JP4183598B2 - 動弁装置におけるラッシュアジャスタ - Google Patents

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Description

この発明は、内燃機関における動弁装置のバルブクリアランスを自動調整するラッシュアジャスタに関するものである。
カムの回転によって吸気バルブあるいは排気バルブ(以下、単にバルブという)を開閉させる動弁装置においては、ラッシュアジャスタの組込みによってバルブクリアランスを自動調整している。
上記ラッシュアジャスタとして、特許文献1および2に記載されたものが従来から知られている。このラッシュアジャスタは、リフタボディのカムと接触する端板の下面に閉塞端を有するねじ孔を形成し、そのねじ孔にねじ係合されたアジャストスクリュを、ねじ孔の閉塞端部内に組込んだ弾性体によって軸方向に押圧し、上記ねじ孔の雌ねじとアジャストスクリュの雄ねじのそれぞれを、アジャストスクリュに負荷される押し込み荷重を受ける圧力側フランクのフランク角が遊び側フランクのフランク角より大きい鋸歯ねじとしたものが従来から知られている。
上記ラッシュアジャスタは、例えば、カムとバルブに設けられたバルブステム間に組込み、上記バルブステムをカム側に押圧するバルブスプリングの弾力によってバルブステムの端面をアジャストスクリュの端面に押し付け、その力をリフタボディを通してカムに伝え、カムの回転によってバルブが開閉するようにする。
上記のようなラッシュアジャスタの内燃機関への組込みにおいて、シリンダヘッドの熱膨張等によりバルブステムとアジャストスクリュ間にバルブクリアランスが生じようとすると、弾性体の押圧力によりアジャストスクリュが遊び側フランクに沿って回転しつつ軸方向に移動して上記バルブクリアランスを吸収する。
また、アジャストスクリュがバルブステムによって押込み力を受けると、雄ねじと雌ねじのねじ係合部に形成された軸方向のねじ隙間を詰めるまでアジャストスクリュが後退し、さらに押込み力がかかると互いに圧接する圧力側フランクにより上記押込み力を受けてアジャストスクリュが回転しつつ後退動するのを防止する。
反対に、バルブシートの摩耗等によりバルブステムエンドとカム軸間の距離が縮まると、アジャストスクリュはバルブステムから負荷される軸方向の変動荷重により徐々に押し込まれて後退し、その後退によってカムのベース円がリフタボディの端板と接触するバルブ閉鎖時にバルブが完全に閉まらなくなり圧縮漏れを引き起こすことを防止する。このとき、アジャストスクリュは前記軸方向の変動荷重の最小値が0となる位置から更にねじのガタ分だけ押し込まれ、それ以上は後退しない。
上記では、内燃機関に組み込まれた上記ラッシュアジャスタにおけるバルブクリアランスの調整作業を記述したが、このような調整の殆ど必要のない定常的な運転状態の時、アジャストスクリュは殆ど回転せず、ねじ孔の雌ねじとアジャストスクリュの雄ねじのねじ係合部間に形成されたねじ隙間の範囲内で軸方向変位を繰り返す。
すなわち、アジャストスクリュは、雌ねじと雄ねじのねじ山の圧力側フランクが互いに衝突する動作とねじ隙間の範囲内で離反する動作を繰り返す。
鋸歯状ねじが形成されたアジャストスクリュを採用する上記ラッシュアジャスタでは、ねじ面間の摩擦係数を一定の範囲に保つことが重要である。
すなわち、本来、僅かな滑りだけを許容し、係止するはずの圧力側フランクの摩擦係数が所定の値より小さくなると、ねじ面間で過剰な滑りが生じ、カムによって負荷される押し込み荷重によりアジャストスクリュがねじ孔内に回転しながら押し込まれて、バルブリフト量が小さくなる。
また、本来、滑るはずの遊び側フランクの摩擦係数が所定の値より大きくなると、シリンダヘッドの熱膨張などによりバルブクリアランスが増大した際に、ねじ孔からアジャストスクリュが回転しながら突出することが困難となり、結果として、ラッシュアジャスタが伸長せず、バルブクリアランスを詰めることができないので、タペット音を増大させることになる。
ねじ面間の摩擦係数が変化する原因として、
イ、低温時のオイル粘度の増大
ロ、耐久的使用によるねじ面粗さの低下
ハ、モリブデン(Mo)等の添加剤入り低摩擦オイルの使用
を挙げることができる。
低温時のオイル粘度の増大による摩擦係数の変化を防止する対策として、特許文献3および4に記載された発明においては、圧力側フランクを溝の形成によって細かく分断し、接近と離反を繰り返すねじ面間に介在する潤滑油の消散効果を高めるようにしている。
また、耐久的使用によるねじ面粗さの低下による摩擦係数の変化を防止する対策として、特許文献5に記載された発明では、ねじ面粗さをねじ面の摩耗量に比較して大きくすることで耐久的使用後も一定の摩擦係数を維持するようにしている。
さらに、低摩擦オイルの使用による摩擦係数の変化を防止する対策としては、ねじ面を低摩擦オイルに対して不活性の物質に表面改質することで、添加剤の反応を抑制することが有効である。
ここで、低摩擦オイルに対する不活性の物質の代表的なものとして、セラミックやダイヤモンドライクカーボンなどの高硬度被膜を挙げることができる。一般的に、このような高硬度被膜を摺動面の一方に施す場合、被膜処理される面は、被膜の密着性を高めるため、表面粗さが小さくなるように仕上げ加工される。
高硬度被膜の形成は、摺動による相手部材の摩耗を軽減すること、摩耗係数を小さく保ち、摺動抵抗を軽減することを目的とする。
動弁装置における摩擦損失の大部分はカムと摺動可能なリフタあるいはアジャスティングシムの接触部における摩擦損失に起因しており、その摩擦損失の低減化を図るため、特許文献6では、カムの外周にオイル溜りとしてディンプルを設け、カムと接触するリフタあるいはアジャスティングシムの接触面を表面粗さが小さく成るように仕上げ加工して、その仕上げ面に前記の高硬度被膜を形成し、摩擦損失の低減化を図るようにしている。
このような背景から、動弁装置におけるラッシュアジャスタにおいても、アジャストスクリュの外周に形成されたねじ面とねじ孔のねじ面における一方に凹凸加工を施し、他方のねじ面を面粗さが小さくなるよう加工して、その表面に高硬度皮膜を施すようにしている。
特開平11−324617号公報 特開平11−324618号公報 特表平3−5017858公報 アメリカ特許4981117号明細書 特開2001−397213号公報 特開2003−13710号公報
ところで、鋸歯状のねじ山が形成されたアジャストスクリュを採用するラッシュアジャスタにおいては、定常的な運転状態では前述の如く、ねじ面の相対運動が摺動ではなく、衝突と離反の繰り返しであり、また、摩擦係数も一定の範囲を超えて下がり過ぎてはいけないという点で、前述のような一般的な被膜形成法が適切であるとは限らない。
すなわち、ねじ面の一方に凹凸面を形成し、他方のねじ面を表面粗さが小さくなるように仕上げ加工し、その加工面に高硬度被膜を設けたラッシュアジャスタでは、耐久的使用後に、凹凸面の凸部が高硬度被膜により研摩され、一方、高硬度被膜側も研摩されて面粗さが小さくなり、ねじ面間の摩擦係数が極端に低下する。
ねじ面間の摩擦係数が所定の値より小さくなると、ねじ面間で過剰な滑りが生じ、カムによって負荷される押し込み荷重によってアジャストスクリュがねじ孔内に回転しながら押し込まれて、バルブリフト量が小さくなるという問題が発生する。
また、衝突と離反を繰り返す定常的な運転モードではねじ面間に衝撃荷重が加わるため、高硬度被膜に割れが生じ易く、凹凸の殆んどない仕上げ面上で高硬度被膜に一旦割れが生じると、短時間で広範囲に被膜の割離が拡がってしまうという問題が生じる。
この発明の課題は、耐久的使用に際しても、ねじ面間の摩擦係数を一定範囲内に保つことができるようにした動弁装置におけるラッシュアジャスタを提供することである。
上記の課題を解決するために、この発明においては、カムとバルブステム間において軸方向にスライド自在に組込まれ、カムと接触する端板の下面側にねじ孔が設けられたリフタボディと、そのリフタボディの前記ねじ孔にねじ係合されたアジャストスクリュと、前記ねじ孔の閉塞端部内に組込まれて前記アジャストスクリュを軸方向に押圧する弾性体とから成り、前記ねじ孔の雌ねじとアジャストスクリュの外周に形成された雄ねじのねじ山を、アジャストスクリュに負荷される軸方向の押込み荷重を受ける圧力側フランクのフランク角が遊び側フランクのフランク角より大きい鋸歯状とした動弁装置におけるラッシュアジャスタにおいて、前記雌ねじと雄ねじのいずれか一方のねじ山における圧力側フランクに梨地状の凹凸面を形成し、その凹凸面に低摩擦オイルに対して不活性な膜厚がほぼ均一な高硬度被膜を形成した構成を採用したのである。
ここで、高硬度被膜の被膜は摩耗を抑制し、耐久的使用に対してもねじ面間の摩擦係数を一定範囲に保つために、その硬度をHv1000以上とするのが好ましい。
また、ねじ面間の油膜の排除効果を耐久的使用後でも維持されるよう、高硬度被膜の表面粗さはRa1.6〜12.5とするのがよい。
上記と同様の目的から、梨地状凹凸面のディンプル形状は、等価円直径φ50〜500μm、深さ10〜50μmとするのが好ましい。
また、圧力側フランクが耐久的使用により摩耗しても最低限の摩擦係数が維持されるよう、梨地状凹凸面の最表面から深さ5μmの位置で負荷長さ率を10〜80%とするのがよい。
ここで、負荷長さ率とは、切断レベルにおける輪郭曲線要素の負荷長さの評価長さに対する比であり、JIS.B0601に規定されている負荷長さ率に準拠する。
この発明にかかる動弁装置におけるラッシュアジャスタにおいて、高硬度被膜として、イオンプレーティング法による窒化チタン(TiN)膜、窒化クロム(CrN)膜、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜、およびセラミック膜を採用することができる。
これらの高硬度被膜が設けられる圧力側フランクの凹凸面の形成に際し、ショットピーニング法を採用することができる。ここで、圧力側フランクが熱処理前の場合は、ブラスト材として、直径φ0.3〜1.2mmのステンレス鋼から成るラウンドカットワイヤやセラミック球を用いるようにする。
熱処理後の圧力側フランクに凹凸面を形成し、その凹凸面にDLC膜を設ける場合は、ブラスト材として、♯30〜80(595〜210μm)の炭化ケイ素(SiC)を用い、このブラスト材を圧力側フランクにショットピーニングして梨地状凹凸面を形成したのち、その梨地状凹凸面をバレル研摩してDLC膜を設けるようにする。
上記のように、雄ねじと雌ねじのいずれか一方のねじ山における圧力側フランクに凹凸面を形成し、その凹凸面に低摩擦オイルに対して不活性の高硬度被膜を形成したことにより、耐久的使用に対しても圧力側フランク間の摩擦係数を一定の範囲に保つことができ、ラッシュアジャスタの機能を充分に発揮させることができる。
以下、この発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は、この発明に係るラッシュアジャスタAをダイレクト型動弁装置のカム1とバルブステム2間に組み込んだ状態を示している。
バルブステム2は上端部にスプリングリテナ3を有し、そのスプリングリテナ3に付与されるバルブスプリング4の弾力によってバルブステム2は下端のバルブ5がバルブシート6に密着する方向に付勢されている。
図2に示すように、ラッシュアジャスタAはリフタボディ11を有している。リフタボディ11は、図1に示すように、シリンダヘッドBに形成されたガイド孔7内においてスライド自在とされる。このリフタボディ11はカム1と接触する端板12を上側に有し、その端板12の下面側にナット部材13が設けられている。ナット部材13は、フランジ13aを外周上部に有している。このナット部材13はリフタボディ11の内周に取付けた止め輪14によってリフタボディ11の端板12下面に当接する状態に保持されている。
ナット部材13に形成されたねじ孔15にはアジャストスクリュ16がねじ係合され、このアジャストスクリュ16は上側に組込まれた弾性体17により軸方向に押圧されてナット部材13の外側に設けられたキャップ状スペーサ18の底板に押し付けられている。
スペーサ18の上縁には半径方向外方に向く複数の突片19が設けられ、各突片19はナット部材13のフランジ13aに形成された切欠部20内にスライド自在に嵌合され、前記止め輪14によって切欠部20から下方に抜け出るのが防止されている。
上記スペーサ18は、突片19と切欠部20の嵌合により、ナット部材13に対して回り止めされ、かつ上下方向には移動自在とされている。
図3および図5に示すように、ねじ孔15の雌ねじ15aとアジャストスクリュ16の外周に形成された雄ねじ16aのねじ山は、アジャストスクリュ16に負荷される押し込み力を受ける圧力側フランク21a、21bのフランク角が遊び側フランク22a、22bのフランク角より大きい鋸歯状とされ、その鋸歯状ねじ山に前記弾性体17の押圧によってアジャストスクリュ16が回転しつつ軸方向に移動するリード角が設けられている。
また、ナット部材13におけるねじ孔15の内周には雌ねじ15aを周方向に分断する複数の軸方向溝23が形成されている。この軸方向溝23は雌ねじ15aと雄ねじ16aのねじ係合面間に介在するオイルの排除効果を高めるものであるため、形成しておくのが好ましい。
上記の構成から成るラッシュアジャスタAの動弁装置への組込みにおいて、シリンダヘッドBの熱膨張等によってバルブステム2とアジャストスクリュ16間にバルブクリアランスが生じると、弾性体17の押圧によってアジャストスクリュ16が遊び側フランク22aに沿って回転しつつ軸方向に移動して上記バルブクリアランスを吸収する。
また、アジャストスクリュ16がバルブステム2によって押し込み力を受けると、雌ねじ15aと雄ねじ16aのねじ係合部に形成された軸方向のねじ隙間をつめるまでアジャストスクリュ16が後退し、さらに押し込み力がかかると、互いに圧接する圧力側フランク21a、21bにより上記押し込み力を受けてアジャストスクリュ16が回転しつつ後退動するのを防止する。
反対に、バルブシート6の摩耗等によりバルブステム2の上端とカム1間の距離が縮まると、アジャストスクリュ16はバルブステム2から負荷される軸方向の変動荷重により徐々に押し込まれて回転しつつ後退し、カム1のベース円1aがリフタボディ11の端板12と接触するバルブ閉鎖時にバルブ5が不完全に閉鎖するのを防止する。このとき、アジャストスクリュ16は前記軸方向の変動荷重の最小値が0となる位置からさらにねじ隙間分だけ押し込まれ、それ以上は後退しない。
一方、バルブクリアランスの調整が必要のない定常的な運転状態の時は、アジャストスクリュ16は殆ど回転せず、ねじ孔15の雌ねじ15aとアジャストスクリュ16の雄ねじ16aのねじ係合部間に形成されたねじ隙間の範囲内で軸方向変位を繰り返す。
すなわち、アジャストスクリュ16の雄ねじ16aにおける圧力側フランク21bは雌ねじ15aの圧力側フランク21aに圧接する作動と、その圧力側フランク21a、21bが離反する作動とを繰り返し行う。このとき、圧力側フランク21a、21b間に介在する潤滑油(オイル)はねじ孔15の内周に形成された軸方向溝23からスムーズに排除される。このため、圧力側フランク21a、21bが接触する方向にアジャストスクリュ16が移動した際、圧力側フランク21a、21b間に潤滑油を挾み込むことがなく、アジャストスクリュ16が回転しつつ後退動してバルブリフト量が低下するという問題の発生を未然に防止することができる。
ラッシュアジャスタは、上記のようにアジャストスクリュ16の回転しつつ軸方向の移動によってバルブクリアランスを吸収するため、雌ねじ15aと雄ねじ16aのねじ係合部間の摩擦係数を小さくするのが好ましいが、小さくなり過ぎると、ねじ係合部間の隙間を詰める定常的な運転状態時にアジャストスクリュ16が回転してねじ孔15内に押し込まれ、バルブリフト量が低下する問題が発生する。
このため、雌ねじ15aと雄ねじ16aのねじ山における圧力側フランク21a、21b間の摩擦係数は一定の範囲に保つ必要がある。
そこで、実施の形態では、図3乃至図5に示すように、アジャストスクリュ16の外周に形成された雄ねじ16aの圧力側フランク21bに梨地状の凹凸面30を形成し、その凹凸面30上に低摩擦オイルに対して不活性な高硬度被膜31を設けるようにしている。
高硬度被膜31として、窒化チタン(TiN)膜、窒化クロム(CrN)膜、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜、セラミック膜を挙げることができ、実施の形態では硬度がHv1000〜1500のDLC膜31を採用している。
ここで、DLC膜31が施される梨地状凹凸面30が細かく鋭い凹凸面30であると、雌ねじ15aの圧力側フランク21aを摩耗させるばかりでなく、DLC膜31の密着性を低下させるため、梨地状凹凸面30の凹凸は比較的大きく滑らかな方が良い。
鋼から成る焼入れ前のアジャストスクリュ16に対して比較的大きく滑らかな凹凸を形成するには、角のないブラスト材を投射するショットピーニングが効果的である。ブラスト材として、ステンレス鋼(SUS)から成るワイヤをその直径と同程度の幅でカットし、端面の角を丸めたラウンドカットワイヤ(RCW)やセラミック球を挙げることができる。
一方、鋼から成る焼入れ後のアジャストスクリュ16に対して滑らかな凹凸を形成するには、鋭い角をもったブラスト材を用いてショットピーニングしたのち、バレル研摩してショットピーニングにより形成された凹凸の頂上を丸めるようにする。
ここで、凹凸面30上にDLC膜31を形成する場合、酸化ケイ素(SiO2 )や酸化アルミニウム(Al2 3 )等の酸化物等のブラスト材を用いると、DLC膜31の密着性を大きく損ねるので、ブラスト材として炭化ケイ素(SiC)を用いるのがよい。SiCを破砕したブラスト材はモース硬度13と非常に硬く、角が立っているため、焼入れ後のアジャストスクリュ16における圧力側フランク21bに対して容易に凹凸をつけることができる。この場合、凹凸の頂点は鋭くなるため、バレル研摩して角をとる必要がある。
図6(I)は凹凸面30上に設けられたDLC膜31の表面粗さ曲線を示し、そのDLC膜31の表面粗さはRa1.6〜12.5とされている。一方、図6(II)は、雌ねじ15aのねじ山における圧力側フランク21aの表面粗さ曲線を示し、その表面粗さはRa0.1〜3.2とされている。
DLC膜31の表面粗さをRa1.6〜12.5とすることにより、圧力側フランク21a、21bが接近する際に、そのフランク21a、21b間の油膜を効果的に排除することができる。この油膜の排除効果は、耐久的使用後にも維持させる必要がある。
実験的に、ねじ係合面は耐久的使用により5μm程度摩耗する。よって、凹凸の山の頂上から谷底までの幅(Pk−Pk)、換言するとディンプルの深さは、10μm以上が好ましく、ねじ山の形状崩れによる性能変化の生じない50μm以下が適当である。
また、ディンプルの面積を換算した等価円直径はφ50μm以下では充分な油膜の排除効果が得られず、500μm以上ではそれほど広くない圧力側フランク21bに均一に凹凸をつけることが困難になる。
よって、ディンプルの等価円直径はφ50〜500μmが好ましく、アジャストスクリュ16のスムーズな動きと量産時の製品のバラツキを保証するには100〜200μm程度がより好ましい。この点は、摩擦係数の低減を狙った潤滑油保持のためのディンプルの理想的な等価円直径がφ5〜100μmである特開2003−13710号公報に記載の発明と特徴的な違いがある。
上記表面形状を負荷長さ率という指標で見ると、圧力側フランク21a、21bを接触させた段階で負荷長さ率が10%以上であれば、アジャストスクリュ16のスムーズな動きに支障は無く、摩耗した段階で80%以下であれば、油膜の排除効果が得られ、圧力側フランク21a、21bに必要最低限の摩擦力が維持される。すなわち、凹凸の頂点は負荷長さ率が10%以上になる程度に丸められ、最表面から5μmの深さの位置で80%以下になるようにディンプルが形成されているようにする。
実験的に、上述のような梨地状凹凸面30をSUSのRCWやセラミック球のショットピーニングで形成するには、ブラスト材の直径をφ0.3〜1.2mm、投射空気圧を0.3〜0.8MPaで調整すればよい。また、熱処理された鋼のような比較的硬い素材にSiCをブラスト材としてショットする場合には、粒番号♯30〜80(ISO・ANSI/595〜210μm)を用いるのが適当である。
ここで、負荷長さ率とは切断レベルにおける輪郭曲線要素の負荷長さの評価長さに対する比のことをいう。
前記ショットピーニングで形成された凹凸は研摩等の機械加工と異なり、圧力側フランク21bに多数存在する凸部の頂点の高さがばらつくことになる。その結果、初めに、最も高い凸部の頂点でDLC膜31の一部が摩耗しても、粗さの範囲内で次々に新しいDLC膜31が雌ねじ15aの圧力側フランク21aと接触する。
一般に、DLC膜31は非常に薄く、1〜3μmの膜厚でコーティングされることが多い。近年の高密度DLC膜31の硬度はHv1000〜1500前後に設計されており、高硬度ではあるが、ラッシュアジャスタの圧力側フランク面に使用した場合、摩耗は免れ得ない。
下地の面粗さがDLC膜31の膜厚に対して小さく、仕上げ加工されている場合、あるいは凹凸面の凸部の頂点の高さが揃っているような機械加工面では、DLC膜31の厚さ分摩耗が進行すると、下地が突然露出して摩擦係数が急激に変化する。低摩擦オイルによる潤滑下では、DLC膜31の摩擦係数が約0.1であるのに対し、鋼同士ではトライボフィルムが形成されるため、0.04程度となる。
これに対し、ショットピーニングにより形成された梨地状凹凸面は凸部の高さ分布がDLC膜31の膜厚に対して広く、摩耗が徐々に進行しても次々に低い凸部の頂上にあるDLC膜31が荷重を支えることになり、その結果、常に安定した摩擦係数を得ることができる。また、凹凸面30上にDLC膜31を設けたことにより、DLC膜31に割れが生じてもDLC膜31が広い範囲にわたって割離するおそれはない。
実施の形態では、アジャストスクリュ16における雄ねじ16aの圧力側フランク21bにDLC膜から成る高硬度被膜31を形成したが、ねじ孔15における雌ねじ15aの圧力側フランク21aに高硬度被膜31を設けるようにしてもよい。
この発明にかかるラッシュアジャスタが組込まれた動弁装置の縦断正面図 図1のラッシュアジャスタを示す断面図 ナット部材とアジャストスクリュのねじ係合部を拡大して示す断面図 アジャストスクリュの雄ねじの一部を拡大して示す断面図 ナット部材とアジャストスクリュを一部切欠して示す分解斜視図 (I)はDLC膜の表面粗さを示すグラフ、(II)はナット部材の圧力側フランクの表面粗さを示すグラフ
符号の説明
1 カム
2 バルブステム
11 リフタボディ
12 端板
15 ねじ孔
15a 雌ねじ
16 アジャストスクリュ
16a 雄ねじ
17 弾性体
21a、21b 圧力側フランク
22a、22b 遊び側フランク
30 凹凸面
31 高硬度被膜

Claims (8)

  1. カムとバルブステム間において軸方向にスライド自在に組込まれ、カムと接触する端板の下面側にねじ孔が設けられたリフタボディと、そのリフタボディの前記ねじ孔にねじ係合されたアジャストスクリュと、前記ねじ孔の閉塞端部内に組込まれて前記アジャストスクリュを軸方向に押圧する弾性体とから成り、前記ねじ孔の雌ねじとアジャストスクリュの外周に形成された雄ねじのねじ山を、アジャストスクリュに負荷される軸方向の押込み荷重を受ける圧力側フランクのフランク角が遊び側フランクのフランク角より大きい鋸歯状とした動弁装置におけるラッシュアジャスタにおいて、前記雌ねじと雄ねじのいずれか一方のねじ山における圧力側フランクに梨地状の凹凸面を形成し、その凹凸面に低摩擦オイルに対して不活性な膜厚がほぼ均一な高硬度被膜を形成したことを特徴とする動弁装置におけるラッシュアジャスタ。
  2. 前記高硬度被膜の硬度をHv1000以上とした請求項1に記載の動弁装置におけるラッシュアジャスタ。
  3. 前記高硬度被膜の表面粗さをRa1.6〜12.5とした請求項1又は2に記載の動弁装置におけるラッシュアジャスタ。
  4. 前記梨地状凹凸面のディンプル形状を等価円直径φ50〜500μm、深さ10〜50μmとした請求項1乃至3のいずれかに記載の動弁装置におけるラッシュアジャスタ。
  5. 前記梨地状の凹凸面の最表面から深さ5μmの位置での負圧長さ率を10〜80%とした請求項1乃至4のいずれかに記載の動弁装置におけるラッシュアジャスタ。
  6. 前記高硬度被膜が、イオンプレーティング法による窒化チタン(TiN)膜、窒化クロム(CrN)膜、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜およびセラミック膜の一種から成る請求項1乃至5のいずれかに記載の動弁装置におけるラッシュアジャスタ。
  7. 熱処理前の圧力側フランクに形成された梨地状凹凸面を、直径φ0.3〜1.2mmのステンレス鋼から成るラウンドカットワイヤ、あるいはセラミック球を圧力側フランクに照射するショットピーニングにより形成した請求項1乃至6のいずれかに記載の動弁装置におけるラッシュアジャスタ。
  8. 熱処理後の圧力側フランクに形成された梨地状凹凸面を♯30〜80(595〜210μm)の炭化ケイ素(SiC)を圧力側フランクに照射するショットピーニングと、そのショットピーニング後のバレル研磨とにより形成し、その凹凸面にダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜を形成した請求項1乃至6のいずれかに記載の動弁装置におけるラッシュアジャスタ。
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