JP4183487B2 - コイルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はコイル製造方法に関し、特に小型かつ薄型のコイルに適したコイルの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の平面モータとして、駆動用のコイルとマグネットとが対向されて配置され、電磁的な相互作用によってトルクを発生させる薄型の平面モータは既に知られている。この平面モータなどに使用されるコイルの製造方法は、例えば特許文献1〜3などに開示されているが、コイルの製造方法のひとつとして、絶縁層と導体層とからなるフィルムを巻き芯のまわりに巻回した後に所定の厚みに切断する方法がある。
【0003】
以下、従来のコイルの製造方法について図8(a)〜(c)を用いて説明する。図8(a)において、1は巻き芯、2は導体層、3は絶縁層である。導体層2と絶縁層3とは接着されており、2層からなるフィルム4を形成している。巻き芯1は導電層2と電気的導通を確保した上で接合され、テンションをかけながらフィルム4を巻き芯1に巻き付けることにより、図8(b)に示すような巻回体5を得る。次にこの巻回体5を所定の厚さに切断して図9に示すようなコイル6を得ていた。切断の具体的方法としてはダイシングソー、ワイヤソー、放電加工等の方法が用いられてきた。導体層2としては、電気抵抗の低いCu等の金属が通常用いられ、切断時に伸びてバリを生じる。この際、積層された導体層2のバリ同士が互いに接触することにより、コイル6の短絡(コイル6における導体層2同士の短絡)を起こしてしまうという問題があった。
【0004】
この問題を解決するために、切断後にバリを除去するために、断面部分をエッチングする断面エッチング工程を加える工夫がなされてきた。すなわち、バリを良好に除去できれば、導体層2同士の接触によるコイル6の短絡を防止することができる。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−303013号公報
【0006】
【特許文献2】
特開平10−223427号公報
【0007】
【特許文献3】
特開平10−341549号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、断面エッチング工程を加えてコイル6を製造すると、以下のような課題を生じていた。すなわち、巻き芯1とフィルム4との間や、フィルム4同士間に間隙や巻きじわがあった場合、図9に示すような隙間9が生じ、この隙間9に臨む部分は導体層2が剥き出しになっているため、隙間9にエッチング液が入り込むことで導体層2が切断されてコイル6に断線部を生じることがあった。このため、切断前に隙間9に樹脂等の保護材を強制的に注入することも試みられてきたが、わずかな隙間9に保護材を均一に埋め込むことは困難であり、保護材の埋まらない隙間9ができてしまい、同様の問題を生じていた。
【0009】
また、切断時にコイル6に加わる力によって、導体層2の材料が伸びたり、導体層2と絶縁層3との間が剥離したりして断面品質が低下し、巻き芯1とフィルム4との間や、フィルム4同士間に隙間を生じる問題もあった。この問題を解決するために、図8(c)に示すように、巻回体5をジグ11にはめ込んで樹脂等の保持材12で固めた後に、ジグ11ごと巻回体5を切断することが行われてきたが、切断時にかかる力で保持材12および巻回体5に変形が生じ、十分な断面品質を得にくいという問題があった。
【0010】
また、従来はコイル6の直径が数十mmから数mm程度の比較的大きなサイズであったが、近年、コイル6を用いる電子機器の小型化に伴って直径が1mm程度の微小なコイル6が必要となっている。さらに、高占積率の実現のために、フィルム4の厚みも薄くなっている。このような、直径が5mm程度より小さい微小形状のコイル6では、隙間9の中に効果的に樹脂等の保護材を埋め込むことは非常に困難である。
【0011】
本発明は上記問題や課題を解決するもので、小型化や薄型化に対応する場合でも、導体層同士の接触による短絡、ならびに導体層の断線や断面品質の低下を生じることがないコイルの製造方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために本発明のコイルの製造方法は、巻回体を保持材により固定した状態で切断した後、前記保持材を加熱することにより、コイルの切断面におけるフィルムとフィルムとの間、あるいは巻き芯とフィルムとの間に生じる隙間に、前記保持材を埋め込んだことを特徴とする。
【0013】
この製造方法によれば、小型化や薄型化に対応する場合でも、導体層同士の接触による短絡、ならびに導体層の断線や断面品質の低下を生じることがないコイルの製造方法ならびにコイルを得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の本発明のコイルの製造方法は、導体層と絶縁層とを有する複数層のフィルムを巻き芯のまわりに巻回して巻回体を形成し、前記巻回体を保持材により固定した状態で所定の厚みに切断した後、前記保持材を加熱することにより前記巻回体の切断面におけるフィルムとフィルムの間、あるいは巻き芯とフィルムとの間に生じる隙間に、前記保持材を埋め込み、続いて、前記導体層同士の切断面での短絡を除去するための断面エッチングを行うことを特徴とする。
【0015】
この方法により、小型化や薄型化に対応できるコイルを製造するに際し、巻回体の切断面におけるフィルムとフィルムの間、あるいは巻き芯とフィルムとの間に生じる隙間に保持材が埋め込まれるので、断面エッチング工程を行った際でも、エッチング液が前記隙間に入り込まず、その結果、導体層同士の接触による短絡、ならびに導体層の断線や断面品質の低下を生じることがなく、小型かつ薄型のコイルの断面品質を向上することができる。
【0016】
請求項2に記載の本発明のコイルの製造方法は、導体層と絶縁層とを有する複数層のフィルムを巻き芯のまわりに巻回して巻回体を形成し、熱可塑性を有する保持材により前記巻回体を固定した状態で所定の厚みに切断した後、切断後の巻回体を保持材から取り出す前に、前記保持材を加熱して軟化させた状態で保持することにより、前記巻回体の切断面におけるフィルムとフィルムの間、あるいは巻き芯とフィルムとの間に生じる隙間に、前記保持材を埋め込み、続いて、前記導体層同士の切断面での短絡を除去するための断面エッチングを行うことを特徴とする。
【0017】
この方法により、小型化や薄型化に対応できるコイルを製造するに際し、巻回体の切断面におけるフィルムとフィルムの間、あるいは巻き芯とフィルムとの間に生じる隙間に、加熱して軟化された保持材が埋め込まれるので、断面エッチング工程を行った際でも、エッチング液が前記隙間に入り込まず、その結果、導体層同士の接触による短絡、ならびに導体層の断線や断面品質の低下を生じることがなく、小型かつ薄型のコイルの断面品質を向上することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のコイルの製造方法において、切断用のジグに設けた溝に巻回体をはめ込むことで前記巻回体を固定し、前記切断用のジグの溝における底面と壁面とのなす角度をθとした場合に、(θn+25°)>θ>(θn−25°)であることを特徴とする。
【0019】
この方法によれば、コイル断面の外周に接する多角形の少なくともひとつの内角をθnと、前記切断用のジグの溝における底面と壁面とのなす角度をθとの差が小さいため、切断工程時に、導体層が伸びたり、フィルム間や巻き芯とフィルムとの間の隙間が大きくなったりすることが抑制され、断面品質が低下することを抑制でき、ひいては、小型かつ薄型のコイルの断面品質を向上することができる。
【0020】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載のコイルの製造方法において、切断用のジグに設けた溝に巻回体をはめ込むことで前記巻回体を固定し、前記切断用ジグの溝の断面形状を、巻回体の断面形状と相似形にしたことを特徴とする。
【0021】
この方法によれば、切断用ジグの溝の断面形状を、巻回体の断面形状と相似形にしたので、切断工程時に、導体層が伸びたり、フィルム間や巻き芯とフィルムとの間の隙間が大きくなったりすることが抑制され、断面品質が低下することを抑制でき、ひいては、小型かつ薄型のコイルの断面品質を向上することができる。
【0022】
請求項5に記載の発明は、請求項1または2に記載のコイルの製造方法において、切断用のジグに設けた溝に巻回体をはめ込むことで前記巻回体を固定し、切断工程での巻回体の切り出し厚さをWとしたときに、前記切断用ジグの溝における底面および壁面から、保持材で保持された巻回体までの距離Lが、L<(W×3.5)を満たすことを特徴とする。
【0023】
この方法によれば、切断工程時に、導体層が伸びたり、フィルム間や巻き芯とフィルムとの間の隙間が大きくなったりすることが抑制され、断面品質が低下することを抑制でき、ひいては、小型かつ薄型のコイルの断面品質を向上することができる。
【0024】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れかに記載のコイルの製造方法において、巻き芯断面の各辺を結んだ多角形が鋭角を有することを特徴とする。
【0031】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図6を用いて以下に説明する。
(実施の形態1)
図1および図2は、本発明の第1の実施の形態にかかるコイルとその製造方法を示す。
【0032】
図1および図2において、1は最終的にコイル6の中心電極となる巻き芯、2は導体箔からなる導体層、3は絶縁層、12は樹脂等からなる保持材である。ここで、最終的にコイル6の中心電極となる巻き芯1は導電性のある材料を用いればよく、例えば、Cu、Al、やこれらを含む合金、鉄、ステンレス等を使用する。導体箔からなる導体層2の材料は導電材料を用いればよく、例えばCu、Al、または、それらを含む合金等を用いればよい。さらに好ましくは、導体層2として電気抵抗を低くするためにCuがよい。また、絶縁層3は絶縁性を有する樹脂フィルム等を用いればよく、さらにその上に接着性を有する接着層を塗布すれば、導体層2と絶縁層3との層間接着力を得ることができる。また、絶縁層3として、加熱処理により接着性を示す、例えばPET樹脂フィルムを用いれば、絶縁層3と接着層とを単一層で兼ねることができるため、さらによい。保持材12は、後述する切断工程において巻回体5を保持するときに使用するものであり、巻回体5を切断した後にフィルム4同士間、あるいは巻き芯1とフィルム4との間に生じる隙間9に充填することで、導体層2が露出することを防止し、エッチング工程において生じる断線を防止する。
【0033】
上記のごときコイル6を得るための製造方法を、図2を用いて以下に示す。
先ず、導体層2と絶縁層3との2層からなるフィルム4の端部を巻き芯1に接合する。巻き芯1と導体層2との接合方法は導電性の接着剤やハンダによる接合や、超音波接合によって実現できる。
【0034】
次に、巻き芯1の周りに前記2層のフィルム4を所定回数巻回して、図2(b)に示す巻回体5を作成する(巻回体作成工程)。例えば、巻き芯1の材料として直径約1.0mm、長さ60mmの台形断面のものを用い、4μm厚のCuからなる導体層2と1μm厚の接着層を兼ねたPETからなる絶縁層3との2層からなるフィルム4を巻き芯1に30回巻き付けた場合、巻回体5の直径は1.3mm程度になる。
【0035】
この巻回体5を120℃、30分の熱処理で層間接着を行った後、図4(c)に示すような切断用のジグ11にはめ込み、保持材12を充填して固化させることで固定した(保持固定工程)。ここで、切断用のジグ11としてはダイシングソーで容易に切断できる材料が好ましく、例えば等方性黒鉛材が適している。また、保持材12としては、加熱することで繰り返し軟化する性質を示すホットメルト系の仮止め接着剤を用いればよい。この場合に、絶縁層3に用いる材料が溶解しないような範囲の温度において作業を行う必要があるため、保持材12としては、比較的低温で粘度が低くなる材料が良く、例えば日化精工株式会社製アドフィックスやアドフィックス−A(製品名)が好ましい。本実施の形態では絶縁層3としてPETを用いたため、120℃で十分な粘度低下を得られる保持材12の材料としてアドフィックス(製品名)を用いた。また、ジグ11は等方性黒鉛材からなる幅15mm×長さ50mm×厚み5mmの板材に幅1.5mm×長さ50mm×深さ1.5mmの溝11aを設けたものを使用した。
【0036】
次に、このジグ11をダイシングソーにて250μm厚に切断して(切断工程)、図3(a)に示す状態にした後、ホットプレートで100〜110℃に加熱することで保持材12を軟化させた。この状態で少なくとも30秒以上、好ましくは1分間保持することにより図3(b)で示すように、巻回体5の切断面5aに残る保持材12が溶け出して切断面5aに存在する隙間に流れ込む(隙間埋込工程)。
【0037】
次に、巻回体5を取り出した後に超音波洗浄で13分間エタノール洗浄を行った(洗浄工程)。洗浄不足を起こすと巻回体5の切断面5aに保持材12が残ってエッチング不良を生じるが、洗浄過剰になると隙間に埋め込んだ保持材12までが剥離するので、切断面5aに保持材12が残ったり、隙間に埋め込んだ保持材12までが剥離しないように洗浄する必要がある。隙間に埋め込んだ保持材12を残したまま切断面5aを清浄化できる洗浄時間の範囲は、概ね5〜20分であるが、特に13分付近が最適である。
【0038】
次に、切断面5aにおける導体層2間ショートを除去するために、4.9wt%の塩化第2鉄水溶液に温度範囲22.5℃±0.5℃において6分間エッチング処理を行った(エッチング工程)。さらに純水で超音波洗浄を5分、流水洗浄を10分間行って残留イオンを除去した。この処理によって切断面5aの導体層2(Cu)が10〜20μm後退して層間ショートが完全に除去されたコイル6を得ることができる。なお、切断工程後の保持材12を剥離する工程において、隙間に保持材12を流し込む時間を取らず、完全に保持材12を洗浄してしまった場合には、従来と同様に、エッチング工程においてコイル6の断線が見られたが、本実施の形態においては断線するものは全くなかった。
(実施の形態2)
次に、本発明の第2の実施の形態にかかるコイルの製造方法を図4、図5を参照しながら説明する。
【0039】
図4において、5は巻回体、11は切断用のジグである。巻回体5における切断面5aの外周に接する多角形のうちの2つの内角(この場合は、台形形状のコイル6の鈍角側の各内角)θnは115°であり、切断用のジグ11の溝11aにおける底面11bと壁面11cとのなす角度θも115°としている。このジグ11を用いてダイシングソーにて250μm厚に切断したところ、断面における導体層2の伸び、およびフィルム4同士間や巻き芯1とフィルム4と間の隙間が抑制されており、良好な品質のコイル6を得た。
【0040】
一方、図5に示すように、ジグ11の溝の角度θを90°とした場合は、切断時に保持材12の変形が大きく、巻回体5が振動しながら切断される。したがって、導体層2の伸びや、フィルム4間や巻き芯1とフィルム4との間の隙間が大きくなり、断面品質が著しく低下した。また、場合によっては、巻回体5にかかる力によって巻回体5が破壊されてしまう場合もあった。
【0041】
また、ジグ11の溝の角度θが140°を超える場合も同様に、切断時における保持材12の変形が大きくなり、断面品質の低下が見られた。
よって、断面品質の維持には、ジグ11の溝の角度θとして、(θn+25°)>θ>(θn−25°)なる範囲においての切断を行えばよく、さらに好ましくは、溝の角度θと巻回体5の内角θnとの差を0として、切断用のジグ11の断面形状を巻回体5の断面形状と相似形にすることで、良好な品質のコイル6を得る効果が最大となる。
(実施の形態3)
次に、本発明の第3の実施の形態にかかるコイルの製造方法を図6、図7を参照しながら説明する。
【0042】
図6において5は巻回体、11は切断用のジグである。巻回体5(コイル6)の内角(この場合は、台形形状のコイル5の鈍角側の内角)θnは115°であり、ジグ11に設けた溝11aの角度θも115°であるが、さらに、巻回体5からジグ11の底面11bまでの距離Lを0.4mmとした。このジグ11を用いてダイシングソーにて250μm厚に切断したところ、断面における導体層2の伸びや、フィルム4間や巻き芯1とフィルム4との間の隙間が抑制されており、良好な品質のコイル6が得られた。
【0043】
一方、図7に示すように、巻回体5からジグ11の底面11bまでの距離Lを0.9mmとした場合は、切削時に保持材12の変形が大きくなり、巻回体5の倒れが生じ、切断面5aが平面にならないことが多くなった。このことより、導体層2の伸びや、フィルム4間や巻き芯1とフィルム4との間の隙間が大きくなり、コイル6の断面品質が著しく低下した。
【0044】
なお、保持材12の変形量を小さくするためには保持材12の量を低減すればよいが、巻回体5の切り出し厚さWにも依存するため、切断用のジグ11の溝11aにおける底面11bおよび壁面11cから保持された巻回体5までの距離をLとしたとき、L<(W×3.5)を満たす範囲であれば良好な断面を得ることができる。
【0045】
また、これら第1〜第3の実施の形態に示したコイル6を、電子機器の1例としての平面モータに用いることで、平面モータとしても、小型かつ薄型で、かつ信頼性が高いものを実現できる。さらに、この平面モータを電子機器の他の例としての振動モータに用いることで、小型かつ薄型で、かつ信頼性が高い振動モータを実現できる。
【0046】
また、この振動モータを電子機器のその他の例としての携帯端末の受信時動作用等に用いることで、携帯端末としても、小型かつ薄型で、かつ信頼性が高いものを実現でき、さらに、前記平面モータを記録媒体の回転手段として使用することで、電子機器のさらに他の例としての磁気記録用、あるいは層変化記録用、あるいは光磁気記録用のドライブ装置を、小型かつ薄型化して、かつ信頼性を向上させることができる。
【0047】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、導体層と絶縁層とを有する複数層のフィルムを巻き芯のまわりに巻回して巻回体を形成し、前記巻回体を保持材により固定した状態で所定の厚みに切断した後、前記保持材を加熱することにより前記巻回体の切断面におけるフィルムとフィルムの間、あるいは巻き芯とフィルムとの間に生じる隙間に、前記保持材を埋め込むことで、導体層同士の接触による短絡、ならびに導体層の断線や断面品質の低下を生じることがなくなり、小型かつ薄型のコイルを実現できるだけでなく、その断面品質を向上することができて、信頼性が向上する。
【0048】
また、切断後の巻回体を保持材から取り出す前に、前記保持材を加熱して軟化させた状態で保持することにより、前記巻回体の切断面におけるフィルムとフィルムの間、あるいは巻き芯とフィルムとの間に生じる隙間に、前記保持材を埋め込むことにより、小さな隙間に対しても保持材を良好に埋め込むことができて、導体層同士の接触による短絡、ならびに導体層の断線や断面品質の低下を確実に防止することができる。
【0049】
また、断面の外周に接する多角形の少なくともひとつの内角をθnとし、前記切断用のジグの溝における底面と壁面とのなす角度をθとしたときに、(θn+25°)>θ>(θn−25°)であるように製造したり、切断用ジグの溝の断面形状を、巻回体の断面形状と相似形にしたりすることで、切断工程時に、導体層が伸びたり、フィルム間や巻き芯とフィルムとの間の隙間が大きくなったりすることが抑制されて、断面品質が低下することを抑制できる。
【0050】
また、巻回体の切り出し厚さをWとしたときに、前記切断用ジグの溝における底面および壁面から、保持材で保持された巻回体までの距離Lが、L<(W×3.5)を満たすように製造することで、切断工程時に、導体層が伸びたり、フィルム間や巻き芯とフィルムとの間の隙間が大きくなったりすることが抑制され、断面品質が低下することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)および(b)は本発明の第1の実施の形態に係るコイルの製造方法により製造したコイルを示す正面断面図およびI−I線から見た矢視断面図
【図2】(a)および(b)はそれぞれ同コイルの製造方法の巻回体作成工程を示す斜視図、(c)は保持固定工程を示す斜視図
【図3】(a)および(b)は同コイルの切断工程後の状態を示す斜視図および隙間埋込工程を示す斜視図
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るコイルの製造方法におけるコイル切断用のジグの形状を示す正面図
【図5】比較例としてのコイルの製造方法におけるコイル切断用のジグの形状を示す正面図
【図6】本発明の第3の実施の形態に係るコイルの製造方法におけるコイル切断用のジグの形状を示す正面図
【図7】比較例としてのコイルの製造方法におけるコイル切断用のジグの形状を示す正面図
【図8】(a)および(b)はそれぞれ従来の製造方法の巻回体作成工程を示す斜視図、(c)は同従来の製造方法の保持固定工程を示す斜視図
【図9】(a)および(b)は従来の製造方法により製造したコイルを示す正面断面図およびIX−IX線から見た矢視断面図
【符号の説明】
1 巻き芯
2 導体層
3 絶縁層
4 フィルム
5 巻回体
5a 切断面
6 コイル
9 隙間
11 ジグ
12 保持材
Claims (6)
- 導体層と絶縁層とを有する複数層のフィルムを巻き芯のまわりに巻回して巻回体を形成し、前記巻回体を保持材により固定した状態で所定の厚みに切断した後、前記保持材を加熱することにより前記巻回体の切断面におけるフィルムとフィルムの間、あるいは巻き芯とフィルムとの間に生じる隙間に、前記保持材を埋め込み、続いて、前記導体層同士の切断面での短絡を除去するための断面エッチングを行うことを特徴としたコイルの製造方法。
- 導体層と絶縁層とを有する複数層のフィルムを巻き芯のまわりに巻回して巻回体を形成し、熱可塑性を有する保持材により前記巻回体を固定した状態で所定の厚みに切断した後、切断後の巻回体を保持材から取り出す前に、前記保持材を加熱して軟化させた状態で保持することにより、前記巻回体の切断面におけるフィルムとフィルムの間、あるいは巻き芯とフィルムとの間に生じる隙間に、前記保持材を埋め込み、続いて、前記導体層同士の切断面での短絡を除去するための断面エッチングを行うことを特徴としたコイルの製造方法。
- 切断用のジグに設けた溝に巻回体をはめ込むことで前記巻回体を固定し、前記切断用のジグの溝における底面と壁面とのなす角度をθとした場合に、
(θn+25°)>θ>(θn−25°)
であることを特徴とした請求項1または2に記載のコイルの製造方法。 - 切断用のジグに設けた溝に巻回体をはめ込むことで前記巻回体を固定し、前記切断用ジグの溝の断面形状を、巻回体の断面形状と相似形にしたことを特徴とした請求項1または2に記載のコイルの製造方法。
- 切断用のジグに設けた溝に巻回体をはめ込むことで前記巻回体を固定し、切断工程での巻回体の切り出し厚さをWとしたときに、前記切断用ジグの溝における底面および壁面から、保持材で保持された巻回体までの距離Lが、
L<(W×3.5)
を満たすことを特徴とした請求項1または2に記載のコイルの製造方法。 - 巻き芯断面の各辺を結んだ多角形が鋭角を有することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のコイルの製造方法。
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