JP4177184B2 - 支柱の固定構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、支柱を、構造体に立設する際の固定構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
事務机等において、天板よりさらに上方に支柱を継ぎ足し、この支柱で棚を支えてモニタや書籍・書類の置き場所を確保する場合、支柱を継ぎ足すための構造としては、次のようなものが知られている。
【0003】
第一に、元々の机の支柱(脚体)を中空大径とし、かつ継ぎ足す支柱を中空小径とする。そして、大径の支柱の上端部にねじ孔、小径の支柱の下端部にねじ挿通孔を設け、大径の支柱に小径の支柱を差込んだ後、小径支柱の中空部までねじを差込み、さらにねじを進めて、小径の支柱の内壁を押し、小径支柱の外壁を大径支柱の内壁に押し付けて両支柱を固定する方法がある。
【0004】
あるいは大径の支柱にねじ挿通孔、小径の支柱にねじ孔を設け、同様にして小径支柱の中空部までねじを差込み、さらにねじを進めて、小径の支柱を引き寄せ、小径支柱の外壁を大径支柱の内壁に押し付けて両支柱を固定する方法もある。
【0005】
第二に、継ぎ足す支柱の下端部の両側にそれぞれ係合孔を設け、この係合孔に係合する突起をそれぞれ内側に有し、かつ上端部に外向きフランジを有する1対の半円筒形のストッパ片によって、継ぎ足す支柱の下端部を挟み込み、この状態で継ぎ足される側の中空大径の支柱に挿入し、ストッパ片のフランジを、挿入された支柱の上端に係止させる方法がある(特許文献1参照)。
【0006】
第三に、継ぎ足す側の支柱の下端部に、上下方向を向くねじ挿通孔の付いた拡径フランジを設け、他方、継ぎ足される側の支柱の上端にねじ孔を設けておき、両支柱をねじ止めによってつなぎ合わせる方法がある。
【0007】
【特許文献1】
特開2003−079437号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記第1の方法では、連結作業をする際、孔合わせが必要で、作業性が悪く、また連結も必ずしも強固ではない。
【0009】
また、第2の方法では、ストッパ片と中空大径の支柱との間にクリアランスが生じ、がたつきが避けられない。
【0010】
さらに、第3の方法では、ねじを取り付ける際のドライバ回しの作業性を考慮し、拡径フランジに所定の大きさを必要とする。したがって、拡径フランジを併せて見た場合、支柱の径は太くせざるを得ず、コスト、設置場所の融通性、取扱いやすさ等において劣る。また目に付きやすい上方からの外観も損なわれる。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、小径の支柱でも、ぐらつくことなく強固に構造体に立設することができ、かつ作業性も、目に付きやすい上方からの外観も、ともに良好にすることができるようにした支柱の固定構造を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記課題は次のようにして解決される。
(1)支柱を構造体に固定するための構造において、構造体に固着した支柱ブラケットの上面に、支柱の下端部の断面形状を一側方に若干延長した形状と補形をなす内面形状を有する横長の起立枠を設け、支柱の下端部を、前記起立枠の内面の一側端に当接するようにして、前記起立枠内に嵌合するとともに、前記起立枠内における支柱嵌合部を除く空隙に閉塞部材を嵌合し、前記支柱の下端部を支柱ブラケットにねじ止めする。
【0013】
(2)上記(1)項において、起立枠内における支柱の下端部側面から離隔して対向する内側面を、上方に向かって外側に拡開する傾斜面とし、かつ閉塞部材を、その一側端が前記傾斜面に沿って下降するようにして、締付手段により、前記支柱ブラケットに対し、下方に向かって締め付けるようにする。
【0014】
(3)上記(1)または(2)項において、支柱ブラケットを、水平片の一側端に垂下片が連設された倒立L字状とし、水平片及び垂下片を、前記構造体の側端の角部を挟む上面と側面とにそれぞれ圧接して、前記垂下片を構造体の側面にねじ止めする。
【0015】
(4)上記(3)項において、構造体の側面に、支柱の軸方向または支柱の軸方向と直交する方向に延びるとともに、開口幅より奥部の幅を大とした係合溝を設け、この係合溝の奥部に長手方向に摺動自在に嵌合したねじ座に、垂下片をねじ止めするねじを螺合させる。
【0016】
(5)上記(3)または(4)項において、水平片の遊端部の下面に下向きに突設した突部を、構造体の上面に設けた下方を向く溝または孔に嵌合する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を添付の図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る支柱の固定構造を組み入れた両面タイプの事務机ユニットの斜視図である。
【0019】
図1の事務机ユニット(1)は、机の四隅と中央部に合計6本の脚体(2)を備えている。前後に対向する脚体(2)(2)同士は、前後方向を向く横杆(3)により互いに連結され、互いに隣接する横杆(3)(3)同士は、机の長手方向(左右方向)を向く前後1対のビーム(図示せず)により、互いに連結されている。4個の天板(4)は、2個ずつを背中合わせとして、横杆(3)の上に載置、固定されている。
【0020】
各横杆(3)の中央には、それぞれ支柱(5)が立設されており、これらの支柱(5)の上端間には、取付け杆(6)が渡されている。取付け杆(6)には棚(7)が取り付けられており、棚(7)にはモニタテレビ、書類・書籍(図示略)等が載置される。
【0021】
図2は、図1のP部拡大図である。支柱(5)は、支柱ブラケット(8)を介して横杆(3)に立設されている。支柱ブラケット(8)は、水平片(8a)の一側端に垂下片(8b)が連設された倒立L字形となっており、水平片(8a)と垂下片(8b)が、横杆(3)の左上隅を挟む上面と側面とにそれぞれ圧接されている。垂下片(8b)は、ねじ(9)によって、横杆(3)の側面に固定されている。
【0022】
支柱ブラケット(8)の上面には、支柱(5)下端部のほぼ正方形の断面形状を、垂下片(8b)の側に若干延長した矩形形状と補形をなす内面形状を有する起立枠(8c)が設けられている。支柱(5)の下端部は、起立枠(8c)内に嵌合され、垂下片(8b)の側を残して、3側面が起立枠(8c)の内面に当接している。
【0023】
起立枠(8c)内側の支柱(5)嵌合部を除く空隙(8d)には、閉塞部材(10)が嵌合されている。閉塞部材(10)は、支柱(5)下端部の垂下片(8b)側の側面を押し付けることにより、支柱(5)の下端部が、ぐらつくことなく、起立枠(8c)内に強固に固定できるようにしている。なお、閉塞部材(10)は、この実施形態における位置と90°ずらした位置に嵌合させるようにすることもできる。
【0024】
図3は、図2の拡大分解斜視図である。支柱(5)はその下端が、水平片(8a)を下方から貫通するねじ(11)によって、起立枠(8c)内の底部に固着されている。また、閉塞部材(10)も、締着手段をなす同様のねじ(12)によって、同様に起立枠(8c)内の底部に締着される。したがって、目に付きやすい上方からは、ねじ(11)(12)は目に触れることがなく、外観が損なわれるのを避けることができる。
【0025】
横杆(3)における上下及び左右の面には、長手方向を向くそれぞれ2本ずつの係合溝(3a)が形成されている。係合溝(3a)は、開口縁部に互いに内向きの係止片(3b)(3b)が設けられているため、開口幅より奥部の幅が大となっている。支柱ブラケット(8)の水平片(8a)の下面には、下向きの突部(14)(図4参照)が設けられており、この突部(14)は、横杆(3)の上面における内側の係合溝(3a)に嵌合されている。
【0026】
支柱ブラケット(8)を横杆(3)にねじ止めする際には、まず垂下片(8b)に2本のねじ(9)を貫通させて、それらの先端部に、実質的に平行四辺形のねじ座(13)(鋭角部を面取りしてある)を螺合し、ついで、ねじ座(13)の長辺部(13a)を係合溝(3a)と平行に保ったまま、ねじ座(13)を係合溝(3a)の奥部まで嵌合し、ねじ(9)とともにねじ座(13)をわずかに回転させることにより、その両端部を係止片(3b)(3b)の内側に係合させ、最後にねじ(9)とねじ座(13)を固く螺合する。
【0027】
図4は、図3のIV−IV線断面図である。水平片(8a)下面の垂下片(8b)と反対側には、下向きのリブ(8e)が設けられており、リブ(8e)は横杆(3)の上面に載っている。他方、前述の通り、突部(14)は、横杆(3)上面の図4における右方の係合溝(3a)に嵌合している。したがって、これらのリブ(8e)と突部(14)によって、支柱ブラケット(8)は、横杆(3)の上面に支持されている。一方、支柱ブラケット(8)は、垂下片(8b)がねじ(9)とねじ座(13)を介して横杆(3)の側面に固着されている。よって、横杆(3)上面における突部(14)による係止と横杆(3)側面におけるねじ(9)とねじ座(13)による締結の効果によって、支持ブラケット(8)は、横杆(3)に強固に固着されている。
【0028】
閉塞部材(10)は、ねじ止め前は、符号(10')で示す位置にある。起立枠(8c)の空隙(8d)にある内側面(8f)は、上方に向かって外側に拡開する傾斜面となっている。また、閉塞部材(10)も、起立枠の内側面(8f)に対向する面(10a)がこれと補形をなす傾斜を有している。ねじ(12)は、水平片(8a)に穿設されたねじ挿通孔(8g)より小径とし、ねじ挿通孔(8g)を遊通している。底部からねじ(12)を締め付けていくと、閉塞部材(10)はその傾斜面(10a)が起立枠(8c)の内側面(8f)に沿って下降していき、閉塞部材(10)の支柱側の側面(10b)は、支柱を水平方向に押し付けるため、支柱(8)は、下面におけるねじ(11)による固定に加えて、より強固に固定される。
【0029】
図5は、図3に示すねじ座(13)の係止の模様を示す拡大図である。ねじ座(13)は、横杆(3)の係合溝(3a)に差し込む際には、係止片(3b)と衝突しないように、その長辺部(13a)を係合溝(3a)と平行にしておく。その後、ねじ(9)の螺合を進めると、ねじ座(13)は、ねじ(9)との摩擦により、ねじ(9)とともに右方向に回転するが、やがて短辺部(13b)が係合溝(3a)の奥部の上下面に当接して、それ以上は回転しなくなる。よって、それ以降はねじ(9)だけが回転し、ねじ(9)の螺合が完成する。図示していない垂下片(8b)は、ねじ(9)とねじ座(13)によって表側と裏側から挟み付けられ、係止片(3b)に押し付けられて、固定される。
【0030】
このようにねじ座(13)と係止溝(3a)を用いると、横杆(3)にねじ孔を設ける必要がなく、横杆(3)の製造が容易になる。また横杆(3)の任意の位置で支柱を取り付けることができる。
【0031】
図6は、本発明の他の実施形態に係る支柱の固定構造を組み入れた片面タイプの事務机ユニットの後方斜視図である。先の実施形態と同一または類似の要素には、同一の符号を付してある。
【0032】
この片面タイプの事務机ユニット(21)においても、各脚体(2)は、机の長手方向においてビーム(22)により連結されるとともに、ビーム(22)と直交する方向にも横杆(3)で連結されている。この事務机ユニット(21)においては、支柱(5)は、脚体(2)の頂部に継ぎ足される。
【0033】
図7は、図6のQ部の拡大分解斜視図である。脚体(2)はその軸方向に沿って4つの側面に2本ずつ係合溝(2a)が設けられている。係合溝(2a)は、その開口縁部に設けられた互いに内向きの係止片(2b)(2b)のために、開口幅が奥部の幅よりも小さくなっている。
【0034】
脚体(2)の1つの側面における係合溝(2a)に、それぞれねじ座(13)が、長辺部(13a)を係合溝(2a)の長手方向に平行にして差込まれる。支柱(5)は、脚体(2)の頂部に被せられる支柱ブラケット(8)を介して、脚体(2)に継ぎ足され、固定される。
【0035】
図8は、図7のVIII−VIII線断面図である。支柱ブラケット(8)は、下面のリブ(8e)が、脚体(2)の上端面(2c)に載置される。閉塞部材(10)は、前述の実施形態と同様、底面からのねじ止めの際、支柱(5)を側面から押圧して固定する。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
(a)請求項1記載の発明によると、支柱の下端部を簡単に支柱ブラケットの起立枠内に嵌合しうるとともに、さらに起立枠内に閉塞部材を嵌合することにより、支柱の下端部を起立枠内に緊密に嵌合することができ、その状態で支柱の下端部を支柱ブラケットに容易にねじ止めすることができるため、支柱の下端部をぐらつくことなく、構造体に強固に固定することができる。
【0037】
(b) 請求項2記載の発明によると、締付手段の締付けにより、閉塞部材は、傾斜面に沿って下降し、下方に行くほど支柱の側面に強く押し付けられ、起立枠による支柱の保持力を高めることができる。
【0038】
(c) 請求項3記載の発明によると、支柱ブラケットは、構造体の側端の角部を目安にして容易に位置決めすることができ、かつねじ止めは構造体の側方から容易に行うことができ、また目につきやすい上方からの外観を損なうことがない。
【0039】
(d) 請求項4記載の発明によると、構造体にねじ穴を設ける必要がないため製造が容易になり、かつねじ止めの位置を自在に定めることができる。
【0040】
(e) 請求項5記載の発明によると、支柱ブラケットは、構造体の側面からのねじ止めと併せて、突部が構造体の上面の溝または孔に嵌合されるため、構造体により強固に固着することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る支柱の固定構造を組み入れた両面タイプの事務机ユニットの斜視図である。
【図2】図1のP部拡大図である。
【図3】図2の拡大分解斜視図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】図3に示すねじ座の係止の模様を示す拡大図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る支柱の固定構造を組み入れた片面タイプの事務机ユニットの斜視図である。
【図7】図6のQ部の拡大分解斜視図である。
【図8】図6のVIII−VIII線断面図である。
【符号の説明】
(1)両面タイプの事務机ユニット
(2)脚体(構造体)
(3)横杆(構造体)
(3a)係合溝
(3b)係止片
(4)天板
(5)支柱
(6)取付け杆
(7)棚
(8)支柱ブラケット
(8a)水平片
(8b)垂下片
(8c)起立枠
(8d)空隙
(8e)リブ
(8f)内側面
(8g)ねじ挿通孔
(9)ねじ
(10)閉塞部材
(10a)起立枠の内側面に対向する面
(10b)支柱側の側面
(11)ねじ
(12)ねじ
(13)ねじ座
(13a)長辺部
(13b)短辺部
(14)突部
(21)片面タイプの事務机ユニット
Claims (5)
- 支柱を構造体に固定するための構造であって、
構造体に固着した支柱ブラケットの上面に、支柱の下端部の断面形状を一側方に若干延長した形状と補形をなす内面形状を有する横長の起立枠を設け、支柱の下端部を、前記起立枠の内面の一側端に当接するようにして、前記起立枠内に嵌合するとともに、前記起立枠内における支柱嵌合部を除く空隙に閉塞部材を嵌合し、前記支柱の下端部を支柱ブラケットにねじ止めしたことを特徴とする支柱の固定構造。 - 枠内における支柱の下端部側面から離隔して対向する内側面を、上方に向かって外側に拡開する傾斜面とし、かつ閉塞部材を、その一側端が前記傾斜面に沿って下降するようにして、締付手段により、前記支柱ブラケットに対し、下方に向かって締め付けるようにした請求項1記載の支柱の固定構造。
- 支柱ブラケットを、水平片の一側端に垂下片が連設された倒立L字状とし、前記水平片及び垂下片を、構造体の側端の角部を挟む上面と側面とにそれぞれ圧接して、前記垂下片を構造体の側面にねじ止めした請求項1または2記載の支柱の固定構造。
- 構造体の側面に、支柱の軸方向または支柱の軸方向と直交する方向に延びるとともに、開口幅より奥部の幅を大とした係合溝を設け、この係合溝の奥部に長手方向に摺動自在に嵌合したねじ座に、垂下片をねじ止めするねじを螺合させた請求項3記載の支柱の固定構造。
- 水平片の遊端部の下面に下向きに突設した突部を、構造体の上面に設けた下方を向く溝または孔に嵌合した請求項3または4記載の支柱の固定構造。
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