JP4175648B2 - 加工装置 - Google Patents
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Description
この加工装置は、機械本体と、機械本体に取り付けられワークを載置するテーブルと、ワークを加工する工具を装着する主軸と、機械本体と主軸との間に介装されて主軸を回転可能に支持する接触式軸受と、主軸に対して微小ギャップを隔てて同心状に対向配置される給電電極と、機械本体と給電電極とを電気的に接続させる導線とを備えて構成される。機械本体、テーブル、主軸、給電電極は、いずれも導電性を有し、また、ワークおよび工具も導電性を有するものが選択される。そのため、加工の際にワークと工具とが近接あるいは接触されると、ワーク-工具-主軸-給電電極-導線-機械本体-テーブル-ワーク、の順に閉回路が構成される。この閉回路には、交流電源によって交流電流が流される。そして、この交流電流は抵抗器を含む電流検出手段によって検出される。
加工の際、ワークと工具とが十分に離間された位置から徐々に近接されて行って接触されるまでの間、ワークと工具とによって構成されるコンデンサの静電容量CLの変化に伴って、前記閉回路のインピーダンスが変化され、電流検出手段における検出電流が変化される。そのため、当該検出電流を通じてワークと工具との近接・接触を検知できる。
加工時に工具とワークとが互いに接触されると、ワーク-工具-工具保持部材-第一外周部材-導線-ワークの順に閉回路が構成される。ここで、第一非接触軸受が構成されているため、工具保持部材と第一外周部材とは非接触状態にあるが、電磁気的にはコンデンサ(以下、第一コンデンサ、という)が構成されていることになるので、交流電流であれば流すことができる。
閉回路には、交流電流供給手段によって交流電流が流される。工具とワークとの接触状態(加工状態)が変化すると、工具とワークとの間の接触抵抗(電気抵抗)などが変化することによって、閉回路のインピーダンスが変化し、閉回路に流れる交流電流が変化する。すると、検出手段における検出電流が変化して接触状態の変化が感知される。
監視制御手段は、検出電流に基づく信号の出力値を監視条件によって監視する。信号の出力値が軽接触/重接触判別閾値に対して重接触側の領域内の数値になる(以下、軽接触/重接触判別閾値を超える、と言う)と、監視条件が逸脱されたと判定され、監視制御手段は、監視条件を充足するようにワークと工具との接触状態を調整する。そのため、ワークと工具との接触状態が常に軽接触状態に維持され、切削負荷(力学的負荷)が軽い状態で加工を行うことができるから、工具の破損や加工精度の悪化を防止できる。
例えば、図10の場合、左方からある一定の送り速度でワーク面Wの研削を行っていた工具Tが凸部Pに差し掛かると、工具Tとワーク面W(凸部P)との間の研削抵抗が急激に増大して重接触状態となり、監視条件が逸脱される。すると、監視制御手段は、工具Tの送り速度を緩める、あるいは、工具Tのワーク面Wへの切り込み量を減らす等により、研削抵抗を軽減し、軽接触状態へと回復させる。そのため、凸部Pによる工具Tの破損や加工精度の悪化を防止できる。
また、本発明の第一非接触軸受としては、気体軸受(特に、静圧軸受)、磁気軸受、気体磁気複合軸受等を採用できる。非接触軸受とすることによって、工具保持部材と第一外周部材との間の摩擦抵抗を著しく低減できるから、工具保持部材および工具の回転を滑らかに、かつ、正確にできて加工精度を向上でき、超精密加工に好適な加工装置を提供できる。
加工時に工具とワークとが互いに接触されると、工具-ワーク-ワーク保持部材-第二外
周部材-導線-工具の順に閉回路が構成される。ここで、第二非接触軸受が構成されているため、ワーク保持部材と第二外周部材とは非接触状態にあるが、電磁気的にはコンデンサ(以下、第二コンデンサ、という)が構成されていることになるので、交流電流であれば流すことができる。
閉回路には、交流電流供給手段によって交流電流が流される。工具とワークとの接触状態(加工状態)が変化すると、工具とワークとの間の接触抵抗(電気抵抗)などが変化することによって、閉回路のインピーダンスが変化し、閉回路に流れる交流電流が変化する。すると、検出手段における検出電流が変化して接触状態の変化が感知される。
監視制御手段は、検出電流に基づく信号の出力値を監視条件によって監視する。信号の出力値が軽接触/重接触判別閾値を超えると、監視条件が逸脱されたと判定され、監視制御手段は、監視条件を充足するようにワークと工具との接触状態を調整する。そのため、ワークと工具との接触状態が常に軽接触状態に維持され、切削負荷(力学的負荷)が軽い状態で加工を行うことができるから、工具の破損や加工精度の悪化も防止できる。
なお、本発明の第二非接触軸受としては、気体軸受、磁気軸受、気体磁気複合軸受等を採用できる。非接触軸受とすることによって、ワーク保持部材と第二外周部材との間の摩擦抵抗を著しく低減できるから、ワーク保持部材およびワークの回転を滑らかに、かつ、正確にできて加工精度を向上でき、超精密加工に好適な加工装置を提供できる。
また、上述した発明において、監視制御手段は、ワークと工具との接触状態に関する情報を表示する表示手段を備えているから、使用者は表示手段に表示される情報を見ることによって、ワークと工具との現在の接触状態を知ることができる。
接触状態に関する情報としては、例えば、検出手段における検出電流の数値、波形、絶対値等を直接表示したものを採用できる。また、適当な演算手段によって検出電流に演算を施して接触状態の表示に好適な量としたものでもよい。また、検出手段が後述の検出回路を備える構成のものであるときは、検出回路において発生される誘導電流の数値、波形、絶対値等を直接表示したもの、あるいは、これらに適当な演算を施したものなどを採用できる。また、検出手段における検出電流を基に接触状態を解析した上で、その解析結果を文字として表示してもよい。例えば、非接触/軽接触/重接触のうち現在の接触状態に対応する一の文字を表示させるのでもよい。なお、ここで、軽接触/重接触の判定には、前記の軽接触/重接触判別閾値を利用できる。
また、表示手段としては、ディスプレイ等の表示画面を有するものに限らず、接触状態が軽接触であるときに点灯される一方のランプ(例えば、青色)、および、接触状態が重接触であるときに点灯される他方のランプ(例えば、赤色)の少なくともいずれかを備えて構成されるものでもよい。このときは、ランプの点灯が接触状態に関する情報を構成していることになる。
ここで、工具保持部材と第一外周部材との間には第一非接触軸受および前記第一コンデンサが構成され、また、ワーク保持部材と第二外周部材との間には第二非接触軸受および前記第二コンデンサが構成される。閉回路は、第一および第二コンデンサを含んで構成される。この閉回路には交流電流が流され、検出手段での検出電流を通じて監視制御手段がワークと工具との接触状態を監視・制御する。これによって接触状態は軽接触状態に維持され、工具が破損することなく精度良く安定した加工を行うことができる。
この発明によれば、ワークと工具とが重接触状態となることにより、監視条件が充足されなくなると、使用者の注意が喚起され、使用者は直ちに切削負荷が許容範囲を超えて重くなっていることを察知できる。そのため、切削負荷を軽減させるための方策を迅速に講じることができ、工具の破損や加工精度の悪化を防止できる。
本発明の注意喚起手段としては、アラーム(警報)を鳴らす、アラームランプを点灯させる、ディスプレイに警告情報を表示する、警告情報が印字された紙を印刷して出力(プリントアウト)する、など種々の手段が例示できる。
この発明によれば、加工目的、あるいは、工具およびワークの選択に合わせて最適な監視条件を適宜入力した上で、この監視条件に基づいて、加工をより一層適切にでき、また、工具の破損や加工精度の悪化も防止しやすくなる。
ワークと工具との接触状態が変化すると、前記のように閉回路を流れる電流が変化される。すると、閉回路から発生され検出回路に鎖交する磁束が変化するから、検出回路には誘導電流が発生される。そのため、この誘導電流を利用して接触状態を監視することができる。
この発明では、交流電流が流される励磁回路から、一定周波数で周期変動される磁束が発生している。そして、この変動磁束と鎖交される前記閉回路には、電磁誘導によって一定周波数の交流電流が誘導されている。ワークと工具との接触状態が変化すると、閉回路のインピーダンスが変化されることによって交流電流が変化されるから、検出手段における検出電流を利用して通じて接触状態を監視できる。
<第一実施形態>
図1に、本発明の第一実施形態に係る加工装置が示されている。
この加工装置は、工具TおよびワークWを回転させて、工具TによってワークWの切削加工を行う装置である。工具Tは導電性を有する金属材料によって構成される。工具Tは、尖端や切刃を含む形状に形成されているエンドミルのようなものであってもよいし、また、被加工面の仕上げ加工等に用いられる砥石のようなものであってもよい。工具Tは、互いに形状が異なる複数種類のものが予め用意されており、使用者は加工目的に合わせて最適なものを選択して加工に用いることができる。また、ワークWは、導電性を有するもの、例えば鋼系統材料製のもの、が選択される。
なお、図1において主軸11とワーク軸21とを同一平面内に図示しているのは簡略化のためであって、実際の主軸11とワーク軸21との相対配置は使用者が自由に調整でき、また、後述するNC装置4によって数値制御される。
ワーク軸21の外周側面には鍔部23Aが突出して形成され、ワーク軸ハウジング22の内周面にはこの鍔部23Aと略同形状の溝23Bが環状に形成され、スラスト軸受部23が構成されている。ワーク軸21の外周面とワーク軸ハウジング22の内周面との間には図示しないコンプレッサ等によって加圧空気が供給されており、第二非接触軸受としてのワーク軸空気軸受24が構成されている。そのため、ワーク軸21はワーク軸ハウジング22の内周面から浮上して、両者は非接触状態にある。
工具TとワークWとの接触状態(加工状態)が変化すると、工具TとワークWとの間の接触抵抗が変化するなどのため、閉回路Cのインピーダンスが変化する。すると、閉回路Cに流れる交流電流が変化され、その結果、検出コイル313における誘導電流も変化されるから、接触状態の変化が感知される。
なお、検出コイル313は、閉回路Cを流れる交流電流を検出する本発明の検出手段を構成している。
アンプユニット321は、増幅器、検波器、熱電変換モジュール等(いずれも図示せず)を備えて構成されている。
各閾値S1、S2は、工具TおよびワークWの選択や加工目的に応じて使用者が適宜設定した値を図示しない入力手段によって入力することによって、RAM3226に記憶させることができる。
図2(A)は、非接触状態(監視条件は充足されず)を示す。工具TとワークWとが接触していないために研削が行われていない状態である。このとき、工具Tは、空回りをしている。迅速に研削を行って研削加工の能率性を高めるためには、非接触状態にある時間はできる限り短縮する必要がある。
図2(B)は、軽接触状態(監視条件が充足される)を示す。工具TとワークWとが、軽い研削負荷のもとに接触して研削が行われる。工具TおよびワークWに無理な負荷がかかることなく、スムーズに研削できるので、工具Tの破損のおそれが少なく、また、高い研削精度を実現できる。そのため、研削は、この軽接触状態で行うのが最適である。
図2(C)および(D)は、重接触状態(監視条件が充足されない)を示す。工具TとワークWに大きな研削負荷がかかっている。(C)では、工具Tの破損までは起こっていないが、工具TをワークWに対して無理に押し付けている形になるので、加工精度に悪影響が及ぶ可能性がある。また、(D)では、さらに無理に工具TをワークWに対して押し付けた結果、工具Tが破損してしまっている。
なお、LCDモニタ3227は、工具TとワークWとの接触状態(加工状態)に関する情報を表示する本発明の表示手段を構成している。ここで、接触状態に関する情報とは、前記デジタル信号の出力値を指している。
ここで、アラーム信号とは、RAM3226に記憶されている前記監視条件(アナログデジタル変換器3221からのデジタル信号の出力値に関する条件)および前記各補助条件の少なくともいずれかが充足されなくなると、USBインターフェイス(USB IF)3228を通じて、デジタルオシロスコープ323に向けて発信される警告信号のことである。
デジタルオシロスコープ323の表示画面には、アラーム情報を表示するためのアラームランプが、監視条件および各補助条件に対応して複数個設けられており、充足されていない条件に対応するアラームランプのみが点灯される。これによって、接触状態の異常(重接触または非接触)が使用者に知らされ、使用者の注意が喚起される。使用者は、点灯されたアラームランプを見て、どの条件が充足されていないのかを直ちに察知できるから、接触状態を正常(軽接触)に復帰させるための措置を迅速かつ的確に講じることができる。
以上のように、デジタルオシロスコープ323は、本発明の注意喚起手段を構成している。
ここで、加工制御用の各種数値データとしては、工具Tの送り速度、切り込み量、回転数、ワークWの送り速度、回転数、主軸11と主軸ハウジング12との間にコンプレッサによって供給される加圧空気の量、圧力、ワーク軸21とワーク軸ハウジング22との間にコンプレッサによって供給される加圧空気の量、圧力、主軸11と主軸ハウジング12との間隔、コンデンサCtの静電容量、ワーク軸21とワーク軸ハウジング22との間隔、などの種々の量が例示できる。
続いて、本発明の第二実施形態について説明する。前記第一実施形態において説明した構成要素と同一のまたは対応する構成要素については、前記第一実施形態における符号と同一の符号を付し、その説明を省略もしくは簡略にする(後述する第三、第四、第五、第六実施形態においても同様)。
工具TとワークWとの接触状態(加工状態)の変化に伴って生じる閉回路Cを流れる交流電流の変化を、検出コイル313における誘導電流として検出して、接触状態の監視・制御が行われるのは第一実施形態と同様である。
なお、コンデンサCwの静電容量の数値は、接触状態を監視するための補助情報としてLCDモニタ3227に表示させることもできるし、また、NC装置4における数値制御用の数値データとしても採用できる。また、適正な静電容量Cwの数値範囲を規定する補助条件を適宜設定してRAM3226に記憶させ、これが充足されないときはデジタルオシロスコープ323の表示画面上にアラーム情報が表示されるような構成としてもよい。
続いて、本発明の第三実施形態について説明する。
図4に示すように、本実施形態にかかる加工装置では、第一実施形態におけるLCDモニタ3227の代わりにパソコン(PC)5が設けられている。パソコン5は、コントローラ322との間でデータのやり取りをUSBの信号によって行う。パソコン5の表示画面(ディスプレイ)には、第一実施形態と同様に、アナログデジタル変換器3221からのデジタル信号の許容出力範囲における閾値S1およびS2と、実際のデジタル信号の出力値とが、並べて表示される。さらに、接触状態の監視を行うための前記各種補助情報および前記各種補助条件を表示させることもできる。
続いて、本発明の第四実施形態について説明する。
図5に示すように、本実施形態にかかる加工装置においては、第一実施形態におけるデジタルオシロスコープ323が設けられておらず、その代わりに、LCDモニタ3227に、アナログデジタル変換器3221においてAD(アナログデジタル)変換されたアンプユニット321からの増幅信号が波形表示される。なお、LCDモニタ3227には、前記各種の数値情報・条件等を、波形表示と併せて表示させてもよい。また、モニタ3227としてストレージ型のディスプレイを採用して、以上の波形表示、数値情報・条件を電子ビームによって画面に描画するようにしてもよい。
続いて、本発明の第五実施形態について説明する。
図6に示すように、本実施形態にかかる加工装置においては、第一実施形態におけるデジタルオシロスコープ323およびLCDモニタ3227が設けられておらず、その代わりにパソコン(PC)5が設けられる。
パソコン5は、コントローラ322との間で、データのやり取りを行い、その表示画面(ディスプレイ)には、アナログデジタル変換器3221においてAD変換されたアンプユニット321からの増幅信号が波形表示されるとともに、前記各種の数値情報・条件が表示される。ここで、パソコン5の表示画面はストレージ型のディスプレイとすることもできる。
続いて、本発明の第六実施形態について説明する。
図7は本発明の加工装置としてのNC加工機械を示す斜視図である。同図に示すように、本実施形態に係るNC加工機械は、NC装置により制御される工作機械であって、ベース61と、このベース61上に設置された機械本体611と、この機械本体611の駆動を制御するNC装置4とを備える。
本発明のワーク保持部材としてのテーブル613には、ワークWが載置される。ワークWおよびテーブル613は、共に導電性材料によって構成されており、両者は電気的に導通されている。
前記各コラム614,615は、側面形状が、上部に対して下部が広くなった略三角形状に形成されている。これにより、下部が安定した構造であるから、スピンドルヘッド618が高速回転するものであっても、振動の発生を低減できる。
前記スライダ617には、前記スピンドルヘッド618をZ軸方向へ案内するガイド(図示省略)とともに、スピンドルヘッド618をZ軸方向へ昇降させるZ軸駆動機構625が設けられている。これらの駆動機構624,625についても、前記Y軸駆動機構621と同様に、モータと、そのモータによって回転する送りねじ軸とからなる送りねじ機構が用いられている。
主軸11と主軸ハウジング12との間には空気軸受が構成されているため、両者は非接触であり、電気的にはコンデンサ(Ct)が構成されている。また、主軸ハウジング12とテーブル613とは図示しない導線311によって連結されている。
工具TによるワークWの加工に際して、両者が接触されると、工具T-ワークW-テーブル613-導線311-主軸ハウジング12-主軸11-工具Tの順に閉回路C(図示せず)が構成される。この閉回路Cには、図示しない高周波発生装置314および励磁コイル312によって交流電流が流される。工具TとワークWとの接触状態(加工状態)の変化に伴ってこの交流電流に変化が生じると図示しない検出コイル313には誘導電流が発生し、接触状態が変化されたことが感知される。図示しないコントローラ322は、この誘導電流に基づいて接触状態の監視・制御を行う。コントローラ322は、接触状態の異常(重接触または非接触)を感知すると、NC装置4にアラーム信号を発信し、NC装置4は、加工制御用の各種数値データを適宜自動修正し、正常(軽接触)な接触状態へと復帰させる。
例えば、前記各実施形態においては、本発明の第一非接触軸受として主軸空気軸受14が、本発明の第二非接触軸受としてワーク軸空気軸受24が、それぞれ設けられていたが、本発明では、第一および第二非接触軸受は空気軸受である必要はなく、例えば、磁気軸受、空気磁気複合式軸受であってもよい。
<第一実施例>
図8は、図1の構成の加工装置において、工具TのワークWへの切り込み量(横軸)を変化させたときの出力信号(縦軸)の値の変化を示したものである。ここで、出力信号とは、アナログデジタル変換器3221においてAD変換されたアンプユニット321からの増幅信号を指す。
続いて、図9について説明する。
この散布図における各データは、前記各実施形態における軽接触/重接触判別閾値S1を設定しないで加工を行った場合における、加工時の出力信号値と、加工後の加工表面の表面粗さ(PV値:単位μm)とをプロットものである。なお、加工表面の表面粗さは、加工後に三次元測定機によって測定したものである。
まず、プロットの様子から容易に理解できるように、出力信号値と加工後の表面粗さとの間には正の相関関係がある。そのため、出力信号値は加工後の表面粗さの指標として機能することがわかる。そのため、軽接触/重接触判別閾値S1を設定することによって出力信号値の許容範囲を規定すれば、表面粗さ(PV値)を所望の範囲内に抑えることができ、加工精度を一定にかつ高精度に維持できる。
なお、軽接触/重接触判別閾値S1の設定方法からわかるように、本実施例では、加工後のPV値が0.03μm以下になるような工具TとワークWとの接触状態を軽接触状態と定義し、PV値が0.03μm以上になるような接触状態を重接触状態として定義していることになる。これは軽接触/重接触の一つの定義に過ぎないが、このように定義された上で設定される軽接触/重接触判別閾値S1は加工精度の悪化防止に最適な閾値となっているのは、以上説明したとおりである。
2…ワーク回転駆動機構
3…接触状態検出・監視・制御システム
4…NC装置
5…パソコン
11…主軸
12…主軸ハウジング
14…主軸空気軸受
21…ワーク軸
22…ワーク軸ハウジング
24…ワーク軸空気軸受
32…監視制御システム
311…導線
312…励磁コイル
313…検出コイル
314…高周波発生装置
322…コントローラ
323…デジタルオシロスコープ
613…テーブル
618…スピンドルヘッド
3226…RAM
3227…LCDモニタ
W…ワーク
T…工具
C…閉回路
S1…軽接触/重接触判別閾値
S2…非接触/軽接触判別閾値
Claims (7)
- 導電性を有するワークを保持するワーク保持部材と、
前記ワークの加工を行う導電性を有する工具を保持し、回転可能とされ、導電性を有する工具保持部材と、
この工具保持部材の外周面の少なくとも一部分を覆って形成され導電性を有する第一外周部材と、
前記工具保持部材を前記第一外周部材の内周面から浮上させることによって構成される第一非接触軸受と、
前記第一外周部材と前記ワークとを電気的に接続する導線と、
加工の際に前記ワークと前記工具とが接触されると、前記ワーク、前記工具、前記工具保持部材、前記第一外周部材および前記導線の順に構成される閉回路と、
この閉回路に交流電流を供給する交流電流供給手段と、
前記閉回路を流れる交流電流を検出する検出手段と、
この検出手段で検出される交流電流に基づく信号の出力値を所定の監視条件によって監視する監視制御手段と、
を備え、
前記監視条件は、前記ワークと前記工具との接触状態が軽接触/重接触のいずれであるかを判別するための軽接触/重接触判別閾値を含んで構成され、
前記監視制御手段は、前記ワークと前記工具とが接触した状態において、前記信号の出力値が常に前記軽接触/重接触判別閾値に対して軽接触側の領域内に収まるように前記ワークと前記工具との接触状態を制御するとともに、前記ワークと前記工具との接触状態に関する情報を表示する表示手段を備える、
ことを特徴とする加工装置。 - 導電性を有するワークを保持し、回転可能とされ、導電性を有するワーク保持部材と、
前記ワークの加工を行う導電性を有する工具を保持する工具保持部材と、
前記ワーク保持部材の外周面の少なくとも一部分を覆って形成され導電性を有する第二外周部材と、
前記ワーク保持部材を前記第二外周部材の内周面から浮上させることによって構成される第二非接触軸受と、
前記第二外周部材と前記工具とを電気的に接続する導線と、
加工の際に前記ワークと前記工具とが接触されると、前記工具、前記ワーク、前記ワーク保持部材、前記第二外周部材および前記導線の順に構成される閉回路と、
この閉回路に交流電流を供給する交流電流供給手段と、
前記閉回路を流れる交流電流を検出する検出手段と、
この検出手段で検出される交流電流に基づく信号の出力値を所定の監視条件によって監視する監視制御手段と、
を備え、
前記監視条件は、前記ワークと前記工具との接触状態が軽接触/重接触のいずれであるかを判別するための軽接触/重接触判別閾値を含んで構成され、
前記監視制御手段は、前記ワークと前記工具とが接触した状態において、前記信号の出力値が常に前記軽接触/重接触判別閾値に対して軽接触側の領域内に収まるように前記ワークと前記工具との接触状態を制御するとともに、前記ワークと前記工具との接触状態に関する情報を表示する表示手段を備える、
ことを特徴とする加工装置。 - 請求項1に記載の加工装置において、
前記ワーク保持部材は、回転可能とされるとともに、導電性を有するものとされ、
前記ワーク保持部材の外周面の少なくとも一部分を覆って形成され導電性を有する第二外周部材と、
前記ワーク保持部材を前記第二外周部材の内周面から浮上させることによって構成される第二非接触軸受とを備え、
前記導線は、前記第一外周部材と前記第二外周部材とを電気的に接続し、
前記閉回路は、前記ワーク、前記工具、前記工具保持部材、前記第一外周部材、前記導線、前記第二外周部材および前記ワーク保持部材の順に構成される、
ことを特徴とする加工装置。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の加工装置において、
前記監視制御手段は、前記信号の出力値が前記軽接触/重接触判別閾値を超えて重接触側領域内の値となると使用者の注意を喚起する注意喚起手段を備えることを特徴とする加工装置。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の加工装置において、
前記監視制御手段は、前記監視条件を記憶する記憶手段を備え、
この記憶手段に所望の監視条件を入力し記憶させる入力手段が設けられることを特徴とする加工装置。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載の加工装置において、
前記検出手段は、前記閉回路から発生される磁束と鎖交される検出回路を備えて構成され、
前記監視制御手段は、前記検出回路において発生される誘導電流に基づく前記信号の出力値を前記監視条件によって監視することを特徴とする加工装置。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載の加工装置において、
前記交流電流供給手段は、一定周波数の交流電流を発生する交流電流発生装置と、この交流電流が流される励磁回路とを備えて構成され、
前記閉回路は、前記励磁回路において発生される磁束と鎖交されることを特徴とする加工装置。
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