JP4186297B2 - 飲料加熱装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カップ容器等の飲料を加熱する自動販売機等に用いられる飲料加熱装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の飲料加熱装置は、サーミスタで検出した温度に基づき温水タンク内の水をヒータにより一定温度に加熱制御されており、販売時、タンク内の温水を原料のシロップ等とともにミキシングボウルもしくは直接カップへ吐出している。
【0003】
この場合に、前記したヒータ内蔵の温水タンクは、ヒータの通電開始から水を販売温度の湯に昇温させるまでの立ち上がり時間がかかること、及び連続販売に対応させるために、通常は10l程度の湯を貯える比較的容量の大きな温水タンクを装備しており、かつ次の販売に備えて湯を常時販売温度に保温するようにヒータを通電制御している。このため、温水タンクは大型で、かつヒータの電力消費量もかなりな量となって、運転コストが嵩む。また、ヒータが直接水中に浸漬しているために漏電などの可能性があり、安全性の面で特別な配慮が必要となる。
【0004】
上記課題を解決するために、特開平2−267695号公報で示された方法が公開されている。
【0005】
特開平2−267695号公報に示されたものは、温水タンクを用いず、給湯ラインの途中に小容量の加熱容器を介装し、誘導加熱手段を用いて販売ごとに容器内の水を販売温度まで昇温させるというものである。
【0006】
図5に上記従来例のカップ飲料加熱装置の飲料回路図を示す。販売待機状態で水リザーバ1より誘導加熱手段2に補給された水を加熱制御手段20で設定した予熱温度まで加熱保温しておき、販売指令がかかると加熱制御手段20で設定した販売温度まで加熱昇温し、粉末原料箱15の中の粉末原料とともにミキシングボウル16に供給され、撹拌調合された後にカップ18に注がれるため、タンクが不要になるというものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら特開平2−267695号公報で示された方法では、販売指令がかかってから加熱容器の中の保温水を加熱昇温し、販売温度に達した後にミキシングボウル16への出湯がなされるため、出湯までに時間がかかる。
【0008】
また、予熱温度まで加熱した後長い時間が経過すると、水の対流の作用により誘導加熱手段2内の水に温度分布が生じ、上部の水は熱く、下部の水はぬるいという状態になり、そのまま再加熱しても全体の水温が上昇するだけで、温度分布自体に変化は生じない。そのためミキシングボウル16への安定した出湯ができない。
【0009】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、安定した流量かつ安定した温度の飲料を素早く出湯することができる自動販売機の飲料加熱装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために、本発明は、販売時に、温水と原料を用いて飲料を生成し、その飲料をカップにて提供する自動販売機において、飲料水供給手段と、前記飲料水供給手段から送出された水を加熱し出湯する加熱手段と、前記加熱手段に給水する給水口と、前記加熱手段から加熱された温水を吐出する吐出口と、前記温水原料混合手段に至る経路中に設置された出湯バルブと、前記吐出口と前記給水口とを接続してなる循環経路と、前記循環経路中に設置され、気泡と水とを分離する気液分離手段と、分離された気泡を前記循環経路外部に逃がす空気排出口と、循環時や出湯時に前記加熱手段に水または温水を送り込むポンプとを備えたものである。
【0011】
この本発明によれば、安定した流量かつ安定した温度の飲料を素早く出湯することができる自動販売機の飲料加熱装置を提供することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、販売時に、温水と原料を用いて飲料を生成し、その飲料をカップにて提供する自動販売機において、飲料水供給手段と、前記飲料水供給手段から送出された水を加熱し出湯する加熱手段と、前記加熱手段に給水する給水口と、前記加熱手段から加熱された温水を吐出する吐出口と、前記温水原料混合手段に至る経路中に設置された出湯バルブと、前記吐出口と前記給水口とを接続してなる循環経路と、前記循環経路中に設置され、気泡と水とを分離する気液分離手段と、分離された気泡を前記循環経路外部に逃がす空気排出口と、循環時や出湯時に前記加熱手段に水または温水を送り込むポンプとを備えたものであり、ポンプに気泡が咬み込むことがなく安定した流量で温水を吐出することができるという作用を有する。
【0015】
本発明の請求項2に記載の発明は、販売時に、温水と原料を用いて飲料を生成し、その飲料をカップにて提供する自動販売機において、飲料水供給手段と、前記飲料水供給手段から送出された水を加熱し出湯する加熱手段と、前記加熱手段に給水する給水口と、前記加熱手段から加熱された温水を吐出する吐出口と、前記温水原料混合手段に至る経路中に設置された出湯バルブと、前記加熱手段内部に設置された心棒と、前記心棒内部を通り前記吐出口と前記給水口を接続してなる内部循環経路と、循環時や出湯時に前記加熱手段に水または温水を送り込むポンプとを備えたものであり、放熱ロスが少なく、安定した流量を得ることができるシステムを少ない設置体積で構成できるという作用を有する。
【0016】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、さらに、内部循環経路の循環吸い込み口を前記心棒の天面に設け、前記循環吸い込み口よりも高い位置に気泡を外部に逃がす空気排出口を設けたものであり、ポンプに気泡が咬み込むことがなく安定した流量で温水を吐出することができるという作用を有する。
【0017】
【実施例】
以下、本発明による飲料加熱装置の実施例について、図面を参照しながら説明する。なお、従来と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0018】
(実施例1)
図1は本実施例の飲料回路図である。
【0019】
図1において、1は飲料水を貯留する水リザーバ(飲料水供給手段)であり、水道(図示せず)より随時給水され、例えばフロートスイッチのような水位制御手段(図示せず)により一定の水位に保たれる。2は加熱手段であり、カップ一杯から数杯程度の小容量の加熱容器を介装し、加熱手段2の下部に設けた給水口3から給水した水を加熱し、加熱手段2の上部に設けた吐出口4より吐出する。20は加熱制御手段であり、加熱手段2の近傍に配置した温度検知手段19によって検知された水の温度が入力され、加熱手段2を制御する。
【0020】
待機時は、加熱手段2とポンプ9を制御して加熱手段2内の水温を保温温度まで上昇させ、保温する。販売時は、加熱手段2と給水バルブ21と出湯バルブ6とポンプ9を制御して加熱手段2で出湯温度まで加熱された温水を出湯し、同時に水リザーバ1からの給水を行う。出湯経路5の先には温水原料混合手段であるミキシングボウル16(図5を参照)があり、このミキシングボウル16で湯水と混合された飲料が図示しないカップに注がれる。
【0021】
7は循環経路であり、加熱手段2の吐出口4と給水口3とをポンプ9を介して接続し、加熱手段2とポンプ9を環状に接続した経路となっている。8は流量絞り手段であり、流路面積を小さくすることにより、循環経路7中を流れる温水の流量を絞るものである。
【0022】
次に、実施例1の動作について説明する。
【0023】
まず、待機時には、加熱手段2と循環経路7は温水で満たされており、加熱手段2、温度検知手段19、加熱制御手段20により、設定された保温温度を下回ると加熱動作を行い、上回ると停止する。また、その際に水の対流により循環経路内上部の水温が高く、下部の水温が低くなる温度分布が生じる。これを解消するため、給水バルブ21と出湯バルブ6を閉じた状態にてポンプ9を作動させ循環経路7と加熱手段2内の温水を循環させる。
【0024】
温度検知手段19は上下に離れた複数箇所の温度を検知できるようになっており、検知した複数箇所間の温度差があらかじめ設定した温度差以下になるまで循環を続ける。待機時には、以上の加熱・停止・循環という動作を繰り返す。なお、加熱動作と循環動作は同時に行っても構わない。
【0025】
次に販売時の動作について説明する。
【0026】
販売時には、まず消費者により自動販売機の前面に設けられた飲料選択ボタン(図示せず)が押される。その時、ホット飲料が選択されると、上記加熱動作と循環動作を同時に行い、吐出口4を通過する温水の温度が出湯温度に到達した時点で、加熱手段2とポンプ9を動作させた状態のまま、給水バルブ16と出湯バルブ6を開き、温水を加熱しながらミキシングボウル16へ出湯し、ミキシングボウル16からカップへの飲料吐出が終了した時点で販売を終了する。販売が終了したときには、加熱手段2の中は水リザーバ1から給水された水で満たされている。
【0027】
具体的には、加熱手段2に容量150cc(カップ1杯分)で、出力3.2kWの誘導加熱装置を用いた場合、流量30cc/秒では、水が加熱手段2を通過する間(5秒間)におよそ20deg上昇する。標準的な出湯温度は90℃であるので、待機時には循環経路7全体の温水が70℃になるように保温しておき、販売時にはまず加熱動作と循環動作を同時に行い、加熱動作を開始した時点で給水口3を通過した温水が吐出口4を通過する時点(加熱開始から5秒後)に出湯バルブ6を開く。その時点で、吐出口4を通過する温水の温度は、70℃+20deg=90℃となっている。出湯に要する時間も5秒であるので、合計10秒で出湯を終える。
【0028】
上述のように、このような飲料加熱装置において流量は吐出する温水の温度と量を決定する重要な要素であるが、出湯時に加熱手段2を通過して出湯経路5側に流れる温水の量は、循環経路7と出湯経路5の流路抵抗比によって決定される。従って、あらかじめ所望の吐出温度と吐出量から最適な流路抵抗比を算出し、その結果にあわせて循環経路7の途中に流量しぼり手段8を挿入することにより、所望の吐出温度と吐出量にて出湯することが可能になる。
【0029】
以上のように本実施例は、流量しぼり手段8を設けることにより、温水の吐出量と温度を任意に設定でき、安定した流量かつ安定した温度の飲料を素早く出湯することができる。
【0030】
(実施例2)
図2は本実施例の飲料回路図である。なお、実施例1と同一構成については同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0031】
動作については実施例1と全く同様であり、販売時の動作についても実施例1と全く同様である。
【0032】
実施例1でも述べたように、出湯時に加熱手段2を通過して出湯経路5側に流れる温水の量は、循環経路7と出湯経路5の流路抵抗比によって決定される。ところが、商品の開発段階において複数の流路抵抗を設定したい場合や、受注生産品などで消費者の要求に応じて流路抵抗を設計したりするような場合では、流量しぼり手段8の流路抵抗があらかじめ設定されていると変更することが困難である。
【0033】
そこで、流量しぼり手段8に、流路断面積調整手段10を取り付けることにより、自由に流路抵抗を変更する事ができるようになる。この流路断面積調整手段10の調整方法は例えばねじによる手動調整も考えられるが、モーターなどを用いて電気的に調整できるようにしておくと、例えば外気温などの変化に合わせてに自動的に流路面積を変えて、飲料の品質を一定に保つなどの用途が考えられる。
【0034】
以上のように本実施例は、流量しぼり手段8に流路断面積調整手段10を設けることにより、循環経路7の流路抵抗を容易に変更することができ、安定した流量かつ安定した温度の飲料を素早く出湯することができる。
【0035】
(実施例3)
図3は本実施例の加熱装置の断面図である。なお、上述の実施例と同一構成には同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0036】
待機時の動作及び販売時の動作は、実施例1と同様である。
【0037】
待機時・販売時に関わらず、加熱手段2を用いて加熱手段2内部の水を加熱すると、水蒸気や水に溶け込んでいた空気が気泡となって発生する場合がある。その状態で循環動作を行うと、気泡は循環経路7を伝ってポンプ9に入り込み、ポンプ9を空回りさせることによりポンプ9の能力を低下させてしまう。これを防ぐものが循環経路7中に取り付けられた気液分離手段11である。
【0038】
例えば、図3に示すように、加熱手段2の中央部に心棒13を設置し、それを取り巻くように層状の発熱体22を設置した場合、水は発熱体22の間を上向きに流れていく。この時、発熱体22により水が熱せられ、気泡が発生する。発生した気泡は、水よりもはるかに軽いため、水の流れよりも速い速度で加熱手段2内の外周付近を真上に上っていき、加熱手段2の天面に設けられた空気排出口12より加熱手段2の外部に排出される。
【0039】
気液分離手段11は心棒13の上部に配置され、加熱された温水を吸い込み循環経路7に流し込むために上向きに開口しており、その開口面は細かなメッシュ構造になっている。この上向きに開口したメッシュ構造の吸い込み口により、温水は吸い込まれるが、気泡は吸い込まれにくく空気排出口12により排出される。
【0040】
以上のように、気液分離手段11を設置することにより、加熱により発生した気泡が循環経路7へ入り込むことを防ぎ、空気排出口12により気泡を外部へ排出することにより、ポンプ9に気泡が咬み込むことがなく安定した流量で温水を吐出することができる。
【0041】
なお、実施例1や実施例で述べた構成に適用すると、より効果的であることは言うまでもない。
【0042】
(実施例4)
図4は本実施例の飲料回路図である。なお、上述の実施例と同一構成には同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0043】
図1や図2では、加熱手段2の外部に循環経路7を設けた。この方式では、加熱手段2自体の構造が単純になるという利点がある一方で、温水の表面積が広くなることによる放熱ロスの増加や、循環経路7の設置スペースが必要である等の欠点がある。
【0044】
そこで、加熱手段2の内部に実施例3と同様に発熱体22と心棒13を設け、さらに心棒13の内部に内部循環経路14を設置する。そうすることにより、放熱ロス・設置スペース共に加熱手段単体とほとんど変わらないものとすることができる。
【0045】
待機時の動作及び販売時の動作については、実施例1とほぼ同様であり、流量しぼり手段8により出湯経路5と内部循環経路14の流路抵抗の比を設定して所望の吐出量・吐出温度の温水を出湯経路5より出湯する。
【0046】
以上のように、加熱手段2の内部に発熱体22と心棒13を設け、さらに心棒13の内部に内部循環経路14を設置することにより、放熱ロスが少なく、安定した流量を得ることができるシステムを少ない設置体積で構成できる。
【0047】
なお、本実施例においては、内部循環経路14とポンプ9の間に循環流量しぼり手段8を挿入することにより流路抵抗比を設計するとしたが、これに流路断面積調整手段10を適用すれば自在に流路抵抗比を設定・変更することが可能になることは言うまでもない。
【0050】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明は、ポンプに気泡が咬み込むことがなく安定した流量を得ることができる。
【0051】
また請求項2に記載の発明は、放熱ロスが少なく、安定した流量を得ることができるシステムを少ない設置体積で構成できる。
【0052】
また請求項3に記載の発明は、内部循環経路の循環吸い込み口を心棒の天面に設け、循環吸い込み口よりも高い位置に気泡を外部に逃がす空気排出口を設けたことを特徴とするので、ポンプに気泡が咬み込むことがなく、安定した流量を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による飲料加熱装置の実施例1の飲料回路図
【図2】本発明による飲料加熱装置の実施例2の飲料回路図
【図3】本発明による飲料加熱装置の実施例3の加熱装置の断面図
【図4】本発明による飲料加熱装置の実施例4の飲料回路図
【図5】従来の飲料加熱装置の飲料回路図
【符号の説明】
1 水リザーバ(飲料供給手段)
2 加熱手段
3 給水口
4 吐出口
5 出湯経路
6 出湯バルブ
7 循環経路
8 流量しぼり手段
9 ポンプ
10 流路断面積調整手段
11 気液分離手段
12 空気排出口
13 心棒
14 内部循環経路
16 ミキシングボウル(温水原料混合手段)
23 循環吸い込み口
24 空気排出口
Claims (3)
- 販売時に、温水と原料を用いて飲料を生成し、その飲料をカップにて提供する自動販売機において、飲料水供給手段と、前記飲料水供給手段から送出された水を加熱し出湯する加熱手段と、前記加熱手段に給水する給水口と、前記加熱手段から加熱された温水を吐出する吐出口と、前記温水原料混合手段に至る経路中に設置された出湯バルブと、前記吐出口と前記給水口とを接続してなる循環経路と、前記循環経路中に設置され、気泡と水とを分離する気液分離手段と、分離された気泡を前記循環経路外部に逃がす空気排出口と、循環時や出湯時に前記加熱手段に水または温水を送り込むポンプとを備えたことを特徴とする飲料加熱装置。
- 販売時に、温水と原料を用いて飲料を生成し、その飲料をカップにて提供する自動販売機において、飲料水供給手段と、前記飲料水供給手段から送出された水を加熱し出湯する加熱手段と、前記加熱手段に給水する給水口と、前記加熱手段から加熱された温水を吐出する吐出口と、前記温水原料混合手段に至る経路中に設置された出湯バルブと、前記加熱手段内部に設置された心棒と、前記心棒内部を通り前記吐出口と前記給水口を接続してなる内部循環経路と、循環時や出湯時に前記加熱手段に水または温水を送り込むポンプとを備えたことを特徴とする飲料加熱装置。
- 内部循環経路の循環吸い込み口を心棒の天面に設け、前記循環吸い込み口よりも高い位置に気泡を外部に逃がす空気排出口を設けたことを特徴とする請求項2記載の飲料加熱装置。
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