JP4185705B2 - 紙幣取扱装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、現金を直接入出金する紙幣取扱装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
各種ATMの中で、防犯等を考慮した壁埋め込み型のATMがある。この壁埋め込み型ATMは、ユーザーが各種の取引操作をしたり、カードや通帳挿入を行ったりする操作面(フロントフェース部)のみを壁の外側に露出させ、他の全ての部分(筐体本体)が壁の内側に設置されるものである。
通常、壁埋め込み型のATMの筐体は、ほぼ直方体で、操作面は筐体の垂直面にほぼ平行に配置されている。
【0003】
この壁埋め込み型ATMの従来技術としては、例えば特開平11−232527号公報がある。この従来技術においては、壁埋め込み型ATMが通常の6インチ厚の壁面よりも厚い13インチ厚の壁に設置される場合、増加分の7インチ長さの搬送ユニットを備え、操作面から紙幣の処理部まで搬送する構成について開示されている。
この壁埋め込み型ATMの場合には、フロントフェース部がほぼ垂直になっているため、利用者が現金の出金を行う際には、現金はフロントフェース部に対してほぼ垂直、すなわち利用者からみてほぼ水平な操作面で出金することになっている。
【0004】
現金を出金する場合には、ほぼ水平に排出された一枚ないし複数の紙幣を指で把持して手前に引きぬくことによって取り出すことは容易であり、一般に行われている。このような構成の場合には、出金のための開口部の大きさは、現金の最大出金枚数、例えば50枚相当の紙幣厚さに加えて出金される紙幣の端部が引っかからない程度の厚さがあればよく、例えば10mm程度の厚さのスリットであればよい。紙幣の先端が例えば30mm程度開口部から突出すれば、容易に指で掴んで引き出すことができる。
【0005】
水平に開口された開口部は、開口部の寸法が小さいために外気の温度による影響が装置内部に及ぶことが少なく、開口部はほぼ垂直面となっているために、雨天の場合でも開口部への雨水の滞留がなく、雨水が開口部から装置内部に侵入しにくい。
【0006】
シャッタが垂直面になっている形態の入出金口では、例えば特開平6−282724号公報のように、シール材を使用せず、シャッタに当たった雨はシャッタ下部のレール部に集め、レールに排水口を設けて外部に排水する構成が開示されている。
【0007】
しかし、水平に開口した口に紙幣を入金する際には以下のような問題が生じる。
例えば、腰の弱い紙幣や折れぐせのついた紙幣を入金しようとすると紙幣の端部や折れぐせ部分が垂れ下がるために、開口部にひっかかりやすくなる。特に多数枚の紙幣を水平に揃えて開口部に挿入し、一度に入金しようとすると、片手での投入は困難なので、両手を用いて入金することになり非常に不便である。
【0008】
一方、特開2000−172946号公報に記載されているような、入出金を行う紙幣の収容部を紙幣が立位に収納されるように配置したものは、従来から利用者が入金と出金の両方の操作を行うことができる構成であり、装置が屋内に設置される形態で広く一般に用いられている。
【0009】
このような構成の現金自動取扱い装置においては、紙幣の収納部は立位に紙幣を収納するので入出金口のシャッタ(入出金口扉)はほぼ水平か、ないしは手前側が低くなるように傾斜した形態となっている。紙幣の入金が容易に行える寸法が必要なため、シャッタの寸法は紙幣の寸法よりもやや大きい、例えば縦100mm横200mm程度となる。シャッタを開放するためには例えばシャッタを奥側にスライドさせることで行われる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
壁埋め込み型のATMにおいて、入金ないし出金処理部においては紙幣を立位に保持して下端を揃えることが望ましい。ところが、このような構成の場合には入出金口の扉であるシャッタが入出金口の上面に設けられることになる。
【0011】
このような構成の現金自動取扱い装置においては、紙幣の収納部は立位に紙幣を収納するので入出金口のシャッタはほぼ水平、若しくは一方が低くなるように傾斜した形態にする必要がある。
例えば、シャッタは奥側にスライドして開放する構造である。しかし、このようにシャッタが水平ないし傾斜した形態では、例えば雨天の際には雨水がシャッタの上に降雨するため、雨水が装置内部に入り込まないように、シャッタ上に大量の雨水が蓄積することを避けるよう雨水を連続的に排出することが必要である。
【0012】
またさらに、シャッタを開いた際にシャッタの下端から装置内部に滴下する水滴は少ない方が好ましいので、雨天の際にシャッタが閉じた状態でシャッタ上面に蓄積しうる雨水水滴の量が少ないほど望ましい。
【0013】
本発明の目的は、シャッタが水平若しくは傾斜した壁埋め込み型ATMに対する降水等によるシャッタ表面に溜まる水分量を低減することができる紙幣取扱装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、紙幣の投入と放出を行う入出金口を備えた紙幣取扱装置において、前記入出金口には、表面に親水性膜を有し傾斜して設けられた開閉自在な入出金口扉と、前記入出金口扉の上に降雨した雨水を集積して装置外部に導いて排水する排水手段と、前記入出金口を前記入出金扉が塞いでいるときに前記入出金口扉の傾斜した下端に対向して設けられ、前記入出金口扉の下端に表面張力によって溜まった水滴と接触して、その水滴を前記排水手段に導く排水補助手段と、を備えたことにより達成される。
【0015】
また、上記目的は、前記親水性膜は、親水性剤を含有する塗料を塗布して形成されたことにより達成される。
【0016】
また、上記目的は、前記入出金口扉は合成樹脂で成形されており、前記親水性膜は、親水性剤を含有する透明な塗料を塗布して形成されたことにより達成される。
【0017】
また、上記目的は、前記親水性膜は、水に対する接触角が60度以下となる膜で形成されていることにより達成される。
【0019】
【発明の実施の形態】
さて、上述したようにシャッタが略水平ないし傾斜した形態の入出金口では、外壁設置型に適用されて外気に接する環境に設置された場合には、例えば雨天の際には雨水がシャッタの上に降雨するので、シャッタ上に大量の雨水が蓄積することを避けるために雨水を連続的に排出することが必要である。
その排水量は、想定される最大雨量を排出可能な容量が必要となる。雨水が装置内部に侵入した場合には、装置の内部が濡れ、例えば紙幣を搬送するためのゴムローラが濡れて摩擦係数が乾燥時よりも変化して紙幣搬送性能の確保ができなかったり、鉄製部品の錆びの原因になったりするので避けなければならない。
【0020】
またさらに、雨天の際あるいは雨が止んだ直後に入金ないし出金を行う場合には、入出金扉(シャッタ)の上面に降雨中ないし、すでに降雨した雨水が雨だれとして蓄積されているので、入金ないし出金を行うためにシャッタの開動作を行った際に、その雨だれがシャッタの縁(下端)から装置内部に滴下する。従って、雨だれの滴下量はできるだけ少ない方が望ましいのは言うまでもない。
【0021】
そして、この雨だれの量を低減するためにはシャッタ上面から雨水が排水手段を通して装置外部に排水されやすいとともに、シャッタ上面に蓄積しうる雨水水滴の量が少ないほど望ましいということになる。
【0022】
次に、入出金口の内部(下側)にあって、入金時には紙幣を受け入れ、出金時には紙幣を放出する、現金の入金処理部及び/又は出金処理部の構成と動作について説明する。入金処理部及び/又は出金処理部は、入金された紙幣を受け入れることと出金する紙幣を集積することができる収納部と、収納部に入金された紙幣を一枚ずつ分離して入金処理を行う分離機構と、出金処理時に出金する紙幣を揃えて集積するスタック機構とから構成される。
【0023】
この現金の入金処理部及び/又は出金処理部においては、入金される現金は利用者によって紙幣の入金処理部である入出金口に投入されてから一枚ずつ繰り出されて処理される。このような構成は特開2000−99795号公報に開示されており、利用者に紙幣を放出するための収納部はほぼ立位に配置されている。
このように、利用者から紙幣を入金される場合には立位に紙幣を受け入れることによって、仮に紙幣が揃っていない状況で紙幣が投入された場合であっても重力を利用して紙幣の下端を揃えることができるので、分離機構によってこれらの紙幣を一枚ずつ繰り出して分離するのに好適である。
またさらに、紙幣を立位に保持することにより、分離機構によって一枚ずつに分離する際に、投入された紙幣の枚数によらず分離機構にかかる力は押圧機構により一定にすることができるので、分離の際に二枚が重なる重送などを避けることができ、信頼性を高めることができる。
【0024】
一方、利用者に紙幣を出金する場合には、スタック機構において立位に紙幣を集積すれば、アジア諸国やヨーロッパ諸国の紙幣のように金種によってその寸法が大幅に異なる場合であっても、紙幣の下端が揃えられるので紙幣を受け取る利用者からみても好適である。
【0025】
大小の紙幣が混在する場合には、紙幣の収納部は最大の紙幣の寸法より大となるので、紙幣を入金する場合に、最小の紙幣を収納部に投入すると、その位置は収納部の幅と高さの範囲内でばらつく。ここで、収納部が立位であれば、重力によって紙幣の下端が揃えられるので、入金処理のために分離機構で紙幣を分離する際に紙幣の大小によらず下端を一枚ずつ順番に分離することができる。
【0026】
このように、シャッタ部分が屋外に露出する壁埋め込み型ATMは降水によるシャッタへの雨水溜りを極力低減しなくてはならないという重要な課題がある。そこで、本発明の発明者らは、以下の通りの改善検討を図った。
【0027】
以下、本発明の現金自動取引装置の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明を適用した壁埋め込み型の現金自動取引装置の外観を示す斜視図である。
図1において、現金取引装置101の本体筐体30には利用者操作面であるフロントフェース部10がほぼ立位にかつ本体筐体30よりも突き出すように設けられており、フロントフェース部10は建物の壁面W(図3に示す)に開口された穴にはめ込まれて設置されており、ATMの利用者は正面に立ったままで入出金などの各種現金取扱い操作を行うことができる。この突き出し量は建物の壁面の厚さ、たとえば5インチ程度となっている。フロントフェース部10には、カードスロット102aと連通し利用者のカードを処理し、取引明細票を印字して放出するカード・明細票処理機構102と、通帳スロット103aと連通し利用者の通帳を処理し、取引内容を印字して放出する通帳処理機構103とを備えている。
【0028】
利用者が紙幣の投入・取り出しを行う入出金口20は、フロントフェース部10に開口された略水平ないしフロントフェース10の側が低くなるよう傾斜した面上に設けられており、開閉式のシャッタを備えている。この面上にはさらに取引の内容を表示する表示手段107および入力する顧客操作手段108とを備えている。
【0029】
また、紙幣入出金手段1の下部の紙幣収納部は、装置筐体101bとは別の数十mmの厚い鉄板で構成する金庫筐体116で囲まれている。装置筐体101bも堅固な筐体構造であるが、金庫筐体116はさらに堅固な構造で、セキュリティを高める。
この現金自動取引装置101は、カード、紙幣、明細票、通帳を媒体とし、利用者の預入れ、支払、振込等の処理を行うことができる。
【0030】
図2は、本装置の制御関係を示す制御ブロック図である。
図2において、現金自動取引装置101に納められたカード・明細票処理手段102、通帳処理手段103、紙幣入出金手段1、顧客操作手段108、入出金口20、表示手段107は、バス109を介して本体制御手段106と接続されており、本体制御手段106の制御の下に必要な動作を行う。本体制御手段106は、上記の他に、インタフェース手段106b、係員操作手段106c、外部記憶手段106dともバス109で接続されており、必要なデータのやりとりを行うが、本発明の特徴には直接関係がないので詳細な説明は省略する。なお、図2に示した101dは、上記各手段、構成部分に電力を供給する電源部である。
【0031】
図3は、図1の本発明に関わる現金自動取引装置101の構成を示す側面図である。
図3において、紙幣入出金手段1は、利用者が紙幣の投入・取り出しを行う入出金口20と、紙幣の判別を行う紙幣判別部30と、入金した紙幣を取引成立までの間一旦収納する一時保管庫40と、入金時取引が成立した紙幣を収納する1ヶの入金庫60と、出金用の紙幣を収納する1ヶの出金庫70と、入出金兼用のリサイクル庫80と、リサイクル庫80に補充する紙幣や、リサイクル庫から回収した紙幣を収納する装填・回収庫81と、紙幣判別部30を通り、入出金口20、一時保管庫40、入金庫60、出金庫70、リサイクル庫80、装填・回収庫81に対し、紙幣を搬送する紙幣搬送路50と、図示せぬ制御部とから構成される。
【0032】
紙幣入出金手段1は、図3に示すように、入出金口20、紙幣判別部30、一時保管庫40と、紙幣搬送路50から構成される上部搬送機構1aと、入金庫60、出金庫70、リサイクル庫80、装填・回収庫81および、各収納庫の前面に配する、開閉可能な搬送路90から構成される下部紙幣機構1bから構成される。さらに、下部紙幣機構1bは、約50mm程度の厚い鉄板で構成される金庫筐体116の中に実装されており、上部搬送機構1aと下部紙幣機構1bとの搬送路は、連結搬送路501hで接続されている。
【0033】
連結搬送路501hは、下部紙幣機構1bを囲う金庫筐体116の上面鉄板と対向する上部搬送機構1aの搬送路501gと下部紙幣機構1bの搬送路901aの連結する位置に設けられている。
上面鉄板にあけられたスリットは、紙幣が通過するための長さと該スリットに搬送されてきた紙幣を挟持して繰り出すよう取り付けられた搬送ローラの幅の大きさを有する。下部紙幣機構1bを金庫筐体で囲わない構成をとる場合は、下部紙幣機構1b上に直接上部搬送機構1aが載置されるので、連結搬送路501hは必ずしも必要ではない。搬送路の駆動源(モータ)は、上部搬送機構の搬送路と下部紙幣機構の搬送路で別々に設けてもよいが、単一の駆動源を用い、駆動力を搬送路501g−501h−901a間に設けられたギヤで伝達するようにしてもよい。
【0034】
また、紙幣搬送路50は、紙幣判別部30を双方向に通過し、矢印501a〜501hおよび901a〜901dに示す搬送路を経由して、入出金口20、一時保管庫40、入金庫60、出金庫70、リサイクル庫80、装填・回収庫81を接続している。各矢印のうち片方向矢印は、紙幣をその矢印方向にのみ搬送する一方向紙幣搬送路で、両方向の矢印は、紙幣を取引動作毎に双方向のいずれかに切り替えて搬送する双方向搬送路である。
【0035】
紙幣搬送路50のうち、下部紙幣機構1bにあって、入金庫60、出金庫70、リサイクル庫80、装填・回収庫81の前部にある5ヶ所の紙幣搬送路901a〜eは、一体となって開閉できるようにされた開閉搬送路90を構成している。
【0036】
入出金口20上に降雨した雨水は排水路315に集積され、さらに縦排水路317を通じて装置外部に排出される。
【0037】
図4は、本発明を備えた現金自動取引装置の紙幣取扱手段の制御関係を示すブロック図である。
図4において、制御手段35は、装置の本体制御手段106とバス109を介して接続され、本体制御手段106からの指令および紙幣入出金手段1の状態検出に応じて紙幣入出金手段1の制御を行い、また、紙幣入出金手段1の状態を、必要に応じて本体制御手段106に送る。紙幣入出金手段1の中では、各ユニット(入出金口20、紙幣判別手段30、一時保管庫40、紙幣搬送路50、入金庫60、出金庫70、リサイクル庫80、装填・回収庫81)の駆動モータや電磁ソレノイドやセンサと接続され、取引に応じて、センサで状態を監視しながら、アクチュエータを駆動制御する。
【0038】
図5は、本発明を備えた現金自動取引装置の背面扉を開いた際の外観を示す斜視図である。
【0039】
図5において、装置101の後扉101dおよび金庫筐体116の後面扉116bを開閉できるように構成し、図示のように、両扉101dおよび116bを開くと、それぞれに把手のついた収納庫が現れる。係員はこの把手により各収納庫を引き出し、操作することができる。
以上のような構成を採用することにより、紙幣の補充・回収操作、異常発生時のジャム紙幣の除去操作などがやり易くなり、操作性が向上する。なお、各収納庫にレールを設けておけば収納庫の引き出しはスムーズに行える。
【0040】
次に、紙幣処理手段1に備えられた入出金口20の構成の一例について図6〜図18を用いて説明する。
【0041】
図6〜図18は、入出金口20の扉であるシャッタ201の概略構成と表面の親水性の効果について説明するものである。
図6および図7は水平に設置された親水性の異なる基材の表面に水滴114が付着した状態を示したもので、図6は親水性をもたない疎水性の基材110の表面に水滴が付着した状態、図7は親水性を備えた親水性膜111の表面に水滴が付着した状態を示している。
【0042】
ここで図6に示した基材は例えばプラスチック成形材料を射出成形によって形成した基材であって、その表面は離型材が付着しているために疎水性を有し、水滴114との接触角をθ1とすると、この接触角θ1は、例えば70度以上となっている。そして、このような接触角をもつ疎水性基材110表面に水滴114が付着した場合には、水滴114は表面張力によって球形を保とうとする。
【0043】
一方、図7に示した例では、プラスチック成形材料を射出成形によって形成した基材115の表面に親水性を備えた親水性膜111を付着させており、水滴114との接触角をθ2とすると、この接触角θ2は、例えば50度以下となっている。したがって、水滴は表面に沿って広がり、隣接した水滴同士が融合することによって水膜となる。これにより、親水性膜111の表面に付着した雨滴は、その親水性膜111と速やかになじんで水膜を形成することができる。
本発明による親水性膜111は、親水性剤を含有した塗料を塗布することにより形成された塗膜として構成したものであってもよい。
【0044】
このようにすることにより、親水性剤を添加した塗料をシャッタの外表面に塗布するだけで、シャッタの外表面に容易に親水性膜を形成することができる。
【0045】
また、好ましくは、本発明による親水性膜111は、親水性剤を含有するクリア塗料を、基材の表面に上塗り塗膜として塗布することにより形成したものであってもよい。
これにより、上塗り塗膜を形成する透明なクリア塗料に親水性剤を含ませるだけで、シャッタの外表面に親水性膜111を形成することができる。特に、基材をプラスチックにより成形した場合には、プラスチック材料を所定の色相の材料で成形することにより、上塗り塗膜はクリア塗料なので基材の色相がそのまま現れるので、いかなる色相の基材に対しても自在に対応することができる。
【0046】
次に、図8〜図11を用いて、図6〜7に示した親水性処理を施したシャッタ表面板に角度θの傾斜を備えた入出金口扉の構成の一例について説明する。
【0047】
図8および図10はシャッタ表面板302が疎水性の場合を示しており、図9および図11は表面が親水性の場合を示している。
表面が疎水性の場合には、図6と同様に表面に降雨した雨水112は表面で多数の丸い水滴114となり、降雨量が増えるにしたがって個々の水滴のサイズは大きくなる。水滴のサイズが大きくなって表面張力による系止力より傾斜面による重力が大となると水滴はシャッタ表面板302の斜面に沿って下降してシャッタの下端302Aにまで到達する。シャッタ下端302Aでは水滴の一部は落下するが、一部はシャッタ下端の縁に沿って表面張力によって溜まり、シャッタ表面より大なる水滴113を形成する。
すなわち、降雨が継続した場合にはシャッタ表面板302全体に水滴114が付着し、シャッタ下端302Aにはより大きな水滴113が付着しつつ下端から滴下する。このような状態では、降雨した雨水の量にほぼ等しい量が雨だれ115となって順次滴下するので、シャッタ表面板302に蓄積する水滴量はほぼ一定の量を保持することになる。シャッタ下端302Aから雨だれ115となって滴下した水滴は排水路315に集積され、排水路315の傾斜に沿って矢印234方向に流れ、さらに縦排水路317を通じて装置外部に排出される構成である。
【0048】
図9および図11はシャッタ表面板302が親水性の場合を示しており、表面が親水性の場合には、表面に降雨した雨水112は表面で広がるので隣接する水滴同士が繋がって薄い水膜114aを形成する。薄く広がった水膜114aはシャッタ表面板302の傾斜面に沿って下降し、シャッタ下端302Aに水滴113となってシャッタ下端302Aに達する。シャッタ下端302Aに達した水膜は、水の表面張力によって下端部302Aで溜まった状態となる。シャッタ下端部302Aで表面張力によって保持しうる水滴量を超えた場合にはその分の水滴は雨だれ115となってシャッタ下端302Aから滴下する。シャッタ表面板302が親水性であっても、表面張力による水滴保持量が限界に達している場合には、降雨した雨水112の量にほぼ等しい水量が順次滴下するので、シャッタ表面板302に蓄積する水滴量はほぼ一定の値を保持することになる。
シャッタ下端302Aから雨だれ115となって滴下した水滴は排水路315に集積され、排水路315の傾斜に沿って矢印234方向に流れ、さらに縦排水路317を通じて装置外部に排出される構成である。
【0049】
ここで、シャッタ表面板302に蓄積する水分量を表面が疎水性の場合と親水性の場合とで比較すると、疎水性の場合には表面張力によって多数の水滴が表面全体に広く分布するのに対して、親水性の場合には水膜となってシャッタ下端302Aに溜まるのみなので、親水性の場合の方がシャッタ表面に蓄積される水分量が少ない。
【0050】
次に、親水性と水分量との関係を図12を用いて実例により説明する。
図12は、100mm×200mmの平板に接触角の異なる表面処理を行い、その短辺がθ=約18°傾斜するように配置して表面に水滴を噴霧し、平板表面の接触角と、平板に残留する水滴量との関係を示した図である。
図12の縦軸は、接触角がおよそ60°の場合の残留水滴量を100とした比で表わしている。図中の白丸のプロットは実測値であり、実線で傾向を示す。このように、接触角が小さいほど平板表面に残留する水滴量も低減していることがわかり、シャッタ表面を親水性とすることにより雨天の際にシャッタ表面に蓄積する水滴量を低減できる。図12より明らかなように、接触角は60°以下であることが望ましく、さらに好ましくは接触角が40°程度である。黒丸のプロットおよび破線については後に説明する。
【0051】
次に、排水補助部材の構成について説明する。図10および図11において説明したように、雨天の際のシャッタ表面に付着した水滴は表面張力によってシャッタの下端302Aにまとまって溜まる。特に、表面が親水性の場合にはシャッタ表面は薄い水膜になるので、シャッタ表面にある水分の大部分はシャッタ下端302Aに集中する。
【0052】
そこで、図13および図14に示すようにシャッタ下端302A先端に排水補助部材340を当接すれば、シャッタ下端302Aに溜まった水滴114が排水補助部材340に沿って矢印E方向に流れ出すので水滴を排出することができる。この排水補助部材340は例えば水に濡れやすい繊維からなる布ないし不織布であればより好適である。
【0053】
あるいは、布ないし不織布に限定されるものではなく、例えば排水路315の一部を突起状に成形して、その部分がシャッタ下端302Aに当接するように構成してもよい。
【0054】
図13に示したのはシャッタ302表面が疎水性の場合である。排水補助部材340を当接させることによってシャッタ下端302Aに溜まった水滴は排水することができるが、シャッタ表面全体に水滴114が付着した状態になっているために、これら表面の水滴114は排水することができず、結果として大部分の水滴はシャッタ表面に付着したままとなり、排水補助手段340の効果は少ない。
【0055】
一方、図14に示すように表面が親水性の場合には、水分の薄い膜114aの大部分がシャッタ下端302Aに集中しているので、排水補助手段340を当接することによって大部分の水分を排水することができ、排水補助手段340の効果が大きい。
【0056】
ここで、排水補助手段340はシャッタ下端302Aに当接するとしたが、例えば1mm以下程度の隙間があってもよく、この場合にシャッタ下端302Aに蓄積した水滴がシャッタ下端302Aよりも表面張力によってはみ出して排水補助手段340の表面に接すれば排水補助手段340に沿って排水することができる。
【0057】
ところで、図12に示した黒丸のプロットおよび破線は、図13および図14により説明したように、シャッタ下端302Aに排水補助部材340を当接した場合の接触角とシャッタ302表面へに残留する水滴量を示したものである。実線と破線の比較により、排水補助部材340を備えることにより、シャッタ下端302Aに蓄積する水滴を排水することができるので、シャッタ表面板302への残留水滴量が低減することがわかる。特に接触角が40°以下と小さい場合には、水滴の大部分が排水補助手段340によって排水されることがわかる。
【0058】
ここまで説明したように、シャッタ表面板302に親水性膜を備えるとともに排水補助手段340をシャッタ下端302Aに当接させることによって、シャッタ表面に蓄積する水滴の量を低減することができるので、雨天の際、あるいは雨が上がった直後に入金ないし出金のためにシャッタを開く場合でも、シャッタから装置内部に滴下する水滴量を低減できる。
【0059】
次に、図15〜図18を用いて、以上説明したシャッタ302表面に親水性処理を施すとともに排水補助手段340とを備えた入出金口扉の構成の一例について詳細に説明する。
【0060】
図15は、シャッタ201(入出金扉)が閉じた状態を示した斜視図である。
図16は、シャッタ201が開いた状態を示した斜視図である。
図15、16において、シャッタ201は矢印217a方向にスライドさせて開閉し、図16の図示201aの状態に移動して開き、利用者が紙幣投入口から出金時の紙幣を取り出し、入金時の紙幣を投入できるようにする。
【0061】
図17は、図15のB−B方向の断面図である。
図18は、図16のC−C方向の断面図である。
図17、18において、スライド部材310はスライドレール311aおよび311bの間を矢印217aないし矢印217b方向に移動自在に支持されており、シャッタ201のシャッタ表面板302は表面に親水性膜111を備えるとともにスライド部材310に載置されている。シャッタ下端302Aには排水補助手段340が当接されており、シャッタ下端302Aから雨水を矢印333に沿って排水路315まで排水できる。
【0062】
スライド部材310が矢印217aないし矢印332方向に移動することによってシャッタ201が開放されて入出金口202が開いて利用者が入金ないし出金が可能な状態となる。320はシャッタカバーであり、シャッタ201が開いた際にはこのシャッタカバー320内部に収納され、図16に示した状態となる。
【0063】
次に、シャッタを開閉する機構構成の一例についてやはり図15から図18により説明する。
【0064】
シャッタ201はスライド部材310に支持されており、シャッタ表面板302は図17に示した支持材325によってスライド部材310に取り付けられている。スライド部材310は図18に示した、例えば合成樹脂製のガイドレール239に設けられた溝に摺動自在に勘合して矢印217a方向に移動可能に支持されている。スライド部材310の他端は、合成樹脂製のガイド238によって支持されている。スライド部材310は両端を摩擦係数の低い合成樹脂によって支持されているので、スムースに矢印217a方向に移動可能である。
【0065】
図17のように、スライド部材310の一端にはラック240が設けられており、ギヤ241が回転するとスライド部材310はラック240によって移動する構造である。ギヤ241と対面側にはスライド部材310にガイドローラ242が押し付けられており、ギヤ241とラック240との噛み合いが外れることのない構成である。
図18のように、ガイドローラ242はガイドローラシャフト243およびガイドローラ支持プレート244によって支持されている。ギヤ241はシャフト245を介して減速ギヤ246と連結されており、減速ギヤ246は図17に示したモータ247に接続されたピニオンギヤ248と噛み合っている。モータ247が回転すると、減速ギヤ246を介して減速され、ギヤ241が回転してラック240が動作してシャッタ201が矢印217方向に移動する。図15のシャッタ閉状態からシャッタを開くにはモータ247を反時計方向に回転させれば良く、図16に示したシャッタ開状態からシャッタ201を閉じる際にはモータ247を時計方向に回転させれば良い。
【0066】
次に、雨天の際にシャッタ上に降雨した雨水を装置外部に排水する構成について図15から図18を用いて説明する。
なお、図15および図16においては、後述する雨水カバーは省略して描いてある。
【0067】
排水路315は、雨水を受け入れて流すことができる構成であり、図15ないし図16の(イ)部より(ロ)部が低くなるように傾斜して配置されているので、雨水はイ部よりロ部の向きに矢印234方向に流れる。
【0068】
排水補助手段340はシャッタ表面板302の手前側の端面(下端)302Aに接するように配置されており、排水補助手段340に沿って流れる水滴は下部排水路315の内部に滴下するように構成されている。
【0069】
縦排水路317は、下部排水路315部まで流れてきた雨水を矢印318方向に排水する管である。縦排水路317は装置の外部にまで、雨水を排水する。側面排水路316aと316bはシャッタ302の両側面に沿って配置されており、側面排水路の下端は下部排水路315に接続されており、側面排水路316aないし316bを流れてきた雨水は下部排水路315に合流する構成である。側面排水路は底面が尖ったV字形の形状にしておくと、流水の水量が少ない場合にも流速が速くなるので雨水に含まれる沈殿物が沈殿するのを防止できるので好都合である。
シール材321はシャッタカバー320と雨水カバー312の間、下部排水路315と雨水カバー313の間、側面排水路316と雨水カバー314の間に互いに圧接されるように配置された例えば柔軟なゴム製の部材であって、雨水や外気が装置内部へ侵入するのを防止する。
【0070】
図17に示したように、シャッタ201の上流側に配置される雨水カバー312の先端312tの下端は、シャッタ表面板302の上流側の端部ないし端部近傍に配置された突起302aの上端より下流側にかつ低く配置されて入れ子状をなしており、矢印330方向に流れる雨水ないしシャッタ201の表面に降雨した雨水の進入を防止している。
【0071】
図18に示したように、シャッタ201の側面に配置される雨水カバー314の下端314atおよび314btはシャッタ表面板302の側面の端部ないし端部近傍に配置された突起302bおよび302cの上端より内側にかつ低く配置されて入れ子状をなしており、矢印334ないし335方向に流れる雨水ないしシャッタ表面に降雨した雨水の進入を防止している。
【0072】
図17に示したように、シャッタ表面板302の下流側においては雨水カバー313とシャッタ表面との間には空隙が設けられ、シャッタ表面板302上に降雨した雨水ないしシャッタ周囲に降雨してシャッタ上を矢印332方向に流れる雨水が通過可能な構成としている。
【0073】
さらに、入出金口のシャッタ201を開ける時にシャッタ表面板302上に蓄積された水分が装置内部に落下することは避けたいので、シャッタ上面に蓄積する水分量を低減することが望ましい。そこで、シャッタ表面板302に図7のように親水性膜111を付加するとともに、シャッタ下端302Aに排水補助手段340を当接させることによってシャッタ表面の水滴を排水補助手段340に沿って図17のように矢印333に沿って排水路315内部に流出させ、その結果シャッタ表面板302の表面に蓄積する水分量を低減できる構成である。
【0074】
次に、上記で説明したシャッタの構成を備えた入出金口を設けた現金自動取扱装置の動作を図19、図20で説明する。
【0075】
図19および図20に示すように、入金取引時に利用者が紙幣を入金するときは、スライド部材310を動作してシャッタ201を矢印217a方向に動かして開き、入出金口20を開口して前板204、押板203、後板205の間に紙幣210が矢印222方向に投入されるようにする。
【0076】
次に、図21のように、この入金された紙幣を繰り出し動作時、シャッタ201を矢印217b方向に動かして閉じ、押板203でフィードローラ206の方向すなわち矢印403方向に押し付け、押板203a、前板204aの状態にして、フィードローラ206の回転動作により送り出し、繰り出し方向には回転しないゲートローラ207で2枚送りを防止する。こうして、入出金口20の紙幣210は矢印208方向へ繰り出され、紙幣搬送路50に合流して装置内に取り込まれる。
【0077】
また、装置内から出金される紙幣や、入金時紙幣判別できない等の理由でリジェクトされる紙幣は、図22のように、装置内から矢印501j方向に搬送されてきて、回転するスタックローラ211とバックアップローラ213の間に送り込まれる。ブラシローラ212は、バックアップローラ213と同一軸上にあって弾性部材212aが図示のように放射状に配置してあり、図示せぬ駆動源により、バックアップローラ213とは独立して回転する。
スタックローラ211とバックアップローラ213の間に送り込まれた紙幣は、停止したブラシローラ212の弾性部材212aに接触し、弾性部材212aの弾性変形力により、スタックガイド214との間で、摩擦抵抗力を受けながら通過し、スタックローラ211とバックアップローラ213による挟持搬送力がなくなる図示破線215で示す紙幣位置で、一旦停止し、その直後に、ブラシローラ212を回転し、押板203a、後板205aの間の空間に集積する。紙幣210の集積枚数が増加するに応じて押板は203bの位置に移動し、これにより、紙幣210は、収納空間内で、上方向に飛び出すことなく、ブラシローラ212により水平方向に掻き出すだけで、連続して搬送される紙幣同志が干渉することなく、上下の不整列が少なく、整然と集積される。
集積された紙幣210は、後板205と押板203に挟まれたまま図23に示す位置に移動され、シャッタが矢印217a方向に移動して201aの位置に開けられて取り出し準備が完了する。そこで、利用者は紙幣210を取り出すことができる。
【0078】
次に、再び図3および図4を参照して紙幣処理手段1における紙幣210の処理の手順について説明する。
紙幣判別部30は、詳細は図示してないが、1対のローラ間を紙幣が搬送されたときのローラの変位を検出して、2枚重なりかどうか検出する2枚検知部と、イメージセンサ等で紙幣の印刷等を検出して紙幣の金種、真偽を判別する鑑別部から構成され、各通過紙幣の判別結果を制御部35に報告する。
【0079】
一時保管庫40は、入金取引時、入出金口20から入金され、紙幣判別部30で金種が確定した紙幣を順次収納し、取引が成立するまで一旦保留し、取引成立後、順次放出する機能を有する。
【0080】
本実施例では、出金取引時、紙幣判別部30で金種が確定しないリジェクト紙幣を収納し、出金動作が終了するまで一旦保留し、動作終了後、出金リジェクト収納動作時、リジェクト紙幣を放出する機能を有する。
【0081】
再び図3において、入金庫60は、本実施例では1ヶ実装している。入金庫60に収納する紙幣は、紙幣搬送路(矢印901a)から、図示しない切り替えゲートによって矢印902aの方向に搬送され、前記入金庫60内に連続して搬送される紙幣同志は干渉することなく集積する。出金庫70は、本実施例では1ヶ実装しており、出金用の紙幣は、係員により整列してセットされ、矢印902eの方向に一枚ずつ搬送され、紙幣搬送路の矢印901dの方向に搬送される。
【0082】
リサイクル庫80は、本実施例では、1ケ実装しており、前述の紙幣を連続して収納する入金庫60と紙幣を連続して分離繰り出す出金庫70の機能を併せ持って、収納と分離繰り出しのできる収納庫である。
【0083】
装填・回収庫81は、リサイクル庫80と同一の構成で、後述のように、入出金取引には用いないが、リサイクル庫として運用してもよい。
【0084】
次に、本実施例の紙幣入出金手段の動作について説明する。
入金取引動作時は、利用者が入金した紙幣を計数する入金計数動作と、計数した金額を利用者が承認して「確認」を入力した後、金種毎に個別の収納庫に収納する入金収納動作に区別される。利用者が入金取引きを中止するために「取消」を選択した場合には、取消返却動作を行う。
【0085】
入金計数動作時、入出金口20に投入された紙幣は、一枚ずつに分離され、矢印501a,501bを通って、紙幣判別部30によって、紙幣の金種、真偽を判定される。判別ができた紙幣は、図示しない切替えゲートを切り替え、矢印501cから501dの方向へ搬送され、一時保管庫40に一旦収納される。紙幣判別部30で、判別できなかった紙幣や、傾きや紙幣同志の間隔の異常となった入金リジェクト紙幣は、一時保管庫40には取り込まれず、図示しない切り替えゲートを切り替えて、矢印501fを通過し、入出金口20に収納され、利用者に返却される。
【0086】
入金収納動作時は、一時保管庫40の回転ドラム401を収納時とは逆に回転し、巻き取られていた紙幣は、収納時とは逆の順に逆の方向に矢印501dに送出され、501c,501bと搬送され、紙幣判別部30を通過し、図示しない切り替えゲートを切り替え、501g,501h,901aを経由し、入金庫60、リサイクル庫80、のいずれかの図示しない切替えゲートを切り替えて指定の収納庫に収納する。この時、紙幣判別部30で再度金種、真偽等を判定し、収納庫を指定してもよいが、入金計数時に一時保管庫40に収納する際の全紙幣の判別結果を記憶する手段を持って、その記憶内容に基づき、収納庫を指定してもよい。後者の方が、収納庫の指定に要する処理時間を短縮でき、紙幣搬送路のうち矢印501g,501h,901aの部分を短縮できる。
【0087】
利用者が「取消」を選択して取消返却動作を行う際には、一時保管庫40の回転ドラム401を収納時とは逆に回転し、図示しない切替えゲートを切り替え、巻き取られていた紙幣は、収納時とは逆の順に矢印501e、501fに搬送され、入出金口20に収納して、利用者に返却する。
【0088】
出金取引時は、出金庫70、リサイクル庫80の各金種毎の金庫から所定の枚数づつ繰り出し、矢印901d、901c、901b、901a、501h,501gと経由して、紙幣判別部30で、金種を判別し、矢印501c、501fを経由して入出金口20に収納し、利用者に支払われる。紙幣判別部30で判別できない出金リジェクトが発生した場合には、その紙幣は、図示しない切替えゲートを切り替え、一時保管庫40に、入金計数時と同様に矢印501c、501dを経由して一旦収納する。不足分の紙幣は出金庫70やリサイクル庫80から追加し繰り出される。
【0089】
出金取引時にリジェクトが発生し、一時保管庫40に収納した場合には、出金リジェクト収納動作を行う。
本実施例では、出金リジェクト紙幣は、一時保管庫40から、すべて入金庫60に収納する。あるいは、紙幣判別部30を通過する際に、再度金種、真偽を判別し、判別可能な紙幣で、リサイクル庫80に収納できる金種の紙幣はリサイクル庫80に収納するようにすれば、リジェクト紙幣の枚数を低減でき、資金効率の向上がはかれる。
【0090】
上記の構成を備えた入出金口およびシャッタを備えることにより、シャッタの表面ないし周囲に降雨した雨水が装置内部に流入することを防止するとともに、それらの雨水を装置外部に排出できる、という効果がある。
【0091】
さらに、シャッタ表面に親水性膜を備え、さらに排水補助手段を備えることにより、シャッタ表面に溜まる水分量を低減することができるので、雨天の際、あるいは雨が上がった直後に入金ないし出金のためにシャッタを開く場合でも、シャッタから装置内部に滴下する水滴量を低減できる、という効果がある。
【0092】
【発明の効果】
入出金口のシャッタが雨天環境においても安定して動作でき、シャッタ表面に溜まる水分量を低減することができるので、入出金口が外気に接した外壁設置型の現金自動取引装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の現金自動取引装置の一実施例の外観を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の実施例に係る現金自動取引装置の制御関係を示すブロック図である。
【図3】図3は、本発明の現金自動取引装置の一実施例の構成を示す断面図である。
【図4】図4は、本発明の現金自動取引装置の紙幣取扱手段の制御関係を示すブロック図である。
【図5】図5は、本発明の現金自動取引装置の一実施例の背面扉を開いた際の外観を示す斜視図である。
【図6】図6は、本発明の現金自動取引装置の入出金口扉表面が疎水性の場合の水滴の状態を示す図である。
【図7】図7は、本発明の現金自動取引装置の入出金口扉表面が親水性の場合の水滴の状態を示す図である。
【図8】図8は、本発明の現金自動取引装置の入出金口扉表面が疎水性の場合の水滴の状態を示す斜視図である。
【図9】図9は、本発明の現金自動取引装置の入出金口扉表面が親水性の場合の水滴の状態を示す斜視図である。
【図10】図10は、本発明の現金自動取引装置の入出金口扉表面が疎水性の場合の水滴の状態を示す側面図である。
【図11】図11は、本発明の現金自動取引装置の入出金口扉表面が親水性の場合の水滴の状態を示す側面図である。
【図12】図12は、本発明の現金自動取引装置の入出金口扉表面の接触角と残留水滴量の関係を示す図である。
【図13】図13は、本発明の現金自動取引装置の入出金口扉表面が疎水性かつ排水補助手段を備えた場合の水滴の状態を示す側面図である。
【図14】図14は、本発明の現金自動取引装置の入出金口扉表面が親水性かつ排水補助手段を備えた場合の水滴の状態を示す側面図である。
【図15】図15は、本発明の現金自動取引装置の入出金口の構成を示す斜視図である。
【図16】図16は、本発明の現金自動取引装置の入出金口の他の構成を示す斜視図である。
【図17】図17は、本発明の現金自動取引装置の入出金口の構成を示す断面図である。
【図18】図18は、本発明の現金自動取引装置の入出金口の構成を示す別方向の断面図である。
【図19】図19は、本発明の実施例に係る入出金口の側面図である(待機時)である。
【図20】図20は、本発明の実施例に係る入出金口の側面図である(入金時)である。
【図21】図21は、本発明の実施例に係る入出金口の側面図である(繰り出し動作時)である。
【図22】図22は、本発明の実施例に係る入出金口の側面図である(出金時)である。
【図23】図23は、本発明の実施例に係る入出金口の側面図である(出金、シャッタ開時)である。
【符号の説明】
1…紙幣入出金手段、10…フロントフェース部、20…入出金口、30…紙幣判別部、40…一時保管庫、50…紙幣搬送路、60…入金庫、70…出金庫、80…リサイクル庫、101…現金自動取引装置、102…カード・明細票処理機構、107…表示手段、108…顧客操作手段、201…シャッタ、302…シャッタ表面板、310…スライド部材、312〜314…雨水カバー、315…下部排水路、316…側面排水路、317…縦排水路、321…シール材、340…排水補助手段。
Claims (4)
- 紙幣の投入と放出を行う入出金口を備えた紙幣取扱装置において、
前記入出金口には、表面に親水性膜を有し傾斜して設けられた開閉自在な入出金口扉と、前記入出金口扉の上に降雨した雨水を集積して装置外部に導いて排水する排水手段と、前記入出金口を前記入出金扉が塞いでいるときに前記入出金口扉の傾斜した下端に対向して設けられ、前記入出金口扉の下端に表面張力によって溜まった水滴と接触して、その水滴を前記排水手段に導く排水補助手段と、を備えたことを特徴とする紙幣取扱装置。 - 前記親水性膜は、親水性剤を含有する塗料を塗布して形成されたことを特徴とする請求項1に記載の紙幣取扱装置。
- 前記入出金口扉は合成樹脂で成形されており、前記親水性膜は、親水性剤を含有する透明な塗料を塗布して形成されたことを特徴とする請求項1に記載の紙幣取扱装置。
- 前記親水性膜は、水に対する接触角が60度以下となる膜で形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の紙幣取扱装置。
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