JP4173299B2 - 遊技機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、貸し球の変換レートを変更自在に設定し、当該変換レートに基づき貸し球の払出しを制御する遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から遊技機の一種であるパチンコ機では、球貸しシステムとしてカード式の球貸し制御装置が広く利用されている。そして、球貸し制御装置のカード挿入口にプリペイドカードが挿入された状態で、上球皿に設けられた球貸し操作部が遊技者によって操作されると、プリペイドカードの有効金額内における一定額単位に対し所定個数(100円に対し25個)の貸し球が払出されるようになっている。
【0003】
ところが、近時においては、物価変動などの理由により一定額単位に対し払出すべき貸し球の個数(貸し球の変換レート)を変更する必要が生じてきている。しかしながら、従来のパチンコ機では、貸し球の変換レートを固定し、当該変換レートを貸し球の払出しを制御する制御手段(払出し制御基板)に記憶保持させていた。即ち、払出し制御基板に設けられたROMには、変換レートとして、例えば、一定額単位(100円)に対して25個というように一通りの変換レートのみしか記憶保持されていなかった。そのため、貸し球の変換レートを変更する場合には、変更前の変換レートが記憶された払出し制御基板(又はROM)自体を変更後の変換レートが記憶された新たな払出し制御基板(又はROM)と交換する必要があった。従って、遊技機メーカ(又は遊技店)では、異なる変換レートが記憶保持された複数種類の払出し制御基板(又はROM)を予め用意しておかなければならず無駄が多く、また、交換作業も非常に煩わしかった。
【0004】
そこで、このような課題を解決するために、特開平5−15652号公報に示された構成(以下、「従来構成」という。)が提案されている。この従来構成では、予め制御手段に記憶された基本貸し球数から実際の貸し球数を決定するための減算値又は実際の貸し球数を設定する設定手段が設けられている。従って、従来構成によれば、設定手段の設定状態に応じて実際の貸し球数を決定することができ、制御手段自体を交換する必要がなく簡単に貸し球の変換レートを変更することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来構成では、球貸し制御装置から貸し球の要求があったときに、設定手段の設定状態を読み込んで実際の貸し球数を決定し、当該貸し球数に基づき貸し球の払出しを制御するようになっていた。即ち、従来構成は、球貸し制御装置からの貸し球の要求がある毎に設定手段の設定状態を読み込むことが前提となっている。そのため、従来構成では、設定手段の設定状態が誤操作又は不正行為などにより変更された場合には、その変更内容が貸し球の払出しに直接影響を与えるために適正な貸し球の変換レートで貸し球の払出しを制御することができない虞があった。
【0006】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、貸し球の変換レートを変更自在に設定可能な場合であっても、適正な貸し球の変換レートで貸し球の払出しを制御することができる遊技機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、貸し球の変換レートを変更自在に設定可能な設定手段と、電源遮断後も前記変換レートに応じた貸し球数を含む遊技状態に関する制御情報を記憶保持可能な記憶手段と、電源投入時に前記変換レートに応じた貸し球数を含む遊技状態に関する制御情報が前記記憶手段に記憶されていない場合には前記設定手段に設定された変換レートの設定状態を読み込み、その変換レートに応じた貸し球数を前記記憶手段に記憶保持させて当該貸し球数に基づき貸し球の払出しに関する制御を開始する一方で、電源投入時に前記貸し球数が前記記憶手段に記憶保持されている場合には該貸し球数と前記設定手段に設定された前記変換レートとが一致するか否かを判定し、その判定結果が否定である場合には前記貸し球の払出しに関する制御を、貸し球の払出し規制及びエラー報知のうち少なくともいずれかを含む制御処理へ移行させる制御手段と、を備えたことを要旨とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、貸し球の変換レートを変更自在に設定可能な設定手段と、電源遮断後も前記変換レートに応じた貸し球数を含む遊技状態に関する制御情報を記憶保持可能な記憶手段と、電源投入時に前記変換レートに応じた貸し球数を含む遊技状態に関する制御情報が前記記憶手段に記憶されていない場合には前記設定手段に設定された変換レートの設定状態を読み込み、その変換レートに応じた貸し球数を前記記憶手段に記憶保持させる一方で、貸し球変換媒体の有効範囲内で指令される球貸し制御装置からの球貸し要求を入力することによって、前記記憶手段に記憶保持させた前記貸し球数と前記設定手段に設定された前記変換レートとが一致するか否かを判定し、その判定結果が肯定である場合には前記記憶手段に記憶保持させた前記貸し球数に基づき貸し球の払出しを制御すると共に、前記判定結果が否定である場合には前記貸し球の払出しに関する制御を、貸し球の払出し規制及びエラー報知のうち少なくともいずれかを含む制御処理へ移行させる制御手段と、を備えたことを要旨とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の遊技機において、前記設定手段は、人為的操作によって前記変換レートを設定可能な設定器であることを要旨とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の遊技機において、前記制御手段は、前記貸し球としての遊技球を払出す球払出装置を作動させて前記貸し球を払出させることにより前記貸し球数に基づく前記貸し球の払出しを制御する払出し制御基板であって、前記設定器は、前記払出し制御基板に設けられていることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の遊技機において、貸し球としての遊技球を払出す球払出装置と、遊技者が貸し球を貸し受ける際に操作する球貸しボタンを有する球貸し操作部と、を備え、前記制御手段と前記球貸し操作部は、前記貸し球と交換可能な貸し球変換媒体が挿入される球貸し制御装置と接続可能であって、前記制御手段は、前記球貸しボタンが操作されると、前記変換レートに応じて前記記憶手段に記憶保持させた前記貸し球数にしたがい、当該貸し球数分の遊技球を払出させるべく前記球払出装置を作動させることにより前記貸し球数に基づく前記貸し球の払出しを制御することを要旨とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明をその一種であるパチンコ遊技機(以下、「遊技機」という。)に具体化した第1の実施形態を図1〜図8に基づき説明する。
【0012】
図1には遊技機10の機表側が略示されており、遊技機10において機体の外郭をなす外枠11の開口前面側には、各種の遊技用構成部材をセットする縦長方形の中枠12が開閉及び着脱自在に組み付けられている。また、中枠12の前面側には、機内部の遊技盤13を透視保護するためのガラス枠を有した前枠14と上球皿15が共に横開き状態で開閉可能に組付け整合されている。さらに、中枠12の下部には下球皿16、打球発射装置17などが装着されている。
【0013】
また、外枠11の一側縁には球貸しシステムに利用される球貸し制御装置としてのカードユニット18が装着されており、当該カードユニット18には貸し球変換媒体としてのプリペイドカードを挿入するためのカード挿入口19が設けられている。そして、上球皿15の上部前面には、カードユニット18にプリペイドカードを挿入した状態で球貸し操作を行うための球貸し操作部20が設けられている。なお、球貸し操作とは、遊技者が遊技機10の遊技媒体である遊技球(パチンコ球)をプリペイドカードの有効金額内において交換し貸し受けるための操作であり、当該操作は、球貸し操作部20を用いて行われる。
【0014】
そして、球貸し操作部20は、図3に示すように球貸し操作基板21に設けられた球貸ボタン22、返却ボタン23及び残金表示部24から構成されている。従って、カードユニット18のカード挿入口19にプリペイドカードが挿入された状態で球貸ボタン22が遊技者により押下操作されると、球貸し操作基板21はカードユニット18に対し球貸し信号を出力する。そして、当該球貸し信号を入力したカードユニット18は、プリペイドカードの有効金額内において遊技機10に対し球貸し要求信号(球貸し制御装置からの球貸し要求)を出力し、遊技機10では該球貸し要求信号に基づき所定個数の貸し球を払出すようになっている。なお、プリペイドカード(貸し球変換媒体)の有効範囲とは、当該プリペイドカードの経済的価値に対する貸し球の交換可能な範囲を示すものである。
【0015】
また、球貸し操作部20の返却ボタン23は、遊技者により押下操作されるとカード挿入口19に挿入された状態のプリペイドカードが遊技者に対し返却されるようになっている。さらに、球貸し操作部20の残金表示部24は、プリペイドカードの有効金額(例えば、500円、1000円などの有効範囲)を数字表示するようになっている。
【0016】
一方、図2には遊技機10の機裏側が示されており、中枠12の裏側には各種球通路及び処理部等を備えた機構セット盤25が着脱自在にセットされている。そして、機構セット盤25には遊技盤13の裏側と対応する位置に保護カバー26が開閉可能に装着されている。また、保護カバー26の上方には、遊技機10から払出される遊技球(賞球や貸し球)を貯留するための球タンク27が設けられている。そして、球タンク27には整流樋28が連設されており、当該整流樋28の下流側には球タンク27から受け入れた遊技球を流下案内する区分供給経路部29が取着セットされ、当該区分供給経路部29は保護カバー26の右方領域で上下方向へ延設されている。
【0017】
また、区分供給経路部29の下流側には、球払出装置30が機構セット盤25に対し取着セットされている。そして、区分供給経路部29によって流下案内された遊技球は、球払出装置30で通過検出された後、図示しない排出経路を介して上球皿15(又は下球皿16)へ払出されるようになっている。なお、本実施形態の球払出装置30は、賞球及び貸し球を払出し得る兼用タイプの球払出装置30となっている。
【0018】
さらに、保護カバー26の下方、即ち、機構セット盤25の下部外側には遊技機10における遊技状態を制御するための主制御基板31及び球払出装置30の作動制御を実行する制御手段(又は払出し制御手段)としての払出し制御基板32が装着されている。そして、払出し制御基板32は、カードユニット18が出力した球貸し要求信号を受けて、球払出装置30を作動制御し貸し球を払出すための球貸し制御を実行するようになっている。
【0019】
次に、本実施形態の遊技機10における前記球貸し制御に必要な各種構成部材と各種基板の接続態様を図4に基づき説明する。
前記払出し制御基板32は、球貸し制御を実行するためのCPU33を備えていると共に、当該CPU33にはROM34a及び記憶手段としてのRAM34bが接続されている。そして、ROM34aには、球払出装置30を駆動させるための制御情報(制御プログラム)が記憶されている。また、ROM34aには、貸し球を払出すために必要な制御情報として、一定額単位(例えば、100円)に対し払出すべき貸し球の個数(貸し球の変換レート)が複数種類記憶保持されている。なお、本実施形態では、貸し球の変換レートとして、23(個)、24(個)、25(個)というように三通りの変換レートが記憶保持されている。
【0020】
一方、RAM34bには、賞球又は貸し球を払出すために必要な各種制御情報が記憶されるようになっている。例えば、RAM34bには、賞球を払出すための制御情報として、主制御基板31から入力した制御信号に基づき賞球数が加算された球払出装置30の駆動制御回数に対応する賞球総数を記憶保持するようになっている。
【0021】
また、RAM34bには、貸し球を払出すための制御情報として、ROM34aに記憶保持されている複数種類の変換レートのうち、貸し球の払出しにおいて使用するために選択された変換レートに応じた貸し球数を記憶保持するようになっている。さらに、RAM34bには、貸し球を払出すための制御情報として、カードユニット18からの球貸し要求信号を受けて、貸し球として払出すべき球貸し総数を記憶保持するようになっている。なお、球貸し総数とは、払出し制御基板32が実行する球貸し制御(球払出装置30の作動制御)の1周期において払出す貸し球の個数である。
【0022】
また、RAM34bにはバックアップ用電源35が接続されている。そして、払出し制御基板32は、電源遮断時(停電時など)にバックアップ処理を実行する。なお、前記バックアップ処理では、停電などにより遊技機10の各種構成部材及び各種制御基板に供給されるべき電圧値(例えば、DC30V)が予め定められた電圧値(例えば、DC20V)に降下した際に、その時点における賞球総数や球貸し総数などの各種制御情報を記憶保持させるようになっている。そして、このようなバックアップ処理によってRAM34bには、電源遮断後もバックアップ用電源35から供給された電源に基づき貸し球の変換レートに応じた貸し球数を含む遊技状態に関する制御情報が記憶保持されるようになっている。
【0023】
また、払出し制御基板32には、インターフェースボード36を介してカードユニット18が双方向に信号の入出力が可能な状態で接続されている。さらに、カードユニット18にはインターフェースボード36を介して球貸し操作基板21が双方向に信号の入出力が可能な状態で接続されている。従って、払出し制御基板32とカードユニット18との間、並びに、カードユニット18と球貸し操作基板21との間において貸し球の払出しに関する各種制御信号が入出力されるようになっている。
【0024】
即ち、球貸し操作基板21は、球貸ボタン22の押下操作を検知すると、カードユニット18に対して球貸し信号を出力する。そして、球貸し信号を入力したカードユニット18は、貸し球の最小変換単位に相当する個数の貸し球の払出しを払出し制御基板32に要求するための球貸し要求信号を出力する。なお、最小変換単位とは、払出し制御基板32が実行する球貸し制御(球払出装置30の作動制御)の1周期において払出す貸し球の個数(=球貸し総数)に相当する金額である。
【0025】
また、カードユニット18には、予め球貸ボタン22の1回の操作に基づく貸し球の払出し金額(=払出し個数)の設定ができるようになっている。従って、カードユニット18は、プリペイドカードの有効範囲(金額)内において払出し金額を最小変換単位で分割し、所定回数の球貸し要求信号を払出し制御基板32が球貸し制御を実行する毎に(1周期毎に)出力している。例えば、払出し金額が500円で設定され、最小変換単位が100円である場合、前記カードユニット18は5回(500÷100)分の球貸し要求信号を払出し制御基板32に対し出力している。そして、この場合、カードユニット18は、球貸し操作基板21からの球貸し信号を入力すると、1回目の球貸し要求信号を払出し制御基板32に対し出力し、残り4回の球貸し要求信号を払出し制御基板32に対し球貸し制御が実行される毎に出力している。
【0026】
一方、球貸し要求信号を入力した払出し制御基板32は、カードユニット18に対し、球貸し制御を開始したことを示す開始信号を出力している。そして、開始信号を入力したカードユニット18は、球貸し操作基板21に対し、残金表示部24の表示を変更するための表示変更信号を出力している。
【0027】
また、払出し制御基板32には、球払出装置30が双方向に信号の入出力が可能な状態で接続されている。そして、球払出装置30は、周知のとおり球払出装置30内の球通路の途中に区分供給経路部29から受け入れて球通路内を通入出する遊技球の通過を許容あるいは規制するソレノイド30aと、当該ソレノイド30aの上流側において賞球又は貸し球として払出すべき遊技球の有無を検出するための球制御センサ30bを備えている。また、球払出装置30は、ソレノイド30aの下流側においてソレノイド30aの作動制御に基づき球通路を通過し払出された遊技球を検出するための球計数センサ30cを備えている。
【0028】
そして、払出し制御基板32からは球払出装置30に対し遊技球の払出しを制御するための制御信号が出力されるようになっている。また、球払出装置30からは払出し制御基板32に対し球制御センサ30b及び球計数センサ30cからの制御信号が出力されるようになっている。そして、払出し制御基板32(CPU33)は、球制御センサ30bから出力された制御信号が払出すべき遊技球がセットされていることを示す信号で、かつ、球計数センサ30cから出力された制御信号が遊技球の払出しが行われていない(完了している)ことを示す信号であるか否かを判定する。その判定結果が肯定である場合、CPU33は球払出装置30において遊技球を払出すための準備が整っていると判断し、ソレノイド30aを駆動させる。そして、CPU33は、球計数センサ30cが出力した遊技球の通過を検出したことを示す制御信号(払出し信号)を入力すると、RAM34bに記憶した前記賞球総数、又は、球貸し総数の値を減算(−1)し書き換えるようになっている。
【0029】
また、本実施形態の払出し制御基板32には、一定額単位に対し払出すべき貸し球の変換レートを変更自在に設定可能な設定手段としての払出し個数設定器(以下、「設定器」という。)37が設けられている。そして、設定器37には、変換レートとして貸し球の最小変換単位(100円)に対する貸し球数が設定できるようになっている。
【0030】
例えば、設定器37として、図8(a)に示すように、払出し制御基板32に鍵スイッチ37aを設け、当該鍵スイッチ37aには変換レートとして最小変換単位に対する複数種類の貸し球数(本実施形態では、「23(個)」「24(個)」「25(個)」)が表記されている。そして、鍵スイッチ37aに所定の鍵を差し込み、当該鍵を所望の貸し球数と一致するように回動操作することにより、設定器37には変換レートが設定されるようになっている。
【0031】
従って、CPU33は、設定器37における変換レートの設定状態(設定値)を読み込み、その設定状態に対応する変換レートをROM34aに記憶された複数種類の変換レートから選択する。そして、CPU33は、選択された変換レートに応じた貸し球数をRAM34bに記憶保持させることにより、該RAM34bには設定器37の設定値である貸し球数が記憶保持される。
【0032】
なお、払出し制御基板32は、遊技機10の機種変更後においても継続して使用可能であり、機種変更時に交換の対象とならない非交換部位とされている。そのため、払出し制御基板32に設けられた設定器37は、機種変更時において非交換部品となり交換されないようになっている。因みに、遊技機10の機種変更時においては、主に遊技盤13、主制御基板31などが交換の対象となる交換部位とされている。従って、機種変更時に新たな遊技盤13、主制御基板31などが遊技機10に組み付けられた後、設定器37では再び貸し球の変換レートが設定できるようになっている。なお、非交換部位とは、機種変更後の遊技機10においてパチンコ遊技を行う上で何ら遊技に影響を与えない部位であり、前記遊技機10の外観変更や破損などの特別な理由がない限り交換する必要のない部位である。
【0033】
次に、このように構成された遊技機10において貸し球の払出しが払出し制御基板32によって制御される態様を図5〜図7のフローチャートに基づき説明する。
【0034】
図5には、遊技機10の電源が投入された時に払出し制御基板32(CPU33)が行う電源投入時の処理ルーチンが示されている。最初に、CPU33は、電源投入時、RAM34bに変換レートに応じた貸し球数を含む遊技状態に関する制御情報が記憶保持されているか否かを判定する(ステップS10)。そして、この判定結果が肯定、即ち、電源遮断時のバックアップ処理により前記制御情報が記憶保持されている場合、RAM34bに記憶保持されている貸し球数と設定器37に設定されている現在の貸し球の変換レートが一致するか否かを判定する(ステップS11)。具体的には、CPU33が、設定器37の設定値に対応する制御信号を読み込むと共に、当該制御信号に対応する変換レートをROM34aから読み込む。そして、CPU33は、読み込んだ変換レートに対応する貸し球数と、RAM34bに記憶保持されている貸し球数とが一致するか否かの判定を行う。このステップS11の判定結果が肯定、即ち、一致する場合、CPU33は、RAM34bに記憶保持された制御情報(貸し球数を含む)に基づきレジスタやスタックポインタなどを復帰させて遊技機10の制御を開始する(ステップS12)。
【0035】
一方、前記ステップS11の判定結果が否定、即ち、RAM34bに記憶保持されている貸し球数と設定器37に設定されている現在の貸し球の変換レートが一致しない場合、CPU33は、エラー設定後、貸し球の払出しに関する制御を所定の制御処理に移行する(ステップS13)。具体的に言えば、CPU33は、遊技機10に設けられたエラー報知部(図示しない)を通じて、所定のエラー報知を行うための制御を実行する。また、CPU33は、そのエラー報知に加えて、貸し球の払出しを規制すべく、球払出装置30を作動制御させて行う球貸し制御を実行しないようにする。即ち、CPU33が貸し球の払出しを規制した場合には、カードユニット18からの球貸し要求信号を入力しても、球貸し制御を実行せず、貸し球の払出しが行われない。
【0036】
従って、設定器37の設定状態が、例えば、誤操作(遊技店の開店準備中や閉店後の清掃中の不注意などによる)や不正行為によって変更された場合の早期発見に貢献することができる。また、遊技機10の電源投入が行われる度に前記ステップS11の処理を実行するため、遊技店の営業時間外に設定器37の設定値の変更がなされた場合でも、電源投入時に貸し球の払出しが規制され、遊技店側の不利益を抑制することができる。即ち、遊技店の営業時間外に外部からの侵入者による不正行為が行われたことを判断することができ、このような行為に対して遊技店側が迅速に対処することができる。さらに、RAM34bに記憶保持されている貸し球数よりも多い変換レートに設定変更されている場合には、余分な貸し球を払出すことによる遊技店側の不利益を抑制することができる。一方、RAM34bに記憶保持されている貸し球数よりも少ない変換レートに設定変更されている場合には、払出されるべき貸し球が払出されないことによる遊技者側の不利益を抑制することができる。
【0037】
また、前記ステップS10の判定結果が否定、即ち、前記制御情報がRAM34bに記憶保持されていない場合、CPU33は、設定器37の設定値を読み込んでRAM34bに記憶保持させる(ステップS14)。即ち、CPU33は、最初に設定器37から出力される該設定器37に設定された設定値に対応する制御信号を読み込む。そして、CPU33は、前記制御信号に対応する変換レートに応じた貸し球数をROM34aから読み込み、その読み込んだ変換レートに応じた貸し球数をRAM34bに記憶保持させる。
【0038】
なお、ステップS10の判定結果が否定される条件として、例えば、遊技機10の出荷後に初めて電源を投入する場合、電源遮断時のバックアップ処理が正常に実行されていない場合、バックアップ用電源35が切れた場合、若しくは、RAM34bに記憶保持された前記制御情報が強制的にクリアされた場合などがある。
【0039】
そして、CPU33は、RAM34bに貸し球の変換レートに応じた貸し球数が既に記憶されている場合には、RAM34bに記憶保持されている貸し球の変換レートに応じた貸し球数をそのまま採用し、貸し球の払出しを制御する。これに対し、CPU33は、RAM34bに貸し球の変換レートに応じた貸し球数を含む遊技状態に関する制御情報が記憶保持されていないという条件下では、設定器37の設定値に応じてRAM34bに貸し球数を記憶保持させ、当該貸し球数に基づき貸し球の払出しを制御する。つまり、本実施形態では、電源投入時に前述のような条件下が成立している場合に、前記設定器37の設定値を読み込み、RAM34bに貸し球数を記憶保持させる構成となっている。従って、遊技店の営業時間中や営業時間外に、不正行為によって設定器37の設定値が変更された場合であっても、前述の条件下が成立していなければ、RAM34bに記憶保持されている貸し球数の書き換えが行われないため、適正な貸し球数(遊技店側が意図する貸し球数)に基づき貸し球の払出しを制御することができる。
【0040】
次に、前記ステップS14において変換レートに応じた貸し球数をRAM34bに記憶保持させたCPU33は、RAM34bに対し変換レート以外の初期値の設定やスタックポインタの設定など各種初期設定を行った後、遊技機10の制御を開始する(ステップS15)。そして、CPU33は、電源投入時の処理を終了し、カードユニット18から球貸し要求信号を入力することにより球貸し制御を実行する。
【0041】
図6には、球貸ボタン22が押下操作された場合に、払出し制御基板32(CPU33)が行う球貸し制御の処理ルーチンが示されている。
まず、CPU33は、球貸し操作基板21からの球貸し信号を受けてカードユニット18が出力した球貸し要求信号が入力されたか否かを判定する(ステップS20)。そして、この判定結果が肯定、即ち、CPU33が球貸し要求信号を入力した場合、CPU33は、RAM34bに記憶保持された貸し球数を球貸し制御の1周期において払出す球貸し総数としてRAM34bに設定する(ステップS21)。さらに、CPU33は、球貸し制御を開始したことを示す開始信号をカードユニット18に対し出力する。そして、前記ステップS20で球貸し要求信号を入力したCPU33は球払出装置30を作動させ、球貸し総数として設定された個数分の貸し球を払出すべく球貸し動作を実行する(ステップS22)。
【0042】
一方、前記ステップS20の判定結果が否定の場合、CPU33は、球貸し要求信号が入力されていないので、球貸し制御処理を実行せずに処理を終了する。図7には、図6に示す球貸し制御の処理ルーチンにおけるステップS22の球貸し動作の処理ルーチンが示されている。
【0043】
まず、CPU33は、RAM34bに設定された球貸し総数が0(零)より大きいか否か、即ち、払出すべく貸し球が残っているか否かを判定する(ステップS30)。そして、この判定結果が肯定、即ち、払出すべく貸し球がある場合、CPU33は、球払出装置30のソレノイド30aをON状態にするための制御信号を球払出装置30に対し出力する(ステップ31)。その結果、球払出装置30では、制御信号を受けてソレノイド30aが駆動され、1個の貸し球が払い出される。
【0044】
そして、CPU33は、ソレノイド30aの駆動により1個の貸し球の払出しが完了したか否かを判定する(ステップS32)。即ち、CPU33は、貸し球の払出しを検出した球計数センサ30cが出力した払出し信号を入力したか否かを判定する。そして、前記ステップS32の判定結果が肯定、即ち、1個の貸し球の払出しが完了した場合、CPU33は、ソレノイド30aをOFF状態にするための制御信号を球払出装置30に対し出力する(ステップS33)。その結果、球払出装置30では、前記制御信号を受けてソレノイド30aの駆動が停止する。
【0045】
一方、前記ステップS32の判定結果が否定、即ち、1個の貸し球の払出しが完了していない場合、CPU33は、前記ステップS31に移行し、再度、ソレノイド30aをON状態にするための制御信号を出力する。
【0046】
次に、1個の貸し球の払出しの完了を検出したCPU33は、RAM34bに設定された球貸し総数の値を減算(−1)し書き換える(ステップS34)。そして、CPU33は、ステップS30に移行し、球貸し総数が0(零)よりも大きいか否かを判定し、その判定結果が肯定の場合、前記ステップS31〜ステップS34の処理を繰り返し実行する。一方、その判定結果が否定、即ち、球貸し総数が0(零)の場合、CPU33は1周期分の球貸し制御が完了したとして処理を終了する。さらに、CPU33は、球貸し制御を完了したことを示す完了信号をカードユニット18に対し出力する。
【0047】
また、完了信号を入力したカードユニット18は、払出し金額に相当する貸し球の払出しが完了しているか否かを判定し、完了していない場合には、払出し制御基板32(CPU33)に対し、再度、球貸し要求信号を出力する。そして、球貸し要求信号を入力したCPU33は、再度、図6及び図7に示す球貸し制御を実行する。また、払出し金額に相当する貸し球の払出しが完了している場合、前記カードユニット18は、前記球貸し操作基板21からの球貸し信号が入力されるまで待機状態となる。
【0048】
次に、図5〜図7に示した制御態様によって貸し球が払出される態様を具体的な数値を用いて説明する。なお、以下の説明では、変換レートとして100円(最小変換単位)に対し24個の貸し球が払出される態様を説明する。
【0049】
まず、設定器37には、貸し球の変換レートとして24(個)が設定される。即ち、遊技店の店員は、図8(a)に示す設定器37の場合、所定の鍵を鍵スイッチ37aに差し込み、該鍵を24(個)の貸し球数の表記と一致するように回動操作する。この操作により、設定器37には、変換レートとして24(個)が設定され、この24(個)が設定器37の設定値となる。
【0050】
そして、払出し制御基板32(CPU33)は、遊技機10の電源投入時、図5のステップS10においてRAM34bに貸し球の変換レートに応じた貸し球数が記憶保持されていない場合、図5のステップS14の処理に移行する。即ち、CPU33は、設定器37の設定値に対応する制御信号を読み込むと共に、当該制御信号に対応する変換レートをROM34aから読み込む。この場合、前記制御信号は設定値である24(個)に対応しており、CPU33はROM34aから変換レートとして24(個)を読み込む。そして、CPU33は、ROM34aから読み込んだ貸し球の変換レートを貸し球数(24)としてRAM34bに記憶保持させる。
【0051】
なお、設定器37の設定値を、例えば、25(個)→24(個)に変更する場合には、RAM34bに記憶保持された変換レート(25)をクリアした後、電源投入を行うことでRAM34bには新たな変換レート(24)が記憶保持される。
【0052】
そして、球貸ボタン22の押下操作によりカードユニット18に球貸し信号が入力されると、カードユニット18は払出し制御基板32に対し球貸し要求信号を出力する。一方、CPU33は、図6のステップS20において球貸し要求信号が入力されると、RAM34bに対し球貸し総数として24(個)を設定した後(図6のステップS21)、図7に示す球貸し動作処理を実行する。そして、CPU33は、球貸し総数としてRAM34bに設定された24(個)が0(個)になるまで図7のステップS30〜ステップS34の各処理を繰り返し実行することにより、24個の貸し球が払い出される。
【0053】
従って、第1の実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)電源投入時であって、RAM34bに変換レートに応じた貸し球を含む遊技状態に関する制御情報が記憶保持されている場合、該貸し球数と設定器37に設定された貸し球の変換レートが一致するか否かを判定している。そして、CPU33は、その判定結果が否定の場合には、貸し球の払出しに関する制御を所定の制御処理に移行させている。そのため、設定器37の設定状態が、例えば、誤操作や不正行為によって変更された場合の早期発見に貢献することができる。従って、遊技者側及び遊技店側の双方における不利益を抑制することができる。
【0054】
(2)また、遊技機10の電源投入が行われる度に前記ステップS11の処理を実行するため、遊技店の営業時間外に設定器37の設定値の変更がなされた場合でも、電源投入時に貸し球の払出しが規制され、遊技店側の不利益を抑制することができる。さらに、遊技店の営業時間外に外部からの侵入者による不正行為が行われたことを判断することができ、このような行為に対して遊技店側が迅速に対処することができる。
【0055】
(3)RAM34bに記憶保持された貸し球数と設定器37に設定された貸し球の変換レートが一致しない場合には、エラー報知と共に、貸し球の払出しを規制している。そのため、遊技店の店員及び遊技者の双方において、異常が発生していることを容易に発見することができる。従って、設定器37の設定状態が、例えば、誤操作や不正行為によって変更された場合の早期発見に貢献することができる。
【0056】
(4)払出し制御基板32には、貸し球の変換レートを設定するための設定器37が設けられていると共に、ROM34aには、複数種類の変換レートが記憶保持されている。そのため、設定器37の設定を変更することにより、所望の変換レートをROM34aから選択することができる。従って、払出し制御基板32を交換することなく、変換レートを簡単に変更することができる。さらに、遊技店側、又は、メーカ側において、貸し球の変換レートが異なる複数種類の払出し制御基板32を予め用意しておく必要がなく、遊技機10の管理性を向上させることができる。
【0057】
(5)また、変換レートを変更する必要性が生じた場合でも払出し制御基板32の交換が不要であるため、払出し制御基板32を遊技機10の機種変更時に交換する必要がない非交換部位として扱うことができる。従って、機種に関係なく払出し制御基板32の共通化を図ることができ遊技機10のコスト削減に貢献することができる。
【0058】
(6)払出し制御基板32のCPU33は、電源投入時に、RAM34bに貸し球の変換レートに応じた貸し球数を含む遊技状態に関する制御情報が記憶保持されていないという条件下において、設定器37の設定値に応じてRAM34bに貸し球数を記憶保持させている。そのため、遊技店の営業時間中や営業時間外に遊技者や外部からの侵入者による不正行為によって設定器37の設定値が変更された場合であっても、前述の条件下が成立していなければ、RAM34bに記憶保持されている貸し球数の書き換えが行われることがない。従って、遊技店側が取り決めて設定した変換レート、即ち、RAM34bに記憶保持させた適正な貸し球数に基づき貸し球の払出しを制御することができる。さらに、遊技店の店員は、球払出装置30の球詰まりなどの不具合を解消するために遊技機10の機裏側に配設された各種構成部材や各種基板の周辺に触れる機会が多くある。そして、この作業中に誤って設定器37の設定を変更してしまった場合でも、RAM34bに記憶保持させた適正な貸し球数に基づき貸し球の払出しを制御することができる。
【0059】
(7)RAM34bに記憶保持された制御情報は、電源遮断後(停電や電源OFF)も記憶保持されるようになっている。そのため、例えば、停電などによる電源遮断後、復電した場合でも設定器37から前記変換レートを読み込み、該変換レートに応じた貸し球数を記憶保持させる必要がなく、速やかに遊技機10の遊技状態を復帰させることができる。
【0060】
(8)払出し制御基板32は、設定器37に設定された変換レートに応じた貸し球数をRAM34bに記憶保持し、当該変換レートに応じた貸し球数に基づき球貸し制御を実行するようになっている。そのため、主制御基板31や払出し制御基板32の負担低減に貢献することができる。即ち、払出し制御基板32のRAM34bに貸し球数を記憶保持させない場合、従来のように、カードユニット18からの貸し球要求信号を入力する毎に設定器37に設定された貸し球の変換レートを読み込み記憶保持する必要がある。この場合、払出し制御基板32の負担が大きくなると共に、処理時間が遅延する要因となる。従って、RAM34bに貸し球数を記憶保持させることにより、払出し制御基板32の負担を低減し、処理時間を早くすることができる。また、主制御基板31に設定器37を設け、貸し球数を払出し制御基板32に記憶保持させない場合、主制御基板31は、払出し制御基板32に対し貸し球数に関する制御信号を貸し球要求信号を入力する毎に出力する必要があり、主制御基板31の負担が大きくなる。従って、RAM34bに貸し球数を記憶保持させることにより、主制御基板31の負担を低減することができる。
【0061】
(9)設定器37は、払出し制御基板32に設けられている。そのため、設定器37専用の基板や配線を増加させる必要が無く、遊技機10の部品点数の削減や組み付け性の向上に貢献することができる。また、設定器37を払出し制御基板32と同様に、遊技機10の機種変更時に交換する必要がない非交換部位(非交換部品)として扱うことができる。さらに、設定器37に設定された変換レートを払出し制御基板32のバックアップ処理の一部としてRAM34bで記憶保持させることができる。
【0062】
(第2の実施形態)
以下、本発明をその一種であるパチンコ遊技機(以下、「遊技機」という。)に具体化した第2の実施形態を図9及び図10に基づき説明する。なお、以下に説明する実施形態において、既に説明した実施形態と同一の構成(又は同一の制御内容)には、同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0063】
本実施形態では、RAM34bに記憶保持されている貸し球の変換レートに応じた貸し球数と設定器37に設定された貸し球の変換レートが一致するか否かを判定するタイミングが前記第1の実施形態とは異なっている。
【0064】
図9には、本実施形態において、払出し制御基板32(CPU33)が行う電源投入時の処理ルーチンが示されている。そして、前記第1の実施形態では、この電源投入時の処理ルーチンの際に、前記貸し球数と設定器37に設定された貸し球の変換レートが一致するか否かを判定していたが、本実施形態では行わないようになっている。
【0065】
即ち、CPU33は、最初に、電源投入時、RAM34bに変換レートに応じた貸し球を含む遊技状態に関する制御情報が記憶保持されているか否かを判定する(ステップS10)。そして、前記制御情報が記憶保持されている場合、CPU33は、遊技機10の制御を開始する(ステップS12)。
【0066】
一方、前記ステップS10において、前記制御情報が記憶保持されていない場合、CPU33は、設定器37の設定値を読み込むと共に、該設定値に基づく貸し球の変換レートに応じた貸し球数をRAM34bに記憶保持させる(ステップS14)。そして、CPU33は、RAM34bに対し初期設定を行った後、遊技機10の制御を開始する(ステップS15)。
【0067】
図10には、本実施形態において、払出し制御基板32(CPU33)が行う球貸し制御の処理ルーチンが示されている。
そして、本実施形態では、この球貸し制御の処理ルーチンの際に、前記貸し球数と設定器37に設定された貸し球の変換レートが一致するか否かを判定するようになっている。
【0068】
即ち、CPU33は、カードユニット18が出力した球貸し要求信号が入力されたか否かを判定する(ステップS20)。そして、球貸し要求信号を入力した場合、CPU33は、RAM34bに記憶保持されている貸し球数と設定器37に設定された現在の貸し球の変換レートが一致するか否かを判定する(ステップS20’)。具体的には、CPU33が、設定器37の設定値に対応する制御信号を読み込むと共に、当該制御信号に対応する変換レートをROM34aから読み込む。そして、CPU33は、読み込んだ変換レートに対応する貸し球数と、RAM34bに記憶保持されている貸し球数とが一致するか否かの判定を行う。このステップS20’の判定結果が肯定、即ち、一致する場合、CPU33は、RAM34bに記憶保持されている貸し球数を球貸し総数としてRAM34bに設定する(ステップS21)。そして、CPU33は、図7において詳しく説明した球貸し動作の処理ルーチンに基づき、球貸し総数として設定された個数分の貸し球を払出すべく球貸し動作を実行する(ステップS22)。
【0069】
一方、前記ステップS20’の判定結果が否定、即ち、RAM34bに記憶保持されている貸し球数と設定器37に設定された貸し球の変換レートが一致しない場合、CPU33は、エラー設定後、貸し球の払出しに関する制御を所定の制御処理に移行する(ステップS23)。具体的に言えば、第1の実施形態で説明した電源投入時の処理ルーチン(図5)におけるステップS13と同様に、所定のエラー報知を行うための制御を実行する。また、CPU33は、そのエラー報知に加えて、貸し球の払出しを規制すべく、球払出装置30を作動制御させて行う球貸し動作を実行しないようにする。即ち、この場合には、ステップS21における球貸し総数の設定にかかる処理が実行されず、貸し球の払出しが行われない。
【0070】
従って、第2の実施形態によれば、前記第1の実施形態の効果(3)〜(9)に加えて、以下に示す効果を得ることができる。
(10)球貸し制御処理が実行される度(カードユニット18からの球貸し要求信号を入力する度)に前記ステップS20’の処理を実行している。そのため、遊技店の営業中(遊技機10の稼動中)に設定器37の設定値の変更がなされた場合でも、貸し球の払出しを規制することにより、遊技店側の不利益を抑制することができる。また、遊技機10の稼動中にエラーを発見することができるため、遊技店側が迅速に対応することができる。
【0071】
(11)また、前記ステップS20’の処理により、例えば、遊技店の店員が営業時間中に不正行為や誤操作などにより設定値が変更されていることを知らずにRAM34bを強制的にクリアした場合に、変更された設定器37の設定値が読み込まれ、不適正な貸し球の変換レートで貸し球の払出しが制御されることを抑制することができる。即ち、営業時間中に行われた設定器37の設定値の変更を事前に発見することができるため、設定器37に適正な設定値が設定されている状態を維持することができる。従って、遊技店の開店時に、店員がRAM34bを強制的にクリアした場合であっても、適正な貸し球数がRAM34bに記憶保持され、適正な貸し球の変換レートで貸し球の払出しを制御することができる。
【0072】
なお、前記実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記第1,第2の実施形態において、設定器37に設定されている変換レート、即ち、最小変換単位に対する貸し球数を表示するための個数表示手段としての個数表示器を設けても良い。例えば、図8(a)に示すように、払出し制御基板32に個数表示器38を設け、当該個数表示器38に設定器37に設定された前記貸し球数を数字表示しても良い。このように構成すれば、変換レートの設定時、遊技店の店員は個数表示器38の表示内容を確認しながら設定器37を操作することができる。また、個数表示器38を遊技機10の機表側の部位に設けても良い。この場合、非交換部位に設けることが望ましく、例えば、前枠14、上球皿15(特に、球貸し操作部20の近傍)などに設けても良い。このように構成すれば、遊技者に対し変換レートを報知することができ遊技者に不信感を与えることがなく、また、遊技店の店員は、その表示内容から誤操作や不正行為によって変換レートが間違っているか否かを確認することもできる。
【0073】
・前記第1,第2の実施形態では、設定器37として鍵スイッチ37aを設けているが、設定値(変換レート)を変更自在な構成であれば特に限定されない。例えば、図8(b)に示すように、設定器37としてレバースイッチ37bを設け、当該レバースイッチ37bを表記されている貸し球数の位置に揺動させることにより変換レートを変更自在とする構成でも良い。さらに、図8(c)に示すように、設定器37としてスライドスイッチ37cを設け、当該スライドスイッチ37cを表記されている貸し球数の位置にスライド移動させることにより変換レートを変更自在とする構成でも良い。また、図8(d)に示すように、押釦スイッチ37dと鍵スイッチ37eを並設しても良い。そして、鍵スイッチ37eに所定の鍵を差し込み回動させることで押釦スイッチ37dの操作を有効とし、該押釦スイッチ37dの押下操作によって変換レートを変更自在とする構成でも良い。この場合、押釦スイッチ37dの押下回数が設定された変換レートに対応する。また、払出し制御基板32に数字キー(10キー)を設け、直接、貸し球数を入力しても良い。
【0074】
・前記第1,第2の実施形態は、遊技機10に設定器37を設けているが、遊技場に設置された複数台の遊技機(パチンコ遊技機など)の貸し球を一括して管理する遊技管理システムとして前記各実施形態を具体化することもできる。即ち、遊技場内の管理室などに各遊技機の貸し球の変換レートを変更自在に設定可能な払出し個数設定器を設ける。また、各遊技機は、前記各実施形態の遊技機10と同様に、電源投入時、RAM34bに貸し球の変換レートに応じた貸し球数が記憶保持されていない場合に前記設定器に設定された変換レートを読み込み、該変換レートに応じた貸し球数をRAM34bに記憶保持させる。そして、遊技場に第1の実施形態の遊技機10が設置される場合、該遊技機10には、RAM34bに記憶保持した前記貸し球数に基づき貸し球の払出しを制御する一方で、電源投入時に、RAM34bに記憶保持されている前記貸し球数と前記設定器に設定された変換レートが一致するか否かを判定する払出し制御基板32が設けられる。また、遊技場に第2の実施形態の遊技機10が設置される場合、該遊技機10には、RAM34bに記憶保持した前記貸し球数に基づき貸し球の払出しを制御する一方で、球貸し制御処理時に、RAM34bに記憶保持されている前記貸し球数と前記設定器の設定された変換レートが一致するか否かを判定する払出し制御基板32が設けられる。なお、各払出し制御基板32は、前記設定器と前記各払出し制御基板32を接続する信号線を介して前記変換レートを読み込んでも良い(有線形態)。また、各払出し制御基板32は、前記各遊技機に設けられた信号受信部で前記設定器から送信された変換レートに関する信号を受けて前記変換レートを読み込んでも良い(無線形態)。このような遊技管理システムによれば、前記実施形態と同様な効果に加えて、各遊技機における貸し球の変換レートを一括して変更することができ、作業性を向上させることができる。
【0075】
・前記第1,第2の実施形態では、貸し球の払出しを払出し制御基板32によって制御しているが、主制御基板31によって貸し球の払出しを制御しても良い。即ち、電源投入時、主制御基板31が設定器37に設定された変換レートを読み込んで記憶させ、当該変換レートに基づき貸し球の払出しを制御しても良い。
【0076】
・前記第1,第2の実施形態では、設定器37が払出し制御基板32に設けられているが、その配置は特に限定されない。例えば、主制御基板31、保護カバー26、又は、遊技場管理システム側に各種遊技情報を中継出力するための外部接続端子板39(図2に示す)に設けても良い。
【0077】
・前記第1,第2の実施形態では、貸し球の変換レートに応じた貸し球数が電源遮断後もRAM34bに記憶保持されているが、電源遮断時にRAM34bから消去されても良い。この場合、電源が投入される度に払出し制御基板32が設定器37に設定されている変換レートに応じた貸し球数を読み込んでRAM34bに記憶保持させ、以降は、RAM34bに記憶保持した前記貸し球数に基づき貸し球の払出しを制御すれば良い。
【0078】
・前記第1,第2の実施形態では、変換レートとして貸し球の最小変換単位に対する貸し球数を設定したが、貸し球(遊技球)1個の単価を変換レートとして設定しても良い。
【0079】
・前記第1,第2の実施形態では、カードユニット18にプリペイドカードを挿入し、当該カードを貸し球と交換していたが、貸し球交換媒体として紙幣、又は、硬貨であっても良い。
【0080】
・前記第1,第2の実施形態では、遊技機としてパチンコ遊技機に具体化した実施形態を説明したが、その他の遊技機であっても前記実施形態と同様に具体化することもできる。例えば、アレンジボール遊技機、雀球機、又は、パチンコ球を遊技媒体としたスロットマシンでも良い。
【0081】
・前記第1の実施形態では電源投入時に、前記第2の実施形態では球貸し制御処理時に、夫々、RAM34bに記憶保持されている貸し球数と設定器37に設定された貸し球の変換レートが一致するか否かの判定を行っているが、その判定タイミングは任意に変更することができる。例えば、電源投入後、所定時間毎(例えば、30分毎、1時間毎など)に判定させたり、所定の時刻に判定させるようにしても良い。また、払出し制御基板32の制御によって所定個数の遊技球(賞球や貸し球)を払出す毎に判定させたり、所定回数の遊技(図柄組み合わせゲーム)が行われる毎に判定させるようにしても良い。
【0082】
・前記第1,第2の実施形態において、RAM34bに記憶保持されている貸し球数と設定器37に設定された貸し球の変換レートが一致しない場合にエラー報知を行うエラー報知部は、どのような形態であっても良い。例えば、球貸し操作部20の残金表示部24に「E」などの文字表示で報知させたり、遊技機10に設置されたスピーカ40(図1に示す。)から所定のエラー音を出力したり、遊技機10の機前面側に設置された発光装飾部(発光ランプ)41(図1に示す)を発光装飾させたりしてエラー報知を行っても良い。さらに、外部接続端子板39を介して遊技管理システム側にエラー報知を行っても良い。
【0083】
・前記第1,第2の実施形態では、RAM34bに記憶保持されている貸し球数と設定器37に設定された貸し球の変換レートが一致しない場合、払出し制御基板32のCPU33が、エラー報知と貸し球の払出し規制を行っているが、何れか一つの制御のみを実行するようにしても良い。
【0084】
・前記第1,第2の実施形態で説明したRAM34bに記憶保持されている貸し球数と設定器37に設定された貸し球の変換レートの判定は、次のような場合にも適用することができる。即ち、カードユニット18から貸し球要求信号を入力する毎に、設定器37の設定状態を読み込み、該設定状態に応じて実際の貸し球数を決定するような場合においても適用することができる。具体的には、決定された貸し球数に基づいて貸し球の払出し制御が実行された後(前)に、RAM34bに該貸し球数を前回の貸し球数として記憶保持させておく。そして、次の貸し球要求信号を入力し、実際の貸し球数を決定する際に、RAM34bに記憶保持されている前回の貸し球数と設定器37の設定状態から決定される貸し球数を比較判定すれば良い。このとき、両貸し球数が一致していない場合には、前記第1,第2の実施形態と同様に、払出し制御基板32のCPU33が、貸し球の払出しに関する制御を所定の制御処理へ移行させれば良い。
【0085】
次に上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下に追記する。
(イ)貸し球の変換レートを変更自在に設定可能な設定手段と、前記変換レートを含む遊技状態に関する制御情報が記憶手段に記憶されていない場合には前記設定手段に設定された変換レートの設定状態を読み込み、その変換レートに応じた貸し球数を前記記憶手段に記憶保持させて当該貸し球数に基づき貸し球の払出しを制御する一方で、所定時において前記記憶手段に記憶保持させた前記貸し球数と前記設定手段に設定された前記変換レートとが一致するか否かを判定し、その判定結果が否定である場合には前記貸し球の払出しに関する制御を所定の制御処理へ移行させる制御手段とを備えた遊技機。
【0086】
(ロ)請求項1〜請求項4及び前記技術的思想(イ)のうちいずれか一項に記載の遊技機において、前記記憶手段は、電源遮断後も前記変換レートに応じた貸し球数を含む遊技状態に関する制御情報を記憶保持している。
【0087】
(ハ)請求項1〜請求項4及び前記技術的思想(イ),(ロ)のうちいずれか一項に記載の遊技機において、前記制御手段は、球払出装置の作動制御を実行する払出し制御手段である。
【0088】
(ニ)遊技場に設けられ、当該遊技場に設置された複数の遊技機における貸し球の変換レートを変更自在に設定可能な設定手段と、前記各遊技機に設けられ、前記設定手段に設定された変換レートの設定状態を読み込み、その変換レートに応じた貸し球数を前記記憶手段に記憶保持させて当該貸し球数に基づき貸し球の払出しを制御する一方で、所定時において前記記憶手段に記憶保持させた前記貸し球数と前記設定手段に設定された前記変換レートとが一致するか否かを判定し、その判定結果が否定である場合には前記貸し球の払出しに関する制御を所定の制御処理へ移行させる制御手段とを備えた遊技管理システム。
【0089】
(ホ)遊技場に設けられ、当該遊技場に設置された複数の遊技機における貸し球の変換レートを変更自在に設定可能な設定手段と、前記各遊技機に設けられ、電源投入時に前記変換レートを含む遊技状態に関する制御情報が記憶手段に記憶されていない場合には前記設定手段に設定された変換レートの設定状態を読み込み、その変換レートに応じた貸し球数を前記記憶手段に記憶保持させて当該貸し球数に基づき貸し球の払出しに関する制御を開始する一方で、電源投入時に前記貸し球数が前記記憶手段に記憶保持されている場合には該貸し球数と前記設定手段に設定された前記変換レートとが一致するか否かを判定し、その判定結果が否定である場合には前記貸し球の払出しに関する制御を所定の制御処理へ移行させる制御手段とを備えた遊技管理システム。
【0090】
(ヘ)遊技場に設けられ、当該遊技場に設置された複数の遊技機における貸し球の変換レートを変更自在に設定可能な設定手段と、前記各遊技機に設けられ、電源投入時に前記変換レートを含む遊技状態に関する制御情報が記憶手段に記憶されていない場合には前記設定手段に設定された変換レートの設定状態を読み込み、その変換レートに応じた貸し球数を前記記憶手段に記憶保持させる一方で、貸し球変換媒体の有効範囲内で指令される球貸し制御装置からの球貸し要求を受けて、前記記憶手段に記憶保持させた前記貸し球数と前記設定手段に設定された前記変換レートとが一致するか否かを判定し、その判定結果が肯定である場合には前記記憶手段に記憶保持させた前記貸し球数に基づき貸し球の払出しを制御すると共に、前記判定結果が否定である場合には前記貸し球の払出しに関する制御を所定の制御処理へ移行させる制御手段とを備えた遊技管理システム。
【0091】
【発明の効果】
貸し球の変換レートを変更自在に設定可能な場合であっても、適正な貸し球の変換レートで貸し球の払出しを制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 パチンコ遊技機の機表側を概略的に示す正面図。
【図2】 同じく、機裏側を概略的に示す背面図。
【図3】 同じく、上球皿を示す平面図。
【図4】 球貸し制御処理に係る各種構成部材と各種基板の接続態様を示すブロック図。
【図5】 第1の実施形態における払出し制御基板における電源投入時処理の制御態様を説明するフローチャート。
【図6】 同じく、球貸し制御処理の制御態様を説明するフローチャート。
【図7】 球貸し動作処理の制御態様を説明するフローチャート。
【図8】 各種払出し個数設定器の具体的な構成を示す正面図。
【図9】 第2の実施形態における払出し制御基板における電源投入時処理の制御態様を説明するフローチャート。
【図10】 同じく、球貸し制御処理の制御態様を説明するフローチャート。
【符号の説明】
10…パチンコ遊技機(遊技機)、18…カードユニット(球貸し制御装置)、30…球払出装置、32…払出し制御基板(制御手段、払出し制御手段)、34b…RAM(記憶手段)、37…払出し個数設定器(設定手段)。
Claims (5)
- 貸し球の変換レートを変更自在に設定可能な設定手段と、
電源遮断後も前記変換レートに応じた貸し球数を含む遊技状態に関する制御情報を記憶保持可能な記憶手段と、
電源投入時に前記変換レートに応じた貸し球数を含む遊技状態に関する制御情報が前記記憶手段に記憶されていない場合には前記設定手段に設定された変換レートの設定状態を読み込み、その変換レートに応じた貸し球数を前記記憶手段に記憶保持させて当該貸し球数に基づき貸し球の払出しに関する制御を開始する一方で、電源投入時に前記貸し球数が前記記憶手段に記憶保持されている場合には該貸し球数と前記設定手段に設定された前記変換レートとが一致するか否かを判定し、その判定結果が否定である場合には前記貸し球の払出しに関する制御を、貸し球の払出し規制及びエラー報知のうち少なくともいずれかを含む制御処理へ移行させる制御手段と、を備えた遊技機。 - 貸し球の変換レートを変更自在に設定可能な設定手段と、
電源遮断後も前記変換レートに応じた貸し球数を含む遊技状態に関する制御情報を記憶保持可能な記憶手段と、
電源投入時に前記変換レートに応じた貸し球数を含む遊技状態に関する制御情報が前記記憶手段に記憶されていない場合には前記設定手段に設定された変換レートの設定状態を読み込み、その変換レートに応じた貸し球数を前記記憶手段に記憶保持させる一方で、貸し球変換媒体の有効範囲内で指令される球貸し制御装置からの球貸し要求を入力することによって、前記記憶手段に記憶保持させた前記貸し球数と前記設定手段に設定された前記変換レートとが一致するか否かを判定し、その判定結果が肯定である場合には前記記憶手段に記憶保持させた前記貸し球数に基づき貸し球の払出しを制御すると共に、前記判定結果が否定である場合には前記貸し球の払出しに関する制御を、貸し球の払出し規制及びエラー報知のうち少なくともいずれかを含む制御処理へ移行させる制御手段と、を備えた遊技機。 - 前記設定手段は、人為的操作によって前記変換レートを設定可能な設定器である請求項1又は請求項2に記載の遊技機。
- 前記制御手段は、前記貸し球としての遊技球を払出す球払出装置を作動させて前記貸し球を払出させることにより前記貸し球数に基づく前記貸し球の払出しを制御する払出し制御基板であって、
前記設定器は、前記払出し制御基板に設けられている請求項3に記載の遊技機。 - 貸し球としての遊技球を払出す球払出装置と、遊技者が貸し球を貸し受ける際に操作する球貸しボタンを有する球貸し操作部と、を備え、前記制御手段と前記球貸し操作部は、前記貸し球と交換可能な貸し球変換媒体が挿入される球貸し制御装置と接続可能であって、
前記制御手段は、前記球貸しボタンが操作されると、前記変換レートに応じて前記記憶手段に記憶保持させた前記貸し球数にしたがい、当該貸し球数分の遊技球を払出させるべく前記球払出装置を作動させることにより前記貸し球数に基づく前記貸し球の払出しを制御する請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の遊技機。
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