部材と、ロック部材と、第1付勢手段と、第2付勢手段とを備えている。回転部材は、スプールが先端に装着されたスプール軸に対して回転自在又は回転不能にかつリール本体に対して前後移動不能に設けられ外周に周方向に間隔を隔てて形成された複数の係合部を有しドラグ機構を構成する部材である。操作部材は、スプール軸と食い違う第1軸に沿って 配置されリール本体に回動自在に装着される軸部と、軸部に回転不能に設けられ先端が軸部から径方向外方に延びてリール本体の外方に突出する操作部と、を有し、ロック位置と解除位置との間で第1軸回りに揺動自在な部材である。ロック部材は、複数の係合部のいずれかに係合して回転部材を回転不能にする係止位置と離反して回転部材を回転可能にする離反位置とに第1軸回りにリール本体に対して回動自在に設けられ、操作部材のロック位置から解除位置への揺動に連動して係止位置から離反位置に回動する部材である。第1付勢手段は、軸部の外周側に配置された捩じりコイルばねからなり、ロック部材とリール本体とに両端が各別に係止されロック部材を係止位置に向けて付勢する手段である。第2付勢手段は、操作部材とリール本体とに両端が各別に係止され操作部材をロック位置と解除位置とに振り分けて付勢するとともに、解除位置側への付勢力が第1付勢手段の付勢力よりも大きい手段である。
【0014】
このドラグ切換装置では、操作部材をロック位置に揺動させると、第2付勢部材により操作部材がロック位置に付勢されロック位置で保持される。そして、ロック部材が第1付勢手段により付勢され係止位置に揺動して回転部材の係合部に係合する。この結果、ロック部材により回転部材がロックされ回転不能になる。回転部材がスプール軸に対して回転不能に設けられている場合には、スプール軸が回転不能になる。このため、スプールを直接制動するフロントドラグ機構などのドラグ機構が作動可能になる。また、回転部材がスプールに対して回転自在に設けられている場合には、回転部材が回転不能になるとともにスプール軸に対して回転可能であるので、スプール軸を介してスプールを間接的に制動するリアドラグ機構などのドラグ機構が作動可能になる。
【0015】
操作部材をロック位置から解除位置に操作すると、第2付勢手段の死点を超えると操作部材が解除位置に付勢され解除位置で保持される。付勢力が第1付勢手段より強い第2付勢手段により付勢された操作部材の揺動と連動してロック部材が第1付勢手段の付勢力に抗して係止位置から離反位置に揺動する。この結果、回転部材がロック解除され回転可能になる。この状態では、回転部材がスプール軸に対して回転不能に設けられている場合には、スプール軸が回転可能になる。この結果、スプールを直接制動するドラグ機構が作動不能になる。また、回転部材がスプール軸に対して回転可能に設けられている場合には、回転部材が回転可能になるので、スプール軸を介してスプールを間接的に制動するドラグ機構が作動不能になる。
【0016】
ここでは、スプール軸回りに回転する回転部材と食い違う軸回りに揺動するロック部材を回転部材の係合部に係合させて回転部材を回転不能な状態と回転可能な状態とに切り換えている。このため、ロック部材を操作部材と同じ第1軸回りに揺動させるだけで回転部材をロックすることができ、ロック部材を小さな空間に配置できる。しかも、ロック部材と回転部材とは食い違う軸回りに配置されるので、回転部材の回転トルクによる反力を揺動軸で確実に受けることができる。このため、ロック部材をリール本体に接触させる必要がなくなり、さらにコンパクトな空間にロック部材を配置できる。したがって、リール本体の大型化を招くことなく回転部材をロックできるようにすることになる。また、第1付勢手段によりロック部材が係止位置に向けて付勢されているので、ロック部材と回転部材の係合部との位相合わせが不要になる。
【0017】
発明2に係るスピニングリールのドラグ切換装置は、発明1に記載の装置において、スプール軸に回転不能かつ軸方向移動自在に装着されかつリール本体に対して前後移動不能に規制された筒状部材をさらに備え、回転部材は、筒状部材の外周面に回転自在又は回転不能に装着されている。この場合には、スプール軸に回転不能に装着されかつリール本体に対して前後移動が規制された筒状部材に回転部材が装着されているので、回転部材をドラグ機構の構成の一部とする場合にドラグディスクを筒状部材に装着することによりドラグ機構の構成が簡素になる。
【0018】
発明3に係るスピニングリールのドラグ切換装置は、発明1又は2に記載の装置において、操作部材は、軸部に回動不能にロック部材と並べて装着され、ロック部材に接触可能であり、操作部の解除位置からロック位置への揺動に連動してロック部材を係止位置から離反位置側に移動させる係止突起が形成された連動部をさらに有し、連動部に第2付勢手段が係止されている。
【0019】
この場合には、操作部を持って操作部材をロック位置から解除位置に揺動させると、軸部に回動自在に装着することによりリール本体に対して揺動するように構成されたロック部材に連動部の係止突起が接触してロック部材を離反位置に揺動させる。そして第2付勢手段の死点を超えると連動部が付勢されて解除位置に保持される。また、操作部を持って操作部材を解除位置からロック位置に揺動させると、係止突起がロック部材から離反しロック部材が第1付勢手段により係止位置に向けて付勢される。そして、回転部材の係合部がロック部材に係合する位置に回転すると係止位置に揺動して回転部材がロックされる。ここでは、ロック部材と連動部とを軸部に並べて配置するとともに操作部を別に配置したので、操作部の配置の制限が緩和されて操作部を操作しやすく配置できると共に、操作部材の解除位置側への揺動に連動してロック部材を連動部により離反位置側に揺動させることができる。
【0020】
発明4に係るスピニングリールのドラグ切換装置は、発明1から3のいずれかに記載の装置において、回転部材は、スプール軸に対して回転不能に設けられスプール軸を制動する第1ドラグ機構を構成しており、回転部材の係合部からロック部材が離脱して回転部材の回転がロック解除されると第1ドラグ機構が作動可能になり、係合部にロック部材が接触して回転部材の回転がロックされると第1ドラグ機構が作動不能になる。この場合には、回転部材がスプール軸に対して回転不能であるので、ロック解除されると回転部材とともにスプール軸がリール本体に対して回転可能になり、第1ドラグ機構が作動可能になる。
【0021】
発明5に係るスピニングリールのドラグ切換装置は、発明4に記載の装置において、スプール軸の先端にはスプールが第1ドラグ機構より制動力が大きい第2ドラグ機構を介して回転自在に装着されており、回転部材の係合部にロック部材が係合して回転部材の回転がロックされると第2ドラグ機構が作動可能になる。この場合には、回転部材がロックされると回転部材とともにスプール軸がリール本体に対して回転不能になり、第2ドラグ機構が作動可能になる。
【0022】
発明6に係るスピニングリールのドラグ切換装置は、発明1から3のいずれかに記載の装置において、回転部材はスプール軸に対して回転自在に設けられスプール軸を制動する第3ドラグ機構を構成しており、回転部材の係合部からロック部材が離脱して回転部材の回転がロック解除されると第3ドラグ機構が作動不能になり、係合部にロック部材が接触して回転部材の回転がロックされると第3ドラグ機構が作動可能になる。この場合には、回転部材がスプール軸に対して回転自在であるので、回転部材がロックされるとスプール軸と回転部材が相対回転可能になり第3ドラグ機構が作動可能になる。
【0023】
発明7に係るスピニングリールのドラグ切換装置は、発明1から6のいずかに記載の装置において、ハンドルの糸巻取方向の回転に連動して解除位置にある操作部材をロック位置側に戻す復帰手段をさらに備える。この場合には、ハンドルが回転すると、ロックされるので、回転部材をロック解除したままにすることによる不具合を防止できる。具体的には、強弱の2種のドラグ機構を切り換える場合には強側のドラグ機構に切り換えるとよい。
【0024】
発明8に係るスピニングリールのドラグ切換装置は、発明7に記載の装置において、復帰手段は、前記ハンドルの回転軸に連動して回転する連動部材に設けられた1又は複数の復帰突起部と、操作部材に基端が連結され、先端が復帰突起部に当接する接触位置と復帰突起部から離反する位置とに移動自在にリール本体に設けられた復帰部材と、復帰部材を接触位置と離反位置とに振り分けて付勢する第3付勢手段とを有する。この場合には、操作部材がロック位置にあるとき、ハンドルを糸巻取方向に回転させると、連動部材が糸巻取方向に回転し連動部材に設けられた復帰突起部が接触位置にある復帰部材の先端に接触する。そして、復帰突起部により復帰部材が押圧されて離反位置に移動しそれに連動して操作部材が解除位置に戻りロックが解除される。ここでは、復帰手段をハンドル軸に連動する連動部材に復帰突起部を設けることにより実現しているので、たとえば、連動部材としてフェースギアの回転軸やフェースギアを用いることにより復帰手段の構成が簡素になる。
【0025】
発明9に係るスピニングリールのドラグ切換装置は、発明8に記載の装置において、連動部材は、ハンドルの回転により回転するフェースギアであり、復帰突起部はフェースギアの背面に第1軸と平行に突出して回転方向に間隔を隔てて複数形成されている。この場合には、連動部材としてフェースギアを用いるので、フェースギアの背面に復帰突起部を設けるだけでよくなり、復帰手段の構成が簡素になる。
【0026】
【発明の実施の形態】
〔全体構成〕
図1において、本発明の一実施形態を採用したスピニングリールは、ハンドル1と、ハンドル1を回転自在に支持するリール本体2と、ロータ3と、スプール4とを備えている。ロータ3は、リール本体2の前部に回転自在に支持されている。スプール4は、釣り糸を外周面に巻き取るものであり、ロータ3の前部に前後移動自在に配置されている。
【0027】
リール本体2は、図1及び図2に示すように、各種の機構が装着されるリールボディ2aと、リールボディ2aに着脱自在に装着されリールボディ2aとの間で各種の機構を収納する機構収納空間を形成し得る蓋部材2bとを有している。
【0028】
リールボディ2aは、たとえばアルミニウム合金等の金属製又は合成樹脂製の部材である。蓋部材2bは、たとえばアルミニウム合金等の金属製の部材である。蓋部材2bには、上部に前後に延びるT字形の竿取付脚2c(図1)が一体形成されている。また、リールボディ2aには、蓋部材2b側に湾曲して形成された金属板材製の装着フレーム2kが固定されている。装着フレーム2kは、上下にわたり設けられるとともに、一部が後上部に分岐して延びている。
【0029】
機構収納空間内には、ロータ3をハンドル1の回転に連動して回転させるロータ駆動機構5と、スプール4を前後に移動させて釣り糸を均一に巻き取るためのオシレーティング機構6と、スプール4を制動するリアドラグ機構7と、リアドラグ機構7より強い制動力でスプール4を制動するフロントドラグ機構(第2制動機構の一例)8とリアドラグ機構(第1制動機構の一例)7とを切り換えるドラグ切換機構9とが設けられている。
【0030】
ロータ駆動機構5は、ハンドル1が回転不能に装着されたハンドル軸10と、ハンドル軸10とともに回転するフェースギアからなるフェースギア11と、このフェースギア11に噛み合うピニオンギア12とを有している。ピニオンギア12は内部にスプール軸15が貫通可能に筒状に形成されており、その前部12aはロータ3の中心部を貫通しており、ナット13によりロータ3と固定されている。ピニオンギア12は、その軸方向の中間部と後端部とが、それぞれ軸受(図示せず)を介してリール本体2に回転自在に支持されている。
【0031】
オシレーティング機構6は、先端にスプール4がフロントドラグ機構8を介して連結されたスプール軸15を前後方向に移動させてスプール4を同方向に移動させるための機構である。オシレーティング機構6は、フェースギア11と一体形成されハンドル軸10が回転不能に装着されるフェースギア軸11aに連動して回転する減速機構14を介して回転が伝達される。オシレーティング機構6は、減速機構14に噛み合うカムギア20と、カムギア20により前後移動するスライダ21とを有している。このスライダ21にスプール軸15が回転自在かつ軸方向移動不能に装着されている。
【0032】
ロータ3は、図1に示すように、円筒部30と、円筒部30の後端に一体形成され円筒部30と間隔を隔てて前方に延びる第1及び第2ロータアーム31,32とを有している。両ロータアーム31,32の先端には、揺動自在にベールアーム33が装着されている。ベールアーム33は、ロータ3の回転によりスプールに釣り糸を案内して巻き付けるために設けられている。
【0033】
ロータ3の円筒部30の内部には、ロータ3の逆転を禁止・解除するための逆転防止機構66が配置されている。逆転防止機構66をローラ型のワンウェイクラッチを有しており、ワンウェイクラッチをリール本体の前部下面に揺動自在に装着された切換レバー67により作用状態と非作用状態とに切り換えることにより、ロータ3の逆転を禁止・解除する。
【0034】
スプール4は、ロータ3の第1ロータアーム31と第2ロータアーム32との間に配置されており、スプール軸15の先端にフロントドラグ機構8を介して装着されている。スプール4は、外周に釣り糸が巻かれる糸巻胴部4aと、糸巻胴部4aの後部に一体で形成されたスカート部4bと、糸巻胴部4aの前端に一体で形成されたフランジ部4cとを有している。
【0035】
〔フロントドラグ機構の構成〕
フロントドラグ機構8は、スプール軸15の先端に設けられている。フロントドラグ機構8は、螺合するドラグ力調整用のフロントドラグつまみ41と、フロントドラグつまみ41により押圧されるフロント摩擦部42とを有している。フロントドラグつまみ41は、スプール軸15に螺合するナット43が回転不能かつ軸方向移動自在に装着されたつまみ本体44と、つまみ本体44に回転自在かつ軸方向移動不能に係止されスプール軸15に対して回転不能な押圧部45とを有している。この押圧部45が摩擦部42に接触してスプール4を制動する。ナット43と押圧部45との間のスプール軸15の外周側にはコイルばね46が圧縮状態で配置されている。
【0036】
摩擦部42は、たとえば2枚のドラグディスク42a,42bを有している。ドラグディスク42aは、押圧部45に接触して配置され、たとえばスプール軸15に回転不能に装着されている。ドラグディスク42bは、たとえばスプール4に回転不能に装着されている。
【0037】
〔リアドラグ機構の構成〕
リアドラグ機構7は、図2〜図4に示すように、スプール軸15の後端部に設けられている。リアドラグ機構7は、リール本体2に螺合するドラグ力調整用のリアドラグつまみ50と、スプール軸15の後部に回転不能かつ軸方向移動自在に装着された筒状部材51と、筒状部材51の外周面に回転不能に装着された回転部材52と、回転部材52の両側に接触する2枚のドラグディスク53a,53bとを有している。
【0038】
リアドラグつまみ50は、リールボディ2aの後部にねじ止め固定された筒状のねじ筒部2dに回転自在に装着されている。リアドラグつまみ50は、ねじ筒部2dに回転自在に装着されたつまみ本体60と、つまみ本体60に回転不能かつ軸方向移動自在に装着されたナット部材61とを有している。つまみ本体60は有底筒状の部材であり、外周面に環状の滑り止め溝60aと、抜け止めのための環状のばね装着溝60bとが形成されている。
【0039】
ばね装着溝60bの周方向の2箇所には内外周を貫通する貫通穴60c(図3)が形成されている。また底部内側面には、ナット部材61を回転不能かつ軸方向移動自在に係止するたとえば3つの係止突起60dが形成されている。係止突起60dは、円弧状に図3左方に突出する突起である。ねじ筒部2dの外周面のばね装着溝60bに対向する位置には、環状の抜け止め溝2eが形成されている。抜け止め溝2eの底部は周方向に多数の凹凸2gが形成されている。ばね装着溝60bには、弾性板材をC字状に湾曲させて形成された抜け止めばね64が装着されている。抜け止めばね64の周方向の中心には内方にヘアピン状に突出する突出部64aが形成されている。抜け止めばね64の突出部64aの先端は、貫通穴60cを貫通して抜け止め溝2eの底部の凹凸2gに接触している。この突出部64aの先端が抜け止め溝2eに係止されて、つまみ本体60がねじ筒部2dに対して抜け止めされるとともに、リアドラグつまみ50が操作されると突出部64aの先端が凹凸2gと衝突を繰り返して発音する。滑り止め溝60aには、弾性体製の筒状の滑り止めリング65が装着されている。
【0040】
ナット部材61は、ねじ筒部2dの内周面に形成された雌ねじ部2fに螺合する雄ねじ部61aが外周面に形成された概ね円柱状の部材である。ナット部材61は、係止突起60dに係合する円弧状の3つの係止凹部61b(図3)を後端面に有し、コイルばね62が収納される円形の収納部61cを前面端に有している。コイルばね62は、ドラグ力調整用のばねであり、スプール軸15の後端外周側に配置されている。コイルばね62は、ナット部材61とドラグワッシャ53bとの間に圧縮状態で配置され、一端がドラグディスク53bにワッシャ68を介して接触し、他端がワッシャ69を介してナット部材61に接触している。
【0041】
筒状部材51は、リアドラグ機構7を構成するとともにドラグ切換機構9を構成する。筒状部材51は、図2に示すように、リールボディ2aの後部に設けられた板状の装着部2hに形成された段差付きの貫通孔2iに前方への移動規制された状態で回転自在に装着されている。また、コイルばね62により押圧されたドラグディスク53a,53bにより後方への移動も規制されている。したがって、筒状部材51は、リール本体2に対して前後移動不能である。
【0042】
図4に示すように、筒状部材51は、スプール軸15の後端部に形成された互いに平行に対向する面取り部15cに回転不能かつスプール軸15に対して軸方向移動自在に装着されている。筒状部材51の内周面には、面取り部15cに係合する長孔51aが形成されている。筒状部材51は、前側に形成された音出し用のギア部51bと、ギア部51bより大径に形成された鍔部51cと、鍔部51cより小径に形成された支持部51dとを有している。支持部51dには、互いに平行に形成された面取り部51eが形成されている。鍔部51cは、貫通孔2iの段差に接触しており、これにより筒状部材51の前方への移動が規制されている。ギア部51bには、リアドラグ機構7の作動時(スプール軸15が回転するとき)に発音する図示しない音出しばねの先端が接触している。
【0043】
回転部材52は、円板状の部材であり、リアドラグ機構7を構成するとともにドラグ切換機構9を構成する。回転部材52は、外周面に周方向に間隔を隔てて配置された複数の係合部52aを有している。係合部52aは、外周部から凹んで形成されている。また、内周部に筒状部材51の面取り部51eに回転不能に係止される長孔52bを有している。
【0044】
ドラグディスク53a,53bは、回転部材52を挟んで筒状部材51の支持部51dに回転自在に装着されかつリールボディ2aに回転不能に係止されている。ドラグディスク53a,53bの外周部には、径方向外方に突出する1対の係止突起53c,53dが形成されており、リールボディ2aには、両係止突起53c,53dに配置される突起部2j(図2)が形成されている。これにより、ドラグディスク53a,53bは、リールボディ2aに対して回転不能になっている。
【0045】
〔ドラグ切換機構の構成〕
ドラグ切換機構9は、筒状部材51と、回転部材52と、ロック位置と解除位置とに揺動自在にリール本体2に装着された操作レバー71と、操作レバー71に係止位置と離反位置とに回動自在に装着されたロック部材72と、ロック部材72を係止位置側に付勢する捩じりコイルばね73と、操作レバー71をロック位置と解除位置とに振り分けて付勢する第1トグルばね74と、解除位置にある操作レバー71をロック位置側に戻すリターン機構75とを有している。
【0046】
操作レバー71は、リール本体2の上後部でスプール軸15と食い違う第1軸X回りに図3に実線で示すロック位置と2点鎖線で示す解除位置とに揺動自在に装着されている。操作レバー71は、リール本体2の上後部に第1軸Xに沿って配置されロック部材72が回転自在に装着された軸部76と、軸部76の両端に回転不能に設けられた操作部77と、軸部76にロック部材72と並べて回転不能に装着された連動部78とを有している。
【0047】
軸部76は、リールボディ2aから基端が外部に露出する第1大径部76aと、第1大径部76aの先端に軸部より小径に形成された小径部76bと、小径部76bの先端に回転不能に装着された第2大径部76cとを有している。第1大径部76aの外周側には、捩じりコイルばね73が配置されている。小径部76bには、互いに対向して平行に形成された面取り部76dが形成されている。また、小径部76bの第1大径部76a側にロック部材72が回転自在に装着されているとともに、ロック部材72と並べて連動部78が回転不能に装着されている。第2大径部76cは、蓋部材2bを貫通して外部に露出している。第2大径部76cは、小径部76bの面取り部76dの先端に回転不能に係止される長穴76eを有している。
【0048】
操作部77は、第1及び第2レバー部77a,77bを有している。第1レバー部77aは、軸部76の第1大径部76aと一体形成されており、先端が軸部76から径方向外方に延びている。また、第1レバー部77aは、径方向外方に延びた径方向の先端が第2レバー部77bに向けて軸部76と略平行に延びている。第2レバー部77bは、第2大径部76cと一体形成されており、第1レバー部77aと同様に、軸部76から先端が径方向外方に延びている。第2レバー部77bは径方向外方に延びた先端が第1レバー部77aにねじ止め固定されるように第1レバー部77aに向けて僅かに延びている。したがって、操作部77は、リールボディ2a及び蓋部材2bの上部を跨いだ略C字状に形成されている。
【0049】
連動部78は、小径部76bに回転不能に装着される装着部78aと、装着部78aから径方向外方に延びるアーム部78bとを有している。装着部78aには、小径部76bの面取り部76dに回転不能に係止される長孔78cが形成されている。アーム部78bには、先端に第1トグルばね74が係止される係止孔78dが軸部76と平行に形成されるとともに、途中にリターン機構75を装着するための装着ピン78eが軸部76と平行に突出して形成されている。また連動部78には、ロック部材72を係止位置から離反位置にむけて連動して移動される係止突起78fが形成されている。係止突起78fは、操作部77をロック位置から解除位置に揺動させると、ロック部材72のロック爪72b(後述)に接触し、操作部77の揺動に連動してロック部材72を係止位置から離反位置に揺動させる。
【0050】
ロック部材72は、軸部76の小径部76bに係止位置と離反位置とに回転自在に装着されるリング状の装着部72aと装着部から径方向外方に延びるロック爪72bとを有している。ロック爪72bは、図3及び図4に示すように、先端が僅かに上方に湾曲した板状部材であり、先端上部に捩じりコイルばね73が係止され、ロック部材72を係止位置側に付勢している。ロック爪72bは、係止位置にあるとき、回転部材52の係合部52aに配置されて回転部材42を回転不能な状態にする。これにより、筒状部材51を介してスプール軸15が回転不能な状態になり、リアドラグ機構7が作動不能な状態になるとともに、フロントドラグ機構8が作動可能な状態になる。また、ロック爪72bが離反位置にあるとき、スプール軸15が回転可能な状態になり、リアドラグ機構7が作動可能な状態になるとともにフロントドラグ機構8が作動不能な状態になる。
【0051】
捩じりコイルばね73は、一端がリールボディ2aに係止され、他端が前述したようにロック部材のロック爪72bに係止されている。そして、ロック部材72を係止位置に向けて(図3時計回り)に付勢している。
【0052】
第1トグルばね74は、一端がリールボディ2aに係止され、他端が連動部78のアーム部78b先端の係止孔78dに係止された捩じりコイルばねであり、死点をはさんで操作レバー71をロック位置と解除位置とに振り分けて付勢する。これにより、操作レバー71は、ロック位置と解除位置とでその位置が保持される。第1トグルばね74は、解除位置側への付勢力が捩じりコイルばね73の付勢力よりも大きくなるようにばね力が設定されている。この結果、捩じりコイルばね73によりロック部材72を係止位置側に付勢しても、操作レバー71でロック部材72を離反位置側に保持することができる。
【0053】
なお、操作レバー71は、第1トグルばね74に付勢された状態において、ロック位置では、アーム部78bがリールボディ2aの内側面に接触して位置決めされ、解除位置では、第1レバー部77aのリールボディ2a及び蓋部材2bを跨ぐ部分がリールボディ2a及び蓋部材2bの上部外側面に接触して位置決めされる。
【0054】
リターン機構75は、図2、図3及び図5に示すように、フェースギア11に形成された復帰突起部81と、操作レバー71に基端が連結され、復帰突起部81に当接する図5(a)に示す接触位置と、復帰突起部81から離反する図5(b)に示す離反位置とに移動自在にリールボディ2aに設けられた復帰部材82と、復帰部材82を接触位置と離反位置とに振り分けて付勢する第2トグルばね83とを有している。
【0055】
復帰突起部81は、フェースギア11の背面に第1軸Xと平行な軸方向に突出して形成されており、回転方向に間隔を隔てて2つ設けられている。なお、復帰突起部81の数は2つに限定されない。また、復帰突起部の突出方向は第1軸方向に限定されず、径方向に突出してもよい。ただし、フェースギア11の背面に復帰突起部81を突出させることによりリターン機構75の構成がコンパクトになる。
【0056】
復帰部材82は、板状部材であり、中央部に略平行四辺形に切り欠かれた移動ガイド82aが形成され、先端に復帰突起部81に接触する復帰爪82bが形成されている。復帰部材82の基端は、連動部78の装着ピン78eに揺動自在に連結されている。また、途中に後方に延びるばね係止部82cが形成されており、ばね係止部82cには、第2トグルばね83の一端が係止されている。移動ガイド82aには、リールボディ2aから突出するボス部2mが係合しており、ボス部2mにより復帰部材82の移動が復帰突起部81に当接する接触位置と復帰突起部81から離反する離反位置とに規制されている。なお、復帰部材82は、装着フレーム2kによって蓋部材2b側への移動が規制されている。
【0057】
第2トグルばね83は、一端が復帰部材82のばね係止部82cに係止され、他端が装着フレーム2kに立設された係止軸2mに係止されている。
【0058】
〔リールの操作及び動作〕
キャスティング前には切換レバー67を操作して逆転防止機構66によりロータ3を逆転禁止状態にする。また手でベールアーム33を持ってベールアーム33を糸開放姿勢に反転させる。さらに、操作レバー71を図3に2点鎖線で示す解除位置側に揺動させる。
【0059】
操作レバー71を解除位置側に揺動させると、ロック爪72bに連動部78の係止突起78fが接触して押圧し、ロック部材72が離反位置に向けて移動する。そして、第1トグルばね74の死点を超えると、操作レバー71が解除位置に向けて付勢され解除位置で保持される。また、ロック部材72が捩じりコイルばね73の付勢力に抗して連動部78を介して第1トグルばね74により付勢され係止位置から離反位置に揺動して離反位置で保持される。この結果、回転部材52が回転自在になってフロントドラグ機構8が作動不能になり、リアドラグ機構7が作動可能になる。これにより、弱いドラグ力がスプール4に付与される。また、リターン機構75では、連動部78の揺動により復帰部材82の先端の復帰爪82bが復帰突起部81に接触可能な接触位置に向けて移動し、第2トグルばね83の死点を超えると接触位置に保持される。
【0060】
リアドラグ機構7のドラグ力の調整は、たとえば、釣り場の風や水流に合わせて行われる。リアドラグつまみ50をたとえば、時計回りに回転させると、コイルばね62の圧縮力が強くなり、ドラグ力が強くなる。すなわち、リアドラグつまみ50を時計回りに回転させると、ナット部材61が図3左方に進出し、コイルばね62を圧縮する。コイルばね62が圧縮されると、ドラグディスク53a,53bに対する押圧力が強くなり、回転部材52が強く制動される。この結果、筒状部材51を介してスプール軸15を制動するドラグ力が強くなる。逆にリアドラグつまみ50を反時計回りに回転させるとドラグ力が弱くなる。
【0061】
これらの操作が終わると、キャスティングを行う。キャスティングが終わるとベールアーム33を手で糸巻取姿勢に戻し、魚の当たりを待つ。魚が仕掛けにかかると、スプール4が逆転する。スプール4が逆転すると、操作レバー71が解除位置にあるので、スプール軸15とともに筒状部材51が回転して発音機構が発音する。
【0062】
魚のくいを確認して合わせるときには、ハンドル1を糸巻取方向に回転する。すると、復帰突起部81が復帰爪82bを押圧して復帰部材82を離反位置に向けて移動させる。そして第2トグルばね83の死点を超えると離反位置に保持される。この移動に伴って連動部78が揺動し、軸部76を介して操作部77も揺動し、操作レバー71が解除位置からロック位置に分向けて揺動する。この結果、連動部78の係止突起78fによるロック部材72の押圧が解除され、ロック部材72も係止位置に向けて回動する。そして、第1トグルばね74の死点を超えると、操作レバー71がロック位置に揺動して保持される。また、ロック部材72は、回転部材52の係合部52aがロック爪72bに対向する位置に配置されると、捩じりコイルばね73の付勢力により係止位置に回動し、回転部材52を回転不能にロックする。
【0063】
この状態では、筒状部材51を介してスプール軸15が回転不能にロックされるので、リアドラグ機構7が作動不能になり、フロントドラグ機構8が作動可能になり、スプール4に強いドラグ力が作動する。
【0064】
ここでは、スプール軸15回りに回転する回転部材52と食い違う軸回りに揺動するロック部材72を回転部材52の係合部52aに係合させて回転部材52を回転不能な状態と回転可能な状態とに切り換えている。このため、ロック部材72を操作レバー71と同じ第1軸X回りに揺動させるだけで回転部材52をロックすることができ、ロック部材72を小さな空間に配置できる。しかも、ロック部材72と回転部材52とは食い違う軸回りに配置されるので、回転部材52の回転トルクによる反力を軸部76で確実に受けることができる。このため、ロック部材72をリール本体2に接触させる必要がなくなり、さらにコンパクトな空間にロック部材72を配置できる。したがって、リール本体2の大型化を招くことなく回転部材52をロックできるようにすることになる。また、捩じりコイルばね73によりロック部材72が係止位置に向けて付勢されているので、ロック部材72と回転部材52の係合部52aとの位相合わせが不要になる。
【0065】
〔他の実施形態〕
(a)前記実施形態では、フロントドラグ機構8とリアドラグ機構7とを切り換えるドラグ切換機構9を例示したが、図6及び図7に示すように、ドラグ切換機構9をリアドラグ機構107と中間ドラグ機構108とを切り換えるように構成することもできる。
【0066】
図6において、スピニングリールは、リール本体2のねじ筒部102d、スプール104、リアドラグ機構107及び中間ドラグ機構(第3ドラグ機構の一例)108を除いて前記実施形態と同様であるので、同様部分の説明は省略する。
【0067】
スプール104は、スプール軸115にワンタッチで着脱自在なワンタッチ着脱機構104dを有している。スプール104は、スプール軸115に回転不能に装着されている。また、スプール軸115の後端部には、中間ドラグ機構108とリアドラグ機構107が並べて配置されている。なお、中間ドラグ機構108は、リアドラグ機構107の前方に配置されている。
【0068】
リアドラグ機構107は、図7に示すように、スプール軸115の後端部に設けられている。リアドラグ機構107は、リール本体2に螺合するドラグ力調整用のリアドラグつまみ150と、スプール軸115の後部に回転不能かつ軸方向移動自在に装着された第1筒状部材151と、第1筒状部材151の外周面に回転不能に装着された第1ドラグディスク152と、第1ドラグディスク152の両側に接触する2枚の第2ドラグディスク153a,153bとを有している。
【0069】
リアドラグつまみ150は、リールボディ2aの後部にねじ止め固定された筒状のねじ筒部102dに回転自在に装着されている。リアドラグつまみ150は、ねじ筒部102dに回転自在に装着されたつまみ本体160と、つまみ本体160に回転不能かつ軸方向移動自在に装着されたナット部材161とを有している。またナット部材161と第2ドラグディスク153bとの間にコイルばね162が圧縮状態に装着されている。これらのリアドラグつまみ150の構成は前記実施形態と実質的に同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0070】
第1筒状部材151は、ねじ筒部102dに設けられた板状の装着部102hに形成された貫通孔102iに第2ドラグディスク153aを介して前方への移動規制された状態で回転自在に装着されている。また、筒状部材51と同様にコイルばね162により後方への移動も規制され、第1筒状部材151はリール本体2に対して軸方向移動不能である。
【0071】
第1筒状部材151は、スプール軸115の後端部に形成された互いに平行に対向する面取り部115cに回転不能かつスプール軸115に対して軸方向移動自在に装着されている。第1筒状部材151の内周面には、面取り部115cに係合する長孔151aが形成されている。第1筒状部材151の外周面の中間部には、径方向外方に突出する4つの突起部151bが周方向に間隔を隔てて形成されており、第1ドラグディスク152の内周面には、突起部151bに係止される4つの凹部152aが形成されている。これにより、第1ドラグディスク152は、第1筒状部材151に対して回転不能になっている。第2ドラグディスク153a,153bは、前述した実施形態のドラグディスク53a,53bと同様な係止突起(図示せず)を有しており、ねじ筒部102dに回転不能に係止されている。
【0072】
このような構成のリアドラグ機構107では、スプール104に常時ドラグ力を作用させることができるとともに、リアドラグつまみ150を回転させることによりドラグ力を調整できる。
【0073】
中間ドラグ機構108は、リアドラグ機構107の前方に配置されており、前述した実施形態のリアドラグ機構7と同様な構成であるが、回転部材252が第2筒状部材251に対して回転自在になっている点が異なる。
【0074】
中間ドラグ機構108は、第1筒状部材151の前方でスプール軸115に回転不能かつ軸方向移動自在に装着された第2筒状部材251と、第2筒状部材251の外周面に螺合する中間ドラグ調整ナット250と、第2筒状部材251の外周面に回転自在に装着された回転部材252と、第2回転部材252の両側に接触する2枚のドラグディスク253a,253bとを有している。中間ドラグ調整ナット250は、皿ばね255を介してドラグディスク253bを押圧する。これにより、中間ドラグ機構108のドラグ力を調整できる。
【0075】
第2筒状部材251は、中間ドラグ機構108を構成するとともにドラグ切換機構9を構成する。第2筒状部材251は、第1筒状部材151の前端に接触して配置されている。第2筒状部材251は、リールボディ2aの後部に設けられた板状の装着部2hに形成された段差付きの貫通孔2iに前方への移動規制された状態で回転自在に装着されている。また、第2筒状部材251は、筒状部材51と同様に、スプール軸115の後端部に形成された互いに平行に対向する面取り部115cに回転不能かつスプール軸115に対して軸方向移動自在に装着されている。なお、スプール軸115は、スプール軸15に比べて面取り部115cの長さが長くなっているとともに、先端の形状がワンタッチ着脱機構104dの関係で異なっている。
【0076】
第2筒状部材251の内周面には、面取り部115cに係合する長孔251aが形成されている。第2筒状部材251は、前側に形成された音出し用のギア部251bと、ギア部251bより大径に形成された鍔部251cと、鍔部251cより小径に形成された支持部251dとを有している。支持部251dには、互いに平行に形成された面取り部251eが形成されている。鍔部251cは、貫通孔2iの段差に接触しており、これにより第2筒状部材251の前方への移動が規制されている。また、第1筒状部材151により後方への移動も規制されている。ギア部251bには、中間ドラグ機構108の作動時(スプール軸115が回転するとき)に発音する図示しない音出しばねの先端が接触している。
【0077】
回転部材252は、第2筒状部材251に回転自在に装着された円板状の部材であり、中間ドラグ機構108を構成するとともにドラグ切換機構9を構成する。回転部材252は、外周面に周方向に間隔を隔てて配置された複数の係合部252aを有している。係合部252aは、外周部から凹んで形成されている。
【0078】
ドラグディスク253a,253bは、たとえばフェルト製のワッシャ254a,254bを介して回転部材252を挟んで配置されており、第2筒状部材251の支持部251dに回転不能に装着されている。
【0079】
回転部材252はドラグ切換機構9のロック部材72により回転可能状態と回転不能状態とに切り換えられる。これにより、中間ドラグ機構108は、作動不能状態(回転部材252の回転不能状態)と作動不能状態(回転部材252の回転可能状態)とに切り換えられる。
【0080】
ドラグ切換機構9の構成は前述した実施形態と同様であり、操作レバー71を図7に実線で示すロック位置に操作すると、回転部材252がロックされる。この結果、中間ドラグ機構108が作動可能な状態になり、スプール104がリアドラグ機構107のドラグ力と中間ドラグ機構108のドラグ力とを加えたドラグ力で制動される。また、操作レバー71を図7に2点鎖線示す解除位置に操作すると、回転部材252のロックが解除され回転可能になる。この結果、中間ドラグ機構108が作動不能な状態になり、スプール104がリアドラグ機構107のドラグ力で制動される。
【0081】
(b)図8に示すように、操作レバー71の連動部78おいて、第1トグルばね74との連結部分の係止孔178dを丸孔ではなく長孔で形成してもよい。図8では、円弧状の長孔を形成しているが形状は円弧状に限定されない。このような長孔の係止孔178dを形成すると、操作レバー71がロック位置と解除位置とに揺動するとき、死点を超える付近で第1トグルばね74が係止孔178dの端部が移動して発音する。これにより、操作レバー71にクリック音を与えることができる。
【0082】
また、図9に示すように、第1トグルばね74の係止端にたとえば金属製のパイプ状のスペーサ74aを装着し、そのスペーサ74aを係止孔178dに係止させるようにしてもよい。この場合には、クリック音の音質が向上する。
【0083】
(c)前記実施形態では、スプール軸の前後移動じに回転部材やドラグディスクが前後移動しないようにするために、これらを筒状部材に装着したが、回転部材やドラグディスクをスプール軸の前後移動に対して前後移動しないように構成すれば、筒状部材を設ける必要はない。
【0084】
【発明の効果】
本発明によれば、スプール軸回りに回転する回転部材と食い違う軸回りに揺動するロック部材を回転部材の係合部に係合させて回転部材を回転不能な状態と回転可能な状態とに切り換えている。このため、ロック部材を操作部材と同じ第1軸回りに揺動させるだけで回転部材をロックすることができ、ロック部材を小さな空間に配置できる。しかも、ロック部材と回転部材とは食い違う軸回りに配置されるので、回転部材の回転トルクによる反力を揺動軸で確実に受けることができる。このため、ロック部材をリール本体に接触させる必要がなくなり、さらにコンパクトな空間にロック部材を配置できる。したがって、リール本体の大型化を招くことなく回転部材をロックできるようにすることになる。また、第1付勢手段によりロック部材が係止位置に向けて付勢されているので、ロック部材と回転部材の係合部との位相合わせが不要になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を採用したスピニングリールの側面一部断面図。
【図2】 図1のII−II断面図。
【図3】 リール本体後部の断面図。
【図4】 リアドラグ機構及びドラグ切換機構の分解斜視図。
【図5】 リターン機構の動作を示す側面図。
【図6】 他の実施形態の図1に相当する図。
【図7】 他の実施形態の図3に相当する図。
【図8】 連動部の他の実施形態を示す側面拡大図。
【図9】 連動部の他の実施形態の変形例を示す側面拡大図。
【符号の説明】
1 ハンドル
2 リール本体
4,104 スプール
7,107 リアドラグ機構
8 フロントドラグ機構
9 ドラグ切換機構
11 フェースギア
15,115 スプール軸
51 筒状部材
52,252 回転部材
52a,252a 係合部
71 操作レバー
72 ロック部材
73 捩じりコイルばね
74 第1トグルばね
75 リターン機構
76 軸部
77 操作部
78 連動部
81 復帰突起部
82 復帰部材
83 第2トグルばね
108 中間ドラグ機構
251 第2筒状部材

Claims (9)

  1. スピニングリールのリール本体に回転自在に装着されたハンドルの回転により前後移動するスプールを制動するドラグ機構の作動状態を切り換えるスピニングリールのドラグ切換装置であって、
    前記スプールが先端に装着されたスプール軸に対して回転自在又は回転不能にかつ前記リール本体に対して前後移動不能に設けられ外周に周方向に間隔を隔てて形成された複数の係合部を有し前記ドラグ機構を構成する回転部材と、
    前記スプール軸と食い違う第1軸に沿って配置され前記リール本体に回動自在に装着される軸部と、前記軸部に回転不能に設けられ先端が前記軸部から径方向外方に延びて前記リール本体の外方に突出する操作部と、を有し、ロック位置と解除位置との間で前記第1軸回りに揺動自在な操作部材と、
    前記軸部に回動自在に装着され、前記複数の係合部のいずれかに係合して前記回転部材を回転不能にする係止位置と離反して前記回転部材を回転可能にする離反位置とに前記第1軸回りに前記リール本体に対して回動自在に設けられ、前記操作部材の前記ロック位置から解除位置への揺動に連動して前記係止位置から前記離反位置に回動するロック部材と、
    前記軸部の外周側に配置された捩じりコイルばねからなり、前記ロック部材と前記リール本体とに両端が各別に係止され前記ロック部材を前記係止位置に向けて付勢する第1付勢手段と、
    前記操作部材と前記リール本体とに両端が各別に係止され前記操作部材を前記ロック位置と前記解除位置とに振り分けて付勢するとともに、前記解除位置側への付勢力が前記第1付勢手段の付勢力よりも大きい第2付勢手段と、
    を備えたスピニングリールのドラグ切換装置。
  2. 前記スプール軸に回転不能かつ軸方向移動自在に装着されかつ前記リール本体に対して前後移動不能に規制された筒状部材をさらに備え、
    前記回転部材は、前記筒状部材の外周面に回転自在又は回転不能に装着されている、請求項1に記載のスピニングリールのドラグ切換装置。
  3. 前記操作部材は
    記軸部に回動不能に前記ロック部材と並べて装着され、前記ロック部材に接触可能であり、前記操作部の前記ロック位置から前記解除位置への揺動に連動して前記ロック部材を前記係止位置から前記離反位置側に移動させる係止突起が形成された連動部をさらに有し、前記連動部に前記第2付勢手段が係止されている、請求項1又は2に記載のスピニングリールのドラグ切換装置。
  4. 前記回転部材は、前記スプール軸に対して回転不能に設けられ前記スプール軸を制動する第1ドラグ機構を構成しており、前記回転部材の係合部から前記ロック部材が離脱して前記回転部材の回転がロック解除されると前記第1ドラグ機構が作動可能になり、前記係合部に前記ロック部材が接触して前記回転部材の回転がロックされると前記第1ドラグ機構が作動不能になる、請求項1から3のいずかに記載のスピニングリールのドラグ切換装置。
  5. 前記スプール軸の先端には前記スプールが前記第1ドラグ機構より制動力が大きい第2ドラグ機構を介して回転自在に装着されており、前記回転部材の係合部に前記ロック部材が係合して前記回転部材の回転がロックされると前記第2ドラグ機構が作動可能になる、請求項4に記載のスピニングリールのドラグ切換装置。
  6. 前記回転部材は前記スプール軸に対して回転自在に設けられ前記スプール軸を制動する第3ドラグ機構を構成しており、前記回転部材の係合部から前記ロック部材が離脱して前記回転部材の回転がロック解除されると前記第3ドラグ機構が作動不能になり、前記係合部に前記ロック部材が接触して前記回転部材の回転がロックされると前記第3ドラグ機構が作動可能になる、請求項1から3のいずれかに記載のスピニングリールのドラグ切換装置。
  7. 前記ハンドルの糸巻取方向の回転に連動して前記解除位置にある前記操作部材を前記ロック位置側に戻す復帰手段をさらに備える、請求項1から6のいずれかに記載のスピニングリールのドラグ切換装置。
  8. 前記復帰手段は、
    前記ハンドルの回転軸に連動して回転する連動部材に設けられた1又は複数の復帰突起部と、
    前記操作部材に基端が連結され、前記復帰突起部に当接する接触位置と前記復帰突起部から離反する離反位置とに移動自在に前記リール本体に設けられた復帰部材と、
    前記復帰部材を前記接触位置と離反位置とに振り分けて付勢する第3付勢手段とを有する、請求項7に記載のスピニングリールのドラグ切換装置。
  9. 前記連動部材は、前記ハンドルの回転により回転するフェースギアであり、
    前記復帰突起部は前記フェースギアの背面に前記第1軸と平行に突出して回転方向に間隔を隔てて複数形成されている、請求項8に記載のスピニングリールのドラグ切換装置。
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