JP4179410B2 - ズームレンズ鏡胴 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、銀塩フイルムカメラ、電子カメラ、ビデオカメラなどの撮影装置に備えるズ−ムレンズ鏡胴に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から広く知られている撮影装置のズ−ムレンズ鏡胴としては、螺旋状に形成した複数のカム溝を有するカム枠と、変倍用のレンズを支持させた複数の移動枠とを備えると共に、移動枠に設けたカムピンをカム枠のカム溝に突入させた構成となっている。
【0003】
このようなズ−ムレンズ鏡胴は、カム枠を定位置で回転駆動させることにより、カム溝とカムピンによって連動される移動枠が非回動で光軸方向に進退動し、これより、各レンズが変位してズ−ミングが行なわれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記したようなカム枠を備えるズ−ムレンズ鏡胴は、カム溝とカムピンとの接触程度の調整が難しく、その調整に多くの時間と費用を費やしている。
【0005】
カムピンとカム溝の溝面との間の機械的ガタが少なすぎると、カムピンの連動負荷が大きくなるために、カム枠によるスム−スな連動が困難となる他、カム枠をモ−タ駆動するものでは電力消費が増大すると言う問題が生ずる。
【0006】
また、カムピンとカム溝の溝面との間の機械的ガタを大きくした場合には、移動枠がカムピンを支点として傾くためにレンズの位置精度を満たすことができずに解像度が低下すると言う問題が生じる。
このようなことから、カム溝とカムピンとの調整作業には時間がかかることになる。
【0007】
一方、カムピンとカム溝の溝面とを適度に接触する手段として、カムピンを板ばねなどの弾性体を用いてカム溝に押し当てる構成のものがある。
【0008】
しかし、このような構成手段では、機械的なガタは吸収することはできるが、レンズ鏡胴に衝撃などの外力がかかった場合にカムピンがカム溝から脱係すると言う問題があった。
【0009】
なお、脱係を防ぐために弾性体であるカムピンの変形を抑制した場合は、カム溝やカムピンに損傷を与えることになり、レンズ鏡胴の精度に影響を与えることになる。
【0010】
本発明は上記した実情にかんがみ、カムピンとカム溝との調整を容易化すると共に、カム枠とカムピンとの連動機構の機械的強度を高めるズ−ムレンズ鏡胴を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するため、本発明では、回動駆動するカム枠と、当該カム枠のカム溝に突入させたカムピンを設けた移動枠とを備え、当該移動枠を上記カム枠の回転に連動させて光軸方向に移動させるズームレンズ鏡胴において、上記カム枠には、幅広のカム溝を螺旋状に形成する他、上記移動枠をカバーするようにして鏡胴前端から突出させ、かつ、当該移動枠に対し光軸方向に移動自在に設けた保護枠と、上記移動枠のカムピンと共に、上記カム枠の幅広のカム溝に突入させるようにして上記保護枠に設けたカムピンと、上記移動枠の先端側には段形部を形成し、上記保護枠の前端にはフランジ部を形成して、該段形部と該フランジ部との間に設けた弾性材とを備え、上記弾性材によって、上記移動枠に後退勢力を与えて上記カムピンを幅広形成した上記カム溝の溝後面に、上記保護枠に進出勢力を与えて上記カムピンを幅広形成した上記カム溝の溝前面に各々圧接させるようにし、ズームレンズ鏡筒に衝撃などの外力が加わった場合、上記保護枠のカムピンが上記の弾性材の勢力に抗して上記カム溝の溝前面から離れて溝内を移動することに伴い当該保護枠が後退して上記した外力を吸収する構成としたことを特徴とするズームレンズ鏡胴を提案する。
【0012】
この発明のズームレンズ鏡胴は、移動枠のカムピンがカム溝の溝後面に、保護枠のカムピンがカム溝の溝前面に各々勢力部材の付勢力によって圧接しているので、移動枠のカムピンが摺動するカム溝の溝後面のめの精度を確保すればよく、また、そのカムピンは付勢力によってカム溝の後面に圧接するので、その機械的ガタが吸収される。
【0013】
さらに、レンズ鏡胴に衝撃などの外力が加わった場合、保護枠が後退してその外力を吸収する。
すなわち、保護枠のカムピンが付勢力によってカム溝の溝前面に圧接しているので、このカムピンがその溝前面から離れ、カム溝内で後退動することから、保護枠が外力に応じて後退し、その外力を吸収する。
【0014】
この結果、移動枠のカムピンとこのカムピンが摺動するカム溝の溝後面には影響を与えないことから、外力によってカムピンが脱係したり、カムピンやカム溝が損傷したりすることがない。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の一実施形態について図面に沿って説明する。
図1は、本発明のズ−ムレンズ鏡胴を装備したカメラの斜視図である。
【0019】
このカメラ10のズ−ムレンズ鏡胴11は、カム枠12を回転操作することにより、このカム枠12が定位置で回転し、移動枠13やその他の移動枠をカム連動して進退させる構成となっている。
なお、移動枠13には対物レンズ14(前群レンズ)が支持させてある。
【0020】
図2は上記したカム枠12と移動枠13とのカム連動機構を示した簡略的な断面図である。
図示するようにカム枠12は円筒状の枠体で、その内周面には、幅広のカム溝12aを螺旋状に形成し、このカム溝12aに移動枠13のカムピン13aと保護枠15のカムピン15aとを突入させてある。
【0021】
カム枠12のカム溝12aは、カムピン13a又はカムピン15aのピン径に比べて充分に広い溝幅に形成し、特に、カムピン15aについては、そのカム溝12a内の溝幅方向の少ない距離で後退動できるようになっている。
【0022】
移動枠13は、保護枠15を介在させてカム枠12内に設けた円筒状の枠体で、その後端外周部に上記したカムピン13aを固着し、その前端側に対物レンズ14が支持させてある。
【0023】
保護枠15は、移動枠13のほぼ全体をカバ−するようにした円筒状の枠体で、カム枠12と移動枠13の間に配設してあり、その後端外周部には上記したカムピン15aが固着してある。
なお、この保護枠15は光軸方向(図1において左右方向)に移動自在となっている。
【0024】
なお、上記したカムピン13aは移動枠13の後端外周部の三等分位置各々の位置に、同様にカムピン15aが保護枠15の後端外周部の三等分位置各々の位置に配設することが好ましい。
【0025】
一方、移動枠13の先端側には段形部13bを形成し、この段形部13bの外側に拡圧勢力作用のコイルばね16が設けてある。
このコイルばね16は、一端側を移動枠13の一部13cに、他端側を保護枠15の前端フランジ15bに係架させてあり、このコイルばね16により、移動枠13に後退勢力を、保護枠15に進出勢力を各々与えている。
【0026】
したがって、カムピン13aと15aがこのコイルばね16のばね勢力によって離れる方向の移動勢力を受けるため、カムピン13aがカム溝12aの一側溝面(溝後面)に圧接し、カムピン15aがカム溝12aの他側溝面(溝前面)に圧接する。
【0027】
上記のように構成したズ−ムレンズ鏡胴は、カム枠12の回転によりカムピン13a、15aが一つのカム溝12aによって駆動されるため、移動枠13と保護枠15が一体的に進退し、これより、対物レンズ14が変位してズ−ミングが行なわれる。
【0028】
なお、移動枠13と保護枠15は非回動で移動する構成となっている。
例えば、カムピン13a、15aを固定枠の直進孔を通してカム溝12aに突入させ、或いは、移動枠13と保護枠15に設けた固定枠のキ−溝を摺動させるようにして移動枠13と保護枠15とを非回動に保持する。
【0029】
また、本実施形態では、対物レンズ14の移動枠13について示しているが、後群レンズや補正レンズについても備える。
そして、後群レンズについてはその支持移動枠をカム枠12の回転に連動して進退させるように構成する。
【0030】
以上より分かるように、移動枠13のカムピン13aはカム溝12aの一側溝面によって連動駆動するので、その一側溝面のカム精度を高くすればよく、また、カムピン13aはばね勢力で一側溝面に圧接しているので、機械的ガタについて吸収することができる。
【0031】
他方、保護枠15のカムピン15aが圧接するカム溝12aの他側溝面は、特に高い精度のカム面とする必要がなく、また、一側溝面に対して必ずしも平行させて形成する必要がない。
【0032】
図3はズ−ムレンズ鏡胴が衝撃などの外力17を受けたときの動作状態を示す図2同様の断面図である。
図示するように、鏡胴前方から外力17が加わると、この外力17が保護枠15によって受けられるため、保護枠15のみがコイルばね16のばね勢力に抗して後退するようになる。
【0033】
すなわち、カムピン15aがカム溝12aの他側溝面に圧接しているため、外力によってその溝面から離れるようになり、カム溝12a内の少ない距離で後退動し、保護枠15の後退を許容する。
【0034】
この結果、保護枠15の後退によって外力17を吸収することができ、移動枠13には影響しない。
特に、移動枠13のカムピン13aとカム枠12のカム溝12aには外力17の影響がないので、カメラを落下させてしまったような場合でも、カムピン13a、15aの脱係を防ぐことができる。
【0035】
また、カム溝12aには2つのカムピン13a、15aが突入しているので、鏡胴の上下、左右から衝撃力を受けても、カムピン13aとカム溝12aの連動には影響しない機械的の強固なズ−ムレンズ鏡胴となる。
【0036】
図4は応用例を示す図2同様の断面図である。
この応用例のズームレンズ鏡胴は、カム枠21に移動枠13のカムピン13aを突入させるカム溝21aと、保護枠15のカムピン15aを突入させるカム溝21bとを形成した点に特徴があり、その他は図2に示すズームレンズ鏡胴と同じ構成となっている。
なお、図2に示す部材については同符号を付してその説明を省略する。
【0037】
応用例では、カム枠21に2条のカム溝21a、21bを螺旋状に設けてあるが、このうちカム溝21aは従来から公知の溝幅のものであり、また、カム溝21bはカム溝21aに比べて幅広の溝幅、例えば、ピン径の2倍程度の溝幅のものとなっている。
【0038】
そして、この応用例では、鏡胴長を増大させないようにするため、カム溝21aを前側に、カム溝21bを後側に位置するように形成した関係で、移動枠13のカムピン13aについては保護枠15に形成した逃孔15cを通してカム溝21aに突入させる構成としてある。
【0039】
このように構成したズ−ムレンズ鏡胴は、カムピン13aとカムピン15aとが近づく方向にばね勢力を受けるため、カムピン13aがカム溝21aの一側溝面(この場合、溝後面)に圧接し、保護枠15のカムピン15aがカム溝21bの他側溝面に圧接する。
【0040】
したがって、移動枠13のカムピン13aとカム溝21aとの機械的ガタが吸収される他、ズ−ムレンズ鏡胴に加わる外力17に対しては、図5に示したようにカムピン15aがカム溝21b内に後退して吸収する。
この結果、図2に示すズ−ムレンズ鏡胴と同様の効果を得ることができる。
【0041】
図6は図4に示すズ−ムレンズ鏡胴の改良例を示す図2同様の断面図である。
ここに改良例として示したズ−ムレンズ鏡胴は、保護枠15の後端にリング枠22を取付け、このリング枠22と移動枠13とに引張り作用のコイルばね23を係架し、このコイルばね23によって、移動枠13には後退勢力、保護枠15には進出勢力を与える構成としてある。
【0042】
なお、その他は図4に示すズ−ムレンズ鏡胴と同様の構成となっており、図7は外力を受けた場合の動作状態を示している。
【0043】
以上、本発明の実施形態および応用例について説明したが、勢力部材として設けたコイルばね16については、ゴム、発泡材などの弾性材によって構成することができる。
【0044】
また、本発明はレンズを支持させる移動枠にかぎらずシャッタやモ−タを支持する移動枠などについても同様に実施することができ、さらに、カム枠をモ−タ駆動によって回転させるズ−ムレンズ鏡胴についても同様に実施することができる。
【0045】
【発明の効果】
上記した通り、本発明によれば、移動枠のカムピンが勢力部材の付勢力によってカム溝の溝後面に圧接するので、カムピンとカム溝との機械的ガタの調整が極めて容易となる。
【0046】
また、カム枠のカム溝には移動枠のカムピンと保護枠のカムピンとを突入させてあるので、カムピンとカム溝の連動機構の機械的な強度が高く、鏡胴に衝撃的な外力が加わった場合にもカムピンの脱係及びカムピン、カム溝の損傷がほとんど生じない。
【0047】
そして、特に、鏡胴前方より加わる外力については保護枠のみが後退してその外力を吸収することから、移動枠のカムピンとカム溝との連動機構がその外力の影響をほとんど受けないので、耐久性に優れたズ−ムレンズ鏡胴となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のズームレンズ鏡胴を備えたカメラの斜視図である。
【図2】 本発明の一実施形態を示すズームレンズ鏡胴の簡略的な断面図である。
【図3】 図2に示したズームレンズ鏡胴に外力が加わった場合の動作を示す図2同様の断面図である。
【図4】 応用例を示す図2同様の断面図である。
【図5】 図4に示すズームレンズ鏡胴に外力が加わった場合の動作を示す図4同様の断面図である。
【図6】 図4に示すズームレンズ鏡胴の改良例を示す図4同様の断面図である。
【図7】 図6に示すズームレンズ鏡胴に外力が加わった場合の動作を示す図6同様の断面図である。

Claims (1)

  1. 回動駆動するカム枠と、当該カム枠のカム溝に突入させたカムピンを設けた移動枠とを備え、当該移動枠を上記カム枠の回転に連動させて光軸方向に移動させるズームレンズ鏡胴において、
    上記カム枠には、幅広のカム溝を螺旋状に形成する他、
    上記移動枠をカバーするようにして鏡胴前端から突出させ、かつ、当該移動枠に対し光軸方向に移動自在に設けた保護枠と、
    上記移動枠のカムピンと共に、上記カム枠の幅広のカム溝に突入させるようにして上記保護枠に設けたカムピンと、
    上記移動枠の先端側には段形部を形成し、上記保護枠の前端にはフランジ部を形成して、該段形部と該フランジ部との間に設けた弾性材とを備え、
    上記弾性材によって、上記移動枠に後退勢力を与えて上記カムピンを幅広形成した上記カム溝の溝後面に、上記保護枠に進出勢力を与えて上記カムピンを幅広形成した上記カム溝の溝前面に各々圧接させるようにし、
    ズームレンズ鏡筒に衝撃などの外力が加わった場合、上記保護枠のカムピンが上記の弾性材の勢力に抗して上記カム溝の溝前面から離れて溝内を移動することに伴い当該保護枠が後退して上記した外力を吸収する構成としたことを特徴とするズームレンズ鏡胴。
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