JP4173195B2 - ヌクレオシド類似体の合成方法 - Google Patents
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Description
1,3−ジオキサチオランヌクレオシドは2つのキラル中心(フラノースナンバリングシステムによるC1′−およびC4′−位置)を有し、一般にα−およびβ−形のジアステレオマー対として存在し、各形は2つの光学的対掌体を含む。α−およびβ−ジアステレオマーは異なる抗ウイルス活性を有する傾向があり、β−形の方が一般により有効である。同様に、各ジアステレオマーの光学的対掌体対は異なる性質を有する傾向がある。
β−ジアステレオマーはこれまで、ジアステレオマー混合物を製造し、その後、溶解度差またはクロマトグラフィーのような物理的方法によるβ−形の煩雑な分離によって得られてきた。β−異性体の全体収率は一般に50%未満である。
国際特許出願WO91/11186には、特定のルイス酸、一般に塩化第二スズの存在下、炭水化物または炭水化物類似成分と複素環式塩基とを縮合することによって1,3−オキサチオランヌクレオシドを高いβ−ジアステレオマー選択性で得る方法が記載されている。この方法はまた国際特許出願WO92/14743にも例示されている。
炭水化物または類似成分とプリンまたはピリミジン塩基との縮合にかかわるヌクレオシド類似体の別のジアステレオ選択的製造方法は、WO92/20669およびWO95/29174に記載されている。
我々はこのたび、α−汚染物質を含まない1,3−オキサチオランピリミジンヌクレオシドのβ−ジアステレオマーのみを生成する効率的で新規な方法を開発した。合成にかかわる重要な工程は、適当な複素環式アセトアルデヒドを1,4−ジチアン−2,5−ジオールで環化して”5′−テザード(tethered)”1,3−オキサチオランヌクレオシド類似体を得、その後、炭水化物環の同じ面で分子内グリコシル化して(1′−テザード)β−ジアステレオマーのみを得るものである。5′−テザードフラノースヌクレオシドの分子内グリコシル化は、特に日本国特許第06263792−A号から公知であるが、これにはそのような方法を抗ウイルス性1,3−オキサチオランヌクレオシドの製造に適用する記載はない。得られるβ−ジアステレオマーは、相当するシチジン類似体に加水分解しても、あるいは当業者に公知の適当な技術によって、例えばエステル化し、その後、酵素による選択的加水分解をし、”不所望な”光学的対掌体を除去し、そして所望の光学的対掌体形のエステルの加水分解を行うことによって分割してもよい。あるいは、例えば、キラル補助体を用いることによって実質的に光学対掌的に純粋な中間体を得ることも可能であり、この中間体を用いて所望の光学対掌的に純粋な生成物を得ることができる。
本発明の1つの態様は、式(I)
(式中、Rは水素、C1-6アルキルまたはハロゲンであり、Yはヒドロキシ、アミノ、C1-6アルコキシまたはOR1であり、R1はキラル補助基である)
の化合物の製造方法であって、式(II)
(式中、RおよびYは上記定義通りであり、R2は水素、C1-6アシル、C1-6アルキルまたはハロゲンである)
の化合物を、基OR2を脱離基に変換するのに適した適当なルイス酸または試薬で処理することを含む方法を提供するものである。
適当なルイス酸には、例えば、塩化第二スズまたはトリメチルシリルトリフレートが含まれる。ルイス酸との反応は極性非プロトン性溶媒中、低温(例えば、0〜−20℃)で行うのが適しており、その後、塩基で処理する。
R2がHである場合、基OR2をハロゲン化剤、例えばチエニルハライドもしくはオキサリルハライド、またはトシルもしくはメシルハライドとの反応によって脱離基に変えると好都合である。OR2を脱離基(すなわち、環窒素原子が容易に置換しうる基)へ変える別の方法は、当業者にとって明らかなことである。
変化しうるRが一般式において2回以上生じる場合、各々の位置の基が同じでも異なっていてもよいことは、無論のことである。
ここで用いるように、ハロゲンは臭素、塩素、フッ素またはヨウ素、特に塩素またはフッ素、とりわけフッ素を意味する。
”キラル補助体(chiral auxiliary)”は、ラセミ混合物の化学分割に用いる非対称分子を意味する。そのようなキラル補助体は、α−メチルベンジルアミンのように1つのキラル中心またはメタノールのようにいくつかのキラル中心を有していてもよい。キラル補助体の目的は、出発物質に組み込んで、得られるジアステレオマー混合物の分離を容易にすることである。例えば、J.Jacques et al.,Enantiomers,Racemates and Resolutions,pp.251-369,John Wiley & Sons,New York(1981)参照。R1がキラル補助基である場合、これは(d)−メンチル、(l)−メンチル、(d)−8−フェニルメンチル、(l)−8−フェニルメンチル、(+)−ノルエフェドリンおよび(−)−ノルエフェドリンから選択するのが好ましい。さらに好ましくは、R1は(l)−メンチルまたは(d)−メンチルであり、最も好ましくは(l)−メンチルである。
本発明の別の態様は、式(Ia)
(式中、RおよびYは前記定義通りである)
の化合物の製造方法であって、式(IIa)
(式中、R、YおよびR2は上記定義通りである)
の化合物を、基OR2を脱離基に変えるのに適した適当なルイス酸または試薬で処理することを含む方法を提供するものである。
本発明の別の態様は、式(III)
(式中、RおよびYは上記定義通りである)
の化合物を、1,4−ジチアン−2,5−ジオールと、非極性非プロトン性溶媒中、高温(例えば、100℃)で反応させて、R2がHである式(II)の化合物得ることを含む、式(II)の化合物の製造方法を提供するものである。R2がH以外である式(II)の化合物は相当するヒドロキシ化合物から、標準的な方法を用いる、例えばアルカノイルハライド/塩基または無水カルボン酸/塩基で処理する誘導化によって製造しうる。
式(III)の化合物と1,4−ジチアン−2,5−ジオールとの反応で、R2がHである式(II)の化合物の異性体混合物が得られる。YがOR1である場合、式(IIa)の化合物はジアステレオマー混合物から選択的に結晶化しうる。本発明のさらに別の態様は、RがHであり、YがOR1である式(IIa)の化合物を異性体混合物から、少なくとも一部が溶液中の異性体混合物を、RがHであり、YがOR1である所望の単一の光学的対掌体(IIa)の結晶化を完全に抑制することなく異性体の相互変換を行うことができる薬剤で処理することによって得る方法を提供するものである。式(IIa)の他の化合物は、RがHであり、YがOR1である式(IIa)の化合物から、一般的な方法によって製造しうる。
トランス異性体の結晶化を完全に抑制することなく異性体の相互変換を行うことができる薬剤は、例えば、アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、および有機塩基、特にt−アミン、例えばピリジンおよびトリエチルアミン並びにHunig塩基である。好ましい薬剤はトリエチルアミンである。
異性体の相互変換は、所望の異性体または異性体混合物の結晶化を可能にし、かつ所望の異性体または異性体混合物の有意な分解を生じない濃度および温度条件下で、式(II)のアルコールと反応しない適当な溶媒または溶媒混合物中で行いうる。適した溶媒は、例えば、脂肪族または芳香族炭化水素、エーテル、エステルおよび塩素化炭化水素である。相互変換は約−20〜120℃、より好ましくは約−10〜80℃、例えば約0〜50℃で行うのが好ましい。
溶媒、温度、相互変換剤、および特に相互変換剤の量の選択は、異性体中に存在する基R、R1およびR2の性質に基づく実験の積み重ねとして行うのがベストであることは、当業者にとって明らかなことである。しかしながら、有機塩基を相互変換剤として用いるとき、好ましい量は一般に、存在する(II)の全ての異性体の合計に基づいて2モル当量未満である。
異性体の相互変換は異性体混合物の製造とは別に行ってもよい;しかしながら、製造と同時に行うと好都合である。
相互変換法は、単離された(IIa)の異性体純度を高めるのにも用いうる。
相互変換法により、所望の異性体(IIa)の単離収率は理論値の50%以上に(全ての立体異性体の形成に基づいて)、一般には理論値の約60〜約90%に高めうる;しかし、理論値の100%に近い収率が得られることもある。
式(III)の化合物は、式(IV)
(式中、R(同一でも異なるものでもよい)およびYは上記定義通りである)の化合物を水性トリフルオロ酢酸(90%)と高温で反応させることによって製造しうる。
式(IV)の化合物は、式(V)
(式中、RおよびYは上記定義通りであり、Zは適当な脱離基、例えば塩素である)
の化合物を、式(VI)
(式中、R(同一でも異なるものでもよい)は上記定義通りである)
の化合物と、低温にて、極性非プロトン性溶媒中、塩基の存在下で反応させることによって製造しうる。
式(V)の化合物は、式(VII)
(式中、RおよびZ(同一でも異なるものでもよい)は上記定義通りである)の化合物を適当な求核試薬、例えば、式(V)の化合物中のYがエトキシである場合、EtO-(NaOEt/EtOH)と反応させることによって製造しうる。
式(VI)および(VII)の化合物は商業的に得ても、あるいは商業的に入手しうる出発物質から当業者に公知の方法、例えば、式(VII)の化合物中のRがフッ素であり、Zが塩素である場合、5−フルオロウラシルとオキシ塩化リンとを塩基の存在下、高温で処理することによって製造してもよい。
上述のように、C4−位置のYがC1-6アルコキシまたはOR1である式(I)の化合物は、アンモニア性メタノールと共に加熱することによって、シチジン類似体(Y=NH2)に変換でき、あるいはラセミの場合、当業者に公知の適当な技術、例えば国際特許WO92/14743に記載の酵素法の1つによって分割してもよい。
そのような方法によると、ラセミβ−ジアステレオマー(I)を、例えば無水酪酸を用いて、C5′−位置でエステル化し、そしてラセミエステル(VIII)を適当な酵素、一般にはブタの肝臓のエステラーゼで処理して”不所望の”光学的対掌体を選択的に加水分解し、水溶性でありかつ所望の(非加水分解)光学的対掌体(X)から分離することができる5′−OH化合物(IX)に戻す。光学的対掌体(X)は、アンモニア性メタノールと共に加熱することによって、所望の光学的対掌体形の4−NH2,5′−OH化合物に変換する。
本発明の方法は特に、(2R,5S)−5−フルオロ−1−[2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]シトシン、(2R,5S)−1−[2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]シトシン、(±)−シス−5−フルオロ−1−[2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]シトシンおよび(±)−シス−1−[2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]シトシンの製造に適用しうる:
本発明の別の態様は、式(IV)、(III)、(II)および(I)の新規な化合物(後者には、ラセミ化合物、(2S,5R)−光学的対掌体(IX)、エステル化ラセミ化合物(VIII)およびエステル化(2R,5S)−光学的対掌体(X)が含まれる)を提供するものである。(2R,5S)−5−フルオロ−1−[2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]シトシン、(2R,5S)−1−[2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]シトシン、(±)−シス−5−フルオロ−1−[2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]シトシンおよび(±)−シス−1−[2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]シトシンの製造から生じる具体的な中間体化合物の例を以下に示す:
2−(2,2−ジメトキシエトキシ)−4−エトキシ−5−フルオロピリミジン
2−(2,2−ジメトキシエトキシ)−4−エトキシ−ピリミジン
2−[(4−エトキシ−5−フルオロ−2−ピリミジニル)オキシ]アセトアルデヒド
2−[(4−エトキシ−2−ピリミジニル)オキシ]アセトアルデヒド
2−{[(4−エトキシ−5−フルオロ−2−ピリミジニル)オキシ]メチル}−1,3−オキサチオラン−5−オール
2−{[(4−エトキシ−2−ピリミジニル)オキシ]メチル}−1,3−オキサチオラン−5−オール
2−{[(4−エトキシ−5−フルオロ−2−ピリミジニル)オキシ]メチル}−1,3−オキサチオラン−5−イル アセテート
2−{[(4−エトキシ−2−ピリミジニル)オキシ]メチル}−1,3−オキサチオラン−5−イル アセテート
(2S*,5R*)−4−エトキシ−5−フルオロ−1−[2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]ピリミジン−2−オン
(2S*,5R*)−4−エトキシ−1−[2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]ピリミジン−2−オン
(2S*,5R*)−4−エトキシ−5−フルオロ−1−[2−(ブタノイルオキシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]ピリミジン−2−オン
(2S*,5R*)−4−エトキシ−1−[2−(ブタノイルオキシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]ピリミジン−2−オン
(2S*,5R*)−4−エトキシ−5−フルオロ−1−[2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]ピリミジン−2−オン
(2S*,5R*)−4−エトキシ−1−[2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]ピリミジン−2−オン
(2R*,5S*)−4−エトキシ−5−フルオロ−1−[2−(ブタノイルオキシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]ピリミジン−2−オン
(2R*,5S*)−4−エトキシ−1−[2−(ブタノイルオキシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]ピリミジン−2−オン
本発明の方法の次の実施例は説明のためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。全ての場合において、1H NMRおよびC,H,N元素分析は表示構造と一致した。
実施例1
(2R,5S)−5−フルオロ−1−[2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]シトシンの製造
(a) 2,4−ジクロロ−5−フルオロピリミジン
5−フルオロウラシル(アルドリッチ、8.00g、61.5mmol)のオキシ塩化リン(25.0mL、41.12g、268mmol)中の懸濁液に、N,N−ジエチルアニリン(12.6mL、11.81g、80mmol)を加え、混合物を100℃で1.5時間加熱した。溶媒を真空中で蒸発させ、残留物をH2O/Et2O(400mL、1:1)に注ぎ入れた。水性相をEt2Oで抽出し、一緒にした有機相を乾燥し(Na2SO4)、蒸発させて(水流ポンプ、35℃)、所望の生成物(10.2g、99%)を黄色がかった固体として得た:融点34〜36℃(文献によると35〜36℃)。
(b) 2−クロロ−4−エトキシ−5−フルオロピリミジン
工程(a)からの生成物(10.0g、59.9mmol)の無水EtOH(40mL)中の溶液に、0℃、窒素雰囲気下で、1M NaOEt/EtOH(61mL、61mmol)を加え、混合物を1時間撹拌した。溶媒を真空中で蒸発させ、残留物をH2OとEt2Oとの間で分配した。水性相をEt2Oで抽出し、一緒にした有機相をブラインで洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、蒸発させて(水流ポンプ、35℃)、所望の生成物(8.74g、83%)を黄色がかった固体として得た:融点30〜32℃(文献によると31〜32℃);1H NMR(CDCl3):δ1.46(t,J=7.0Hz,3H),4.53(4重線,J=7Hz,2H),8.17(d,J=2.1Hz,1H);MS m/z 179(M+3,17%),177(M+1,50%),149(100%)。分析値:C6H6ClFN2Oとして計算した理論値C,40.81;H,3.42;N,15.86。実測値C,40.90;H,3.45;N,15.81。
(c) 2−(2,2−ジメトキシエトキシ)−4−エトキシ−5−フルオロピリミジン
無水DMF(70mL)中の60%NaH/鉱油(2.88g、72.2mmol)の懸濁液に、0℃、窒素雰囲気下で、グリコールアルデヒドジメチルアセタール(ランカスター、6.13g、57.7mmol)を加えた。混合物を周囲温度で1時間撹拌し、次に、工程(b)からの生成物(8.5g、48.1mmol)の無水DMF(70mL)中の溶液に、−55℃で15分かけて移した。混合物を2時間かけて−20℃に温め、次に、AcOHで中和した。溶媒を真空中で蒸発させ、残留物をH2OとCH2Cl2との間で分配した。水性相をCH2Cl2で抽出し、一緒にした有機相を乾燥し(Na2SO4)、蒸発させた。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、1:5)にかけ、所望の生成物(9.75g、82%)を油状物として得た;1H NMR(CDCl3):δ1.42(t,J=7.0Hz,3H),3.43(s,6H),4.32(d,J=5.2Hz,2H),4.50(4重線,J=7.0Hz,2H),4.75(t,J=5.2Hz,1H),8.03(d,J=2.4Hz,1H);MS m/z 215(M−OCH3、100%)。分析値:C10H15FN2O4として計算した理論値C,48.78;H,6.14;N,11.38。実測値C,48.84;H,6.06;N,11.36。
(d) 2−[(4−エトキシ−5−フルオロピリミジニル)オキシ]アセトアルデヒド
工程(c)からの生成物(6.0g、24.4mmol)と90%TFA/H2O(50mL)との混合物を50℃で2.5時間加熱した。溶媒を真空中で蒸発させ、残留物をCHCl3と飽和NaHCO3/H2Oとの間で分配した。水性相をCHCl3(×2)で抽出し、一緒にした抽出物を乾燥し(Na2SO4)、蒸発させて、所望の生成物(4.82g、99%)を無色油状物として得た。これはそれ以上精製することなく次の工程で用いた。フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、1:2)で分析的に純粋な物質を無色油状物として得た:1H NMR(CDCl3):δ1.43(t,J=7.0Hz,3H),4.40(4重線,J=7.0Hz,2H),4.81(s,2H),8.03(d,J=1.8Hz,1H),9.74(s,1H);MS m/z 201(M+1,100%)。分析値:C8H9FN2O3・0.25H2Oとして計算した理論値C,46.95;H,4.68;N,13.69。実測値C,46.81;H,4.61;N,13.64。
(e) 2−{[(4−エトキシ−5−フルオロ−2−ピリミジニル)オキシ]メチル}−1,3−オキサチオラン−5−オール
工程(d)からの生成物(4.6g、23.0mmol)と1,4−ジチアン−2,5−ジオール(アルドリッチ、1.92g、12.65mmol)の無水トルエン(90mL)中の混合物を100℃で2時間加熱した。混合物を濾過し、濾液を濃縮し、真空中で乾燥して、所望の生成物(6.27g、99%)をワックス状の薄い黄色の固体として得た。これはそれ以上精製することなく次の工程で用いた(1H NMR分光分析によるジアステレオマー比〜1:1)。フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、1:2)で分析的に純粋な物質を白色固体として得た:融点85〜87℃;1H NMR(CDCl3):δ1.41(t,J=7.0Hz,3H),2.42(br s,1H),3.10(d,J=11.0Hz,1H),3.20(dd,J=11.0,3.5Hz,1H),4.40(dd,J=12.0,3.5Hz,1H),4.43(4重線、J=7.0Hz,2H),4.77(dd,J=12.0,7.0Hz,1H),5.70(dd,J=7.0,3.5Hz,2H),5.92(d,J=3.5Hz,1H),8.04(d,J=2.5Hz,1H);他のジアステレオマーに見られるのと同様な組の信号;MS m/z 201(M−C2H3OS,100%)。分析値:C10H13FN2O4Sとして計算した理論値C,43.47;H,4.74;N,10.14;S,11.61。実測値C,43.56;H,4.78;N,10.04;S,11.66。
(f) 2−{[(4−エトキシ−5−フルオロ−2−ピリミジニル)オキシ]メチル}−1,3−オキサチオラン−5−イル アセテート
工程(e)からの生成物(1.0g、3.62mmol)とピリジン(0.8mL、0.78g、9.88mmol)のCH2Cl2(12mL)中の溶液に0℃で、AcCl(0.35mL、0.37g、4.7mmol)を加えた。周囲温度で1時間後、飽和NaHCO3/H2Oを加え、水性相をCHCl3で抽出した。一緒にした有機相をブラインで洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、蒸発させ、真空中で乾燥して、所望の生成物(1.13g、99%)を黄色油状物として得た。これはそれ以上精製することなく次の工程で用いた(1H NMR分光分析によるジアステレオマー比〜2:1)。フラッシュクロマトグラフィー(アセトン/CH2Cl2、1:24)で分析的に純粋な物質を無色油状物として得た:1H NMR(CDCl3):δ1.42(t,J=7.0Hz,3H),2.07(s,3H),3.15(d,J=11.5Hz,1H),3.38(dd,J=11.5,4.0Hz,1H),4.40−4.60(m,4H),5.73(m,1H),6.70(d,J=4.0Hz,1H),8.03(d,J=2.5Hz,1H);他のジアステレオマーに見られるのと同様な組の信号;MS m/z 259(M−OAc,9%),159(100%)。分析値:C12H15FN2O5Sとして計算した理論値C,45.28;H,4.75;N,8.80;S,10.07。実測値C,45.35;H,4.76;N,8.83;S,10.11。
(g) (2S * ,5R * )−4−エトキシ−5−フルオロ−1−[2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]ピリミジン−2−オン
工程(f)からの生成物(0.21g、0.66mmol)と4オングストローム分子ふるい(0.3g)の無水CH3CN(20mL)中の混合物へ、窒素雰囲気下、−20℃で、トリメチルシリルトリフレート(アルドリッチ、0.14mL、0.16g、0.73mmol)をゆっくり加えた。混合物を2時間−20℃で撹拌した後、1M NaOH/H2O(2.0mL、2.0mmol)を加えた。0℃で2時間後、混合物をAcOHで中和した。溶媒を真空中で蒸発させ、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、9:1)で所望の生成物(0.11g、60%)を白色固体として得た:融点162〜164℃;1H NMR(DMSO−d6):δ1.39(t,J=7.0Hz,3H),3.29(d,J=12.0,2.7Hz,1H),3.60(dd,J=12.0,5.4Hz,1H),3.82(ddd,J=12.5,5.4,3.5Hz,1H),3.95(ddd,J=12.5,5.4,3.5Hz,1H),4.45(4重線、J=7.0Hz,2H),5.31(t,J=3.5Hz,1H),5.63(t,J=5.4Hz,1H),6.20(m,1H),8.74(d,J=6.7Hz,1H);MS m/z 277(M+1,4%),159(100%)。分析値:C10H13FN2O4Sとして計算した理論値C,43.47;H,4.74;N,10.14;S,11.61。実測値C,43.54;H,4.76;N,10.18;S,11.52。
(h) (2S * ,5R * )−4−エトキシ−5−フルオロ−1−[2−(ブタノイルオキシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]ピリミジン−2−オン
工程(g)からの生成物(90mg)のピリジン(0.2mL)中の溶液へ、無水酪酸(1.0mL)を加え、得られた混合物を周囲温度で18時間撹拌した。氷水を加え、水溶液を1N HCl/H2OでpH2に調整し、CHCl3(×3)で抽出した。一緒にした有機相をNaHCO3/H2Oおよびブラインで洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、真空中で濃縮した。得られた油状物を真空中、50℃で18時間,窒素流下で乾燥して、所望の生成物(100mg)を無色固体として得た:1H NMR(CDCl3):δ0.99(t,3H),1.42(t,3H),1.70(6重線,2H),2.42(t,2H),3.23(d,1H),3.60(dd,1H),4.45(dd,1H),4.50(4重線、2H),4.65(dd,1H),5.40(m,1H),6.30(m,1H),8.15(d,1H);MS m/z 347(M+1,25%),159(100%)。
(i) (2R,5S)−4−エトキシ−5−フルオロ−1−[2−(ブタノイルオキシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]ピリミジン−2−オン
工程(h)からの生成物(10mg)の20%CH3CN/バッファー(3.0mL、0.05M、pH8.0、リン酸塩)中の溶液へ、PLE(ブタの肝臓のエステラーゼ、1.5μl、シグマ)を加え、混合物を周囲温度で24時間撹拌した。水溶液をヘキサン(2×)で抽出し、一緒にした抽出物を乾燥し(Na2SO4)、真空中で濃縮した。有機抽出物のHPLC分析(キラル パック AS;EtOH;1.5ml/分)は、単一の光学的対掌酪酸エステル(4mg)の存在を示した。光学的対掌アルコールは水性相で検出された。エステル:1H NMR(CDCl3):δ0.97(t,J=7.4Hz,3H),1.42(t,J=7.0Hz,3H),1.67(6重線,J=7.4Hz,2H),2.40(t,J=7.4Hz,2H),3.23(d,J=12.8Hz,1H),3.60(dd,J=12.8,5.3Hz,1H),4.46(dd,J=12.6,2.5Hz,1H),4.52(4重線,J=7.0Hz,2H),4.65(dd,J=12.6,4.0Hz,1H),5.37(m,1H),6.29(m,1H),8.12(d,J=6Hz,1H)。
(j) (2R,5S)−5−フルオロ−1−[2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]シトシン
工程(i)からのエステル(4mg)のNH3/MeOH(2mL)中の溶液をテフロンライナーを施した鋼ボンベに装填し、密閉し、70℃で18時間加熱した。溶媒を真空中で蒸発させて、所望の生成物(2mg)を得た。HPLC,1H NMRおよびMS特性は確実な試料のものと同一であった。
実施例2
(2R,5S)−1−[2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]シトシンの製造
(a) 2−クロロ−4−エトキシピリミジン
2,4−ジクロロピリミジン(アルドリッチ10.0g、67.12mmol)の無水EtOH(120mL)中の溶液に、窒素雰囲気下、−3℃で、1M NaOEt/EtOH(68mL、68mmol)をゆっくり(2時間かけて)加え、得られた混合物を1時間撹拌した。溶媒を真空中で蒸発させ、残留物をH2OとEt2Oとの間で分配した。水性相Et2Oで抽出し、一緒にした有機相をブラインで洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、蒸発させた(水流ポンプ、35℃)。得られた残留物を濾過し、石油エーテルで洗浄して、所望の生成物(8.05g、75%)を黄色がかった固体として得た:融点30〜31℃(文献によると35℃);1H NMR(CDCl3):δ1.40(t,J=7.2Hz,3H),4.44(4重線,J=7.2Hz,2H),6.62(d,J=5.7Hz,1H),8.27(d,J=5.7Hz,1H);MS m/z 161(M+3,34%),159(M+1,100%)。分析値:C6H7ClN2Oとして計算した理論値C,45.44;H,4.45;N,17.66;Cl,22.36。実測値C,45.32;H,4.41;N,17.60;Cl,22.43。
(b) 2−(2,2−ジメトキシエトキシ)−4−エトキシピリミジン
60%NaH/鉱油(2.55g、63.96mmol)の無水DMF(70mL)中の懸濁液に、0℃、窒素雰囲気下で、グリコールアルデヒドジメチルアセタール(アルドリッチ、5.65g、53.3mmol)をゆっくり加えた。混合物を周囲温度で1時間撹拌し、次に、工程(a)からの生成物(8.05g、50.76mmol)の無水DMF(70mL)中の溶液に、−55℃で15分かけて移した。混合物を−20℃に2時間かけて温め、次いで、AcOHで中和した。溶媒を真空中で蒸発させ、残留物をH2OとCH2Cl2との間で分配した。水性相をCH2Cl2で抽出し、一緒にした有機相を乾燥し(Na2SO4)、真空中で蒸発させた。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、1:4)にかけて、所望の生成物(7.92g、69%)を無色の油状物として得た:1H NMR(CDCl3):δ1.37(t,J=7.0Hz,3H),3.44(s,6H),4.36−4.43(m,4H),4.78(t,J=5.0Hz,1H),6.34(d,J=6.0Hz,1H),8.15(d,J=6.0Hz,1H);MS m/z 229(M=1,13%),197(100%)。分析値:C10H16N2O4として計算した理論値C,52.62;H,7.07;N,12.27。実測値C,52.45;H,7.01;N,12.26。
(c) 2−[(4−エトキシ−2−ピリミジニル)オキシ]アセトアルデヒド
工程(b)からの生成物(6.0g、24.4mmol)および90%TFA/H2O(45mL)の混合物を50℃で2時間加熱した。溶媒を真空中で蒸発させ、残留物をCHCl3と飽和NaHCO3/H2Oとの間で分配した。水性相をCHCl3(×2)で抽出し、一緒にした抽出物を乾燥し(Na2SO4)、真空中で蒸発させて、所望の生成物(4.48g、94%)を無色の油状物として得た;1H NMR(CDCl3):δ1.38(t,J=7.0Hz,3H),4.37(4重線,J=7.0Hz,2H),4.80(s,2H),6.40(d,J=6.0Hz,1H),8.15(d,J=6.0Hz,1H),9.74(s,1H);MS m/z 183(M+1、100%)。分析値:C8H10N2O3・0.25H2Oとして計算した理論値C,51.47;H,5.67;N,15.01。実測値C,51.38;H,5.69;N,14.76。
(d) 2−{[(4−エトキシ−2−ピリミジニル)オキシ]メチル}−1,3−オキサチオラン−5−オール
工程(c)からの生成物(4.0g、22.0mmol)および1,4−ジチアン−2,5−ジオール(アルドリッチ、1.67g、11.0mmol)の無水トルエン(80mL)中の混合物を100℃で2時間加熱した。混合物を濾過し、濾液を濃縮し、真空中で乾燥して、所望の生成物(6.27g、99%)をワックス状の薄い黄色油状物として得た。これはそれ以上精製することなく次の工程で用いた(1H NMR分光分析によるジアステレオマー比〜1:1)。フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、2:3)で分析的に純粋な物質を無色油状物として得た;1H NMR(CDCl3):δ1.37(t,J=7.0Hz,3H),3.07(d,J=11.0Hz,1H),3.18(d,J=2.3Hz,1H),3.26(dm,J=11.0Hz,1H),4.38−4.58(m,3H),4.85(dd,J=12.0,6.0Hz,1H),5.72(dd,J=6.0,4.5Hz,1H),5.92(m,1H),6.39(d,J=6.0Hz,1H),8.15(d,J=6.0Hz,1H);他のジアステレオマーに見られるのと同様な組の信号;MS m/z 197(M−C2H5O、41%),133(100%)。分析値:C10H14N2O4Sとして計算した理論値C,46.50;H,5.46;N,10.85;S,12.41。実測値C,46.40;H,5.44;N,10.79;S,12.49。
(e) 2−{[(4−エトキシ−2−ピリミジニル)オキシ]メチル}−1,3−オキサチオラン−5−イル アセテート
工程(d)からの生成物(1.0g、3.9mmol)、ピリジン(0.7mL、0.68g、8.65mmol)およびAc2O(2.0mL、2.26g、21.2mmol)の混合物を周囲温度で1.5時間撹拌した。氷水を加え、得られた混合物を15分間撹拌した。混合物をEtOAcで抽出し、一緒にした抽出物を飽和NaHCO3/H2Oで洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、蒸発させ、真空中で乾燥して、所望の生成物(1.15g、99%)をオレンジ色の油状物として得た。これはそれ以上精製することなく次の工程で用いた(1H NMR分光分析によるジアステレオマー比〜2:1)。1H NMR(CDCl3):δ1.40(t,3H),2.05(s,3H),3.08(d,1H),3.27(dd,1H),4.40−4.70(m,4H),5.79(m,1H),6.38(d,1H),6.75(d,1H),8.18(d,1H);他のジアステレオマーに見られるのと同様な組の信号;MS m/z 241(M−OAc,4%),141(100%)。分析値:C12H16FN2O5Sとして計算した理論値C,47.99;H,5.37;N,9.33;S,10.68。実測値C,47.88;H,5.43;N,9.22;S,10.60。
(f) (2S * ,5R * )−4−エトキシ−1−[2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]ピリミジン−2−オン
工程(e)からの生成物(0.20g、0.66mmol)の無水CH3CN(12mL)中の溶液へ、窒素雰囲気下、0℃で、塩化第二スズ(アルドリッチ、0.12mL、0.27g、1.05mmol)をゆっくり加えた。混合物を2時間0℃で撹拌した後、1M NaOH/H2O(5.5mL、5.5mmol)を加えた。0℃で1時間後、混合物をAcOHで中和した。溶媒を真空中で蒸発させ、残留物をCHCl3と水との間で分配した。水性相をCHCl3(×2)で抽出し、一緒にした抽出物を乾燥し(Na2SO4)、真空中で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、2:1、次いでEtOAc)にかけて、所望の生成物(0.10g、60%)を白色固体として得た:融点117〜118℃;1H NMR(DMSO−d6):δ1.26(t,J=7.0Hz,3H),3.15(dd,J=12.0,3.5Hz,1H),3.51(dd,J=12.0,5.5Hz,1H),3.71−3.84(m,2H),4.26(4重線、J=7.0Hz,2H),5.22(t,J=4.0Hz,1H),5.40(t,J=6.0Hz,1H),6.0(d,J=7.4Hz,1H),6.18(dd,J=5.5,3.5Hz,1H),8.25(d,J=7.4Hz,1H);MS m/z 259(M+1,4%),141(100%)。分析値:C10H14N2O4Sとして計算した理論値C,46.50;H,5.46;N,10.85;S,12.41。実測値C,46.58;H,5.49;N,10.84;S,12.34。
(g) (2S * ,5R * )−4−エトキシ−1−[2−(ブタノイルオキシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]ピリミジン−2−オン
工程(f)からの生成物(0.30g、1.16mmol)のピリジン(0.19mL、0.18g、2.32mmol)中の溶液へ、無水酪酸(0.37mL、0.36g、2.32mmol)を加え、得られた混合物を周囲温度で2時間撹拌した。飽和NaHCO3/H2Oを加え、1時間後、混合物をEtOAc(×2)で抽出し、一緒にした抽出物を乾燥し(Na2SO4)、真空中で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、1:1)にかけて、所望の生成物(0.21g、55%)を黄色がかった固体として得た:融点59〜61℃;1H NMR(CDCl3):δ0.96(t,J=7.4Hz,3H),1.36(t,J=7.1Hz,3H),1.68(6重線、J=7.4Hz,2H),1.80(br s,1H),2.36(t,J=7.4Hz,2H),3.14(dd,J=12.3,3.5Hz,1H),3.59(dd,J=12.3,5.2Hz,1H),4.40(m,3H),4.59(dd,J=12.3,5.2Hz,1H),5.36(dd,J=5.2,3.4Hz,1H),5.89(d,J=7.3Hz,1H),6.34(dd,J=5.2,3.9Hz,1H),7.91(d,J=7.3Hz,1H);MS m/z 329(M=1,11%),141(100%)。分析値:C14H20N2O5Sとして計算した理論値C,51.21;H,6.14;N,8.53;S,9.76。実測値C,51.08;H,6.15;N,8.39;S,9.69。
(h) (2R,5S)−4−エトキシ−1−[2−(ブタノイルオキシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]ピリミジン−2−オン
工程(g)からの生成物(10mg)の20%CH3CN/バッファー(3.0mL、0.05M、pH8.0、リン酸塩)中の溶液に、PLE(ブタの肝臓のエステラーゼ)を加え、混合物を周囲温度で24時間撹拌した。水溶液をヘキサン(×2)で抽出し、一緒にした抽出物を乾燥し(Na2SO4)、真空中で濃縮して、所望の生成物を得た。有機相のHPCL分析は、単一の光学的対掌酪酸エステルの存在を示した。光学的対掌アルコールは水性相で検出された。
(i) (2R,5S)−1−[2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]シトシン
工程(h)からのエステル(4mg)のNH3/MeOH(2mL)中の溶液を、テフロンライナーを施した鋼ボンベに装填し、密閉し、70℃で18時間加熱した。溶媒を真空中で蒸発させて、所望の生成物を得た。HPCL、1H NMRおよびMS特性は確実な試料のものと一致した。
実施例3
(2S * ,5R * )−5−フルオロ−1−[2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]シトシン
工程(g)からの生成物(10mg)のNH3/MeOH(0℃で45分間、NH3ガスで飽和したMeOH2mL)中の溶液を、テフロンライナーを施した鋼ボンベに装填し、密閉し、70℃で18時間加熱した。溶媒を真空中で蒸発させ、アセトンを加えて、所望の生成物(8.8mg、99%)を白色固体として得た:融点195〜196℃;1H NMR(DMSO−d6):δ3.10(dd,J=12.0,4.2Hz,1H),3.40(dd,J=12.0,5.3Hz,1H),3.70(ddd,J=12.0,5.5,3.5Hz,1H),3.77(ddd,J=12.0,5.5,3.5Hz,1H),5.16(t,J=3.5Hz,1H),5.39(t,J=3.5Hz,1H),6.11(m,1H),7.56(br s,1H),7.80(br s,1H),8.17(d,J=7.4Hz,1H);MS m/z 248(M+1,34%),130(100%)。分析値:C8H10FN3O3Sとして計算した理論値C,38.86;H,4.08;N,17.00;S,12.97。実測値C,38.97;H,4.05;N,16.96;S,12.95。
実施例4
(2S * ,5R * )−1−[2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]シトシン
(2S*,5R*)−4−エトキシ−1−[2−(ヒドロキシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]ピリミジン−2−オン(0.21g)のアンモニア/メタノール(0℃で45分間、アンモニアガスで飽和したメタノール8mL)中の溶液を、テフロンライナーを施した鋼ボンベに装填し、密閉し、70℃で18時間加熱した。溶媒を真空中で蒸発させ、残留物をフラッシュクロマトグラフィーにかけて、所望の生成物(0.16g、89%)を白色固体として得た:融点184〜185℃;1H NMR(DMSO−d6):δ3.00(dd,J=11.8,5.0Hz,1H),3.38(dd,J=11.8,5.5Hz,1H),3.63−3.80(m,2H),5.15(t,J=4.5Hz,1H),5.30(t,J=6.0Hz,1H),5.70(d,J=7.3Hz,1H),6.18(t,J=5.0Hz,1H),7.20(brd,2H,NH2),7.79(d,J=7.3Hz,1H);MS m/z 229.8(M+1,4%),112(100%)。分析値:C8H11N3O3Sとして計算した理論値C,41.91;H,4.84;N,18.33;S,13.99。実測値C,41.97;H,4.83;N,18.24;S,13.93。
Claims (14)
- ルイス酸が塩化第二スズまたはトリメチルシリルトリフレートである、請求項1または2に記載の方法。
- ルイス酸が塩化第二スズであり、処理を極性非プロトン性溶媒中、低温で行う、請求項3に記載の方法。
- 1,4−ジチアン−2,5−ジオールとの反応を、非極性非プロトン性溶媒中、高温で行う、請求項5に記載の方法。
- 1,4−ジチアン−2,5−ジオールとの反応を、無水トルエン中、約100℃で行う、請求項6に記載の方法。
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