JP4182607B2 - 蓄エネ用フライホイールを有する車両の制御装置 - Google Patents

蓄エネ用フライホイールを有する車両の制御装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両走行時に回転させられることにより回転エネルギーを蓄積する蓄エネ用フライホイールを有する車両の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
(a) 燃料の燃焼で動力を発生するエンジンと、(b) 車両走行時に回転させられることにより回転エネルギーを蓄積する蓄エネ用フライホイールと、(c) その蓄エネ用フライホイールを動力伝達軸に対して連結、遮断するフライホイールクラッチと、(d) 車両停止時に前記フライホイールクラッチを解放して前記蓄エネ用フライホイールの自由回転を許容することにより、その蓄エネ用フライホイールのエネルギー蓄積状態を保持するクラッチ解放手段と、を有し、(e) 車両停止時に前記エンジンを停止させるとともに、再発進時に前記フライホイールクラッチを係合させて前記蓄エネ用フライホイールによりエンジンをクランキングして始動する技術が、エコランシステムなどで提案されている。特開昭58−98659号公報に記載の装置はその一例である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のエコランシステムにおいては、エンジンの再始動時にフライホイールクラッチを係合する際に、蓄エネ用フライホイールの回転エネルギーが駆動輪に伝わって駆動力が発生し、押出し感などの違和感を運転者に与える可能性があった。エンジンの再始動時だけでなく、何らかの理由でフライホイールクラッチが係合させられると、同様な問題が生じる。
【0004】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、車両停止中にフライホイールクラッチが係合することにより蓄エネ用フライホイールの回転エネルギーに起因して大きな駆動力変動が生じることを防止することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、第1発明は、(a) 車両走行時に回転させられることにより回転エネルギーを蓄積する蓄エネ用フライホイールと、(b) その蓄エネ用フライホイールを動力伝達軸に対して連結、遮断するフライホイールクラッチと、(c) 車両停止時に前記フライホイールクラッチを解放して前記蓄エネ用フライホイールの自由回転を許容するクラッチ解放手段と、を有する車両において、(d) 運転者のブレーキ操作とは別個に車両のブレーキ力を制御することができるブレーキ力制御手段と、(e) 前記蓄エネ用フライホイールのエネルギー蓄積量が所定値以上か否かを判断する蓄エネ状態判断手段と、(f) 車両停止時であって且つ前記蓄エネ状態判断手段によりエネルギー蓄積量が所定値以上と判断された場合に、前記ブレーキ力制御手段によって所定のブレーキ力を発生させるブレーキ保障手段と、を有することを特徴とする。
【0006】
第2発明は、(a) 燃料の燃焼で動力を発生するエンジンと、(b) 車両停止時に前記エンジンを停止させるエンジン停止手段と、(c) 車両走行時に回転させられることにより回転エネルギーを蓄積する蓄エネ用フライホイールと、(d) その蓄エネ用フライホイールを動力伝達軸に対して連結、遮断するフライホイールクラッチと、(e) 車両停止時に前記フライホイールクラッチを解放して前記蓄エネ用フライホイールの自由回転を許容するクラッチ解放手段と、を有する車両において、(f) 運転者のブレーキ操作とは別個に車両のブレーキ力を制御することができるブレーキ力制御手段と、(g) 車両停止時であって前記エンジン停止手段により前記エンジンが停止させられ且つブレーキ操作されている場合に、前記ブレーキ力制御手段によって所定のブレーキ力を発生させるブレーキ保障手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
第3発明は、(a) 車両走行時に回転させられることにより回転エネルギーを蓄積する蓄エネ用フライホイールと、(b) その蓄エネ用フライホイールを動力伝達軸に対して連結、遮断するフライホイールクラッチと、(c) 車両停止時に前記フライホイールクラッチを解放して前記蓄エネ用フライホイールの自由回転を許容するクラッチ解放手段と、を有する車両において、(d) 運転者のブレーキ操作とは別個に車両のブレーキ力を制御することができるブレーキ力制御手段と、(e) 車両停止時に前記フライホイールクラッチが係合させられるか否かを予測する係合予測手段と、(f) その係合予測手段によって前記フライホイールクラッチの係合が予測された場合に、前記ブレーキ力制御手段によって所定のブレーキ力を発生させるブレーキ保障手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
【発明の効果】
第1発明の蓄エネ用フライホイールを有する車両の制御装置においては、車両停止時であって且つ蓄エネ用フライホイールのエネルギー蓄積量が所定値以上の場合に、ブレーキ力制御手段によって所定のブレーキ力が発生させられるため、例えば車両停止時にエンジンの作動を停止させるエコランシステムにおいて蓄エネ用フライホイールの回転エネルギーでエンジンをクランキングして始動する場合、蓄エネ用フライホイールの回転エネルギーで発進する場合、或いはクラッチ解放手段の故障などにより、フライホイールクラッチが係合した時に、蓄エネ用フライホイールの回転エネルギーに起因して一時的に大きな駆動力が発生して運転者に違和感を与えることが防止される。蓄エネ用フライホイールの回転エネルギーで発進する場合は、例えばトルクコンバータ等の流体継手を有する場合はフライホイールクラッチの係合時の一時的なトルク変動が終了した後にブレーキ力制御手段によるブレーキを解除したり、フライホイールクラッチの係合後にブレーキ力制御手段によるブレーキ力を徐々に低下させるなどして、駆動力を滑らかに増大させるようにすれば良い。
【0009】
第2発明では、車両停止時であってエンジンが停止させられ且つブレーキ操作されている場合に、ブレーキ力制御手段によって所定のブレーキ力が発生させられるため、第1発明と同様に、フライホイールクラッチが係合した時に蓄エネ用フライホイールの回転エネルギーに起因して一時的に大きな駆動力が発生して運転者に違和感を与えることが防止される。エンジン停止手段によるエンジンの停止条件として、蓄エネ用フライホイールのエネルギー蓄積量が所定値以上であることが含まれている場合があるが、その場合は第1発明の一実施態様と見做すことができる。また、エンジン停止やブレーキ操作の有無に拘らず車両停止時に常時ブレーキ力を発生させる場合に比較して、ブレーキ力を発生させることによるエネルギーロスが低減される。
【0010】
第3発明では、車両停止時にフライホイールクラッチの係合が予測された場合に、ブレーキ力制御手段によって所定のブレーキ力が発生させられるため、第1発明と同様に、フライホイールクラッチが係合した時に蓄エネ用フライホイールの回転エネルギーに起因して一時的に大きな駆動力が発生して運転者に違和感を与えることが防止される。また、フライホイールクラッチが係合させられるか否かを予測し、係合が予測された場合に所定のブレーキ力を発生させるため、車両停止時に常時ブレーキ力を発生させる場合に比較して、ブレーキ力を発生させることによるエネルギーロスが一層低減される。
【0011】
【発明の実施の形態】
第2発明では、走行用駆動源としてエンジンを備えているとともに、車両停止時にそのエンジンを停止させるようになっているが、第1発明、第3発明についても、好適にはエンジン等の走行用駆動源と、車両停止時に走行用駆動源の作動を停止させる駆動源停止手段とを有して構成される。走行用駆動源としては、例えば電動モータおよび燃料電池を備えていて、車両停止時に燃料電池の作動が停止させられるものでも良い。
【0012】
蓄エネ用フライホイールは、例えば車両停止時にエンジンを停止させるエコランシステムにおいてエンジンをクランキングして再始動するために用いられるが、車両を発進させるために用いられるものでも良いし、その両方で用いられるものでも良いなど、その使用目的は必ずしも限定されない。また、蓄エネ用フライホイールの配設位置は、走行用駆動源とトルクコンバータ等の流体継手との間や、流体継手と自動変速機との間など、使用目的に応じて種々の配設形態を採用できる。なお、トルクコンバータ等の流体継手や自動変速機は必ずしも本発明に必須のものではない。
【0013】
運転者のブレーキ操作によってブレーキ力を発生するブレーキ装置と、ブレーキ力制御手段によってブレーキ力を制御するブレーキ装置とは、同じであっても良いし異なるものであっても良い。ブレーキ装置は、常用ブレーキでもパーキングブレーキでも良い。ブレーキ力制御手段によって発生させられる所定のブレーキ力は、例えば車両を停止状態に維持できるように予め定められた一定値(例えば最大ブレーキ力など)であっても良いが、路面勾配や乗車人数等の車両状態に応じて異なる値が設定されるようになっていても良いなど、適宜設定される。
【0014】
第1発明では、前記蓄エネ用フライホイールのエネルギー蓄積量が所定値以上か否かを判断する蓄エネ状態判断手段を有し、その蓄エネ状態判断手段によってエネルギー蓄積量が所定値以上と判断された場合に前記ブレーキ保障手段によるブレーキ力制御を行うようになっているが、第2発明、第3発明についても、蓄エネ状態判断手段によりエネルギー蓄積量が所定値以上と判断された場合だけ、ブレーキ保障手段によるブレーキ力制御を行うようにすることが望ましい。これにより、ブレーキ力制御によるエネルギーロスを一層低減できる。上記エネルギー蓄積量の所定値は、フライホイールクラッチの係合で大きな駆動力変動を生じさせることがない値に設定され、例えば蓄エネ用フライホイールによるエンジンの始動や車両の発進が可能か否かの判定値をそのまま用いるようにしても良い。
【0015】
また、蓄エネ用フライホイールと駆動輪との間に、駆動輪側へ動力伝達できる駆動状態と、駆動輪側への動力伝達を遮断する非駆動状態とを成立させることができる変速機等の動力伝達装置を有する場合は、その動力伝達装置が駆動状態か否かを判断する駆動状態判断手段を設け、その駆動状態判断手段によって動力伝達装置が駆動状態と判断された場合だけ前記ブレーキ保障手段によるブレーキ力制御を行うようにすることが望ましい。これにより、ブレーキ力制御によるエネルギーロスを一層低減できる。
【0016】
第3発明で、ブレーキ力制御手段によってブレーキ力を発生するブレーキ装置が油圧式摩擦係合装置の場合、車両停止時であってそのブレーキ装置が作動させられていない場合には、ブレーキ力が発生する直前のスタンバイ状態になるように油圧を制御するブレーキスタンバイ手段を設けることが望ましい。その場合は、フライホイールクラッチの係合予測が為された場合にブレーキ力を速やかに発生させることが可能で、応答遅れによる大きな駆動力変動の発生が抑制される。
【0017】
第3発明の係合予測手段は、例えばフライホイールクラッチを係合させるための係合指令信号の出力の有無や、フライホイールクラッチが電磁クラッチの場合には励磁電流の出力の有無などで係合を予測することができるが、蓄エネ用フライホイールの回転速度変化や、フライホイールクラッチを介して蓄エネ用フライホイールの回転エネルギーが伝達される動力伝達軸のトルク変化、回転速度変化などから予測することも可能である。エンジン水温の低下などでエンジンを始動するためにフライホイールクラッチを係合させる場合など、特に応答性が要求されない場合は、所定のブレーキ力が発生するまでフライホイールクラッチの係合を遅らせることも可能である。
【0018】
車両走行時にフライホイールクラッチを係合させて蓄エネ用フライホイールに回転エネルギーを蓄積する制御は、例えばコースト走行時等に車両の運動エネルギーで蓄エネ用フライホイールを回転させることが望ましいが、自動変速機の変速段が車輪側から動力源側へ動力伝達を行わない場合など、走行用動力源により蓄エネ用フライホイールを回転して回転エネルギーを蓄積させることも可能である。
【0019】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明が適用された車両用駆動装置の概略構成図で、図2は中心線より下半分を省略した骨子図である。これ等の図において、燃料の燃焼で動力を発生するエンジン10の出力は、流体継手としてのトルクコンバータ12を介して自動変速機14に入力され、図示しない差動歯車装置および車軸を介して駆動輪へ伝達されるようになっている。トルクコンバータ12は、エンジン10のクランク軸16に入力クラッチ17および中間軸19を介して連結されたポンプ翼車18と、自動変速機14の入力軸20に連結されたタービン翼車22と、それらポンプ翼車18およびタービン翼車22の間を直結するロックアップクラッチ24と、一方向クラッチ26によって一方向の回転が阻止されているステータ28とを備えている。エンジン10は走行用駆動源に相当する。
【0020】
自動変速機14は、ハイおよびローの2段の切り換えを行う第1変速機30と、後進ギヤ段および前進4段の切り換えが可能な第2変速機32とを備えている。第1変速機30は、サンギヤS0、リングギヤR0、およびキャリアK0に回転可能に支持されてそれらサンギヤS0およびリングギヤR0に噛み合わされている遊星ギヤP0から成るHL遊星歯車装置34と、サンギヤS0とキャリアK0との間に並列に設けられたクラッチC0および一方向クラッチF0と、サンギヤS0およびハウジング41間に設けられたブレーキB0とを備えており、キャリアK0が前記入力軸20に連結され、リングギヤR0が中間軸44に連結されている。
【0021】
第2変速機32は、サンギヤS1、リングギヤR1、およびキャリアK1に回転可能に支持されてそれらサンギヤS1およびリングギヤR1に噛み合わされている遊星ギヤP1から成る第1遊星歯車装置36と、サンギヤS2、リングギヤR2、およびキャリアK2に回転可能に支持されてそれらサンギヤS2およびリングギヤR2に噛み合わされている遊星ギヤP2から成る第2遊星歯車装置38と、サンギヤS3、リングギヤR3、およびキャリアK3に回転可能に支持されてそれらサンギヤS3およびリングギヤR3に噛み合わされている遊星ギヤP3から成る第3遊星歯車装置40とを備えている。
【0022】
上記サンギヤS1とサンギヤS2は互いに一体的に連結され、リングギヤR1とキャリアK2とキャリアK3とが一体的に連結され、そのキャリアK3は出力軸42に連結されている。また、リングギヤR2がサンギヤS3に一体的に連結されている。そして、リングギヤR2およびサンギヤS3と中間軸44との間にクラッチC1が設けられ、サンギヤS1およびサンギヤS2と中間軸44との間にクラッチC2が設けられている。また、サンギヤS1およびサンギヤS2の回転を止めるためのバンド形式のブレーキB1がハウジング41に設けられている。また、サンギヤS1およびサンギヤS2とハウジング41との間には、一方向クラッチF1およびブレーキB2が直列に設けられている。この一方向クラッチF1は、サンギヤS1およびサンギヤS2が入力軸20と反対の方向へ逆回転しようとする際に係合させられるように構成されている。
【0023】
キャリアK1とハウジング41との間にはブレーキB3が設けられており、リングギヤR3とハウジング41との間には、ブレーキB4と一方向クラッチF2とが並列に設けられている。この一方向クラッチF2は、リングギヤR3が逆回転しようとする際に係合させられるように構成されている。
【0024】
このような自動変速機14は、例えば図3に示す作動表に従って後進1段および変速比が順次異なる前進5段のギヤ段のいずれかに切り換えられる。図3において「○」は係合状態を示し、空欄は解放状態を示し、「●」はエンジンブレーキを発生させるときの係合状態を示し、「△」は係合するが動力伝達に関係無いことを表している。クラッチC0〜C2やブレーキB0〜B4(以下、特に区別しない場合は単にクラッチCやブレーキBという)は、それぞれ油圧シリンダに作動油が供給されることにより、その油圧に基づいて摩擦材が摩擦係合させられる多板式、単板式、バンド式等の摩擦係合装置で、変速用の複数のATソレノイドバルブ98(図6参照)等によって係合、解放状態が切り換えられるようになっている。
【0025】
図5のシフトパターンに従って操作されるシフトレバー46(図4参照)がエンジンブレーキポジションである「3」ポジション、「2」ポジション、「L」ポジションのいずれかに操作されている時には、その最高速ギヤ段でエンジンブレーキが発生させられる。例えば、第1速ギヤ段(1st)のみで走行する「L」ポジションでは、ブレーキB4が係合させられることよってアクセルペダルの非操作状態(アクセルOFF)であるような非駆動(パワーOFF)走行においてエンジンブレーキが発生させられるが、シフトレバー46が「D」ポジションに操作されている第1速ギヤ段(1st)での走行時では、そのブレーキB4が解放させられることから、アクセルペダルの非操作状態であるような非駆動走行において一方向クラッチF2の滑りおよびリングギヤR3の空転が許容されるので、自動変速機14内において動力伝達経路が解放され、車両がエンジンブレーキが作用しない惰行走行とされる。第1速ギヤ段(1st)および第2速ギヤ段(2nd)で変速が行われる「2」ポジションでは、第2速ギヤ段(2nd)の走行時において、クラッチC0が係合させられることによりエンジンブレーキが可能とされ、「D」ポジションの第2速ギヤ段(2nd)ではクラッチC0が解放させられることにより一方向クラッチF0のすべりが許容されて惰行走行とされる。また、第1速ギヤ段(1st)〜第3速ギヤ段(3rd)で変速が行われる「3」ポジションでは、第3速ギヤ段(3rd)の走行時において、ブレーキB1が係合させられることによりエンジンブレーキが可能とされ、「D」ポジションではブレーキB1が解放させられることにより一方向クラッチF1のすべりが許容されて惰行走行とされる。
【0026】
上記シフトレバー46は、図5に示すように車両の前後方向に位置するP(パーキング)ポジション、R(リバース)ポジション、N(ニュートラル)ポジション、D(ドライブ)および4ポジション、3ポジション、2ポジション、L(ロー)ポジションへ操作されるとともに、Dポジションと4ポジションの間が車両の左右方向に操作されるようにその支持機構が構成されている。そして、Dポジションへ操作されると第1速ギヤ段(1st)〜第5速ギヤ段(5th)で変速制御を行うDレンジが設定され、4ポジションへ操作されると第1速ギヤ段(1st)〜第4速ギヤ段(4th)で変速制御を行う4レンジが設定され、3ポジションへ操作されると第1速ギヤ段(1st)〜第3速ギヤ段(3rd)で変速制御を行う3レンジが設定され、2ポジションへ操作されると第1速ギヤ段(1st)および第2速ギヤ段(2nd)で変速制御を行う2レンジが設定され、Lポジションへ操作されると第1速ギヤ段(1st)に固定するLレンジが設定される。また、シフトレバー46の近傍にはスポーツモードスイッチ48が設けられ、ステアリングホイール等に設けられた図示しないアップレンジスイッチやダウンレンジスイッチを操作することにより、運転者が任意に走行レンジ(Lレンジ〜4レンジ)を切り換えることができるようになっている。
【0027】
上記シフトレバー46には、図4に示すように油圧制御部50に設けられたマニュアルバルブ60がケーブルやリンク機構等を介して機械的に連結されており、機械式オイルポンプ52または電動オイルポンプ54からプライマリレギュレータバルブ56を介して供給される作動油が、シフトレバー46の操作ポジション(シフトポジション)に応じて前記クラッチCやブレーキBへ出力されるようになっている。機械式オイルポンプ52は、トルクコンバータ12のポンプ翼車18と一体的にエンジン10によって回転駆動されるもので、電動オイルポンプ54は、エンジン10の作動とは無関係に図6に示すコントローラ(ECU)62によって作動させられる。油圧制御部50にはまた、入力クラッチコントロールソレノイドバルブ58が設けられており、プライマリレギュレータバルブ56から供給される作動油の油圧を調圧制御することにより、前記入力クラッチ17を係合、解放、スリップ係合させるようになっている。入力クラッチ17は、前記クラッチCやブレーキBと同様な油圧式の摩擦係合装置である。
【0028】
図1に戻って、前記エンジン10のクランク軸16にはベルトやチェーン等の駆動装置66を介してモータジェネレータ68が接続されている。モータジェネレータ68は、エンジン10の始動時にクランキングしたり、ブレーキ操作時等に回生制動により発電して図示しないバッテリを充電したり、エアコン等の補機を駆動したりするもので、必要に応じてエンジン10との間にクラッチが設けられる。また、入力クラッチ17とトルクコンバータ12との間には、図2に示されているように蓄エネ用フライホイール70が配設され、フライホイールクラッチ72を介して中間軸19に対して連結、遮断されるようになっている。この蓄エネ用フライホイール70は、車両走行時に回転させられることにより回転エネルギーを蓄積する質量体で、本実施例ではエコラン後の発進時に車両を蹴り出して速やかに発進させることができる程度の回転エネルギーを蓄積できる質量を備えている。また、フライホイールクラッチ72は電磁式の摩擦クラッチ(電磁クラッチ)で、中間軸19は動力伝達軸に相当する。
【0029】
図6は、本実施例の車両用駆動装置の制御系統を示す図で、コントローラ62には図6の左側に示すスイッチやセンサ等から各種の信号が入力されるとともに、マイクロコンピュータによりROM等に予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行って右側に示す各種の装置等に制御信号などを出力することにより、例えばエンジン10の出力制御や自動変速機14の変速制御などを行う。図6の左側に示すフライホイール回転速度センサ74は、蓄エネ用フライホイール70の回転速度NFを検出するセンサで、エンジン回転速度センサ76はエンジン10の回転速度NEを検出するセンサで、車速センサ78は出力軸42の回転速度Nout (車速Vに対応)を検出するセンサで、入力軸回転速度センサ80は入力軸20の回転速度Nin(厳密にはクラッチC0の回転速度)を検出するセンサである。また、エンジン水温センサ82はエンジン水温Tw を検出するセンサで、AT油温センサ84はAT油温TAT(自動変速機14の作動油の温度)を検出するセンサで、シフトポジションスイッチ86はシフトレバー46のシフトポジション(操作ポジション)を検出するスイッチで、フットブレーキスイッチ88はフットブレーキ操作の有無を検出するスイッチで、アクセル開度センサ90はアクセルペダルの操作量(アクセル開度)θthを検出するセンサで、ペダル踏力センサ92は運転者のブレーキ要求量であるブレーキペダル93(図8参照)のペダル踏力(操作力)PBを検出するセンサでブレーキ要求量検出手段に相当する。常用ブレーキである車輪のブレーキ装置101は、油圧式摩擦係合装置(摩擦ブレーキ)で、基本的には図10の(b) に破線で示すようにブレーキペダル93のペダル踏力PBに対応して略直線的に制動力(油圧)が増加させられるようになっている。なお、エンジン10のスロットル弁はアクセルペダルに機械的に連結されて開閉制御されるようになっており、アクセル開度センサ90の代わりにスロットル弁開度センサを用いることもできる。
【0030】
また、図6の右側に示す点火装置94はエンジン10の点火制御を行うもので、噴射装置96はエンジン10の燃料噴射量を制御するもので、ATソレノイドバルブ98はクラッチCやブレーキBの係合、解放により変速制御を行うもので、ABSアクチュエータ100は車輪がロックしないようにホイールブレーキのブレーキ油圧を制御するものである。
【0031】
図7は、車両走行時に前記蓄エネ用フライホイール70に回転エネルギーを蓄積する際の作動を説明するフローチャートで、前記コントローラ62による信号処理によって所定のサイクルタイムで繰り返し実行される。
【0032】
図7のステップS1では、本制御に必要な各種の信号の読込み処理等を行い、ステップS2では、車速センサ78によって検出される車速V(出力軸回転速度Nout)に基づいて走行中か否かを判断する。走行中でなければ、ステップS3でフライホイールクラッチ72を解放するが、走行中の場合は、ステップS4で蓄エネ用フライホイール70のエネルギー蓄積量が所定量に達したか否かを、例えばフライホイール回転速度NFが予め定められた判定値NF* 以上か否かによって判断する。判定値NF* は、車両が停止した後の経過時間が例えば5分程度であれば、蓄エネ用フライホイール70によりエコラン後の発進時に速やかに車両を蹴り出すことができる程度の回転エネルギーに対応する回転速度で、蓄エネ用フライホイール70の質量や軸受部のフリクション等に応じて予め実験などにより一定値が設定されても良いが、発進時の駆動エネルギーに影響する乗車人数や積載重量などをパラメータとしてデータマップなどで設定されるようにしても良い。そして、エネルギー蓄積量が所定量に達しておれば、それ以上の回転エネルギーは必要ないため、ステップS3でフライホイールクラッチ72を解放して蓄エネ用フライホイール70を自由回転させる一方、所定量に達していない場合はステップS5以下を実行し、所定の条件下でフライホイールクラッチ72を係合させて回転エネルギーを蓄積する。
【0033】
ステップS5では、車両の運動エネルギーにより蓄エネ用フライホイール70を回転させて回転エネルギーを蓄積するのに適した回生モードか否か、具体的には例えばアクセルペダルが踏込み操作されていないアクセルOFFのコースト状態(エンジンブレーキ状態)か否かを判断する。回生モードでなければ、ステップS3でフライホイールクラッチ72を解放するが、回生モードの場合は、ステップS6で自動変速機14が変速中か否かを、例えばATソレノイドバルブ98に対する指令信号の出力状態や実際の変速比(=入力軸回転速度Nin/出力軸回転速度Nout )などに基づいて判断する。そして、変速中はイナーシャができるだけ少ない方が変速制御が容易であるため、ステップS7でフライホイールクラッチ72を解放するが、変速中でなければステップS8でフライホイールクラッチ72を係合させ、車両の運動エネルギーで蓄エネ用フライホイール70を回転させることにより回転エネルギーを蓄積する。
【0034】
フライホイールクラッチ72を急係合させると、蓄エネ用フライホイール70のイナーシャにより大きな駆動力変動が生じるため、上記ステップS8では例えば蓄エネ用フライホイール70の回転速度NFが所定の増加率で増加するように、フライホイールクラッチ72の係合制御を行う。また、次のステップS9では、蓄エネ用フライホイール70の回転速度NFの増加に伴う車速Vの減速度の増加を相殺するように、ブレーキ装置101のブレーキ力(制動力)をABSアクチュエータ100等のブレーキ力制御手段によって補正(低下)する。車速Vの減速度を補正する上で、蓄エネ用フライホイール70による回転エネルギーの蓄積は、ブレーキONすなわちフットブレーキが踏込み操作されている場合に行われることが望ましいが、ブレーキOFFでも蓄積することが可能で、その場合は回転速度NFがブレーキON時より小さな増加率で増加するようにフライホイールクラッチ72の係合制御を行うことが望ましい。
【0035】
ステップS10では、蓄エネ用フライホイール70のエネルギー蓄積量が所定量に達したか否かを、前記ステップS4と同様にして判断し、所定量に達していなければ前記ステップS5以下を繰り返し実行するが、所定量に達した場合にはステップS11でフライホイールクラッチ72を解放して蓄エネ用フライホイール70を自由回転させる。なお、ステップS9に続いてステップS4以下を実行するようにして、ステップS10、S11を省略しても実質的に同じである。
【0036】
なお、コントローラ62による一連の信号処理のうち、図7のステップS3を実行する部分は、車両停止時にフライホイールクラッチ72を解放して蓄エネ用フライホイール70の自由回転を許容することにより、その蓄エネ用フライホイール70のエネルギー蓄積状態を保持するクラッチ解放手段として機能している。
【0037】
前記コントローラ62はまた、図8に示すように、機能的に蓄エネ状態判断手段102、駆動状態判断手段104、エコラン手段106、フライホイールクラッチ係合予測手段108、車両停止判断手段110、ブレーキ判断手段112、第1ブレーキ保障手段114、第2ブレーキ保障手段116、ブレーキスタンバイ手段118、ブレーキ増圧手段120を備えており、図9に示すフローチャートに従って前記ABSアクチュエータ100を制御し、車両停止時に所定の条件下で所定のブレーキ力を発生させることにより、フライホイールクラッチ72の係合に伴う蓄エネ用フライホイール70の回転エネルギーによる大きな駆動力変動を防止するようになっている。図9のフローチャートは予め定められた所定のサイクルタイムで繰り返し実行される。
【0038】
図9のステップR1では、本制御に必要な各種の信号の読込み処理等を行い、ステップR2では車両の始動スイッチであるイグニッションスイッチがONか否かを判断し、ONの場合はステップR3以下を実行する。ステップR3は、前記駆動状態判断手段104によって実行されるもので、自動変速機14が車輪側への動力伝達が可能な駆動状態か非駆動状態かを判断するためのものであり、具体的にはシフトレバー46のシフトポジションがNまたはPであるか否かを、シフトポジションスイッチ86からの信号に基づいて判断する。本実施例では、エンジン10が停止するエコラン時においても、電動オイルポンプ54が作動させられることにより自動変速機14のクラッチCやブレーキBが係合させられ、シフトポジションに応じて所定の変速段が成立させられるようになっている。自動変速機14は、駆動輪側へ動力伝達できる駆動状態と、駆動輪側への動力伝達を遮断する非駆動状態とを成立させることができる動力伝達装置に相当する。
【0039】
そして、シフトレバー46のシフトポジションがNまたはPでない場合、すなわち自動変速機14が駆動状態の場合には、ステップR4を実行する。ステップR4は前記蓄エネ状態判断手段102によって実行されるもので、蓄エネ用フライホイール70のエネルギー蓄積量が、エコラン後の車両の発進時の蹴出しが可能な所定値以上か否かを、例えば蓄エネ用フライホイール70のエネルギー蓄積量に対応する回転速度NFが予め定められた最小値NFmin より大きいか否かによって判断する。最小値NFmin は、車両を速やかに発進させるのに必要な最小限の回転エネルギーに対応する回転速度で、前記判定値NF* よりも小さな一定値が予め設定されているが、乗車人数や積載重量等をパラメータとして定められるようにしても良い。そして、NF<NFmin の場合は、ステップR5で車両停止時にエンジン10を停止させるエコランを禁止するが、NF≧NFmin の場合はステップR6以下を実行する。
【0040】
ステップR6では、予め定められた所定のエコラン条件を満足するか否かを判断し、満足する場合はステップR7でエンジン10を停止する。エコラン条件は、本実施例では車速V=0、フットブレーキがON、アクセルOFF、エンジン水温Tw が所定値以上、AT油温TATが所定値以上等の全ての条件を満足することである。これ等のステップR6、R7は、前記エコラン手段106によって実行される。このエコラン手段106は、車両停止時にエンジン10を停止させるエンジン停止手段に相当する。
【0041】
ステップR8では、入力クラッチコントロールソレノイドバルブ58により入力クラッチ17を解放し、ステップR9では、フライホイールクラッチ72が何らかの理由で係合しても蓄エネ用フライホイール70の回転エネルギーで大きな駆動力変動(押出し感など)が生じないように、前記ABSアクチュエータ100により運転者のペダル踏力PBとは無関係に所定の制動力を発生させる。本実施例では、図10の(a) に示すように、ペダル踏力PBとは無関係に最大制動力BKfを発生させるようになっている。ステップR9は、前記第1ブレーキ保障手段114によって実行されるもので、この第1ブレーキ保障手段114は第1発明および第2発明のブレーキ保障手段として機能しており、ABSアクチュエータ100は、運転者のブレーキ操作とは別個に車両のブレーキ力を制御できるブレーキ力制御手段に相当する。
【0042】
前記ステップR6の判断がNOの場合、すなわちエコラン条件が成立しない場合は、前記モータジェネレータ68によりエンジン10をクランキングして始動するとともに、ステップR10で車速V=0か否かを判断する。このステップR10は前記車両停止判断手段110によって実行されるもので、車速V=0の場合は、ステップR11でブレーキペダル93が踏込み操作されていないか否かを前記フットブレーキスイッチ88からの信号によって判断する。このステップR11は前記ブレーキ判断手段112によって実行されるもので、ブレーキペダル93が踏込み操作されていないブレーキOFFの場合はステップR12でブレーキスタンバイ制御を行い、ブレーキペダル93が踏込み操作されている場合はステップR13でブレーキ増圧制御を行う。
【0043】
ステップR12は前記ブレーキスタンバイ手段118によって実行されるもので、ブレーキ装置101のホイールシリンダが制動側のストロークエンド付近まで達するとともにブレーキ力が発生する直前のスタンバイ状態になるように、ABSアクチュエータ100によってブレーキ油圧を制御する。また、ステップR13は前記ブレーキ増圧手段120によって実行されるもので、例えば図10の(b) に一点鎖線で示すように、蓄エネ用フライホイール70がエネルギーを蓄積していない通常時の制動力よりも所定量だけ高い制動力が得られるように、ABSアクチュエータ100によりペダル踏力PBに応じてブレーキ油圧を制御する。
【0044】
ステップR14では、前記フライホイールクラッチ係合予測手段108によりフライホイールクラッチ72が係合させられるか否かを、例えば蓄エネ用フライホイール70の回転速度NFの変化や、フライホイールクラッチ72を介して蓄エネ用フライホイール70の回転エネルギーが伝達される中間軸19等のトルク変化、回転速度変化などから予測する。これ等の何れか1つでフライホイールクラッチ72の係合予測を行うこともできるが、複数のパラメータを監視してより高い精度で係合予測を行うことも可能である。また、フライホイールクラッチ72を係合させるための係合指令信号の出力の有無や、フライホイールクラッチ72に対する励磁電流の出力の有無などに基づいて、その係合を予測することもできる。フライホイールクラッチ係合予測手段108は第3発明の係合予測手段として機能している。
【0045】
ステップR14でフライホイールクラッチ72の係合予測が為された場合は、ステップR15を実行し、フライホイールクラッチ72の係合に伴う蓄エネ用フライホイール70の回転エネルギーに起因して大きな駆動力変動(押出し感など)が生じないように、前記ABSアクチュエータ100により運転者のペダル踏力PBとは無関係に所定の制動力を発生させる。本実施例では、図10の(b) に実線で示すように、ペダル踏力PBとは無関係に最大制動力BKfを発生させるようになっている。ステップR15は、前記第2ブレーキ保障手段116によって実行されるもので、この第2ブレーキ保障手段116は第1発明および第3発明のブレーキ保障手段として機能しており、ABSアクチュエータ100は、運転者のブレーキ操作とは別個に車両のブレーキ力を制御できるブレーキ力制御手段に相当する。
【0046】
なお、車両発進のためにフライホイールクラッチ72が係合させられた場合は、フライホイールクラッチ72の係合に伴うトルクコンバータ12の一時的なトルク変動が終了した後に、ABSアクチュエータ100によるブレーキ制御を解除したりブレーキ力を徐々に低下させたりすることにより、駆動力を滑らかに増大させるようになっている。
【0047】
このように、本実施例ではシフトレバー46がN、P以外の駆動ポジションで自動変速機14が駆動状態であり、且つ蓄エネ用フライホイール70のエネルギー蓄積量が所定値以上のエコラン時に、ステップR9で最大制動力BKfが発生させられるとともに、非エコラン時であっても車速V=0の車両停止時であって且つフライホイールクラッチ72の係合予測が為された場合には、ステップR15で同じく最大制動力BKfが発生させられるようになっているため、例えばエコラン後に蓄エネ用フライホイール70の回転エネルギーで車両を発進させるためにフライホイールクラッチ72を係合させたり、フライホイールクラッチ72や電気系統の故障などでフライホイールクラッチ72が係合したりした場合に、蓄エネ用フライホイール70の回転エネルギーに起因して一時的に大きな駆動力が発生して運転者に違和感を与えることが防止される。
【0048】
また、蓄エネ用フライホイール70のエネルギー蓄積量が所定値以上の非エコラン時の車両停止時には、フライホイールクラッチ72が係合させられるか否かを予測し、係合が予測された場合に最大制動力BKfを発生させるため、車両停止時に常時ブレーキ力を発生させる場合に比較して、ブレーキ力を発生させることによるエネルギーロスが低減される。
【0049】
また、非エコラン時の車両停止時でブレーキOFFの時には、ステップR12でブレーキスタンバイ制御が為されてブレーキ力が発生する直前のスタンバイ状態にブレーキ装置101が保持されるため、フライホイールクラッチ72の係合予測が為された場合にステップR15でブレーキ力が速やかに高められ、応答遅れによる大きな駆動力変動の発生が抑制される。
【0050】
なお、上記実施例では入力クラッチ17とトルクコンバータ12との間に蓄エネ用フライホイール70が配設されていたが、図11に示すようにトルクコンバータ12と自動変速機14との間に蓄エネ用フライホイール70を配設することもできる。その場合は、車両走行時における蓄エネ用フライホイール70のエネルギー蓄積(回収)が効率良く行われる。
【0051】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、例えば前記ステップR13のブレーキ増圧制御は省略しても差し支えないし、車両発進のためのフライホイールクラッチ72の係合時にはブレーキ保障を行わず、異常によるフライホイールクラッチ72の係合時のみ、或いはその異常時および蓄エネ用フライホイール70によるエンジン始動時にのみブレーキ保障を行うようにしても良いなど、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された車両用駆動装置の概略構成図である。
【図2】図1の車両用駆動装置の骨子図である。
【図3】図1の自動変速機の複数のギヤ段とそれを成立させるための油圧式摩擦係合装置の作動状態との関係を説明する図である。
【図4】図1の油圧制御部が備えている油圧回路の一部を示す図である。
【図5】図1の車両用駆動装置のシフトレバーの操作ポジションを説明する図である。
【図6】図1の車両用駆動装置が備えている制御系統を説明するブロック線図である。
【図7】図1の車両用駆動装置において、車両走行時に蓄エネ用フライホイールに回転エネルギーを蓄積する際の作動を説明するフローチャートである。
【図8】図6のコントローラ(ECU)が備えている機能のうちブレーキ保障に関する部分を説明するブロック線図である。
【図9】図8の各機能によって実行される車両停止時のブレーキ保障を説明するフローチャートである。
【図10】図9のR9、R13、R15で制御される制動力を説明する図である。
【図11】本発明が好適に適用される車両用駆動装置の別の例を示す骨子図で、図2に対応する図である。
【符号の説明】
10:エンジン(走行用駆動源) 14:自動変速機(動力伝達装置) 19:中間軸(動力伝達軸) 62:コントローラ 70:蓄エネ用フライホイール 72:フライホイールクラッチ 100:ABSアクチュエータ(ブレーキ力制御手段) 102:蓄エネ状態判断手段 106:エコラン手段(エンジン停止手段) 108:フライホイールクラッチ係合予測手段(係合予測手段) 114:第1ブレーキ保障手段(ブレーキ保障手段) 116:第2ブレーキ保障手段(ブレーキ保障手段)
BKf:最大制動力(所定のブレーキ力)
ステップS3:クラッチ解放手段

Claims (3)

  1. 車両走行時に回転させられることにより回転エネルギーを蓄積する蓄エネ用フライホイールと、
    該蓄エネ用フライホイールを動力伝達軸に対して連結、遮断するフライホイールクラッチと、
    車両停止時に前記フライホイールクラッチを解放して前記蓄エネ用フライホイールの自由回転を許容するクラッチ解放手段と、
    を有する車両において、
    運転者のブレーキ操作とは別個に車両のブレーキ力を制御することができるブレーキ力制御手段と、
    前記蓄エネ用フライホイールのエネルギー蓄積量が所定値以上か否かを判断する蓄エネ状態判断手段と、
    車両停止時であって且つ前記蓄エネ状態判断手段によりエネルギー蓄積量が所定値以上と判断された場合に、前記ブレーキ力制御手段によって所定のブレーキ力を発生させるブレーキ保障手段と、
    を有することを特徴とする蓄エネ用フライホイールを有する車両の制御装置。
  2. 燃料の燃焼で動力を発生するエンジンと、
    車両停止時に前記エンジンを停止させるエンジン停止手段と、
    車両走行時に回転させられることにより回転エネルギーを蓄積する蓄エネ用フライホイールと、
    該蓄エネ用フライホイールを動力伝達軸に対して連結、遮断するフライホイールクラッチと、
    車両停止時に前記フライホイールクラッチを解放して前記蓄エネ用フライホイールの自由回転を許容するクラッチ解放手段と、
    を有する車両において、
    運転者のブレーキ操作とは別個に車両のブレーキ力を制御することができるブレーキ力制御手段と、
    車両停止時であって前記エンジン停止手段により前記エンジンが停止させられ且つブレーキ操作されている場合に、前記ブレーキ力制御手段によって所定のブレーキ力を発生させるブレーキ保障手段と、
    を有することを特徴とする蓄エネ用フライホイールを有する車両の制御装置。
  3. 車両走行時に回転させられることにより回転エネルギーを蓄積する蓄エネ用フライホイールと、
    該蓄エネ用フライホイールを動力伝達軸に対して連結、遮断するフライホイールクラッチと、
    車両停止時に前記フライホイールクラッチを解放して前記蓄エネ用フライホイールの自由回転を許容するクラッチ解放手段と、
    を有する車両において、
    運転者のブレーキ操作とは別個に車両のブレーキ力を制御することができるブレーキ力制御手段と、
    車両停止時に前記フライホイールクラッチが係合させられるか否かを予測する係合予測手段と、
    該係合予測手段によって前記フライホイールクラッチの係合が予測された場合に、前記ブレーキ力制御手段によって所定のブレーキ力を発生させるブレーキ保障手段と、
    を有することを特徴とする蓄エネ用フライホイールを有する車両の制御装置。
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