JP4181732B2 - 画像判別方法およびそれを用いた画像処理方法ならびに記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像の種類を判別する画像判別方法およびそれを用いた画像処理方法ならびに記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
写真やイラストなどの画像は、例えばスキャナや複写機などの画像読み取り装置を用いて読み取ることができる。画像読み取り装置には、例えばCCD(Charge Coupled Device)などの撮像手段を備えられており、画像はデジタルデータに変換され読み取られる。
【0003】
写真画像を読み取る場合、読み取った後にプリンタなどで印刷する際の画質を向上するため再現性を高めることが要求される。したがって、微小な色彩あるいは色調の変化を忠実に再現する必要がある。
【0004】
一方、イラストなどの描画画像を読み取る場合、原稿となる描画画像自体は領域ごとに一定の色彩あるいは色調で描かれている。すなわち、領域ごとに同一の色を用いて描かれている。そのため、色彩あるいは色調を忠実に再現することより領域ごとの色を一定にすることが要求される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の画像読み取り装置の多くは写真画像の画質の向上を図ることを目的とした設定となっている。そのため、描画画像を読み取った場合でも原稿表面における光の反射率の相違または撮像手段の感度のばらつきなどにより、同一色と判断できる領域であっても、画素から出力される赤色(R)出力値、緑色(G)出力値および青色(B)出力値がばらつき画像読み取り装置から出力される色は同一ではない。すなわち、画素ごとに色が異なるという問題がある。
【0006】
上記の問題を解決するためには、原稿ごとに写真画像であるか描画画像であるかを判断する必要がある。従来、写真画像であるか描画画像であるかの判断は画像読み取り装置側で自動的に行なわれておらず、ユーザは読み取り対象となる原稿が写真画像であるか描画画像であるかを読み取りを実行するごとに設定する必要がある。
【0007】
しかし、原稿の読み取りを実行するごとに画像の種類を設定すると、操作が煩雑になるという問題がある。読み取り対象となる原稿が写真画像であるか描画画像であるかを自動的に判別する方法については、これまで提案されていない。
【0008】
そこで、本発明は、原稿が写真画像であるか描画画像であるかを自動的に判別する画像判別方法および記録媒体を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、描画画像であると判別された場合、描画画像の再現性を向上する画像処理方法および記録媒体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載の画像判別方法または請求項6記載の記録媒体によると、輝度値ヒストグラムと赤色ヒストグラム、緑色ヒストグラムまたは青色ヒストグラムとの相関係数を比較している。各色について算出される相関係数のうち、少なくとも二つの相関係数が特定値よりも大きなとき、読み取られた画像は写真画像であると判断される。一方、それ以外のときすなわち特定値よりも大きな相関係数が一つ以下のとき、読み取られた画像は描画画像であると判断される。写真画像と描画画像との判別に輝度値に対する相関係数を用いることで、輝度値と各色のヒストグラムの相関性が高い写真画像と、輝度値と各色のヒストグラムとの相関性が低い描画画像とを判別することができる。したがって、自動化したアルゴリズムにより画像の種類を判別することができる。
【0010】
本発明の請求項2記載の画像判別方法または請求項8記載の記録媒体によると、特定値は赤色相関係数、緑色相関係数および青色相関係数についてそれぞれ設定されている。そのため、色ごとに特定値を変更するができる。
本発明の請求項3もしくは4記載の画像判別方法または請求項9もしくは10記載の記録媒体によると、特定値は各色について同一に設定されているので、一つの色について相関係数が大きく異なる場合でも判別の精度が低下することがない。
【0011】
本発明の請求項5記載の画像処理方法または請求項7記載の記録媒体によると、読み取られた画像を判別した結果、描画画像であると判断された場合、描画画像の色数を削減する。そのため、画像に含まれる色数が限定され、原稿では同一の色の領域を読み取った場合、画素ごとにその領域の色が異なることがない。したがって、描画画像の色の再現性を向上することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を示す一実施例を図面に基づいて説明する。
本発明の一実施例による画像読み取り装置を図2に示す。本実施例の画像読み取り装置1は、フラットベッド型の画像読み取り装置である。
図2に示すように、画像読み取り装置1は箱形の本体10の内部にキャリッジ20を備えている。この本体10の上方に原稿台11が設けられている。キャリッジ20は、本体10の内部に図示しない駆動手段により原稿台11に対して平行な副走査方向へ往復移動可能に設けられている。原稿台11の反キャリッジ側に読み取り対象となる原稿100が載置される。
【0013】
キャリッジ20には、光源21、ミラー22、集光レンズ23およびラインセンサ24が搭載されている。ミラー22は、ラインセンサ24に集光される原稿100からの光を反射し、光路長を長くするために設けられている。集光レンズ23は、原稿100からの光をラインセンサ24に集光する。ラインセンサ24には、CCDなどの複数の画素をキャリッジ20の移動方向と垂直に直線的に配列した電荷結合素子が使用される。ラインセンサ24にはA/D変換器25が接続され、ラインセンサ24およびA/D変換器25は撮像手段を構成している。A/D変換器25では、ラインセンサ24から出力されたアナログの電気信号がデジタルの電気信号へ変換される。
光源21は、キャリッジ20の移動方向に対し垂直に設けられ、蛍光ランプなどが用いられる。光源21から照射された光は、紙などの反射原稿の表面で反射し、ラインセンサ24へ入射される。
【0014】
原稿台11の周囲には、読み取られる原稿100の載置位置を位置決めし、原稿読み取り時に原稿100の移動を規制する原稿ガイド12が設けられている。原稿台11のキャリッジ移動方向の端部には、高反射率均一反射面を有する白基準13が設けられている。
【0015】
本体10の内部には制御部30が搭載されている。制御部30は、CPU(Central Processing Unit)31、記憶手段としてのRAM(Random Access Memory)32、ROM(Read Only Memory)33、ならびにデータ処理部40から構成されている。CPU31は、キャリッジ20の駆動の制御、光源21の点滅の制御、原稿100の読み取り状態の制御、データ処理部40、ならびに後述する画像処理部50でのデジタルデータの処理など画像読み取り装置1の全体の制御を行う。RAM32は、ラインセンサ24で読み取られたデジタルデータなどを一時的に格納する。ROM33にはCPU31により画像読み取り装置1の各部を制御するためのコンピュータプログラムが格納されている。
【0016】
データ処理部40は、図3に示すようにシェーディング補正部41、ガンマ補正部42ならびにその他の補正部43から構成されている。シェーディング補正部41は、A/D変換器25から出力されたデジタルの電気信号を、読み取り開始前に白基準13を読み取ることで得られたデータを用いてラインセンサ24の素子ごとの感度のばらつき、または光源21の主走査方向の光量のばらつきを補正する。ガンマ補正部42では、所定のガンマ関数によりガンマ補正が行なわれ、シェーディング補正されたデジタルの光量信号をデジタルデータに変換する。その他の補正部43では、エッジ強調ならびに読み取り範囲の拡大/縮小などその他の補正を行う。
【0017】
制御部30に接続されている画像処理部50は、データ処理部40から出力されたデジタルデータに画像処理を実施する。画像処理部50は、図4に示すように画像判別部51および減色処理部52から構成されている。画像判別部51は、読み取られた原稿100に含まれる画像の種類を判別する。減色処理部52は、原稿100に含まれている画像が描画画像であると判断された場合、その画像に減色処理を実施する。
【0018】
次に、上述の画像読み取り装置1の作動ならびにデジタルデータの処理を図5に基づいて説明する。
画像読み取り(S100)
原稿100を読み取る場合、原稿台11の上方に原稿100を載置し、画像読み取り装置1に接続されているパソコン2から画像読み取り開始の指示を入力する。画像読み取り開始の指示は、パソコン2からではなく画像読み取り装置1に配設されている図示しない入力手段から入力する構成としてもよい。なお、本実施例において読み取りの対象となる原稿はカラー原稿である。
【0019】
画像読み取り開始の指示が入力されると、原稿100へ光源21から光が照射される。原稿100の表面で反射した光はミラー22および集光レンズ23を経由してラインセンサ24へと入射する。入射した光は、ラインセンサ24によりアナログの電気信号へと変換され、A/D変換器25へと出力される。A/D変換器25ではアナログの電気信号からデジタルの電気信号へと変換される。A/D変換器25から出力されたデジタルの電気信号は、データ処理部40で各種の補正が実施された後、画像処理部50へ出力される。
【0020】
画像の種類の判別(S200)
読み取られた原稿100のデジタルデータは、読み取り画像として形成されパソコン2のモニタ3に表示される。
読み取り画像に基づいて、画像判別部51は読み取られた画像が写真画像であるか、または描画画像であるか、画像の種類を判別する。画像の種類の判別は図1に示すような手順にしたがって実施される。
【0021】
読み取り画像を構成している画素から出力されるデジタルデータの出力値を赤色信号、緑色信号および青色信号についてそれぞれ検出する(S201)。検出した赤色信号の出力値をR、緑色信号の出力値をGならびに青色信号の出力値をBとする。出力値の検出は、読み取り画像を構成している全画素について画素ごとに実施される。各色の信号の出力値R、GおよびBは、それぞれ0から255までの256階調の出力信号である。
【0022】
出力値R、GおよびBが検出されると、検出された出力値R、GおよびBから輝度値Yを算出する(S202)。輝度値Yは、下記の式1から算出される。この輝度値Yも読み取り画像を構成する全画素について画素ごとに算出される。
【数1】
Figure 0004181732
【0023】
S201で検出された出力値R、GおよびBからそれぞれヒストグラムを作成する。これらのヒストグラムは、各色信号の出力値とその出力値となる画素の数との関係を現したものである。出力値Rと画素の数との関係を現したヒストグラムをR値ヒストグラムfr(i)、出力値Gと画素の数との関係を現したヒストグラムをG値ヒストグラムfg(i)ならびに出力値Bと画素の数との関係を現したヒストグラムをB値ヒストグラムfb(i)とする。同様に、S202で算出された輝度値Yとその輝度値となる画素の数との関係を現したヒストグラムを作成する。このヒストグラムを輝度値ヒストグラムfy(i)とする。したがって、R値ヒストグラムfr(i)、G値ヒストグラムfg(i)、B値ヒストグラムfb(i)および輝度値ヒストグラムfy(i)の四つのヒストグラムが作成される(S203)。
【0024】
作成されたR値ヒストグラムfr(i)、G値ヒストグラムfg(i)、B値ヒストグラムfb(i)および輝度値ヒストグラムfy(i)から、輝度値ヒストグラムfy(i)に対するR値ヒストグラムfr(i)、G値ヒストグラムfg(i)およびB値ヒストグラムfb(i)の相関係数をそれぞれ算出する。相関係数は、下記の式2、式3および式4によって算出される(S204)。
【0025】
【数2】
Figure 0004181732
【0026】
【数3】
Figure 0004181732
【0027】
【数4】
Figure 0004181732
【0028】
上記の式2、式3および式4において、Ryrは輝度値ヒストグラムfy(i)に対するR値ヒストグラムfr(i)の相関係数、Rygは輝度値ヒストグラムfy(i)に対するG値ヒストグラムfg(i)の相関係数、ならびにRybは輝度値ヒストグラムfy(i)に対するB値ヒストグラムfb(i)の相関係数である。また、Nはデータ数すなわち画像を構成する画素の総数であり、σy、σr、σgおよびσbは、それぞれ輝度値ヒストグラム、R値ヒストグラム、G値ヒストグラムおよびB値ヒストグラムの標準偏差である。
【0029】
相関係数Ryr、RygおよびRybが算出されると、各相関係数が特定値よりも大きいか否かを判定する(S205)。この特定値は、相関係数Ryr、RygおよびRybについて、それぞれ赤色相関係数特定値cr、緑色相関係数特定値cgおよび青色相関係数特定値cbとして設定されている。本実施例では、特定値として同一の値が適用され、その値はcr=cg=cb=0.7である。すなわち、相関係数Ryr、RygおよびRybがそれぞれ0.7よりも大きいか否かを判定する。
【0030】
各色の特定値cr、cgおよびcbを0.7に設定しているのは、下記の理由による。
実験により写真画像と描画画像とを判別する処理を繰り返した結果、各色の特定値cr、cgおよびcbをそれぞれ0.7近傍に設定すると判別結果が良好であるためである。各色の特定値cr、cgおよびcbの大きさをわずかに変化させても判別結果に影響は少ない。しかし、計算の簡略化あるいは迅速化のために本実施例では各色の特定値cr、cgおよびcbを0.7と設定している。
【0031】
相関係数Ryr、RygおよびRybの大きさを判定した結果、下記の条件のいずれかに該当するか否かが判断される(S206)。下記の条件のいずれかに該当する場合、読み取られた画像は写真画像であると判断される(S207)。一方、下記の条件のいずれにも該当しない場合、読み取られた画像は描画画像であると判断される(S208)。すなわち、相関係数Ryr、RygおよびRybのうち、少なくとも二つが0.7よりも大きな場合、写真画像であると判断される。一方、相関係数Ryr、RygおよびRybのうち、一つだけが0.7よりも大きいまたは0.7より大きくなるものがない場合、描画画像であると判断される。
【0032】
条件1:Ryr>0.7かつRyg>0.7
条件2:Ryg>0.7かつRyb>0.7
条件3:Ryb>0.7かつRyr>0.7
【0033】
上記の条件を設定した理由は下記の通りである。
写真画像は、色調および色彩が画像の領域ごとに一様ではなく複雑であるため、画素から出力されるデジタルデータの出力値の分布が広範である。そのため、輝度値の分布と各色の色信号の出力値の分布が類似している。その結果、輝度値ヒストグラムとR値ヒストグラム、G値ヒストグラムまたはB値ヒストグラムとは相関性が高く、相関係数が大きくなる。
【0034】
一方、描画画像はイラストやレタリングなどのように色調および色彩が画像の領域ごとに一様であり単調であるため、画素から出力されるデジタルデータの出力値の分布に偏りが生じる。そのため、輝度値の分布と各色の色信号との分布が類似しない。すなわち、各色の色信号ごとに独自に分布を示すようになる。その結果、輝度値ヒストグラムとR値ヒストグラム、G値ヒストグラムまたはB値ヒストグラムとは相関性が低く、相関係数が小さくなる。
【0035】
本実施例では、上記の特徴を利用し、読み取られた画像が写真画像であるか描画画像であるかを判別している。
また、R値ヒストグラム、G値ヒストグラムあるいはB値ヒストグラムの相関係数のうち少なくとも二つが各色の特定値cr、cgおよびcbよりも大きい場合に写真画像であると判定することとしたのは、次の理由による。
【0036】
例えば読み取られた画像がぼやけている場合、輝度値ヒストグラムに対するR値ヒストグラム、G値ヒストグラムあるいはB値ヒストグラムの相関性が低下することがある。したがって、画像のぼやけによる判別精度の低下を防止するため、上記の判定条件を設定している。
【0037】
例えば夕焼けの写真などのように赤色が強調されている写真画像あるいは水中の写真などのように青色が強調されている写真画像など、極端に色調が偏った画像があり、画像によって色調の特性が異なることがある。そのため、R値ヒストグラム、G値ヒストグラムおよびB値ヒストグラムのすべての相関係数が特定値cr、cgおよびcbよりも大きくなければならないとすると、上記のような赤色が強調された写真画像あるいは青色が強調された写真画像などを描画画像として判別するおそれがあるからである。
【0038】
本実施例のように、R値ヒストグラム、G値ヒストグラムまたはB値ヒストグラムのうち少なくとも二つが特定値cr、cgおよびcbよりも大きいとすることにより、写真画像と描画画像とは良好に判別される。
【0039】
減色処理(S300)
画像の判別により読み取られた画像が描画画像であると判断された場合、減色処理が実施される。減色処理は、入力されたフルカラーの画像から所定のパレット数へ色情報を削減する処理である。
【0040】
画像読み取り装置1で読み取られた画像は、例えばRGB各色について8bitすなわち256階調で出力される場合、28×28×28色を表現可能である。そのため、描画画像のように画像の領域ごとに均一な色で描かれている画像であっても、読み取り後の画像では画素ごとにわずかに色が相違している。
【0041】
そこで、減色処理を実施することにより読み取られる対象となる実際の画像に近い色を再現することができる。
減色処理は、図6に示すようにカラーパレットおよびカラーマップを作成する第1段階と、第1段階で作成されたカラーパレットに基づいて入力された画像のデジタルデータに対し減色処理を実施する第2段階とからなる。
【0042】
第1段階(S301)
上述のようにRGB各色8bit出力の場合、出力される画像は28×28×28色である。そのため、減色処理を実行する場合、28×28×28色から所定の色数をどのように選定するかが重要である。本実施例では、立方最密配置アルゴリズムを用いて減色処理の色数の設定を実施する。
【0043】
立方最密配置アルゴリズムとは、RGBの3次元空間においてカラーパレット70を相互に可能な限り遠隔に配置することを目的として、代表色を図7に示すように立方最密状に配置するものである。
【0044】
RGBの3次元空間を一辺が23の小立方体(以下、23の小立方体を「セル」という。)に分割し、各セル内に存在する画素の数を積算した3次元ヒストグラムを作成する。セルの数は25×25×25個であり、画素が存在するセルを「色セル」という。
【0045】
体積が29である色セルの数をN個とすると、RGBの3次元色空間(28×28×28)の中に読み取られた画像に使用されている色が分布している領域の体積Vは、式5で示される。
【数5】
Figure 0004181732
【0046】
ここで、カラーパレット70を相互に可能な限り遠隔に配置することを考えると、カラーパレット70は体積Vの空間に立方最密状に配置しなければならないことになる。指定されたカラーパレット70の数をKとすると、カラーパレット70の相互間の最短距離Dは、体積Vから下記の式6のような関係が成立する。
【数6】
Figure 0004181732
【0047】
上記の式5および式6から最短距離Dは下記の式7のように定義される。
【数7】
Figure 0004181732
すなわち、すべての代表色は相互に最短距離D以上遠隔に配置することはできないことになる。
【0048】
次に、パレット候補領域を設定する。パレット候補領域とは、設定されるカラーパレット70に採用される候補となる色が含まれる領域である。パレット候補領域の設定は、下記の通りである。
【0049】
(1) すべての色セルをパレット候補領域として設定する。
(2) RGBの3次元空間において3次元ヒストグラムを作成し、パレット候補領域の中で最も使用頻度の高い色セルをパレット領域として設定する。
【0050】
(3) 設定されたパレット領域から上記の式7で定義した最短距離Dの範囲内に存在するすべての色セルをまとめて一つのパレット領域として設定する。設定されたパレット領域に対応するカラーマップに同一のパレット番号を登録する。パレット番号は、パレット領域が設定された順に設定される。
(4) 登録された色セルは、パレット候補領域からすべて除外する。
(5) すべてのパレット領域が決定するまで、上記の(2)から(4)の処理を繰り返して実行する。
【0051】
なお、指定されたパレット数のすべてが決定する前にパレット候補領域がなくなってしまった場合、パレット候補領域が存在しなくなった時点でパレット領域の設定処理を終了する。また、すべてのパレット領域が決定した時点でどのパレット領域にも設定されていない色セルが存在する場合、最近隣のパレット領域を探索し、そのパレット領域に分類する。
【0052】
パレット領域が決定すると、カラーパレット70が作成される。カラーパレット70は、パレット領域に対するRGBからデータに基づいて設定される。RGBデータは、パレット領域に含まれる画素値の平均値により設定される。
【0053】
パレット領域の中に存在する画素数をNp、各画素のRGB出力値をそれぞれR、G、Bとすると、パレットのRGBデータRp、Gp、Bpは下記の式8、式9、式10により示される。
【0054】
【数8】
Figure 0004181732
【0055】
【数9】
Figure 0004181732
【0056】
【数10】
Figure 0004181732
【0057】
式8、式9および式10により、各パレット領域についてそれぞれRGBデータが作成される。
カラーパレット70を作成する際に保持されるデータは、パレット領域が設定された順番を示すパレット番号、上記の式8、式9および式10に基づいて作成された各パレットのRGBデータ、ならびにいずれの色セルがいずれのパレット領域であるかを関連づけたカラーマップである。これらパレット番号、RGBデータおよびカラーマップは、第2段階での減色処理を実施する際に用いられる。
【0058】
第2段階(S302)
第2段階では、読み取られた画像のデジタルデータに対し、第1段階で作成されたデータを用いて減色処理が実施される。
【0059】
読み取られた画像のデジタルデータに対し、画素ごとにカラーマップを参照し、パレット番号を取得する。次に、そのパレット番号のRGBデータを用いて画素の出力値を置換する。なお、読み取られた画像の画素の出力値に対応するカラーマップにパレット番号が登録されていない場合、最近隣のパレットを探索し、そのパレットを用いる。
第2段階では、パレット作成時にカラーマップを作成することにより、減色処理の高速化を図ることができる。
上記の処理により読み取られた画像のデジタルデータの減色処理が実施される。
【0060】
以上、説明したように本発明の一実施例によると、ラインセンサ24により読み取られる原稿100に含まれている画像が写真画像であるかまたは描画画像であるかを自動的に判別することができる。画像の種類を判別するために輝度値のヒストグラムfy(i)と、R値ヒストグラムfr(i)、G値ヒストグラムfg(i)またはB値ヒストグラムfb(i)との相関係数を用いることにより、対象となる画像の種類によらず精密に画像の種類を判別することができる。
【0061】
また、算出される三つの相関係数のうち二つの相関係数が条件を満たすか否かによって画像の種類を判別している。これにより、画像読み取り装置1の特性によるぼやけが発生する場合、あるいは原稿の色調が極端な場合であっても画像の種類の判別精度が低下することはない。
【0062】
本実施例では、画像の種類を判別した結果、描画画像であると判別された場合、減色処理を実施している。そのため、原稿が領域ごとに同一色である場合、読み取られた画像も領域ごとに同一色とすることができる。したがって、読み取られた画像の色の再現性を向上させることができる。
【0063】
以上説明した一実施例では、画像を判別する処理およびデジタルデータの画像処理などを画像読み取り装置において実施する場合について説明した。しかし、本発明としては処理時間を短縮するためにそれらの処理をパソコン側で実行してもよい。すなわち、パソコンで起動されているソフトウェア、例えばスキャナドライバにより上記の処理を実施する構成とすることもできる。
【0064】
また、フラットベッド型の画像読み取り装置に本発明を適用した例について説明したが、シートフィード型の画像読み取り装置などフラットベッド型の画像読み取り装置に限るものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による画像判別方法の流れを示すフロー図である。
【図2】本発明の一実施例による画像判別方法を実行可能な画像読み取り装置を示す概略図である。
【図3】本発明の一実施例による画像判別方法を実行可能な画像読み取り装置のデータ処理部を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施例による画像判別方法を実行可能な画像読み取り装置の画像処理部を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施例による画像判別方法を用いた画像処理方法の流れを示すフロー図である。
【図6】本発明の一実施例による画像判別方法を用いた画像処理方法の減色処理の流れを示すフロー図である。
【図7】減色処理においてカラーパレットを立方最密状に配置した状態を示す模式図である。
【符号の説明】
1 画像読み取り装置
24 ラインセンサ(撮像手段)
30 制御部
40 データ処理部
50 画像処理部

Claims (10)

  1. 原稿に含まれている画像が写真画像または描画画像のいずれであるかを判別する画像の判別方法であって、
    前記原稿を読み取り、読み取られた画像を構成する画素ごとに赤色出力値、緑色出力値および青色出力値を検出する出力値検出段階と、
    前記赤色出力値、前記緑色出力値および前記青色出力値から画素ごとに輝度値を算出する輝度算出段階と、
    前記赤色出力値、前記緑色出力値および前記青色出力値ならびに前記輝度値から、出力値と画素数との関係である赤色ヒストグラム、緑色ヒストグラムおよび青色ヒストグラム、ならびに輝度値と画素数との関係である輝度値ヒストグラムを作成するヒストグラム作成段階と、
    前記輝度値ヒストグラムに対する前記赤色ヒストグラム、前記緑色ヒストグラムおよび前記青色ヒストグラムの相関係数をそれぞれ算出し、それぞれ赤色相関係数、緑色相関係数および青色相関係数として設定する相関係数算出段階と、
    前記赤色相関係数、前記緑色相関係数または前記青色相関係数が特定値よりも大きいか否かを判定する相関係数判定段階と、
    前記赤色相関係数、前記緑色相関係数または前記青色相関係数のうち少なくとも2つが前記特定値よりも大きなとき前記原稿に含まれる画像は写真画像であると判断し、それ以外のとき前記原稿に含まれる画像は描画画像であると判断する画像判断段階と、
    を含むことを特徴とする画像判別方法。
  2. 前記特定値は、前記赤色相関係数、前記緑色相関係数および前記青色相関係数について、それぞれ赤色相関係数特定値、緑色相関係数特定値および青色相関係数特定値として設定されていることを特徴とする請求項1記載の画像判別方法。
  3. 前記赤色相関係数特定値、前記緑色相関係数特定値および前記青色相関係数特定値は、同一であることを特徴とする請求項2記載の画像判別方法。
  4. 前記赤色相関係数特定値、前記緑色相関係数特定値および前記青色相関係数特定値は、0.7であることを特徴とする請求項3記載の画像判別方法。
  5. 請求項1から4のいずれか一項記載の画像判別方法により、原稿に含まれる画像が写真画像であるかまたは描画画像であるかを判別する画像判別段階と、
    前記原稿に含まれる画像が描画画像であると判断された場合、該描画画像の色数を削減する減色段階と、
    を含むことを特徴とする画像処理方法。
  6. 原稿からの光をデジタルデータに変換可能な撮像手段から出力された前記デジタルデータから、前記原稿に含まれている画像が写真画像または描画画像のいずれであるかを判別するコンピュータプログラムが記録されている記録媒体であって、
    前記原稿を読み取り、前記撮像手段から出力されたデジタルデータに基づいて前記撮像手段を構成する画素ごとに赤色出力値、緑色出力値および青色出力値を検出する出力値検出手順と、
    前記赤色出力値、前記緑色出力値および前記青色出力値から画素ごとに輝度値を算出する輝度算出手順と、
    前記赤色出力値、前記緑色出力値および前記青色出力値ならびに前記輝度値から、出力値と画素数との関係である赤色ヒストグラム、緑色ヒストグラムおよび青色ヒストグラム、ならびに輝度値と画素数との関係である輝度値ヒストグラムを作成するヒストグラム作成手順と、
    前記輝度値ヒストグラムに対する前記赤色ヒストグラム、前記緑色ヒストグラムおよび前記青色ヒストグラムの相関係数をそれぞれ算出し、それぞれ赤色相関係数、緑色相関係数および青色相関係数として設定する相関係数算出手順と、
    前記赤色相関係数、前記緑色相関係数または前記青色相関係数が特定値よりも大きいか否かを判定する相関係数判定手順と、
    前記赤色相関係数、前記緑色相関係数または前記青色相関係数のうち少なくとも2つが前記特定値よりも大きなとき前記原稿に含まれる画像は写真画像であると判断し、それ以外のとき前記原稿に含まれる画像は描画画像であると判断する画像判断手順と、
    を含むコンピュータプログラムが記録されていることを特徴とする記録媒体。
  7. 前記画像判断手順の結果、前記原稿に含まれる画像は描画画像であると判断された場合、該描画画像の色数を削減する減色手順をさらに含むコンピュータプログラムが記録されていることを特徴とする請求項6記載の記録媒体。
  8. 前記特定値は、前記赤色相関係数、前記緑色相関係数および前記青色相関係数について、それぞれ赤色相関係数特定値、緑色相関係数特定値および青色相関係数特定値として設定されていることを特徴とする請求項6または7記載の記録媒体。
  9. 前記赤色相関係数特定値、前記緑色相関係数特定値および前記青色相関係数特定値は、同一であることを特徴とする請求項8記載の記録媒体。
  10. 前記赤色相関係数特定値、前記緑色相関係数特定値および前記青色相関係数特定値は、0.7であることを特徴とする請求項9記載の記録媒体。
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