JP4184531B2 - スクリーン印刷装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、クリーム半田や厚膜回路形成用ペーストなどをプリント基板等の電子回路形成基板などに印刷するスクリーン印刷装置に関し、特にそのスクリーン版のクリーニングを行うクリーニング機構付きのスクリーン印刷装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スクリーン印刷装置は、例えば電子部品の回路実装工程におけるクリーム半田印刷工程に使用されるが、近年は電子機器の小型化による電子部品実装基板の微細化、高密度に伴って高精度印刷が要求されている。それに伴って、クリーニング機構付きスクリーン印刷装置においても種々の工夫がなされており、例えば特開昭63−302047号公報に開示されたものが知られている。以下、これを図4を参照しながら説明する。
【0003】
図4において、X、Y、Z、θ方向に位置決め可能なステージ7に固定されたプリント基板2を所定の開口を有するスクリーン版1の下面に位置決めする。左右方向に移動駆動する駆動手段5と昇降手段6にて支持された印刷スキージ4を左右に移動することによってスクリーン版1上の半田ペースト3をプリント基板2に印刷する。印刷されたプリント基板2は、ステージ7が下降することによりスクリーン版1から離れ、次工程に供給される。
【0004】
以上の動作を繰り返し行い、プリント基板2に半田ペースト3を印刷して行く。印刷の終了したスクリーン版1の裏面には残留半田ペーストが付着した状態になっており、この状態のまま次のプリント基板2の印刷を行うと、半田のにじみやブリッジの原因となり、印刷品質に影響を及ぼす。
【0005】
そこで、従来では所定枚数の印刷が終了した後、スクリーン版1の裏面の残留半田ペーストのクリーニングを行うように構成されている。
【0006】
次に、そのクリーニング機構部の一例について説明する。クリーナ紙8は送り出しホルダ9から引き出され、矢印C方向に移動して巻き取りホルダ10に巻き取られる。その中間のクリーナ紙8の下部にはエアシリンダ12により上下に往復駆動可能なクリーナスキージ11が配設されている。これらは往復台13に配設されている。往復台13は、駆動モータ16にて駆動されるピニオン14とラック15により、クリーナスキージ11の上方に溶剤塗布パイプ41が位置するクリーナ溶剤塗布位置(図示の位置)からスクリーン版1下面まで移動可能に構成されている。
【0007】
所定の印刷が終了後、クリーナスキージ11がスクリーン版1の下面に到着するまで往復台13を移動させる。その位置でクリーナスキージ11をスクリーン版1の下面に接触するまで上昇させ、その状態で往復台13を移動させることによりスクリーン版1の下面をこすりながら移動させてクリーニングを行う。
【0008】
クリーニング終了後はクリーナスキージ11を下降させ、クリーナスキージ11がクリーナ紙8と接触している分だけ巻き取りホルダ10で巻き取り、往復台13を元の位置に復帰させる。
【0009】
スクリーン版1の下面の汚れがひどい場合は、溶剤塗布パイプ41にてクリーナ紙8に溶剤を塗布してから上記クリーニング工程に入る。その時は、スクリーン版1の下面が溶剤で濡れているので、巻き取りホルダ10で溶剤で濡れていない部分が出るまで一定の長さを巻き取り、再度乾燥しているクリーナ紙8でクリーニングを行う。
【0010】
次に、溶剤塗布パイプ41の詳細構成を、図5、図6を参照して説明する。溶剤塗布パイプ41は、下部に長手方向のスリット43を有する大パイプ42と、その同軸上に固定され、上部に長手方向に複数の小孔45を有する小パイプ44と、大パイプ42と小パイプ44の間に充填された吸液性物質46にて構成されている。小パイプ44の一端には溶剤注入パイプ47が接続されている。注入された溶剤は小パイプ44内を充填した後、小孔45から排出され、吸液性物質46に浸透する。
【0011】
クリーナ紙8に溶剤を塗布する場合は、往復台13をクリーナ溶剤塗布位置に位置させた状態で、図5に仮想線で示すように、エアシリンダ12にてクリーナスキージ11を上昇させ、クリーナ紙8を大パイプ42のスリット43に露出している吸液性物質46に押し付けることによりクリーナ紙8に塗布している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような構成では、一度吸液性物質46に浸透した溶剤をクリーナ紙8に滲み込ませるように構成されているため、クリーナ紙8への溶剤塗布量を定量的にコントロールすることができないという問題がある。
【0013】
また、吸液性物質46に浸透した溶剤が長時間放置されて蒸発した場合や揮発性が高い場合には、次の溶剤塗布時には吸液性物質46に溶剤を浸透させる必要があり、溶剤が浸透するまでの時間、及び溶剤消費量の面で経済的とは言えないという問題がある。
【0014】
また、溶剤の種類によっては吸液性物質46に浸透させた後長時間放置していると、吸液性物質46が外気に触れているため固く乾いてしまう場合もあり得る。その結果、固くなった後は溶剤が吸液性物質46に浸透し難くなり、溶剤の塗布量が不安定になり、吸液性物質46の交換も必要になる等の問題があった。
【0015】
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、溶剤をクリーナ紙へ定量的にコントロールして塗布することができ、また溶剤が揮発し難く経済的に運用でき、また長時間放置しても交換等の定期的なメンテナンスの不要なクリーニング機構付きのスクリーン印刷装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
スクリーン版の下面に拭き取り材の上面を押圧手段にて押し付けながら押圧手段をスクリーン版に対して平行にかつ一方向に移動することによりスクリーン版をクリーニングするクリーニング機構を備えたスクリーン印刷装置であって、溶剤を帯状のスリットノズルから流出させて拭き取り材に塗布する溶剤塗布手段を設け、前記溶剤塗布手段が、帯状のスリットノズルと、スリットノズルの上方側部にスリットノズルと平行に配設されるとともに堰部を介して連通された液溜まりと、液溜まりの上方に配設された溶剤供給パイプと、溶剤供給パイプに接続され液溜まりの上部に設けられた溶剤注入口を備え、堰部から溢れ出た溶剤がスリットノズルから出るように構成したものであり、溶剤塗布手段に対する溶剤の供給量によって溶剤の塗布量を定量的にコントロールするのに、溶剤供給パイプからの溶剤注入口を通じた液溜まりへの供給量によって溶剤の塗布量を定量的にコントロールできるとともに、液溜まりと堰部によって拭き取り材に対して均等な塗布を実現することができる。
【0018】
また、スリットノズルの下面に開閉可能なシャッタを設けると、揮発性の高い溶剤でも揮発し難く、経済的に運用することができる。
【0019】
また、溶剤供給パイプに開閉可能なバルブを設けても、同様に揮発性の高い溶剤でも揮発し難く、経済的に運用することができる。
【0020】
また、液溜まりの上方に、液溜まりに入っている溶剤の量が満水であるか、満水でないかを感知するセンサを配設すると、液溜まりを満水にした状態での溶剤の供給量のコントロールによって安定的に精度の良い塗布量のコントロールを実現できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のクリーニング機構付きスクリーン印刷装置の一実施形態について図1〜図3を参照しながら説明する。なお、スクリーン印刷装置の全体構成及びクリーニング機構の一部は、図4を参照して説明した従来例と同一であり、共通の構成要素については同一参照番号を付している。
【0022】
送り出しホルダ9は回転自在でかつブレーキ機構が設けられ、巻き取りホルダ10にはその回転機構が設けられており、両者は所定間隔あけて往復台13に設置されている。拭き取り材であるクリーナ紙8は、送り出しホルダ9から引き出され、巻き取りホルダ10に巻き取られるように構成されている。送り出しホルダ9と巻き取りホルダ10の中間のクリーナ紙8の下部にはクリーナスキージ11が配設され、往復台13に固定されたエアシリンダ12によって上下に往復駆動可能に構成されている。往復台13には、回転軸にピニオン14を固定した駆動モータ16が設けられ、そのピニオン14がラック15に噛合され、駆動モータ16にて往復台13をスクリーン版1の下部位置と図示の溶剤塗布位置との間で往復移動可能に構成されている。
【0023】
次に、溶剤塗布部の構成を説明すると、図1の溶剤塗布位置の紙面の前後両側には一対の取付台20a、20bが配設され、その上に溶剤塗布ノズル21が水平にかつその下端がスクリーン版1の下面とほぼ揃うように配置され、取付具22a、22bにより固定されている。溶剤塗布ノズル21には、帯状に加工されたスリットノズル23が設けられ、スリットノズル23の上方側部にはスリットノズル23と平行に溶剤溜まり24が設けられ、堰部25を介してスリットノズル23と連通されている。溶剤溜まり24の真ん中上部に溶剤注入口26が設けられ、溶剤供給パイプ27が接続されている。
【0024】
溶剤供給パイプ27から供給された溶剤28は、溶剤注入口26から溶剤溜まり24に供給される。溶剤溜まり24に溜まった溶剤28はやがて、矢印Dで示すように、堰部25を越して溢れ出し、スリットノズル23内の溶剤垂れ面29をつたってスリットノズル23の最下端面に供給される。
【0025】
クリーナ紙8に溶剤を塗布する場合は、エアシリンダ12を作動させ、図3に破線で示す位置までクリーナスキージ11を挿入する。その後、上記のように溶剤28を供給する。塗布が終われば、再びエアシリンダ12を作動させ、クリーナスキージ11を下降させる。
【0026】
なお、溶剤28を供給する時、1回目の供給時は、溶剤供給パイプ27から必要な供給量に溶剤溜まり24の容積分の量を加えて供給する必要があるが、溶剤溜まり24の容積を前もって計算することにより解決される。2回目からの供給は、溶剤溜まり24が前もって満杯になっているため、必要な供給量のみを供給すれば、供給量と同量をスリットノズル23から供給することができる。
【0027】
また、スリットノズル23の下面には、取付具31により溶剤塗布ノズル23に固定されたエアシリンダ32により左右方向に開閉駆動可能なゴム等のパッキン材からなるシャッタ30が配設されている。また、溶剤供給パイプ27にはバルブ33が設けられている。
【0028】
これによって溶剤28が揮発性がありかつ長時間放置する時に、エアシリンダ32を作動させてシャッタ30を閉じ、かつバルブ33を閉じることによって内部の溶剤を密閉し、揮発を防ぐことができる。
【0029】
また、溶剤溜まり24の満水面には、液面センサ34が配設されている。液面センサ34は制御装置35を介してバルブ33を制御するように構成されている。これにより、乾燥、揮発等で溶剤溜まり24の溶剤の溜まり量が分からない場合に、溶剤供給パイプ27から少しづつ溶剤28を注入し、液面センサ34が感知したときに制御装置35を介してバルブ33を閉じることによって満水状態にできる。その後は、再びバルブ33を開け、必要な溶剤28の供給量のみを溶剤供給パイプ27から供給すれば、スリットノズル23から同量の溶剤28を供給することができる。
【0030】
次に、スクリーン版1のクリーニング動作について説明すると、所定の印刷が終了した後、クリーナスキージ11がスクリーン版1の下面に到着するまで往復台13を移動させる。その位置でクリーナスキージ11をスクリーン版1の下面と接触するまで上昇させ、スクリーン版1の下面をこすりながらスクリーン版1の全長にわたって往復台13を移動させてクリーニングを行う。
【0031】
クリーニング終了後はクリーナスキージ11を下降させ、クリーナスキージ11がクリーナ紙8と接触している分だけ巻き取りホルダ10で巻き取り、往復台13を元の位置に復帰させる。
【0032】
スクリーン版1の下面の汚れがひどい場合は、スリットノズル23とクリーナスキージ11が同軸上に来るように往復台13を移動し、エアシリンダ12を作動させてクリーナスキージ11をスリットノズル23に押し付け、上記溶剤塗布を行う。その後再びエアシリンダ12の作動によりクリーナスキージ11を下降させ、上記と同様のクリーニング動作を行う。その時はスクリーン版1の下面が濡れているので、巻き取りホルダ10で溶剤で濡れていない部分が出るまで一定の長さクリーナ紙8を巻き取り、再び乾燥しているクリーナ紙8でクリーニングを行う。
【0033】
【発明の効果】
本発明のスクリーン印刷装置によれば、以上のように溶剤を帯状のスリットノズルから流出させて拭き取り材に塗布する溶剤塗布手段を設けたので、溶剤塗布手段に対する溶剤の供給量によって溶剤の塗布量を定量的にコントロールすることができる。
【0034】
また、溶剤塗布手段が、帯状のスリットノズルと、スリットノズルの上方側部にスリットノズルと平行に配設されるとともに堰部を介して連通された液溜まりと、液溜まりの上方に配設された溶剤供給パイプとを備え、堰部から溢れ出た溶剤がスリットノズルから出るように構成すると、溶剤供給パイプからの溶剤の供給量によって溶剤の塗布量を定量的にコントロールできるとともに、液溜まりと堰部によって拭き取り材に対して均等な塗布を実現することができる。
【0035】
また、スリットノズルの下面に開閉可能なシャッタを設けると、揮発性の高い溶剤でも揮発し難く、経済的に運用することができる。
【0036】
また、溶剤供給パイプに開閉可能なバルブを設けても、同様に揮発性の高い溶剤でも揮発し難く、経済的に運用することができる。
【0037】
また、液溜まりの上方に、液溜まりに入っている溶剤の量が満水であるか、満水でないかを感知するセンサを配設すると、長時間溶剤の塗布をせず液溜まりの溶剤が減った場合でも、液溜まりを満水にした状態を検知でき、その後の溶剤の供給量のコントロールによって安定的に精度の良い塗布量のコントロールを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のクリーニング機構付きスクリーン印刷装置の概略構成を示す側面図である。
【図2】同実施形態におけるクリーニング機構の構成を示す、図1のA−A矢視図である。
【図3】同実施形態の溶剤塗布ノズルの詳細縦断側面図である。
【図4】従来例のクリーニング機構付きスクリーン印刷装置の概略構成を示す側面図である。
【図5】従来例における溶剤塗布部の縦断側面図である。
【図6】図5のB−B矢視底面図である。
【符号の説明】
1 スクリーン版
8 クリーナ紙(拭き取り材)
11 クリーナスキージ(押圧手段)
13 往復台
21 溶剤塗布ノズル(溶剤塗布手段)
23 スリットノズル
24 溶剤溜まり
25 堰部
27 溶剤供給パイプ
28 溶剤
30 シャッタ
33 バルブ
34 液面センサ
Claims (4)
- スクリーン版の下面に拭き取り材の上面を押圧手段にて押し付けながら押圧手段をスクリーン版に対して平行にかつ一方向に移動することによりスクリーン版をクリーニングするクリーニング機構を備えたスクリーン印刷装置であって、溶剤を帯状のスリットノズルから流出させて拭き取り材に塗布する溶剤塗布手段を設け、前記溶剤塗布手段が、帯状のスリットノズルと、スリットノズルの上方側部にスリットノズルと平行に配設されるとともに堰部を介して連通された液溜まりと、液溜まりの上方に配設された溶剤供給パイプと、溶剤供給パイプに接続され液溜まりの上部に設けられた溶剤注入口を備え、堰部から溢れ出た溶剤がスリットノズルから出るように構成したことを特徴とするスクリーン印刷装置。
- スリットノズルの下面に開閉可能なシャッタを設けたことを特徴とする請求項1記載のスクリーン印刷装置。
- 溶剤供給パイプに開閉可能なバルブを設けたことを特徴とする請求項1記載のスクリーン印刷装置。
- 液溜まりの上方に、液溜まりに入っている溶剤の量が満水であるか、満水でないかを感知するセンサを配設したことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のスクリーン印刷装置。
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