JP4176406B2 - 自動車走行試験システム、自動車排ガス測定システム、および、シミュレーションモード選択プログラム - Google Patents
自動車走行試験システム、自動車排ガス測定システム、および、シミュレーションモード選択プログラム Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車のエンジンから排出される排ガスを自動で測定するような場合に適用される自動車走行試験システム、自動車排ガス測定システム、およびシミュレーションモード選択プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の走行試験システムの一例で、自動車のエンジン排ガスに含まれる炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx )、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2 )等の成分を測定する自動車排ガス測定システムとして、従来より、自動車の走行状態を模擬的に作るために自動車の駆動車輪が載置されてこれに適宜の負荷抵抗を与えるように構成されたシャシダイナモ装置などのシミュレータ装置を用い、このシャシダイナモ装置に搭載された自動車を自動車自動運転装置を用いて試験モードに定められた走行パターンにしたがって走行させ、そのときに排出される排ガスを定容量サンプリング装置によって採取し、この採取されたサンプルガスを、測定原理の異なる複数のガス分析計を搭載したガス測定装置に供給して前記各成分をそれぞれ測定し、その測定結果を自動車排ガス測定管理装置において管理するようにしたシステムがある。
【0003】
また、前記自動車排ガス測定システムにおいて複数の試験モードによる測定を行うときに、任意の時間に任意数の測定を自動(無人)で行わせることができる自動車排ガス測定システムも提案されて、実用化に至っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記自動車の試験モードによっては自動車の走行状態を模擬的に作るためのシミュレータ装置の制御方法、とりわけ冷却ファンによって起こされる風(空気)の速度の制御方法を変える必要があり、これが走行試験の自動化を困難にするものとなっていた。つまり、日本やヨーロッパの規制によって定められた試験モード(例えば、日本の10・15モード、ヨーロッパの15・04,15・05と呼ばれるEC,新ECモード)では、冷却ファンの風速が自動車の車速に追従するように制御すればよいが、米国の規制によって定められた試験モード(例えば、LA−4モード、US06モード、高速燃費モードがあり、以下、高速燃費モードをHWYモードと略称する)では、冷却ファンによる空気風量を固定にしなければならないと定められている。また、同じ固定風量でも、US06モードの場合はLA−4モードおよびHWYモードの場合に比べて強い風を起こす、つまり、風速を弱くしなければならないと定められている。
【0005】
ところが、従来のシミュレータ装置では、エンジンの冷却ファンの動作モード(以下、冷却ファン動作モードという)の設定を冷却ファン制御装置に対して手動で行っていた。したがって、従来は走行試験の試験モードを変更するたびに冷却ファンモードも手動で変更する必要があり、この冷却ファンモードの設定間違いや設定し忘れなどにより、テストが規格に合わず、成立しないこともあった。
【0006】
本発明は上述の事柄を考慮に入れてなされたものであって、その目的は、試験モードに対応してエンジンの冷却ファンモードを自動的に選択できるようにすることで、設定のための手間を省くと共に、設定の間違いを無くすことができる自動車走行試験システム、自動車排ガス測定システム、および、シミュレーションモード選択プログラムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の自動車走行試験システムは、自動車の走行状態を模擬的に作るためのシミュレータ装置と、このシミュレータ装置上で自動車を試験モードによって定められた走行パターンにしたがって走行させる自動車自動運転装置と、自動車の前部に配置されて自動車に空気を吹きつける冷却ファン及びこの冷却ファンによる風量を制御する冷却ファン制御部と、演算処理部とを有する自動車走行試験システムであって、前記試験モードは、前記冷却ファンによる風量が固定で風速を強弱に制御するように規制された冷却ファンモードに対応する試験モード、及び、風量が可変で風速を車速に追従制御するように規制された冷却ファンモードに対応する試験モードの複数に設定されており、自動運転によって実行すべき複数の試験モードを指定し、その指定された順番で自動的に連続して走行試験を行うためのスケジュールを立てる編集画面を有し、この編集画面での試験モードの選択に伴って、前記演算処理部が、その選択された試験モードに対応する冷却ファンモードを自動的に選択する機能を有していることを特徴としている(請求項1)。
【0008】
すなわち、使用者は前記自動車走行試験システムで走行試験の試験モードを選択するだけで、その選択された試験モードに対応する冷却ファンモードが選択できるので、それだけ、設定ミスを少なくすることができ。また、連続して複数の試験モードによる走行試験(とりわけ排ガステスト)を行なう場合において、試験モードの変更に伴って冷却ファンモードの変更が必要になる場合にも、手動による設定を全く行う必要がなく、全自動で幾つもの走行試験を行うことができる。
【0009】
なお、本明細書における試験モードとは、各国の規制によって自動車の走行試験用に定められた自動車の走行パターン、および、この走行パターンに従って自動車を運転したときに排出される排気ガスを採取して測定する測定方法や制御方法などの型(または形式)である。また、路上走行をシミュレーションするための動作モードとは、自動車が路上を走行するときの風量、走行負荷の大きさなどの種々の外的変化を模擬的に起こす冷却ファンやシャシーダイナモローラなどの制御方法の型(または形式)である。
【0010】
前記シミュレータ装置が、前記冷却ファンと、この冷却ファンの強弱を外部からの入力によって切り換えられる所定の動作の型に従って行なう冷却ファン制御部とを有し、前記シミュレータ装置の動作モードが冷却ファンの動作の型である冷却ファンモードを含んでいるので、その冷却ファンモードを自動車走行試験システムから切り換えることができ、設定を自動化することができる。すなわち、本発明における冷却ファンモードとは、各試験モードに合わせて、自動車に吹きつける空気の流量を制御するための冷却ファンの動作の型(または形式)である。
【0011】
言い換えるなら、前記自動車走行試験システムは試験モードを認識しているため、自動車走行試験システムから冷却ファン制御部の接点の制御をすることで、人間はドライバーズエイドでモードを選択するだけでエンジンの冷却ファンモードが選択できる。なお、規制の試験モード以外の状況で走行したい場合には冷却ファン制御部を手動で操作して冷却ファンモードを選択することも可能である。この場合、設定ミスを防止するために、冷却ファン制御部が手動に設定されているときには自動車走行試験システム側からの冷却ファンモードの制御が不可能であることを示す表示部を、自動車走行試験システムに設けることが望ましい。
【0012】
また、本発明の自動車排ガス測定システムは、自動車の走行状態を模擬的に作るためのシミュレータ装置と、このシミュレータ装置上で試験モードによって定められた走行パターンにしたがって走行させる自動車自動運転装置と、自動車の前部に配置されて自動車に空気を吹きつける冷却ファン及びこの冷却ファンによる風量を制御する冷却ファン制御部と、選択された試験モードによって定められた走行パターンに従って自動車を走行させたときに該自動車から排出される排ガスを測定するガス測定装置と、このガス測定装置の測定結果から排ガスの排出量を演算する演算処理部を有する自動車排ガス測定管理装置とを有する自動車排ガス測定システムであって、前記試験モードは、前記冷却ファンによる風量が固定で風速を強弱に制御するように規制された冷却ファンモードに対応する試験モード、及び、風量が可変で風速を車速に追従制御するように規制された冷却ファンモードに対応する試験モードの複数に設定されており、自動運転によって実行すべき複数の試験モードを指定し、その指定された順番で自動的に連続して走行試験を行うスケジュールを立てる編集画面を有し、この編集画面での試験モードの選択に伴って、前記演算処理部が、その選択された試験モードに対応する冷却ファンモードを自動的に選択する機能を有していることを特徴としている(請求項2)
【0013】
したがって、本発明の自動車排ガス測定管理装置を、自動車の走行状態を模擬的に作るためのシミュレータ装置と、シミュレータ装置上で試験モードに定められた走行パターンにしたがって走行させたときに自動車から排出される排ガスを測定するガス測定装置に接続することにより、使用者は走行試験の試験モードを選択するだけで、その選択された試験モードに対応する冷却ファンモードの選択も行うことができるので、それだけ、設定ミスを少なくすることができる。また、連続して複数の試験モードによる排ガス測定を行なう場合にも、全自動で幾つもの自動車に対する排ガス測定排ガス測定を行うことができる。
【0014】
前記シミュレータ装置の動作モードが、規制の試験モード以外の状況で走行したい場合に備えて、冷却ファン制御部を手動で操作して冷却ファンモードを選択可能とすることが望ましく、この場合には、設定ミスを防止するために、冷却ファン制御部が手動に設定されているときには自動車排ガス測定管理装置側からの冷却ファンモードの制御が不可能であることを示す表示部を、自動車排ガス測定管理装置に設けることが望ましい。
【0015】
本発明のシミュレーションモード選択プログラムは、自動運転によって実行すべき試験モードを設定するための編集画面において順次実行する複数の試験モードを指定して立てられた試験モードのスケジュールに指定された順番で自動的に連続して実行される試験モードの選択に応じて、この試験モードに対応する冷却ファンモードを自動的に選択するモード選択ステップと、選択したモードに従って冷却ファン制御部を制御する制御ステップとを有することを特徴としている(請求項3)。
【0016】
すなわち、前記シミュレーションモード選択プログラムを実行することにより、前記シミュレータ装置およびガス測定装置を制御可能に構成された演算処理部は、使用者による走行試験の試験モードの選択に伴って冷却ファンモードの選択を行うので、それだけ、設定ミスを少なくすることができ、設定の自動化を図ることができる。また、連続して複数の試験モードによる走行試験を行なう場合にも、シミュレーションモード選択プログラムによる制御によって全自動で幾つもの走行試験を行うことができる。
【0017】
前記冷却ファンが手動制御に切り換えられている状態では、試験モードの選択に応じた冷却ファンモードの選択が不可能であることを表示するアラーム表示するアラーム表示ステップを有する場合(請求項4)には、冷却ファンを手動によって制御して、任意の動作モードを設定できると共に、手動による設定状態では、アラーム画面を表示するなどして冷却ファンが自動制御で切り換え可能な状態ではないことについて、操作者に注意を促すことができ、設定ミスがない。
【0018】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。まず、図1はこの発明の自動車排ガス測定システムの構成の一例を概略的に示すもので、この図において、1は本発明の自動車排ガス測定システムの全体を示しており、2は計測室(図示していない)内に設けられる自動車排ガス測定管理装置(以下、測定管理装置という)で、パソコン等適宜のコンピュータよりなり、各種のデータを表示する表示部2aおよび演算処理部2bを備えている。3は有線または無線のLANであり、後述する各機器4〜7,10とデータを相互に授受できるようにしてある。
【0019】
そして、4,5,6a,7aは、計測室とは気密に区画されたテスト室(図示していない)内に設けられるガス測定装置、定容量サンプリング装置(CVS)、シミュレータ装置6の制御部、自動車自動運転装置7の制御部で、測定管理装置2とはLAN3によって接続されている。本例のシミュレータ装置6の制御部6aは例えばシャシダイナモ制御部6a1と、冷却ファン制御部6a2とを有している。なお、以下において、計測室とテスト室とを併せてセルということもある。
【0020】
また、6bはテスト室内に設けられるシャシダイナモメータで、シャシダイナモ制御部6a1によって制御され、そのローラ6cにはテスト対象である自動車8の駆動車輪8aが載置される。6dは冷却ファンであり、冷却ファン制御部6a2によって制御され、所定の動作の型に従って強弱制御された風量の空気を自動車8に吹きつけるように自動車8の前に配置される。7bは自動車自動運転装置7の自動運転ロボットで、自動車8の運転席に適宜の手法によりセットされ、自動車自動運転装置制御部7aからの信号によって制御される。
【0021】
前記測定管理装置2は、測定管理装置2内に格納されている各種の試験モードに適合する自動車8の操作を行わせ、測定データの取りまとめおよびその管理を行うもので、ガス測定装置4、CVS5、シミュレータ装置6、自動車自動運転装置7に対してLAN3を介して制御信号を発し、これらを動作させるとともに、これらの装置4〜7から出力される信号に基づいて各種の演算、例えば、ガス測定装置4からの信号に基づいて測定対象成分の濃度や量等の演算を行い、演算結果を測定データとして格納する。なお、この測定管理装置2のデータベース内には、前記試験モードのほか、テストに使用する自動車8のシフトタイプの情報や、CVS5を使用するか否かのイベント情報、さらには、車両情報等が格納されている。
【0022】
そして、前記ガス測定装置4は、測定原理の異なる複数のガス分析計を搭載しており、測定管理装置2からの指令に基づいてエンジン排ガスG中に含まれるHC、NOx、CO、CO2等の各成分を各別に測定することができ、その測定データを測定管理装置2に送出する。
【0023】
また、前記CVS5は、測定管理装置2からの指令に基づいて希釈用空気Aによって希釈された排ガスGをサンンプルガスSとして常に一定の容量でサンプリングするもので、CFV16(図2参照)等によって測定される流量信号等を測定管理装置2に送出する。
【0024】
さらに、シャシダイナモ制御部6a1は、測定管理装置2からの指令によって制御され、シャシダイナモメータ6bのローラ6cに試験対象の自動車8の駆動輪8aを載置し、その動力吸収発生を行うもので、ローラ6cに設けられた速度センサやトルクセンサ(いずれも図示していない)等からの出力を測定管理装置2に送出する。
【0025】
また、前記自動車自動運転装置7は、測定管理装置2から試験モードによって定められた走行パターンに従って自動車8を自動運転するものである。
【0026】
そして、10は大型表示パネルで、計測室からも見えるようにテスト室内に設けられ、測定管理装置2からの信号に基づいて、無人運転/有人運転、エンジン回転、車速、ブースト圧、各種のアラーム等が表示される。
【0027】
図2は前記自動車排ガス測定システムにおける主たるハード部分の構成の一例を概略的に示すもので、この図において、8bは自動車8のエンジン、8cはエンジン8bに連なる排気管である。13は排気管8cに接続される排ガス流路で、その下流側には、CVS5の配管5aが接続されている。この配管5aは、その上流側には、希釈空気精製機(以下,DARという)14を備えた希釈空気供給路15が接続されており、エンジン8bからの排ガスGが希釈用空気Aによって適宜希釈される。また、前記配管5aは、その下流側には、クリチカルフローベンチュリ(CFV)16および吸引用ブロア17を備えるとともに、CFV16のやや上流側に希釈された排ガスGをサンプルガスSとして採取するためのサンプリング部18aを備えたガスサンプリング配管18が接続されており、定容量でサンプルガスSを採取するように構成されている。なお、19は希釈空気供給路15に設けられる大気バイパス口で、20はその開閉弁である。
【0028】
図3は測定管理装置2のスケジューラとしての機能を説明する図である。すなわち、測定管理装置2は、自動車排ガス測定システムにおける排ガス測定の設定およびそのスケジューリング、および、システム内の各機器の電源のオン/オフ制御を司るとともに、分析結果等の表示機能およびスパンガス濃度の管理機能をも備えている。なお、本発明は測定管理装置2がスケジューラとしての機能を有することに限定されるものではない。つまり、測定管理装置2にLAN3などによって接続されたスケジューラを別途設けてもよいことはいうまでもない。
【0029】
図3に示すスケジューラは、自動車排ガス測定システムの年間カレンダー(設備計画)を入力することができ、画面に、例えば8日分の稼働(休日も含む)予定表21が示され、稼働日、休日、終了、無人運転の別を明示する。そして、スクロールバー22により、週単位でスクロールすることができる。また、この画面には、「コピー」、「貼り付け」、「適用」、「キャンセル」、「無人運転」、「運転停止」等のボタン23が設けられている。
【0030】
図4は、1日に複数の試験モードを自動運転によって実行するために設定する編集画面の一例を示す図である。操作者は一覧表24の中から所定の動作または試験モードを選択することにより、測定管理装置2によって行なう各部4〜7,10の制御のスケジュールを立てることができる。また、本例では一例としてLA4モードによる試験に続いて、HWYモードによる試験を行い、さらに、US06モードによる試験を自動的に連続して行なうようにスケジュールを立てた例を示している。
【0031】
また、各試験モードの選択に応じて、シミュレータ装置6によって模擬走行を行うときの制御方法の型を変更する必要があり、とりわけ、冷却ファンの制御方法(すなわち冷却ファンモード)を変更する必要がある。表1は試験モードと冷却ファンモードの対応関係を示す表である。また、試験モードの選択に応じて変更するべきシミュレータ装置6の制御方法の型は冷却ファンモードのみならず、シャシダイナモメータ6bの制御方法の型(すなわちシャシダイナモの制御モード)も変更可能として、より厳密な試験モードの設定を行うようにすることも可能である。
【0032】
【表1】
【0033】
図5は測定管理装置2内における動作および測定管理装置2とシミュレータ制御部6aとの間で行われる各種信号のやり取りを概念的に示す図である。図5において、2Aと2Bはそれぞれ測定管理装置2内の演算処理部2bによる排ガス演算プログラムPaの実行によって自動車8の排ガスの排出量などを演算する排ガス演算部と、ドライバーズエイドプログラムPbの実行によって走行パターンに合わせた自動車8の運転を行なうドライバーズエイド部である。
【0034】
なお、本発明は排ガス演算部2Aおよびドライバーズエイド部2Bはソフトウェアによって形成されることに限定するものではなく、排ガス演算装置(またはユニット)と、ドライバーズエイド(ユニット)によって形成されてもよい。また、測定管理装置2内の演算処理部2bを排ガス演算部2Aとドライバーズエイド部2Bに分けることに限定されるものでもない。
【0035】
作業者は順次実行する複数の試験モードを排ガス演算部2Aに対して指定(図4参照)すると、排ガス演算部2Aは指定された順番に走行試験(排ガス試験)を行なう。また、各時点において実行する試験モードに対応する走行パターンをドライバーズエイド部2Bに対して指示する。なお、排ガス試験を行わないで、走行のみを行なう場合には、作業者はドライバーズエイド部2Bを直接的に操作して走行パターンを選択することも可能である。
【0036】
ドライバーズエイド部2Bは指定された走行パターンに合わせて自動車自動運転装置7を制御する一方で、エンジン冷却ファン制御部6a2(すなわちシミュレータ装置6)に対して冷却ファンモードの選択を行なう冷却ファンモード信号S1を出力する。つまり、前記測定管理装置2内の演算処理部2bは、試験モードの選択に伴って前記シミュレータ装置6(とりわけエンジン冷却ファン制御部6a2)の適切な動作モードを選択する機能を有する。また、走行中は状況に応じて、ドライバーズエイド部2Bは冷却ファン6dのオン/オフ制御信号S2を出力する。
【0037】
一方、冷却ファン制御部6a2 の操作プレート25には例えば冷却ファンのONボタン25a,OFFボタン25b,自動ボタン25c,手動ボタン25d,EPAボタン25e,US06ボタン25f,速度追従ボタン25g,マニュアルボタン25hに加えて、風量調節ボリューム26を設けている。したがって、作業者が操作プレート25の中から手動ボタン25dを操作することにより、測定管理装置2からの信号S1,S2の入力があっても無くても、これを無視してボタン25e〜25hによって選んだ動作モードに従って冷却ファン制御部6a2を手動で制御する手動制御状態に切り換えることができる。
【0038】
なお、作業者がEPAボタン25eは、前記表1に示したLA4モードと、HWYモードに対応する冷却ファンモードを選択するボタンであり、ボタン25fUS06モード、ボタン25gは欧州や日本のモードにそれぞれ対応する冷却ファンモードを選択するボタンである。加えて、ボタン25hは風量調節ボリューム26によって指定した風量の空気を送風する冷却ファンモードを選択するボタンである。そして、ボタン25cは外部からの信号S1,S2の入力に従った自動制御を可能とする自動制御状態に切り換えるためのボタンである。
【0039】
一方、冷却ファン制御部6a2からは自動制御状態であるか手動制御状態であるかを示す自動/手動ステータス情報S3を出力し、これが測定管理装置2内のドライバーズエイド部2Bおよび排ガス演算部2Aに入力される。また、冷却ファン制御部6a2が手動制御状態であるときには、表示パネル10に自動制御状態ではないことを作業者に警告するためのメッセージ10aを表示する。
【0040】
図6は前記測定管理装置2内の演算処理部2bによって実行されるシミュレーションモード選択プログラムPの動作を説明する図である。なお、このシミュレーションモード選択プログラムPは前記排ガス演算プログラムPaおよび/またはドライバーズエイドプログラムPbの一部を構成するものであっても、両プログラムPa,Pbとは別に動作するものであってもよい。
【0041】
図6において、S1は前記自動/手動ステータス情報S3を用いて冷却ファン6dの状態を確認するステップであり、このステップS1において冷却ファン6dが手動制御状態である場合には、ステップS2に分岐する。そしてステップS2において表示パネル10にアラーム表示が行われてプログラムが終了する。
【0042】
S3は作業者によって指定された試験モードが米国の規制によって定められたUSモード(すなわち、US06モード,LA4モード,HWYモードの何れか)であるかどうかを判断するステップであり、USモードある場合にはステップS5に分岐し、USモードでない場合にはステップS4に処理を進める。
【0043】
S4は冷却ファンモードとして車速追従モードを設定するための信号S1を冷却ファン制御部6a1に出力するステップである。すなわち、日本の10・15モードの場合も、ヨーロッパのECモードや新ECモードの場合も、このステップS4の処理によって冷却ファン6dは車速追従モードによる風量の自動制御を行なうように設定されてシミュレーションモード選択プログラムPを終了する。
【0044】
S5は前記試験モードがUS06モードであるかどうかを判断するステップであり、このUS06モードである場合にはステップS7に分岐し、US06モードでない場合には、次のステップS6に処理を進める。
【0045】
S6は冷却ファンモードとして低流速モード(EPA固定流速モード)を設定するための信号S1を冷却ファン制御部6a1に出力するステップである。すなわち、米国のLA4モードおよびHWYモードの場合には、このステップS6の処理によって冷却ファン6dは流量の低い固定流量制御を行なうように設定されてシミュレーションモード選択プログラムPを終了する。
【0046】
S7は冷却ファンモードとして大流速モード(US06固定流速モード)を設定するための信号S1を冷却ファン制御部6a1に出力するステップである。すなわち、米国のUS06モードの場合には、このステップS7の処理によって冷却ファン6dは流量の大きい固定流量制御を行なうように設定されてシミュレーションモード選択プログラムPを終了する。
【0047】
以上の各ステップS1〜S7からなるシミュレーションモード選択プログラムPは試験モードの選択に応じて、この試験モードに対応するシミュレータ装置6の動作モード(車速追従モード,EPA固定流速モード,US06固定流速モードの何れか)を選択するモード選択ステップS3,S5と、選択した動作モードに従ってシミュレータ装置6を制御する制御ステップS4,S6,S7とを有する。また、前記シミュレーションモード選択プログラムPはシミュレータ装置6が手動制御に切り換えられている状態では、試験モードの選択に応じたシミュレータ装置の動作モードの選択が不可能であることをアラーム表示するアラーム表示ステップS2を有する。
【0048】
すなわち、作業者は測定管理装置2に対してこれから行おうとしている試験モードを入力するだけ、あるいは1日に予定している全ての試験モードを入力するだけで、冷却ファン6dを含むシミュレータ装置6が適切な動作モードで自動制御されて、規制に準拠した正確な測定を行うことができる。
【0049】
さらに、複数の試験モードによる走行試験を連続して行う場合に、シミュレータ装置6の動作モードを変更する必要があったとしても、シミュレータ装置6の動作モードを自動的に切り換えることができるので、作業者の手を煩わす必要がなくなる。
【0050】
また、試験モードとして定められていないような任意の走行パターンによる走行試験を行なう場合には、冷却ファン6dを含むシミュレータ装置6を手動制御状態に切り換えて、その動作モードを手動で設定することが可能である。そして、再び規定の試験モードに準拠した走行試験を行なうときにシミュレータ装置6が手動制御状態である場合には、これがアラーム表示10aが出力されるので、規制にあわない走行試験を行なうような操作ミスの発生を最小限に抑えることができる。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、作業者の操作ミスの発生を最小限に抑えることができ、従来は困難であった複数の試験モードでの試験を任意の時間に自動(無人)で実行することができ、その使い勝手が向上する。したがって、自動車走行試験、自動車排ガス測定の省力化および効率化が促進される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の自動車排ガス測定システムの構成の一例を概略的に示す図である。
【図2】 前記測定システムにおける主たるハード部分の構成の一例を概略的に示す図である。
【図3】 前記測定システムにおいて用いるスケジューラ機能を説明する図である。
【図4】 前記スケジューラ機能を説明する別の図である。
【図5】 前記自動車排ガス測定管理装置による制御の流れを示す図である。
【図6】 前記自動車排ガス測定管理装置の演算処理部によって実行されるシミュレーションモード選択プログラムの動作を説明する図である。
【符号の説明】
1…自動車排ガス測定システム、2…自動車排ガス測定管理装置、2b…演算処理部、4…ガス測定装置、5…定容量サンプリング装置、6…シミュレータ装置、6a2 …冷却ファン制御部、6d…冷却ファン、7…自動車自動運転装置、8…自動車、10a…アラーム表示、G…排ガス、P…シミュレーションモード選択プログラム、S3,S5…モード選択ステップ、S4,S6,S7…シミュレータ装置を制御する制御ステップ、S2…アラーム表示ステップ。
Claims (4)
- 自動車の走行状態を模擬的に作るためのシミュレータ装置と、
このシミュレータ装置上で自動車を試験モードによって定められた走行パターンにしたがって走行させる自動車自動運転装置と、
自動車の前部に配置されて自動車に空気を吹きつける冷却ファン及びこの冷却ファンによる風量を制御する冷却ファン制御部と、
演算処理部とを有する自動車走行試験システムであって、
前記試験モードは、前記冷却ファンによる風量が固定で風速を強弱に制御するように規制された冷却ファンモードに対応する試験モード、及び、風量が可変で風速を車速に追従制御するように規制された冷却ファンモードに対応する試験モードの複数に設定されており、
自動運転によって実行すべき複数の試験モードを指定し、その指定された順番で自動的に連続して走行試験を行うためのスケジュールを立てる編集画面を有し、この編集画面での試験モードの選択に伴って、前記演算処理部が、その選択された試験モードに対応する冷却ファンモードを自動的に選択する機能を有していることを特徴とする自動車走行試験システム。 - 自動車の走行状態を模擬的に作るためのシミュレータ装置と、
このシミュレータ装置上で試験モードによって定められた走行パターンにしたがって走行させる自動車自動運転装置と、
自動車の前部に配置されて自動車に空気を吹きつける冷却ファン及びこの冷却ファンによる風量を制御する冷却ファン制御部と、
選択された試験モードによって定められた走行パターンに従って自動車を走行させたときに該自動車から排出される排ガスを測定するガス測定装置と、
このガス測定装置の測定結果から排ガスの排出量を演算する演算処理部を有する自動車排ガス測定管理装置とを有する自動車排ガス測定システムであって、
前記試験モードは、前記冷却ファンによる風量が固定で風速を強弱に制御するように規制された冷却ファンモードに対応する試験モード、及び、風量が可変で風速を車速に追従制御するように規制された冷却ファンモードに対応する試験モードの複数に設定されており、
自動運転によって実行すべき複数の試験モードを指定し、その指定された順番で自動的に連続して走行試験を行うスケジュールを立てる編集画面を有し、この編集画面での試験モードの選択に伴って、前記演算処理部が、その選択された試験モードに対応する冷却ファンモードを自動的に選択する機能を有していることを特徴とする自動車排ガス測定システム。 - 請求項1に記載の自動車走行試験システムまたは請求項2に記載の自動車排ガス測定システムの演算処理部によって実行されるプログラムであって、
自動運転によって実行すべき試験モードを設定するための編集画面において順次実行する複数の試験モードを指定して立てられた試験モードのスケジュールに指定された順番で自動的に連続して実行される試験モードの選択に応じて、この試験モードに対応する冷却ファンモードを自動的に選択するモード選択ステップと、
選択したモードに従って冷却ファン制御部を制御する制御ステップと
を有することを特徴とするシミュレーションモード選択プログラム。 - 前記冷却ファンが手動制御に切り換えられている状態では、試験モードの選択に応じた冷却ファンモードの選択が不可能であることをアラーム表示するアラーム表示ステップを有する請求項3に記載のシミュレーションモード選択プログラム。
Priority Applications (1)
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JP2002206383A JP4176406B2 (ja) | 2002-07-16 | 2002-07-16 | 自動車走行試験システム、自動車排ガス測定システム、および、シミュレーションモード選択プログラム |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002206383A JP4176406B2 (ja) | 2002-07-16 | 2002-07-16 | 自動車走行試験システム、自動車排ガス測定システム、および、シミュレーションモード選択プログラム |
Publications (2)
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