JP4182577B2 - ドーム型カバーとドーム型カバーの成形装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、威嚇を目的とせず、建物の天井や壁等に目立たないように設置されて、できるだけ監視を気づかせないようにしながら、監視用途に使用されるドーム型ビデオカメラ装置に適用するのに最適なドーム型カバー及びその成形装置の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、病院、ホテル、デパート等における安全の確保やサービス性の向上等を目的として、これらの建物の天井や壁等に目立たないように設置して、映像及び集音によって監視を行うようにしたドーム型ビデオカメラ装置がある。
この種、従来のドーム型ビデオカメラ装置は、筒型本体の前面にレンズ及びCCD(撮像素子)を収納した鏡筒を角度調整機構を介して3軸方向に回転調整自在に取り付けると共に、集音用マイクやモニター出力端子を取り付け、筒型本体の前面にアクリル樹脂等によって成形されたドーム型カバーを脱着可能に取り付けて、そのドーム型カバーで鏡筒の可動領域の外周を覆っている。そして、筒型本体はABS樹脂等によって成形された筒型本体内の前面側に角度調整機構を取り付けた板金製の前面側シャーシが組み込まれ、筒型本体内の背面側には監視室のモニターとの間を接続する同軸ケーブルの接続部が設けられている背面側シャーシが組み込まれ、筒型本体内の前面側シャーシと背面側シャーシとの間には回路基板が組み込まれている。
【0003】
そして、このドーム型ビデオカメラ装置を建物の天井や壁等に設置する際には、まず、監視室のモニターテレビとの間を接続する同軸ケーブルを筒型本体の背面の接続部に接続した後、集音用マイクを希望する方向に向けるようにして、筒型本体の大まかな取付位置を設定して、この筒型本体を背面側シャーシによって天井や壁等にネジ止めして固定する。次に、レンズの方位(方向及び角度)を角度調整機構によって希望する方位に調整し、レンズのズーム及びフォーカスを調整して、モニター画像を見ながら撮影方向及び撮影範囲を設定する。この際、モニター出力端子にモニター出力ケーブルを用いて携帯型モニターテレビを接続して、その携帯型モニターテレビを見ながら設置現場にて撮影方向及び撮影範囲を確認しながら設定することができる。そして、最後に、ドーム型カバーを筒型本体の前面に取り付けて防塵を行い、一連の設置作業を終了する。
【0004】
そして、従来のドーム型ビデオカメラ装置の角度調整機構は、鏡筒の基端(レンズ前面とは反対側)の外周に鏡筒ホルダーを挿入して、その鏡筒を鏡筒ホルダーに対して光軸の周りの方向である1軸方向に約130°の角度で回転調整自在に取り付け、そのレンズホルダーをレンズホルダー基台の上部に光軸に対して直角な方向である2軸方向に中心から約75°の対称角度で回転調整自在に取り付け、そのレンズホルダー基台を筒型本体内の前面側シャーシに2軸方向に対して直角な方向である3軸方向に約60°の角度で回転調整自在に取り付けて、3軸をほぼ櫓型に組み立てた3軸独立方式の角度調整機構を構成していた。なお、モニター出力端子がレンズホルダー基台に下向きに取り付けられて、そのンズホルダー基台と一緒に回転されるように構成されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この種従来のドーム型ビデオカメラ装置では、ドーム型カバーをアクリル樹脂等にて射出成形する場合に、ピンポイントゲート方式の成形金型を用いることが多い。しかし、ピンポイントゲートの直径は最大で1.5mm程度であり、溶融樹脂の射出スピードを早くする必要があることから、成形されたドーム型カバーに残留応力が残り、そのドーム型カバーを透して撮影する画像を歪ませている。また、溶融樹脂の射出後に背圧(保圧)を加えても、ピンポイントゲート内で溶融樹脂が早く固化してしまうために、キャビディ内の最奥端まで圧力を十分に加えることができず、肉厚のひけ現象による不良品が出易かった。なお、射出成形以外では、ドーム型カバーを真空成形によって成形する方法もあるが、真空成形方法は大量生産には向かず、著しくコスト高につくと言う問題があった。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであって、成形歪み等が発生しにくいドーム型カバーを得ることを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明のドーム型カバーは、
光透過性を有する合成樹脂によって射出成形されたドーム型カバーにおいて、開口端に沿ってほぼ一定ピッチの変肉部を形成したものである。
【0008】
上記のように構成された本発明のドーム型カバーは、サイドゲート方式の成形金型を用いて射出成形することによって、開口端の変肉部により、その開口端での樹脂の流れを遅くすることができるようにしたので、成形歪みが少ない、光学的に安定したドーム型カバーを得ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用したドーム型ビデオカメラ装置の実施の形態を図を参照しながら、以下の順序で説明する。
(1) ・・・ ドーム型ビデオカメラ装置の概要説明
(2) ・・・ 筒型本体の説明
(3) ・・・ 光学ブロックの説明
(4) ・・・ ユニバーサルジョイント機構の説明
(5) ・・・ ドーム型カバーの説明
(6) ・・・ ユニバーサルジョイント機構の取付用ストッパーの説明
(7) ・・・ ドーム型ビデオカメラ装置の取付け作業と、その際のモニター出力端子の使い方の説明
(8) ・・・ ドーム型カバーの成形装置の説明
(9) ・・・ ビデオカメラ装置の応用例の説明
【0010】
(1) ・・・ ドーム型ビデオカメラ装置の概要説明
まず、図1〜図9によってドーム型ビデオカメラ装置の概要を説明すると、ビデオカメラ装置の一例であるドーム型ビデオカメラ装置1は、筒型本体2と、その筒型本体2内の前面側に取り付けられて、光学ブロック3を3軸方向に回転調整自在に支持する単一構造からなるユニバーサルジョイント機構4と、筒型本体2の前面2aに脱着可能に取り付けられたドーム型カバー5等を備えている。
【0011】
そして、このドーム型ビデオカメラ装置1の直径D=105mm以下及び高さH=96.6mm以下に構成されていて、前述した従来のドーム型ビデオカメラ装置の直径=約120mm及び高さ=約105mmに比べて大幅に縮小された小型、軽量なドーム型ビデオカメラ装置1に構成されている。そして、筒型本体2の側面における正面2bには集音用マイク6が取り付けられていて、その正面2bにはこのドーム型ビデオカメラ装置1の正面位置を表示する表示部である製造会社名等のロゴマーク7が表示されている。また、筒型本体2の側面における裏面2cには、方形状の窓穴8が開口されていて、その窓穴8内にモニター出力端子9及びモニター画像微調整スイッチ10、その他のスイッチやボリューム等が横向きに配置されている。そして、この窓穴8は図9に示したスライド式のシャッター11によって開閉自在に構成されている。また、筒型本体2の背面2dには監視室のモニターテレビとの間を接続する同軸ケーブル(図示せず)の接続部である同軸ケーブルターミナル12が取り付けられているが、図3に示したように、このドーム型ビデオカメラ装置1を天井や壁等14に取り付けた際に、この同軸ケーブルターミナル12はその天井や壁等14の穴15内に埋め込まれることになる。従って、この同軸ケーブルターミナル12はこのドーム型ビデオカメラ装置1の高さH=96.6mm以下には含まれていない。
【0012】
そして、このドーム型ビデオカメラ装置1は、ユニバーサルジョイント機構4の3軸方向の回転中心Oが光学ブロック3の光軸F上の1点であって、ドーム型カバー5の内側球面5aの中心上に配置されていて、光学ブロック3をそのユニバーサルジョイント機構4によって回転中心Oの周りに3軸方向である矢印X、Y、Z方向に旋回運動(首振り運動)させることができるように構成されている。そして、特に、このドーム型ビデオカメラ装置1を天井14に取り付けた時の垂直基準Pに対する光学ブロック3の正面方向への最大回転角度θが72°と非常に大きな角度範囲に設定されている。また、ユニバーサルジョイント機構4の回転中心Oをドーム型カバー5の内側球面5aの中心上に配置したことにより、光学ブロック3を3軸方向に回転調整する際に、光学ブロック3の先端のレンズ301とドーム型カバー5の内側球面5aとの間の隙間Gを一定に保つことができ、その隙間Gが変化することによる撮影画像の歪みを防止することができるように構成されている。
【0013】
(2) ・・・ 筒型本体の説明
次に、図1、図7〜図9、図15〜図20によって、筒型本体2について説明すると、この筒型本体2は、筒型ケース21と、その筒型ケース21内に組み込まれたシャーシであるメインシャーシ22と、前面側カバー23と、背面側シャーシであるシャーシ蓋板24と、両面基板で構成された信号処理基板25及び電源基板26からなる2枚の回路基板等を備えている。そして、筒型ケース21はモールド部品(ABS樹脂等の成形品)で円筒状に成形されていて、その軸方向の両端には前面側開口21aと背面側(天井側)開口21bが形成されている。そして、前面側開口21aの外周にリング状のカバー取付部31が一体成形されている。
【0014】
そして、この筒型ケース21の正面の内側で、前面側開口21aの近傍位置には集音穴35が横向きに開口されていて、その集音穴35の内側にはマイク保持部36が一体成形されている。そして、この筒型ケース21の裏面に方形状の窓穴8が形成されていて、その窓穴8の内側で背面側開口21b側にシャッターガイド37が内周に沿った円弧状に一体成形されている。そして、この筒型ケース21の内側に挿入されてその内周に沿った円弧状に形成されたシャッター11における筒型ケース軸方向の両端を上記シャッターガイド37と後述する前面側カバー23に一体成形された円弧状のシャッターガイド38によって案内しながら、筒型ケース21の内周に沿って円弧状にスライドすることによって窓穴8を開閉することができるスライド式シャッター構造が構成されている。そして、この筒型ケース21の背面側開口21bの内周の3等分位置には、位置決め穴兼用のネジ挿通穴に構成された長穴39を有する2つの共締め用突起40と、ネジ挿通穴41を有する1つの共締め用突起41とからなる合計3つの共締め用突起40、41が一体成形されている。
【0015】
次に、メインシャーシ22は、アルミニウム合金その他の導電性を有する金属でダイキャスト成形されたものであって、中央リング状部51と、その中央リング状部51の外周の3等分位置から外方に放射状に延びる3つのアーム部52及び1つのアーム部53と、3つのアーム部52の先端の背面から筒型ケース21の軸方向に沿ってその背面側開口21b側へ平行状に延びる2つの位置決めピン54と1つの基板載置ピン55が一体成形されている。そして、合計4つのアーム部52、53の背面で、これらの先端近傍位置及び先端に筒型ケース21の軸方向における高さが低い合計4つの基板載置台56が一体成形されていて、2つの位置決めピン54の先端近傍位置の外周側と1つの基板載置ピン55の先端に筒型ケース21の軸方向における高さが高い合計3つの基板載置台57が一体成形されている。
【0016】
そして、信号処理基板25がその外側の3つの位置決め穴58によって合計3つの位置決めピン54及び基板載置台55に挿入されて合計4つの基板載置台56に合計4つの止ネジ59によってネジ止めされている。そして、電源基板26がその外周側に形成された2つの位置決め穴60によって2つの位置決めピン54の先端に挿入されて、合計3つの基板載置台57に合計3つの止ネジ61によってネジ止めされている。このように、2枚の回路基板である信号処理基板25と電源基板26を筒型ケース21内に2段に組み込むことによって、筒型ケース21の直径を小さくしながら、回路基板全体の面積を十分に拡大することができる。なお、これら信号処理基板25と電源基板26はフレキシブルプリント基板によって接続されている。
【0017】
この際、筒型ケース21の2つの共締め用突起40に断面形状がほぼコ字状に形成された2つのアーム接続用板バネ62が嵌合されていて、電源基板26をその板バネ62の内側に当接し、その板バネ62の外側に板金によって円板状に形成されたシャーシ蓋板24を当接する。そして、2つの位置決めピン54の先端をこれら板バネ62を貫通するようにして2つの共締め用突起40の長穴39を挿通してシャーシ蓋板24の外周の2つの位置決め穴兼用のネジ挿通穴である長穴63に内側から挿通する。そして、合計3つの止ネジ61をシャーシ蓋板24の2つの長穴63及び外周のもう1つのネジ挿通穴64から挿入して、合計3つの共締め用突起40、42の長穴39及びネジ挿通穴41を挿通して合計3つの基板載置台56、57上にネジ止めすることによって、合計3つの基板載置台56、57とシャーシ蓋板24との間で、電源基板26と合計3つの共締め用突起40、41と、合計2つの板バネ62をサンドイッチ状に挟み込むようにして、これらを共締めしている。従って、信号処理基板25と電源基板26は筒型ケース21内にその軸方向に2段状(階段状)で、かつ、その軸方向に対して直角状に組み込まれていて、筒型ケース21の背面側開口21bはシャーシ蓋板24によって閉塞されている。そして、信号処理基板25と電源基板26が導電性を有するメインシャーシ22と2つの板バネ62を介してシャーシ蓋板24にアース接続されている。
【0018】
そして、集音用マイク6は信号処理基板25の前面側にリード線6a及びコネクターを介して接続されていて、筒型ケース21のマイク保持部36内に横向きで脱着可能に保持されている。また、モニター出力端子9は信号処理基板25の前面側の外周位置にその信号処理基板25のマウント面と平行に実装(半田ディップ)されて、窓穴8内に配置されている。また、モニター画像微調整用スイッチ10等はシャーシ蓋板24の前面側に取り付けられたスイッチスタンド10aに取り付けられて窓穴8内に配置されている。また、同軸ケーブルターミナル12はシャーシ蓋板24の背面(外面)に取り付けられている。
【0019】
(3) ・・・ 光学ブロックの説明
次に、図1、図9〜図14によって、光学ブロック3について説明すると、モールド部品で成形された鏡筒71の先端71aの内部に複数の組み合わせレンズからなるバリフォーカルレンズ等のレンズ72が収納されていて、基端71b側で、レンズ72の光軸F上には後述するユニバーサルジョイント機構4の球状部91が脱着可能に連結されている。そして、この球状部91の外周が球面91aに構成され、内部が中空部91bに構成されている。そして、その球状部91の中空部91b内で光軸F上にCCDユニット74が組み込まれている。このCCDユニット74は撮像素子であるCCD75と、CCDホルダー76と、CCD基板77と、オプチカルローパスフィルター78と、シールゴム79等によって構成されていて、球状部91の後述するレンズホルダー101の内部に2本の止ネジ80によってネジ止めされている。そして、鏡筒71の先端71a側の外周にはフォーカスリング81及びズームレバー82が取り付けられている。また、鏡筒71の基端71b側の外周部には凸状部83が一体成形されていて、その凸状部83の内部にはオートアイリスモータ84が組み込まれている。そして、その凸状部83の正面83aにはモニター画像の天地方向を表示するための表示部である製造会社名等のロゴマーク85が表示されている。そして、CCDユニット74のCCD基板77の背面の中央(光軸F上)に取り付けられたコネクター86から引き出されたハーネスである信号ケーブル87及びオートアイリスモータ84のコネクター88から引き出されたハーネスである信号ケーブル89が球状部91の中央を挿通して後方(メインシャーシ24)側へ引き出されている。
【0020】
(4) ・・・ ユニバーサルジョイント機構の説明
次に、図9〜図14によって、ユニバーサルジョイント機構4について説明すると、このユニバーサルジョイント機構4は鏡筒71の基端71bにネジ止めされた球状部91と、メインシャーシ22の中央リング部22aの前面側に同心円筒状に一体成形された筒型基台92と、その筒型基台92の内周面の先端である球状部受台93と、アルミニウム合金等のダイキャスト部品で構成され外周の一部に角度調整用の切欠き94が形成された角度調整リング95と、球状部91を球状部受台93に角度調整リング95を介して圧着するように締結する締結リング96を備えたボールジョイント機構97に構成されている。そして、球状部91は金属の鋳造部品で構成された中空状のレンズホルダー101とホルダーカバー102との2部品を光軸F方向に2分割した構造に構成されていて、これらレンズホルダー101とホルダーカバー102は分割面に形成された環状嵌合部103部分で光軸Fの方向から相互に嵌合され、2本の止ネジ104によって脱着可能に結合されている。そして、球状部91をレンズホルダー101とホルダーカバー102の2部品で構成して、これらを2本の止ネジ104によって脱着可能に結合することによって中空部91b内のCCDユニット74の組立及び分解を容易に行える。そして、球状部受台93の直径及び角度調整リング95の前端側の内周に一体成形された内周フランジ95aの内径が球状部91の外周の球面91aの直径より小さく構成されている。そして、締結リング96の内周に内周ネジ(雌ネジ)105が形成され、メインシャーシ22の中央リング部51の前面側で筒型基台92の外周位置に同心円筒状に一体成形された円筒部106の外周に外周ネジ(雄ネジ)107が形成されている。
【0021】
そして、締結リング96の内周ネジ104をメインシャーシ22の外周ネジ107にネジ込んで、後方側である矢印a方向に締めつけることにより、その締結リング96の前端側の内周に一体成形された内周フランジ96aで角度調整リング95の後端側の外周に一体成形された外周フランジ95bを矢印a方向に押す。すると、その角度調整リング95の内周フランジ95aが球状部91のレンズホルダー101の外周(球面91a)を矢印a方向に押し、その球状部91のホルダーカバー102の外周(球面91a)が球状部受台93に矢印a方向から圧着されて固定されるように構成されている。そして、この締結リング96によるボールジョイント機構97の締結状態で、球状部91の球面91aの中心が光軸F上で、ドーム型カバー5の内側球面5aの中心上に配置された回転中心Oに固定されるように構成されている。
【0022】
そして、このボールジョイント機構97によれば、締結リング96を前方側である矢印b方向に少し緩めることによって、球状部91の外周の球面91aを球状部受台93上でスライドさせるようにして、鏡筒71を回転中心Oの周りに矢印X、Y、Z方向の3軸方向に360°に旋回運動(首振り運動)させることができるように構成されている。ちなみに、矢印X方向がパン方向であり、矢印Y方向がチルト方向であり、矢印Z方向が旋回方向となる。そして、鏡筒71を矢印X方向へ角度調整する際に、その鏡筒71を角度調整リング95の切欠き94内に挿入することによって、鏡筒71の矢印X方向の調整角度θを大きな72°に実現することができるように構成されている。
【0023】
なお、鏡筒71の後方に引き出された2つの信号ケーブル87、89はホルダーカバー102の後端側の中央に形成された円形穴108から後方に引き出され、信号処理基板25の前面の中央に実装されて筒型基台92内の中央に配置されている2つのコネクター109、110に長さ的な余裕を持たせて接続されている。従って、鏡筒71を矢印X、Y方向に角度調整する際は勿論のこと、矢印Z方向に1回転する程度であれば、これらの信号ケーブル87、89に捩れ等による断線は全く発生しない。
【0024】
そして、図10〜図13に示すように、鏡筒71の基端71bと球状部91の前側の側面であるレンズホルダー101との結合面がその球状部91の球面91aに沿ったテーパー面115、116に構成されていて、その基端71bとレンズホルダー101とが合計4本の締結ネジである止ネジ117によってそのテーパー面115、116において脱着可能に締結されている。しかも、この際、合計4本の止ネジ117はテーパー面115、116に対して直角状に挿入されて、光軸F上の1点O1 で交わる放射状のネジ中心線P1 に沿って傾けられている。従って、鏡筒71の基端71aと球状部91との結合部分(いわゆる球状部91の付根部分)118の直径を十分に小さくすることができることから、その球状部91自体の直径を十分に小さくすることができて、ボールジョイント機構97全体の小型化を達成することができると共に、鏡筒71の調整角度の拡大をも達成することができた。つまり、基端71bとレンズホルダー101との結合面を光軸Fに対して直角状に形成して、光軸Fと平行な4本のネジ117によって基端71bとレンズホルダー101を結合しようとした場合には、基端71bの外周にフランジを形成する必要があって、その結合部分118の直径が拡大されてしまう。そして、結合部分118の直径が拡大されると、鏡筒71の角度調整時に、その結合部分118が角度調整リング95に干渉されて、その調整角度が制限されてしまうので、やむなく球状部91の直径を拡大する必要が生じて、ボールジョイント機構97全体が大型化してしまうことになる。
【0025】
そして、放射状のネジ中心線P1 に沿って締結される合計4本の止ネジ117によってテーパー面115、116部分で基端71bとレンズホルダー101を締結することによって、光軸Fの周りに均等な締結力を発生させることができて、そのテーパー面115、116による自動調整作用によって、CCD75とレンズ72の光軸Fとのセンターリングを正確に行えると共に、CCD75の撮像面とレンズ72の合焦面の平行度を高精度に設定することができる。なお、これら両テーパー面115、116間にはCCD75の天地の方向を設定するための位置決め部119が形成されていて、基端71bとレンズホルダー101とを円周上の1点で正確に位置決めして結合することができる。
【0026】
そして、図11、図13及び図14に示すように、レンズホルダー101のテーパー面113の外周でオートアイリスモータ84の後方近傍位置にはオートアイリスモータ84から引き出された信号ケーブル89を球状部91の内部に挿通するための切欠き121が形成されていて、その切欠き121の外側領域には蓋122が脱着可能に取り付けられている。そして、この蓋122はその内側の両側に平行状に一体成形した一対の内側リブ123をレンズホルダー101の切欠き121の内側の両側に形成された一対の溝状部125と、これら一対の溝状部125の内側間に形成された凹部125内に矢印b方向から挿入して係合した後、そのレンズホルダー101の後部に環状嵌合部103によって矢印b方向から嵌合されて2本の止ネジ104によって結合されるホルダーカバー102の内側に一体成形された一対の内側リブ126の先端を蓋122の後端の内側に係合させることによって止ネジを使用することなく、切欠き121内に脱着可能に取り付けられている。そして、この蓋122の外周の前端側の両側には一対の凸部127が一体成形されている。従って、切欠き121内に挿通された信号ケーブル89の外側を蓋122で覆うことができる上に、鏡筒71の回転及び角度調整時に、蓋122の外周が角度調整リング95の切欠き94のエッジ部分に干渉されることがあっても、その蓋122の外周の凸部127が信号ケーブル89より速くその切欠き94のエッジ部分に衝突して逃げることができるので、信号ケーブル89がその切欠き94のエッジ部分に引っかけられて断線してしまうことを未然に防止することができ、高い安全性を確保できる。
【0027】
(5) ・・・ ドーム型カバーの説明
次に、図27〜図29によって、ドーム型カバー5について説明すると、このドーム型カバー5は光透過性を有するモールド部品(アクリル樹脂の射出成形品)で成形されたものであって、開口端5cの直径D11=100.2mmで、高さH11=52.8mmのドーム型(半球形状)に構成されている。そして、このドーム型カバー5の内側球面5aの半径R1 =47.1mmに構成され、外側球面5bの半径R2 =49.0mmに構成されていて、その内側球面5aの中心O11が外側球面5bの中心O12に対して開口端5cの外側へ約0.5mmのオフセット量OSにオフセットされている。従って、このドーム型カバー5は開口端5c部分の肉厚T11=約1.9mmに構成され、中央部(頂点部)5d部分の肉厚T12=約2.4mmに構成されている。そして、その開口端5c部分には高さH12=約8.8mm幅で全周に沿った変肉部5eが形成されている。この変肉部5eは幅W11=約8mmで、深さD11=約0.8mmで、ピッチ角θ11=約15°の多数の凹み5fによって構成されている。そして、図27に太い2点鎖線で示した領域が光学有効部5fに構成されている。
【0028】
そして、このドーム型カバー5をアクリル樹脂によって射出成形する理由としては、アクリル樹脂が光学レンズに近い、光屈折率1.5を有し、光透過率が90%以上と高いことが挙げられる。また、アクリル樹脂によってドーム型カバー5を射出成形することによって、成形効率が良い上に、精度の良い鏡面仕上げに成形することができる。但し、このドーム型ビデオカメラ装置1が威嚇を目的とせず、できるだけ監視を気づかせないようにしながら、監視用途に使用されることから、内部の光学ブロック3が目立ちにくいように半透明に仕上げられるのが望ましい。そこで、一般的には、このドーム型カバー5をアクリル樹脂によって射出成形する際に、カーボン材料を混入して、光透過率を調整するようなスモーク仕上げされることが多いが、その他にも、ハーフミラー仕上げと称されるものがあり、これはドーム型カバー5の外側球面5bである表面にアルミニウム等の金属粉をコーティングする反射防止コーティングであり、その場合の光透過率、光反射率及び光吸収率はそれぞれ33%程度に仕上げるのが一般的である。そして、金属粉による反射防止コーティングは帯電防止コーティングを兼用することになり、静電気の帯電によるホコリの付着を防止できる。
【0029】
ところで、このドーム型カバー5を筒型本体2の前面2aに脱着可能に取り付けるために、図27〜図29に示すように、そのドーム型カバー5の開口端5cの外周の3等分位置に3つの突片5gが一体成形されていて、その開口端5cの内周で、3つの突片5gの内側には各一対、合計6つの位置決め用凹み5h、5iが隣接された状態に成形されている。そして、図9、図16、図18及び図20に示すように、筒型ケース21の前端側開口21aの外周にリング状に一体成形されたカバー取付部31の内周の3等分位置には3つの切欠き32が成形されていて、その切欠き32の時計回り方向の端部の内側には突片嵌合溝33が成形されている。そして、その筒型ケース21の前端側開口21aの内周面で、3つの切欠き32の内側相当位置には3つのカバー位置決め用リブ34が一体成形されている。
【0030】
そこで、筒型ケース21の前面側開口21aへドーム型カバー5を取り付ける時には、ドーム型カバー5の3つの突片5gを筒型ケース21の3つの切欠き32に同時に挿入するようにして、そのドーム型カバー5の開口端5cをカバー取付部31の内側に軸方向(矢印a方向)から挿入すると、3つの位置決め用リブ34が3つの凹み5h内に相対的に挿入される。次に、ドーム型カバー5をカバー取付部31内で時計回り方向である矢印c方向に回転すると、3つの突片5gが3つの突片嵌合溝33内に嵌合されると同時に、3つの位置決め用リブ34がその弾性に抗して3つの凹み5hに隣接された3つの凹み5i側へ乗り越えるようにして係合されて、これら3つの位置決め用リブ34によってドーム型カバー5の反時計回り方向の回転が禁止されて、ドーム型カバー5がその時計回り方向の回転位置でそのまま筒型ケース21に保持されることになる。なお、ドーム型カバー5を筒型ケース21から取り外す際には取り付け時の逆に、ドーム型カバー5を反時計回り方向である矢印d方向に回転して、3つの突片5gを3つの突片嵌合溝33から3つの切欠き32内へ反時計回り方向に抜き取ると、3つの位置決め用リブ34がその弾性に抗して3つの凹み5iから3つの凹み5h内へ乗り越える。そこで、3つの突片5gを3つの切欠き32から抜き取るようにして、ドーム型カバー5をカバー取付部31から軸方向(矢印b方向)に引き抜けば良い。
【0031】
(6) ・・・ ユニバーサルジョイント機構の取付用ストッパーの説明
次に、図9、図21及び図22によって、ユニバーサルジョイント機構4の取付用ストッパー131について説明すると、このストッパー131は金属や合成樹脂等によってほぼL型形状に成形されていて、メインシャーシ22の1つのアーム部52の前面側にスプリングワッシャー132付の止ネジ33によって矢印e、f方向に回転自在に取り付けられている。一方、ユニバーサルジョイント機構(ボールジョイント機構97)4の締結リング96の外周面にはストッパー係合部である軸方向の幅が大きい環状溝134が形成されている。
【0032】
そして、図10及び図11で説明したように、ユニバーサルジョイント機構4の締結リング96を内周ネジ105によってメインシャーシ22の外周ネジ107に捩じ込んで、鏡筒71の球状部91を球状部受台93に圧着して固定する際には、ストッパー131をドライバー等で押してスプリングワッシャー132の摩擦力に抗して止ネジ133の周りに図21に1点鎖線で示す位置まで矢印e方向に回転して逃がしておく。そして、締結リング96による球状部91の締結後に、ストッパー131をドライバー等で押してスプリングワッシャー132の摩擦力に抗して止ネジ133の周りに図21で実線で示す位置まで矢印f方向に回転復帰させて、そのストッパー131の先端131aを締結リング96の環状溝134内に係合し、かつ、その先端131aを環状溝134内で締結リング96の外周面に圧着させておく。すると、このストッパー131によって締結リング96の緩み止め機能が発生し、振動等による締結リング96の自然緩みを未然に防止することができる。
【0033】
そして、このようなストッパー131をメインシャーシ22に取り付けておくことによって、ドーム型ビデオカメラ装置1を天井14等に下方から設置する際、筒型本体2を天井14等にネジ止めした後、鏡筒71の方位を設定するために、ユニバーサルジョイント機構4の締結リング95に誤って緩め過ぎたために、その締結リング95の内周ネジ105がメインシャーシ22の外周ネジ107から離脱してしまうようなことがあっても、このストッパー131の先端131aがメインシャーシ22からの締結リング96の下方への脱落を未然に防止することができる。従って、ドーム型ビデオカメラ装置1の天井14等への取付け作業中に、鏡筒71を誤って自重落下して破損してしまうような不詳事態を未然に防止することができて、そのドーム型ビデオカメラ装置1の天井14等への取付け作業等の安全性を飛躍的に向上することができる。
【0034】
なお、図23及び図24はストッパー131の変形例を示したものであって、メインシャーシ22のアーム部52の前面でストッパー131の取付位置の外側位置にストッパーガイド135を筒型ケース21の軸方向と平行状に一体成形して、そのストッパーガイド135の内側に後方(矢印a方向)に進むに従って締結リング96の外周に近づくような斜面136を形成している。そして、ストッパー131をメインシャーシ22のアーム部52の前面に取り付けた止ネジ133の外周で、そのストッパー131とアーム部52との間に捩りコイルバネ137を挿入して、その捩りコイルバネ137の両端137a、137bをストッパー131とストッパーガイド135に係止している。そして、その捩りコイルバネ137による圧縮反発力によってストッパー131をメインシャーシ22に対して前方側である矢印b方向へスライド付勢すると共に、捩り反発力によってストッパー131を外周側である矢印e方向に回転付勢している。
【0035】
従って、このストッパー131の変形例によれば、止ネジ133を矢印b方向へ緩めると、ストッパー131が捩りコイルバネ137によってストッパーガイド135の斜面136に沿って案内されるようにして、図23及び図24に1点鎖線で示す離間位置へ矢印b方向に押し出されながら、矢印e方向へ回転して逃げる。次に、ユニバーサルジョイント機構4の締結リング96をその内周ネジ105によってメインシャーシ22の外周ネジ107に捩じ込んで取り付けた後、止ネジ133をドライバーによって矢印a方向に締めつけて行くと、ストッパー131が捩りコイルバネ137に抗してストッパーガイド135の斜面136に沿って案内されて、図23及び図24に実線で示す係合位置まで矢印a方向に押し込まれながら、矢印f方向に回転されて、そのストッパー131の先端131aが締結リング96の環状溝134内に自動的に係合される。従って、止ネジ133をドライバーによって矢印a、b方向に締めつけ又は緩めるだけで、ストッパー131を締結リング96に対する係合位置と離間位置との間で矢印e、f方向に自動的に移動調整することができて、ユニバーサルジョイント機構4の組立て作業を高効率に行うことができる。
【0036】
なお、図1、図7〜図9に示すように、モールド部品(ABS樹脂等の成形品)で円板状に成形された前面側カバー23がその中央に形成された円形穴23aによって外周ネジ107の外周に挿入されると共に、筒型ケース21の前面側開口21aの内側に軸方向から挿入されて、その前面側カバー23がメインシャーシ22の3つのアーム部52の前面に3本の止ネジ65によって脱着可能にネジ止めされる。従って、ストッパー131はこの前面側カバー23の内側に閉塞されている。そして、この前面側カバー23の背面側の外周で180°対向位置に2本のネジ挿入筒23bが筒型ケース21の軸方向と平行に一体成形されている。そして、これら2本のネジ挿入筒23bはシャーシ蓋板24にほぼ当接することができる長さに形成されていて、そのシャーシ蓋板24の外周で、これら2本のネジ挿入筒23bと同位相位置は2つのネジ挿通穴66が形成されている。従って、ドーム型ビデオカメラ装置1を天井14等に下方から取り付ける際、2本の止ネジ67をドライバーによって2つのネジ挿入筒23b内に下方から挿入して、これら2本の止ネジ67をシャーシ蓋板24の2つのネジ挿通穴66に下方から容易に挿通することができ、これら2本の止ネジ67によって筒型本体2を天井14等へ簡単にネジ止めすることができる。
【0037】
(7) ・・・ ドーム型ビデオカメラ装置1の天井等への取付け作業と、その際のモニター出力端子の使い方の説明
ここで、ドーム型ビデオカメラ装置1を天井14等への取付け方法を説明すると、まず、ドーム型ビデオカメラ装置1の梱包を解いて、ドーム型カバー5を筒型本体2から取り外す。この状態で、ユニバーサルジョイント機構4(ボールジョイント機構97)の締結リング96は締結状態となっていて、光学ブロック3は角度調整リング95の切欠き94内に挿入された状態でロックされている。
【0038】
そこで、監視室のモニターテレビとの間を接続する同軸ケーブルを筒型本体2のシャーシ蓋板24上の同軸ケーブルターミナル12に接続した後、その筒型本体2の背面(天井面)2dを天井14等に下方から当てがい、その筒型本体2の正面2aのロゴマーク7を撮影したい方向に向けると、集音用マイク6が撮影したい方向に設定される。そこで、ドライバーによって2本の止ネジ67を筒型本体2の下方から2本のネジ挿入ガイド23bに順次挿入して、これら2本の止ネジ67によってシャーシ蓋板24を天井14等に締結して筒型本体2を天井14等に固定する。
【0039】
次に、ユニバーサルジョイント機構4の締結リング96を少し緩めて光学ブロック3のロックを解除するが、ストッパー131によって締結リング96の脱落が防止されているので、締結リング96を安心して緩めることができる。そして、その光学ブロック3のロック解除後に、鏡筒71の方位(方向及び角度)を設定する。この際、鏡筒71を回転中心Oの周りに矢印X、Y、Z方向で示すあらゆる方向に大きな角度で自由に回転調整することができるので、その鏡筒71の方位の設定を素速く、かつ、容易に行うことができる。なお、鏡筒71の角度を調整する際には、その鏡筒71を角度調整リング95の切欠き94内に挿入した状態で調整すれば、その角度の調整角度θを大きな範囲内でスムーズに調整することができる。そして、鏡筒71の方位の設定後に、その鏡筒71の外周の凸状部83の正面83aのロゴマーク85の天地方向を確認しながら、そのロゴマーク85を水平に調整すると、鏡筒71が光軸Fの周りに回転調整されて、撮影する画像の天地方向が正しく設定される。そこで、この後に、鏡筒71の凸状部83等を手で押さえるようにして、鏡筒71の回転を防止しながら、ユニバーサルジョイント機構4の締結リング96を締結して、光学ブロック3をロックする。
【0040】
そして、この後に、鏡筒71の外周のフォーカスリング81及びズームレバー82を回転調整して、撮影範囲の設定及び合焦を行い、その設置現場で、撮影方向、撮影範囲及び合焦状態の確認を行うことができる。即ち、図25に示すように、筒型本体2が天井14等の穴15内に埋め込まれるように取り付けられる際には(但し、この時には図示省略した天井埋込み器具を使用してドーム型ビデオカメラ装置1を取り付けることになる)、L型プラグ141を有するモニター出力ケーブル142を使用して、そのL型プラグ141を筒型本体2の裏面2cのモニター出力端子9に横方向から差し込み、そのモニター出力ケーブル142を変換コネクターケーブル(図示せず)等を介して携帯型モニターテレビ143に接続して、モニター画像をその携帯型モニターテレビ143に映し出して、撮影方向、撮影範囲及び合焦状態の確認を行うことができる。なお、この際、ドーム型ビデオカメラ装置1周辺で発生する音の集音状況も集音用マイク76を通してその携帯型モニターテレビ143のスピーカで聞くことができる。
【0041】
この際、L型プラグ141を筒型本体2の横向きのモニター出力端子9に横方向から差し込むようにして、モニター出力ケーブル142をその筒型本体2の横側方位置で下方に垂らすことができるので、光学ブロック3の方位を微調整する際に、そのモニター出力ケーブル142が光学ブロック3に干渉する等、作業に邪魔になる心配か全くなく、その方位の微調整作業を容易に行うことができる。なお、モニター出力端子9を信号処理基板25にマウント面と平行に半田ディップしてあるので、そのモニター出力端子9にプラグを抜き差しする際に、信号処理基板25が破損される危険が少ない。
【0042】
なお、図26に示すように、筒型本体2が天井面下に設置される場合には、モニター出力端子9が天井14等より下方に配置されるので、ストレート型プラグ144を有するモニター出力ケーブル145を使用することができ、同様にして携帯型モニターテレビ143によって撮影方向、撮影範囲及び合焦状態を確認することができる。そして、この後に、ドーム型カバー5を筒型本体2のカバー取付部31の内側に挿入して取り付け、ドーム型ビデオカメラ装置1の天井14等への設置作業を終了する。この際、ドーム型カバー5の開口端5cをカバー取付部31の内側に挿入して取り付けるので、ホコリ等がドーム型カバー5内に侵入しにくく、そのドーム型カバー5内がホコリ等で汚染されて撮影画像が不鮮明になることを未然に防止できる。
【0043】
(8) ・・・ ドーム型カバーの成形装置の説明
次に、図30〜図33によって、ドーム型カバー5のアクリル樹脂による射出成形装置151について説明すると、この射出成形装置151にはサイドゲート方式の成形金型が使用されていて、キャビ側金型(固定金型)152とコア側金型(可動金型)153間に形成されたドーム型キャビティ154のパーティング面(分割面)の横側部で、ドーム型カバー5の外周の3つの突片5gの1つに相当する位置に幅W21=約8mmで、厚さT21=約2mmの太く、厚いサイドゲート156が形成されている。そして、そのパーティング面に沿って溶融樹脂の流れを遅くするための入れ子157が挿入されていて、この入れ子157の厚さT22=約8mmに構成されている。そして、ドーム型キャビティ154のコア側球面154a及びキャビ側球面154bが共に鏡面仕上げされていて、これらの半径R21、R22及び中心O21、O22のオフセット量OSが図27〜図29で説明したドーム型カバー5の内側球面5a及び外側球面5bの半径R11、R12及び中心O11、O12のオフセット量OSと同寸法及び同方向にオフセットされている。そして、コア側金型153における入れ子157の内側位置にはパーティング面155に沿って厚さT23=約8.8mmの変肉加工部158が形成されていて、入れ子157の内周には3つの突片加工部159が形成されている。従って、ドーム型キャビティ154のパーティング面側154cが狭空隙に構成されていて、中央部(頂点部)側154dが広空隙に構成されている。そして、入れ子157のキャビティ側に厚さT24が約0.02mmの複数のガスベンド160が放射状に形成されている。なお、ガスベンド160をサイドゲート156の反対側の位置であるサイドゲート対向位置162に集中的に配置することもできる。
【0044】
この射出成形装置151は以上のように構成されていて、射出ノズル(図示せず)から射出されたアクリル樹脂の溶融樹脂MPがランナー161を通りサイドゲート156からドーム型キャビティ154内に流入して、充填し、冷却すると言う成形サイクルによって図27〜図29で説明した構造及び形状のドーム型カバー5を成形することができる。
【0045】
この際、サイドゲート156を厚く、太くしたことによって、成形サイクルを90秒程度まで十分に長くすることが可能になり、ピンゲート方式の成形金型のように、ゲート固化の心配がなく、溶融樹脂MPの流入速度を十分に遅くすることができる。従って、残留応力が少ないドーム型カバー5を高精度に成形することができる。また、ドーム型キャビティ154内に溶融樹脂MPを充填した後も、ゲートが固化しにくいので、サイドゲート156からドーム型キャビティ154内に十分な圧力をかけながら、ドーム型キャビティ154内の溶融樹脂を除去することができる。従って、ドーム型キャビティ154の形状が正確に転写されたドーム型カバー5を高精度に成形することができて、歪み等の変形がない高品質のドーム型カバー5を成形することができる。なお、厚く、太い1点ゲートを採用したことにより、ウエルドラインも発生せず、画像歪みの発生しないドーム型カバー5を成形することができる。
【0046】
そして、ドーム型キャビティ154のコア側球面154a及びキャビ側球面154bの半径R21、R22のオフセットによって、そのドーム型キャビティ154のパーティング面側154cを狭空隙にし、中央部側154dを広空隙に形成したことによって、このドーム型キャビティ154内に流入された溶融樹脂MPの流れを、パーティング面155に沿って流れる速度より、中央部側154dに迂回される速度を速くすることができて、ドーム型キャビティ154内にガス溜りり現象が発生しなくなる。また、パーティング面155に沿って入れ子157を組み込み、複数のガスベンド160を形成したので、ドーム型キャピティ154内への溶融樹脂MPの流入に伴い、ドーム型キャビティ154内のガスを複数のガスベンド160からスムーズに逃がすことができて、ドーム型キャビティ154内にガス溜り現象が発生しなくなる。更に、ドーム型キャビティ154のパーティング面に沿って変肉加工部158を形成して、そのドーム型キャビティ154内のパーティング面155に沿って流れる溶融樹脂MPの速度を、中央部側154dへ迂回される速度より遅くすることにより、その中央部側154dに迂回された溶融樹脂MPがサイドゲート対向位置162に到達する時間より、パーティング面155に沿って流れる溶融樹脂MPがサイドゲート対向位置162に到達する時間よりも遅くすることができて、このドーム型キャビティ154内のサイドゲート対向位置162側にガス溜りが発生しなくなる。
【0047】
以上の結果、この射出成形装置151によれば、ドーム型カバー5の射出成形時に、図32の(A)〜(D)に示すように、サイドゲート156からドーム型キャビティ154内に流入された溶融樹脂MPがパーティング方向155に沿って周方向の両側方からサイドゲート対向位置162に到達する速度V1 より、中央部側154dを迂回してサイドゲート対向位置162に到達する速度V2 を速くすることができる。従って、ドーム型キャビティ154内に発生するガスを溶融樹脂MPの流入方向の先端面MP1 でサイドゲート対向位置162までスムーズに、しかも、完全に押し出すようにして逃がすことができて、ドーム型キャビティ154内にガス溜りを発生させないので、ガス溜りの発生によるガス焼け不良を未然に防止できる。
【0048】
即ち、図33の(A)〜(D)は、ドーム型カバー5の射出成形時に発生し易いガス焼け不良を解説した図面であり、サイドゲート156からドーム型キャピティ154内へ流入された溶融樹脂MPが中央部側154dを迂回してサイドゲート対向位置162に到達する速度V2 より、パーティング面155に沿って周方向の両側方からサイドゲート対向位置162に到達する速度V1 が速い場合には、図33の(A)〜(C)に示すように、パーティング面155に沿って両側を流れる溶融樹脂MPがサイドゲート対向位置162に先に到達して融合した後に、中央部側154dを迂回した溶融樹脂MPがサイドゲート対向位置162に到達して融合されようとして、図33の(C)に示すように、ドーム型キャビティ154内のサイドゲート対向位置162の近傍位置に溶融樹脂MPによって封じ込まれたガス溜り163が発生してしまう。そして、このガス溜り163は図33の(D)に示すように、溶融樹脂MPの圧力によって縮小されるものの加熱、燃焼されるガス焼け164を発生し、ドーム型カバー5が不良品となる。
【0049】
(9) ・・・ ビデオカメラ装置の応用例の説明
次に、図34によって、ビデオカメラ装置の応用例について説明すると、前述した光学ブロック3が、内部にレンズ72を収納した鏡筒71の基端71bに球状部91を形成して、その球状部91内にCCDユニット74を収納しているので、図34に示すように、その光学ブロック3をデジタルビデオカメラやテレビ電話等のビデオカメラ装置171のボディ172に球状部91によって矢印X、Y、X方向の3軸方向に回転調整自在に取り付け、鏡筒71の向きをその3軸方向に自由に向けることができるようにすると共に、図34に1点鎖線で示すようにその鏡筒71をボディ172内にコンパクトに折り畳んで収納することができるようにした便利なビデオカメラ装置171を実現することができる。
【0050】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変更が可能である。例えば、本発明はドーム型ビデオカメラ装置に限定されることなく、その他各種のビデオカメラ装置に適用可能である。また、ドーム型カバーはドーム型ビデオカメラ装置のみに適用されることなく、各種の機器に適用可能である。また、上記した実施の形態では、ユニバーサルジョイント機構において、球状部を可動側に配置し、球状部受台を固定側に配置したが、その逆の配置を採用することも可能である。
【0051】
【発明の効果】
以上のように構成された本発明のドーム型カバー、ドーム型ビデオカメラ装置及びドーム型カバーの成形装置は、次のような効果を奏することができる。
【0052】
請求項1のドーム型カバーは、サイドゲート方式の成形金型を用いて射出成形することによって、開口端の変肉部により、その開口端での樹脂の流れを遅くすることができるようにしたので、成形歪みが少ない、光学的に安定したドーム型カバーを得ることができる。
【0053】
請求項2のドーム型カバーは、表面に反射防止コーティングを形成したので、光学的に反射の少ない、鮮明な画像を安定して撮影することができる。
【0054】
請求項3のドーム型カバーは、表面に帯電防止コーティングを形成したので、ホコリ等がドーム型カバーの表面に静電付着することを極力防止することができて、鮮明な画像を撮影することができる。
【0055】
請求項4のドーム型カバーは、サイドゲート方式の成形金型を用いて射出成形することによって、中央部での樹脂の流れがスムーズになり、成形歪みが少ない光学的に安定したドーム型カバーを得ることができる。
【0056】
請求項5、請求項6、請求項7のドーム型カバーの成形装置は、ドーム型カバーの射出成形時にガス焼け不良が発生せず、金型形状を正確に転写して、光学的に安定した高精度のドーム型カバーを成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したドーム型ビデオカメラ装置の実施の形態を説明する全体の斜視図である。
【図2】同上のドーム型ビデオカメラ装置で、筒型本体からドーム型カバーを分解して示した斜視図である。
【図3】同上のドーム型ビデオカメラ装置を天井等に取り付けた時の正面図である。
【図4】同上のドーム型ビデオカメラ装置の右側面図である。
【図5】同上のドーム型ビデオカメラ装置の左側面図である。
【図6】同上のドーム型ビデオカメラ装置の背面図である。
【図7】同上のドーム型ビデオカメラ装置のドーム型カバーを外した状態の下面図である。
【図8】同上のドーム型ビデオカメラ装置の上面図である。
【図9】同上のドーム型ビデオカメラ装置の縦断面側面図である。
【図10】同上のドーム型ビデオカメラ装置におけるユニバーサルジョイント機構(ボールジョイント機構)部分を説明する図13のA−A矢視での拡大断面図である。
【図11】同上のドーム型ビデオカメラ装置におけるユニバーサルジョイント機構(ボールジョイント機構)部分を説明する図13のB−B矢視での拡大断面図である。
【図12】同上のドーム型ビデオカメラ装置における光学ブロックの鏡筒部分を説明する正面図及び側面図である。
【図13】同上のドーム型ビデオカメラ装置における光学ブロックの球状部を説明する正面図及び側面図である。
【図14】同上のドーム型ビデオカメラ装置におけるオートアイリスモータの信号ケーブル挿通用切欠き部分の構造を説明する図13のC−C矢視での拡大断面図及びD−D矢視での断面図である。
【図15】同上のドーム型ビデオカメラ装置における筒型本体の縦断面側面図である。
【図16】同上の筒型本体の前面側を説明する図15のE−E矢視での正面図である。
【図17】同上の筒型本体の背面側を説明する図15のF−F矢視での背面図であって、シャーシ蓋板を外した状態の図面である。
【図18】同上の筒型本体内の図16のG−G矢視での断面側面図である。
【図19】同上の筒型本体内の図16のH−H矢視での断面側面図である。
【図20】同上のドーム型ビデオカメラ装置における筒型本体に対するドーム型カバーの取付け部を説明する一部切欠き正面図である。
【図21】同上のドーム型ビデオカメラ装置における締結リングのストッパーを説明する正面図である。
【図22】同上のストッパーを説明する一部切欠き側面図である。
【図23】同上のストッパーの変形例を説明する正面図である。
【図24】同上のストッパーを説明する図23のI−I矢視での断面側面図である。
【図25】同上のドーム型ビデオカメラ装置におけるモニター出力端子に携帯型モニターテレビをL型プラグを使って接続した様子を説明する一部切欠き側面図である。
【図26】同上のドーム型ビデオカメラ装置におけるモニター出力端子に携帯型モニターテレビをストレート型プラグを使って接続した様子を説明する一部切欠き側面図である。
【図27】同上のドーム型ビデオカメラ装置におけるドーム型カバーを説明する側面図である。
【図28】同上のドーム型カバーを説明する上面図である。
【図29】同上のドーム型カバーを説明する図28のJ−J矢視での断面側面図である。
【図30】同上のドーム型カバーの射出成形装置を説明する縦断面側面図である。
【図31】同上の射出成形装置の上面図である。
【図32】同上の射出成形装置によるドーム型カバーの射出成形時のガス抜き作用を説明する斜視図である。
【図33】一般的な射出成形装置によるドーム型カバーの射出成形時に発生するガス焼け現象を説明する斜視図である。
【図34】ビデオカメラ装置の応用例を説明する斜視図である。
【符号の説明】
1はドーム型ビデオカメラ装置、5はドーム型カバー、5aは内側球面、5bは外側球面、5cは開口端、5dは中央部、5eは変肉部、151は射出成形装置、152、153は金型、154はドーム型キャビティ、155はパーティング面、156はサイドゲート、157は入れ子、158は変肉加工部、160はガスベンドである。
Claims (7)
- 光透過性を有する合成樹脂によって射出成形されたドーム型カバーにおいて、
開口端に沿ってほぼ一定ピッチの変肉部を形成した
ことを特徴とするドーム型カバー。 - 光透過性を有する合成樹脂によって射出成形されたドーム型カバーにおいて、
表面に反射防止コーティングを形成した
ことを特徴とする請求項1に記載のドーム型カバー。 - 光透過性を有する合成樹脂によって射出成形されたドーム型カバーにおいて、
表面に帯電防止コーティングを形成した
ことを特徴とする請求項1に記載のドーム型カバー。 - 光透過性を有する合成樹脂によって射出成形されたドーム型カバーにおいて、
開口端の肉厚に比べて中央部の肉厚を厚くした
ことを特徴とする請求項1に記載のドーム型カバー。 - サイドゲート方式の成形金型を用いて、光透過性を有する溶融樹脂をドーム型カバーの開口端側部相当位置のサイドゲートからキャビティ内に射出して成形するドーム型カバーの成形装置において、
上記キャビティのパーティング部近傍にガス逃し用のガスベンドを有する入れ子を組み込んだ
ことを特徴とするドーム型カバーの成形装置。 - サイドゲート方式の成形金型を用いて、光透過性を有する溶融樹脂をドーム型カバーの開口端側部相当位置のサイドゲートからキャビティ内に射出して成形するドーム型カバーの成形装置において、
上記キャピティのパーティングライン全周に沿ってほぼ一定ピッチの変肉部を形成した
ことを特徴とするドーム型カバーの成形装置。 - サイドゲート方式の成形金型を用いて、光透過性を有する溶融樹脂をドーム型カバーの開口端側部相当位置のサイドゲートからキャビティ内に射出して成形するドーム型カバーの成形装置において、
上記キャビティのキャビ側球面の中心に対してコア側球面の中心を外側へオフセットした
ことを特徴とする請求項6に記載のドーム型カバーの成形装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33039198A JP4182577B2 (ja) | 1998-11-20 | 1998-11-20 | ドーム型カバーとドーム型カバーの成形装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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