JP4180790B2 - 新規物質2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸およびその製造方法並びにその新規物質を用いた生体機能の検査方法 - Google Patents

新規物質2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸およびその製造方法並びにその新規物質を用いた生体機能の検査方法 Download PDF

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Description

【0001】
技術分野
本発明は、生体中に存在し、生体機能の検査に有用な新規生体内化合物2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸、該新規生体内化合物2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸に特異的に反応する抗体および該抗体を産生するハイブリドーマ、生体試料中の新規化合物2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸を定量し、その定量値から生体機能を判定することを特徴とする生体機能の検査方法、該抗体を用いる2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸の免疫学的定量方法、および2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸の合成方法に関する。
【0002】
背景技術
生体機能の検査は、疾患の診断や治療効果の判定等にとって大変重要である。生体機能の検査には、これまで種々の生体内物質がマーカーとして用いられ、採取した生体試料中のマーカー物質の存在または濃度から疾患の診断や治療効果の判定等が行われている。
【0003】
腎臓機能、中枢神経機能、胎児の発育機能等の生体機能の更なる詳細な診断の要請があり、そのためそれに適した新しいマーカーおよびその利用方法の開発が緊急の課題となっている。
【0004】
例えば、腎糸球体濾過量[以下、GFR(glomerular filtration rate)と略す。]は腎臓機能を知る上でもっとも良い指標の一つである。正確なGFRを求めるにはイヌリンクリアランスが用いられているが、この測定方法は被験者にとり、忍耐と拘束を強いられる大変つらいものである。他の手段としては、クレアチニンの血中濃度と尿中排泄量から求めるクレアチニンクリアランス法が用いられる。クレアチニンは、化学的方法や酵素学的方法によって簡便に定量できるが、尿細管から分泌されること、その生体内合成量は、年齢、性別、体重、肥満度などの生理的変動を受けること、クレアチンを含有する調理加熱した肉類を経口摂取すると腸管を経由して吸収され、血中濃度及び尿中排泄量が増大すること等の理由で、クレアチニンクリアランス法で正確なGFRを求めることは困難である。従って、イヌリンおよびクレアチン等に代わる新たな指標が求められている。
【0005】
発明の開示
本発明の目的は、新規生体内化合物を定量し、その定量値から腎臓機能、中枢神経機能、胎児の発育機能等の生体機能を検査する方法を提供することである。また、該新規生体内化合物の免疫学的定量方法およびそれに用いる抗体を提供することである。また、本発明の目的は、該新規生体内化合物の免疫学的定量方法に用いる抗体の製造方法、該製造方法で免疫抗原またはハプテンとして用いられる新規化合物およびその合成方法を提供することである。また、本発明の目的は該新規化合物を合成するための新規中間体を提供することである。また、本発明の目的は該新規生体内化合物に対する抗体を生産するハイブリドーマを提供することである。
【0006】
本発明者らは、高速液体クロマトグラフィーで生体試料中の種々の物質を分析中、腎臓障害患者、妊娠尿毒症患者、中枢神経機能障害患者等の生体機能障害患者の生体内では高濃度に出現する新規蛍光性物質が存在することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明は、採取した生体試料中の2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸を定量し、その定量値から生体機能を判定することを特徴とする生体機能の検査方法に関する。
【0008】
そして、上記生体機能としては、例えば腎臓機能、中枢神経機能、胎児の発育機能があげられる。また、生体試料としては、例えば尿、血清、髄液または羊水があげられる。
【0009】
また、本発明は、2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸に特異的に反応する抗体を用いる試料中の2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸を免疫学的に定量することを特徴とする2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸の免疫学的定量方法に関する。
【0010】
また、本発明は、2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸に特異的に反応する抗体に関する。そして該抗体としては、例えばモノクローナル抗体があげられる。また、モノクローナル抗体としては、例えばモノクローナル抗体KTM−250があげられる。
【0011】
また、本発明は、2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸に特異的に反応するモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマに関する。そして該ハイブリドーマとしては、例えばハイブリドーマKTM−250(FERM BP−6432)があげられる。
【0012】
また、本発明は、一般式(XV)
【0013】
(式中、R a〜R aは、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基または置換もしくは非置換のアリール基を表わし、R aは水素原子、置換もしくは非置換スルファモイル基、置換もしくは非置換のアリールスルホニル基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基または置換もしくは非置換のアルコキシメチル基を表わし、R aは水素原子または置換もしくは非置換のアルキル基を表わし、R aは水素原子または置換もしくは非置換のアラルキルオキシカルボニル基を表わす。)で表される2−アミノ−3−[2−(α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸誘導体または一般式(XV’)
【0014】
(式中、R a〜R aは、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基または置換もしくは非置換のアリール基を表わし、R aは水素原子、置換もしくは非置換スルファモイル基、置換もしくは非置換のアリールスルホニル基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基または置換もしくは非置換のアルコキシメチル基を表わし、R aは水素原子または置換もしくは非置換のアルキル基を表わし、R aは水素原子または置換もしくは非置換のアラルキルオキシカルボニル基を表わす。)で表される2−アミノ−3−[2−(α−L−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸誘導体に関する。そして上記誘導体の例としては、2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸があげられる。
【0015】
また、本発明は、一般式(XV)
【0016】
(式中、R a〜R aは、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基または置換もしくは非置換のアリール基を表わし、R aは水素原子、置換もしくは非置換スルファモイル基、置換もしくは非置換のアリールスルホニル基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基または置換もしくは非置換のアルコキシメチル基を表わし、R aは水素原子または置換もしくは非置換のアルキル基を表わし、R aは水素原子または置換もしくは非置換のアラルキルオキシカルボニル基を表わす。)で表される2−アミノ−3−[2−(α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸誘導体または一般式(XV’)
【0017】
(式中、R a〜R aは、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基または置換もしくは非置換のアリール基を表わし、R aは水素原子、置換もしくは非置換スルファモイル基、置換もしくは非置換のアリールスルホニル基、置換もしくは非置換のアルコキシルカボニル基または置換もしくは非置換のアルコキシメチル基を表わし、R aは水素原子または置換もしくは非置換のアルキル基を表わし、R aは水素原子または置換もしくは非置換のアラルキルオキシカルボニル基を表わす。)で表される2−アミノ−3−[2−(α−L−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸誘導体を免疫抗原またはハプテンに用いることを特徴とする2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸に対する抗体の製造方法に関する。そして、上記免疫原またはハプテンとしては、例えば2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸があげられる。
【0018】
また、本発明は、一般式(I)
【0019】
(式中、R〜Rは、同一または異なって、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基または置換もしくは非置換のアリール基を表わす。)で表わされるD−マンノース誘導体または一般式(I')
【0020】
(式中、R〜Rは、同一または異なって、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基または置換もしくは非置換のアリール基を表わす。)で表わされるL−マンノース誘導体と一般式(III)
【0021】
(式中、Rは置換もしくは非置換スルファモイル基、置換もしくは非置換のアリールスルホニル基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基または置換もしくは非置換のアルコキシメチル基を表わし、Mは、金属原子、ハロゲン化金属、有機金属または金属塩を表わす。)で表わされる有機金属試薬との反応により一般式(IV)
【0022】
(式中、R〜Rは、同一または異なって、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基または置換もしくは非置換のアリール基を表わす。)または、一般式(IV')
【0023】
(式中、R〜Rは、同一または異なって、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基または置換もしくは非置換のアリール基を表わす。)で表わされる化合物を合成する反応を含む一般式(XV)
【0024】
(式中、R a〜R aは、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基または置換もしくは非置換のアリール基を表わし、R aは水素原子、置換もしくは非置換スルファモイル基、置換もしくは非置換のアリールスルホニル基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基または置換もしくは非置換のアルコキシメチル基を表わし、R aは水素原子または置換もしくは非置換のアルキル基を表わし、R aは水素原子または置換もしくは非置換のアラルキルオキシカルボニル基を表わす。)で表される2−アミノ−3−[2−(α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸誘導体または一般式(XV’)
【0025】
(式中、R a〜R aは、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基または置換もしくは非置換のアリール基を表わし、R aは水素原子、置換もしくは非置換スルファモイル基、置換もしくは非置換のアリールスルホニル基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基または置換もしくは非置換のアルコキシメチル基を表わし、R aは水素原子または置換もしくは非置換のアルキル基を表わし、R aは水素原子または置換もしくは非置換のアラルキルオキシカルボニル基を表わす。)で表される2−アミノ−3−[2−(α−L−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸誘導体の製造方法に関する。そして上記誘導体としては、2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸があげられる。
【0026】
以後、一般式(I)で表される化合物を化合物(I)という。他の式番号の化合物についても同様である。
【0027】
本発明により得られた新規生体内化合物の理化学的性質は以下の通りである。
(1)物質の色:無色
(2)質量分析
m/z 365[M−H], m/z 367[M+H]
分子量:366
(3)高分解能質量分析
実測値:367.1528[M+H],C17H23NOとしての計算値:367.1505
【0028】
(4)核磁気共鳴スペクトル
H-NMR(500 MHz, DO )δ:3.35 (1H, dd, J=8.8, 15.4 Hz; H-β), 3.55 (1H, dd, J=5.1, 15.4 Hz; H-β), 3.74 (1H, dd, J=3.4, 12.7 Hz; H-6'), 3.90 (1H, ddd, J=3.4, 3.4, 9.0 Hz; H-5'), 3.95(1H, dd, J=3.4, 5.1 Hz; H-4'), 4.02 (1H, dd, J=5.1, 8.8 Hz; H-α), 4.12 (1H, dd, J=3.2, 5.1 Hz; H-3'), 4.25 (1H, dd, J=9.0, 12.7 Hz; H-6'), 4.43 (1H, dd, J=3.2, 8.3 Hz; H-2'), 5.18 (1H, d, J=8.3 Hz; H-1'), 7.22 (1H, dd, J=8.0, 8.0 Hz; H-5), 7.31 (1H, dd, J=8.0, 8.0 Hz; H-6), 7.53 (1H, d, J=8.0 Hz; H-7), 7.74 (1H, d, J=8.0Hz; H-4).
13C-NMR(125 MHz, DO )δ: 28.4 (C-β), 57.7 (C-α), 61.5 (C-6'), 68.6 (C-1'), 70.1 (C-2'), 71.3 (C-4'), 72.9 (C-3'), 81.4 (C-5'), 110.8 (C-3), 114.3 (C-7), 121.2 (C-4), 122.6 (C-5), 125.3 (C-6), 129.5 (C-3a), 135.8 (C-7a), 138.4 (C-2), 177.1 (COOH).
【0029】
(5)赤外吸収スペクトルにおける主な吸収帯(KBr法)cm−1: 3400-3200, 2932, 1630, 1497, 1460, 1406, 1348, 1243, 1077, 1013, 748
これらのデータから、本発明の新規生体内化合物の化学構造は、2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸であると決定した。
【0030】
次に2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸の製造方法を述べる。
【0031】
本発明の新規生体内化合物は、動物の尿、血清または髄液等の体液から単離精製することにより得られる。そして、この単離精製は例えば分子量差、電荷差、極性差、疎水性差、吸着系数差、分配系数差、各種溶液への溶解度差、特異的親和力等の物理化学的物性差を利用し常法により行うことができる。
【0032】
精製手段は公知の方法が用いられるが、例えばカラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー等の種々のクロマトグラフィーを用いて精製できる。クロマトグラフィーとしては、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、吸着カラムクロマトグラフィー、分配カラムクロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、等電点クロマトグラフィーなどがあげられ単独または組合わせて用いることができる。更に高速液体カラムクロマトグラフィーを用いてもよい。クロマトグラフィーに伴う脱塩、濃縮、抽出等の各操作は、常法に従い行うことができる。
【0033】
採取した生体試料中の沈殿物等の未溶解物質または蛋白質等の高分子化合物は、クロマトグラフィーで処理する前に予め除くことが好ましい。沈殿物等の未溶解物質は、例えば遠心分離または濾過等により除くことができる。蛋白質等の高分子化合物は、例えば有機溶媒等の変性処理や加熱処理により除くことができる。
【0034】
上記単離精製工程中の本発明の新規生体内化合物の検出は、例えば下記条件で高速液体クロマトグラフィーにより行うことができる。
【0035】
カラム:Finepak SIL C18-T5(4mm×25cm、日本分光社)
展開溶媒:アセトニトリルと緩衝液(70mMクエン酸:60mMリン酸二ナトリウム=1:1,v/v,pH3.5)の混合溶媒
0〜1.5分;アセトニトリル:緩衝液=96:4(v/v)
1.5〜7.0分;アセトニトリル:緩衝液=92:8(v/v)
7.0〜25.0分;アセトニトリル:緩衝液=88:12(v/v)
温度:室温
流速:1.5ml/分
検出:蛍光、励起波長:302nm、測定波長:350nm
保持時間:6.8分付近
【0036】
本発明の化合物(XIII)および化合物(XIII’)は下記に記載の合成方法で得ることができる。本発明では出発原料として一般式(I)で表されるD−マンノース誘導体を用いると化合物(XIII)が得られ、一般式(I')で表されるL−マンノース誘導体を用いると化合物(XIII’)が得られる。化合物(XIII)は、(2R)−2−アミノ−3−[2−(α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸と(2S)−2−アミノ−3−[2−(α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸を含み、化合物(XIII’)は(2R)−2−アミノ−3−[2−(α−L−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸と(2S)−2−アミノ−3−[2−(α−L−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸を含む。
【0037】
化合物(I)から化合物(IV)を経て化合物(XIII)を得る合成経路および化合物(I’)から化合物(IV’)を経て化合物(XIII’)を得る合成経路を下記にそれぞれ示す。化合物(I’)は化合物(I)の対掌体であるから、化合物(I’)から化合物(IV’)を経る化合物(XIII’)も同様の合成経路で得ることができるのは言うまでもない。また、一般式(XV)および一般式(XV’)で表される化合物は、本合成反応経路に準じた合成により得られるものである。
【0038】
【0039】
【0040】
(式中、R〜Rは、同一または異なって、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基または置換もしくは非置換のアリール基を表わし、Rは、置換もしくは非置換スルファモイル基、置換もしくは非置換のアリールスルホニル基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基または置換もしくは非置換のアルコキシメチル基を表わし、Xは水素原子またはハロゲン原子を表わし、Mは、金属原子、ハロゲン化金属、有機金属または金属塩を表わし、Rは置換もしくは非置換のアルキル基を表わし、Arは置換もしくは非置換のアリール基を表わす。
【0041】
各基の定義において、アルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシメチル基におけるアルキル部分としては、直鎖または分枝状の炭素数1〜6の、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基等が包含される。
【0042】
アルケニル基としては、直鎖または分枝状の炭素数2〜6の、例えばビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基(アリル基)、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が包含される。
【0043】
アリール基およびアラルキルオキシカルボニル基のアリール部分は、フェニル基、ナフチル基等を表わす。アラルキルオキシカルボニル基のアルキレン部分は上記のアルキル基から1つ水素原子を除いたものを表わす。
【0044】
置換アルキル基および置換アルケニル基の置換基としては、同一もしくは異なって置換数1〜3のアリール基、アルコキシ基、アミド基、アミノ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、ニトロ基、水酸基、スルホ基等があげられる。
【0045】
置換アリール基の置換基、置換アリールスルホニル基のアリール上の置換基および置換アラルキルオキシカルボニル基のアリール上の置換基としては、同一もしくは異なって置換数1〜3のアルキル基、アルコキシ基、アミド基、アミノ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、ニトロ基、水酸基、スルホ基等があげられる。
【0046】
置換スルファモイル基の窒素上の置換基としては、同一もしくは異なって置換数1〜2の置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のアルキル基等があげられる。置換アリール基および置換アルキル基の置換基は前記と同義である。
【0047】
置換アルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基等があげられる。
【0048】
置換アルコキシメチル基としては、例えばメトキシメチル基、2−トリメチルシリルエトキシメチル基等があげられる。
【0049】
ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子を意味する。
【0050】
前述のアルコキシ基のアルキル部分は、前述のアルキル基と同義である。
【0051】
化合物(I)および化合物(I')としては、R〜Rがベンジル基であるものが好ましく、D−マンノース誘導体(I)については、例えば、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティー(J. Am. Chem. Soc.), 104, 4976 (1982)に記載の方法で合成ができ、また、L−マンノース誘導体(I')については、例えば、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(J. Med. Chem.), 29, 1945 (1986)に記載の化合物(XIV)[式中、R〜Rはベンジル基を表わす。]から、例えば、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティー(J. Am. Chem. Soc.), 104, 4976 (1982)に記載の方法により合成できる。
【0052】
工程1
有機金属試薬(III)は、化合物(II)から以下の方法によって調製できる。1):化合物(II)中、Xが水素原子である化合物と有機リチウム試薬との反応(プロトン−金属交換反応)、2):化合物(II)中、Xがハロゲン原子である化合物と金属単体あるいは有機金属試薬との反応(ハロゲン−金属交換反応)、3):1)または2)で調製した有機金属試薬と無機金属塩あるいは有機金属化合物との反応(金属−金属交換反応)。
【0053】
有機金属試薬(III)のMとしては、リチウム原子、マグネシウム塩、セリウム塩、亜鉛塩、銅塩、水銀塩等を使用することができ、好ましくはリチウム原子等をあげることができる。
【0054】
有機金属試薬(III)中、Mがリチウム原子である化合物は、化合物(II)と有機リチウム試薬とによって調製できる。化合物(II)中、Xが水素原子である化合物を用いる場合には、有機リチウム試薬として、n−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、sec−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム−テトラメチルエチレンジアミン、tert−ブチルリチウム等があげられ、好ましくはリチウムジイソプロピルアミド等があげられる。また、化合物(II)中、Xがハロゲン原子である化合物を用いる場合には、有機リチウム試薬として、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム−テトラメチルエチレンジアミン、tert−ブチルリチウム等があげられる。有機リチウム試薬は、化合物(II)に対して0.7〜1.0当量、好ましくは0.8〜0.9当量用いる。
【0055】
反応温度は、−100〜−60℃、好ましくは、−80〜−70℃である。反応時間は、使用する有機リチウム試薬によって異なるが、通常、5分〜30分である。
【0056】
工程2または工程2’
化合物(IV)または化合物(IV’)は、有機金属試薬(III)をそれぞれ化合物(I)または化合物(I’)に作用することにより得ることができる。有機金属試薬(III)は化合物(I)または化合物(I’)に対して1.1〜3.0当量、好ましくは 1.2〜1.4当量用いる。
【0057】
反応溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、n−ヘキサン、トルエン等の炭化水素系溶媒等を単独もしくは混合して使用することができる。
【0058】
反応温度は、−100〜−60℃、好ましくは、−80〜−70℃である。反応時間は10分〜2時間、通常、約30分である。
【0059】
反応後は、例えば、飽和塩化アンモニウム水溶液等の添加による反応の停止、エーテル、酢酸エチル、ジクロロメタン等の有機溶媒による抽出、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム等による脱水、真空回転エバポレーター等による溶媒の減圧留去等、有機合成反応で通常行われる反応の停止、分液、抽出、濃縮という一連の操作を行うことができる。化合物の分離・精製はカラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー等により行うことができる。
【0060】
工程3または工程3’
化合物(V)または化合物(V’)は、それぞれ化合物(IV)または化合物(IV’)と還元剤との反応により得ることができる。還元剤は化合物(IV)または化合物(IV’)に対して3.0〜10.0当量、好ましくは3.0〜4.0当量用いる。
【0061】
還元剤としては、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム等の金属水素錯化合物を使用することができ、好ましくは水素化リチウムアルミニウム等があげられる。
【0062】
反応溶媒は、使用する塩基によって異なるが、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒や場合によってメタノール等のプロトン性溶媒を単独もしくは混合して使用することができる。
【0063】
反応温度は、使用する塩基によって異なるが、−40℃〜室温、通常、0℃〜室温である。反応時間は、反応温度、使用する塩基によって異なるが、通常、30分〜2時間である。
【0064】
反応後は、例えば、飽和ロッシェル塩水溶液等の添加による反応の停止、エーテル、酢酸エチル、ジクロロメタン等の有機溶媒による抽出、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム等による脱水、真空回転エバポレーター等による溶媒の減圧留去等、有機合成反応で行われる反応の停止、分液、抽出、濃縮を行うことができる。また、化合物の分離・精製はカラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー等により行うことができる。
【0065】
工程4または工程4’
化合物(VI)または化合物(VI’)は、それぞれ化合物(V)または化合物(V’)と酸との反応により得ることができる。酸は化合物(V)または化合物(V’)に対して 0.1〜1.0当量、好ましくは0.5〜0.6当量用いる。
【0066】
酸としては、パラトルエンスルホン酸、カンファースルホン酸等の有機酸、硫酸、塩酸等の無機酸等を使用することができ、好ましくは、パラトルエンスルホン酸等があげられる。
【0067】
反応溶媒は、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒やジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒を使用することができ、好ましくは、トルエン等があげられる。
【0068】
反応温度は、使用する酸によって異なるが、通常、溶媒の沸点付近の温度である。反応時間は、使用する酸によって異なるが、通常、1時間〜2時間である。
【0069】
反応後は、例えば、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液等の添加による反応の停止、エーテル、酢酸エチル、ジクロロメタン等の有機溶媒による抽出、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム等による脱水、真空回転エバポレーター等による溶媒の減圧留去等、有機合成反応で通常行われる反応の停止、分液、抽出、濃縮を行うことができる。また、化合物の分離・精製はカラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー等により行うことができる。
【0070】
工程5または工程5’
また、化合物(VI)または化合物(VI’)は、酸存在下、それぞれ化合物(IV)または化合物(IV’)と還元剤との反応によっても得ることができる。酸は化合物(IV)または化合物(IV’)に対して1〜50当量、好ましくは10〜15当量用い、還元剤は酸に対して1.0〜5.0当量、好ましくは1.5〜2.0当量用いる。
【0071】
酸としては、ボロントリフルオライドジエチルエーテラート、塩化亜鉛等のルイス酸、硫酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等のプロトン酸を用いることができ、好ましくは、ボロントリフルオライドジエチルエーテラート等があげられる。
【0072】
還元剤としては、トリエチルシラン等を用いることができる。
【0073】
反応溶媒は、アセトニトリル等の非プロトン性極性溶媒、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒等を使用することができる。
【0074】
反応温度は、使用する溶媒により異なるが、−100〜溶媒の沸点付近の温度、通常、−78あるいは−40℃〜室温である。反応時間は、通常、10時間〜20時間である。
【0075】
反応後は、例えば、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液等の添加による反応の停止、エーテル、酢酸エチル、ジクロロメタン等の有機溶媒による抽出、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム等による脱水、真空回転エバポレーター等による溶媒の減圧留去等、有機合成反応で通常行われる反応の停止、分液、抽出、濃縮という一連の操作を行うことができる。また、化合物の分離・精製はカラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー等により行うことができる。
【0076】
工程6または工程6’
化合物(VII)または化合物(VII’)は、それぞれ化合物(VI)または化合物(VI’)と大過剰量の塩基との反応により得ることができる。塩基は化合物(VI)または化合物(VI’)に対し、50〜150当量用いるのが好ましい。
【0077】
塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム tert−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩等をあげることができる。
【0078】
反応溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類と水、あるいはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒と水の混合溶媒が用いられる。
【0079】
反応温度は、特に限定はないが、好ましくは溶媒の沸点付近の温度である。反応時間は、使用する塩基、溶媒によって異なるが、通常、1時間〜20時間である。
【0080】
反応後は、例えば、飽和塩化アンモニウム水溶液等の添加後、エーテル、酢酸エチル、ジクロロメタン等の有機溶媒による抽出、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム等による脱水、真空回転エバポレーター等による溶媒の減圧留去等、有機合成反応で通常行われる反応の停止、分液、抽出、濃縮という一連の操作を行うことができる。化合物の分離・精製はカラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー等により行うことができる。
【0081】
また、化合物(VII)または化合物(VII’)は、それぞれ化合物(VI)または化合物(VI’)と還元剤との反応によっても得ることができる。
【0082】
還元剤としては、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム等の金属水素錯化合物、マグネシウム、亜鉛等の金属を場合によっては塩化アンモニウム等の無機塩や塩酸等の酸共在下に使用することができる。
【0083】
反応溶媒は、使用する還元剤によって異なるが、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒や場合によってメタノール等のプロトン性溶媒を使用することができる。
【0084】
反応温度は、使用する還元剤によって異なるが、通常、室温〜溶媒の沸点付近の温度である。反応時間は、反応温度、使用する還元剤によって異なるが、通常、2〜24時間である。
【0085】
後処理は、通常の有機合成反応で行われる反応の停止、分液、抽出、濃縮という一連の操作であり、例えば、飽和塩化アンモニウム水溶液等の添加後、エーテル、酢酸エチル、ジクロロメタン等の有機溶媒による抽出、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム等による脱水、真空回転エバポレーター等による溶媒の減圧留去、というものである。また、化合物の分離・精製はカラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー等により行うことができる。
【0086】
工程7または工程7’
化合物(IX)または化合物(IX’)は、それぞれ化合物(VII)または化合物(VII’)と化合物(VIII)とを塩基の共存下に反応させることにより得ることができる。化合物(VIII)は、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイエティー、ケミカル・コミュニケーション(J. Chem. Soc., Chem. Commun.), 1089 (1979).に記載の方法で合成できる。化合物(VIII)は化合物(VII)または化合物(VII’)に対して1.0〜10当量、好ましくは2.0〜2.5当量用い、また、塩基は化合物(VIII)に対して1.0〜10当量、好ましくは1.5〜2.0当量用いる。
【0087】
塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩等をあげることができる。
【0088】
反応溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒等が用いられる。
【0089】
反応温度は、特に限定はないが、0℃〜溶媒の沸点付近の温度、好ましくは室温付近の温度である。反応時間は、反応溶媒、使用する塩基によって異なるが、通常、1時間〜2.5時間である。
【0090】
反応後は、例えば、飽和塩化アンモニウム水溶液等の添加後、エーテル、酢酸エチル、ジクロロメタン等の有機溶媒による抽出、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム等による脱水、真空回転エバポレーター等による溶媒の減圧留去等、有機合成反応で通常行われる反応の停止、分液、抽出、濃縮という一連の操作を行うことができる。化合物の分離・精製はカラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー等により行うことができる。
【0091】
工程8または工程8’
化合物(X)または化合物(X’)は、それぞれ化合物(IX)または化合物(IX’)と還元剤との反応により得ることができる。
【0092】
還元剤としては、好ましくはアルミニウム−アマルガム等のアマルガム類等があげられる。また反応は、水素下にパラジウム−炭素、水酸化パラジウム−炭素、酸化白金等の不均一系触媒等を用いる接触還元を行ってもよい。
【0093】
反応溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒と水との混合溶媒等があげられる。
【0094】
反応温度は、特に限定はないが、0℃〜溶媒の沸点付近の温度、好ましくは室温〜60℃である。反応時間は、使用する溶媒によって異なるが、通常、0.5時間〜1.0時間である。
【0095】
反応後は、例えば、反応液のセライト等によるろ過、ろ液への飽和炭酸水素ナトリウム水溶液等の添加、エーテル、酢酸エチル、ジクロロメタン等の有機溶媒による抽出、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム等による脱水、真空回転エバポレーター等による溶媒の減圧留去等、有機合成反応で通常に行われる反応の停止、分液、抽出、濃縮という一連の操作を行うことができる。化合物の分離・精製はカラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー等により行うことができる。
【0096】
工程9または工程9’
化合物(XI)または化合物(XI’)は、塩基存在下、それぞれ化合物(X)または化合物(X’)とクロロぎ酸アリールメチルとの反応により得ることができる。クロロぎ酸アリールメチルは化合物(X)または化合物(X’)に対して1.0〜10当量、好ましくは2.0〜2.5当量用い、また、塩基は化合物(X)または化合物(X’)に対して1.0〜10当量、好ましくは2.0〜3.0当量用いる。
【0097】
塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基等があげられる。トリエチルアミンが好ましい。
【0098】
溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒等をあげることができ、クロロホルムが好ましい。
【0099】
反応温度は、特に限定はないが、−100℃〜室温が好ましく、-20℃〜室温が特に好ましい。反応時間は、通常、10分〜1.0時間である。
【0100】
反応後は、例えば、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液等の添加後、エーテル、酢酸エチル、ジクロロメタン等の有機溶媒による抽出、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム等による脱水、真空回転エバポレーター等による溶媒の減圧留去等、有機合成反応で行われる通常の反応の停止、分液、抽出、濃縮という一連の操作を行うことができる。化合物の分離・精製はカラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー等により行うことができる。
【0101】
工程10または工程10’
化合物(XII)または化合物(XII’)は、それぞれ化合物(XI)または化合物(XI’)を塩基により加水分解することによって得ることができる。塩基は化合物(XI)または化合物(XI’)に対して1.0〜10当量、好ましくは3.0〜4.0当量用いる。
【0102】
塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルキル金属水酸化物等を使用することができる。
【0103】
反応溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒と水の混合溶媒、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒と水の混合溶媒等を用いることができる。
【0104】
反応温度は、特に限定はないが、好ましくは室温付近である。反応時間は、通常、10時間〜24時間である。
【0105】
反応後は、例えば、クエン酸水溶液等の添加後、エーテル、酢酸エチル、ジクロロメタン等の有機溶媒による抽出、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム等による脱水、真空回転エバポレーター等による溶媒の減圧留去等の有機合成反応で行われる通常の反応の停止、分液、抽出、濃縮という一連の操作を行うことができる。化合物の分離・精製はカラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー等により行うことができる。
【0106】
工程11または工程11’
化合物(XIII)または化合物(XIII’)は、それぞれ化合物(XII)または化合物(XII’)を水素雰囲気下、触媒を用いた接触還元により得ることができる。
【0107】
触媒としては、パラジウム−炭素、水酸化パラジウム−炭素、酸化白金等の不均一系触媒等を用いることができ、好ましくは、水酸化パラジウム−炭素をあげることができる。
【0108】
反応溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のプロトン性溶媒、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性溶媒等があげられ、単独もしくは混合で使用することができる。反応溶媒としてはエタノールが好ましい。
【0109】
反応温度は、特に限定はないが、室温〜溶媒の沸点付近の温度が好ましく、室温〜60℃が特に好ましい。反応時間は、通常、10〜15時間である。
【0110】
反応後、例えば、反応液をセライト等でろ過した後、真空回転エバポレーター等により溶媒を減圧留去する等、接触還元で通常行われる操作をすることができる。合成した化合物の分離・精製は高速液体クロマトグラフィー等により行うことができる。
【0111】
以上の工程で得られる中間体は、特に精製することなく次の反応に供することも可能である。本発明の合成においては、単一の化合物(XIII)または化合物(XIII’)を得る場合は、工程11または工程11’で得られる化合物を単離・精製してもよいが、工程10で得られる化合物(XII)または工程10’で得られる化合物(XII’)を、カラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー等で分離・精製したのち、工程11または工程11’の反応に供することが好ましい。
【0112】
本発明の2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸に特異的に反応する抗体について説明する。
【0113】
本発明の抗体の製造方法について述べる。2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸に対する抗体は、化合物(XV)または化合物(XV’)を免疫抗原またはハプテンとして用いて製造できる。化合物(XV)または化合物(XV’)をハプテンとして用いる場合は、化合物(XV)または化合物(XV’)を高分子担体に結合して得た複合体を免疫抗原として用いる。化合物(XV)または化合物(XV’)は、前述の合成方法に準じて得られる化合物を精製して用いることができる。特に2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸は、前述の方法に従って生体試料から精製によって取得してもよいし、前述の合成法によって取得してもよい。
【0114】
高分子担体は化合物(XV)または化合物(XV’)および2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸のカルボキシル基、アミノ基、水酸基等と縮合反応を起こす反応基を有し、かつ新規トリプトファン誘導体に連結されることにより該化合物の免疫原性を付与し得るか既に存在する免疫原性を高める高分子物質であればよい。具体的高分子としては、例えばウシ血清アルブミン(以下、BSAと略記する。)やグロブリン、キーホールリンペットヘモシアニン(以下、KLHと略記する。)やサイログロブリンなどの蛋白質、デキストランやセファロース等の多糖類、ポリスチレンやアクリル等のラテックス粒子、ポリウリジル酸、ポリアラニル酸等のポリ核酸、MAPなどの合成高分子などがあげられる。本発明のトリプトファン誘導体にこれら高分子物質を結合させる方法としては[坂戸信夫、免疫実験操作法、151、右田俊介ら編、南江堂(1995)]に記載のアミノ基を用いる方法(カルボジイミド法、 グルタルアルデヒド法、ジイソシアネート法)カルボキシル基を用いる方法(活性エステル法、混合酸無水物法、アシルアジド法)、SH基を用いる方法(MBS法、SPDP法)、水酸基を用いる方法(ブロムシアン法、過ヨウ素酸酸化法)などがあげられる。
【0115】
このようにして得られた免疫原を免疫する動物としてはマウス、ラット、ハムスター、ウサギ、モルモット、ヤギ、ヒツジやニワトリなどがあげられる。ポリクローナル抗体を作製する場合にはウサギ、モルモット、ヤギ、ヒツジ、ニワトリなどを用いるのが好ましく、モノクローナル抗体作製にはマウス、ラットを用いるのが好ましい。
【0116】
免疫方法としては、[西道、豊島、新生化学実験講座、1, 389 (1990)、東京化学同人]等に記載の方法を用いて行うことができる。例えば免疫原をフロイントの完全または不完全アジュバントにエマルジョン化し、腹腔内、皮下、筋肉内に投与することにより行われる。例えば、7ないし30日、好ましくは12ないし16日間隔の一定間隔をおいて2回以上好ましくは2回〜4回投与し、免疫を完成させることができる。ポリクローナル抗体の場合には、免疫を完成させた動物より、定期的に採血、または全採血により一回で血液を集める。通常血液は凝固防止を行わずに採血し、一旦血液を凝固させてから遠心分離などの方法を用いて血清画分を回収して用いる。血液中の抗体は必要に応じて精製して使用することができる。精製方法としては例えば硫酸アンモニウムなどを用いた塩析分画法、イオン交換クロマトグラフィー法、ゲル濾過カラムクロマトグラフィー法、プロテインAやプロテインGを用いたアフィニティカラムクロマトグラフィー法、さらに抗原を固相化したゲルを用いるアフィニティカラムクロマトグラフィー法など様々な方法を単独で、または組合せて用いるものがあげられる。
【0117】
モノクローナル抗体作製の場合には、抗体産生細胞の採取源としては免疫した動物の脾臓、リンパ節、末梢血液などがあげられる。また免疫を行っていない動物の脾臓、リンパ節、末梢血液等より抗体産生担当細胞を取り出し、これら細胞に対し直接免疫を行って抗体産生細胞とする所謂 in vitro 免疫[新井、太田、実験医学、6:43(1988)]を行った細胞を用いてもよい。
【0118】
抗体産生細胞と骨髄腫細胞との細胞融合を行う際に使用する骨髄腫細胞に特に限定はないが、抗体産生細胞と同種の動物由来の細胞株を使用するのが好ましい。また適切に細胞融合が行われた細胞のみを効率よく選択するために、特定の薬物マーカーを有するものが好ましい。例えば8ーアザグアニン耐性の骨髄腫細胞はヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミンジンを含有した培地(以下、HAT培地と称する。)中では生育できないが、この細胞と正常細胞とが融合した細胞はHAT培地中で生育できるようになり、未融合の骨髄腫細胞と区別できることから好んで使用される。具体的にはP3×63−Ag.8.653やP3×63−Ag.8.U1(以下、単にP3U1と略記する。)、Sp/O−Ag14などがあげられる。
【0119】
細胞融合はKohlerとMilstein[Nature, 256, 495 (1975)]によって発明され、急速に発展し、様々に改良されてきた方法が応用できる。良く用いられる方法としては抗体産生細胞と骨髄腫細胞を10〜3:1の割合で混合し、30〜50%のポリエチレングリコール(平均分子量1,500〜6,000)を融合剤に用いて処理する方法である。また電気パルスによる融合も行われることがある[河内ら、実験医学、6, 50 (1988)]。
【0120】
細胞融合を終えた細胞は選択培地に浮遊し、96ウェル培養プレートのような後の目的細胞選択に有利な培養容器を用いて融合細胞のみを生育させる。融合細胞のみが選択的に生育された段階で、本発明化合物に対する抗体を産生している細胞のみを選択する。この選択は融合細胞の培養上清中の目的抗体の有無を、例えばエンザイムイムノアッセイやラジオイムノアッセイなどの方法を用いて調べる。選択された細胞はたとえば限界希釈法や軟寒天培地法などの方法を用いて単クローン化し、2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸特異的モノクローナル抗体産生ハイブリドーマ細胞株を樹立する。
【0121】
モノクローナル抗体は樹立細胞株を適当な培地で培養してその培養液を回収し、あるいは細胞株を動物の腹腔内に移植して腹水中で増殖させて腹水を回収し、得られた培養液または腹水から得ることが出来る。培養液あるいは腹水中の抗体は必要に応じて精製して使用することができる。精製方法としては例えば硫酸アンモニウムを用いた塩析分画、イオン交換クロマトグラフィー法、ゲル濾過カラムクロマトグラフィー法、プロテインAやプロテインGを用いたアフィニティカラムクロマトグラフィー法、さらに抗原を固相化したゲルを用いるアフィニティカラムクロマトグラフィー法など様々な方法またはこれらの方法を組合わせた方法があげられる。このようにして抗体が製造できる。
【0122】
本発明のモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマの具体例としては、ハイブリドーマKTM−250があげられる。ハイブリドーマKTM−250は、平成10年7月17日付で、日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号(郵便番号305−0046)通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM BP−6432として寄託されている。ハイブリドーマーKTM−250の生産するモノクローナル抗体を、単にKTM−250抗体と称する。
【0123】
次に、本発明の検査方法に用いられる生体試料中の2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸の定量方法について説明する。生体試料中の該物質は、上述の方法により単離精製した該物質を標準物質として用いて高速液体クロマトグラフィーで定量できる。測定装置としては、一般的な高速液体クロマトグラフィー装置を用いることができ、例えば送液ポンプ、コントローラー、溶媒ミキサー、試料注入器、検出器、記録計より構成される。送液系は濃度勾配溶出が可能な装置であることが望ましい。カラムは逆相カラム又はイオン交換系カラムが好ましい。カラム充填剤は多孔性シリカ系や多孔性高分子系などが好ましい。充填剤の置換基としてはC18のアルキル基、Cアルキル基、フェニル基、ジフェニル基、シアノプロピル基、カルボキシメチル基、スルホプロピル基、ジエチルアミノエチル基、ジエチル−(2−ヒドロキシプロピル)アミノメチル基などがあげられる。検出は、蛍光、吸光、示差屈折、電気化学的検出など一般的な検出方法が用いられる。
【0124】
採取した生体試料を高速液体クロマトグラフィーで測定する場合、生体試料を直接試料注入器に注入してもよいが、予め前処理を行った生体試料を用いることができる。例えば生体試料を遠心分離操作を行ってその上清を用いたり、孔径10μm以下、好ましくは孔径1μm以下、さらに好ましくは孔径0.1μm以下のフィルターを通してから用いるのが好ましい。さらに処理カラムで処理した試料を用いてもよい。また生体試料を乾燥、再溶解、抽出、脱塩、濃縮など一般的処理を施してもよい。
【0125】
採取した生体試料は不安定である場合があるので、ビタミンC等の還元剤、塩酸、過塩素酸等の酸を添加して用いることが好ましい。
【0126】
高速液体クロマトグラフィーの内部標準物質として、例えばN−メチルセロトニン等の蛍光物質が試料に添加して用いられる。そして、この高速液体クロマトグラフィーに使用する溶媒は、アセトニトリルなどの有機溶媒、トリフルオロ酢酸、ヘプタフルオロ酪酸などの水系溶媒、リン酸緩衝液、メタンスルホン酸緩衝液、ギ酸緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液など各種緩衝液を単独又は組合せて使用できる。
【0127】
次に抗体を用いた定量方法について述べる。本発明で用いられる測定方法について記述する。
【0128】
本発明の抗体を用いることによって2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸を免疫学的に測定することが可能である。免疫学的測定法としては標識物に放射性同位体を用いるラジオイムノアッセイや酵素を用いるエンザイムイムノアッセイ、さらには蛍光体を用いる蛍光イムノアッセイ、発光体を用いる発光イムノアッセイなど各種高感度免疫測定法があげられるが、これらに限定されるものではない。公知のほとんどの定量方法が適用可能であるが、競合法がもっとも適合する方法である。この方法にはさまざまな形式があるが、例えば標識された抗原とサンプル中あるいは標準物質の抗原とへ抗体の結合を競合させる方法や、標識された抗体の結合を液相中のサンプル由来の、あるいは標準物質の抗原と、固相化された抗原とで競合させる方法、固相化抗体への結合を標識された抗原とサンプル中あるいは標準物質の抗原とで競合させる方法などがある。
【0129】
次に各種生体機能の検査方法について述べる。生体機能は、生体試料中の2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸を定量し、その定量値から判定される。
【0130】
生体試料は、例えば血液、血漿、血清、尿、羊水、髄液、細胞抽出液等の生体液があげられ、検査する目的で選択される。
【0131】
本発明の測定法は内因性腎糸球体濾過量(Glomerular filtration rate, 以下、GFRと略記する。)測定方法として用いることができる。
【0132】
一般的なGFRの概念は、GFR=U×V/P(U:尿中濃度、V:尿量、P:血中濃度)で表される。生体内で分解等変性されることなく、腎糸球体を自由に通過し、尿細管から排泄されることもなく、再吸収されることもない物質を指標として測定される。この物質の糸球体濾液中濃度と血中(血漿中)濃度は等しいので、一定時間(1分間)に尿中に排泄される物質の量(U×V)は一定時間に糸球体において濾過される量に等しい。したがってこの量を血中濃度で除した値は腎糸球体濾過量を表わすことになる。一般的には、測定対象物質として内因性物質としてはクレアチニン、尿素、外因性物質としてイヌリン、チオ硫酸ナトリウム、マンニトールなどが用いられ、これらのクリアランス値をGFRとして用いる。各個人の尿量は体表面積にほぼ比例することから臨床的に用いられる値を得るときは体表面積などによって補正してもよい。尿量の計算は完全排尿した後、一定時間(1時間)後、再度完全に排尿し、この排尿量を一定時間で除した値(ml/分)が用いられる。体表面積補正は身長と体重から被検者の体表面積を計算し、この値で日本人の平均体表面積(成人で1.48m)を除した値が用いられる。クレアチニンを用いた具体例を示すと、尿量:1.44ml/min、尿中クレアチニン濃度:65.0mg/dl、血漿クレアチニン濃度:0.9mg/dl、体表面積:1.4mの場合は、GFR=(65.0×1.44×1.48)/(0.9×1.40)=110ml/分となる。
【0133】
これら物質の内、内因性物質は生体内で一定量産生され、血中に一定量存在する状態であれば、たとえば腎機能が異常を来し、腎臓で十分に濾過されない状態になれば、その物質は血液中に蓄積し、血中濃度は上昇するので、この内因性物質の血中濃度および尿中量を測定することで機能異常を推定することが可能である。一方腎機能が正常で血中濃度が増加したり尿中量が増加すれば、生体内での産生量の増加、代謝量が減少などなんらかの機能変化があったことが推測でき、疾患の診断につながる。また逆に血中濃度、尿中量の低下は産生量の低下や代謝量の増加など何らかの機能変化を推定でき、やはり疾患の診断につながる。これらの目的で内因性物質の血中濃度および尿中量(尿中濃度と尿量から求められる。)は単独あるいは別々に定量される。
【0134】
腎臓機能を検査する場合は、例えば血清中の濃度を定量する。後述の実施例3の結果は、健常者の血清中の該物質濃度が被検者(n=50)の99%で52〜99ng/mlの範囲にあることを示しており、また腎臓疾患患者の血清中の該物質濃度が被検者(n=30)の99%で307〜1403ng/mlの範囲にあることを示している。従って例えば、血清中の該物質濃度が100ng/ml以上で腎臓機能の低下が判定される。
【0135】
中枢神経機能を検査する場合は、例えば髄液中の濃度を定量する。後述の実施例4の結果は、健常者の髄液中の該物質濃度が被検者(n=22)の99%で72〜188ng/mlの範囲にあることを示しており、また脊髄小脳変性患者および転移性脳腫瘍患者の髄液中の該物質濃度が400ng/ml以上にあることを示している。従って例えば、髄液中の該物質濃度が200ng/ml以上で中枢神経機能の低下が判定される。
【0136】
妊娠機能を検査する場合は、例えば羊水中の濃度を定量する。後述の実施例5の結果は、健常者の羊水中の該物質濃度が被検者(n=21)の99%で113〜593ng/mlの範囲にあることを示しており、また妊娠尿毒症の患者の羊水中の該物質濃度が被検者(n=9)の99%で675〜2147ng/mlの範囲にあることを示している。従って例えば、羊水中の該物質濃度が600ng/ml以上で妊娠機能の低下が判定される。
【0137】
発明を実施するための最良の形態
以下に本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1(本発明化合物の単離精製)
健常人尿から2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸を下記に従って単離精製した。尿500リットルを10リットルに濃縮しガラスフィルターで濾過し、濾過液を12リットルのブタノール/氷酢酸(5:1,v/v)溶液と混合した。ブタノール層を分離し四ホウ酸ナトリウム2kgを加え、1晩放置後、分離した水層を回収した。水層を濃縮してからガラスフィルターで濾過し、濾過液を5.0M塩化アンモニウム水溶液で平衡化したフェニルセファロースーCL−4Bカラム(4.2×50cm)に添加し、該水溶液で溶出し分画した。目的物を含む画分を濃縮し、ガラスフィルターで濾過した。次いで蒸留水で平衡化したセファデックスG−25スーパーファインカラム(4.2cm×120cm、ファルマシア社)に濃縮濾過液を添加し、蒸留水で溶出し分画した。目的物を含む画分でかつ電気伝導度が5ミリモー以下は回収し、目的物を含む画分で電気伝導度が5ミリモー以上の画分は再び濃縮した後、セファデックスG−25スーパーファインカラムによる分画を行い目的物を含む画分を電気伝導度5ミリモー以下にした。目的画分を濃縮し蒸留水で平衡化した陽イオン交換樹脂CM−セファロース ファーストフローカラム(4.2×50cm、ファルマシア社)に添加し、蒸留水で溶出した。目的物を含む画分を回収し、濃縮し蒸留水で平衡化した陰イオン交換樹脂DEAE−セファセルカラム(4.2×50cm、ファルマシア社)に添加し、蒸留水で溶出することで、目的物を含む画分を回収し濃縮した。濃縮物を高速液体クロマトグラフィー[カラム;Radial−Pak C18(8mm×10cm、ウォーターズ社)、展開溶媒;アセトニトリル/水(1:9,v/v))、流速;1ml/分]に付し、目的物を含む画分を回収することを繰り返した。回収物を再度精製するため、上記高速液体クロマトグラフィーの展開溶媒をアセトニトリル/水(1:45,v/v)に換える以外は同一条件で目的物質を含む画分を回収し、回収物を濃縮することによってシロップ状無色の最終精製物5mgを得た。なお、単離精製工程中の本物質の検出は下記条件で高速液体クロマトグラフィーにより行なった。
【0138】
カラム:Finepak SIL C18-T5(4mm×25cm、日本分光社)
展開溶媒:アセトニトリルと緩衝液(70mMクエン酸:60mMリン酸二ナトリウム=1:1,v/v,pH3.5)の混合溶媒
0〜1.5分;アセトニトリル:緩衝液=96:4(v/v)
1.5〜7.0分;アセトニトリル:緩衝液=92:8(v/v)
7.0〜25.0分;アセトニトリル:緩衝液=88:12(v/v)
温度:室温
流速:1.5ml/分
検出:蛍光、励起波長:302nm、測定波長:350nm
保持時間:6.8分
【0139】
実施例2(本発明物化合物の高速液体クロマトグラフィーによる定量)
実施例1で作成した2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸の標準液を作成した。該標準液350μlを1%ビタミンCを含む0.1規定の塩酸500μlに加え、これに内部標準物質として40μMのN−メチルセロトニン50μlを加え混合した後、100μlの60%過塩素酸を加え混合し4℃で3000rpmの遠心分離を行い、この上清を0.22μmのフィルターで濾過して濾液を得た。
【0140】
該濾液を下記に示す高速液体クロマトグラフィー条件で処理した。
【0141】
カラム:Finepak SILC18-T5 (4mm×25cm、日本分光社)
展開溶媒:アセトニトリルと緩衝液(70mMクエン酸:60mMリン酸二ナトリウム=1:1,v/v,pH3.5)の混合溶媒
0〜1.5分;アセトニトリル:緩衝液=96:4(v/v)
1.5〜7.0分;アセトニトリル:緩衝液=92:8(v/v)
7.0〜25.0分;アセトニトリル:緩衝液=88:12(v/v)
温度:室温
流速:1.5ml/分
検出:蛍光、励起波長:302nm、測定波長:350nm
この結果、試料中の2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸と蛍光強度は良好な直線関係を示し、内部標準物質を用いた定量が可能であった。
【0142】
実施例3(腎臓疾患患者の本発明化合物の定量)
健常人と腎臓疾患患者の血清中の本発明化合物を定量した。血清は被検者から採血し、室温で30分静置して凝固させた後、3000回転10分間の遠心分離操作にて血清を回収し、使用するまで−80℃で保存した。新生児から90歳までの健常人男女を対象に血清中の本発明化合物を定量した。定量は、標準液の代わりに血清を用いる以外は実施例2と同様な方法で行った。結果を図1に示す。図中、◆は男性を、●は女性をそれぞれ示す。この図に示すとおり、男性では76.3ng/ml(SD 10.3)、女性では74.5ng/ml(SD 12.6)の値が得られ、年齢及び性別の差は認められなかった。
【0143】
次に腎臓疾患患者(男性17例 平均年齢53.9才、女性13例 平均年齢46.4才)の血清中の本発明化合物を定量した。結果を図2に示す。図中、○
は健常者、◆は腎臓疾患患者をそれぞれ示す。この図に示すとおり男性患者では平均856ng/ml(SD 247)、女性患者では854ng/ml(SD305)の値を示した。
【0144】
健常者と腎臓疾患患者の血清中の本発明化合物濃度は有意な差があるので血清中の本発明化合物の定量値から腎臓機能が判定できる。
【0145】
実施例4(中枢神経疾患患者の本発明化合物の定量)
健常者と中枢神経疾患患者の血清中及び髄液中の本発明化合物を定量した。健常者22例並びに脊髄小脳変性患者及び転移性脳腫瘍患者各一名から血清と髄液を同時に採取し、血清と髄液中の本発明化合物を定量した。定量は標準液の代わりに血清又は髄液を用いる以外は実施例2と同様な方法で行った。血清中の本物質濃度は69.9ng/ml(SD 13.8)で実施例3の測定値と有意差はなかった。髄液中の本発明化合物の定量結果を図3に示す。図中、●は健常者、□、脊髄小脳変性患者、△は転移性脳腫瘍患者をそれぞれ示す。この図に示すとおり髄液中濃度は健常者で130.4ng/ml(SD 29.1)の値を示した。脊髄小脳変性患者の本物質の髄液中濃度は、399.4ng/mlの値を示した。また、転移性脳腫瘍患者の本物質の髄液中濃度は、822.6ng/mlの値を示した。
【0146】
健常者と中枢神経疾患患者の髄液中の本発明化合物濃度は有意な差があるので髄液中の本発明化合物の定量値から中枢神経機能が判定できる。
【0147】
実施例5(妊娠尿毒症患者の本発明化合物の定量)
産婦人科に入院している健常者と妊娠尿毒症患者の羊水中の本発明化合物を定量した。健常者21名(21〜41週齢)および妊娠尿毒症患者9名(24〜49週齢)から羊水を採取し本発明化合物を定量した。定量は標準液のかわりに羊水を用いる以外は実施例2と同様な方法で行った。結果を図4に示す。図中、△は健常者、●は妊娠中毒症患者をそれぞれ示す。この図に示すとおり健常者では353.0ng/ml(SD 120.1)の値を示し、妊娠尿毒症患者では1410.7ng/ml(SD 367.9)の値を示した。
【0148】
健常者と妊娠尿毒症患者の羊水中の本発明化合物濃度は有意な差があるので羊水中の本発明化合物の定量値から胎児の発育機能が判定できる。
【0149】
実施例6(モノクローナル抗体の製造)
a.免疫用抗原の作成
実施例10で合成した化合物(XIII-1)および化合物(XIII-2)を等量混合して得た、2−アミノ−3−[2−(α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸(2R体と2S体の混合物、以下単に2−アミノ−3−[2−(α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸と記する。)0.5mgを50μlのメタノ−ルに溶解し、20mg/mlのキーホールリンペットヘモシアニン(Calbiochem Co.社製、以下KLHと略記する。)水溶液0.5mlと混合した。混合液のpHを7〜8に合わせた後、20mgのEDC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、Pierce社製)を加え、室温で6時間反応させた。反応終了後140mMのNaClを含む10mMリン酸緩衝液(pH7.4、以下PBSと略記する。)に対し透析をおこない、2−アミノ−3−[2−(α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸−KLHを作成した。
【0150】
KLHを、ウシ血清アルブミン(以下、BSAと略記する。シグマ社製)に代える以外は同様の方法で、2−アミノ−3−[2−(α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸−BSAを作製した。
【0151】
b.モノクローナル抗体の作製
6週令の雄Balb/cマウス(SLC社製)の腹腔または背中皮下にフロインドの完全アジュバント(ICN バイオケミカル社製)と2−アミノ−3−[2−(α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸−KLHとの等量混合物を0.1mg/匹で投与した。以後3週間毎に、フロインドの不完全アジュバント(ICN バイオケミカル社製)と2−アミノ−3−[2−(α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸−KLHとの混合物を0.1mg/匹で背中皮下に2回投与しその3週間後、尾静脈よりPBSに溶解した2−アミノ−3−[2−(α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸−KLHを0.1mg/匹投与し、3日後に抗体産生細胞を脾臓より調製した。
【0152】
免疫動物から脾臓を無菌的に摘出し、血清を含まないRPMI−1640培地(日水製薬社製)中にてほぐし、100メッシュの網を通過させて単独細胞化し、低張液中に懸濁し赤血球を溶解した後、血清を含まないRPMI−1640培地で3回遠心洗浄した。
【0153】
一方マウスミエローマ細胞P3U1(大日本製薬社製)を10%牛胎児血清(以下、FCSと略記する。ギブコ社製)を含有するRPMI−1640培地で培養して対数増殖期で細胞を回収し、血清を含まないRPMI−1640培地で3回遠心洗浄した。
【0154】
抗体産生細胞とマウスミエローマ細胞P3U1を10:1の比率で混合し、1200rpmで5分遠心分離し、培養液を取り除いた。遠心細胞残査に50%ポリエチレングリコール1500液(ベーリンガー・マンハイム社製)1mlをゆっくり加え、さらに血清を含まないRPMI−1640培地50mlを徐々に加えてから1200rpmで5分間遠心分離して培地を取り除き、残った細胞をHAT培地(1×10 4Mヒポキサンチン、4×10 7Mアミノプテリン、2×10-5Mチミジンを含む10%FCS含有RPMI−1640培地)に1×106細胞/mlとなるようよう懸濁し、96ウェルマイクロプレートに各ウェル200μlずつ分注した。細胞はこのままの状態で炭酸ガスインキュベーターにて5%炭酸ガスを含む空気中、37℃で培養し続けた。10日後に観察したところ全ウェルにハイブリドーマのコロニーが観察された。
【0155】
c.アッセイ
目的抗体を産生している細胞を含むウェルの選択は以下の通り行った。96ウェルマイクロタイタ−プレ−トに50μlの2−アミノ−3−[2−(α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸−BSAコンジュゲ−ト溶液[20μg/ml0.1M炭酸緩衝液(pH9.5)]を分注し、4℃で一夜静置した。プレートをPBSで3回洗浄した後、1%BSA/PBS溶液250μlを分注して室温で1時間静置し、PBSで各ウェルを3回洗浄して反応用プレートとした。反応用プレートに0.1%のBSAを含むPBSで11倍に希釈した培養上清50μlを入れ、室温で3時間静置反応させた。反応終了後プレートを0.05%Tween20を含むPBSで5回洗浄した後、50μlのPOD標識−抗マウスイムノグロブリンズ−ウサギIgG(DAKO社製)を加え、室温で1時間反応させた。反応後プレートを0.05%Tween20を含むPBSで5回洗浄した後、50μlの10−N−メチルカルバモイル−3,7−ジメチルアミノ−10H−フェノチアジン(協和メデックス社製、以下MCDPと略)溶液を加え、30分室温で反応させ、最後に50μlの反応停止液を加え、マイクロプレートリーダー(コロナ電気社)で660nmの吸光度を測定した。1.0以上の吸光度を示した強い反応性の得られたウェルは276ウェル中5ウェルであった。
【0156】
d.クローニング
クローニングは限界希釈法でおこなった。上記に示した強い反応性の得られたウェル内の細胞を1×10個/mlの胸腺細胞を含む10%FCS含有RPMI−1640培地にて0.5個/mlになるよう希釈し、96ウェルマイクロプレートの各ウェルに200μl分注し、炭酸ガスインキュベーターにて37℃、5%炭酸ガスを含む空気中で培養を行った。培養開始10〜14日後に各ウェルを観察し、生育コロニーが1個/ウェルのウェルを選び出し、さらに選択されたウェルの培養上清をc.アッセイ項に示す方法にて測定し、目的抗体を産生している細胞株を含むウェルを選択した。さらに同様の操作を2回繰り返し、安定に目的抗体を産生する単クローン抗体産生細胞株を確立した。得られた細胞株は全部で5株であった。得られた株が産生する抗体の免疫グロブリンクラスはモノクローナル抗体タイピングキット(ザイメット社)を用い、培養上清中の抗体について同定した。すべてIgGタイプの抗体を産生する株であった。
【0157】
e.精製抗体の取得
8週令以上の雄Balb/cマウスの腹腔内に0.5ml/匹のプリスタン(2,6,10,14−テトラメチルペンタデカン、和光純薬社)を注入し、2週間飼育した。このマウスに1×106/匹の細胞株を接種した。7〜14日後、マウス腹腔に十分腹水が貯留した時点で、腹腔内に18Gの注射針を用いて腹水を回収し、3000rpmで10分遠心分離して上清を回収した。この上清を結合緩衝液(3M NaCl、1.5Mグリシン、pH8.9)で3倍に希釈し、結合緩衝液で平衡化したプロテインAカラムに通液した。カラムをPBSで洗浄した後、50mMグリシン/HCl緩衝液(pH2.5)で抗体を溶出した。溶出液は1Mリン酸緩衝液(pH7.5)で直ちに中性化した。回収した抗体液はPBSに対して十分透析を行い、精製モノクローナル抗体を得た。
【0158】
f.特異性の確認
96ウェルマイクロタイタ−プレ−ト(NUNC社)に50μlの2−アミノ−3−[2−(α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸−BSAコンジュゲ−ト溶液(20μg/ml 0.1M炭酸緩衝液 pH9.5)を分注し、4℃で一夜静置した。プレートをPBSで3回洗浄した後、1%BSA/PBS溶液250μlを分注して室温で1時間静置し、PBSで各ウェルを3回洗浄して反応用プレートとした。反応用プレートに各濃度の被検物質/0.1%BSAを含む0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)を50μl分注し、さらにプレートを撹拌しながら50μlの上述e.精製抗体の取得項で作成したモノクローナル抗体(10ng/ml 0.1%BSAを含む0.1Mリン酸緩衝液 pH7.4)を入れ、混合して室温で3時間静置反応させた。反応終了後プレートを0.05%Tween20を含むPBSで5回洗浄した後、POD標識−抗マウスイムノグロブリンズ−ウサギIgG(DAKO社)を50μl加え、室温で1時間反応させた。反応後プレートを0.05%Tween20を含むPBSで5回洗浄した後、50μlのMCDP/50mMクエン酸緩衝液(pH5.0)溶液を加え、30分室温で反応させ、最後に50μlの反応停止液(ジエチルジチオカルバミン酸エチル)を加え、マイクロプレートリーダーで660nmの吸光度を測定した。その結果、吸光度は濃度依存的に減少した。一方、被検物質としてL−トリプトファン、DL−マンノースを100μg/mlの濃度まで確認したが、吸光度の減少は認められず、これらの物質には本抗体は反応しないことが示された。
【0159】
実施例7(本発明の抗体を用いた定量方法)
実施例6で作製した抗体を用いエンザイムイムノアッセイをおこなった。96ウェルマイクロタイタ−プレ−ト(NUNC社製)に50μlの2−アミノ−3−[2−(α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸−BSAコンジュゲ−ト溶液(20μg/ml 0.1M炭酸緩衝液 pH9.5)を分注し、4℃で一夜静置した。プレートをPBSで3回洗浄した後、1%BSA/PBS溶液250μlを分注して室温で1時間静置し、PBSで各ウェルを3回洗浄して反応用プレートとした。反応用プレートに各濃度の2−アミノ−3−[2−(α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸/0.1%BSA添加0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)または0.1%BSA添加0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)で適宜希釈した検体を50μl分注し、さらにプレートを撹拌しながら50μlの実施例6で作成したモノクローナル抗体(10ng/ml 0.1%BSA加0.1Mリン酸緩衝液 pH7.4)を入れ、混合して室温で3時間静置反応させた。反応終了後プレートを0.05%Tween20を含むPBSで5回洗浄した後、POD標識−抗マウスイムノグロブリンズ−ウサギIgG(DAKO社製)を50μl加え、室温で1時間反応させた。反応後プレートを0.05%Tween20を含むPBSで5回洗浄した後、50μlのMCDP/50mMクエン酸緩衝液(pH5.0)溶液を加え、30分室温で反応させ、最後に50μlの反応停止液(ジエチルジチオカルバミン酸エチル)を加え、マイクロプレートリーダーで660nmの吸光度を測定した。検量線を図1に示す。なお、2−アミノ−3−[2−(α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸濃度は単一の化合物濃度として表わしている。
【0160】
実施例8(GFRの測定)
非腎性疾患の入院患者18名を対象に、尿中および血清中の2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸濃度を実施例7の方法にて定量した。尿サンプルは24時間蓄尿を用い、体積を測定した後、その一部を定量するまで−80℃に保存した。使用に際しては、凍結尿を37℃で、解凍・保温した後、充分撹拌混和後3000回転10分の遠心分離操作を行って不溶物を除去し、上清をサンプルとした。血清サンプルは、被検者から採血し、室温で30分静置して凝固させた後、3000回転10分間の遠心分離操作にて血清を回収し、使用するまで−80℃で保存した。
【0161】
比較例として同一検体中のクレアチニンを定量した。測定は酵素学的測定法であるクレアチニン測定キット(デタミナーCr633、協和メデックス社製)をその添付文書に従って用い、日立7070型生化学自動分析機(日立工機社製)で測定した。クリアランスは、次式で求めた。
【0162】
クリアランス値=(尿中濃度×尿量)/(24×60×血清濃度)
結果を表1に示す。
【0163】
【表1】
【0164】
第1表に示すように、本発明化合物を用いて得られるクリアランス値は、従来用られているクレアチンクリアランスと同様に、ある限局した一定の範囲内の値を示した。
【0165】
実施例9(尿中の排泄量の測定)
新生児から90歳までの健常人男女を対象に尿中の2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸濃度を実施例7の方法にて定量し、本発明測定が腎機能測定に有用であることを検証した。サンプルは24時間蓄尿を収集し、体積を測定した後、その一部を使用するまで−80℃に保存した。使用に際しては、凍結尿を37℃で、解凍・保温した後、充分撹拌混和後3000回転10分の遠心分離操作を行って不溶物を除去し、上清をサンプルとした。比較例として同一検体中のクレアチニンを測定した。測定は酵素学的測定法であるクレアチニン測定キット(デタミナーCr633、協和メデックス社製)をその添付文書に従って用い、日立7070型生化学自動分析機(日立工機社製)で測定した。結果を表2に示す。
【0166】
【表2】
SD:標準偏差
【0167】
表2に示すように、クレアチニン値は男性が高値を示し、また年齢とともに上昇し、老齢になるとまた減少するなど筋肉量に比例したと思われる変化が観察された。一方本発明化合物の排泄量は平均4.5mg/日で、男女、年齢において有意な差は観察されず、優れた指標であることが示された。
【0168】
実施例10 2−アミノ−3−[2−(α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸[化合物(XIII)]の合成
【0169】
工程1および2: 1−C−[1−(フェニルスルホニル)インドール−2−イル]−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−マンノピラノース[化合物(IV)でR〜Rがベンジル、Rがフェニルスルホニルである化合物]の合成
1−(フェニルスルホニル)インドール[化合物(II)中、Xが水素原子、Rがフェニルスルホニルである化合物]6.93g(26.93mmol)をテトラヒドロフラン(220ml)に溶解し、ドライアイス−アセトンにて約−78℃まで冷却する。そこへ、1.5Mリチウムジイソプロピルアミド−シクロヘキサン溶液(17ml:25.50mmol)を滴下し、約5分攪拌しリチウム試薬[化学式(III)中、Mがリチウム原子、Rがフェニルスルホニルである試薬]を ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J. Org. Chem.), 47, 757 (1982)に記載の方法に従って調製した。このリチウム試薬[化学式(III)中、Mがリチウム、 Rがフェニルスルホニルである試薬]に、2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−マンノ−δ−ラクトン[化合物(I)で R〜Rがベンジルである化合物]11.40g(21.17mmol)のトルエン溶液(220ml)を添加し、−78℃で約30分攪拌した。その後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、ジエチルエーテルで抽出し、エーテル溶液を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[シリカゲル:Merck Kieselgel 60(230-400 mesh ASTM);溶出溶媒:n−ヘキサン:酢酸エチル(4:1)]にて分離し、回収原料3.51g(回収率 31%)と共に、1−C−[1−(フェニルスルホニル)インドール−2−イル]−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−マンノピラノース[化合物(IV)でR〜Rがベンジル、Rがフェニルスルホニルである化合物]7.74g(収率 46%)を得た。
【0170】
1H-NMR (270 MHz, CDCl3) δ (ppm) (約1.4:1のジアステレオマー混合物): 3.55〜5.00 (15H, m), ca. 6.84〜7.66 (27H, m), 7.80〜7.87 and 8.12〜8.18 (2H, m), 8.02 and 8.20 (1H, d each, J=8 Hz each).
FAB-MS: 817 [M−H+Na]+, 778 [M−OH]+.
【0171】
工程3: 1−C−[1−(フェニルスルホニル)インドール−2−イル]−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−マンニトール[化合物(V)でR〜Rがベンジル、Rがフェニルスルホニルである化合物]の合成
1−C−[1−(フェニルスルホニル)インドール−2−イル]−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−マンノピラノース[化合物(IV)でR〜Rがベンジル、Rがフェニルスルホニルである化合物]7.74g(9.72 mmol)をテトラヒドロフラン(240ml)に溶解し、そこへ、水素化リチウムアルミニウム1.11g(29.25mmol)を加え、0℃にて約30分攪拌した。反応終了後、飽和ロッシェル塩水溶液を加え、ジエチルエーテルで抽出し、エーテル溶液を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[シリカゲル:Merck Kieselgel 60(230-400 mesh ASTM);溶出溶媒:n−ヘキサン:酢酸エチル(5:2)]にて分離し、1−C−[1−(フェニルスルホニル)インドール−2−イル]−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−マンニトール[化合物(V)中、R〜Rがベンジル、Rがフェニルスルホニルである化合物]5.85g(収率 75%)を得た。
【0172】
1H-NMR (270 MHz, CDCl3) δ (ppm) (約1.4:1のジアステレオマー混合物): (major isomer) 2.87 (1H, br s: OH), 3.63〜3.89 (1H, m: OH), 3.71 (1H, dd, J=10, 6 Hz), 3.77 (1H, dd, J=10, 4 Hz), 3.84 (1H, d, J=11 Hz), 3.95 (1H, dd, J=7, 3.5 Hz), 4.14 (1H, dd, J=6.5, 3.5 Hz), 4.18 (1H, d, J=11 Hz), 4.18〜4.31 (1H, m), 4.51 (1H, d, J=6.5 Hz), 4.56 (2H, s), 4.69 (1H, d, J=11.5 Hz), 4.79 (1H, d, J=11.5 Hz), 4.86 (1H, d, J=12 Hz), 4.90 (1H, d, J=12 Hz), 5.68 (1H, br s), 6.83 (1H, s), 6.87〜6.95 (2H, m), 7.02〜7.51 (24H, m), 7.51〜7.60 (2H, m), 8.18 (1H, d, J=8 Hz). (minor isomer) 3.62 (1H, dd, J=10, 5 Hz), 3.68 (1H, dd, J=10, 3.5 Hz), 3.82 (1H, dd, J=8, 4 Hz), 3.93 (1H, dd, J=4, 4 Hz), 4.12 (1H, ddd, J=8, 5, 3.5 Hz), 4.43〜4.57 (1H, m), 4.46 (2H, s), 4.48 (1H, d, J=12 Hz), 4.53 (2H, s), 4.54 (1H, d, J=12 Hz), 4.64 (1H, d, J=12 Hz), 4.69 (1H, d, J=12 Hz), 5.78 (1H, d, J=6 Hz), 6.62 (1H, s), 7.08〜7.46 (26H, m), 7.66〜7.75 (2H, m).
FAB-MS: 820 [M+Na]+, 798 [M+Na]+, 780 [M−OH]+.
IR (KBr) cm-1: 1497, 1452, 1369, 1207, 1174, 1151, 1090, 1070, 1065, 1028, 746, 737, 698, 685, 590, 573, 563.
【0173】
工程4: (1R)−1,5−アンヒドロ−1−C−[1−(フェニルスルホニル)インドール−2−イル]−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−マンニトール[化合物(VI)中、R〜Rがベンジル、Rがフェニルスルホニルである化合物]の合成
1−C−[1−(フェニルスルホニル)インドール−2−イル]−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−マンニトール[化合物(V)中、R〜Rがベンジル、Rがフェニルスルホニルである化合物]5.85g(7.33mmol)をトルエン(500ml)に溶解し、そこへ、パラトルエンスルホン酸1水和塩0.70g(3.68mmol)を加え、約100℃にて約1時間攪拌した。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ジエチルエーテルで抽出し、エーテル溶液を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[シリカゲル:Merck Kieselgel 60(230-400 mesh ASTM);溶出溶媒:ジクロロメタン]にて分離し、(1R)−1,5−アンヒドロ−1−C−[1−(フェニルスルホニル)インドール−2−イル]−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−マンニトール[化合物(VI)中、R〜Rがベンジル、Rがフェニルスルホニルである化合物]3.31g(収率 58%)を得た。
【0174】
1H-NMR (270 MHz, CDCl3) δ (ppm) : 3.54 (1H, dd, J=10, 4 Hz), 3.86 (1H, dd, J=10, 6 Hz), 3.88 (1H, dd, J=9, 3 Hz), 3.92〜4.02 (2H, m), 4.27 (1H, dd, J=6, 3 Hz), 4.53 (2H, s), 4.56 (1H, d, J=11.5 Hz), 4.56〜4.64 (2H, m), 4.58 (1H, d, J=12 Hz), 4.65 (1H, d, J=12 Hz), 4.66 (1H, d, J=11.5 Hz), 6.01 (1H, d, J=6 Hz), 6.46 (1H, s), 7.14〜7.42 (26H, m), 7.78〜7.85 (2H, m), 8.11 (1H, dd, J=8, 1 Hz).
FAB-MS: 780 [M+H]+.
IR (KBr) cm-1: 1497, 1452, 1369, 1309, 1217, 1205, 1174, 1146, 1120, 1092, 1053, 1026, 748, 737, 698, 687, 586, 573, 561.
【0175】
工程6: (1R)−1,5−アンヒドロ−1−C−(2−インドリル)−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−マンニトール[化合物(VII)でR〜Rがベンジルである化合物]の合成
(1R)−1,5−アンヒドロ−1−C−[1−(フェニルスルホニル)インドール−2−イル]−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−マンニトール[化合物(VI)中、R〜Rがベンジル、Rがフェニルスルホニルである化合物]3.31 g(4.25 mmol)をエタノール(100 ml)に溶解し、そこへ、50%水酸化ナトリウム水溶液(33ml)を加え、約100℃にて約1時間攪拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出し、抽出液を水洗後、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[シリカゲル:Merck Kieselgel 60(230-400 mesh ASTM);溶出溶媒:0.3%メタノール−ジクロロメタン]にて分離し、(1R)−1,5−アンヒドロ−1−C−(2−インドリル)−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−マンニトール[化合物(VII)中、R〜Rがベンジルである化合物]2.06g(収率 76%)を得た。
【0176】
1H-NMR (270 MHz, CDCl3) δ (ppm) : 3.51〜3.64 (1H, m), 3.74 (2H, d, J=4.5 Hz), 3.88 (1H, dd, J=8, 2.5 Hz), 3.93 (1H, dd, J=8, 8 Hz), 4.16 (1H, dd, J=2.5, 2.5 Hz), 4.50 (1H, d, J=11 Hz), 4.55 (1H, d, J=12 Hz), 4.60 (1H, d, J=12 Hz), 4.62 (1H, d, J=12 Hz), 4.71 (1H, d, J=12 Hz), 4.71 (1H, d, J=12 Hz), 4.77 (1H, d, J=12 Hz), 4.83 (1H, d, J= 12 Hz), 5.20〜5.28 (1H, m), 5.79 (1H, br s), 7.01〜7.48 (24H, m), 8.48 (1H, br s).
FAB-MS: 640 [M+H]+.
IR (KBr) cm-1: 1497, 1454, 1363, 1338, 1294, 1207, 1157, 1095, 1038, 1026, 912, 835, 802, 787, 748, 698.
【0177】
工程7: 2−ヒドロキシイミノ−3−[2−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸エチルエステル[化合物(IX)でR〜Rがベンジル、Rがエチルである化合物]の合成
(1R)−1,5−アンヒドロ−1−C−(2−インドリル)−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−マンニトール[化合物(VII)中、R〜Rがベンジルである化合物]2.08g(3.24mmol)をジクロロメタン(160ml)に溶解し、そこへ、3−ブロモ−2−ヒドロキシイミノプロピオン酸エチルエステル[化合物(VIII)でRがエチルである化合物]1.36g(6.49 mmol)および炭酸ナトリウム末1.03g(9.74mmol)を加え、室温にて約1.5時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出し、抽出液を水洗後、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[シリカゲル:Merck Kieselgel 60(230-400 mesh ASTM);溶出溶媒:n−ヘキサン:酢酸エチル(3:1)]にて分離し、回収原料1.04g(回収率 50%)と共に、2−ヒドロキシイミノ−3−[2−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸エチルエステル[化合物(IX)中、R〜Rがベンジル、Rがエチルである化合物]0.93g(収率 37%)を得た。
【0178】
1H-NMR (270 MHz, CD3OD) δ (ppm) : 1.04 (3H, t, J=7 Hz), 3.85 (1H, dd, J=4, 2 Hz), 3.88〜4.19 (9H, m), 4.12 (1H, d, J=12 Hz), 4.18 (1H, d, J=14 Hz), 4.41 (1H, d, J=11.5 Hz), 4.47 (1H, d, J=11.5 Hz), 4.50 (1H, d, J=12 Hz), 4.57 (1H, d, J=12 Hz), 4.61 (1H, d, J=12 Hz), 4.73 (1H, d, J=12 Hz), 5.56 (1H, d, J=9 Hz), 6.86〜6.94 (2H, m), 6.94〜7.39 (21H, m), 7.70 (1H, d, J=8 Hz), 10.26 (1H, br s).
FAB-MS: 769 [M+H]+.
IR (KBr) cm-1: 1720, 1497, 1454, 1369, 1336, 1309, 1248, 1203, 1124, 1093, 1088, 1074, 1026, 743, 698.
【0179】
工程8: 2−アミノ−3−[2−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸エチルエステル[化合物(X)でR〜Rがベンジル、Rがエチルである化合物]の合成
2−ヒドロキシイミノ−3−[2−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸エチルエステル[化合物(IX)でR〜Rがベンジル、Rがエチルである化合物]1.73g(2.25mmol)をテトラヒドロフラン(225ml)−水(25ml)に溶解し、そこへ、アルミニウム8.50g(0.32mol)から調製したアルミニウムアマルガムを加え、約55℃にて約0.5時間攪拌した。反応液をセライトろ過し、セライトを10%エタノール−ジクロロメタンで洗浄後、ろ液を濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[シリカゲル:Merck Kieselgel 60(230-400 mesh ASTM);溶出溶媒:3%メタノール−ジクロロメタン]にて分離し、2−アミノ−3−[2−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸エチルエステル[化合物(X)中、R〜Rがベンジル、Rがエチルである化合物]1.54 g(収率 90%)を得た。
【0180】
1H-NMR (270 MHz, CD3OD) (約1.6:1のジアステレオマー混合物) δ(ppm) : (major isomer) 1.09 (3H, t, J=7 Hz), 3.10 (1H, dd, J=14.5, 8 Hz), 3.20 (1H, dd, J=14.5, 5 Hz), 3.64〜3.86 (3H, m), 3.90〜4.25 (8H, m), 4.37〜4.72 (6H, m), 5.18 (1H, d, J=9 Hz), 6.81〜6.94 (2H, m), 6.99〜7.40 (21H, m), 7.53 (1H, d, J=8 Hz). (minor isomer) 1.06 (3H, t, J=7 Hz), 2.91 (1H, dd, J=14, 8 Hz), 3.29 (1H, dd, J=14, 6 Hz), 3.64〜3.86 (3H, m), 3.90〜4.25 (8H, m), 4.37〜4.72 (6H, m), 5.15 (1H, d, J=9 Hz), 6.81〜6.94 (2H, m), 6.99〜7.40 (21H, m) , 7.53 (1H, d, J=8 Hz).
FAB-MS: 755 [M+H]+.
IR (KBr) cm-1: 1734, 1497, 1454, 1365, 1336, 1308, 1205, 1093, 1072, 1028, 743, 698.
【0181】
工程9: 2−[N−(カルボベンジルオキシ)アミノ]−3−[2−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸エチルエステル[化合物(XI)でR〜Rがベンジル、Rがエチル、Arがフェニルである化合物]の合成
2−アミノ−3−[2−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸エチルエステル[化合物(X)中、R〜Rがベンジル、Rがエチルである化合物]1.54g(2.04mmol)をクロロホルム(100ml)に溶解し、そこへ、トリエチルアミン(0.86ml)を加え、溶液を約−20℃に冷却する。そこへ、50%V/Vクロロぎ酸ベンジル−トルエン溶液(1.50ml)を加え、約15分攪拌した。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出し、抽出液を水洗後、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[シリカゲル:Merck Kieselgel 60(230-400 mesh ASTM);溶出溶媒:n−ヘキサン:酢酸エチル(3:1)]にて分離し,2−[N−(カルボベンジルオキシ)アミノ]−3−[2−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸エチルエステル[化合物(XI)中でR〜Rがベンジル、Rがエチル、Arがフェニルである化合物]1.72g(収率 95%)を得た。
【0182】
1H-NMR (270 MHz, CDCl3) (約1.6:1のジアステレオマー混合物) δ(ppm) : (major isomer) 1.07 (3H, t, J=7 Hz), 3.15 (1H, dd, J=15, 4.5 Hz), 3.51 (1H, dd, J=15, 6.5 Hz), 3.67〜5.21 (21H, m), 6.67〜7.43 (28H, m), 7.53 (1H, d, J=8 Hz), 8.15 (1H, br s). (minor isomer) 1.23 (1H, t, J=7 Hz), 3.08 (1H, dd, J=14.5, 10.5 Hz), 3.35 (1H, dd, J=14.5, 4.5 Hz), 3.67〜5.21 (20H, m), 6.39 (1H, br d, J=5 Hz), 6.67〜7.43 (28H, m), 7.65 (1H, d, J=8 Hz), 8.19 (1H, br s).
FAB-MS: 889 [M+H]+.
IR (KBr) cm-1: 1722, 1716, 1524, 1520, 1516, 1497, 1454, 1367, 1336, 1303, 1250, 1207, 1086, 1072, 1028, 743, 698.
【0183】
工程10: (2R)−2−[N−(カルボベンジルオキシ)アミノ]−3−[2−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸[化合物(XII−1)でR〜Rがベンジル、Arがフェニルである化合物]および(2S)−2−[N−(カルボベンジルオキシ)アミノ]−3−[2−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸[化合物(XII−2)でR〜Rがベンジル、Arがフェニルである化合物]の合成
2−[N−(カルボベンジルオキシ)アミノ]−3−[2−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸エチルエステル[化合物(XI)中、R〜Rがベンジル、Rがエチル、Arがフェニルである化合物]1.72g(1.94mmol)を1,2−ジメトキシエタン(60ml)−水(30ml)に溶解し、そこへ、水酸化リチウム1水和塩0.24g(5.82mmol)を加え、室温にて約16時間攪拌した。反応終了後、0.5Nクエン酸(30ml)を加え、ジクロロメタンで抽出し、抽出液を水洗後、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[シリカゲル:Merck Kieselgel 60(230-400 mesh ASTM);溶出溶媒:n−ヘキサン:酢酸エチル:メタノール(3:6:0.6)]にて分離し、先に溶出される化合物(XII−1)および後から溶出される化合物(XII−2)を得、それぞれを更に、分取薄層クロマトグラフィー[分取薄層プレート:Merck Kieselgel 60 F254 (1 mm thick);展開溶媒:n−ヘキサン:酢酸エチル:メタノール(3:6:0.5)]にて精製し,(2R)−2−[N−(カルボベンジルオキシ)アミノ]−3−[2−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸[化合物(XII−1)でR〜Rがベンジル、Arがフェニルである化合物]0.66g(収率 40%)および(2S)−2−[N−(カルボベンジルオキシ)アミノ]−3−[2−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸[化合物(XII−2)でR〜Rがベンジル、Arがフェニルである化合物]0.29g(収率 17%)を得た。
【0184】
(2R)−2−[N−(カルボベンジルオキシ)アミノ]−3−[2−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸[化合物(XII−1)でR〜Rがベンジル、Arがフェニルである化合物]
1H-NMR (270 MHz, CD3OD) δ (ppm) : 3.17 (1H, dd, J=15, 4.5 Hz), 3.26 (1H, dd, J=15, 6 Hz), 3.62〜3.76 (2H, m), 3.82〜3.89 (1H, m), 3.90〜4.22 (3H, m), 4.05 (1H, d, J=12 Hz), 4.22 (1H, d, J=12 Hz), 4.31 (1H, d, J=12 Hz), 4.39 (1H, d, J=12 Hz), 4.39 (2H, s), 4.41 (1H, d, J=12 Hz), 4.48〜4.59 (1H, m), 4.64 (1H, d, J=12 Hz), 4.75 (1H, d, J=12 Hz), 4.92 (1H, d, J=12 Hz), 5.17 (1H, d, J=10 Hz), 6.79〜6.88 (2H, m), 6.94〜7.37 (26H, m), 7.66 (1H, d, J=8 Hz), 10.38 (1H, br s).
FAB-MS: 861 [M+H]+.
IR (KBr) cm-1: 1730, 1718, 1524, 1518, 1508, 1497, 1454, 1439, 1365, 1340, 1334, 1308, 1273, 1246, 1209, 1151, 1113, 1103, 1090, 1068, 1026, 744, 698.
【0185】
(2S)−2−[N−(カルボベンジルオキシ)アミノ]−3−[2−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸[化合物(XII−2)でR〜Rがベンジル、Arがフェニルである化合物]
1H-NMR (270 MHz, CD3OD) δ (ppm) : 3.04 (1H, dd, J=14, 11 Hz), 3.23〜3.29 (1H, m), 3.40 (1H, dd, J=14, 4 Hz), 3.66 (1H, dd, J=10, 6 Hz), 3.83〜4.00 (3H, m), 4.04 (2H, s), 4.14〜4.25 (2H, m), 4.32 (1H, d, J=12 Hz), 4.34 (1H, d, J=12 Hz), 4.38 (1H, d, J=12 Hz), 4.45 (1H, d, J=12 Hz), 4.48 (1H, d, J=12 Hz), 4.48〜4.60 (1H, m), 4.60 (1H, d, J=12 Hz), 4.73 (1H, d, J=12 Hz), 4.89 (1H, d, J=12 Hz), 5.10 (1H, d, J=10 Hz), 6.57〜6.69 (2H, m), 6.87〜7.37 (26H, m), 7.66 (1H, d, J=8 Hz), 10.39 (1H, br s).
FAB-MS: 861 [M+H]+.
IR (KBr) cm-1: 1730, 1724, 1718, 1701, 1540, 1527, 1523, 1518, 1508, 1497, 1454, 1439, 1340, 1308, 1269, 1257, 1244, 1209, 1151, 1109, 1092, 1072, 1041, 1028, 743, 698.
【0186】
工程11(1): (2R)−2−アミノ−3−[2−(α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸[化合物(XIII−1)]の合成
(2R)−2−[N−(カルボベンジルオキシ)アミノ]−3−[2−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸[化合物(XII−1)でR〜Rがベンジル、Arがフェニルである化合物]181mg(0.210mmol)のエタノール(45ml)溶液に20%水酸化パラジウム−炭素(150mg)触媒を添加し、常圧水素雰囲気下、約60℃で約11時間攪拌した。反応液をセライトろ過し、ろ液を濃縮、得られた残渣を高速液体クロマトグラフィー[カラム: YMC-Pack ODS-AM SH-365-10AM, 500×30mm, S-10, 120Å; 温度:室温; 移動相:5%アセトニトリル−水; 流速:40ml/分; 検出:278nm(UV)] にて分離後、凍結乾燥し、(2R)−2−アミノ−3−[2−(α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸[化合物(XIII−1)]48mg(収率 62%)を得た。
【0187】
1H-NMR (500 MHz, D2O) δ (ppm) : 3.33 (1H, dd, J=15, 10 Hz), 3.58 (1H, dd, J=15, 5 Hz), 3.73 (1H, dd, J=13, 3 Hz), 3.91 (1H, ddd, J=9, 3, 3 Hz), 3.94 (1H, dd, J=5, 3 Hz), 4.06 (1H, dd, J=10, 5 Hz), 4.13 (1H, dd, J=5, 3 Hz), 4.32 (1H, dd, J=13, 9 Hz), 4.43 (1H, dd, J=8, 3 Hz), 5.19 (1H, d, J=8 Hz), 7.19〜7.24, 7.29〜7.34, 7.54 (1H, br d, J=8 Hz), 7.75 (1H, br d, J=8 Hz).
13C-NMR (125 MHz, D2O) δ (ppm) : 28.1, 57.6, 61.4, 68.3, 69.9, 71.3, 72.9, 81.3, 110.6, 114.3, 121.1, 122.2, 125.3, 129.6, 135.8, 138.4, 176.9.
FAB-MS: 367 [M+H]+.
IR (KBr) cm-1: 1624, 1506, 1462, 1406, 1348, 1069, 1013, 748.
[α]D 26+54.3°(c 0.164, H2O).
【0188】
工程11(2): (2S)−2−アミノ−3−[2−(α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸[化合物(XIII−2)]の合成
(2S)−2−[N−(カルボベンジルオキシ)アミノ]−3−[2−(2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸[化合物(XII−2)でR〜Rがベンジル、Arがフェニルである化合物]90.5mg(0.11mmol)のエタノール(25ml)溶液を20%水酸化パラジウム−炭素(75mg)触媒と共に、常圧水素雰囲気下、約60℃で約11時間攪拌した。反応液をセライトろ過し、ろ液を濃縮、得られた残渣を高速液体クロマトグラフィー[カラム: YMC-Pack ODS-AM SH-365-10AM, 500×30mm, S-10, 120Å; 温度:室温; 移動相:5%アセトニトリル−水; 流速:40ml/分; 検出:278nm(UV)] にて分離後、凍結乾燥し、(2S)−2−アミノ−3−[2−(α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸[化合物(XIII−2)]24mg(収率 62%)を得た。
【0189】
1H-NMR (500 MHz, D2O) δ (ppm) : 3.35 (1H, dd, J=15, 9 Hz), 3.55 (1H, dd, J=15, 5 Hz), 3.74 (1H, dd, J=12.5, 3 Hz), 3.90 (1H, ddd, J=9, 3, 3 Hz), 3.96 (1H, dd, J=5, 3 Hz), 4.01 (1H, dd, J=9, 5 Hz), 4.13 (1H, dd, J=5, 3 Hz), 4.25 (1H, dd, J=12.5, 9 Hz), 4.43 (1H, dd, J=8, 3 Hz), 5.18 (1H, d, J=8 Hz), 7.22 (1H, ddd, J=7, 7, 1 Hz), 7.32 (1H, ddd, J=7, 7, 1 Hz), 7.52〜7.56, 7.73〜7.77.
13C-NMR (125 MHz, D2O) δ (ppm) : 28.4, 57.7, 61.5, 68.6, 70.1, 71.3, 72.9, 81.4, 110.8, 114.3, 121.1, 122.2, 125.3, 129.5, 135.8, 138.4, 177.1.
FAB-MS: 367 [M+H]+.
IR (KBr) cm-1: 1626, 1404, 1350, 1245, 1064, 913, 748.
[α]D 26+39.5°(c 0.129, H2O).
【0190】
参考例1 (工程5)(1R)−1,5−アンヒドロ−1−C−[1−(フェニルスルホニル)インドール−2−イル]−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−マンニトール[化合物(VI)でR〜Rがベンジル、Rがフェニルスルホニルである化合物]の合成
1−C−[1−(フェニルスルホニル)インドール−2−イル]−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−マンノピラノース[化合物(IV)でR〜Rがベンジル、Rがフェニルスルホニルである化合物]131mg(0.165mmol)をジクロロメタン(8ml)に溶解し、−78℃に冷却する。そこへトリエチルシラン0.40ml(2.48mmol)および三弗化ホウ素エーテル錯塩0.20ml(1.63mmol)を加え、−78℃から室温までに約11時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出し、ジクロロメタン溶液を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[n−ヘキサン:酢酸エチル(3:1)]で分離後、得られた混合物120 mgを分取薄層クロマトグラフィー[分取薄層プレート:Merck Kieselgel 60 F254 (1 mm thick);展開溶媒:0.5%メタノール−ジクロロメタン]にて分離・精製し(1R)−1,5−アンヒドロ−1−C−[1−(フェニルスルホニル)インドール−2−イル]−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−マンニトール[化合物(VI)でR〜Rがベンジル、Rがフェニルスルホニルである化合物]21mg(収率 16%)を得た。
【0191】
参考例2 (工程6)(1R)−1,5−アンヒドロ−1−C−(2−インドリル)−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−マンニトール[化合物(VII)でR〜Rがベンジルである化合物]の合成
(1R)−1,5−アンヒドロ−1−C−[1−(フェニルスルホニル)インドール−2−イル]−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−マンニトール[化合物(VI)でR〜Rがベンジル、Rがフェニルスルホニルである化合物]49mg(0.063mmol)をメタノール(6ml)に溶解し、そこへ、マグネシウム99mg(4.07mmol)および塩化アンモニウム99mg(1.85mmol)を加え、室温にて約12時間攪拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出し、抽出液を水洗後、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を留去後、残渣を分取薄層クロマトグラフィー[分取薄層プレート:Merck Kieselgel 60 F254 (1 mm thick);展開溶媒:1%メタノール−ジクロロメタン]にて分離・精製し、(1R)−1,5−アンヒドロ−1−C−(2−インドリル)−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−マンニトール[化合物(VII)でR〜Rがベンジルである化合物]19mg(収率 46%)を得た。
【0192】
産業上の利用可能性
本発明により、新規生体内化合物を定量し、その定量値から腎臓機能、中枢神経機能、胎児の発育機能等の生体機能を検査する方法が提供される。また本発明により、該新規生体内化合物の免疫学的定量方法およびそれに用いる抗体が提供される。また、本発明により、該新規生体内化合物の免疫学的定量方法に用いる抗体の製造方法およびそれに用いる新規化合物が提供される。また、本発明により、該新規生体内化合物に対する抗体を生産するハイブリドーマが提供される。また、本発明により、該新規化合物の合成方法が提供される。また、本発明により該新規化合物を合成するための新規中間体が提供される。
【0193】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、健常者の血清中の2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸濃度を年齢別および性別に示した図である。
【図2】 図2は、健常者および腎臓疾患患者の血清中の2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸濃度を性別に示す図である。
【図3】 図3は、健常者、脊髄小脳変性患者および転移性脳腫瘍患者の髄液中の2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸濃度を示す図である。
【図4】 図4は、健常者および妊娠尿毒症患者の羊水中の2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸濃度を示す図である。
【図5】 図5は、本発明の化合物を本発明の抗体を用いて測定したときの検量線を示す図である。

Claims (12)

  1. 採取した生体試料中の2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸を定量し、その定量値から腎臓機能、中枢神経機能、胎児の発育機能及び腎糸球体濾過量からなる群より選ばれる生体機能を判定することを特徴とする生体機能の検査方法。
  2. 生体試料が尿、血清、髄液又は羊水である請求項1記載の検査方法。
  3. 2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸に反応する抗体を用いて、試料中の2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸を免疫学的に定量することを特徴とする2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸の免疫学的定量方法。
  4. 抗体が、モノクローナル抗体である請求項3記載の定量方法。
  5. モノクローナル抗体が、ハイブリドーマKTM−250(FERM BP−6432)により産生されるモノクローナル抗体KTM−250である請求項4記載の定量方法。
  6. 2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸に反応する抗体。
  7. 抗体が、モノクローナル抗体である請求項6記載の抗体。
  8. モノクローナル抗体が、ハイブリドーマKTM−250(FERM BP−6432)により産生されるモノクローナル抗体KTM−250である請求項7記載の抗体。
  9. 2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸に反応するモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマ。
  10. ハイブリドーマが、KTM−250(FERM BP−6432)である請求項9記載のハイブリドーマ。
  11. 一般式(XV)
    (式中、R1a〜R4aは、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基または置換もしくは非置換のアリール基を表わし、R5aは水素原子、置換もしくは非置換スルファモイル基、置換もしくは非置換のアリールスルホニル基、置換もしくは非置換のアルコキシルカボニル基または置換もしくは非置換のアルコキシメチル基を表わし、R6aは水素原子または置換もしくは非置換のアルキル基を表わし、R7aは水素原子または置換もしくは非置換のアラルキルオキシカルボニル基を表わす。)で表される2−アミノ−3−[2−(α−D−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸誘導体または一般式(XV’)
    (式中、R1a〜R4aは、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基または置換もしくは非置換のアリール基を表わし、R5aは水素原子、置換もしくは非置換スルファモイル基、置換もしくは非置換のアリールスルホニル基、置換もしくは非置換のアルコキシカルボニル基または置換もしくは非置換のアルコキシメチル基を表わし、R6aは水素原子または置換もしくは非置換のアルキル基を表わし、R7aは水素原子または置換もしくは非置換のアラルキルオキシカルボニル基を表わす。)で表わされる2−アミノ−3−[2−(α−L−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸誘導体を免疫抗原またはハプテンに用いることを特徴とする2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸に反応する抗体の製造方法。
  12. 免疫抗原またはハプテンが、2−アミノ−3−[2−(α−マンノピラノシル)インドール−3−イル]プロピオン酸である請求項11記載の抗体の製造方法。
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