JP4177091B2 - 破砕機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、破砕機、詳しくはパワーショベルのアームの先端に取り付けて鉄筋コンクリート製の建造物などを低騒音下で破砕解体する破砕機に関する。
【0002】
【従来の技術】
破砕機として、例えば特開平11−131825号公報「破砕機の旋回制動機構」に記載されたものが知られている。
以下、従来の破砕機を図7を参照して説明する。
図7に示すように、破砕機100は、一対の破砕アーム101,102の長さ方向の中間部を本体フレーム103にそれぞれ回動ピン104,104を介して軸支し、両破砕アーム101,102の後部間に連結した油圧式の駆動シリンダ105のロッド105aを伸縮操作することで、両破砕アーム101,102の先部に形成された破砕爪101a,102a間でコンクリート壁などを挟んで破砕する装置である。
【0003】
本体フレーム103の回動ピン104,104間には、両破砕アーム101,102の回動を規制するT字形状の回動規制T字体106が固着されている。回動規制T字体106は、縦片106aと横片106bとをT字形状に連結した部材である。
両破砕アーム101,102の軸支部分の先側には、互いに対向する縁部に、鉄筋を切断する1対の切断刃101b,102bが配設されている。両破砕アーム101,102の軸支部分の元部には、その互いに対向する縁部に、両回動ピン104,104のピン孔と同じ中心線を有する円弧形状の丸み部分がそれぞれ形成されている。両破砕アーム101,102の閉操作時(以下、アーム閉時)、前記横片106bの両側部の縦片連結側の面に両丸み部分が当接し、両破砕アーム101,102の閉動作が規制される(図7(b))。また、これらの丸み部分のアーム元部側の端には、隆起縁形状を有する1対のストッパ部101c,102cがそれぞれ形成されている。両破砕アーム101,102の開操作時(以下、アーム開時)、両ストッパ部101c,102cに横片106bの両端部が掛止され、両破砕アーム101,102の開動作が規制される(図7(a))。
【0004】
破砕アーム101の後部には、前記駆動シリンダ105の元部がピン107により軸支される。一方、破砕アーム102の後部には、前記ロッド105aの先端部が別のピン107により軸支される。
図7において、108はパワーショベルのアームの先端に、本体フレーム103を連結するブラケットである。109はブラケット108と本体フレーム103との間に介在され、破砕機100をその長さ方向に直交する面内で回転させる回転機構部である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の破砕機にあっては、アームの開閉操作時、両破砕アーム101,102の丸み部分やストッパ部101c,102cが、回動規制T字体106の薄い横片106bにそれぞれ押し当てられていた。そのため、両破砕アーム101,102を介して駆動シリンダ105より伝達された大きな操作力が横片106bの一部分に集中し、横片106bにクラックなどが発生していた。そこで、回動規制T字体106を厚くして強度を高めることが考えられる。しかしながら、これでは回動規制T字体106が重くなり、破砕機の重量が嵩張るという別の問題点が生じてしまう。
また、従来の破砕機にあっては、破砕機の組立時、本体フレーム103に回動規制T字体106を固定する場合の位置決めがむずかしかった。すなわち、図7(a)の図面上において、両回動ピン104の中心線間を結ぶ仮想線上での回動規制T字体106の位置、回動規制T字体106の傾きによって、アーム開閉時における両破砕アーム101,102の回動に支障が起きていた。そのため、アーム開時には両破砕アーム101,102が十分に開けず、アーム閉時には破砕爪101a,102aを十分に閉じれないといった問題が発生していた。
【0006】
【発明の目的】
この発明は、重量を増加せず、両破砕アームの回動を規制する回動規制部材の使用による破損を防止することができ、しかも破砕機の組立時において本体フレームへの回動規制部材の位置決めを簡単に行うことができる破砕機を提供することを、その目的としている。
また、この発明は、両破砕アームの隙間調整が可能な破砕機を提供することを、その目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、パワーショベルのアームに取り付け可能な本体フレームと、該本体フレームに所定間隔だけ離間配置された1対の回動ピンを介してそれぞれ軸支され、先部に破砕部が設けられた1対の破砕アームと、一方の破砕アームの後部にロッドが軸支され、他方の破砕アームの後部に元部が軸支された駆動シリンダとを備えた破砕機において、前記本体フレームの回動ピン間に、両破砕アームの回動を規制する回動規制ピンを設け、両破砕アームの軸支部分の互いに対向する縁部に、前記回動規制ピンの外周面に当接される規制ピン摺動凹部をそれぞれ形成した破砕機である。
【0008】
破砕機による被破砕物は限定されない。例えば、建造物のコンクリート壁などが挙げられる。
パワーショベルの種類は限定されない。例え自走式でも固定式でもよい。
本体フレームの形状は限定されない。例えば、離間した1対の側板を有し、これらの側板が回動ピンや回動規制ピンの取り付け部材となる板枠状のフレームでもよい。
破砕アームの素材、大きさ、形状などは限定されない。
破砕部の形状は限定されない。例えば、爪形状でもよいし、切断刃形状でもよい。
駆動シリンダの種類は限定されない。例えば、油圧シリンダ、電動シリンダなどを採用することができる。
回動規制ピンの断面形状は限定されない。例えば円形、楕円形などを採用することができる。ただし、円柱ピンや円筒ピンのような断面形状が円形のものが好ましい。円筒ピンの場合には筒体の板厚が厚いものの方が、高強度であるため好ましい。
規制ピン摺動凹部の形状は、両破砕アームのアーム開閉時のアームの回動角度を規制することができる形状であれば限定されない。例えば、破砕アームの表面側から見て略円弧形状でもよい。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記回動規制ピンが断面円形である請求項1に記載の破砕機である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記本体フレームが、離間配置された対向する1対の側板を有し、前記回動規制ピンは、該回動規制ピンの一端部が一方の側板に固着され、前記回動規制ピンの他端部が他方の側板に形成された孔部に嵌入されている請求項1または請求項2に記載の破砕機である。
【0011】
【作用】
この発明によれば、例えばコンクリート壁などの破砕時において、駆動シリンダのロッドを徐々に突出すると、まず一方の破砕アームが回動ピンを中心にしてアーム閉側に回動する。その際、一方の破砕アーム側の規制ピン摺動凹部が回動規制ピンの外周面の一側部に押し当てられ、この状態のまま、一方の破砕アームの軸支部分が回動規制ピンをガイドにしてアーム後側に摺動する。そして、最終的に回動規制ピンが前記規制ピン摺動凹部のアーム先側の端部に当接することで、一方の破砕アームのアーム閉動作が終了する。
引き続き、前記ロッドが突出して行くと、ロッドは一方の破砕アームおよび回動規制ピンを介して本体フレームに固定状態となっているので、駆動シリンダが他方の破砕アーム側に向かって徐々に移動して行く。これにより、他方の破砕アームが回動ピンを中心にしてアーム閉側に回動する。その際、他方の破砕アーム側の規制ピン摺動凹部が回動規制ピンの外周面の他側部に押し当てられ、この押し当て状態のまま、他方の破砕アームの軸支部分が回動規制ピンをガイドにしてアーム後側に摺動する。そして、最終的に回動規制ピンが前記規制ピン摺動凹部のアーム先側の端部に当接することで、他方の破砕アームのアーム閉動作が終了する。これにより、両破砕アームが閉じ、各破砕部によりコンクリート壁が破砕される。
このように、両破砕アームの回動を規制する回動規制部材として、従来の回動規制T字体ではなく回動規制ピンを採用したので、破砕機の重量を増加せず、両破砕アームの回動を規制する回動規制部材の使用による破損を防止することができる。しかも、破砕機の組立時には、回動規制部材がピン形状であるので、本体フレームへの回動規制部材の位置決めを簡単に行うことができる。
【0012】
特に、請求項3の発明によれば、回動規制ピンを本体フレームに取り付ける際、回動規制ピンの一端部を一方の側板に固着し、回動規制ピンの他端部を他方の側板の孔部に嵌入するようにしたので、破砕機を長期に使用した場合の破砕アームと両側板との摩耗により発生した隙間を、例えば回動ピンとこの回動ピン用のナットとの締結力を高めて調整しようとしたとき、スペーサとなる回動規制ピンが障害となることなく両側板の間隔を任意に変更することができる。これにより、回動ピンを介して本体フレームに取り付けられる両破砕アームの隙間の調整が可能になる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施例を図面を参照して説明する。
図1において、10はこの発明の一実施例に係る破砕機で、この破砕機10は、一対の破砕アーム11,12の長さ方向の中間部を本体フレーム13にそれぞれ回動ピン14,14を介して軸支し、両破砕アーム11,12の後部間に連結した油圧式の駆動シリンダ15のロッド15aを伸縮操作することにより、両破砕アーム11,12の先部に形成された破砕爪(破砕部)11a,12a間でコンクリート壁Cを挟んで破砕する。
【0014】
本体フレーム13は、元部の円板13aと、円板の両端部に一端部が固着された1対の離間した側板13b,13cを有している。側板13b,13cは対向する両側部が開口されたモナカ形状に組まれ、それぞれの先端部が回動ピン14,14、ワッシャ14a,14aを介したナット14b,14bにより隙間調整可能に締結されている(図5)。モナカ形状であるので、駆動シリンダ15を収納することができる。しかも、本体フレーム13に捩じり力が作用しても、堅固なモナカ形状を有する側板13b,13cによって本体フレーム13は捩れにくい。
本体フレーム13の回動ピン14,14間の中間位置には、両破砕アーム11,12の回動を規制する回動規制ピン16が取り付けられている。回動規制ピン16は短尺な円柱形状を有し、その一端部が一方の側板13bに固着され、その他端部が他方の側板13cに形成された孔部13dに嵌入されている(図6)。両破砕アーム11,12の軸支部分の先側には、互いに対向する縁部に、鉄筋を切断する1対の切断刃11b,12bがそれぞれ固着されている。一方、両破砕アーム11,12の軸支部分の元部には、その互いに対向する縁部に、破砕アームの表面側から見て略円弧形状を有する規制ピン摺動凹部11c,12cがそれぞれ形成されている。
【0015】
破砕アーム12の後部には、前記駆動シリンダ15の元部がピン17により軸支されている。一方、破砕アーム11の後部には、前記ロッド15aの先端部が別のピン17により軸支されている。
図1,図2において、18はパワーショベルのアーム、19はアーム18の先端に本体フレーム13を連結するブラケットである。20はブラケット19と本体フレーム13との間に介在され、回転モータ20aにより、破砕機10をその長さ方向に直交する面内で回転させる回転機構部である。
【0016】
次に、一実施例の破砕機10の作動を説明する。
まず作業者がパワーショベルを操作してアーム18を回動し、開状態の破砕爪11a,12aをコンクリート壁Cの端部の両側方に配置する(図1,図2)。この状態で駆動シリンダ15のロッド15aを徐々に突出させると、破砕アーム11が回動ピン14を中心にしてアーム閉側に回動する。このとき、破砕アーム11側の規制ピン摺動凹部11cが回動規制ピン16の外周面の一側部に押し当てられ、この状態のまま、破砕アーム11の軸支部分が回動規制ピン16をガイドにしてアーム後側に摺動する。そして、最終的に回動規制ピン16が規制ピン摺動凹部11cのアーム先側の端部に当接することで、破砕アーム11のアーム閉動作が終了する(図3)。
【0017】
引き続き、ロッド15aを突出して行く。ロッド15aは破砕アーム11および回動規制ピン16を介して本体フレーム13に固定状態で維持されているので、駆動シリンダ15が破砕アーム12側に向かって徐々に移動する。これにより、破砕アーム12が回動ピン14を中心にしてアーム閉側に回動する。その際、破砕アーム12側の規制ピン摺動凹部12cが回動規制ピン16の外周面の他側部に押し当てられ、この状態のまま、破砕アーム12の軸支部分が回動規制ピン16をガイドにしてアーム後側に摺動する。そして、最終的に回動規制ピン16が規制ピン摺動凹部12cのアーム先側の端部に当接することで、破砕アーム12のアーム閉動作が終了する(図4)。これにより、両破砕アーム11,12が閉じ、両破砕爪11a,12a間でコンクリート壁Cが破砕される。
鉄筋を切断する際には、駆動シリンダ15により前記切断刃11b,12bを利用して切断する。
【0018】
このように、両破砕アーム11,12の回動を規制する回動規制部材として、従来の回動規制T字体に代えて回動規制ピン16を採用したので、破砕機10の重量を増加せず、両破砕アーム11,12の回動を規制する回動規制部材の使用による破損を防止することができる。すなわち、円柱体は側方からの挟み付け力に対しては剛性が高く、破損しにくい。また、破砕機10の組立時には、このように回動規制部材がピン形状であるので、本体フレーム13への回動規制部材の位置決めを簡単に行うことができる。
特に、回動規制ピン16を本体フレーム13に取り付ける際、回動規制ピン16の一端部を一方の側板13bに固着し、回動規制ピン16の他端部を他方の側板13cの孔部13dに嵌入するようにしたので、破砕機10を長期に使用した場合の両破砕アーム11,12と両側板13b,13cとの摩耗により発生した隙間を、両回動ピン14,14とナット14b,14bとの締結力を高めて調整しようとしたとき、スペーサとなる回動規制ピン16が障害となることなく両側板13b,13cの間隔を任意に変更することができる。これにより、回動ピン14を介して本体フレーム13に取り付けられる両破砕アーム11,12の隙間の調整が可能になる。
【0019】
【発明の効果】
この発明によれば、本体フレームの回動ピン間に、両破砕アームの回動を規制する回動規制ピンを設け、両破砕アームの軸支部分の互いに対向する縁部に、前記回動規制ピンの外周面に当接される規制ピン摺動凹部をそれぞれ形成したので、重量を増加せず、両破砕アームの回動を規制する回動規制部材の使用による破損を防止することができ、しかも破砕機の組立時において本体フレームへの回動規制部材の位置決めを簡単に行うことができる。
【0020】
特に、請求項3の発明によれば、本体フレームが、離間配置された対向する1対の側板を有し、回動規制ピンは、回動規制ピンの一端部が一方の側板に固着され、回動規制ピンの他端部が他方の側板に形成された孔部に嵌入されるように構成したので、両側板間に回動規制ピンが介在されていながら、両破砕アームの隙間調整を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例に係る破砕機の使用状態を示す斜視図である。
【図2】この発明の一実施例に係る破砕機のアーム開状態を示す正面図である。
【図3】この発明の一実施例に係る破砕機の一方の破砕アームのアーム閉状態を示す正面図である。
【図4】この発明の一実施例に係る破砕機のアーム閉状態を示す正面図である。
【図5】この発明の一実施例に係る破砕機の破砕アームの取り付け構造を示す要部分解斜視図である。
【図6】この発明の一実施例に係る破砕機の要部拡大断面図である。
【図7】(a)は、従来手段に係る破砕機のアーム開状態を示す正面図である。
(b)は、従来手段に係る破砕機のアーム閉状態を示す正面図である。
【符号の説明】
10 破砕機、
11,12 破砕アーム、
11a,12a 破砕部、
11c,12c 規制ピン摺動凹部、
13 本体フレーム、
13b,13c 側板、
13d 孔部、
14 回動ピン、
15 駆動シリンダ、
15a ロッド、
16 回動規制ピン、
18 アーム。
Claims (3)
- パワーショベルのアームに取り付け可能な本体フレームと、該本体フレームに所定間隔だけ離間配置された1対の回動ピンを介してそれぞれ軸支され、先部に破砕部が設けられた1対の破砕アームと、
一方の破砕アームの後部にロッドが軸支され、他方の破砕アームの後部に元部が軸支された駆動シリンダとを備えた破砕機において、
前記本体フレームの回動ピン間に、両破砕アームの回動を規制する回動規制ピンを設け、
両破砕アームの軸支部分の互いに対向する縁部に、前記回動規制ピンの外周面に当接される規制ピン摺動凹部をそれぞれ形成した破砕機。 - 前記回動規制ピンが断面円形である請求項1に記載の破砕機。
- 前記本体フレームが、離間配置された対向する1対の側板を有し、
前記回動規制ピンは、該回動規制ピンの一端部が一方の側板に固着され、前記回動規制ピンの他端部が他方の側板に形成された孔部に嵌入されている請求項1または請求項2に記載の破砕機。
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