JP3667607B2 - 自動車排ガス測定システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車のエンジンから排出される排ガスを自動で測定することのできる自動車排ガス測定システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のエンジン排ガスに含まれる炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOX)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)等の成分を測定する自動車排ガス測定システムとして、従来より、シャシダイナモ装置に搭載された自動車を走行モードにしたがって自動車自動運転装置によって走行させ、そのときに排出される排ガスを定容量サンプリング装置によって採取し、この採取されたサンプルガスを、測定原理の異なる複数のガス分析計を搭載したガス測定装置に供給して前記各成分をそれぞれ測定し、その測定結果を自動車排ガス測定管理装置において管理するようにしたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の自動車排ガス測定システムにおいては、単一の測定のときはともかく、複数の測定を行うときには、人が必ず実行しなければならず、自動測定を行うことができなかった。そして、この種の自動車排ガス測定装置においては、前記各種の装置のうちには、測定前に暖機を行ったり、測定後にクーリングダウンを行うものがあるが、これらの暖機やクーリングダウンの時間は、装置によってはかなり長いものがあり、本来の測定以外の所謂段取りに測定より長い時間を要することがあり、これらの段取りを人手によって行う必要があった。したがって、従来の自動車排ガス測定システムにおいては、任意の時間に任意数の測定を自動で行わせることができなかった。
【0004】
そして、従来の自動車排ガス測定システムにおいては、測定結果等を管理する等システム全体を統括する自動車排ガス測定管理装置が、ガス測定装置や定容量サンプリング装置と信号の授受を行っていたため、測定中、過去の測定結果を自由に参照することができなかった。
【0005】
この発明は、上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、単一の測定は勿論のこと、複数の測定であっても、任意の時間に自動で実行することができるとともに、過去の測定結果等を自由に参照することができる新規で有用な自動車排ガス測定システムを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明は、自動車を走行モードにしたがってローラ上で走行させ、そのときに排出される排ガスを採取し、この採取されたサンプルガスをガス測定装置において測定し、その測定結果を自動車排ガス測定管理装置において管理するようにした自動車排ガス測定システムにおいて、始動、終了を含む排ガス測定のスケジューリング、および、システム内の各機器の電源のオン/オフ制御を司るとともに、分析結果等のテストにおける各情報を表示する機能を備えたスケジュール管理装置を、前記自動車排ガス測定管理装置とは別に設け、前記スケジュール管理装置と前記自動車排ガス測定管理装置との間で信号の授受を行うことができるように構成して、任意の時間に複数のテストモードによる任意の数の測定を自動で実行できるようにしている(請求項1)。
この場合、スケジュール管理装置に、スパンガス濃度の管理機能を備えさせるようにしてもよい(請求項2)。
【0007】
上記構成によれば、単一の測定は勿論のこと、複数の測定であっても、任意の時間に自動で実行することができる。そして、スケジュール管理装置を自動車排ガス測定管理装置とは別に設けた場合に、スケジュール管理装置に、分析結果等のテストにおける各情報の表示機能をもたせたので、過去の測定結果等を自由に参照することができ、その使い勝手が向上できる。したがって、この発明によれば、排ガス測定の効率化および省力化が促進される。
【0008】
また、この発明は別の観点から、自動車を走行モードにしたがってローラ上で走行させ、そのときに排出される排ガスを採取し、この採取されたサンプルガスをガス測定装置において測定し、その測定結果を自動車排ガス測定管理装置において管理するようにした自動車排ガス測定システムにおいて、始動、終了を含む排ガス測定のスケジューリング、および、システム内の各機器の電源のオン/オフ制御を司る機能を、前記自動車排ガス測定管理装置に備えさせるように構成して、任意の時間に複数のテストモードによる任意の数の測定を自動で実行できるようにしたことを特徴とする自動車排ガス測定システムを提供する(請求項3)。この場合、自動車排ガス測定管理装置にスパンガス濃度の管理機能をもたせるようにしてもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。まず、図1はこの発明の自動車排ガス測定システムの構成の一例を概略的に示すもので、この図において、1,2は計測室(図示していない)内に設けられる自動車排ガス測定管理装置(以下、測定管理装置という)、スケジュール管理装置(以下、スケジューラという)で、それぞれ、パソコン等適宜のコンピュータよりなり、各種のデータを表示する表示部1a,2aを備えている。そして、これらの測定管理装置1とスケジューラ2は、有線方式のLAN3によって接続され、データを相互に授受できるようにしてある。
【0010】
そして、4,5,6a,7aは、計測室とは気密に区画されたテスト室(図示していない)内に設けられるガス測定装置、定容量サンプリング装置(CVS)、シャシダイナモ装置6の制御部、自動車自動運転装置7の制御部で、測定管理装置1とはLAN3によって接続されている。なお、以下において、計測室とテスト室とを併せてセルということもある。
【0011】
また、6bはテスト室内に設けられるシャシダイナモメータで、シャシダイナモ制御部6aによって制御され、そのローラ6cにはテスト対象である自動車8の駆動車輪8aが載置される。7bは自動車自動運転装置7の自動運転ロボットで、自動車8の運転席に適宜の手法によりセットされ、自動車自動運転装置制御部7aからの信号によって制御される。
【0012】
前記測定管理装置1は、スケジューラ2からの指令に基づいて、測定管理装置1内に格納されている各種の試験モードを行わせ、測定データの取りまとめおよびその管理を行うもので、ガス測定装置4、CVS5、シャシダイナモ装置6、自動車自動運転装置7に対してLAN3を介して制御信号を発し、これらを動作させるとともに、これらの装置4〜7から出力される信号に基づいて各種の演算、例えば、ガス測定装置4からの信号に基づいて測定対象成分の濃度や量等の演算を行い、演算結果を測定データとして格納する。なお、この測定管理装置1のデータベース内には、前記試験モードのほか、テストに使用する自動車8のシフトタイプの情報や、CVS5を使用するか否かのイベント情報、車両情報等が格納されている。なお、スケジューラ2の機能については、後で詳しく説明する。
【0013】
そして、前記ガス測定装置4は、測定原理の異なる複数のガス分析計を搭載しており、測定管理装置1からの指令に基づいてエンジン排ガスG中に含まれるHC、NOX 、CO、CO2 等の各成分を各別に測定することができ、その測定データを測定管理装置1に送出する。
【0014】
また、前記CVS5は、測定管理装置1からの指令に基づいて希釈用空気Aによって希釈された排ガスGをサンプルガスSとして常に一定の容量でサンプリングするもので、CFV16(図2参照)等によって測定される流量信号等を測定管理装置1に送出する。
【0015】
さらに、シャシダイナモ装置6は、測定管理装置1からの指令によって制御され、そのローラ6cに試験対象の自動車8の駆動輪8aを載置し、その動力吸収発生を行うもので、ローラ6cに設けられた速度センサやトルクセンサ(いずれも図示していない)等からの出力を測定管理装置1に送出する。
【0016】
また、前記自動車自動運転装置7は、測定管理装置1から走行モード(テストモード)の走行パターンに基づいて自動車8を所定の走行モードで自動運転するものである。
【0017】
そして、図1において、9は自動車8の前方に設けられるエンジン冷却ファンである。10は大型表示パネルで、計測室からも見えるようにテスト室内に設けられ、スケジューラ2からの信号に基づいて、無人運転/有人運転、エンジン回転、車速、ブースト圧、各種のアラーム等が表示される。
【0018】
また、図1において、11はスパンガス濃度設定用パソコンで、LAN3を介して測定管理装置1およびスケジューラ2と接続されている。また、12a,12b,12c…は、テスト室内に設けられる付帯的な設備であり、この実施の形態においては、空調設備、警報器、消火設備を例示している。これらの設備12a,……は、スケジューラ2によって制御または管理される。
【0019】
図2は前記自動車排ガス測定システムにおける主たるハード部分の構成の一例を概略的に示すもので、この図において、8bは自動車8のエンジン、8cはエンジン8bに連なる排気管である。13は排気管8cに接続される排ガス流路で、その下流側には、CVS5の配管5aが接続されている。この配管5aは、その上流側には、希釈空気精製機(以下,DARという)14を備えた希釈空気供給路15が接続されており、エンジン8bからの排ガスGが希釈用空気Aによって適宜希釈される。また、前記配管5aは、その下流側には、クリチカルフローベンチュリ(CFV)16および吸引用ブロア17を備えるとともに、CFV16のやや上流側に希釈された排ガスGをサンプルガスSとして採取するためのサンプリング部18aを備えたガスサンプリング配管18が接続されており、定容量でサンプルガスSを採取するように構成されている。なお、19は希釈空気供給路15に設けられる大気バイパス口で、20はその開閉弁である。
【0020】
次に、スケジューラ2の機能について、図3〜図11をも参照しながら説明する。このスケジューラ2は、自動車排ガス測定システムにおける排ガス測定の設定およびそのスケジューリング、および、システム内の各機器の電源のオン/オフ制御を司るとともに、分析結果等の表示機能およびスパンガス濃度の管理機能をも備えている。
【0021】
すなわち、スケジューラ2は、自動車排ガス測定システムの年間カレンダー(設備計画)を入力することができる。図3に示すように、画面に、例えば8日分の稼働(休日も含む)予定表21が示され、稼働日、休日、終了、無人運転の別を明示する。そして、スクロールバー22により、週単位でスクロールすることができる。また、この画面には、「コピー」、「貼り付け」、「適用」、「キャンセル」、「無人運転」、「運転停止」等のボタン23が設けられている。
【0022】
そして、前記スケジューラ2は、前記年間カレンダーで設定した稼働日/休日/長期運休の違いによる各機器の電源オン/オフやガス測定装置4の分析計のSTBY(スタンバイ)/PAUSE、シャシダイナモ装置6の暖機等を、例えば図4に示すように、設定することができる。この図4は、朝晩の定常業務の自動化テーブル(設備状態)の入力の一例を示している。このため、スケジューラ2は、電源投入のためのシグナルフローを表す図5に示すように、各電源のための接点信号を出力するか測定管理装置1に対して、コマンドを発する。この図5中において、24は無停電電源装置である。
【0023】
また、前記スケジューラ2は、図6に示すようにしてテストシーケンスの入力を行う。ここで入力される内容としては、例えば図7に示すように、測定管理装置1内に格納されている試験モード、シフトタイプの情報、CVS5を使用するか否かのイベント情報、車両情報等を指定したり(同図(A)参照)、各種の校正を行うか否かの指定を行ったり(同図(B)参照)、距離単位の指定や連続測定を行うか否かの指定を行う(同図(C)参照)等である。複数のテストを順次行う場合には、図8に示すテストモードの編集画面により編集を行う。
【0024】
さらに、前記スケジューラ2は、システム内の各機器や設備において異常または故障が生じた場合、前記各機器等に設けられた異常検知器や警報機等からのアラーム信号が入力され、その入力された信号に基づいて、発生している異常等の内容を表示したり、異常等を処理するための指令を発したり、アラーム内容についてデータベースに記録する等の機能を備えている。図9は、システム内におけるアラームに関するシグナルフローの一例を示すものである。
【0025】
図10は、テスト中におけるスケジューラ2の表示画面の一例を示すもので、この例においては、左右2つの画面25A,25Bに区画され、左の画面25Aには、テストモード名が符号26で示すように表示され、現在テスト中のものには、ポインティングマーク27が付されている。このポインティングマーク27より上位位置に表示されている2つのテストモード名26は太枠28で囲まれているが、ポインティングマーク27より下位位置に表示されている3つのテストモード名26には単に枠29で囲まれている。これは、前記上二つのテストモードがこの時点ですでに終了しており、下3つのテストモードはこれから行われるものであり、テスト済み、テスト中、テスト予定のものがそれぞれ他のものと区別して一目で判るように表示されている。
【0026】
そして、前記右の画面25Bには、表示内容を選択するための複数のタグ30が設けられており、このタグ30を選択することにより、テストにおける各情報が表示されるようにしてあり、図示例では、「終了結果」を示すためのタグ30が選択され、終了したテストの結果が表示されている。このように、この実施の形態においては、スケジューラ2において、測定結果が表示されるので、過去の測定データを任意に参照することができる。
【0027】
図11は、テスト中におけるスケジューラ2の表示画面の他の例を示すものでこの例においては、右の表示画面25Bにおいて、「概要」を示すためのタグ30が選択され、テストの概要が表示されている。
【0028】
上述したように、上記実施の形態における自動車排ガス測定システムにおいては、排ガス測定の設定およびそのスケジューリング、および、システム内の各機器の電源のオン/オフ制御を司るスケジューラ2を、測定管理装置1とは別に設け、これらの装置2,1をLAN3で接続し、これら2,1の間で信号の授受を行えるようにしているので、単一の測定は勿論のこと、複数の測定であっても、任意の時間に自動で実行することができるとともに、過去の測定結果等を自由に参照することができる。
【0029】
この発明は、種々に変形して実施することができ、例えばLAN3としては、無線によるものであってもよい。また、上述の実施の形態においては、本来、自動車排ガス測定システムに設けられている測定管理装置1とは別に、排ガス測定の設定およびそのスケジューリング、および、システム内の各機器の電源のオン/オフ制御を司る機能を有するスケジューラ2を設けていたが、これに代えて、前記機能を測定管理装置1にもたせるようにしてもよい。この場合、測定管理装置1としては、処理スピードがより高速で、メモリ容量の大きいものを用いる必要がある。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明では、従来の自動車排ガス測定システムにスケジュール管理機能を設けているので、従来は困難であった、任意の時間に複数のテストモードによる任意の数の測定を自動で実行することができる。また、スケジュール管理装置を自動車排ガス測定管理装置とは別に設けた場合においては、スケジュール管理装置に、分析結果等のテストにおける各情報の表示機能を備えさせているので、過去の測定結果等を自由に参照することができ、その使い勝手が向上する。したがって、自動車排ガス測定の省力化および効率化が促進される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の自動車排ガス測定システムの構成の一例を概略的に示す図である。
【図2】 前記測定システムにおける主たるハード部分の構成の一例を概略的に示す図である。
【図3】 前記測定システムにおいて用いるスケジューラの機能を説明するための図である。
【図4】 前記スケジューラの機能を説明するための図である。
【図5】 前記測定システムにおける電源投入に関するシグナルフローの一例を示す図である。
【図6】 前記測定システムにおけるテストシーケンスに関するシグナルフローの一例を示す図である。
【図7】 前記テストシーケンスを説明するための図である。
【図8】 前記スケジューラによるテストモードの編集を説明するための図である。
【図9】 前記測定システムにおけるアラーム全体に関するシグナルフローの一例を示す図である。
【図10】 テスト中におけるスケジューラの表示画面の一例を示す図である。
【図11】 テスト中におけるスケジューラの表示画面の他の例を示す図である。
【符号の説明】
1…自動車排ガス測定管理装置、2…スケジュール管理装置、4…ガス測定装置、5…定容量サンプリング装置、6…シャシダイナモ装置、7…自動車自動運転装置、8…自動車、G…排ガス、S…サンプルガス。
Claims (3)
- 自動車を走行モードにしたがってローラ上で走行させ、そのときに排出される排ガスを採取し、この採取されたサンプルガスをガス測定装置において測定し、その測定結果を自動車排ガス測定管理装置において管理するようにした自動車排ガス測定システムにおいて、始動、終了を含む排ガス測定のスケジューリング、および、システム内の各機器の電源のオン/オフ制御を司るとともに、分析結果等のテストにおける各情報を表示する機能を備えたスケジュール管理装置を、前記自動車排ガス測定管理装置とは別に設け、前記スケジュール管理装置と前記自動車排ガス測定管理装置との間で信号の授受を行うことができるように構成して、任意の時間に複数のテストモードによる任意の数の測定を自動で実行できるようにしたことを特徴とする自動車排ガス測定システム。
- スケジュール管理装置に、スパンガス濃度の管理機能を備えさせてなる請求項1に記載の自動車排ガス測定システム。
- 自動車を走行モードにしたがってローラ上で走行させ、そのときに排出される排ガスを採取し、この採取されたサンプルガスをガス測定装置において測定し、その測定結果を自動車排ガス測定管理装置において管理するようにした自動車排ガス測定システムにおいて、始動、終了を含む排ガス測定のスケジューリング、および、システム内の各機器の電源のオン/オフ制御を司る機能を、前記自動車排ガス測定管理装置に備えさせるように構成して、任意の時間に複数のテストモードによる任意の数の測定を自動で実行できるようにしたことを特徴とする自動車排ガス測定システム。
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