JP4036258B2 - 給湯器およびその沸き上げ制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は給湯器に係り、さらに詳しくは、給湯器の沸き上げ制御の方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
基本的に夜間電力を利用する給湯器(電気温水器)の一例として、例えば特開平8−75252号公報および特開平2−219949号公報に開示された発明がある。
特開平8−75252号公報に開示された電気温水器(従来技術1)は、貯湯タンクと、貯湯タンクの貯留水を下部より取り出し上部に戻すように循環する循環手段と、循環手段により循環される水を加熱する加熱手段と、貯湯タンクの残湯量を検出する残湯量検出手段と、沸上時間と残湯量から使用湯量に相当する必要通電時間を演算する必要通電時間演算手段と、過去数日分の必要通電時間の実績を記憶する記憶手段と、記憶手段のデータと現在の残湯量をもとに次の沸上に必要な沸上時間を演算する沸上時間演算手段と、沸上時間演算手段の演算結果をもとに加熱手段を制御する制御手段を備えたものである。
【0003】
そして、このように構成された電気温水器は、加熱手段で温めた湯を循環手段で貯湯タンク上部に貯め、毎日の使用湯量に相当する必要通電時間を過去数日分記憶し、そのデータと現在の残湯量をもとに次の沸上時間を設定し、沸き上げる。
【0004】
また、特開平2−219949号公報に開示された電気温水器(従来技術2)は、貯湯タンクと、貯湯タンクの下部に設置された発熱体と、貯湯タンクの給水温度と湯温を測定する湯温測定手段と、貯湯タンク内の残湯量を検出する残湯量検出手段と、沸き上げ湯量を設定する湯量設定手段と、発熱体の通電時間帯を設定する通電時間帯設定手段と、通電時間帯および通電開始時刻を演算する演算手段と、残湯量検出手段の情報に応じて自動的に発熱体への通電を設定する自動追焚き設定手段と、手動により発熱体への通電を設定する手動追焚き設定手段と、湯温測定手段と演算手段と自動追焚き設定手段と手動追焚き設定手段との情報に基いて発熱体への通電を制御する発熱体制御手段とを備えるとともに、通電時間帯以外の時間に行われる発熱体への通電が、湯温測定手段の情報に応じて何度も繰り返されるものである。
【0005】
そして、貯湯タンクに設けられた所定残湯量の有無を検出する残湯量検出手段により貯湯タンク内の残湯量を検出し、残湯量が所定量以下になると、自動追焚き設定手段が作動して発熱体が通電され、自動的に追焚きを開始して湯不足を防ぐ。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来技術1の電気温水器(給湯器)は、過去数日分の使用湯量に相当する必要通電時間の最大値と現在の残湯量をもとに今回の沸上時間を決定して、使用湯量に応じた湯量を沸かすので、残湯量が減り、放熱によるエネルギーロスが低減される。しかしながら、このような沸き上げは、夜間電力しか電気が供給されない電力制度で使用する電気温水器に対しては有効であるが、昼間電力も供給される電力制度で使用する電気温水器に対しては、その昼間電力が供給される時間帯、つまり昼間時間帯(例えば朝7時から夜23時までの間)が考慮されていないため、夜間電力が供給される時間帯、つまり夜間時間帯(例えば夜23時から翌朝7時までの間)よりも電気料金単価の高い昼間時間帯で多く沸き上げが行われてしまい、使用者が負担する電気料金が高くなってしまうという課題があった。
【0007】
また、従来技術2の電気温水器(給湯器)は、残湯量が所定量以下になると、夜間時間帯および昼間時間帯に関係なく自動追焚き設定手段が作動して発熱体が通電され、自動的に追焚きを開始するので、昼間、使用者が入浴などで湯を使用し、その後使用しない場合でも貯湯タンク内の湯が所定量以下になってしまったときは、昼間電力で沸き上げが行われてしまっていた。また、一日のうちで湯の使用量が多い夕方の時間帯(昼間時間帯に含まれる)に多く沸き上げが行われてしまうので、夜間時間帯になったときにはすでに昼間電力で沸き上げられた湯が貯湯タンク内に十分貯えられていることとなり、電気料金単価の安い夜間電力の利用が少なくなってしまっていた。これにより、使用者が負担する電気料金が高くなってしまうという課題があった。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解消するためになされたもので、湯切れを防ぎつつ、夜間電力の利用を最大にするとともに、昼間電力の利用を最小にして、使用者が負担する電気料金の低減を図ることのできる給湯器およびその沸き上げ制御方法を提供することを目的としたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る給湯器の沸き上げ制御方法は、昼間時間帯において、湯の使用量が増える夕方から夜間電力が開始されるまでの時間帯(以下、特定時間帯)になるまでは、貯湯タンク内の残湯量が予め設定された最低残湯設定量未満であるときに、その最低残湯設定量を確保するよう沸き上げを行い、現在時刻の貯湯タンク内の残湯量が予め設定された最低残湯設定量以上で、現在時刻が前記特定時間帯のときに、過去数日分の時間帯別使用湯量の沸き上げに必要なエネルギー量、現在時刻および現在時刻の貯湯タンク内の残湯量の情報に基づいて、その日の夜間時間帯の開始時刻までに必要と予測される使用湯量の沸き上げに必要なエネルギー量を算出し、特定時間帯において前記算出したエネルギー量に対応する沸き上げを行い、算出した必要エネルギー量に対応する沸き上げを行った後は、その後、貯湯タンク内の湯が使用されて貯湯タンク内の残湯量が最低残湯設定量以下となっても、夜間時間帯が開始されるまで沸き上げを行わないようにした方法である。
【0012】
本発明に係る給湯器の沸き上げ制御方法は、最低残湯設定量または特定時間帯を任意に設定する方法である。
【0014】
本発明に係る給湯器は、貯湯タンクと、貯湯タンク内の水を加熱する加熱手段と、貯湯タンク内の水の温度を検知する温度検知手段と、貯湯タンク内の残湯量を検出する残湯量検出手段と、温度検知手段の検知結果に基づいて加熱手段への通電を制御し、貯湯タンク内の水の沸き上げを行う制御部とを備え、制御部に、過去数日分の時間帯別使用湯量の沸き上げに必要なエネルギー量を記憶する記憶手段と、現在時刻を計時する計時手段と、記憶手段に記憶された過去数日分の時間帯別使用湯量の沸き上げに必要なエネルギー量の情報、計時手段による現在時刻の情報および残湯量検出手段による現在時刻の貯湯タンク内の残湯量の情報に基づいて、その日の夜間時間帯の開始時刻までに必要と予測される使用湯量の沸き上げに必要なエネルギー量を算出するとともに、予測される使用湯量の沸き上げ開始からのエネルギー量を算出する演算手段と、残湯量検出手段による現在時刻の貯湯タンク内の残湯量と予め設定された最低残湯設定量とを比較するとともに、演算手段による予測される使用湯量の沸き上げ開始からのエネルギー量と演算手段による予測される使用湯量の沸き上げ開始からのエネルギー量とを比較する比較手段とを設け、制御部は、昼間時間帯において、湯の使用量が増える夕方から夜間電力が開始されるまでの時間帯(以下、特定時間帯)になるまでは、貯湯タンク内の残湯量が予め設定された最低残湯設定量未満であるときに、その最低残湯設定量を確保するよう沸き上げを行い、残湯量検出手段による残湯量が最低残湯設定量以上で、かつ計時手段による現在時刻が前記特定時間帯のときに、予測される使用湯量の沸き上げ開始からのエネルギー量が予測される使用湯量の沸き上げに必要なエネルギー量以上になるまで、前記貯湯タンク内の水の沸き上げを行い、算出した必要エネルギー量に対応する沸き上げを行った後は、その後、貯湯タンク内の湯が使用されて貯湯タンク内の残湯量が最低残湯設定量以下となっても、夜間時間帯が開始されるまで沸き上げを行わないようにしたものである。
【0016】
本発明に係る給湯器は、最低残湯設定量または特定時間帯を任意に設定する操作手段を設けたものである。
【0017】
本発明に係る給湯器は、加熱手段を、ヒートポンプサイクルを用いて水を加熱する加熱装置としたものである。
【0018】
本発明に係る給湯器の沸き上げ制御方法は、加熱手段を、ヒーターを用いて水を加熱する加熱装置としたものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1の構成図、図2は本発明の実施の形態1に係る加熱手段の構成図である。図において、1は給湯器の本体、2は本体1内に配設された貯湯タンクで、その底部に途中に減圧弁3aが設けられた給水配管3が接続され、上部に途中に逃し弁4aおよび流量センサ5が設けられた給湯配管4が接続されており、流量センサ5は1日あるいは1時間単位の給湯使用量を検知する。6は貯湯タンク2の外壁面に取り付けられ貯湯タンク2内の水の温度及び湯の温度を検知し、その検知結果から残湯量を検出する第1の温度センサ、7a,7bは第1の温度センサ6と同様に貯湯タンク2内の水の温度を検知する第2の温度センサおよび第3の温度センサで、第2の温度センサ7aは第1の温度センサ6より上方に取り付けられていて第1の温度センサ6よりも少ない残湯量を検出し、第3の温度センサ7bは第2の温度センサ7aよりも上方に取り付けられていて第2の温度センサ7aよりも少ない残湯量を検出する。
【0020】
8は貯湯タンク2の下部と後述する加熱装置とを接続する冷水管8aおよび加熱装置と貯湯タンク2の上部とを接続する湯水管8bからなる循環配管で、冷水管8aの途中には冷水管8aを流れる水の温度を検知し、その検知結果により貯湯タンク2を全量沸き上げた場合に加熱装置の加熱動作を停止する温度(沸き上げ温度)を検出する第4の温度センサと、貯湯タンク2内の水を循環配管8および加熱装置を介して循環させる循環ポンプ10とが設けられている。そして、循環ポンプ10は循環流量を調整することができ、循環ポンプ10を駆動すると、冷水管8aより貯湯タンク2内の水が加熱装置に供給され、加熱装置で加熱された水が温水管8bより貯湯タンク2の上部に戻されて貯湯される。
【0021】
11は第1〜第4の温度センサ6,7a,7b,9の検出結果と沸き上げ温度および最低残湯設定量Z等を設定する操作部12の入力結果とに基づいて加熱装置および循環ポンプ10の駆動を制御して貯湯タンク2内の水の沸き上げを行う制御部である。制御部11は、表1に示すように過去数日間(ここでは8日間)の時間帯別の使用した湯量を沸き上げるのに必要なエネルギー量のデータが記憶される記憶手段11aと、記憶手段11aに記憶された過去数日間(8日間)のエネルギー量のデータおよび残湯量などに基づいてその日の夜間時間帯が開始するまでの必要と予測される使用湯量の沸き上げに必要なエネルギー量(以下、予測使用湯量のエネルギー量という)QA、予測される使用湯量の沸き上げ開始からのエネルギー量などを演算する演算手段11bと、現在時刻を計時する計時手段11cと、時刻条件の比較、残湯量条件の比較、沸き上げエネルギーの比較などを行う比較手段11dとを備えている。なお、最低残湯設定量Zは、これ以上湯が減ると湯切れを起こすおそれがある量であり、操作部12により予め設定される。また、表1に示すデータは、1日毎の使用した湯量を沸き上げるのに必要なエネルギー量を17時から23時までの時間帯別に8日間分記憶したものであり、以下にそれを示す。
【0022】
【表1】
【0023】
13は循環配管8を循環する貯湯タンク2内の水を加熱するヒートポンプ式の加熱装置で、図2に示すように、加熱装置13の本体13a内に、圧縮機14、給湯用熱交換器15、膨張弁16、室外熱交換器17およびアキュームレータ18が冷媒配管13bに順次接続されて配設され、ヒートポンプサイクルを形成している。また、室外熱交換器17の近傍には室外熱交換器17に吸熱するためにファン19が設けられている。そして、給湯用熱交換器15は、冷媒が流れる冷媒通路15aと給湯用の水が流れる給湯用水通路15bを有しており、圧縮機14より吐出された高圧のガス冷媒と給湯用の水とを熱交換する。
【0024】
次に、この実施の形態1に係る給湯器の作用について、図3のフローチャートおよび表1を用いて説明する。
まず、給水配管3から貯湯タンク2内に水が供給されて満水になると、制御部11は、初回は時間帯に関係なく加熱装置13および循環ポンプ10の駆動を開始して、貯湯タンク2内の水を循環配管8で循環させるとともに加熱し、第4の温度センサ9の検知温度に基づいて貯湯タンク2内の水を操作部12により予め設定した沸き上げ温度に沸き上げる。沸き上げ後、制御部11は、加熱装置13および循環ポンプ10の駆動を停止して、給湯配管4からの給湯可能状態とする。そして、給湯配管4から給湯されると、同時に給湯された量の水が給水配管3から貯湯タンク2内に供給され、制御部11の比較手段11dは、計時手段11cにより計時された現在時刻が昼間時間帯であるかを判定し(図3のS1,S2)、現在時刻が昼間時間帯でない場合は、上述したように制御部11により加熱装置13および循環ポンプ10を駆動して貯湯タンク2内の水の沸き上げを行う。
【0025】
現在時刻が昼間時間帯の場合(S2)、制御部11は、貯湯タンク2内の現在の残湯量ZAを検出する(S3)。ここでの残湯量ZAの検出は、貯湯タンク2の上部から50Lの位置に取り付けられた第3の温度センサ7bによって検知された温度(例えば湯として使用可能な45℃)以下になったときに、現在の残湯量は50L以下であると判定したり、流量センサ5によって検知された給湯量に基づいて行う。ついで、制御部11はその比較手段11dにより、検出された現在の残湯量ZAが操作部12により予め設定された最低残湯設定量Z(例えば50L)未満であるかを判定し(S4)、現在の残湯量ZAが最低残湯設定量Z未満のときは、残湯量が少なくなっていて湯切れを起こすおそれがあると判断され、制御部11は加熱装置13および循環ポンプ10を駆動して沸き上げを開始し(S5)、現在の残湯量ZAが最低残湯設定量Z以上になるまで沸き上げを行い(S6,S7)、湯切れを取り急ぎ回避する最低限の残湯量を確保する。
【0026】
また、現在の残湯量ZAが最低残湯設定量Z未満でないとき(S4)または沸き上げを行って最低限の湯を貯湯タンク2内に確保したとき(S5〜S7)、制御部11は、その記憶手段11aに記憶されたデータと、計時手段11cからの現在時刻と、現在の残湯量ZAとに基づいて、演算手段11bにより、夕方に湯が多く使用された場合に対応できるような予測使用湯量のエネルギー量QAを算出する(S10〜S13)。
【0027】
まず、記憶手段11aに記憶された表1のデータにおいて、過去8日間の17時から23時までの使用湯量を沸き上げるのに必要なエネルギー量の最大値Mは、5日前の13,760Kcalであり、湯切れを防ぐための余裕分のエネルギー量αを3,000Kcalとすると、本日の17時から23時の間に必要であろう湯量の沸き上げに必要なエネルギー量QBは、
となる。
【0028】
ついで、例えば17時現在の第3の温度センサ7bによる残湯量ZA(例えば50L)と、残湯温度TA(例えば80℃)と、第1の温度センサ6による給水された水の温度TW(例えば10℃)とから、現在の残湯量の沸き上げに必要なエネルギー量QCは、
QC=ZA×(TA−TW)
QC=50×(80−10)=3500(Kcal)
となる。
【0029】
よって、本日の予測使用湯量のエネルギー量QAは
となる。
【0030】
本日の予測使用湯量のエネルギー量QAが算出されると、制御部11は、加熱装置13および循環ポンプ10を駆動して沸き上げを開始する(S14)。同時に制御部11の演算手段11bは、加熱装置13の能力QE(例えば4.4KW)と、循環ポンプ10の能力から推定される循環流量SA(L/分)とから、1分後の沸き上げに必要なエネルギー量QFを算出する。
つまり、1KWは860Kcal、1時間は60分なので、
QF=(QE×860×SA)/60
となる。そして、このエネルギー量QFを1分毎に算出して、沸き上げ開始から累積した沸き上げエネルギー量QDを算出する(S15)。
【0031】
次に、制御部11の比較手段11dは、演算手段11bにより算出した沸き上げ開始から累積した沸き上げエネルギー量QDが本日の予測使用湯量のエネルギー量QA以上であるかを判定し(S16)、累積した沸き上げエネルギー量QDが本日の予測使用湯量のエネルギー量QA以上になるまで沸き上げを継続し、累積の沸き上げエネルギー量QDが本日の予測使用湯量のエネルギー量QA以上になった場合は沸き上げを終了する(S17)。そして、昼間時間帯に湯が使用されても夜間時間帯が開始されるまで昼間時間帯の沸き上げは行わない。
【0032】
このように、過去数日間の使用した湯量に対応するエネルギー量のデータおよび残湯量ZAなどに基づいて、本日の必要であろう使用湯量の沸き上げに必要なエネルギー量QBから現在の残湯量ZAに対応するエネルギー量QCを減算して本日の予測使用湯量のエネルギー量QAを算出し、そのエネルギー量QAだけを昼間電力を利用して沸き上げを行うので、電気料金の高い昼間時間帯に必要以上の沸き上げを行わず、昼間時間帯での沸き上げ後に湯が使用されても予測により十分な湯量が確保されているため、湯切れの発生を防ぐことができる。これにより、使用者が負担する電気料金の低減を図ることができる。また、昼間時間帯において現在の残湯量ZAが最低残湯設定量Z未満である場合は沸き上げを開始して最低限の残湯量を確保するので、電気料金の低減を図りつつ湯切れを防止することができる。
【0033】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2は、実施の形態1に係る給湯器において、昼間時間帯における特定時間帯、例えば電気料金単位が3段階などの複数に分かれている電力制度の一番単価の高い時間帯を除いた他の時間帯、あるいは、湯の使用量が増える夕方から夜間電力が開始までの時間帯(夕方17時から夜23時)を設定し、この特定時間帯の昼間電力を利用して沸き上げを行うようにしたものである。なお、特定時間帯の設定は、操作部12により任意に設定するようにしてもよく、プログラム等で固定な時間を設定するようにしてもよい。
【0034】
このように構成された実施の形態2に係る給湯器の作用について、図5のフローチャートを用いて説明する。
まず、実施の形態1で説明した場合と同様に貯湯タンク2を満水にして予め設定された沸き上げ温度に沸き上げ、給湯配管4からの給湯可能状態とするとともに、操作部12により特定時間帯(ここでは夕方から夜間電力が開始するまでの時間帯の夕方17時から夜23時までの時間帯)を設定する。そして、給湯配管4から給湯されると、同時に給湯された量の水が給水配管3から貯湯タンク2内に供給され、制御部11の比較手段11dは、計時手段11cにより計時された現在時刻が昼間時間帯であるかを判定し(図5のS21,S22)、現在時刻が昼間時間帯でない場合は、上述したように制御部11により加熱装置13および循環ポンプ10を駆動して貯湯タンク2内の水の沸き上げを行う。
【0035】
現在時刻が昼間時間帯の場合(S22)、制御部11は、貯湯タンク2内の現在の残湯量ZAを検出し(S23)、その比較手段11dにより、検出された現在の残湯量ZAが操作部12により予め設定された最低残湯設定量Z(例えば50L)未満であるかを判定して(S24)、現在の残湯量ZAが最低残湯設定量Z未満のときは、湯切れを取り急ぎ回避する最低限の残湯量を確保するために、制御部11は加熱装置13および循環ポンプ10を駆動して沸き上げを開始し(S25)、現在の残湯量ZAが最低残湯設定量Z以上になるまで沸き上げを行う(S26,S27)。
【0036】
また、現在の残湯量ZAが最低残湯設定量Z未満でないとき(S24)または沸き上げを行って最低限の湯を貯湯タンク2内に確保したとき(S25〜S27)、制御部11は、計時手段11cにより計時された現在時刻が予め設定した特定時間帯であるかを判定し(S28)、特定時間帯でないときは現在時刻が昼間時間帯の電気料金単価が一番高い時間帯であるおそれがあるため、電気料金の低減を図るために特定時間帯以外の昼間電力の利用を避ける。このとき、湯切れが回避できないおそれがあるが、現在時刻が特定時間帯または夜間時間帯であると制御部11は直ちに水の沸き上げを行い、湯切れを回避する。
【0037】
一方、現在時刻が特定時間帯であるときは(S28,S29)、制御部11の記憶手段11aに記憶されたデータと、計時手段11cからの現在時刻と、現在の残湯量ZAとに基づいて、演算手段11bより、夕方に湯が多く使用された場合に対応できるような予測使用湯量のエネルギー量QAを実施の形態1で説明したように算出する(S30〜S33)。
【0038】
ついで、制御部11は、加熱装置13および循環ポンプ10を駆動して沸き上げを開始し(S34)、同時に制御部11の演算手段11bにより1分後の沸き上げに必要なエネルギー量QFを算出して、沸き上げ開始から1分毎に累積した沸き上げエネルギー量QDを算出する(S35)。そして、制御部11はその比較手段11dにより、沸き上げ開始から累積した沸き上げエネルギー量QDが本日の予測使用湯量のエネルギー量QA以上であるかを判定し(S36)、累積した沸き上げエネルギー量QDが予測使用湯量のエネルギー量QA以上になった場合は沸き上げを終了する(S37)。その後、昼間時間帯に湯が使用されても夜間時間帯が開始されるまで昼間時間帯(特定時間帯)の沸き上げは行わない。
【0039】
このように、過去数日間の使用した湯量に対応するエネルギー量のデータおよび残湯量ZAなどに基づいて、本日の必要であろう湯量の沸き上げに必要なエネルギー量QBから現在の残湯量ZAに対応するエネルギー量QCを減算して本日の予測使用湯量のエネルギー量QAを算出し、その予測使用湯量のエネルギー量QAだけを特定時間帯の昼間電力を利用して沸き上げを行うので、特に電気料金単位が3段階などの複数に分かれている電力制度の給湯器において、昼間時間帯の単価が比較的安い電力を有効に利用して水の沸き上げを行うことができる。これにより、昼間電力の利用を最小にし、湯切れを防止しつつ使用者の負担する電気料金の低減を図ることができる。
【0040】
なお、上記の実施の形態1,2では、ヒートポンプ式の加熱装置13を備えた給湯器を例示して説明したが、例えば貯湯タンク2内に設けられた加熱ヒーターを備えた給湯器においても同様の効果を奏する。
【0042】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る給湯器の沸き上げ制御方法は、昼間時間帯において、湯の使用量が増える夕方から夜間電力が開始されるまでの時間帯(以下、特定時間帯)になるまでは、貯湯タンク内の残湯量が予め設定された最低残湯設定量未満であるときに、その最低残湯設定量を確保するよう沸き上げを行い、現在時刻の貯湯タンク内の残湯量が予め設定された最低残湯設定量以上で、現在時刻が前記特定時間帯のときに、過去数日分の時間帯別使用湯量の沸き上げに必要なエネルギー量、現在時刻および現在時刻の貯湯タンク内の残湯量の情報に基づいて、その日の夜間時間帯の開始時刻までに必要と予測される使用湯量の沸き上げに必要なエネルギー量を算出し、昼間時間帯の特定時間帯において算出したエネルギー量に対応する沸き上げを行い、算出した必要エネルギー量に対応する沸き上げを行った後は、その後、貯湯タンク内の湯が使用されて貯湯タンク内の残湯量が最低残湯設定量以下となっても、夜間時間帯が開始されるまで沸き上げを行わないようにした方法であるので、特に電気料金単位が3段階などの複数に分かれている電力制度の給湯器において、昼間時間帯の単価が比較的安い電力を有効に利用して水の沸き上げを行うことができる。これにより、湯切れを防止しつつ使用者の負担する電気料金の低減を図ることができる。
【0044】
本発明に係る給湯器の沸き上げ制御方法は、最低残湯設定量または特定時間帯を任意に設定する方法であるので、必要な残湯量および割高な時間帯での沸き上げを制御することができ、電気料金の低減を図ることができる。
【0046】
本発明に係る給湯器は、貯湯タンクと、貯湯タンク内の水を加熱する加熱手段と、貯湯タンク内の水の温度を検知する温度検知手段と、貯湯タンク内の残湯量を検出する残湯量検出手段と、温度検知手段の検知結果に基づいて加熱手段への通電を制御し、貯湯タンク内の水の沸き上げを行う制御部とを備え、制御部に、過去数日分の時間帯別使用湯量の沸き上げに必要なエネルギー量を記憶する記憶手段と、現在時刻を計時する計時手段と、記憶手段に記憶された過去数日分の時間帯別使用湯量の沸き上げに必要なエネルギー量の情報、計時手段による現在時刻の情報および残湯量検出手段による現在時刻の貯湯タンク内の残湯量の情報に基づいて、その日の夜間時間帯の開始時刻までに必要と予測される使用湯量の沸き上げに必要なエネルギー量を算出するとともに、予測される使用湯量の沸き上げ開始からのエネルギー量を算出する演算手段と、残湯量検出手段による現在時刻の貯湯タンク内の残湯量と予め設定された最低残湯設定量とを比較するとともに、演算手段による予測される使用湯量の沸き上げ開始からのエネルギー量と演算手段による予測される使用湯量の沸き上げ開始からのエネルギー量とを比較する比較手段とを設け、制御部は、昼間時間帯において、湯の使用量が増える夕方から夜間電力が開始されるまでの時間帯(以下、特定時間帯)になるまでは、貯湯タンク内の残湯量が予め設定された最低残湯設定量未満であるときに、その最低残湯設定量を確保するよう沸き上げを行い、残湯量検出手段による残湯量が最低残湯設定量以上で、かつ計時手段による現在時刻が前記特定時間帯のときに、予測される使用湯量の沸き上げ開始からのエネルギー量が予測される使用湯量の沸き上げ開始からのエネルギー量以上になるまで、貯湯タンク内の水の沸き上げを行い、算出した必要エネルギー量に対応する沸き上げを行った後は、その後、貯湯タンク内の湯が使用されて貯湯タンク内の残湯量が最低残湯設定量以下となっても、夜間時間帯が開始されるまで沸き上げを行わないようにしたので、特に電気料金単位が3段階などの複数に分かれている電力制度の給湯器において、昼間時間帯の単価が比較的安い電力を有効に利用して水の沸き上げを行うことができる。これにより、湯切れを防止しつつ使用者の負担する電気料金の低減を図ることができる給湯器が得られる。
【0048】
本発明に係る給湯器は、最低残湯設定量または特定時間帯を任意に設定する操作手段を設けたので、必要な残湯量および割高な時間帯での沸き上げを制御することができ、電気料金の低減を図ることができる給湯器が得られる。
【0049】
本発明に係る給湯器は、加熱手段を、ヒートポンプサイクルを用いて水を加熱する加熱装置としたので、上記と同様の効果を得ることができる。
【0050】
本発明に係る給湯器の沸き上げ制御方法は、加熱手段を、ヒーターを用いて水を加熱する加熱装置としたので、上記と同様な効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1の構成図
【図2】 本発明の実施の形態1に係る加熱手段の構成図である。
【図3】 本発明の実施の形態1の昼間時間帯の沸き上げ制御の作用を示すフローチャートである。
【図4】 本発明の実施の形態2の昼間時間帯の沸き上げ制御の作用を示すフローチャートである。
【符号の説明】
2 貯湯タンク、5 流量センサ、6,7a,7b,9 温度センサ、11 制御部、11a 記憶手段、11b 演算手段、11c 計時手段、11d 比較手段、12 操作部、13 加熱装置。
Claims (6)
- 昼間時間帯において、湯の使用量が増える夕方から夜間電力が開始されるまでの時間帯(以下、特定時間帯)になるまでは、貯湯タンク内の残湯量が予め設定された最低残湯設定量未満であるときに、その最低残湯設定量を確保するよう沸き上げを行い、
現在時刻の貯湯タンク内の残湯量が予め設定された最低残湯設定量以上で、現在時刻が前記特定時間帯のときに、
過去数日分の時間帯別使用湯量の沸き上げに必要なエネルギー量、現在時刻および該現在時刻の貯湯タンク内の残湯量の情報に基づいて、
その日の夜間時間帯の開始時刻までに必要と予測される使用湯量の沸き上げに必要なエネルギー量を算出し、
前記特定時間帯において前記算出したエネルギー量に対応する沸き上げを行い、
算出した必要エネルギー量に対応する沸き上げを行った後は、
その後、貯湯タンク内の湯が使用されて貯湯タンク内の残湯量が最低残湯設定量以下となっても、夜間時間帯が開始されるまで沸き上げを行わないようにした
ことを特徴とする給湯器の沸き上げ制御方法。 - 最低残湯設定量または特定時間帯を任意に設定することを特徴とする請求項1記載の給湯器の沸き上げ制御方法。
- 貯湯タンクと、該貯湯タンク内の水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンク内の水の温度を検知する温度検知手段と、前記貯湯タンク内の残湯量を検出する残湯量検出手段と、前記温度検知手段の検知結果に基づいて前記加熱手段への通電を制御し、前記貯湯タンク内の水の沸き上げを行う制御部とを備え、
前記制御部に、過去数日分の時間帯別使用湯量の沸き上げに必要なエネルギー量を記憶する記憶手段と、現在時刻を計時する計時手段と、前記記憶手段に記憶された過去数日分の時間帯別使用湯量の沸き上げに必要なエネルギー量の情報、前記計時手段による現在時刻の情報および前記残湯量検出手段による現在時刻の貯湯タンク内の残湯量の情報に基づいて、その日の夜間時間帯の開始時刻までに必要と予測される使用湯量の沸き上げに必要なエネルギー量を算出するとともに、該予測される使用湯量の沸き上げ開始からのエネルギー量を算出する演算手段と、前記残湯量検出手段による現在時刻の貯湯タンク内の残湯量と予め設定された最低残湯設定量とを比較するとともに、前記演算手段による予測される使用湯量の沸き上げ開始からのエネルギー量と前記演算手段による予測される使用湯量の沸き上げ開始からのエネルギー量とを比較する比較手段とを設け、
前記制御部は、
昼間時間帯において、湯の使用量が増える夕方から夜間電力が開始されるまでの時間帯(以下、特定時間帯)になるまでは、貯湯タンク内の残湯量が予め設定された最低残湯設定量未満であるときに、その最低残湯設定量を確保するよう沸き上げを行い、
前記残湯量検出手段による残湯量が最低残湯設定量以上で、かつ前記計時手段による現在時刻が前記特定時間帯のときに、
前記予測される使用湯量の沸き上げ開始からのエネルギー量が前記予測される使用湯量の沸き上げに必要なエネルギー量以上になるまで、前記貯湯タンク内の水の沸き上げを行い、
算出した必要エネルギー量に対応する沸き上げを行った後は、
その後、貯湯タンク内の湯が使用されて貯湯タンク内の残湯量が最低残湯設定量以下となっても、夜間時間帯が開始されるまで沸き上げを行わないようにした
ことを特徴とする給湯器。 - 最低残湯設定量または特定時間帯を任意に設定する操作手段を設けたことを特徴とする請求項3記載の給湯器。
- 加熱手段を、ヒートポンプサイクルを用いて水を加熱する加熱装置としたことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の給湯器。
- 加熱手段を、ヒーターを用いて水を加熱する加熱装置としたことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の給湯器。
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