JP4180413B2 - ポリアミド組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定のジカルボン酸単位とジアミン単位からなるポリアミドに特定の金属水酸化物を配合したポリアミド組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からナイロン6、ナイロン66などに代表される結晶性ポリアミドはその優れた特性と溶融成形の容易さから汎用のエンジニアリングプラスチックとして広く用いられているが、一方では耐熱性不足、吸水による寸法安定性の不良などの問題点も指摘されている。特に近年の表面実装技術(SMT)の発展に伴うリフローハンダ耐熱性を必要とする電気・電子分野、あるいは年々耐熱性への要求が高まる自動車のエンジンルーム部品などにおいては、従来のポリアミドでの使用が困難となってきており、より耐熱性、寸法安定性、機械特性、物理化学特性に優れたポリアミドへの要求が高まっている。
【0003】
このような世の中の要求に対し、テレフタル酸と1,6−ヘキサンジアミンを主成分とするPA6T系ポリアミド等の半芳香族ポリアミドなどが種々提案され、一部は実用化されている。また、耐熱性、低吸水性および耐クリープ性においてさらに優れた性能を有する、テレフタル酸と1,9−ノナンジアミンおよび/または2−メチル−1,8−オクタンジアミンをジアミン単位とするPA9T系ポリアミドも提案されている。
しかしながら、用途によっては射出成形のサイクル短縮、さらなる力学特性の向上、さらなる耐熱老化性の向上が要求される場合がある。
【0004】
PA9T系ポリアミドに関しては、特開平7−228768号公報(特許文献1)に、銅化合物、ハロゲン化アルカリ金属塩および有機系安定剤を配合してなる耐熱老化性ポリアミド組成物が、また、特開2000−198922号公報(特許文献2)に、銅化合物、ハロゲン化アルカリ金属塩および結晶核剤を配合してなる、耐熱性、溶融安定性などに優れたポリアミド組成物が記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−228768号公報
【特許文献2】
特開2000−198922号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかして本発明は、半芳香族ポリアミドに対する、射出成形のサイクル短縮、さらなる力学特性の向上、さらなる耐熱老化性の向上といった要求に応えることのできるポリアミド組成物を新たに提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究した結果、半芳香族ポリアミドに対して水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の水酸化物を特定量配合することにより、半芳香族ポリアミドが有する耐熱性、低吸水性、耐薬品性などを損なうことなく、結晶化速度、力学特性および熱安定性を向上させることができることを見出して本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、テレフタル酸単位を50〜100モル%含有するジカルボン酸単位と、炭素数6〜18の脂肪族アルキレンジアミン単位を50〜100モル%含有するジアミン単位とからなり、濃硫酸中30℃で測定した極限粘度[η]が0.4〜3.0dl/gであるポリアミド1kgに対し、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の水酸化物0.01〜0.2モルを配合してなるポリアミド組成物を提供する。
【0009】
なお、特開昭55−78053号公報には、水酸化バリウムなどの周期律表第IIA族金属の化合物を含有し、γ型結晶混在率が0.3〜0.7である、剛性が改良されたナイロン6が記載されている。しかし、同公報には、剛性以外の特性向上に関する記述はないし、ナイロン6以外の他種ポリアミドについては言及されていない。
また、特開2003−41117号公報には、PA9T系ポリアミドにアミド基1個当たりの炭素数が7〜12である脂肪族ポリアミドを配合してなる、低温での金型冷却が可能なポリアミド組成物が記載されており、さらに水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等の金属水酸化物を配合できることが記載されている。しかし、この金属水酸化物は、PA9T系ポリアミドと脂肪族ポリアミドとのアミド交換反応を促進する効果のある酸を捕捉することを目的としており、本発明とは全く異なる技術思想の下で使用されるものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるポリアミドを構成するジカルボン酸単位は、テレフタル酸単位を50〜100モル%含有していることが必要であり、60〜100モル%含有していることが好ましく、75〜100モル%含有していることがより好ましく、90〜100モル%含有していることがさらに好ましい。ジカルボン酸単位におけるテレフタル酸単位の含有量が50モル%未満の場合には、ポリアミド組成物から得られる成形品の耐熱性、力学特性が低下する。
【0011】
上記のジカルボン酸単位は、50モル%以下であれば、テレフタル酸単位以外の他のジカルボン酸単位を含有していてもよい。かかる他のジカルボン酸単位としては、例えば、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、2,2−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカン二酸等の脂肪族カルボン酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、4,4’−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸から誘導される単位を挙げることができ、これらのうちの1種または2種以上を使用することができる。ジカルボン酸単位におけるこれらの他のジカルボン酸単位の含有率は、40モル%以下であることが好ましく、25モル%以下であることがより好ましく、10モル%以下であることがさらに好ましい。また、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸から誘導される単位を、溶融成形が可能な範囲内で含有していてもよい。
【0012】
本発明に用いられるポリアミドを構成するジアミン単位は、炭素数6〜18の脂肪族アルキレンジアミン単位を50〜100モル%含有していることが必要であり、60〜100モル%含有していることが好ましく、75〜100モル%含有していることがより好ましく、90〜100モル%含有していることがさらに好ましい。炭素数6〜18の脂肪族アルキレンジアミン単位を上記の割合で含有するポリアミドを使用すると、耐熱性、低吸水性、耐薬品性に優れた成形品が得られる。
【0013】
炭素数6〜18の脂肪族アルキレンジアミン単位としては、例えば、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン等の直鎖状脂肪族アルキレンジアミン;1−ブチル−1,2−エタンジアミン、1,1−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1−エチル−1,4−ブタンジアミン、1,2−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,4−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、3,3−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4−ジエチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,3−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,4−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,5−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、3−メチル−1,8−オクタンジアミン、4−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,3−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、1,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、2,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、3,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、4,5−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、2,2−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、3,3−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、4,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の分岐鎖状脂肪族アルキレンジアミンなどから誘導される単位を挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を使用することができる。
【0014】
上記の脂肪族アルキレンジアミン単位の中でも、1,6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミンから誘導される単位が好ましく、1,9−ノナンジアミン単位および/または2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位がより好ましい。1,9−ノナンジアミン単位と2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を併用する場合には、1,9−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位のモル比は、99:1〜1:99であることが好ましく、95:5〜40:60であることがより好ましく、90:10〜60:40であることがさらに好ましい。
【0015】
上記のジアミン単位は、50モル%以下であれば、炭素数6〜18の脂肪族アルキレンジアミン単位以外の他のジアミン単位を含有していてもよい。該他のジアミン単位としては、例えば、エチレンジアミン、プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン等の脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジメチルアミン、トリシクロデカンジメチルアミン等の脂環式ジアミン;p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ジアミンなどから誘導される単位を挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を使用することができる。これらの他のジアミン単位の含有率は、40モル%以下であることが好ましく、25モル%以下であることがより好ましく、10モル%以下であることがさらに好ましい。
【0016】
また、本発明で使用するポリアミドにはアミノカルボン酸単位を含ませることもできる。該アミノカルボン酸単位としては、例えば、カプロラクタム、ラウリルラクタム等のラクタム;1−アミノラウリン酸、1−アミノドデシル酸等のアミノカルボン酸などから誘導される単位を挙げることができる。アミノカルボン酸単位の含有率は、ポリアミドの全ジカルボン酸単位に基づいて40モル%以下であることが好ましく、20モル%以下であることがより好ましい。
【0017】
本発明で使用するポリアミドは、その分子鎖の末端基の10%以上が末端封止剤により封止されていることが好ましい。分子鎖の末端基が末端封止剤により封止されている割合(末端封止率)は、40%以上であることがより好ましく、60%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることが特に好ましい。末端封止率が10%以上のポリアミドを使用すると、耐熱老化性などの物性がより優れたポリアミド組成物が得られる。
【0018】
ポリアミドの末端封止率は、ポリアミドに存在しているカルボキシル基末端、アミノ基末端および末端封止剤によって封止された末端基の数をそれぞれ測定し、下記の式(1)に従って求めることができる。各末端基の数は、1H−NMRにより、各末端基に対応する特性シグナルの積分値より求めるのが精度、簡便さの点で好ましい。
【0019】
末端封止率(%)=[(A−B)/A]×100 (1)
[式中、Aは分子鎖の末端基の総数(これは通常、ポリアミド分子の数の2倍に等しい)を表し、Bは封止されずに残ったカルボキシル基末端およびアミノ基末端の合計数を表す。]
【0020】
末端封止剤としては、ポリアミド末端のアミノ基またはカルボキシル基との反応性を有する単官能性の化合物であれば特に制限はないが、反応性および封止末端の安定性などの点から、モノカルボン酸またはモノアミンが好ましく、取扱いの容易さなどの点から、モノカルボン酸がより好ましい。その他、酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類などを末端封止剤として使用することもできる。
【0021】
末端封止剤として使用されるモノカルボン酸としては、アミノ基との反応性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソ酪酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸;これらの任意の混合物などを挙げることができる。これらの中でも、反応性、封止末端の安定性、価格などの点から、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、安息香酸が好ましい。
【0022】
末端封止剤として使用されるモノアミンとしては、カルボキシル基との反応性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族モノアミン;これらの任意の混合物などを挙げることができる。これらの中でも、反応性、沸点、封止末端の安定性、価格などの点から、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリンが好ましい。
【0023】
本発明で使用するポリアミドは、結晶性ポリアミドを製造する方法として知られている任意の方法を用いて製造することができる。例えば、酸クロライドとジアミンを原料とする界面重合法、ジカルボン酸とジアミンを原料とする溶融重合法、固相重合法、溶融押出重合法などの方法により製造することができる。
【0024】
ポリアミドを製造するに際して、前記の末端封止剤の他に、例えば触媒としてリン酸、亜リン酸、次亜リン酸またはその塩またはそのエステル、具体的にはカリウム、ナトリウム、マグネシウム、バナジウム、カルシウム、亜鉛、コバルト、マンガン、錫、タングステン、ゲルマニウム、チタン、アンチモンなどの金属塩やアンモニウム塩、エチルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、ヘキシルエステル、イソデシルエステル、オクタデシルエステル、デシルエステル、フェニルエステルなどを添加することができる。
【0025】
本発明で使用するポリアミドは、濃硫酸中30℃で測定した極限粘度[η]が、0.4〜3.0dl/gの範囲内であることが必要である。極限粘度が0.4dl/g未満のポリアミドを使用すると、得られるポリアミド組成物から得られる成形品の力学物性が低下し、3.0dl/gより大きいポリアミドを使用すると、ポリアミド組成物の成形性が低下する。本発明で使用するポリアミドは、濃硫酸中30℃で測定した極限粘度[η]が、1.0〜2.0dl/gの範囲内であることが好ましい。
【0026】
また、本発明のポリアミド組成物は、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の水酸化物を上記したポリアミド1kgに対して0.01〜0.2モルの割合で含有する。
上記した水酸化物の含有量が上記した範囲より少ないと、得られるポリアミド組成物は、結晶化速度、力学特性および耐熱老化性の向上効果に乏しい。また、水酸化物の含有量が上記した範囲を超えると、得られるポリアミド組成物は、滞留安定性、靭性が損なわれる。
水酸化物の含有量は上記したポリアミド1kgに対して0.02〜0.1モルの範囲内であることが好ましい。
【0027】
本発明のポリアミド組成物の製造方法は特に制限されず、ポリアミドならびに水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の水酸化物を均一に混合させ得る方法であればいずれでもよく、具体的にはポリアミド重合時の任意の段階で上記した水酸化物を添加する方法、または重合完了後のポリアミドに上記した水酸化物を添加する方法などが挙げられる。何れの場合も、上記した水酸化物を固体状で添加してもよいし、水溶液などの溶液として添加してもよい。
【0028】
本発明のポリアミド組成物には、必要に応じてガラス繊維、炭素繊維、ホウ素繊維、アラミド繊維、液晶ポリエステル繊維などの繊維状充填剤;チタン酸カリウムウィスカ、ゾノトライトウィスカ、ワラストナイトウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、酸化チタンウィスカ、炭化ケイ素ウィスカ、窒化ケイ素ウィスカなどの針状充填剤;ガラスフレーク、シリカ、シリカアルミナ、アルミナ、タルク、マイカ、カオリン、クレー、モンモリロナイト、グラファイト、炭酸カルシウム、二酸化チタン、二硫化モリブデン、ポリテトラフルオロエチレンなどの粉末状充填剤;各種潤滑油などの添加剤を配合してもよい。これらの充填剤や添加剤をポリアミド組成物に対して2〜200重量部の割合で配合すると、力学特性および成形性のバランスがより優れたポリアミド組成物が得られる。
【0029】
さらに、本発明のポリアミド組成物には、必要に応じて、さらに従来から公知の銅系安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオ系酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、結晶核剤あるいはPA612、PA12等の脂肪族ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、EPDM等のポリオレフィン、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PPE(ポリフェニレンエーテル)、LCP(液晶ポリマー)等の他種ポリマーなども含有させることができる。また、本発明のポリアミド組成物には、必要に応じて、従来から公知の難燃剤や難燃助剤を配合してもよい。
【0030】
本発明のポリアミド組成物を、目的とする成形品の種類、用途、形状などに応じて、射出成形、押出成形、プレス成形、ブロー成形、カレンダー成形、流延成形などの一般に熱可塑性樹脂組成物に用いられる成形方法によって成形することにより、成形品を製造することができる。また上記したものを組み合わせた成形方法を採用することもできる。さらに、本発明のポリアミド組成物と他のポリマーとを複合成形することもできる。
【0031】
本発明のポリアミド組成物はその優れた特性を活かして、コネクタ、スイッチ、リレー、プリント配線板等の電子部品;ランプリフレクタ等の反射鏡、ギヤおよびカム等のような摺動部品;エアインテークマニホールドなどの自動車部品;流し台などの水回り部品;種々の装飾部品;あるいは、フィルム、シート、繊維など種々の用途に用いることができる。
【0032】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
なお、以下の実施例および比較例においては、極限粘度、半結晶化時間(結晶化速度)、曲げ弾性率、耐衝撃強度、耐熱老化性および滞留安定性は以下の方法により測定した。
【0033】
極限粘度[η]:
濃硫酸中、30℃にて、0.05、0.1、0.2、0.4g/dlの各濃度の試料溶液のインヘレント粘度(ηinh)を以下のようにして測定し、これを濃度0に外挿した値を極限粘度[η]とした。
ηinh=[ln(t1/t0)]/c
〔式中、t0は溶媒の流下時間(秒)を表し、t1は試料溶液の流下時間(秒)を表し、cは試料溶液の濃度(g/dl)を表す。〕
【0034】
半結晶化時間:
示差走査型熱量計〔メトラー社製、「DSC30」〕を使用し、330℃で2分間保持した後、80℃/分の速度で280℃まで降温し、次いで280℃で保持したときの半結晶化時間を測定した。なお、測定は、窒素流通下(速度:100cc/分)で行った。
【0035】
曲げ弾性率:
縦127mm×横14mm×厚さ3mmの試験片を射出成形にて作製し、ASTM D790に従って、曲げ弾性率を測定した。
【0036】
耐衝撃強度:
縦64mm×横12.7mm×厚さ3.2mmの試験片を射出成形にて作製し、JIS K7110に準じて、アイゾット衝撃試験機(株式会社東洋精機製作所製)を使用して、ノッチ付きアイゾット衝撃値を測定した。
【0037】
耐熱老化性:
JIS1号ダンベル型試験片を射出成形にて作製し、150℃の熱風乾燥機中に1週間放置(熱処理)した。オートグラフ(株式会社島津製作所製)を使用して引張降伏強さを測定し、熱処理前の試験片の引張降伏強さに対する保持率を求めた。
【0038】
滞留安定性:
キャピラリーレオメーター(株式会社安田精機製作所製、「MODEL8052」)を使用し、シリンダー温度350℃、キャピラリーダイの直径1mm、キャピラリーダイの長さ10mm、剪断速度608s-1の条件で溶融粘度を測定した。350℃で30分間滞留させたときの溶融粘度(MV30)の、350℃で5分滞留させたときの溶融粘度(MV5)に対する比を測定した。
【0039】
また、以下の実施例および比較例で使用したポリアミドは、以下のものである。
〔ポリアミドA〕
特許第3242781号公報の実施例2に記載された方法に準じて調製した、テレフタル酸単位と、1,9−ノナンジアミン単位および2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位〔1,9−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位=80:20(モル比)〕とからなり、融点が301℃、極限粘度[η]が1.21dl/g、末端封止率が80%(末端封止剤:安息香酸)であるポリアミド。
【0040】
〔ポリアミドB〕
特許第3242781号公報の比較例3に記載された方法に準じて調製した、テレフタル酸単位およびイソフタル酸単位〔テレフタル酸単位:イソフタル酸単位=70:30(モル比)〕とヘキサメチレンジアミン単位とからなり、融点が311℃、極限粘度[η]が1.02dl/gであるポリアミド。末端封止率が45%(末端封止剤:安息香酸)であるポリアミド。
【0041】
実施例1および2、比較例1〜3、参考例1〜3
ポリアミドAまたはポリアミドBに下記の表1に示す化合物を下記の表1に示す割合で添加し、120℃で一晩真空乾燥した後、ベント付二軸押出機(スクリュー径:30mm、L/D=28)に供給してシリンダー温度330℃、ベントの減圧度8KPa(60torr)の条件下に溶融混練して押出し、冷却、切断してポリアミド組成物のペレットを製造した。得られたポリアミド組成物を用いて半結晶化時間、曲げ弾性率、耐衝撃強度、耐熱老化性、滞留安定性を測定した。結果を下記の表1に示す。
なお、水酸化バリウムは固体状のもの(キシダ化学株式会社製、特級試薬)を、水酸化ナトリウムは0.5規定の水溶液(キシダ化学株式会社製)を、水酸化カリウムは0.5規定の水溶液(キシダ化学株式会社製)を、水酸化マグネシウムは固体状のもの(キシダ化学株式会社製)を、それぞれ使用し、配合した。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、射出成形のサイクル短縮、力学特性の向上、耐熱老化性の向上といった要求に応えることのできるポリアミド組成物が新たに提供される。
Claims (3)
- テレフタル酸単位を50〜100モル%含有するジカルボン酸単位と、炭素数6〜18の脂肪族アルキレンジアミン単位を50〜100モル%含有するジアミン単位とからなり、濃硫酸中30℃で測定した極限粘度[η]が0.4〜3.0dl/gであるポリアミド1kgに対し、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の水酸化物0.01〜0.2モルを配合してなるポリアミド組成物。
- 脂肪族アルキレンジアミン単位が1,9−ノナンジアミン単位および/または2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位である請求項1に記載のポリアミド組成物。
- 請求項1または2に記載のポリアミド組成物からなる成形品。
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