JP2006289380A - 鋳型の製造方法 - Google Patents
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Abstract
鋳型製造原料からの脱鉛化を図りつつ、粘結剤で被覆された粒状耐火性骨材の可使時間の延長と引っ張り強度を更に向上できる鋳型を製造する方法を提供する。
【解決手段】
フェノール樹脂、変性アルキッド樹脂、ポリイソシアネート化合物及び溶剤を含む粘結剤により被覆された粒状耐火性骨材を型枠内に導入して成形し、次いで前記型枠内にアミン系硬化触媒を導入して硬化させてなる鋳型の製造方法である。変性アルキッド樹脂中の鉛化合物系触媒の含有量は、鉛含有量として0.001質量%以下である。
【選択図】 なし
Description
例として、アシュランドコールドボックス法による鋳型の製造方法について説明する。まず、フェノール樹脂溶液、ポリイソシアネート化合物溶液及び粒状耐火性骨材をミキサーで混合して粘結剤で被覆された粒状耐火性骨材を調製し、これを鋳型製造用の型枠内に吹き込んで成形する。次に、この型枠内に第三級アミン等の硬化触媒を透過させることにより常温で硬化させ脱型して、鋳造用の鋳型を製造する。
しかし、このような方法により製造した鋳造用の鋳型には、その製造直後の引っ張り強度が十分でないため、例えば複雑な形状を有する中子或いは細い腕や脚を持つ鋳型は、脱型後直ちに移設のため持ち運ぶ際に、或いは鋳造のためその設置の際に、変形、破損しやすい。この鋳型製造直後の変形、破損を防止するためには、鋳型をその製造後数時間から一昼夜程度放置すればよいが、このような従来の方法では鋳物の製造効率が著しく低くなる。
特許文献1に開示されている鋳型の製造方法において、粘結剤により被覆された粒状耐火性骨材の可使時間を更に延長することができれば鋳型の製造効率が大幅に向上する。また、粘結剤を粒状耐火性骨材に被覆し一定の保存時間を置いて製造した鋳型は、粘結剤により被覆された粒状耐火性骨材の保存時間によらずその引っ張り強度を更に改善することも望まれている。
更に、前記のアシュランドコールドボックス法による鋳型の製造原料、具体的には特許文献1における変性アルキッド樹脂などには、その製造工程中で酸化鉛等の鉛化合物系触媒が使用されているが、現今の環境に対する社会の意識の高まりに伴い、これら使用原料からの脱鉛化が強く求められている。
本発明において使用されるフェノール樹脂は、フェノール類とホルムアルデヒドとの付加・縮合で得られ、アシュランド法で通常使用される有機溶剤溶解性のベンジリックエーテル樹脂、レゾール樹脂或いはノボラック樹脂である。フェノール類としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、p−tert−ブチルフェノール等のアルキルフェノール、レゾルシノール、ビスフェノールF、ビスフェノールA等の多価フェノールなどを挙げることができる。
これらはいずれも単独で或いは2種以上混合して使用できる。
変性アルキッド樹脂の製造の際には従来、触媒としては鉛化合物、例えば、ネオデカン酸鉛、ナフテン酸鉛、オクテン酸鉛などの有機酸鉛や、酸化鉛などの無機鉛化合物が使用されているが、本発明においては鉛化合物系触媒の使用量は、変性アルキッド樹脂中で鉛含有量として0.001質量%以下であり、変性アルキッド樹脂中で鉛化合物系触媒の含有量が鉛含有量として0.0001質量%以下であることが更に好ましく、0質量%であることが最も好ましい。
変性アルキッド樹脂の製造に使用される多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリット等を挙げることができる。多塩基酸としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、イソフタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸等を挙げることができる。
変性アルキッド樹脂としては、具体的には、トール油脂肪酸変性アルキッド樹脂(ガードナー粘度T〜V、酸価7>)、アマニ油変性アルキッド樹脂(ガードナー粘度Z1 〜Z2 、酸価10>)、アマニ油及びウレタン化油変性アルキッド樹脂(不揮発分50%、ガードナー粘度Z1 〜Z3 、酸価0.5>)、脱水ヒマシ油脂肪酸及びエポキシエステル変性アルキッド樹脂(不揮発分50%、ガードナー粘度U〜W、酸価0.5>)、アマニ油及びアクリル化変性アルキッド樹脂(不揮発分53%、ガードナー粘度U〜W、酸価7>)、アマニ油及びフェノール化変性アルキッド樹脂(不揮発分55%、ガードナー粘度W〜Z、酸価8>)等を挙げることができる。これらのうち、アマニ油変性アルキッド樹脂、アマニ油及びウレタン化油変性アルキッド樹脂、アマニ油及びアクリル化変性アルキッド樹脂、アマニ油及びフェノール化変性アルキッド樹脂等のアマニ油系の変性アルキッド樹脂が好ましく、アマニ油変性アルキッド樹脂が更に好ましい。
これらはいずれも単独で或いは2種以上混合して使用できる。
これらは単独で或いは2種以上混合して使用できる。
さらに、粘結剤は、必要に応じて、樹脂成分と骨材との接着性の向上を図るため3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン化合物を併用するのが好ましく、更に、可使時間延長剤としてイソフタル酸クロリドを代表例とする酸クロリドのほか、劣化防止剤、乾燥防止剤、離型剤等を含むことができる。
フェノール樹脂、ポリイソシアネート化合物或いは溶剤各々の粒状耐火性骨材に対する配合割合は、鋳型の硬化性の改善及び強度確保の点から、それぞれ粒状耐火性骨材に対し全て0.01〜10質量%の範囲が好ましく、特に0.1〜5.0質量%の範囲が好ましい。
変性アルキッド樹脂は、フェノール樹脂或いはポリイソシアネート化合物(固形分)100質量部に対して、0.5〜20質量部の範囲の量を使用するのが好ましく、1〜10質量部の範囲の量を使用するのが特に好ましい。
粘結剤溶液の調製には、あらかじめフェノール樹脂溶液とイソシアネート化合物溶液とを別々に調製し、いずれか一方又は双方に変性アルキッド樹脂を添加しておくか、或いはこれらの溶液とは別に変性アルキッド樹脂の溶液を調製しておき、粒状耐火性骨材との混練時に、これらの溶液を粒状耐火性骨材に添加してもよい。
調製した粘結剤被覆粒状耐火性骨材を、例えば、サンドマガジン内に貯留し、エアーによる吹き込みによってその所望量を鋳型製造用型枠内に導入し、次いで、トリエチルアミン等のアシュランド法において通常使用されるアミン系硬化触媒、好ましくは気体状(となり得る)アミン系硬化触媒を前記型枠内に導入し、脱型することによって、鋳型を製造する。
合成例1〔ベンジリックエーテル型フェノール樹脂の製造〕
フェノール100g、パラホルムアルデヒド60g及びナフテン酸亜鉛0.15gを攪拌、混合し、115℃〜120℃にて5時間反応させた後、速やかに減圧下に脱水し、フェノール樹脂(樹脂固形分98%)を得た。
この樹脂の重量平均分子量は1500であった。このフェノール樹脂をIR及びNMRで分析したところ、ベンジリックエーテル型フェノール樹脂であることを確認した。
まず、合成例1で得たベンジリックエーテル基含有フェノール樹脂50g、二塩基酸メチルエステル混合物(コハク酸ジメチル:グルタル酸ジメチル:アジピン酸ジメチル=25g:55g:20g、デュポン社製DBE)20g、石油系溶剤(丸善石油株式会社製SW−1800)30g及び3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.3gから成る溶液を調製した。
別に、ポリメリックMDI75g、石油系溶剤(出光興産株式会社製IP−150)25g及びイソフタル酸クロリド0.5gから成る溶液を調製した。この溶液中に、前記ポリメリックMDI75gに対して、表1に示す鉛化合物系触媒を含有しない(鉛含有量0%(0ppm)(JIS K0102 54の方法により測定)の)アマニ油変性アルキッド樹脂ハリフタールSL−825(ハリマ化成株式会社製)を所定量添加して溶解させた。
フリーマントル珪砂100gに対して、前記フェノール樹脂溶液と変性アルキッド樹脂を含む前記ポリイソシアネート溶液とをそれぞれ0.9gの比率で添加し、品川式ミキサーで90秒間混練した。
この粘結剤被覆砂をドッグボーン形砂型用金型をとりつけた浪速製作所製V−TOP330Cコールドボックス造型機のサンドマガジン内に移し、サンドマガジン内に3.0kgf/cm2のゲージ圧でブローしてドッグボーン形砂型用金型に吹き込んだ。次に、トリエチルアミンガスジェネレーターにより2.5kgf/cm2 のゲージ圧で1秒間ガッシングし、前記金型内にトリエチルアミンを透過させてキュアリングした後、3.0kgf/cm2のゲージ圧で3秒間エアーパージし脱型してドッグボーン形砂型を製造し、この砂型の密度と引っ張り強度を測定した。
製造した鋳型(砂型)の性能を表1に示す。
実施例3において、鉛化合物系触媒を含有しない(鉛含有量0%(0ppm)(JIS K0102 54の方法により測定)の)アマニ油変性アルキッド樹脂ハリフタールSL−825(ハリマ化成株式会社製)の代わりに、酸化鉛(触媒)を鉛含有量として0.015%(150ppm)(JIS K0102 54の方法により測定)含有するアマニ油変性アルキッド樹脂ハリフタールSL−889(ハリマ化成株式会社製)を使用した以外は、実施例3と同様にして鋳型を製造した。
製造した鋳型の性能を表1に示す。
これに対し、酸化鉛(触媒)を鉛含有量として0.015%(150ppm)含有するアマニ油変性アルキッド樹脂を使用した場合には、粘結剤被覆砂製造後60分、120分待機したものを用いて製造した鋳型の引っ張り強度は、粘結剤被覆砂製造直後のものを用いて製造した鋳型の引っ張り強度に比べてその低下率が比較的大きく、また、引っ張り強度が低く実用性に乏しかった。
Claims (3)
- フェノール樹脂、変性アルキッド樹脂、ポリイソシアネート化合物及び溶剤を含む粘結剤により被覆された粒状耐火性骨材を型枠内に導入して成形し、次いで前記型枠内にアミン系硬化触媒を導入して硬化させてなる鋳型の製造方法であって、
前記変性アルキッド樹脂中の鉛化合物系触媒の含有量が、鉛含有量として0.001質量%以下であること、を特徴とする前記方法。 - 前記変性アルキッド樹脂中の鉛化合物系触媒の含有量が、鉛含有量として0質量%である、請求項1に記載の鋳型の製造方法。
- 前記粘結剤が、更にシラン化合物を含有する、請求項1又は2に記載の鋳型の製造方法。
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