JP4152100B2 - ウレタン系鋳型用離型剤を用いて成る有機粘結剤及び鋳型材料 - Google Patents

ウレタン系鋳型用離型剤を用いて成る有機粘結剤及び鋳型材料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、砂型鋳造で用いられるウレタン系鋳型(主型、中子)を造型する際の離型トラブルの改善に有効なウレタン系鋳型用離型剤及びその製造方法並びに該離型剤を用いて成る有機粘結剤並びに鋳型材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
砂型鋳造で用いられる代表的なウレタン系鋳型としては、硬化触媒の存在下、有機溶媒可溶性フェノール樹脂とポリイソシアネート化合物との常温での反応を利用した加熱を必要としない省エネ型の鋳型造型法、例えばコールドボックス法で量産的に製造されるガス硬化鋳型及び常温自硬性法で非量産的に製造される自硬性鋳型が広く知られている。とくに、コールドボックス法はシェルモールド法の競合技術として最近重視されるようになってきた。
【0003】
このコールドボックス法は、粒状耐火性骨材と2液型有機粘結剤(フェノール樹脂有機溶媒溶液とポリイソシアネート化合物若しくはその有機溶媒溶液)とをミキサー内で混練して有機粘結剤で被覆された粒状耐火性骨材、即ち鋳型材料を製造し、これを成形型内にブロー充填した後アミン系硬化触媒を通気することにより、該成形型内の鋳型材料を短時間に硬化させてガス硬化鋳型(以下、鋳型という)を造型する方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この種の鋳型材料は、成形型から硬化させた鋳型を取り出す際に鋳型材料の硬化粒子ないし鋳型の一部が型表面に固着して鋳型表面にざらつきや鋳型に欠損部を生じる現象、一般に「しみつき」と称される離型トラブルを引き起こし易い。当然、このような表面滑らかさが欠けた鋳型を用いた鋳造では鋳肌の美しい鋳物を得ることが困難となるし、大きな欠損部がある場合には不良鋳型として処分される。このため、造型現場においては、しみつきが生じ易い箇所に離型剤を毎回塗布したり、または頻繁に清掃するなどの処置を余儀なくされており、生産コストの増大や生産性の低下を来している。かかる事情から当該技術分野では鋳型材料の成形型へのしみつき性の改善が強く求められている。
【0005】
本発明は、上述のしみつき現象に伴う離型トラブルを克服するためになされたものであって、第1の目的は、鋳型強度を損なうことなく、鋳型材料の成形型へのしみつき性の抑制に有効なウレタン系鋳型用離型剤を提供することにある。また、第2の目的は、フェノール樹脂の有機溶媒溶液や有機溶媒溶液からの分離がないウレタン系鋳型用離型剤を提供することにある。また、第3の目的は、該離型剤の製造方法を提供することにある。さらに、第4及び第5の目的は、かかるウレタン系鋳型用離型剤を、さらには作業環境の改善に有用な脂肪酸モノエステルを必須成分とするウレタン系鋳型用有機粘結剤及びウレタン系鋳型用鋳型材料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題につき鋭意研究した結果、特定の変性ポリブタジエンを用いることにより、鋳型強度を損うことなく、鋳型材料の成形型へのしみつき性が大幅に改善できることを知見し、この知見を基にさらに研究して本発明を完成するに至った。
【0007】
発明は、第1の態様として、フェノール樹脂成分、ポリイソシアネート成分、及び分子の両末端にイソシアネート基を有する変性ポリブタジエンと、ビスフェノールA及びビスフェノールFから選択される、分子内にフェノール核を2個有する化合物とを反応させて得た、分子の両末端にフェノール性水酸基を有する変性ポリブタジエンを含む、ウレタン系鋳型用離型剤を必須の構成成分とし、このフェノール変性ポリブタジエンは、粒状耐火性骨材に添加されるフェノール樹脂成分とポリイソシアネート成分との合計量100質量部に対して0.001〜20質量部の割合で含有されることを特徴とするウレタン系鋳型用有機粘結剤である。
【0009】
また、本発明は、第2の態様として、前記第1の態様において、さらに有機溶媒として脂肪酸モノエステルを含むことを特徴とする請求項1に記載のウレタン系鋳型用有機粘結剤に関する。
【0010】
さらに、本発明は、第3の態様として、前記第1又は第2の態様において、有機粘結剤を必須成分として含むことを特徴とするウレタン系鋳型用鋳型材料に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に係るウレタン系鋳型用離型剤(以下、離型剤成分という)は、主として後述の2液型有機粘結剤(フェノール樹脂成分とポリイソシアネート成分)を用いて製造された鋳型材料の成形型へのしみつき性の抑制に有効な離型能を有する化合物又はその有機溶媒溶液であって、具体的には、分子の両末端にイソシアネート基を有する変性ポリブタジエンと、分子内にフェノール核を2以上有する化合物とを反応させて得た、分子の両末端にフェノール性水酸基を有する変性ポリブタジエン(以下、単にフェノール変性ポリブタジエンという)、好ましくは有機溶媒への溶解性の点で有利な両末端にフェノール性水酸基を有する変性ポリブタジエン、又はこれらのフェノール変性ポリブタジエンと炭素数10以上の高級脂肪酸及び/又は不飽和脂肪酸変性アルキド樹脂との組み合せである。
【0012】
このフェノール変性ポリブタジエンは、先ず分子の両末端にアルコール性水酸基を有するポリブタジエン(以下、単にアルコール変性ポリブタジエンという)とポリイソシアネート化合物とを反応させて分子の両末端にイソシアネート基を有する変性ポリブタジエンを調製し、次に該イソシアネート変性ポリブタジエンと、ビスフェノールA及びビスフェノールFから選択される、分子内にフェノール核を2個有する化合物とを反応させることによって製造される。かかる反応は、特に限定されないが、一般には無触媒及び必要に応じてナフテン酸鉛などの反応触媒を用いて20〜100℃の温度で、好ましくは有機溶媒の存在下に1〜10時間ほど行われる。
【0013】
上記の反応に適用されるアルコール変性ポリブタジエンは、その数平均分子量が200未満ではしみつき性の抑制効果が小さく、逆に50000を超えると粒状耐火性骨材へのコーティング性が低下する傾向にあるため、通常200〜50000の範囲にあるものが使用される。さらに、有機溶媒への溶解性を考慮すると数平均分子量としては500〜10000の範囲が好ましいが、より好ましくは500〜5000の範囲である。このアルコール変性ポリブタジエンの好適な具体例としては、例えばG1000(商品名、日本石油化学株式会社製)、R15HT及びR45HT(いずれも商品名、出光石油化学株式会社製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0014】
なお、アルコール変性ポリブタジエンの数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフの測定によるポリスチレン換算値であって次の条件で測定することができる。
◇ 標準ポリスチレン:TSK−標準ポリスチレン
◇ 装置:SC−8020
◇ カラム充填剤:TSK−Gel G2000HXL+TSK−Gel G4000HXL
◇ 溶離液:テトラヒドロフラン(溶出速度1.0ml/分)
◇ 検出条件:RI検出器
【0015】
次に、ポリイソシアネート化合物は、上記の反応において、離型能を有するアルコール変性ポリブタジエンと有機溶媒への溶解性改善能を有する、ビスフェノールA及びビスフェノールFから選択される、分子内にフェノール核を2個有する化合物との連結機能を有する化合物であって、このようなポリイソシアネート化合物としては、例えばジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(以下、ポリメリックMDIという)などの芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどの脂環式ポリイソシアネート、これらのポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得られるイソシアネート基を有するプレポリマーなどが挙げられるが、これらに限定されない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0016】
このポリイソシアネート化合物の中でも、芳香族ポリイソシアネート、特にジフェニルメタンジイソシアネートが有機溶媒への溶解性改善度の点から好ましい。ポリイソシアネート化合物の配合量は特に限定されないが、分子量の著しい増大や副生成物の生成を考慮すると、好ましくはアルコール変性ポリブタジエンが有するアルコール性水酸基1モルに対し、ポリイソシアネート化合物が有するイソシアネート基としては1.5〜3.5モルであり、特に好ましくは2.0〜3.0モルである。
【0017】
次に、ビスフェノールA及びビスフェノールFから選択される、分子内にフェノール核を2個有する化合物は、上述したごとく前反応で調製された分子両末端にイソシアネート基を有する変性ポリブタジエンと反応することにより、アルコール変性ポリブタジエンの有機溶媒への溶解性を改善する役割を成す化合物である。
【0018】
このような分子内にフェノール核を2個有する化合物は、ビスフェノールA及びビスフェノールFから選択され、特にビスフェノールAがより好ましい。かかる分子内にフェノール核を2個有する化合物の配合量は特に限定はないが、過剰の未反応化合物の存在はその種類によって鋳型強度に悪影響を及ぼすおそれがあることを考慮すると、好ましくは前反応で用いたポリイソシアネート化合物が有するイソシアネート基1モルに対し、かかる分子内にフェノール核を2個有する化合物が有するフェノール性水酸基としては1.0〜1.2モルである。
【0019】
かくして得られたフェノール変性ポリブタジエンは、一般的には後述のフェノール樹脂成分に溶解して用いられるか、又は有機溶媒に溶解した溶液として用いられるが、長期間保存してもフェノール変性ポリブタジエンの分離を生じることがないという利点がある。なお、フェノール変性ポリブタジエンの有機溶媒溶液は、鋳型材料調製時にフェノール樹脂成分及びポリイソシアネート成分とともに使用される。
【0020】
このフェノール変性ポリブタジエンは、粒状耐火性骨材に添加されるフェノール樹脂成分とポリイソシアネート成分との合計量100質量部に対して0.001〜20質量部の割合で使用されるが、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.01〜5質量部である。使用量が0.001質量部未満ではしみつき抑制効果が小さく、逆に20質量部を超えると鋳型強度が低下する傾向がある。
【0021】
このフェノール変性ポリブタジエンは、さらなるしみつき防止効果のため、炭素数が10以上の高級脂肪酸、例えば飽和脂肪酸(例えばミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸など)、不飽和脂肪酸(例えばオレイン酸、リノール酸、リノレン酸など)及びこの不飽和脂肪酸を主成分とする混合物(例えばトール油脂肪酸、アマニ油脂肪酸など)及び/又は不飽和脂肪酸変性アルキド樹脂(例えば変性剤:トール油脂肪酸、アマニ油脂肪酸など)と併用することが好ましい。前記高級脂肪酸の中でも、有機溶媒に対する溶解性が高くて低温でも分離しにくく、製品の保管、使用条件が広い不飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸を主成分とする混合物が好ましいが、特に後者の混合物が好ましい。
【0022】
この高級脂肪酸及び/又は不飽和脂肪酸変性アルキド樹脂は、フェノール樹脂成分100質量部に対して0.01〜5質量部の割合で使用される。使用量が0.01質量部未満では併用効果が認められず、逆に5質量部を超えると鋳型強度の低下が大きくなる傾向がある。
【0023】
本発明に係る有機粘結剤は、例えば金属イオン、トリエチルアミンなどの硬化触媒の存在下に常温で架橋硬化することにより粒状耐火性骨材を結合して強度を発現させるとともに、鋳型材料の成形型へのしみつき性を抑制できるバインダーであって、少なくともフェノール樹脂成分、ポリイソシアネート成分及び前記ウレタン系鋳型用離型剤(離型剤成分)を必須成分として、構成されている。
【0024】
このフェノール樹脂成分は、一般に低粘度化、ポリイソシアネート成分との相溶性、粒状耐火性骨材へのコーティング性、鋳型強度などの観点から、下記のフェノール樹脂を極性有機溶媒と非極性有機溶媒との組み合わせ溶媒により約40〜80質量%の溶液に調製して使用される。また、フェノール樹脂成分には、必要に応じて強度向上剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤、可使時間延長剤としてイソフタル酸クロリドを代表例とするカルボン酸クロリドやホスホン酸クロリド、ホスホニルクロリドなどを配合することができる。
【0025】
前記フェノール樹脂としては、酸性二価金属塩、酸性及び塩基性触媒の存在下にフェノール類とアルデヒド類とを反応させると得られる有機溶媒可溶性のフェノール樹脂(例えばベンジルエーテル型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂など)、該フェノール樹脂の製造時ないし製造後に変性剤を反応ないし混合して成る変性フェノール樹脂並びにこれらの混合物などが例示されるが、これらに限定されない。
【0026】
ここでいうフェノール類としては、例えばフェノール、クレゾール、キシレノール、p−tert−ブチルフェノールなどのアルキルフェノール、ビスフェノールF、ビスフェノールAなどのビスフェノール及びこれらの混合物などが例示される。また、アルデヒド類としては例えばホルマリン、パラホルムアルデヒド、ポリオキシメチレン及びこれらの混合物などが例示される。また、変性剤としては例えばアルキド樹脂、キシレン樹脂、エポキシ化合物、ポリビニルアルコール、尿素、アミド類、アマニ油、カシュナッツオイル、ロジン及びこれらの混合物などが例示される。
【0027】
また、有機溶媒としては、例えばイソホロンなどのケトン類、二塩基酸メチルエステル混合物のような二塩基酸エステル、大豆油メチルエステルのような植物油メチルエステル、リノレン酸メチル、ステアリン酸ブチルのような脂肪酸モノエステルなどのエステル類、イソプロピルエーテルなどのエーテル類、フルフリルアルコールなどの極性有機溶媒及び例えばイプゾール150(商品名、出光石油株式会社製石油系溶媒)、昭石ハイゾール(商品名、昭和シェル石油株式会社製石油系溶媒)などの非極性有機溶媒が例示される。この中でも特開平9−253786号公報、特開2000−84643号公報などに記載されている脂肪酸モノエステルは、環境問題の観点から、前記非極性有機溶媒の代用若しくは低減に有益である。
【0028】
一方、ポリイソシアネート成分は、一般に低粘度化、フェノール樹脂成分との相溶性、粒状耐火性骨材へのコーティング性、鋳型強度などの観点から、前述したポリイソシアネート化合物を、好ましくは非極性有機溶媒により約40〜90質量%の溶液に調製して一般に使用されるが、場合よっては原液の状態でも使用される。このようなポリイソシアネート化合物の具体例としては、前述のフェノール変性ポリブタジエンの製造において列挙したポリイソシアネート化合物が例示できる。
【0029】
本発明に係る鋳型材料は、例えば粒状耐火性骨材;フェノール樹脂成分、ポリイソシアネート成分及び離型剤成分を必須成分とする有機粘結剤並びに必要に応じて硬化触媒を好ましくは50℃程度を限度とする骨材温度でミキサーにより十分に混練することによって製造される。そして、得られた鋳型材料、例えば硬化剤を含む鋳型材料は、成形型内に充填し、場合によって加振しながら充填し、数時間〜24時間程度室温で放置して硬化させる常温自硬性法により、又は前述したようなコールドボックス法により鋳型とされる。この際、フェノール樹脂成分及びポリイソシアネート成分は、粒状耐火性骨材100質量部に対し、それぞれの成分を通常0.01〜5.0質量部、好ましくは0.1〜3.0質量部の割合で使用される。
【0030】
ここでいう粒状耐火性骨材としては、例えば珪砂、オリビンサンド、ジルコンサンド、クロマイトサンド、アルミナサンドなどの特殊砂、フェロクロム系のスラグ、フェロニッケル系スラグ、転炉スラグなどのスラグ系粒子、ナイガイセラビーズ(商品名)のようなムライト系人工粒子及びこれらの回収砂及び/又は再生砂などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
【実施例】
次に、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。なお、「部」及び「%」はすべて「質量部」及び「質量%」を意味する。
【0032】
実施例1 <ウレタン系鋳型用離型剤の調製>
撹拌器、還流冷却器、温度計及び窒素導入管を備えた反応フラスコ内にアルコール変性ポリブタジエンとして、分子の両末端にアルコール性水酸基を有するポリブタジエン(出光石油化学株式会社製商品名R15HT、数平均分子量1200、水酸基含有量1.83モル/1000部)を18部、ポリイソシアネート化合物としてジフェニルメタンジイソシアネート(三井化学株式会社製商品名コスモネートPH、イソシアネート基含有量33.5質量%)を11部を入れた後、窒素雰囲気下に撹拌混合しながら80℃にて3時間反応させて分子の両末端にイソシアネート基を有する変性ポリブタジエンを得た。次いで、二塩基酸メチルエステル混合物(コハク酸ジメチル:グルタル酸ジメチル:アジピン酸ジメチル=25部:55部:20部)60部及びビスフェノールAを11部添加した後窒素雰囲気下に撹拌均一化し、次いでナフテン酸鉛0.0085部を添加し、50℃で1時間反応させて分子の両末端にフェノール性水酸基を有する変性ポリブタジエン(フェノール変性ポリブタジエン)の含有量が40%の溶液、いわゆるウレタン系鋳型用離型剤の有機溶媒溶液を得た。
【0033】
<有機粘結剤Aの調製>
フェノール樹脂成分の構成成分である旭有機材工業株式会社製ベンジルエーテル型フェノール樹脂50部、二塩基酸メチルエステル混合物17部、石油系溶媒28部及び3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.3部と、離型剤成分の上記40%フェノール変性ポリブタジエン溶液5部とを撹拌混合して離型剤含有フェノール樹脂成分(a−1)を調製した。この離型剤含有フェノール樹脂成分(a−1)は、フェノール樹脂成分98%及びフェノール変性ポリブタジエン2%とからなり、また調製後6ヶ月放置してもフェノール変性ポリブタジエンの分離は認められなかった。また、ポリイソシアネート成分(b−1)は、ポリイソシアネート化合物としてポリメリックMDI(三井化学株式会社製商品名コスモネートM200)75部、石油系溶媒25部及びイソフタル酸クロリド0.3部を撹拌混合して調製した。これらの2成分{(a−1)及び(b−1)}をセットにして有機粘結剤Aとした。
【0034】
<鋳型材料の作製及びその評価>
実験室用品川式ミキサー内に三栄6号珪砂100部と、上記の有機粘結剤A、即ち離型剤含有フェノール樹脂成分(a−1)とポリイソシアネート成分(b−1)をそれぞれ0.9部添加したのち40秒間混練して鋳型材料Aを作製した。得られた鋳型材料については、下記試験法により抜型直後の鋳型強度の測定及びしみつき性の評価を行った。それらの結果を表1に示す。
【0035】
1.抜型直後の鋳型強度の測定
コールドボックス造型機のサンドマガジン内に鋳型材料を入れた後、これを鋳型強度試験片作製用金型内に0.3MPaのゲージ圧でブロー充填した。次に、前記金型内にトリエチルアミンガスジェネレーターにより0.05MPaのゲージ圧でトリエチルアミンを1秒間ガッシングし、0.3MPaのゲージ圧で10秒間エアーパージした後抜型して抗折力試験片(幅30mm×長さ80mm×厚み10mm)を作製した。得られた試験片は直ちにシェルモールド抗折力試験機(東測精密株式会社製)により曲げ強度を測定し、これを抜型直後の鋳型強度(N/cm2)とした。
【0036】
2.しみつき性の測定
コールドボックス造型機のサンドマガジン内に鋳型材料を入れた後、図2に示す試験金型3(上部に直径10mmのブロー口2を有し、底部にあらかじめ秤量したしみつき性評価用金属片1を着脱自在に埋設したもの)内に鋳型材料をブロー圧0.4MPaで充填し、トリエチルアミンガスをゲージ圧0.05MPaで1秒間ガッシングし、ゲージ圧0.1MPaで15秒間エアーパージした後試験金型3から鋳型を取り除く造型操作を繰り返しながら、5、10、15及び20回目ごとに試験金型3から前記金属片1を取り外して秤量し、試験前と試験後の金属片1の質量差をしみつき量(mg)とし、数値が大きいほどしみつき性が悪い、即ち離型性が悪いと判断した。
【0037】
実施例2
実施例1と全く同様にして調製した離型剤含有フェノール樹脂成分(a−1)100.3部に、さらに高級脂肪酸としてトール油脂肪酸1.5部を添加混合して得た離型剤含有フェノール樹脂成分(a−2)と、実施例1に記載のポリイソシアネート成分(b−1)をセットにして有機粘結剤Bとした。この離型剤含有フェノール樹脂成分(a−2)は、フェノール樹脂成分96.5%と、フェノール変性ポリブタジエン2.0%及びトール油脂肪酸1.5%からなり、また調製後6ヶ月放置してもフェノール変性ポリブタジエン及びトール油脂肪酸の分離は認められなかった。また、実施例1と同様にして有機粘結剤Bによる鋳型材料Bを作製した。得られた鋳型材料については、実施例1に記載の試験法により抜型直後の鋳型強度の測定及びしみつき性の評価を行った。それらの結果を表1に示す。
【0038】
実施例3
先ず、フェノール樹脂成分の構成成分であるベンジルエーテル型フェノール樹脂55部、二塩基酸メチルエステル混合物20部、大豆油メチルエステル20部及び3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.3部と、離型剤成分の40%フェノール変性ポリブタジエン溶液5部及びトール油脂肪酸1.5部を撹拌混合して離型剤含有フェノール樹脂成分(a−3)を調製した。この離型剤含有フェノール樹脂成分(a−3)は、フェノール樹脂成分96.5%と、フェノール変性ポリブタジエン2.0%及びトール油脂肪酸1.5%からなり、また調整後6ヶ月放置してもフェノール変性ポリブタジエン及びトール油脂肪酸の分離は認められなかった。また、ポリイソシアネート成分(b−2)は、ポリイソシアネート化合物としてポリメリックMDIを85部、大豆油メチルエステル15部及びイソフタル酸クロリド0.3部を撹拌混合して調整した。これら2成分{(a−3)及び(b−2)}をセットして有機粘結剤Cとした。
【0039】
次に、実施例1と同様にして有機粘結剤Cによる鋳型材料Cを作製した。得られた鋳型材料については、実施例1に記載の試験法により抜型直後の鋳型強度の測定及びしみつき性の評価を行った結果、大豆油メチルエステルは石油系溶媒と遜色のない性能を有することが確認された。それらの結果を表1に示す。
【0040】
比較例1
先ず、ベンジルエーテル型フェノール樹脂50部、二塩基酸メチルエステル混合物22部、石油系溶媒28部及び3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.3部を撹拌混合して得たフェノール樹脂成分(a−4)と、実施例1に記載のポリイソシアネート成分(b−1)とをセットにして有機粘結剤Dとした。次に、実施例1と同様にして有機粘結剤Dによる鋳型材料Dを作製した。得られた鋳型材料については、実施例1に記載の試験法により抜型直後の鋳型強度の測定及びしみつき性の評価を行なった。それらの結果を表1に示す。
【0041】
比較例2
比較例1と全く同様にして調製したフェノール樹脂成分(a−4)100.3部に、さらにトール油脂肪酸1.5部を添加混合して得た離型剤含有フェノール樹脂成分(a−5)と、実施例1に記載のポリイソシアネート成分(b−1)とをセットにして有機粘結剤Eとした。この離型剤含有フェノール樹脂成分(a−5)は、フェノール樹脂成分98.5%及びトール油脂肪酸1.5%からなり、また調製後6ヶ月放置してもトール油脂肪酸の分離は認められなかった。次に、実施例1と同様にして有機粘結剤Eによる鋳型材料Eを作製した。得られた鋳型材料については、実施例1に記載の試験法により抜型直後の鋳型強度の測定及びしみつき性の評価を行なった。それらの結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
Figure 0004152100
【0043】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明に係るウレタン系鋳型用離型剤及びこれを用いた有機粘結剤並びに鋳型材料は次のような効果を奏する。
1.本発明に係るウレタン系鋳型用離型剤は、鋳型強度を損うことなく、鋳型材料の成形型へのしみつき性を顕著に改善し得、しかもフェノール樹脂の有機溶媒溶液に容易に溶解して使用できるため、新たな離型剤添加設備を設けなくても、現有混練設備による鋳型材料の製造が容易にできるなど著しく高い利便性を提供することができる。
2.本発明に係る有機粘結剤では、フェノール樹脂の有機溶媒溶液から分離しない溶解安定性に優れたウレタン系鋳型用離型剤を含むフェノール樹脂成分を用いるため、安定した離型能を発揮し、造型工程の安定化に寄与することができる。また、脂肪酸モノエステルは石油系溶媒と遜色ない性能を有するため、代替溶媒として使用することにより作業環境の改善に寄与することができる。
3.本発明に係る鋳型材料は、鋳型強度を損うことなく、造型時の成形型へのしみつき性を大幅に改善できるため、従来のように離型剤の塗布や金型の清掃の必要がなく、しかも造型不良を低減し得るなど生産コストや生産性を改善することができる。また、得られた鋳型の表面は滑らかであるため、鋳肌の美しい鋳物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】しみつき性を測定するための試験片作製用金型の側断面図である。
【符号の説明】
1…金属片
2…ブロー口
3…試験金型

Claims (3)

  1. フェノール樹脂成分、ポリイソシアネート成分及び分子の両末端にイソシアネート基を有する変性ポリブタジエンと、ビスフェノールA及びビスフェノールFから選択される、分子内にフェノール核を2個有する化合物とを反応させて得た、分子の両末端にフェノール性水酸基を有する変性ポリブタジエンを含む、ウレタン系鋳型用離型剤を必須の構成成分とし、このフェノール変性ポリブタジエンは、粒状耐火性骨材に添加されるフェノール樹脂成分とポリイソシアネート成分との合計量100質量部に対して0.001〜20質量部の割合で含有されることを特徴とするウレタン系鋳型用有機粘結剤。
  2. さらに有機溶媒として脂肪酸モノエステルを含むことを特徴とする請求項1に記載のウレタン系鋳型用有機粘結剤。
  3. 請求項1又は2に記載の有機粘結剤を必須成分として含むことを特徴とするウレタン系鋳型用鋳型材料。
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