JP3794944B2 - 鋳造用鋳型の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱を必要としないコールドボックス法、ノーベーク法などの鋳造用鋳型の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
コールドボックス法による鋳型の一般的な製造方法は、まず、フェノール樹脂を必須成分とし、必要により劣化防止剤、乾燥防止剤を添加して有機溶剤に溶かした溶液と、イソシアネート化合物を必須成分とし、必要により前記添加剤を有機溶剤に溶かした溶液とからなる鋳型製造用粘結剤と、砂等の粒状耐火性骨材とをミキサーで混合して、粘結剤で被覆された粒状耐火性骨材を調製する。次いで、これを鋳型製造用の型枠内に吹き込んで成形し、更にこの型枠内に気体状の第三級アミン等の触媒を通気させることにより常温で硬化させ、最後に脱型して、鋳造用の鋳型を製造している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
実際の工業的方法としては、効率的生産を重視して、フェノール樹脂溶液と、イソシアネート化合物の溶液と、粒状耐火性骨材とを共にミキサーで混合して粘結剤被覆粒状耐火性骨材を調製し、これを砂貯留槽に貯留しておく方法が採用されている。そして、この砂貯留槽から砂型造形時に適宜、粘結剤被覆粒状耐火性骨材をホッパーに入れ、必要量の粘結剤被覆粒状耐火性骨材を型枠内に充填し、その後、トリエチルアミン等の第三級アミンを通気させて常温で硬化させ、鋳物用砂型を製造している。その際、砂貯留槽に貯留される粘結剤被覆粒状耐火性骨材の量は、型枠容量の数十倍から数百倍の量が一般的であるが、当然、この倍率が多いほど鋳型の生産効率が良い。
しかし、貯留される粘結剤被覆粒状耐火性骨材の量が増すということは、フェノール樹脂溶液とイソシアネート化合物の溶液と粒状耐火性骨材の混合物である粘結剤被覆粒状耐火性骨材の放置時間が長くなることにつながり、粘結剤被覆粒状耐火性骨材をホッパー等に入れ、必要な量を型枠に入れた後、ホッパー内に残った粘結剤被覆粒状耐火性骨材が、ホッパーの下方で硬化剤なしでも徐々に硬化し、粘結剤被覆粒状耐火性骨材が塊になる。そのため、次の生産の前に、ホッパー内で硬化し固化した粘結剤被覆粒状耐火性骨材を粉砕し、除去する必要があるという課題を有していた。また、自動車等の比較的大きな鋳型を大量に製造する場合に、必要量より多めに粘結剤被覆粒状耐火性骨材を調製するために、大量の未使用な粘結剤被覆粒状耐火性骨材を廃棄する場合や、粘結剤被覆粒状耐火性骨材を残貯留槽から型枠に移送するライン中の未使用の粘結剤被覆粒状耐火性骨材を廃棄する場合に、粘結剤被覆粒状耐火性骨材が固化して塊になり、その運搬に支障をきたしていた。
また、フェノール樹脂等の粘結剤を粒状耐火性骨材に被覆しやすくするために、エステル、ケトンや全炭素数9〜10の石油留分がその溶剤として用いられているが、これらを溶剤として用いると溶剤の蒸発量が多いので、粘結剤と粒状耐火性骨材とを混練する際の作業環境の改善が強く望まれていた。また、これらの溶剤を含む粘結剤被覆粒状耐火性骨材にも、上記と同様に、大量生産の際に粘結剤被覆粒状耐火性骨材が固化し塊になるという問題を有していた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
粘結剤被膜粒状耐火性骨材がホッパー等の装置の中での固化(硬化)を防止することができれば、ホッパー等の容器の中から硬化した粘結剤被膜粒状耐火性骨材を粉砕、除去する工程が省け、鋳型の生産効率の向上につながる。
本発明者らは、
1.フェノール樹脂とイソシアネート化合物を用いた気体状第三級アミン硬化性鋳型製造用粘結剤において、イソシアネート化合物にアルキル基の炭素数が9〜16のアルキルベンゼンを予め加えることによって、気体状第三級アミンの接触なしには固化しにくい鋳造用鋳型の製造方法を提供するものである。
2.本発明における気体状鋳型製造用組成物に用いるアルキル基の炭素数が6〜16のアルキルベンゼンが(従来の溶剤としての役割である)粘結剤を粒状耐火性骨材に被覆しやすくする効果を有しているので、従来の溶剤の使用量を減少し、粘結剤被覆粒状耐火性骨材の溶剤の蒸発量を少なくおさえることにより該粘結剤被覆粒状耐火性骨材の可使時間を延長することが可能であり、イソシアネート溶液と、溶剤とフェノール樹脂を少なくとも含有するフェノール樹脂溶液と、粒状耐火性骨材とを混練する際あるいはミキサーやホッパー内の残留物の清掃をする際の作業環境ならびに作業性を改善することができる鋳造用鋳型の製造方法を提供するものである。
【0005】
すなわち、本発明は次の(1)〜(7)である。
【0006】
(1) アルキル基の炭素数が6〜16のアルキルベンゼンとイソシアネート化合物を少なくとも含有するイソシアネート溶液と、溶剤とフェノール樹脂を少なくとも含有するフェノール樹脂溶液と、粒状耐火性骨材とを混合し、次いでこの混合物を鋳型枠内に収納して成形し、更にこの成形物に気体状第三級アミンを通気させて硬化させること、を特徴とする鋳造用鋳型の製造方法。
【0007】
(2) 前記イソシアネート溶液が、アルキル基の炭素数が6〜16のアルキルベンゼンと前記アルキルベンゼン以外の溶剤とイソシアネート化合物を少なくとも含有するイソシアネート溶液である、前記(1)の鋳造用鋳型の製造方法。
【0008】
(3) 前記イソシアネート溶液が、アルキル基の炭素数が6〜16のアルキルベンゼンと前記アルキルベンゼン以外の溶剤と可使時間延長剤とイソシアネート化合物を含有するイソシアネート溶液である、前記(1)の鋳造用鋳型の製造方法。
【0009】
(4) 前記イソシアネート溶液が、アルキル基の炭素数が9〜16のアルキルベンゼンとイソシアネート化合物を少なくとも含有するイソシアネート溶液である、前記(1)の鋳造用鋳型の製造方法。
【0010】
(5) 前記フェノール樹脂溶液が、アルキル基の炭素数が6〜16のアルキルベンゼン以外の溶剤とフェノール樹脂を少なくとも含有するフェノール樹脂溶液である、前記(1)の鋳造用鋳型の製造方法。
【0011】
(6) 前記フェノール樹脂溶液が、アルキル基の炭素数が6〜16のアルキルベンゼン以外の溶剤と粘着性付与剤とフェノール樹脂を含有するフェノール樹脂溶液である、前記(1)の鋳造用鋳型の製造方法。
【0012】
(7) アルキル基の炭素数が6〜16のアルキルベンゼンの含有量が、イソシアネート化合物100重量部に対して0.1〜100重量部である、前記(1)の鋳造用鋳型の製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明において使用されるフェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類との付加・縮合で得られる、ベンジリックエーテル型フェノール樹脂である。
【0014】
フェノール類としては、フェノール、クレゾール、レゾルシノール、キシレノール、ビスフェノールA、クミルフェノール、ノニルフェノール、ブチルフェノール、フェニルフェノール、エチルフェノール、オクチルフェノール、アミルフェノール、ナフトール、ビスフェノールF、ビスフェノールC、カテコール、ハイドロキノン、ピロガロール、フロログリシン、リグニン、ビスフェノールA残渣、クロロフェノール、ジクロロフェノール、その他の置換フェノール等が挙げられる。これらは単独で或いは2種以上を混合して使用できる。
アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラール等が挙げられる。これらも単独で或いは2種以上を混合して使用できる。
これらから得られるフェノール樹脂は、重量平均分子量が500〜5000のものが好ましい。
【0015】
本発明において使用されるイソシアネート化合物としては、公知の芳香族、脂肪族あるいは脂環式イソシアネートを挙げることができ、具体的には例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(以下、ポリメリックMDIという。)、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等を挙げることができる。これらは単独で或いは2種以上を混合して使用できる。これらのうち、ポリメリックMDIが好ましい。
【0016】
本発明においてイソシアネート溶液に必須のアルキルベンゼンのアルキル基は炭素数が6〜16であり、炭素数が6に満たないとアルキルベンゼンの沸点が低下し、粘結剤被覆粒状耐火性骨材の固化を防止する効果が不充分であり、炭素数が16を超えるとイソシアネート溶液の粘度が高くなり、また、粘結剤被覆粒状耐火性骨材が固化する傾向があり、粘結剤としての使用に不具合を生じる。更に好ましいのは、アルキル基の炭素数が9〜16のアルキルベンゼンである。また、炭素数が6〜16のアルキル基は、直鎖状であっても分岐していてもよく、アルキル基の炭素数が6〜16のアルキルベンゼンであれば、複数の化合物からなる混合物であっても良い。
具体的に例示すると、ドデシルベンゼン、アルケン56N(商品名:日本石油化学会社製、アルキル基の炭素数が9〜16のアルキルベンゼンの混合物)が挙げられる。
【0017】
アルキル基の炭素数が6〜16のアルキルベンゼンは、イソシアネート溶液中で、イソシアネート化合物100重量部に対して0.1〜100重量部、更に1〜50重量部であることが好ましい。前記アルキルベンゼンの量が0.1重量部より少ないと、粘結剤被覆粒状耐火性骨材を放置したときの固化を防止する効果が弱く、100重量部を超えると、鋳型の硬化を阻害する傾向になりやすく、不経済でもある。
【0018】
本発明において使用できるアルキル基の炭素数が6〜16のアルキルベンゼン以外の溶剤としては、コールドボックス法等において通常使用される溶剤が挙げられる。具体的には、脂肪族炭化水素系、脂環式炭化水素系、芳香族炭化水素系、ハロゲン化炭化水素系、ケトン系、エステル系、エーテル系、アルコール系等の有機溶剤を単独でまたは2種以上混合して使用することができる。さらに、フェノール樹脂溶液及び/又はイソシアネート溶液には、所望により、粒状耐火性骨材との接着性の向上を図るために、シラン化合物(例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)等の粘着性付与剤や、可使時間延長剤(例えば、フタル酸クロリド)、劣化防止剤、乾燥防止剤、離型剤等を配合して使用することができる。
【0019】
イソシアネート溶液のフェノール樹脂溶液に対する使用割合は、鋳型の硬化性の改善及び強度確保の点から、フェノール樹脂固形分100重量部に対して、(アルキル基の炭素数が6〜16のアルキルベンゼンを除いた)イソシアネート化合物の重量として65〜350重量部の範囲が好ましい。
溶液の割合としては、フェノール樹脂溶液とイソシアネート溶液が30/70〜70/30の使用割合(重量比)であることが好ましい。
【0020】
本発明において使用される粒状耐火性骨材としては、珪砂、クロム鉄鉱砂、ジルコン砂、かんらん石砂等の従来から鋳型製造用に使用されている耐火性の粒状砂のほか、微粒状の砂、粘土質の砂、再生砂等も挙げられる。また、砂以外のものとしては、ムライト砂、アルミナ砂、中空アルミナビーズ、シラスバルーン、ガラスビーズ等も使用できるが、鋳物砂が好ましく、平均粒径が50〜600μ程度の砂が更に好ましい。
【0021】
粒状耐火性骨材と粘結剤との配合割合は、粘結剤中のフェノール樹脂の固形分1重量部に対して、粒状耐火性骨材が100〜1200重量部、更に200〜1000重量部であることが好ましい。
【0022】
本発明で使用できる気体状の第三級アミン触媒を例示すると、トリエチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルイソプロピルアミン等の蒸気又はエーロゾルである。
この使用量の好ましい範囲は、フェノール樹脂の固形分100重量部に対して0.1〜40重量部である。
【0023】
粘結剤被覆粒状耐火性骨材の調製は、例えば、フェノール樹脂溶液、イソシアネート溶液及び粒状耐火性骨材を好ましくは10〜50℃の範囲で、ミキサーにより各成分が均一に混合するように充分に混練することによって行うことができる。粘結剤溶液は、あらかじめフェノール樹脂溶液とイソシアネート溶液とを別々に調製し、粒状耐火性骨材との混練時に、これらの溶液を粒状耐火性骨材に添加することが好ましい。調製した粘結剤被覆粒状耐火性骨材を砂貯留槽に貯留し、ホッパー等に移送し、エアーによる吹き込み等によってその所望量を鋳型製造用型枠内に導入し、次いで第三級アミンを不活性ガスなどと混合し、蒸気又はエーロゾルとして、粘結剤被覆粒状耐火性骨材が充填された型枠内に通気し硬化させる。触媒の通気に要する時間は、数秒から数分間の範囲であることが多いが、鋳型を枠から取り出す際、鋳型の損傷を防止するためには、触媒を通気したのち十分な時間放置し、枠から鋳型を取り出すことが好ましい。
【0024】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[合成例1](ベンジリックエーテル型フェノール樹脂の製造)
フェノール100g、パラホルムアルデヒド60g及びナフテン酸亜鉛0.15gを攪拌、混合し、110℃〜114℃にて3時間反応させた後、速やかに減圧下に脱水し、フェノール樹脂(樹脂固形分98%)を得た。この樹脂の重量平均分子量は1500であった。このフェノール樹脂をIR及びNMRで分析したところ、ベンジリックエーテル型フェノール樹脂であることを確認した。
【0025】
[実施例1]
合成例1で得たベンジリックエーテル型フェノール樹脂100g(樹脂固形分100%換算)、イソホロン50g、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルベンゼンの混合物(出光石油化学株式会社製IPソルベントA−150)50g及び3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.6gを混合して、フェノール樹脂溶液を調製した。
別に、ポリメリックMDI(日本ポリウレタン工業株式会社製ミリオネートMR200)100g、アルキル基の炭素数が9〜16のアルキルベンゼンの混合物(日本石油化学株式会社製アルケン56N)10g、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルベンゼンの混合物(出光石油化学株式会社製IPソルベントA−150)40g及びイソフタル酸クロリド0.3gを混合して、イソシアネート溶液を調製した。
フリーマントル珪砂1000gに対して、前記フェノール樹脂溶液と前記イソシアネート溶液をそれぞれ9gの割合で添加し、品川式ミキサーで90秒間混練して、粘結剤被覆砂を調製した。
この粘結剤被覆砂を直ちに、また、これとは別に前記粘結剤被覆砂を60分間放置した後に、それぞれを通気装置に接続可能な直径50mm、高さ50mmの円筒金型にはかりとり、充填密度1.6g/ccとなるようにつき固めた。次に、通気装置中に、粘結剤被覆砂1000gに対して1gの割合でトリエチルアミンの蒸気を40秒間通気し硬化させた。通気1分後に鋳型(砂型)をとりだし、それぞれの鋳型の圧縮強度を測定した。結果を表1に示す。
一方、前記粘結剤被覆砂を直径50mm、高さ50mmの円筒金型にはかりとり、充填密度1.6g/ccとなるようにつき固めた。トリエチルアミンを通気せず6時間放置した後に鋳型の圧縮強度を測定した。結果を表1に示す。
また別に、前記イソシアネート溶液を50gとり、容器に入れて35℃で60分間放置したのち重量を測定し、溶剤が蒸発して質量が減少した割合(質量減少率)を算出した。結果を表1に示す。
更に、前記フェノール樹脂溶液と前記イソシアネート溶液を0℃に調節した冷蔵庫に入れて24時間放置した後、それぞれの外観を目視により観察した。いずれの外観にも変化のないときは○と評価し、いずれか一方又は双方が2層に分離したときは×と評価した。結果を表1に示す。
なお、表1中、アルキルベンゼンの添加量は、イソシアネート化合物100gに対する炭素数9〜16のアルキル基を有するアルキルベンゼンの使用量(g)を示す。
【0026】
[実施例2]
アルキル基の炭素数が9〜16のアルキルベンゼンの混合物(日本石油化学株式会社製アルケン56N)の使用量を50gに変更した以外は実施例1と同様にして鋳型を製造し、その性能等を測定した。結果を表1に示す。
【0027】
[比較例1]
合成例1で得たベンジリックエーテル型フェノール樹脂100g(樹脂固形分100%換算)、アルキル基の炭素数が9〜16のアルキルベンゼンの混合物(日本石油化学株式会社製アルケン56N)10g、イソホロン50g、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルベンゼンの混合物(出光石油化学株式会社製IPソルベントA−150)40g及び3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.6gを混合して、フェノール樹脂溶液を調製した。
別に、ポリメリックMDI(日本ポリウレタン工業株式会社製ミリオネートMR200)100g、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルベンゼンの混合物(出光石油化学株式会社製IPソルベントA−150)50g及びイソフタル酸クロリド0.6gを混合して、イソシアネート溶液を調製した。
フリーマントル珪砂1000gに対して、前記フェノール樹脂溶液と前記イソシアネート溶液をそれぞれ9gの割合で添加し、品川式ミキサーで90秒間混練して、粘結剤被覆砂を調製した。
この粘結剤被覆砂を直ちに、また、これとは別に前記粘結剤被覆砂を60分間放置した後に、それぞれを通気装置に接続可能な直径50mm、高さ50mmの円筒金型にはかりとり、充填密度1.6g/ccとなるようにつき固めた。次に、通気装置中に、粘結剤被覆砂1000gに対して1gの割合でトリエチルアミンの蒸気を40秒間通気し硬化させた。通気1分後に鋳型(砂型)をとりだし、それぞれの鋳型の圧縮強度を測定した。結果を表1に示す。
一方、前記粘結剤被覆砂を直径50mm、高さ50mmの円筒金型にはかりとり、充填密度1.6g/ccとなるようにつき固めた。トリエチルアミンを通気せず6時間放置した後に鋳型の圧縮強度を測定した。結果を表1に示す。
また別に、前記フェノール樹脂溶液を50gとり、容器に入れて35℃で60分間放置したのち重量を測定し、溶剤が蒸発して質量が減少した割合(質量減少率)を算出した。結果を表1に示す。
更に、前記フェノール樹脂溶液と前記イソシアネート溶液を0℃に調節した冷蔵庫に入れて24時間放置した後、それぞれの外観を目視により観察した。いずれの外観にも変化のないときは○と評価し、いずれか一方又は双方が2層に分離したときは×と評価した。結果を表1に示す。
なお、表1中、アルキルベンゼンの添加量は、フェノール樹脂(固形分)100gに対するアルキル基の炭素数が9〜16のアルキルベンゼンの使用量(g)を示す。
【0028】
[比較例2]
アルキル基の炭素数が9〜16のアルキルベンゼンの混合物(日本石油化学株式会社製アルケン56N)の使用量を50gに変更した以外は比較例1と同様にして鋳型を製造し、その性能等を測定した。結果を表1に示す。
【0029】
[比較例3]
アルキル基の炭素数が9〜16のアルキルベンゼンの混合物(日本石油化学株式会社製アルケン56N)を使用しない以外は比較例1と同様にして鋳型を製造し、その性能等を測定した。結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
表1より、アルキル基の炭素数が9〜16のアルキルベンゼンとイソシアネート化合物を含有するイソシアネート溶液を使用した本発明における鋳型製造用粘結剤は低温貯蔵性に優れ、この粘結剤を用いて調製した粘結剤被覆砂は放置しても固化せず、また、これを使用して得られた鋳型は、従来使用されていた溶剤(イソホロン、IPソルベントA−150)を使用して得られた鋳型の強度(すなわち、使用に耐えられる鋳型の強度)以上の強度を保持しており、また、溶剤の蒸発量が少なく、質量減少率が低い。
【0032】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明の鋳造用鋳型の製造方法における粘結剤は、アルキル基の炭素数が6〜16のアルキルベンゼンとイソシアネート化合物との相溶性が良いため、低温貯蔵性に優れている。また、本発明における鋳型製造用組成物は、粘結剤と粒状耐火性骨材を混練したのち粘結剤被覆粒状耐火性骨材の長い可使時間が得られ、放置しても固化せず、容易に崩壊するので、ホッパー、配管等に放置したものであっても容易に除去することができるだけでなく、溶剤の蒸発量が少ないため、作業環境を改善することもできる。また、本発明の方法によって得られる鋳型は使用に十分耐えられる実用的な強度を保持している。
Claims (7)
- アルキル基の炭素数が6〜16のアルキルベンゼンとイソシアネート化合物を少なくとも含有するイソシアネート溶液と、溶剤とフェノール樹脂を少なくとも含有するフェノール樹脂溶液と、粒状耐火性骨材とを混合し、次いでこの混合物を鋳型枠内に収納して成形し、更にこの成形物に気体状第三級アミンを通気させて硬化させること、を特徴とする鋳造用鋳型の製造方法。
- 前記イソシアネート溶液が、アルキル基の炭素数が6〜16のアルキルベンゼンと前記アルキルベンゼン以外の溶剤とイソシアネート化合物を少なくとも含有するイソシアネート溶液である、請求項1に記載の鋳造用鋳型の製造方法。
- 前記イソシアネート溶液が、アルキル基の炭素数が6〜16のアルキルベンゼンと前記アルキルベンゼン以外の溶剤と可使時間延長剤とイソシアネート化合物を含有するイソシアネート溶液である、請求項1に記載の鋳造用鋳型の製造方法。
- 前記イソシアネート溶液が、アルキル基の炭素数が9〜16のアルキルベンゼンとイソシアネート化合物を少なくとも含有するイソシアネート溶液である、請求項1に記載の鋳造用鋳型の製造方法。
- 前記フェノール樹脂溶液が、アルキル基の炭素数が6〜16のアルキルベンゼン以外の溶剤とフェノール樹脂を少なくとも含有するフェノール樹脂溶液である、請求項1に記載の鋳造用鋳型の製造方法。
- 前記フェノール樹脂溶液が、アルキル基の炭素数が6〜16のアルキルベンゼン以外の溶剤と粘着性付与剤とフェノール樹脂を含有するフェノール樹脂溶液である、請求項1に記載の鋳造用鋳型の製造方法。
- アルキル基の炭素数が6〜16のアルキルベンゼンの含有量が、イソシアネート化合物100重量部に対して0.1〜100重量部である、請求項1に記載の鋳造用鋳型の製造方法。
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