JP4181253B2 - 鋳型用レジンコーテッドサンド及び鋳型の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋳造に用いられる鋳型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在使用されている鋳型は、生砂型や高圧造型、高速造型など粘土類等を粘結剤として用いる普通鋳型と、熱硬化性鋳型、自硬性鋳型、ガス硬化鋳型、精密鋳造用鋳型など硬化性粘結剤を用いる特殊鋳型と、その他の鋳型とに分類される。
【0003】
普通鋳型は最も一般的な鋳型であり、鋳型砂を繰り返し使用することができて安価であるために、今なお鋳型の中心になっている。しかし、普通鋳型は粘土類や亜麻仁油などを粘結剤として用いるために、鋳型を加熱セットするにあたって170〜180℃の温度で数十分から数時間程度の長時間を必要とし、生産性が低いと共に、長時間を要する加熱セットの間に鋳型に垂れ変形や崩壊などの型くずれが生じるおそれがある。さらに、鋳込み時にガスの発生が多いため、ガス圧で鋳型が破損されたり鋳物に欠陥が発生したりし易いなどの問題がある。
【0004】
一方、特殊鋳型は硬化性粘結剤を用い、加熱硬化あるいは、硬化剤や硬化触媒などの併用による常温硬化で粘結剤を迅速に硬化させることができ、生産性が高く、また安定した品質をもった造型を行なうことができるものであり、そしてこの特殊鋳型は手込めや注型、ブロー等で造型して硬化性粘結剤を硬化させ、次いで水平割りや垂直割り、ダンプボックス法などで模型を抜き取ることによって製造される。
【0005】
この特殊鋳型の一つである熱硬化性鋳型には、シェルモールド法、小松KY法などがある。これらの粘結剤にはフェノール樹脂が使用され、耐火骨材の表面を熱硬化性樹脂粘結剤で被覆して調製される常温で自由流動性を持ったレジンコーテッドサンドが用いられている。そして、ガスバーナーや電気ヒーターなどで250℃以上に加熱した型の表面にレジンコーテッドサンドを熱融着させて鋳型を作るダンプボックス方式や、あるいは加熱した金型のキャビティにレジンコーテッドサンドを吹き込んで粘結剤を熱硬化させて鋳型を作る方式がある。しかしこの場合、生産性を向上させるために、型の温度をより高くする必要があるという問題があり、またこのように高温で加熱をすると、フェノール樹脂が硬化する際にその急激な反応に伴ってアンモニアガスやホルムアルデヒド、フェノールなどが発生し、作業環境の悪化を招くという問題がある。
【0006】
また自硬性鋳型には、エステル硬化鋳型、Nプロセス、フェノールウレタン鋳型、ポリオールウレタン自硬性鋳型、フランノーベーク鋳型、フェノールノーベーク鋳型、エステル硬化フェノールノーベーク鋳型、減圧造型法、SVプロセス造型法、ボールサンドプロセスなどがある。これらのうち、熱硬化性樹脂などの有機物を粘結剤として用いる自硬性鋳型は、耐火骨材と、熱硬化性樹脂と、熱硬化性樹脂を室温で硬化させるための硬化剤と、また硬化触媒として有機酸や無機酸などの強酸とをミキサーで混練して調製したレジンコーテッドサンドを型に充填し、室温で養生して粘結剤を硬化させた後に、抜型して得られる鋳型である。この場合、レジンコーテッドサンドの調製とともに粘結剤の硬化が進行しているために、短時間に作業を終わらないと型への充填不良を起こしたり、鋳型の強度低下を招くおそれがあるなど、安定した造型が難しいという問題がある。
【0007】
また、ガス硬化鋳型には、CO2プロセス、有機CO2プロセス、VRHプロセス、アミンコールドボックス鋳型、エステルコールドボックス鋳型などがある。これらのうち有機物を粘結剤として用いるガス硬化鋳型は、耐火骨材と粘結剤とをミキサーで混練して調製したレジンコーテッドサンドを型に吹き込んだり、手込めなどして充填し、次に室温で硬化させるために粘結剤と反応するガスや、反応触媒のガスを型に吹き込み、粘結剤を硬化させた後、抜型して得られる鋳型である。このガス硬化鋳型の場合、レジンコーテッドサンドの可使時間は自硬性鋳型に比較して長く、硬化時間は極めて短いという長所を有する。
【0008】
しかし、熱硬化性樹脂など有機系の粘結剤を用いたレジンコーテッドサンドの場合、室温で硬化させるために第三級アミン、SO2、蟻酸メチルなどのガスを吹き込んで硬化させることになるが、これらの化学物質は殆どが有害であり、しかも低沸点で取り扱いが難しく、防毒ガスを着用するなど極めて慎重に取り扱う必要があり、また鋳型中に残ったガスは大気中に放出することができないため、薬品で中和したり液体に吸収させてから処理をするなど、煩雑な操作が必要になるという問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、型をさほど高温に加熱する必要がなく、短時間で安定して鋳型を製造することができ、また有害化学物質を用いる必要なくしかも有毒ガスが発生することなく鋳型を製造することができるレジンコーテッドサンド及び鋳型の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る鋳型用レジンコーテッドサンドは、耐火骨材の表面がフェノール系樹脂粘結剤及びイソシアネート化合物粘結剤の順に被覆されて成ることを特徴とするものである。
【0011】
また請求項2の発明は、フェノール系樹脂粘結剤が室温で固形のものであることを特徴とするものである。
【0013】
また請求項3の発明は、耐火骨材の表面に被覆された粘結剤には硬化剤と硬化触媒の少なくとも一方が含有されて成ることを特徴とするものである。
【0015】
本発明の請求項4に係る鋳型の製造方法は、上記請求項1乃至3の何れかに記載の鋳型用レジンコーテッドサンドを型内に充填し、この型内に水蒸気を吹き込んでフェノール系樹脂粘結剤及びイソシアネート化合物粘結剤を硬化させることを特徴とするものである。尚、本出願人はこの方法をスチームブロー造型法(Steam blow molding process)と呼んでいる。
【0016】
また請求項5の発明は、型内に水蒸気と同時に硬化触媒を吹き込んでフェノール系樹脂粘結剤及びイソシアネート化合物粘結剤を硬化させることを特徴とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
本発明において粘結剤としては、フェノール系樹脂粘結剤とイソシアネート化合物粘結剤を用いる。そしてこれらにヘキサメチレンテトラミンなどの硬化剤や、第三級アミン、ピリジン誘導体などの硬化触媒を配合して、加熱硬化型の自硬化性にして使用することができる。
【0019】
ここで、フェノール系樹脂はフェノール類とホルムアルデヒド類を反応触媒の存在下で反応させることによって調製することができる。
【0020】
フェノール類は、フェノール及びフェノールの誘導体を意味するものであり、例えばフェノールの他に、m−クレゾール、レゾルシノール、3,5−キシレノールなどの3官能性のもの、ビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニルメタンなどの4官能性のもの、o−クレゾール、p−クレゾール、p−ter−ブチルフェノール、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノール、p−ノニルフェノール、2,4又は2,6−キシレノールなどの2官能性のo−又はp−置換のフェノール類を挙げることができ、さらに塩素又は臭素で置換されたハロゲン化フェノールなども用いることができる。勿論、これらから1種を選択して用いる他、複数種のものを混合して用いることもできる。
【0021】
またホルムアルデヒド類としては、水溶液の形態であるホルマリンが最適であるが、パラホルムアルデヒドやアセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、トリオキサン、テトラオキサンのような形態のものを用いることもでき、その他、ホルムアルデヒドの一部をフルフラールやフルフリルアルコールに置き換えて使用することも可能である。
【0022】
上記のフェノール類とホルムアルデヒド類との配合比率は、フェノール類とホルムアルデヒドのモル比が1:0.4〜1:3.5の範囲になるように設定するのが好ましい。
【0023】
このフェノール系樹脂の反応触媒としては、ノボラック型フェノール樹脂を調製する場合は、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸、あるいはシュウ酸、パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、キシレンスルホン酸などの有機酸、さらに酢酸亜鉛などを用いることができる。またレゾール型フェノール樹脂を調製する場合は、アルカリ土類金属の酸化物や水酸化物を用いることができ、さらにジメチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ジエチレントリアミン、ジシアンジアミドなどの脂肪族の第一級、第二級、第三級アミン、N,N−ジメチルベンジルアミンなどの芳香環を有する脂肪族アミン、アニリン、1,5−ナフタレンジアミンなどの芳香族アミン、アンモニア、ヘキサメチレンテトラミンなどや、その他二価金属のナフテン酸や二価金属の水酸化物等を用いることもできる。
【0024】
また、イソシアネート化合物としては、−NCO基を2個以上持つものであれば特に制限されないが、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネート、さらにはp−フェニレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ブロック型ポリイソシアネート、ポリオール変性イソシアネート、カルボジイミドイソシアネート、イソシアネートの二量体、イソシアネートの三量体、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェノールイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、クロルフェニレン2,4−ジイソシアネート、トリレンジイソシアネートのオリゴマーなどの、液状又は粉末状のものを使用することができる。勿論、これらは単独で用いる他、複数種を混合して用いることもできる。
【0025】
イソシアネート化合物は後述のように型に吹き込む水蒸気の水で硬化させたり、水蒸気の熱で硬化させることもできるが、硬化触媒を配合することができる。この硬化触媒としては、トリメチルアミン、ジメチルエチルアミン、モノメチルジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルプロピルアミン、モノエチルプロピルアミン、トリプロピルアミン、アンモニア、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルラウリルアミン、N,N−ジメチルピペラジン、トリエチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルプロピルジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N′,N″,N″−ペンタメチルジエチレントリアミン、
【0026】
【化1】
、メラミン、尿素、イミダゾール、ヘキサメチレンテトラミンなどのアミン類、スタナスオクトエート、ジブチルチンジ−2−エチルヘキサエート、レジド、2−エチレンヘキソエート、ナトリウムo−フェニルフェネート、カリウムオレート、硝酸蒼鉛、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、塩化第二錫、塩化第二鉄、第二2−エチルヘキソエート鉄、コバルト2−エチルヘキソエート、ナフテン酸亜鉛、三塩化アンチモンなどの塩類などを例示することができる。これらのなかでも室温で固体のものが好ましい。また硬化剤としても硬化触媒としてもなりうる水は重要な硬化触媒である。
【0027】
さらに、フェノール系樹脂粘結剤及びイソシアネート化合物粘結剤やこれらの粘結剤を用いて調製したレジンコーテッドサンドの吸湿性や、硬化した鋳型の吸湿性や強度の低下を小さくするために、エチレンビスオレイン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド、メチレンビスステアリン酸アマイド、オキシステアリン酸アマイド、パルミチン酸アマイド、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛などの脂肪族系ワックスや、カルナバワックス、オレフィンワックス等の撥水剤、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカップリング剤を使用することができる。
【0028】
上記のフェノール系樹脂粘結剤やイソシアネート化合物粘結剤は液状や固形で、あるいは希釈して液状にして用いられるものであり、希釈用の溶剤としては、水酸基を含有しないものが好ましく、脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素系の溶剤、ハロゲン化炭化水素溶剤、エーテル類、ケトン類、エステル類、多価アルコールの誘導体や、これらの混合物を使用することができる。その代表的なものとして、灯油、シクロヘキサン、キシレン、クメン、塩化メチレン、1,1,1−トリクロロエタンシクロヘキサン、イソホロン、フタル酸ジブチル、エチルセロソルブアセテートプロピレンカーボネートなどを挙げることができる。
【0029】
そしてけい砂などの鋳型用の耐火骨材にフェノール系樹脂粘結剤を加えて混練し、さらにこれにイソシアネート化合物粘結剤を加えて混練することによって、耐火骨材にフェノール系樹脂粘結剤とイソシアネート化合物粘結剤をこの順に被覆したレジンコーテッドサンドを得ることができるものである。このようにレジンコーテッドサンドは内側が比較的耐熱性の高いフェノール系樹脂、外側が比較的耐熱性の低いイソシアネート化合物の二層に被覆されているので、後述のように両粘結剤を硬化させて鋳型を製造した際には耐火骨材は比較的耐熱性の低いイソシアネート化合物で主として接着結合されることになる。従って、この鋳型に鋳造の際の溶湯が接すると、その熱でイソシアネート化合物は容易に分解して鋳型を崩壊させることができるものであり、砂落としの作業を容易に行なうことができるものである。
【0030】
耐火骨材にフェノール系樹脂粘結剤やイソシアネート化合物粘結剤を被覆するにあたっては、ドライホットコート法、コールドコート法、セミホットコート法、粉末溶剤法などで行なうことができる。
【0031】
ドライホットコート法は、固形の粘結剤を100〜180℃に加熱した耐火骨材に添加して混合し、耐火骨材による加熱によって固形粘結剤を溶融させて、粘結剤で耐火骨材の表面をコートさせ、しかる後にこの混合を保持したまま冷却することによって、常温で自由流動性を有する粒状でさらさらしたレジンコーテッドサンドを得る方法である。
【0032】
コールドコート法は、粘結剤をそのままで、あるいは溶剤に溶解又は希釈し、これを耐火骨材に添加して混合し、溶剤を揮発させたりすることによって、常温で自由流動性を有するさらさらとした粒状の、あるいは湿態状のレジンコーテッドサンドを得る方法である。
【0033】
セミホットコート法は、上記溶剤に溶解した液状の粘結剤を50〜90℃に加熱した耐火骨材に添加混合することによってレジンコーテッドサンドを得る方法である。
【0034】
粉末溶剤法は、固形の粘結剤を粉砕し、この粉砕粘結剤を耐火骨材に添加してさらに溶剤を添加し、これを混合することによってレジンコーテッドサンドを得る方法である。
【0035】
ここで耐火骨材とフェノール系樹脂粘結剤及びイソシアネート化合物粘結剤との混合割合は、鋳型として要求される性能によって変動があり、特に制限されるものではないが、耐火骨材100重量部に対してフェノール系樹脂粘結剤及びイソシアネート化合物粘結剤の合計量の樹脂分換算で0.5〜4重量部程度が好ましい。またフェノール系樹脂粘結剤とイソシアネート化合物粘結剤の割合は、前者と後者の樹脂分換算の重量比で1:99〜99:1の範囲、好ましくは10:90〜90:10の範囲、最も好ましくは20:80〜80:20の範囲である。さらに上記のように耐火骨材と粘結剤との混合の際に必要に応じて硬化剤、硬化触媒、ワックス類、耐火骨材と粘結剤とを親和させるためのシランカップリング剤などの各種のカップリング剤等を配合することができる。また、耐火骨材にフェノール系樹脂粘結剤とイソシアネート化合物粘結剤を被覆してレジンコーテッドサンドを調製するにあたって、フェノール系樹脂粘結剤が室温で固形のものであれば、固形のフェノール系樹脂粘結剤はイソシアネート化合物粘結剤に溶解もしくは相溶し難いので、両粘結剤同士の反応が起こり難くすることができるものであり、レジンコーテッドサンドの保存安定性を高めることができるものである。
【0036】
次に、上記のように調製されるレジンコーテッドサンドを用いて鋳型を製造する方法の一例を図1を参照して説明する。図1(a)に示すように、内部に成形用空所3を設けて形成した型1の上面に注入孔4が設けてあり、型1の下面には金網等の網5で塞いだベントホール6が設けてある。この型は縦割りあるいは横割に割ることができるようになっている。またレジンコーテッドサンド2はホッパー7内に貯蔵してあり、ホッパー7にはコック8付きの空気供給管9が接続してある。そしてホッパー7の下端のノズル口9aを型1の注入孔4に合致させた後、コック8を閉から開に切り代えることによって、ホッパー7内に1kgf/cm2程度の圧力で空気を吹き込んで加圧し、ホッパー7内のレジンコーテッドサンド2を図1(b)のように型1内に吹き込んで、型1の成形用空所3内にレジンコーテッドサンド2を充填する。ベントホール6は網5で塞いであるので、レジンコーテッドサンド2がベントホール6から洩れ出すことはない。
【0037】
上記のように型1内にレジンコーテッドサンド2を充填した後、型1の注入孔4からホッパー7を外すと共に図1(c)のように水蒸気パイプ10を接続し、コック11を開いて型1の成形用空所3内に水蒸気を吹き込む。この水蒸気としては、飽和水蒸気をさらに加熱してその飽和温度以上に上げた過熱蒸気を用いることもできる。水蒸気は型1内に充填されたレジンコーテッドサンド2の粒子間を通過してレジンコーテッドサンド2を加熱した後、網5を通してベントホール6から排出される。このように水蒸気を吹き込むことによって、型1内のレジンコーテッドサンド2の全体を瞬時に加熱し、フェノール系樹脂粘結剤やイソシアネート化合物粘結剤の硬化を促進させると共に硬化に至らせることができる。このとき、水蒸気の吹き込みによる加熱でフェノール系樹脂粘結剤とイソシアネート化合物粘結剤をそれぞれ硬化させる他に、フェノール系樹脂粘結剤はイソシアネート化合物が、イソシアネート化合物粘結剤はフェノール系樹脂が硬化剤の作用をなすので、フェノール系樹脂粘結剤とイソシアネート化合物粘結剤を相互に反応させ合って硬化させることもできるものであり、フェノール系樹脂粘結剤やイソシアネート化合物粘結剤は短時間で硬化するものである。
【0038】
従って、型1を高温に加熱しておく必要がなく、水蒸気による加熱でフェノール系樹脂粘結剤やイソシアネート化合物粘結剤を硬化させることができるものであり、また型1内のレジンコーテッドサンド2の全体を水蒸気によって均一に短時間で加熱することができ、安定して短時間にフェノール系樹脂粘結剤やイソシアネート化合物粘結剤を硬化させることができるものである。しかも、硬化剤や硬化触媒のような有害化学物質の蒸気を型1内に吹き込む場合のような、作業環境を悪化させるようなこともなくなるものである。型1内のレジンコーテッドサンド2のフェノール系樹脂粘結剤やイソシアネート化合物粘結剤を硬化させるこの水蒸気としては、温度が110〜180℃程度、蒸気圧が1.5〜10kgf/cm2程度のものが好ましく、このように比較的低温の水蒸気によってフェノール系樹脂粘結剤やイソシアネート化合物粘結剤を硬化させることができ、高温で加熱してフェノール系樹脂粘結剤やイソシアネート化合物粘結剤を硬化させる場合のような、急激な硬化反応に伴ってアンモニアやホルムアルデヒド、フェノール、イソシアネート化合物などのガスが発生することを抑制することができるものであり、またこれらのガスが多少発生しても、水蒸気の水分に吸収されて洗い流され、作業環境を悪化させる臭気の発生を防ぐことができるものである。
【0039】
またここで、臭気の少ない硬化触媒を用いる場合には、型1に水蒸気を吹き込む際に同時に、硬化触媒を吹き込むようにしてもよい。図2はこの場合に用いる装置の一例を示すものであり、まずレジンコーテッドサンド2を図1(b)のように型1内に充填した後、図2に示すように、型1の注入孔4に硬化触媒吹き込み筒13の先端のノズル口をセットする。硬化触媒吹き込み筒13内には金網14が張ってあり、金網14の上には硬化触媒をしみ込ませた脱脂綿15が配置してある。また硬化触媒吹き込み筒13の後端にはコック16付きの水蒸気供給管17が接続してある。そして水蒸気供給管17から上記と同様な条件の水蒸気を硬化触媒吹き込み筒13内に吹き込むことによって、脱脂綿15にしみ込ませた硬化触媒を水蒸気と混合させ、硬化触媒吹き込み筒13から水蒸気と硬化触媒との混合蒸気を型1内に吹き込むことができるものである。このように型1に水蒸気を吹き込む際に同時に硬化触媒を吹き込むようにすれば、レジンコーテッドサンド2に被覆したフェノール系樹脂粘結剤やイソシアネート化合物粘結剤に硬化触媒を予め混合しておく必要がなくなり、レジンコーテッドサンド2の粘結剤の保存安定性が高くなるものである。
【0040】
上記のように型1内に充填したレジンコーテッドサンド2のフェノール系樹脂粘結剤やイソシアネート化合物粘結剤を硬化させることによって、型1内で鋳型を成形することができるものであり、鋳型は型1を割ることによって取り出すことができる。ここで、型1内に吹き込んだ水蒸気が凝縮することを防止するために、型1を予め加熱しておいてもよい。また水蒸気によって鋳型内に含有されることになる水分を除去するために、鋳型を乾燥機などに入れて加熱乾燥するようにしてもよい。このように加熱乾燥することによって鋳型の粘結剤が養生され、鋳型の強度を向上させることができるものである。
【0041】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0042】
(フェノール系樹脂粘結剤の製造例1)
反応容器にフェノール752重量部、37%ホルマリン973重量部、水酸化リチウム6重量部を仕込み、約60分を要して65℃まで昇温させ、そのまま3時間反応させた。このものを50トールの減圧下、70℃まで脱液を行なうことによって、25℃における粘度が30ポアズのレゾール型フェノール樹脂のフェノール系樹脂粘結剤Aを得た。
【0043】
(フェノール系樹脂粘結剤の製造例2)
反応容器にフェノール752重量部、37%ホルマリン875重量部、ナフテン酸鉛1.5重量部を仕込み、約60分を要して還流させ、そのまま3時間反応させた。このものを常圧で110℃まで脱水した後、50トールの減圧下、120℃まで脱液を行ない、半固体状のベンジリックエーテル型フェノール樹脂を得た。得られたこの樹脂700重量部に芳香族炭化水素系溶剤(エクソン化学株式会社製「ソルベッソ150」)を300重量部加えて溶解させ、25℃における粘度が70センチポアズのベンジリックエーテル型フェノール樹脂のフェノール系樹脂粘結剤Bを得た。
【0044】
(フェノール系樹脂粘結剤の製造例3)
反応容器にフェノール940重量部、37%ホルマリン405重量部、シュウ酸3.76重量部を仕込み、約60分を要して還流させ、そのまま3時間反応させた。このものを常圧で180℃まで脱液を行なうことによって、25℃における粘度が80ポアズのノボラック型フェノール樹脂のフェノール系樹脂粘結剤Cを得た。
【0045】
(フェノール系樹脂粘結剤の製造例4)
反応容器にフェノール940重量部、37%ホルマリン649重量部、シュウ酸4.7重量部を仕込み、約60分を要して還流させ、そのまま120分間反応させた。このものを常圧で内温160℃まで脱水を行なった後、100トールで減圧脱水を行なうことによって、軟化点が95℃の固形ノボラック型フェノール樹脂のフェノール系樹脂粘結剤Dを得た。
【0046】
(フェノール系樹脂粘結剤の製造例5)
反応容器にフェノールを680重量部、37%ホルマリンを880重量部、ヘキサメチレンテトラミンを101重量部仕込み、約60分を要して70℃まで昇温させ、そのまま5時間反応させた。このものを100トールで90℃まで減圧脱水を行なった後、バットに払い出し、冷却することによって、軟化点が80℃の固形レゾール型フェノール樹脂のフェノール系樹脂粘結剤Eを得た。
【0047】
(イソシアネート化合物粘結剤の製造例)
ポリメリックMDI(三井化学株式会社製「コスモネート200」)700重量部に芳香族炭化水素系溶剤(エクソン化学株式会社製「ソルベッソ100」)を300重量部加えて溶解させ、25℃における粘度が80センチポアズのイソシアネート化合物粘結剤Fを得た。
【0048】
(実施例1)
フラッタリーけい砂10kgをワールミキサーに入れ、上記フェノール系樹脂粘結剤Aを100g加えて30秒間混練し、さらにこれに上記イソシアネート化合物粘結剤Fを100g加えて60秒間混練した後、ワールミキサーから払い出すことによって、液量が重量比率で2%の湿態状のレジンコーテッドサンドを得た。
【0049】
次に、図1(a)のような直径50mm、高さ50mmの円筒状の成形用空所3を設けた型1を用い、レジンコーテッドサンド2をホッパー7から1kgf/cm2の空気圧で10秒間吹き込むことによって、図1(b)のように型1に吹き込み充填した。次いでこの型1に図1(c)のように水蒸気パイプ10を接続し、温度151℃、蒸気圧5kgf/cm2の水蒸気を30秒間吹き込んだ後、直ちに型1から脱型することによって、直径50mm、高さ50mmの円筒状の評価用鋳型を得た。
【0050】
(実施例2)
フェノール系樹脂粘結剤Aの代わりにフェノール系樹脂粘結剤Bを用いるようにした他は実施例1と同様にしてレジンコーテッドサンドを得た。後はこのレジンコーテッドサンドを用いて、実施例1と同様にして評価用鋳型を得た。
【0051】
(実施例3)
型1を予め100℃に加熱して用いるようにした他は、実施例2と同様にして評価用鋳型を得た。
【0052】
(実施例4)
フェノール系樹脂粘結剤Aの代わりにフェノール系樹脂粘結剤Cを用いるようにした他は実施例1と同様にしてレジンコーテッドサンドを得た。後はこのレジンコーテッドサンドを用いて、実施例1と同様にして評価用鋳型を得た。
【0053】
(実施例5)
145℃に加熱したフラッタリーけい砂30kgをワールミキサーに入れ、上記フェノール系樹脂粘結剤Dを300g加えて30秒間混練した後、ヘキサメチレンテトラミン45gを水450gに溶解したものを加えて砂粒が崩壊するまで混練し、これを払い出してエアーレーションを行なうことによって、樹脂量が重量比率で1.0%の自由流動性のあるフェノール系樹脂コーテッドサンドを得た。次に、このコーテッドサンド10kgをワールミキサーに入れ、これに上記イソシアネート化合物粘結剤Fを100g加えて60秒間混練した後、ワールミキサーから払い出すことによって、湿態状のレジンコーテッドサンドを得た。後はこのレジンコーテッドサンドを用いて、実施例1と同様にして評価用鋳型を得た。
【0054】
(実施例6)
実施例5において、水450gにヘキサメチレンテトラミン45gと硬化触媒として融点が159.8℃で極低臭気のトリエチレンジアミン2gを溶解したものを用いるようにした他は実施例5と同様にしてレジンコーテッドサンドを得た。後はこのレジンコーテッドサンドを用いて、実施例1と同様にして評価用鋳型を得た。
【0055】
(実施例7)
フェノール系樹脂粘結剤Dの代わりにフェノール系樹脂粘結剤Eを用いると共にヘキサメチレンテトラミンを用いないようにした他は実施例5と同様にしてレジンコーテッドサンドを得た。後はこのレジンコーテッドサンドを用いて、実施例1と同様にして評価用鋳型を得た。
【0056】
(実施例8)
実施例5で得た湿態状のレジンコーテッドサンドを25℃で1日養生して、フェノール系樹脂とイソシアネート化合物を反応させると共に粘結剤中の溶剤を揮散させることによって、100℃以上に加熱することで容易に硬化することができるフェノール樹脂とイソシアネート化合物のブロックポリマーにし、常温で自由流動性を有する粒状のレジンコーテッドサンドを得た。後はこのレジンコーテッドサンドを用いて、実施例1と同様にして評価用鋳型を得た。
【0057】
(実施例9)
実施例5で得た湿態状のレジンコーテッドサンドの代わりに実施例7で得た湿態状のレジンコーテッドサンドを用いて常温で自由流動性を有する粒状のレジンコーテッドサンドを得た。後はこのレジンコーテッドサンドを用いて、実施例1と同様にして評価用鋳型を得た。
【0058】
(実施例10)
実施例5で得たレジンコーテッドサンド2を図1(b)のように型1内に充填した後、図2に示すように、型1の注入孔4に硬化触媒吹き込み筒13をセットした。硬化触媒吹き込み筒13内には金網14を張ると共に金網14の上に硬化触媒として融点が159.8℃で極低臭気のトリエチレンジアミンの2重量%水溶液をしみ込ませた脱脂綿15が配置してあり、硬化触媒吹き込み筒13に接続した水蒸気供給管17から温度151℃、蒸気圧5kgf/cm2の圧力で水蒸気を送り込むことによって、水蒸気とトリエチレンジアミンとの混合蒸気を30秒間、硬化触媒吹き込み筒13から型1内に吹き込んだ後、直ちに型1から脱型することによって評価用鋳型を得た。
【0059】
(比較例1)
実施例2で得たレジンコーテッドサンド2を図1(b)のように型1内に充填した後、図2に示すように、型1の注入孔4に硬化触媒吹き込み筒13をセットした。硬化触媒吹き込み筒13内には金網14を張ると共に金網14の上にトリエチルアミンをしみ込ませた脱脂綿15が配置してあり、硬化触媒吹き込み筒13の後端には上記の水蒸気供給管17の代わりにコック16付きの空気供給管18が接続してある。そして空気供給管18から硬化触媒吹き込み筒13に1kgf/cm2の圧力で空気を送り込むことによって、空気とトリエチルアミンとの混合気体を10秒間、硬化触媒吹き込み筒13から型1内に吹き込んだ後、直ちに型1から脱型することによって評価用鋳型を得た。
【0060】
(比較例2)
実施例5で得たレジンコーテッドサンドを用いるようにした他は、比較例1と同様にして評価用鋳型を得た。
【0061】
(比較例3)
実施例8で得たレジンコーテッドサンドを用いるようにした他は、比較例1と同様にして評価用鋳型を得た。
【0062】
上記の実施例1〜10及び比較例1〜3において、鋳型の造型時の臭いと、脱型時の臭いを、作業者の臭覚によって評価した。また、鋳型の脱型直後の圧縮強さと、鋳型を105℃の乾燥機中で60分養生して冷却した後の圧縮強さを測定した。さらに、脱型直後に評価用鋳型を半分に切断し、切断面での硬化の度合いを目視と触感で観察した。これらの結果を表1〜表3に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
表1〜表3にみられるように、各実施例のものは、臭気が少ないのに対し、各比較例のものは臭気が強く、作業環境が悪いものであった。また切断面での硬化の状態は、実施例では総て全体が固化しているのに対して、比較例2,3のものでは若干の程度の違いはあるものの、内部まで固化していなものであった。これは、水蒸気を吹き込む実施例のものでは、内部にまで瞬時に加熱をすることができるが、比較例2,3のものでは熱を加えないためレジンコーテッドサンドの粘結剤は熱溶融せず固相のままであって、化学反応が極めて起こり難いので、内部まで固化し難くなっていると考えられる。
【0066】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1に係る鋳型用レジンコーテッドサンドは、フェノール系樹脂粘結剤及びイソシアネート化合物粘結剤によって耐火骨材の表面が被覆されたものであるので、この鋳型用レジンコーテッドサンドを型に充填して水蒸気を供給することによって、フェノール系樹脂粘結剤やイソシアネート化合物粘結剤を硬化させ、鋳型を製造することができるものであり、しかもフェノール系樹脂粘結剤とイソシアネート化合物粘結剤は相互に反応し合って硬化し、フェノール系樹脂粘結剤やイソシアネート化合物粘結剤を短時間で硬化させることができるものである。
また、耐火骨材の表面がフェノール系樹脂粘結剤及びイソシアネート化合物粘結剤の順に被覆されて成ることを特徴とするので、レジンコーテッドサンドの被覆層の内側は比較的耐熱性の高いフェノール系樹脂で、外側は比較的耐熱性の低いイソシアネート化合物で形成されており、両粘結剤を硬化させて鋳型を製造した際には耐火骨材は比較的耐熱性の低いイソシアネート化合物で主として接着結合されることになり、この鋳型に鋳造の際の溶湯が接するとその熱でイソシアネート化合物は容易に分解して鋳型を崩壊させることができ、砂落としの作業を容易に行なうことができるものである。
【0067】
また請求項2の発明は、フェノール系樹脂粘結剤が室温で固形のものであることを特徴とするので、固形のフェノール系樹脂粘結剤はイソシアネート化合物粘結剤に溶解もしくは相溶し難く、両粘結剤同士の反応が起こり難くすることができ、レジンコーテッドサンドの保存安定性を高めることができるものである。
【0069】
また請求項3の発明は、耐火骨材の表面に被覆された粘結剤には硬化剤と硬化触媒の少なくとも一方が含有されて成ることを特徴とするので、硬化剤や硬化触媒で粘結剤の硬化を促進して、硬化時間を短縮することができるものである。
【0070】
本発明の請求項4に係る鋳型の製造方法は、上記請求項1乃至3の何れかに記載の鋳型用レジンコーテッドサンドを型内に充填し、この型内に水蒸気を吹き込んでフェノール系樹脂粘結剤及びイソシアネート化合物粘結剤を硬化させるようにしたので、水蒸気によって型内のレジンコーテッドサンドの全体を瞬時に加熱してフェノール系樹脂粘結剤及びイソシアネート化合物粘結剤を硬化させることができ、型を高温に加熱しておく必要がなく、安定して短時間に鋳型を造型することができるものであり、しかも硬化剤や硬化触媒のような有害化学物質の蒸気を型内に吹き込む場合や、型を高温に加熱して粘結剤を硬化させる場合のような、有害物質によって作業環境を悪化させるようなことがなくなるものである。
【0071】
また請求項5の発明は、型内に水蒸気と同時に硬化触媒を吹き込んでフェノール系樹脂粘結剤及びイソシアネート化合物粘結剤を硬化させるようにしたので、レジンコーテッドサンドに被覆したフェノール系樹脂粘結剤やイソシアネート化合物粘結剤に硬化触媒を予め混合しておく必要がなくなり、レジンコーテッドサンドの保存安定性が高くなるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a),(b),(c)はそれぞれ断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の他例及び比較の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 型
2 レジンコーテッドサンド
Claims (5)
- 耐火骨材の表面がフェノール系樹脂粘結剤及びイソシアネート化合物粘結剤の順に被覆されて成ることを特徴とする鋳型用レジンコーテッドサンド。
- フェノール系樹脂粘結剤が室温で固形のものであることを特徴とする請求項1に記載の鋳型用レジンコーテッドサンド。
- 耐火骨材の表面に被覆された粘結剤には硬化剤と硬化触媒の少なくとも一方が含有されて成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の鋳型用レジンコーテッドサンド。
- 上記請求項1乃至3の何れかに記載の鋳型用レジンコーテッドサンドを型内に充填し、この型内に水蒸気を吹き込んでフェノール系樹脂粘結剤及びイソシアネート化合物粘結剤を硬化させることを特徴とする鋳型の製造方法。
- 型内に水蒸気と同時に硬化触媒を吹き込んでフェノール系樹脂粘結剤及びイソシアネート化合物粘結剤を硬化させることを特徴とする請求項4に記載の鋳型の製造方法。
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