JP4179006B2 - 負荷電制御剤およびこれを用いた静電荷像現像用トナー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真、静電記録または静電印刷などで静電潜像を現像するための静電荷像現像用トナーおよびこれに用いられる負荷電制御剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
静電潜像の現像剤としては、湿式トナーの他、乾式トナーが広く用いられている。乾式トナーを用いて静電潜像を現像する場合、トナー粒子は、現像される静電潜像の極性に応じて、正または負の電荷を有している必要がある。そのため、トナー粒子の帯電性を制御するために各種の荷電制御剤が検討されている。
例えば特許文献1にはフェノール型化合物が開示され、例えば特許文献2および3などには含クロムアゾ染料からなる負荷電制御剤が開示されている。
【0003】
また、その他には、カリックスアレーンと呼ばれる、複数のフェノール単位がメチレン鎖で結合された形態の環状オリゴマーを含有する負荷電制御剤について報告されている(例えば、特許文献4および5参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開昭63−266462号公報
【特許文献2】
特公昭41−20153号公報
【特許文献3】
特公昭43−27596号公報
【特許文献4】
特許第2568475号公報
【特許文献5】
特許第3211504号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示されたフェノール型化合物は、ある程度の負帯電性を付与可能であるものの十分なレベルではなかった。また、特許文献2及び特許文献3などに開示された含クロムアゾ染料は黒色であり、カラートナーではトナーの色相に悪影響を及ぼし、さらにはクロムを含むことにより環境に悪影響を与えるものであった。
一方、特許文献4や5に開示されたカリックスアレーンは、金属を含まず、無色または淡色であるという長所を有するが、帯電性や帯電立ち上がり性については未だ検討の余地を残していた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記事情に鑑み、鋭意検討した結果、カリックスアレーンのうち、特にOH基のパラ位にカルボン酸エステル基を有するものを含有する負荷電制御剤が、十分な帯電性を付与でき、帯電立ち上がり性が良好で、結着樹脂との相溶性、分散性も優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の負荷電制御剤は、下記一般式(1)で示される化合物を含有することを特徴とする。
【化2】
(式(1)中R1は、水素、ハロゲン、アルキル基、−COCpH2p+1(ただし、p=1〜20の整数)、アラルキル基、置換または非置換フェニル基、置換または非置換アミノ基、ニトロ基、アリサイクリック基、−SO3H、−Si(CH3)3、アルコキシル基、カルボキシル基、スルホアミド基、シアノ基、アシル基からなる群より選ばれるいずれかを示す。R2は、炭素数4〜8のアルキル基、置換または非置換フェニル基、置換または非置換アラルキル基からなる群より選ばれるいずれかの基である。R3およびR4は、それぞれ、水素、炭素数1〜12のアルキル基、置換または非置換フェニル基、窒素または酸素原子を含む複素環基からなる群より選ばれるいずれかを示す。R5〜R8は、それぞれ、水素、ハロゲン、アルキル基、アラルキル基、置換または非置換アミノ基からなる群より選ばれるいずれかを示す。また、m+nは4〜8の整数であり、mは1以上の整数のいずれかで、nは0以上の整数のいずれかである。)
本発明の静電荷像現像用トナーは、結着樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部配合されていることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の負荷電制御剤は、下記一般式(1)で示される化合物を含有するものである。
【化3】
【0008】
一般式(1)中R1は、水素、ハロゲン、アルキル基、−COCpH2p+1(ただし、p=1〜20の整数)、アラルキル基、置換または非置換フェニル基、置換または非置換アミノ基、ニトロ基、アリサイクリック基、−SO3H、−Si(CH3)3、アルコキシル基、アリール基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホアミド基、カルボモイル基、シアノ基、アシル基からなる群より選ばれるいずれかである。
【0009】
ここでアルキル基としては、枝分かれしていてもしていなくてもよく、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基など炭素数1〜12のものを好ましく例示できる。アラルキル基としては、ベンジル基、クミル基などが挙げられる。
置換フェニル基としては、フェニル基の水素の1つ以上が、炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン、カルボキシル基、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン化メチル基、トリメチルシリル基、炭素数1〜8のアミド基、炭素数1〜12のアシル基、炭素数1〜12のスルホニル基、炭素数1〜12のエーテル基などで置換されたものが挙げられる。
置換アミノ基の置換基としては枝分かれを有していてもよく、好ましい置換基としては炭素数1〜12のアルキル基が挙げられる。
アリサイクリック基としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基などが挙げられる。アルコキシル基としては炭素数1〜12のものを挙げられる。
アシル基としては、炭素数1〜12のものが挙げられる。
【0010】
R2は、カルボキシル基とエステルを形成しうるヒドロキシル基含有化合物からヒドロキシル基を除いた基であって、このようなものであれば特に制限はないが、例えば、炭素数1〜18のアルキル基、置換または非置換フェニル基、アラルキル基のいずれかであることが好ましい。
ここでアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基が挙げられ、枝分かれしていても、していなくてもよい。
置換または非置換フェニル基の具体例としては、R1として例示したものが挙げられる。
アラルキル基としては、ベンジル基、クミル基が挙げられる。
【0011】
R3およびR4は、それぞれ、水素、炭素数1〜12のアルキル基、置換または非置換フェニル基、窒素または酸素原子を含む複素環基からなる群より選ばれるいずれかを示す。
アルキル基、置換フェニル基としては、R1で例示したものを同様に例示できる。窒素または酸素原子を含む複素環基としては、例えばフリル基、ピリジル基などが挙げられる。
【0012】
R5〜R8は、それぞれ、水素、ハロゲン、アルキル基、アラルキル基、置換または非置換アミノ基からなる群より選ばれるいずれかを示し、アルキル基、アラルキル基、置換または非置換アミノ基としては、それぞれR1で例示したものを同様に例示できる。
【0013】
また、一般式(1)中、m+nは4〜8の整数であり、mは1以上の整数のいずれかで、nは0以上の整数のいずれかである。
【0014】
本発明の負荷電制御剤は、一般式(1)で示される化合物の少なくとも1種を含んでいればよく、2種以上を含んでいてもよい。また、式(1)で示される化合物を1種以上含んでいる限りは、m=0の化合物を含んでいてもよい。
さらに、一般式(1)で示される化合物を2種以上含む場合、2種以上の混合物全体として、m/(m+n)×100が12.5以上となる。この混合物を含む負荷電制御剤は、特に十分な帯電性を付与でき、帯電立ち上がり性が良好となる。
【0015】
また、一般式(1)で示される化合物1分子中、R1は1種類でもよいし、2種〜n種の異なるものを有していてもよい。R3、R5、R6についても同様である。
さらに、一般式(1)で示される化合物1分子中、R2は1種類でもよいし、2種〜m種の異なるものを有していてもよい。R4、R7、R8についても、同様である。
【0016】
一般式(1)で示される化合物は、例えばJ.Am.Chem.Soc.,103,p.3782〜3792(1981)、C.D.Gutsche(Accounts of Chemical Research),16,p.161〜170(1983)などの文献に記載された方法で容易に合成することができる。
例えばキシレンなどの有機溶媒中にフェノール類とアルデヒド類とを添加し、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物などの強塩基の存在下において、80℃〜溶媒の沸点、好ましくは100℃〜溶媒の沸点までの温度で水を留去しながら3〜20時間還流反応させ、その後、アルコールなどの貧溶媒を用いて再結晶する方法や、有機溶媒を減圧乾燥した後、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコールで洗浄する方法が挙げられる。強塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化ルビジウム、水酸化カリウムなどが好ましく使用できる。ここで使用する有機溶媒の質量と、フェノール類およびアルデヒド類の質量との比には特に制限はないが、好ましくは有機溶媒を、フェノール類およびアルデヒド類の合計量の0.5〜100倍の範囲で使用し、さらに好ましくは1〜10倍の範囲で使用する。
また、ここで使用するフェノール類と強塩基のモル比は特に制限はないが、フェノール類:強塩基=1:10〜0.00001、好ましくは1:0.01〜0.001の範囲である。
【0017】
こうして合成を行った後、得られた生成物を乾燥し、そのまま混合物として、あるいは、分取クロマトグラフィーにより一般式(1)で示される化合物を分取して、これを負電荷制御剤として使用することができる。
また、乾燥して得られたこの負荷電制御剤は、淡白色あるいは淡黄色であって、カラートナーに使用する場合であっても、その色相に影響を与えない。また、後述するようにして結着樹脂に配合した際の相溶性、分散性も良好である。
【0018】
得られた負荷電制御剤を、結着樹脂100質量部に対して好ましくは0.1〜10質量部使用し、後述するような方法で粒径5〜15μmの粒子とすることによって、帯電性、帯電立ち上がり性に優れたトナーを得ることができる。ここで、負荷電制御剤の配合量が0.1質量部未満では、トナーの帯電性、帯電立ち上がり性が不十分となる場合があり、一方、10質量部を超えると、トナーの定着特性が低下する場合がある。
【0019】
トナーに使用される結着樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレンおよびその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレンアクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロインデン樹脂、石油系樹脂などが挙げられる。
【0020】
また、架橋された樹脂を使用することもでき、架橋剤として、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどの芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートなどの二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフイド、ジビニルスルホンなどのジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物、など、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物を単独で、もしくは混合物として使用してもよい。
【0021】
また、トナーが加圧定着方式で使用されるものである場合には、結着樹脂としてポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチレン、ポリウレタンエラストマー、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、線状飽和ポリエステル、パラフィンなどの樹脂を使用することが好ましい。
【0022】
トナーには、必要に応じて適宜着色剤が含まれる。着色剤としては、特に制限はなく、カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン染料、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6G、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリールメタン系染料、モノアゾ系、ジスアゾ系染顔料などの公知のものを単独で、あるいは混合して使用できる。
【0023】
また、トナーには、必要に応じて添加剤が含まれていてもよく、例えば、ステアリン酸亜鉛などの滑剤、酸化セリウム、炭化ケイ素などの研磨剤、酸化アルミニウムなどの流動性付与剤、ケーキング防止剤、カーボンブラック、酸化スズなどの導電性付与剤などが挙げられる。さらに、ポリビニリデンフルオライド微粉末などのフッ素含有重合体微粉末を、流動性、研磨性、帯電安定性などの点から使用してもよい。また、熱ロール定着時の離型性を良くするために、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、サゾールワックス、パラフインワックス等のワックス状物質を0.5〜5質量%程度トナーに加えてもよい。
【0024】
さらに、トナーには必要に応じて適宜磁性材料が添加され、磁性トナーとされてもよい。磁性材料としては、マグネタイト、γ一酸化鉄、フェライト、鉄過剰型フェライト等の酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルなどの金属、あるいはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、べリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムなどの金属との合金および混合物などが挙げられる。
【0025】
トナーの製造方法としては、特に制限はなく、負荷電制御剤、結着樹脂、着色剤、必要に応じて添加される各種添加剤などを、ボールミルなどの混合器で充分混合した後、熱ロールニーダー、エクストルーダーなどの熱混練機を用いて良く混練し、冷却固化後、機械的な粉砕、分級によって、トナーを得る方法;結着樹脂溶液中に、負荷電制御剤、着色剤、必要に応じて添加される各種添加剤などを分散した後、噴霧乾燥することによりトナーを得る方法;結着樹脂と着色剤とを含む粒子を製造し、その粒子表面に負荷電制御剤を固着させる方法;コア材またはシェル材の少なくとも一方に所定の材料を含有させてマイクロトナーとする方法;結着樹脂を構成する単量体に、負荷電制御剤、着色剤、必要に応じて添加される各種添加剤を混合して乳化懸濁液とした後に重合させてトナーを得る重合法などが挙げられる。
【0026】
このようにして製造されたトナーは、そのままで、電子写真、静電記録または静電印刷などにおいて静電潜像を現像するために使用できるが、キャリアと混合して使用してもよい。キャリアとしては公知のものが使用可能であり、鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉などの磁性を有する粉体、ガラスビーズなどの他、これらの表面を樹脂などで処理したものが挙げられる。キャリア表面を被覆する樹脂としては、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、シリコーン樹脂、フツ素含有樹脂、ポリアミド樹脂、アイオノマー樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂などを、単独または混合して使用できる。
【0027】
以上説明したようにこのような負荷電制御剤は、一般式(1)で示される化合物を少なくとも1種含有するので、帯電立ち上がり性が良好で、十分な帯電性を付与でき、かつ、結着樹脂との相溶性が良く、結着樹脂との分散性も良好である。さらに、このような負荷電制御剤は、淡白色あるいは淡黄色であるので、カラートナーに用いてもトナーの色相に影響を及ぼすことがない。また、上記化合物には、クロムなどの元素が含まれていないので、環境面からも優れている。
【0028】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明する。
なお、実施例中、「部」は「質量部」を示す。
[実施例1]
p−t−ブチルフェノール0.4095molと、4−ヒドロキシ安息香酸n−ブチルエステル0.0405molと、パラホルムアルデヒド0.6molと、5N水酸化カリウム水溶液3gとを用いて、300mlのキシレン中で水を留去しながら還流反応を8時間行った。反応溶液を、メタノールを用いて再結晶を行い、ろ過し、得られた固体を乾燥して生成物を得た。
得られた生成物は、下記式(2)で示されるm+n=8の化合物の混合物であって、混合物全体としては、m/(m+n)×100=9であった。
ついで、得られた生成物を用いて、下記(a)のトナー製造法およびブローオフ帯電性能評価法に沿って黒色トナーを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0029】
【化4】
【0030】
(a)トナー製造法およびブローオフ帯電性能評価法
実施例で得られた生成物(または化合物)を負荷電制御剤として1部、結着樹脂であるスチレンアクリル共重合体100部、着色剤であるカーボンブラック(三菱化成工業(株)製、MA♯100)4部、ビスコール550P(三洋化成工業(株)製)3部を、ラボプラストミル(東洋精機製作所製)で溶融混練し、ジェットミルにて粉砕後、分級して粒径5〜15μmのトナーを製造した。
得られたトナーと、キャリア(F−150 パウダーテック社製)を3:100の質量比で混合し、22℃×60%RHの条件下、所定時間(5分間、1時間、2時間)摩擦帯電させた後、ブローオフ粉体帯電量測定装置TB−203(東芝ケミカル社製)を使用して、帯電量を測定した。
また、下記式で示すように、1時間帯電量に対する5分帯電量の割合を立ち上がり率とした。
立ち上がり率(%)=(5分帯電量/1時間帯電量)×100
【0031】
[実施例2]
p−t−ブチルフェノールと、4−ヒドロキシ安息香酸n−ブチルエステルの量を適宜変更した以外は実施例1と同様にして、生成物を得た。
得られた生成物は、上記式(2)で示されるm+n=8の化合物の混合物であって、混合物全体としては、m/(m+n)×100=50であった。
ついで、得られた生成物を用いて、上記(a)のトナー製造法およびブローオフ帯電性能評価法に沿って黒色トナーを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0032】
[実施例3]
4−ヒドロキシ安息香酸n−ブチルエステルの代わりに4−ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステルを使用し、また、p−t−ブチルフェノールと4−ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステルの量を適宜変更した以外は実施例1と同様にして、生成物を得た。
得られた生成物は、下記式(3)で示されるm+n=8の化合物の混合物であって、混合物全体としては、m/(m+n)×100=28であった。
ついで、得られた生成物を用いて、上記(a)のトナー製造法およびブローオフ帯電性能評価法に沿って黒色トナーを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0033】
【化5】
【0034】
[実施例4]
4−ヒドロキシ安息香酸n−ブチルエステルの代わりに4−ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシルエステルを使用し、また、p−t−ブチルフェノールと4−ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシルエステルの量を適宜変更した以外は実施例1と同様にして、生成物を得た。
得られた生成物は、下記式(4)で示されるm+n=8の化合物の混合物であって、混合物全体としては、m/(m+n)×100=25であった。
ついで、得られた生成物を用いて、上記(a)のトナー製造法およびブローオフ帯電性能評価法に沿って黒色トナーを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0035】
【化6】
【0036】
[実施例5]
4−ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシルエステル0.455molと、パラホルムアルデヒド0.6molと、5N水酸化カリウム水溶液3gとを用いて、300mlのキシレン中で水を留去しながら還流反応を8時間行った。反応溶液を、メタノールを用いて再結晶を行い、ろ過し、得られた固体を乾燥して生成物を得た。
その後、この生成物から下記式(5)で示される化合物を分取した。
ついで、得られた化合物を用いて、下記(b)のトナー製造法およびブローオフ帯電性能評価法に沿って黒色トナーを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0037】
【化7】
【0038】
(b)トナー製造法およびブローオフ帯電性能評価法
実施例5で得られた化合物を負荷電制御剤として0.7部、結着樹脂であるスチレンアクリル共重合体100部、着色剤であるカーボンブラック(三菱化成工業(株)製、MA♯100)5部、ビスコール550P(三洋化成工業(株)製)3部を、ラボプラストミル(東洋精機製作所製)で溶融混練し、ジェットミルにて粉砕後、分級して粒径5〜15μmのトナーを製造した。
帯電性評価については、上記(a)の場合と同様に行った。
【0039】
[実施例6]
4−ヒドロキシ安息香酸n−ブチルエステルの代わりに4−ヒドロキシ安息香酸フェニルエステルを使用し、また、p−t−ブチルフェノールと4−ヒドロキシ安息香酸フェニルエステルの量を適宜変更した以外は実施例1と同様にして、生成物を得た。
得られた生成物は、下記式(6)で示されるm+n=8の化合物の混合物であって、混合物全体としては、m/(m+n)×100=35であった。
ついで、得られた生成物を用いて、上記(a)のトナー製造法およびブローオフ帯電性能評価法に沿って黒色トナーを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0040】
【化8】
【0041】
[実施例7]
フェノールとしてp−t−ブチルフェノールを単独で使用する代わりにp−t−オクチルフェノールを併用し、また、これらと、4−ヒドロキシ安息香酸n−ブチルエステルの量とを適宜変更した以外は実施例1と同様にして、生成物を得た。
得られた生成物は下記式(7)で示され、Rは生成物全体として、t−ブチル基とt−オクチル基の比が1:1となった混合物で、m+n=8で、混合物全体としてはm/(m+n)×100=18であった。
ついで、得られた生成物を用いて、上記(a)のトナー製造法およびブローオフ帯電性能評価法に沿って黒色トナーを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0042】
【化9】
【0043】
[実施例8]
p−t−ブチルフェノールの代わりにp−クミルフェノールを使用し、また、p−クミルフェノールと4−ヒドロキシ安息香酸n−ブチルエステルの量を適宜変更した以外は実施例1と同様にして、生成物を得た。
得られた生成物は、下記式(8)で示されるm+n=8の化合物の混合物であって、混合物全体としては、m/(m+n)×100=20であった。
ついで、得られた生成物を用いて、下記(c)のトナー製造法およびブローオフ帯電性能評価法に沿って黒色トナーを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0044】
【化10】
【0045】
(c)トナー製造法およびブローオフ帯電性能評価法
実施例8で得られた生成物を負荷電制御剤として1部、結着樹脂であるスチレンアクリル共重合体100部、着色剤である銅フタロシアニン系油溶性染料Spilion Blue 2BNH(保土ヶ谷化学工業(株)製、)4部、ラボプラストミル(東洋精機製作所製)で溶融混練し、ジェットミルにて粉砕後、分級して粒径5〜15μmのトナーを製造した。
帯電性評価については、上記(a)の場合と同様に行った。
【0046】
[実施例9]
アルデヒドとして、パラホルムアルデヒドを単独で使用する代わりにフルフラールを併用し、また、これらと、p−t−ブチルフェノールおよび4−ヒドロキシ安息香酸n−ブチルエステルの量とを適宜変更した以外は実施例1と同様にして、生成物を得た。
得られた生成物は下記式(9)で示され、Rは生成物全体として、水素とフルフリル基の比が4:1となった混合物で、m+n=8で、混合物全体としてはm/(m+n)×100=22であった。
ついで、得られた生成物を用いて、下記(d)のトナー製造法およびブローオフ帯電性能評価法に沿って黒色トナーを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0047】
【化11】
【0048】
(d)トナー製造法およびブローオフ帯電性能評価法
実施例で得られた生成物(または化合物)を負荷電制御剤として1部、結着樹脂であるポリエステル樹脂(酸価10mgKOH/g、水酸基価15mgKOH/g)100部、着色剤であるカーボンブラック(三菱化成工業(株)製、MA♯100)4部、ビスコール550P(三洋化成工業(株)製)3部を、ラボプラストミル(東洋精機製作所製)で溶融混練し、ジェットミルにて粉砕後、分級して粒径5〜15μmのトナーを製造した。
帯電性評価については、上記(a)の場合と同様に行った。
【0049】
[実施例10]
p−t−ブチルフェノール0.3375molと、4−ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシルエステル0.1125molと、パラホルムアルデヒド0.6molと、5N水酸化カリウム水溶液3gとを用いて、300mlのキシレン中で水を留去しながら還流反応を8時間行った。反応溶液を、メタノールを用いて再結晶を行い、ろ過し、得られた固体を乾燥して生成物を得た。
その後、この生成物から下記式(10)で示される化合物を分取した。
ついで、得られた化合物を用いて、上記(d)のトナー製造法およびブローオフ帯電性能評価法に沿って黒色トナーを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0050】
【化12】
【0051】
[実施例11]
フェノールとして、p−t−ブチルフェノールを単独で使用する代わりにp−t−オクチルフェノールを併用し、また、これらと、4−ヒドロキシ安息香酸n−ブチルエステルの量とを適宜変更した以外は実施例1と同様にして、生成物を得た。
得られた生成物は下記式(7)で示され、Rは生成物全体として、t−ブチル基とt−オクチル基の比が4:1となった混合物で、m+n=8で、混合物全体としてはm/(m+n)×100=40であった。
ついで、得られた生成物を用いて、下記(e)のトナー製造法に沿ってトナーを製造した。トナーは白色であった。
【0052】
(e)トナー製造法
実施例11で得られた生成物を負荷電制御剤として1部、結着樹脂であるスチレンアクリル共重合体100部を、ラボプラストミル(東洋精機製作所製)で溶融混練し、ジェットミルにて粉砕後、分級して粒径5〜15μmのトナーを製造した。
【0053】
[比較例1]
p−t−ブチルフェノール0.45molと、パラホルムアルデヒド0.6molと、5N水酸化カリウム水溶液3gとを用いて、300mlのキシレン中で水を留去しながら還流反応を8時間行った。反応溶液を、メタノールを用いて再結晶を行い、ろ過し、得られた固体を乾燥して生成物を得た。
その後、この生成物から下記式(11)で示される化合物を分取した。
ついで、得られた化合物を用いて、上記(a)のトナー製造法およびブローオフ帯電性能評価法に沿って黒色トナーを製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0054】
【化13】
【0055】
【表1】
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の負荷電制御剤は、カリックスアレーンのうち特にOH基のパラ位にカルボン酸エステル基を有するものを含有するので、帯電立ち上がり性が良好で十分な帯電性を付与可能である。また、このような生成物は淡白色あるいは淡黄色であるので、カラートナーに用いてもトナーの色相に影響を及ぼすことがないうえ、結着樹脂との相溶性、分散性にも優れている。したがって、このような本発明の負電荷制御剤を含有する本発明のトナーを使用すると鮮明な画像が得られ、電子写真、静電記録または静電印刷などにおいて有用である。
Claims (2)
- 下記一般式(1)で示される化合物を含有することを特徴とする負荷電制御剤。
- 請求項1に記載の負荷電制御剤が、結着樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部配合されていることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
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