JP4186389B2 - 電気温水器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は深夜電力を利用して電気ヒータで給湯用のお湯を沸かす電気温水器の沸き上げ湯量の設定に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の電気温水器は特公昭64−7298号公報に記載されているようなものが一般的であった。この電気温水器は図8に示すように給水配管1よりタンク2内に供給された水をヒータ3で加熱し、お湯にして出湯配管4から給湯するようになっている。
【0003】
制御器5は沸き上がり温度設定装置によって決定された沸き上げ温度になるよう通電制御装置によってヒータ3の通電を制御して沸き上げをおこなう。
【0004】
通電時間測定装置によって計測された通電時間データを過去数日分記憶装置に記憶し、通電時間演算装置で過去数日分の通電時間の最大値をもとに余裕度等を加味して沸き上げ時間を計算し、沸き上げサーミスタ6で検出した給水温度、タンク容量、ヒータ容量等とともに通電制御装置で用いる沸き上げ温度を算出するように構成されている。
【0005】
そして上記通電時間演算装置が過去数日の給湯負荷に対応する通電時間で沸き上げ温度を設定して沸き上げるので、過去の沸き上げ時間が長いときつまり多くお湯を使った場合は沸き上げ温度を高くして実質的湯量を多く確保し、湯切れを起こさないようにするとともに、使用量が少なくなったら沸き上げ温度を低くして無駄に多量のお湯を沸かさないようになっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の電気温水器装置では、過去数日の通電時間をもとにタンク容量、ヒータ容量、給水温度等から沸き上げ温度を算出しなければならないので、過去数日間の通電時間のデータを保持したり複雑な演算処理が必要になるという課題があった。
【0007】
過去数日間の通電時間のデータを保持することについては現在はマイクロコンピュータ(以降マイコンと記載)のRAM容量も大きくなり通常時ではさほど大きい課題ではないが、停電バックアップ用にEEPROM等のバックアップメモリを持っているものについてはこの通電時間データをバックアップする必要がありこのような構成では特に大きな課題となっていた。
【0008】
また過去数日間のデータをもとに最大の使用湯量を算出して沸き上げ温度を決定するので一回でも突発的に使用量が大幅に増えると数日間は沸き上げ温度がもとにもどらず放熱ロスによる無駄が数日間つづく課題があった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するため深夜電力を使用してタンク全量沸き上げを開始する際に残湯湯量が所定値より多かったら湯余りとし、この状態が数日続いたら沸き上げ湯量設定を所定量下げる。
【0010】
深夜時間帯に入ってタンク全量沸き上げ開始する時間までの間、残湯量が所定値より少なくなったら湯量不足として沸き上げ湯量設定を所定値上げる。
【0011】
このことにより、お湯の使用量に応じて沸き上げ湯量が自動的に調整されるようにしたものである。
【0012】
また、タンク上部から層をなして沸き上げ温度のお湯を蓄積する電気温水器(以降積層電気温水器と記述)に残湯量が所定値より少なくなったらヒータと沸き上げポンプの通電を制御して所定量のお湯を追加沸き上げする機能(以降湯切れ追い焚き機能と記述)を設けた。
【0013】
上記積層電気温水器で時間帯別電灯契約のときは、湯切れ追い焚き機能が作動した時間によって沸き上げ湯量のアップ幅を決定するようにした。
【0014】
さらにアップ幅が一定値以上になった場合で、その後数日残湯湯量が所定値以上の状態が続くと沸き上げ湯量をアップする前の値に戻すようにし、この時の判断のための連続日数を湯余りが連続し沸き上げ湯量を所定量さげるときの連続日数より短く設定するようにした。
【0015】
上記発明によれば残湯量を判定値大小比較することで湯余り、湯量不足を判定し、湯量不足のときは即時に沸き上げ湯量を所定量アップし、湯余りの状態が連続した場合は連続日数によって沸き上げ湯量を所定量ダウンするため、マイコンの処理を演算処理等のない簡単なプログラムで実現できる。
【0016】
数日間の通電時間データのような大量のデータを保持しておく必要がなく、湯余りが継続した連続日数情報と前回湯余りだったかどうかの情報の2つを保持するだけで沸き上げ湯量を自動調整できるので、不揮発性メモリ(EEPROM)を用いた停電バックアップ構成を容易にすることができる。
【0017】
湯量不足のときも不足した量だけ沸き上げ湯量を上げるのではなく、タンク容量、残湯判定値の量に対応した適切な量にアップ量を設定できるため、突発に大量のお湯を使用してもアップ量が適切に押さえられその分無駄を省くことができる。
【0018】
積層電気温水器で時間帯別電灯契約の時は湯切れ追い焚きを行い、その累積運転時間によってアップ量を決定するため、不足量に対応した適切なアップ量をきめ細かく設定することができる。
【0019】
上記、アップ量が所定値以上の時で、その後数日湯余りが続いたら沸き上げ湯量をアップするまえの設定にもどすため、突発的に大量にお湯が使用され翌日からの沸き上げ湯量が大幅にアップしても、その後の湯余りを短期間で判断して設定をもとに戻すため、沸き上げ湯量が多く設定されたまま設定がもとにもどるまでの過剰沸き上げによる無駄を防止するとともに、間違って大幅に沸き上げ湯量をアップしてもすぐに元に戻るのでアップ幅を押さえて設定する必要がなく、定常使用量が大幅にアップした場合にも沸き上げ湯量が徐々にしかアップしないことによる湯量不足を最低限に押さえることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、お湯を蓄えるタンクと、前記タンクの上部からお湯を取り出す出湯配管と、前記タンク下部より水を供給する給水配管と、前記タンクの上部に設けたヒータと、前記タンク上部の湯温を検出する湯温検出器と、前記タンクの下部と上部を接続した沸き上げ配管と、前記沸き上げ配管に介在し前記タンク下部の水をタンク上部に汲み上げる沸き上げポンプと、前記タンク下部の水温を検出する給水温検出器と、前記タンク内の残湯量を検出する残湯量検出器と、前記タンク内の水の沸き上げ制御を行う制御器と、前記制御器は給電契約に基づいて沸き上げ開始時間を決める計時手段と、前記残湯量検出器の情報により沸き上げ湯量の過不足を判定し、不足と判定したときは沸き上げ湯量を増やし、過剰と判定したときは沸き上げ湯量を減らす沸き上げ量学習手段と、前記湯温検出器の検出温度によって前記タンク内に上部から沸き上げ温度のお湯が層をなして蓄積するように前記ヒータと沸き上げポンプの通電を制御する通電制御手段と、沸き上げ開始時間になったら前記沸き上げ湯量に対応した沸き上げ温度を決定し、前記通電制御手段を起動する沸き上げ制御手段と、前記残湯量検出器で検出した残湯量が判定値より少なくなったら通電制御手段を起動し、残湯量が判定値以上の所定値まで回復したら前記通電制御手段を停止させる湯切れ追い焚き制御手段とを備え、沸き上げ量学習手段は前記湯切れ追い焚き制御手段で沸き上げた累積時間を計時し、累積時間に対応した量だけ次回の深夜電力時間帯における全量沸き上げ以降の全量沸き上げ湯量をアップする構成としてある。
【0021】
そして、沸き上げ量学習手段が残湯量検出器の情報により前回の沸き上げ湯量の過不足を判定し、不足と判定したときは沸き上げ湯量を増やし、過剰と判定したときは沸き上げ湯量を減らすため、過去数日間の沸き上げ時間を保持する必要もなく、沸き上げ時間から沸き上げ湯量を演算し新たな沸き上げ温度を決定するという複雑な処理をすることなく、簡単な処理でお湯の使用量に対応した沸き上げ湯量を自動的に設定することができる。
【0022】
そして、お湯が使用され残湯量が判定値1より少なくなると湯切れ追い焚き制御手段が通電制御手段を起動し、お湯を積層沸き上げで判定値1以上の所定値まで沸き上げるので、突発的に多量のお湯を使用しても湯切れを起こすことなく対応することができる。
【0023】
また、湯切れ追い焚きした累積時間を計時し、累積時間に対応した量だけ沸き上げ湯量をアップするので、大幅にお湯が足りなかった場合、わずかにお湯が足りなかった場合それぞれに対応してアップ量が可変されるため、不足量に対しアップ量が少なくて次の日も湯量不足になり不経済な昼間電力を使うことになったり、不足量に対しアップ量が多すぎて無駄に沸かしすぎることを防止することができる。
【0024】
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成に加え、給水温検出器が所定値より高い場合は沸き上げ湯量の更新を行わないようにした沸き上げ量学習手段を有し、前記所定値は前回沸き上げた温度より低く水温より高い温度に設定してある。
【0025】
そして、給水温検出器の温度が下がっていないことから沸き上げ量学習手段がお湯が使用されていないことを判断し、沸き上げ湯量を更新しないようにしているため、一定期間留守等でお湯を使用しない場合、湯余りが連続することで沸き上げ湯量が下がってしまい、使用を開始したとき湯量不足になってしまうことを防止することができる。
【0026】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2の構成に加え、給電契約が昼間電力も使用できる場合、沸き上げ量学習手段で決定された沸き上げ湯量に対応した沸き上げ温度を決定し通電制御手段を起動し、前記沸き上げ湯量が沸き上げ最高温度で対応できる量を超えた場合は沸き上げ最高温度を沸き上げ温度として通電制御手段を起動しタンク全量を沸き上げを行った後、深夜時間帯終了以降に湯温検出器が前記沸き上げ最高温度より低い所定温度以下になったら再度通電制御手段を起動して追加沸き上げを行い、追加沸き上げの累積値が沸き上げ湯量に対応した時間になったら追加沸き上げを終了するようにした沸き上げ制御手段を有する構成としてある。
【0027】
そして、沸き上げ湯量が少ない範囲では沸き上げ制御手段が沸き上げ温度を可変して対応し、沸き上げ湯量が多くなり最高沸き上げ温度にしても対応できなくなったら、沸き上げ制御手段が最高沸き上げ温度で全量沸き上げた後、お湯が使用される度に追加して全量沸き上げを行い、追加沸き上げの累積時間を可変して沸き上げ湯量に対応するため、より広い範囲の沸き上げ湯量に対応することができる。
【0028】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の構成に加え、沸き上げ量学習手段の機能をON/OFFする学習ON/OFF手段と、前記学習ON/OFF手段がOFFのとき沸き上げ湯量を手動で変更できる沸き上げ湯量設定手段とを有する操作部を設けたものである。
【0029】
そして、使用結果により沸き上げ湯量を変更する学習機能では対応できなかった1日だけの短期間の突発湯量変化に対し、事前に手動設定で沸き上げ湯量を変更することで対応できるようにしている。
【0030】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【0031】
(参考例)
図1は本発明の実施例1の電気温水器を示す機能ブロック図、図2は同電気温水器の操作部の外観図、図3は時間帯別電灯契約時の湯量設定と沸き上げ制御の関係図、図4は深夜電力契約時の湯量設定と沸き上げ制御の関係図である。
【0032】
図1において、1は給水配管、2はタンク、3はヒータ、4は出湯配管、5は制御器、6は沸き上げサーミスタを用いた湯温検出器で、出湯配管4から出湯するとそれに伴い給水配管1からタンク2内に水が給水され、タンク2内では比重差からお湯が上部、水が下部に分離した状態で溜まっている。
【0033】
制御器5によりヒータ3の通電を制御してタンク2内の水を所定の温度まで沸き上げる。このとき沸き上げ温度の検出は沸き上げサーミスタ6で行う。
【0034】
また、残湯検出器11は2つのサーミスタ(上側を11a、下側を11b)で構成されタンク2の縦方向2ポイントの温度を検出することで残湯量を検出する。具体的には各サーミスタで検出した温度が60℃以上の時はそのポイントまでお湯があり、45℃を下回った時点でお湯無しとしている。45℃と60℃の間は判定結果がチャタリングしないようにするためのヒスである。
【0035】
12は操作部で、図2の沸き上げ湯量を手動で設定する沸き上げ湯量設定手段である湯量設定スイッチ13、湯量の自動設定と手動設定を切り換える学習ON/OFF手段である自動設定スイッチ14、時計時刻を設定する時刻設定スイッチ15、湯量設定表示手段である湯量設定表示16、残湯表示17、自動設定スイッチ14で自動設定モードになっていることを示す学習ON/OFF表示手段である自動モード表示18、時刻を表示する時計時刻表示19、ヒータ3が通電中であることを表示する通電表示20から構成される。
【0036】
制御器5は時刻を計時し、深夜時間帯、昼間時間帯、全量沸き上げ時間等の情報を出力する計時手段、残湯量、操作部12の設定等の情報に基づき沸き上げ湯量を決定する沸き上げ量学習手段22、沸き上げ量学習手段22によって決定された沸き上げ量によって沸き上げ温度、追加沸き上げ時間等を決定する沸き上げ制御手段、沸き上げ温度、追加沸き上げ時間等をもとにヒータ3の通電を制御する通電制御手段24より構成されている。これらの構成要素はマイコンのソフトで実現している。
【0037】
次に動作、作用について説明すると、まず計時手段21は操作部12の時刻設定スイッチ15で設定された時刻をもとに給電契約で定められた時刻で深夜時間帯、昼間時間帯、全量沸き上げ時間を出力する。全量沸き上げ時間については給電契約で定められた基準に基づきピークシフト演算を行って決定する。ここではその詳細な説明は省略する。
【0038】
沸き上げ量学習手段22は操作部12の自動設定スイッチ14で自動モードがOFFになっているときは、湯量設定スイッチ13で設定された湯量設定を沸き上げ湯量としてそのまま出力する。
【0039】
自動モードがONのときは残湯量検出器11aで湯無しを検出したら、その時点で湯量設定が上限設定でなければ湯量設定を1段階アップする。この処理は深夜時間帯に入って全量沸き上げ開始時間まで常時行われる。
【0040】
上記処理を常時行うことにより湯量設定がアップされたとき計時手段で決定する全量沸き上げ開始時間をリアルタイムに早めることができる。
【0041】
また、沸き上げ開始時間になって残湯量検出器11bでお湯有りを検出したら湯余りカウンタを+1し、湯有りを検出しなかったら湯余りカウンタを0にする。
【0042】
カウントした結果湯余りカウンタが7になったら湯余りカウンタを0にし、湯量設定が下限設定でなければ湯量設定を1段階ダウンする。
【0043】
つまり、自動モードON時は1回でも湯量不足になったら湯量設定を1段アップし、湯余りが7日間続いたら湯量設定を1段ダウンするようになっている。
【0044】
ただし、前回の全量沸き上げから追加沸き上げが全く入らず、沸き上げサーミスタ6の温度が45℃以上の時はお湯が使用されなかったとして沸き上げ量学習手段22は上記学習処理は行わない。
【0045】
自動モードON時は上記処理の結果決定した湯量設定を沸き上げ湯量として出力する。自動モードON時の湯量設定、湯余りカウンタは自動モードOFF時は別途保持し、自動モードONしたときは前回状態から継続するようにする。
【0046】
また、自動モードONからOFFになったときは、ON時の湯量設定をそのまま残し、その湯量設定を基準に湯量設定スイッチで変更できるようにする。
【0047】
次に、沸き上げ制御手段23では沸き上げ量学習手段22から出力された沸き上げ湯量をもとに沸き上げ温度、追加沸き上げ等の制御条件を決定し、それをもとに通電制御手段24を起動する。
【0048】
図3は6段階の沸き上げ湯量設定に対して沸き上げ温度と通電制御手段24を起動してタンク2内の水を沸き上げる方法を時系列に示したものである。
【0049】
沸き上げ湯量が1〜3では70℃、80℃、90℃と沸き上げ温度を変更して実質的湯量を変えている。
【0050】
また沸き上げ湯量が4〜6では沸き上げ温度90℃で全量沸き上げた後、沸き上げサーミスタ6の温度が45℃を下回ったらお湯が使用されたと判断し、通電制御手段24を起動して追加沸き上げを行う。追加沸き上げを行っている累積時間を計時し、沸き上げ湯量4〜6に対応して累積時間がそれぞれ1時間、2時間、3時間に達したら追加追い炊きを終了する。
【0051】
通電制御手段24が起動されたら、ヒータ3への通電をONし、沸き上げサーミスタ6の温度が沸き上げ制御手段23で決定された沸き上げ温度に達したらヒータ3への給電を停止する。
【0052】
操作部12では自動設定スイッチ14で自動モードOFFとなっているときのみ湯量設定スイッチ13により湯量設定を変更することができる。
【0053】
自動モードON/OFFに関わらず、その時点での湯量設定が湯量設定表示16に6段階のバーで表示される。
【0054】
また、残湯表示17は残湯量検出器11a、11bともに湯有りを検出しているとき上下の残湯表示が点灯し、残湯量検出器11aのみが湯有りを検出しているとき上の残湯表示のみが点灯し、残湯量検出器11a、11bともに湯有りを検出していないときは上下の残湯表示が消灯するようになっている。
【0055】
このように沸き上げ量学習手段22では残湯量検出器11の情報の大小比較により湯余りか湯量不足か判断し、湯量不足時は湯量設定をアップし、湯余りが7日間連続したら湯量設定をダウンするという簡単な処理で使用湯量に対応して沸き上げ湯量を自動調節できる。
【0056】
また湯量不足時は1回で湯量設定をアップすることで湯量不足発生の回数を抑え、湯余りについては複数回連続した後湯量設定をダウンするので一時的に使用湯量が少なくなって再び使用湯量がもどった際にも湯切れを起こすことが少ない。特に連続回数の判定値を7とすると一般的に人の生活パターンが7日周期になっているので湯切れする可能性を少なくしつつ、最適に湯量設定を低下させるのでさらに効果をアップすることができる。
【0057】
湯量設定1〜3は沸き上げ温度を可変し、4〜6は90℃沸き上げで全量沸き上げ後の追加沸き上げ累積時間を変化させて対応するので、より広い範囲の設定湯量に対応できる。
【0058】
さらに、湯量設定4〜6では全量沸き上げた後、設定に対応した量だけ追加沸き上げを行うので実質湯量はタンク容量よりおおくすることができる。つまり、電気温水器購入時、来客等一時的に使用湯量が増加した時を想定して大きめの容量のものを購入する必要がなく、設置スペースの面でもイニシャルコストの面でもメリットが大きい。
【0059】
また、湯量設定を6段階の設定に割り付け、自動モード時、手動設定時(自動モードOFF時)共通の設定とし、湯量設定表示16も共通の表示を行うので、来客等で一時的に使用湯量が多くなることが予想される場合、自動モードONのときの設定湯量を参考に手動設定で湯量を適切に設定できる。
【0060】
さらに、数日間留守をしてお湯を全く使用しなかった場合も、湯余りとして間違った学習をすることがなく、誤判定による無駄をなくすことができる。
【0061】
なお、ここでは沸き上げ量学習手段22で自動モードONからOFFのときはON時の湯量設定がそのまま残り、そこから手動でアップ/ダウンする構成を説明したが、自動モードON/OFFそれぞれに湯量設定を別々に持ち、自動モードのON/OFFによって対応した湯量設定を沸き上げ湯量として出力することで自動モードOFF時も前回設定した手動設定を継続できる方法もある。
【0062】
また、ここでは給電契約が時間帯別電灯契約の場合を示したが、当然のことながら深夜電力契約時には昼間電力を使用できないので湯量設定としては1〜3の3段階の設定で図4のようになる。
【0063】
以上のように、湯量設定のダウン判定の残湯量判定値をアップ判定の残湯量判定値より大きく設定し、判定値の間にアップ/ダウンしない領域を設けているので定常使用湯量の変動で設定湯量が頻繁にアップ/ダウンしないという効果がある。
【0064】
さらにダウン判定は残湯量が判定値より多い場合が複数回続いたら湯量設定をダウンするので、定常的に使用湯量が減少しないと湯量設定のダウンは行われず、誤判定により電気温水器の大きな課題の一つである湯切れを起こしにくいという効果がある。
【0065】
また、ダウン判定時の連続回数を7としているので、人の基本的な生活リズムである1週間単位に同期し、より確実で最適な学習結果を得ることができるという効果がある。
【0066】
また、湯量設定を2段階以上アップしたあと湯余りが続いたら短期間でもとの設定に戻すので、突発的に使用湯量が大幅に多かった場合も一旦アップした設定がなかなか元に戻らないという問題がなく、大幅な使用量アップにも即応性があり、より無駄を省くことができるという効果がある。
【0067】
また、学習ON/OFF手段を設け、手動でも湯量設定できるようにしたので、学習機能で対応できない1日だけの使用量増加に対して学習OFFにし手動で湯量設定を設定することで対応可能になるという効果がある。
【0068】
また、沸き上げ量学習手段がOFFしている間は学習機能を停止するとともにそれまでの学習経過を保持し、沸き上げ量学習手段がONしたら前回の学習経過を継続して湯量設定のアップ/ダウンを行うようにしたので、沸き上げ量学習手段がOFFしているときの突発使用湯量を反映して学習結果が変化することがなく、沸き上げ量学習手段のOFFがときどき入っても学習応答性を妨げることがないという効果がある。
【0069】
(実施例1)
図5は本発明の実施例1の電気温水器を示す機能ブロック図、図6は時間帯別電灯契約時の湯量設定と沸き上げ制御の関係図、図7は深夜電力契約時の湯量設定と沸き上げ制御の関係図である。
【0070】
実施例1において、参考例と異なるのは電気温水器を積層電気温水器にした点で、具体的にはヒータ3をタンク2の上部に設け、タンク2の下部と上部を沸き上げ配管30で接続し、タンク2下部の水をタンク2上部に循環させる沸き上げポンプ31を沸き上げ配管30の途中に設け、沸き上げサーミスタ10をタンク2上部に設け、タンク2下部には給水サーミスタを用いた給水温検出器32を設け、制御器5には湯切れ追い焚き制御手段33を設けた点である。
【0071】
なお、参考例と同一符号のものは同一構造を有し、説明は省略する。
【0072】
次に動作、作用を説明すると、通電制御手段24が起動されると、ヒータ3への給電をONする。するとヒータ3より上の部分が自然対流にほぼ均一に沸き上がっていく。
【0073】
沸き上げ温度が90℃の場合は沸き上げサーミスタ10の温度が90℃になったら沸き上げポンプ31への給電をONし、タンク2下部の水をタンク2上部に汲み上げて沸き上がったお湯と混ぜる。沸き上げ配管30の上部出口には均等に混合するように循環水を広く拡散するノズルがついている。
【0074】
沸き上げサーミスタ10の温度が88℃になったら沸き上げポンプ31への給電をOFFする。すると再びヒータ3上部のお湯は加熱され90℃になった時点で再び沸き上げポンプ31の給電がONされる。
【0075】
上記動作を繰り返すことでタンク3の上部より88℃のお湯が押し下げられる形で層をなして蓄積されてくる。
【0076】
88℃のお湯がタンク2下部まで達すると、沸き上げサーミスタ10の温度が90℃になって沸き上げポンプ31を駆動しても沸き上げサーミスタ10の温度は低下しなくなる。
【0077】
沸き上げサーミスタ31が92℃を検出したら全量沸き上げ終了としてヒータ3、沸き上げポンプ31への給電を停止し、沸き上げを終了する。
【0078】
また、湯切れ追い焚き制御手段33は残湯検出器11aが湯無しを検出したら通電制御手段24を起動して沸き上げを行う。
【0079】
沸き上げを行っているとき残湯検出器11aが湯有りを検出したら、通電制御手段24を停止させ湯切れ追い焚きを終了する。
【0080】
図6に示すように各湯量設定に応じ、実施例1同様全量沸き上げを行った後、湯量設定4以上では追加追い炊きをおこなう。その後に残湯検出器11aで湯無しを検出したら次の全量沸き上げ開始までの間、湯切れ追い焚き制御手段33によって湯切れ追い焚きを行う。
【0081】
沸き上げ量学習手段22は昼間時間帯に入って湯切れ追い焚き制御手段33が湯切れ追い焚きを行った時間を計時し、昼間時間帯に入って初めて湯切れ追い焚きが入った時点で湯量設定が上限値に達していなければ湯量設定を1段アップし、その後湯切れ追い焚き累積時間が1時間に達する毎に湯量設定が上限値に達していなければ湯量設定を1段づつアップする。
【0082】
つまり、湯切れ追い焚きが最初に入ったとき1段、累積時間が1時間で2段、2時間で3段、3時間で4段アップする。
【0083】
また、湯切れ追い焚き時はアップするまえの湯量設定に対応した沸き上げ温度を使用し、アップした湯量設定は次の全量沸き上げ開始温度の決定と全量沸き上げ以降の沸き上げ制御に反映される。
【0084】
湯量設定のダウンは参考例と同様に沸き上げ開始時間になって残湯量検出器11bでお湯有りを検出したら湯余りカウンタを+1し、カウントした結果湯余りカウンタが7になったら湯量設定が下限設定でなければ湯量設定を1段階ダウンする。
【0085】
さらに湯余りカウンタ2を設け、沸き上げ開始時に湯量設定のアップが2レベル以上の時は湯余りカウンタ2を0にし、残湯量検出器11bでお湯有りを検出したら湯余りカウンタ2が4以上でなかったら湯余りカウンタ2を+1し、湯量設定のアップが2レベル未満で残湯量検出器11bでお湯無しを検出したら湯余りカウンタ2を4にする。
【0086】
また上記処理で湯余りカウンタ2が3になったら2レベル以上アップした湯量設定をもとにもどし湯余りカウンタ2を4とする。
【0087】
ただし、前回の全量沸き上げから追加沸き上げ、湯切れ追い焚きが全く入らず、給水サーミスタ32の温度が45℃以上の時はお湯が使用されなかったとして沸き上げ量学習手段22は上記学習処理は行わない。
【0088】
このように湯切れ追い焚きが入った累積時間によって、湯量設定をアップする量を決定するので、生活パターンが変化し大幅に定常の使用湯量が増えたときも次の日から即時に対応できる。
【0089】
また、使用湯量の増大が突発的な場合も湯余りカウンタ2によって3日間湯余りが連続したら元の湯量設定に戻すので、一旦湯量設定が大幅にアップしてもすぐに元の設定にもどるので大幅な湯余り状態が長期間続く無駄を排除することができる。
【0090】
さらに、数日間留守をしてお湯を全く使用しなかった場合も、湯余りとして間違った学習をすることがなく、誤判定による無駄をなくすことができる。
【0091】
なお、ここでは給電契約が時間帯別電灯契約の場合を示したが、当然のことながら深夜電力契約時には昼間電力を使用できないので湯量設定としては1〜3の3段階の設定で図7のようになる。
【0092】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、ヒータをタンク上部に設けた積層電気温水器において残湯量検出器の情報により沸き上げ湯量の過不足を判定し、不足と判定したときは沸き上げ湯量を増やし、過剰と判定したときは沸き上げ湯量を減らし湯量設定を自動調整するので、請求項1と同様に簡単な処理で使用湯量に応じて湯量設定を自動的に調整することを実現できるという効果がある。
【0093】
また、請求項2に記載の発明によれば、給水サーミスタの温度によりタンク内のお湯が使用されていないことを検出したら湯量設定の学習を停止するので、請求項2同様に無駄に湯量設定がアップすることを防止し、沸かし過ぎによる無駄を排除するという効果がある。
【0094】
また、請求項3に記載の発明によれば、昼間電力を利用し、最高沸き上げ温度で全量沸き上げを行った後、お湯が使用されタンク下部に水が給水される度に湯量設定に対応した時間だけ給水された水を沸き上げるので、最高沸き上げ温度でタンク全量沸かした場合より、実質沸き上げ量を確保できるという効果がある。
【0095】
さらには購入時、突発使用湯量を想定してタンク容量を選ぶ必要がなく、必要最小限のタンク容量を選ぶことができるので、電気温水器で最も大きな課題である設置スペースを節約できるという効果がある。
【0096】
また、請求項4に記載の発明によれば、湯量設定を複数段の設定として割り付け、沸き上げ量学習手段のON/OFFに関わらず、同一の湯量設定を使用して設定を変更し、沸き上げ量学習手段のON/OFFと湯量設定を表示するようにしたので、沸き上げ量学習手段がONしているとき学習機能によって設定されているその時点での湯量設定が明確になり、その設定を基準に手動設定で設定する湯量設定を決定できるので、使用勝手がよくなり手動設定の不適切による湯量不足、湯余り等の不具合を解消できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考例における電気温水器の機能ブロック図
【図2】 同電気温水器の操作部の外観図
【図3】 同電気温水器の時間帯別電灯契約時の湯量設定と沸上げ制御の関係図
【図4】 同電気温水器の深夜電力契約時の湯量設定と沸き上げ制御の関係図
【図5】 本発明の実施例1における電気温水器の機能ブロック図
【図6】 同電気温水器の時間帯別電灯契約時の湯量設定と沸上げ制御の関係図
【図7】 同電気温水器の深夜電力契約時の湯量設定と沸き上げ制御の関係図
【図8】 従来の電気温水器の機能ブロック図
【符号の説明】
1 給水配管
2 タンク
3 ヒータ
4 出湯配管
5 制御器
6 沸き上げサーミスタ
10 沸き上げサーミスタ
11 残湯量検出器
11a 残湯量検出器(上)
11b 残湯量検出器(下)
12 操作部
13 湯量設定スイッチ(沸き上げ湯量設定手段)
14 自動設定スイッチ(学習ON/OFF手段)
15 時刻設定スイッチ
16 湯量設定表示(湯量設定表示手段)
17 残湯表示
18 自動モード表示(学習ON/OFF手段)
19 時計時刻表示
20 通電表示
21 計時手段
22 沸き上げ量学習手段
23 沸き上げ制御手段
24 通電制御手段
30 沸き上げ配管
31 沸き上げポンプ
32 給水サーミスタ
33 湯切れ追い焚き手段
Claims (4)
- お湯を蓄えるタンクと、前記タンクの上部からお湯を取り出す出湯配管と、前記タンク下部より水を供給する給水配管と、前記タンクの上部に設けたヒータと、前記タンク上部の湯温を検出する湯温検出器と、前記タンクの下部と上部を接続した沸き上げ配管と、前記沸き上げ配管に介在し前記タンク下部の水をタンク上部に汲み上げる沸き上げポンプと、前記タンク下部の水温を検出する給水温検出器と、前記タンク内の残湯量を検出する残湯量検出器と、前記タンク内の水の沸き上げ制御を行う制御器と、前記制御器は給電契約に基づいて沸き上げ開始時間を決める計時手段と、前記残湯量検出器の情報により沸き上げ湯量の過不足を判定し、不足と判定したときは沸き上げ湯量を増やし、過剰と判定したときは沸き上げ湯量を減らす沸き上げ量学習手段と、前記湯温検出器の検出温度によって前記タンク内に上部から沸き上げ温度のお湯が層をなして蓄積するように前記ヒータと沸き上げポンプの通電を制御する通電制御手段と、沸き上げ開始時間になったら前記沸き上げ湯量に対応した沸き上げ温度を決定し、前記通電制御手段を起動する沸き上げ制御手段と、前記残湯量検出器で検出した残湯量が判定値より少なくなったら通電制御手段を起動し、残湯量が判定値以上の所定値まで回復したら前記通電制御手段を停止させる湯切れ追い焚き制御手段とを備え、沸き上げ量学習手段は前記湯切れ追い焚き制御手段で沸き上げた累積時間を計時し、累積時間に対応した量だけ次回の深夜電力時間帯における全量沸き上げ以降の全量沸き上げ湯量をアップすることを特徴とする電気温水器。
- 沸き上げ量学習手段は給水温検出器が所定値より高い場合は沸き上げ湯量の更新を行わないようにし、前記所定値は前回沸き上げた温度より低く水温より高い温度に設定した請求項1記載の電気温水器。
- 給電契約が昼間電力も使用できる場合、沸き上げ制御手段は沸き上げ量学習手段で決定された沸き上げ湯量に対応した沸き上げ温度を決定し通電制御手段を起動し、前記沸き上げ湯量が沸き上げ最高温度で対応できる量を超えた場合は沸き上げ最高温度を沸き上げ温度として通電制御手段を起動しタンク全量を沸き上げを行った後、深夜時間帯終了以降に沸き上げサーミスタが前記沸き上げ最高温度より低い所定温度以下になったら再度通電制御手段を起動して追加沸き上げを行い、追加沸き上げの累積値が沸き上げ湯量に対応した時間になったら追加沸き上げを終了するようにした請求項1または2記載の電気温水器。
- 沸き上げ量学習手段の機能をON/OFFする学習ON/OFF手段と、前記学習ON/OFF手段がOFFのとき沸き上げ湯量を手動で変更できる沸き上げ湯量設定手段とを有する操作部を設けた請求項1〜3のいずれか1項記載の電気温水器。
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