JP4172208B2 - 感温アクチュエータとそれを用いた感温スイッチ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度を検知して動作する感温アクチュエータとそれを用いた感温スイッチに関する。
【0002】
【従来の技術】
感温スイッチは、発熱する物体の温度を検知し、その温度に応じてスイッチをオンまたはオフにするものである。この感温スイッチには、バイメタルを利用するものや、感温磁性体と磁石を組み合わせたリードスイッチを用いるものがある。しかしながら、バイメタルを利用するものは、感温精度や熱に対する応答性があまり良くないので、感温精度や応答性を必要とするところに用いるのは不向きである。また、リードスイッチを用いるものは、構造が簡単で小型化や応答性に向いているが、接点圧が小さいため、定格電流が低いという制約があった。
【0003】
感温精度が良く、定格電流を大きくできる感温スイッチとして、感温磁性体により温度を検知して可動部が動作する感温アクチュエータにより、スイッチをオンまたはオフするものがある。例えば、特開昭55−12624は、常温で感温磁性体に吸着している永久磁石が、感温磁性体の温度が上昇したときに、永久磁石に対向して配置された磁性体に吸着し、永久磁石に接続された作動子によってスイッチをオフにする構造を開示している。
【0004】
また、特開平10−38707は、感温磁性体に吸着する永久磁石が、感温磁性体の温度が上昇したときに、永久磁石を感温磁性体から離脱する方向に付勢するばねによりスイッチをオンにする温度センサーにおいて、感温磁性体の近傍に鉄板を付設する構造を開示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭55−12624の構成は、可動部が感温磁性体または磁性体に吸着するときの磁路に大きな空隙を含んでいるため、磁気効率が悪く、所定の吸引力を得るために大きい永久磁石を必要とするものであった。
【0006】
また、特開平10−38707は、感温磁性体の近傍に鉄板を付設しているが、これは、感温磁性体の温度が上昇したときにケース外部に漏洩する磁束を低減するものであり、可動部が感温磁性体に吸着するときの磁路の磁気効率を上昇させるものではなかった。
【0007】
本発明は、上記事由に鑑みてなしたもので、その目的とするところは、可動部を小型化、軽量化して応答性を向上する感温アクチュエータとそれを用いた感温スイッチを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、温度変化に応じて磁気特性が変化する感温磁性体とこの感温磁性体と所定の距離を離して設けられる第1の磁性体とを具備する固定部と、前記感温磁性体が所定の温度を上まわったときに前記感温磁性体に対する吸着状態から前記第1の磁性体に対する吸着状態に移動する永久磁石を具備する可動部とを有する感温アクチュエータにおいて、前記永久磁石と前記感温磁性体または前記第1の磁性体により形成される磁路に第2の磁性体を介挿することを特徴とする感温アクチュエータであって、前記第2の磁性体は、前記可動部もしくは前記固定部に設けられ、前記永久磁石は、その着磁方向が前記感温磁性体から前記第1の磁性体に向かう方向に対して略平行であり、前記第2の磁性体は、前記永久磁石の着磁方向に略平行な表面の一部または全部に付設され、前記固定部は、前記感温磁性体に対し前記永久磁石の位置する側と反対側にあり、前記永久磁石と反対の着磁方向となるように配設される第2の永久磁石を有することを特徴としている。
【0017】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の感温アクチュエータにおいて、前記第2の永久磁石は、前記感温磁性体に付設することを特徴としている。
【0018】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2記載の感温アクチュエータにおいて、前記可動部の動作に応じて接離する第1の導電体と第2の導電体を有する感温スイッチであることを特徴としている。
【0019】
請求項4に係る発明は、請求項3記載の感温スイッチにおいて、前記第1の導電体と前記第2の導電体のどちらか一方を、前記可動部に設けることを特徴としている。
【0020】
請求項5に係る発明は、請求項3記載の感温スイッチにおいて、前記第1の導電体と前記第2の導電体は、前記固定部に設けることを特徴としている。
【0021】
請求項6に係る発明は、請求項4または請求項5の感温スイッチにおいて、前記第2の導電体は、弾性を有することを特徴としている。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態は、図3に示すように上部ケース1aと下部ケース1bにより組み立てられる直方体のケース1を有して構成される。この内部の説明には、A−A断面図およびB−B断面図を用いる。
【0023】
(第1の参考例)まず、本発明の第1の参考例を図1、図2、および図4に基づいて説明する。このものは、ケース1と感温磁性体2と第1の磁性体3とを有する固定部Sと、永久磁石4と第2の磁性体5とシャフト6を有する可動部Mによって構成されている。
【0024】
ケース1は、それぞれ耐熱樹脂で型造される上部ケース1aと下部ケース1bとを接着して組み立てることにより、内部空間1cを有する直方体状に形成される。上部ケース1aは、感温磁性体2を厚みの半分程度まで嵌合する長方形の凹部をケース1の表面中央に、内部空間1cを形成する長方形の凹部をその反対側に有し、その2つの凹部を貫通する可動部Mを案内する長方形の貫通孔を有している。この第2の磁性体5と上部ケース1aの間の空隙は、可動部Mががたつきがなくスムーズに案内されるように、可動部Mの大きさと比較して非常に小さい幅になるように調整している。また、下部ケース1bは、内部空間1cを形成する凹部を有し、その底部には、板状の第1の磁性体3を嵌合する長方形の凹部とシャフト6を通す貫通孔を有している。ケース1の凹部に感温磁性体2と第1の磁性体3を嵌合することにより、それぞれの対向する平面部は、所定の距離を離して略平行に支持される。この所定の距離は、可動部Mの大きさやその移動範囲、各部に働く吸引力などの関係により定められ、ケース1の高さと内部空間1cの高さにより設定する。また、ケース1の肉厚は、ケース1が構造上の強度を保つように設定されている。
【0025】
感温磁性体2は、感温磁性材料で長方形の板状に形成され、ケース1表面の凹部に嵌合されている。このものは、ケース1の表面に露出した部分を発熱体(図示せず)により加熱される。感温磁性材料は、鉄、ニッケル、コバルトを調合して作成され、電磁軟鉄などの一般の強磁性体と比較して、磁性を失う温度であるキュリー温度を低く設定したものである。感温磁性材料のキュリー温度は、鉄の調合比率を変化することにより設定することができ、電磁軟鉄のキュリー温度が900℃程度であるのに対し、感温磁性材料では例えば200℃程度に設定することができる。
【0026】
第1の磁性体3は、電磁軟鉄を用いて長方形の板状に形成され、その中央にシャフト6を通す貫通孔を有している。そして、このものは、下部ケース1bの底部の内側にある凹部に嵌合される。永久磁石4は、サマリウムコバルト磁石を用いて直方体状に形成されており、その着磁方向が感温磁性体2から第1の磁性体3に向かう方向に対して略直交するように配設されている。
【0027】
第2の磁性体5は、電磁軟鉄を用いて永久磁石4の磁極面よりも面積の大きい長方形の板状に形成され、永久磁石4のN極とS極を覆うようにそれぞれ1つ、永久磁石4の着磁方向に互いに平行移動した状態で、接着剤を用いて付設されている。したがって、これらのものは、可動部Mが移動して感温磁性体2または第1の磁性体3に吸着するときに、感温磁性体2の平面部と第1の磁性体3の平面部に傾きがなく安定して当接する。
【0028】
また、第2の磁性体5は、可動部Mが感温磁性体2の近傍にあるときには、永久磁石4→第2の磁性体5→感温磁性体2→第2の磁性体5→永久磁石4を経路とする磁路MC1と、永久磁石4→第2の磁性体5→内部空間1c→第1の磁性体3→内部空間1c→第2の磁性体5→永久磁石4を経路とする磁路MC2を形成する。磁路MC2は、内部空間1cに大きな空隙を有するので、磁路MC1と比較して磁気抵抗が大きくなる。よって、磁路MC1は、主磁路となり、多くの磁束が流れる。このことにより、主に第2の磁性体5と感温磁性体2の間に吸引力を生じ、可動部Mは、感温磁性体2に吸着する。
【0029】
ここで、この磁路MC1は、第2の磁性体5を有するので、磁気抵抗の高い空隙部をほとんど生じない。よって、第2の磁性体5を有しないときと比較して磁路MC1の磁気効率は高くなり、断面積の小さい永久磁石4であっても十分な吸引力を生じさせることができる。そのため、可動部Mを小型化、軽量化してその応答性を向上することができる。
【0030】
シャフト6は、耐熱性の樹脂で形造された棒状のもので、永久磁石4の第1の磁性体3側に可動部Mが案内される方向に接続され、第1の磁性体3と下部ケース1bに設けられた貫通孔を通してその先端がケース1外部に突出している。そして、このものは、可動部Mが動作したときに、その機械的な出力を外部に取り出す。
【0031】
次に、第1の参考例の動作について説明する。この感温アクチュエータは、重力が感温磁性体2から第1の磁性体3の方向に加わるように固定されており、感温磁性体2は、キュリー温度などで決まる所定の温度より低い温度であり、感温磁性体2は強磁性体となっている。また、可動部Mは、感温磁性体2の近傍にあるので、永久磁石4による磁束は主に磁路MC1を通る。そのため、主に第2の磁性体5と感温磁性体2との間に吸引力が生じ、可動部Mは、感温磁性体2に吸着した状態で保持される。
【0032】
ここで、感温磁性体2は、発熱体(図示せず)から熱が加えられて温度が上昇すると、磁気抵抗率が大きくなる。それにつれて、磁路MC1の磁気抵抗が大きくなり、磁路MC1に流れる磁束は減少し、磁路MC2に流れる磁束は増加する。したがって、可動部Mの感温磁性体2に対する吸引力は減少し、第1の磁性体3に対する吸引力は増加する。つまり、可動部Mと感温磁性体2との間の吸引力は減少する。そして、感温磁性体2が所定の温度を上まわったときに、可動部Mは、感温磁性体2に吸着した状態で保持されなくなる。
【0033】
すると、可動部Mは、第1の磁性体3に上部ケース1aに案内されて移動し、第1の磁性体3に近づくにつれて磁路MC2に存在する空隙が小さくなるので、磁路MC2の磁気抵抗は小さくなり、磁路MC2を流れる磁束は増加する。一方、磁路MC1は、第2の磁性体5と感温磁性体2との間に空隙を生じ、それが大きくなるので、磁気抵抗が大きくなり、磁路MC2を流れる磁束は増加する。すると、可動部Mの第1の磁性体3に対する吸引力は増加し、感温磁性体2に対する吸引力は減少する。つまり、可動部Mと第1の磁性体3の間の吸引力は増加し、可動部Mの移動速度は加速度的に増加する。最終的に、図2のようになり、永久磁石4から生じる磁束は、主に磁路MC2を流れ、可動部Mは第1の磁性体3に吸着した状態で保持される。
【0034】
ここで、感温磁性体2の温度が低下すると、感温磁性体2の磁気抵抗率は、小さくなる。すると、磁路MC1の磁気抵抗は小さくなり、流れる磁束は増加する。このことにより、可動部Mと感温磁性体2との間の吸引力は増加する。この吸引力が自重などで定められる所定の値を上まわったときに、可動部Mは、感温磁性体2の方向に移動し、感温磁性体2から第1の磁性体3に移動するときと逆の現象が生じる。その結果、可動部Mは最終的に感温磁性体2に吸着して保持される。
【0035】
次に、図4に示す、温度と吸引力の関係を用いてこの動作を説明する。ここで、吸引力は、正の値のときに感温磁性体2の方向に吸引力が働くことを示し、負の値のときには第1の磁性体3の方向に吸引力が働くことを示している。曲線C11は、感温磁性体2に吸着しているときの、曲線C12は、第1の磁性体3に吸着しているときの感温磁性体2の温度と吸引力の関係を示している。
【0036】
まず、初期状態における感温磁性体2の温度がT12であるとすると、可動部Mは、曲線C11上の点P10の特性を示し、感温磁性体2の方向へ吸引力を生じている。ここで、感温磁性体2の温度を上昇させると、その特性は、曲線C11上を右側に進み、吸引力が可動部Mの自重を示すレベルL11まで低下する点P11を越えると、可動部Mは、感温磁性体2に吸着された状態で保持されなくなり、第1の磁性体3へ向けて移動し始める。
【0037】
すると、可動部Mは、第1の磁性体3に対する吸引力が増加するため、速度を増しながら移動し、最終的に第1の磁性体3に吸着して停止する。このとき、可動部Mの特性は、曲線C11上の点P11から曲線C12上の点P12に移動し、可動部Mは、P12で示される吸引力で第1の磁性体3に保持される。
【0038】
ここで、感温磁性体2の温度が低下すると、可動部Mの特性は、曲線C12上を左側に移動する。可動部Mは、感温磁性体2と第2の磁性体5との間の吸引力がL11で示されるレベルを越える点P13になったときに、感温磁性体2の方向に移動を開始し、感温磁性体2に吸着して初期状態に戻る。つまり、本実施形態は、感温磁性体2の温度を変化させることにより、T11−T12をヒステリシス幅として、可動部Mが感温磁性体2と第1の磁性体3との間を移動し、シャフト6によりその出力を外部に取り出す感温アクチュエータとして動作する。
【0039】
ここで、感温磁性体2と第1の磁性体3との間の距離を広くするか、第1の磁性体3の透磁率を大きく(磁気抵抗率を小さく)すれば、可動部Mは第1の磁性体に対する吸着力が増加するので、曲線C12が下方に移動する。すると、この感温アクチュエータを使用する温度範囲に点P13が存在しなくすることができ、感温磁性体2の温度が低下しても自己復帰しない感温アクチュエータを構成できる。
【0040】
このように、第1の参考例においては、永久磁石4の着磁方向を感温磁性体2から第1の磁性体3に向かう方向に対して略直交するようにし、第2の磁性体5を永久磁石4の両磁極面にそれぞれ付設することにより永久磁石4と感温磁性体2または第1の磁性体3により形成される磁路に介挿するので、その磁路の磁気効率を向上することができる。このことにより、永久磁石4をはじめとする各部を小型化し、可動部Mを軽量化できるので、感温アクチュエータの応答性を向上することができる。
【0041】
なお、本参考例において、磁極面の全部を覆う2つの第2の磁性体5を設けたが、磁極面の一部を覆うものであっても、片側の磁極面にのみ設けるものであってもよい。
【0042】
(第2の参考例)次に、本発明の第2の参考例について、図5を用いて説明する。このものは、第1の参考例と、第2の磁性体5が固定部Sに含まれている点と、磁石の着磁方向が異なっており、その他の構成は第1の参考例と同じである。
【0043】
永久磁石4は、サマリウムコバルト磁石を用いて、直方体状に形成されており、感温磁性体2から第1の磁性体3に向かう方向に対して略平行に着磁されている。そして、第2の磁性体5は、電磁軟鉄で長方形の板状に形成され、永久磁石4を挟んで、感温磁性体2と第1の磁性体3と直交するように設けられている。これらのものは、上部ケース1aと感温磁性体2と第1の磁性体3とに接続されている。そして、これらのものは、永久磁石4を感温磁性体2と第1の磁性体3とを結ぶ方向へ案内するため、表面を耐熱性の樹脂でコーティングし、永久磁石4と第2の磁性体5の間の摩擦を小さくしている。
【0044】
また、第2の磁性体5は、図5(a)のように可動部Mが感温磁性体2の近傍にあるときには、永久磁石4→感温磁性体2→第2の磁性体5→内部空間1c→永久磁石4を経路とする磁路MC3を形成し、図5(b)のように可動部Mが第1の磁性体3の近傍にあるときには、永久磁石4→内部空間1c→第2の磁性体5→第1の磁性体3→永久磁石4を経路とする磁路MC4を形成する。
【0045】
ここで、この磁路MC3、MC4は、第2の磁性体5を有するので、磁気抵抗の高い空隙部を減少させている。よって、第2の磁性体5を有しないときと比較して磁路MC3、MC4の磁気効率は高くなり、断面積の小さい永久磁石4であっても十分な吸引力を生じさせることができる。このことにより、可動部Mを小型化、軽量化することができる。また、可動部Mから第2の磁性体5を取り除くため、可動部Mをさらに軽量化し、その応答性を向上することができる。
【0046】
第2の参考例の動作は、第1の着磁方向と永久磁石4の着磁方向が異なるため、形成される磁路が異なっているものの、第1の参考例の動作と同様であるので説明を省略する。
【0047】
このように、第2の参考例においては、固定部Sは、第2の磁性体5に有し、第2の磁性体5を案内として、永久磁石4とシャフト6からなる可動部Mが移動するので、第2の磁性体5を有しないときと比較して磁気効率を向上することができる。このことにより、永久磁石4をはじめとする各部を小型化し、可動部Mを軽量化でき、感温アクチュエータの応答性を向上することができる。
【0048】
なお、本参考例では、第2の磁性体5を永久磁石4のケース1に対向する2つの面にのみ設けたが、1つの面だけでも、そのすべてに設けるものでもよい。また、永久磁石4の着磁方向が感温磁性体2から第1の磁性体3に向かう方向に対して略平行となっているので、本実施形態の感温アクチュエータは、シャフト6を中心軸とする円筒形状としても構成することができる。
【0049】
(第3の参考例)次に、第3の参考例を図6に基づいて説明する。このものは、第1の参考例と磁石の着磁方向と第2の磁性体5の永久磁石4に対する大きさが異なり、その他は第1の参考例と同じ構成である。
【0050】
永久磁石4は、サマリウムコバルト磁石を用いて、直方体状に形成されており、感温磁性体2から第1の磁性体3に向かう方向に対して略平行に着磁されている。そして、第2の磁性体5は、電磁軟鉄で永久磁石4の上部ケース1aと対向する面の形状と合同の長方形の板状に形成され、永久磁石4のそれらの面に各辺をそれぞれ一致させ、接続する。
【0051】
この第2の磁性体5は、図6(a)のように可動部Mが感温磁性体2の近傍にあるときには、永久磁石4→感温磁性体2→第2の磁性体5→内部空間1c→永久磁石4を経路とする磁路MC5を形成し、図6(b)のように可動部Mが第1の磁性体3の近傍にあるときには、永久磁石4→内部空間1c→第2の磁性体5→第1の磁性体3→永久磁石4を経路とする磁路MC6を形成する。
【0052】
ここで、この磁路MC5、MC6は、第2の磁性体5を有するので、磁気抵抗の高い空隙部を減少させている。よって、第2の磁性体5を有しないときと比較して磁路MC5、MC6の磁気効率は高くなり、断面積の小さい永久磁石4であっても十分な吸引力を生じさせることができる。このことにより、可動部Mを小型化、軽量化することができ、その応答性を向上することができる。
【0053】
第3の参考例の動作は、第1の着磁方向と永久磁石4の着磁方向が異なるため、形成される磁路が異なっているものの、第1の参考例の動作と同様であるので説明を省略する。
【0054】
このように、第3の参考例においては、永久磁石4の着磁方向を感温磁性体2から第1の磁性体3に向かう方向に略平行となるように配設し、第2の磁性体5を永久磁石4の両側に付設するので、第2の磁性体5を有しないときと比較して磁気効率を向上することができる。このことにより、永久磁石4をはじめとする各部を小型化し、可動部Mを軽量化でき、感温アクチュエータの応答性を向上することができる。
【0055】
なお、本参考例では、第2の磁性体5を永久磁石4のケース1に対向する2つの面にのみ設けたが、1つの面だけでも、そのすべてに設けるものでもよい。また、永久磁石4の着磁方向が感温磁性体2から第1の磁性体3に向かう方向に対して略平行となっているので、本参考例の感温アクチュエータは、シャフト6を中心軸とする円筒形状としても構成することができる。
【0056】
(第1の実施形態)次に、第1の実施形態を図7に基づいて説明する。このものは、第2の参考例と、固定部Sは、第2の永久磁石7を有し、感温磁性体2と第2の永久磁石7を第2の磁性体5の間に設けることが異なっており、その他は第2の参考例と同じ構成である。
【0057】
第2の磁性体5は、電磁軟鉄で長方形の板状に形成され、永久磁石4を挟んで、感温磁性体2と第1の磁性体3と直交するように設けられ、上部ケース1aと接続し、第1の磁性体3に当接している。そして、永久磁石4と断面形状が等しい感温磁性体2と第2の永久磁石7は、第2の磁性体5の間に支持されている。これらのものは、永久磁石4を感温磁性体2から第1の磁性体3の方向へ案内するため、表面を耐熱性の樹脂でコーティングし、永久磁石4と第2の磁性体5の間の摩擦を小さくしている。
【0058】
第2の永久磁石7は、永久磁石4と同種で同形状の磁石を用い、その着磁方向が永久磁石4と感温磁性体2に対して対称になるように感温磁性体2に付設される。この第2の永久磁石7による磁束は、感温磁性体2の温度がキュリー温度により定まる所定の温度より低いときには、図7(a)に示すように、主に第2の永久磁石7→感温磁性体2→第2の磁性体5→ケース1周囲の空間→第2の永久磁石7を経路とする磁路MC7を通る。このとき、永久磁石4の磁束は、永久磁石4→感温磁性体2→第2の磁性体5→内部空間1c→永久磁石4を経路とする磁路MC8を通り、同じ感温磁性体2を通ることになるが、この感温磁性体2が十分な厚みを有し、磁気飽和しなければ、第2の永久磁石7による磁束が永久磁石4と感温磁性体2の間の吸引力を低減することはない。
【0059】
次に、第1の実施形態の動作について説明する。この感温アクチュエータは、重力が感温磁性体2から第1の磁性体3の方向に加わるように固定されており、感温磁性体2は、キュリー温度などで決まる所定の温度より低い温度であり、感温磁性体2は強磁性体となっている。また、可動部Mは、感温磁性体2の近傍にあるので、永久磁石4による磁束は主に磁路MC8を通る。そのため、主に第2の磁性体5と感温磁性体2との間に吸引力が生じ、可動部Mは、感温磁性体2に吸着した状態で保持される。
【0060】
ここで、感温磁性体2は、発熱体(図示せず)から第2の磁性体5を介して熱を加えられて温度が上昇すると、磁気抵抗率は大きくなり、飽和磁束密度は低下する。そのため、磁路MC8の磁気抵抗が上昇して、それに流れる磁束が減少するとともに、第2の永久磁石7による磁束により、永久磁石4と感温磁性体2との間の吸引力は減少する。そして、感温磁性体2が所定の温度を上まわったときに、可動部Mは、感温磁性体2に吸着した状態で保持されなくなる。
【0061】
すると、可動部Mは、第2の磁性体5に案内されて第1の磁性体3に向けて移動し、第1の磁性体3に近づくにつれて、可動部Mと第1の磁性体3の吸引力は増加し、可動部Mの移動速度は加速度的に増加する。最終的に、可動部Mは、図7(b)のように第1の磁性体3に吸着する。このとき、磁束は主に磁路MC9を流れ、可動部Mは、第1の磁性体3に吸着した状態で保持される。
【0062】
ここで、感温磁性体2の温度が低下すると、感温磁性体2の磁気抵抗率は小さくなり、第2の永久磁石7の影響も小さくなるので、磁路MC8による永久磁石4と感温磁性体2との間の吸引力は増加する。それが所定の値を超えたときに、可動部Mは、感温磁性体2の側へ移動をはじめ感温磁性体2に吸着して停止する。
【0063】
次に、図8に示す、温度と吸引力の関係を用いてこの動作を説明する。この特性図の座標軸に関する説明は図4と同様である。まず、初期状態における感温磁性体2の温度がT22であるとすると、可動部Mは、曲線C21の点P20の特性を示し、感温磁性体2の方向へ吸引力を生じている。ここで、感温磁性体2の温度を上昇させると、動作点は曲線C21上を右側に進み、直線状に急速に可動部Mに働く吸引力が低下する。これは、感温磁性体2の磁気抵抗率が増加し、飽和磁束密度が低下するにつれ、第2の永久磁石7が永久磁石4と感温磁性体2の吸引力に影響を及ぼすためである。この吸引力が可動部Mの自重を示すレベルL21まで低下するP21を越えると、可動部Mは、感温磁性体2に吸着された状態で保持されなくなり、第1の磁性体3へ向けて移動し始める。
【0064】
すると、可動部Mは、第1の磁性体3に対する吸引力が増加するため、速度を増しながら移動し、最終的に第1の磁性体3に吸着して停止する。このとき、可動部Mの特性は、曲線C21上の点P21から曲線C22上の点P22に移動し、P22で示される吸引力で可動部Mは保持される。
【0065】
ここで、感温磁性体2の温度が低下すると、可動部Mの特性は、曲線C22上を左側に移動する。可動部Mは、感温磁性体2と第2の磁性体5との間の吸引力がL21で示されるレベルを越える点P23になったときに、感温磁性体2の方向に移動を開始し、感温磁性体2に吸着して初期状態に戻る。つまり、本実施形態は、感温磁性体2の温度を変化させることにより、T21−T22をヒステリシス幅として、可動部Mが感温磁性体2と第1の磁性体3との間を移動し、シャフト6によりその出力を外部に取り出す感温アクチュエータとして動作する。
【0066】
このように、第1の実施形態においては、固定部Sに第2の永久磁石7をその着磁方向が永久磁石4の着磁方向と感温磁性体2に対して対称になるよう設けられるので、感温磁性体2の温度上昇にともなう可動部Mの感温磁性体2に対する吸引力の減少が速くなり、感温アクチュエータの応答性を向上することができる。
【0067】
なお、第2の永久磁石7は、永久磁石4と同種で同一形状のものとして説明したが、これに限るものではない。また、第2の永久磁石7は感温磁性体2に付設した状態のものを示したが、感温磁性体2と第2の永久磁石7の間に空隙を有していても、樹脂等が挿入されていてもよく、説明した構成には限るものではない。そして、感温磁性体2に第2の磁性体5を介して熱を加えたが、第2の磁性体5に貫通孔を設け、その貫通孔に感温磁性体2を嵌合させて、外部に露出した部分に熱を加えるようにしてもよい。
【0068】
(第4の参考例)次に、第4の参考例を図9乃至図11に基づいて説明する。このものは、第
1の参考例と、固定部Sは、第1の導電体8を有し、下部ケース1bと第1の磁性体3に設けられていた貫通孔を取り除き、可動部Mは、シャフト6を取り除き、第2の導電体9を有することが異なっており、その他は第1の参考例と同じ構成である。
【0069】
第1の導電体8は、銅で長方形の板状に形成されており、永久磁石4の着磁方向に略直交し、上部ケース1aと下部ケース1bによりケース1の両端に挟持され、それぞれの端部がケース1の外部に露出している。
【0070】
第2の導電体9は、銅で長方形の薄板状に形成されるもので、弾性を有し、その先端部はへの字状に第1の導電体8側に折り曲げられ、第2の磁性体5と永久磁石4の第1の磁性体3側に固定されている。このものは、可動部Mが感温磁性体2に吸着しているときに、図9(b)のように可動部Mが感温磁性体2から離れる方向に付勢するようにたわんでおり、第1の導電体8と第2の導電体9は、第2の導電体9のへの字状のに曲がった部分で、第2の導電体9の弾性力を接点圧として接触する。また、この第1の導体部8と第2の導体部9の幅や厚さにより、定格電流を適宜設定することができる。
【0071】
次に、第4の参考例の動作について説明する。この感温スイッチは、重力が感温磁性体2から第1の磁性体3の方向に加わるように固定されており、感温磁性体2は、キュリー温度などで決まる所定の温度より低い温度であり、感温磁性体2は強磁性体となっている。また、可動部Mは、感温磁性体2の近傍にあるので、永久磁石4による磁束は主に磁路MC1を通る。そのため、主に第2の磁性体5と感温磁性体2との間に吸引力が生じ、可動部Mは、感温磁性体2に吸着した状態で保持される。このとき、第2の導電体9は、可動部Mを感温磁性体2から引き離す方向に付勢するようたわんでいる。
【0072】
ここで、感温磁性体2は、発熱体(図示せず)から熱が加えられて温度が上昇すると、磁気抵抗率が大きくなる。それにつれて可動部Mの感温磁性体2に対する吸引力は減少し、そして、感温磁性体2が所定の温度を上まわったときに、可動部Mは、感温磁性体2に吸着した状態で保持されなくなる。
【0073】
すると、可動部Mは、第1の磁性体3との吸引力と第2の導電体9の弾性力により、上部ケース1aに案内されて第1の磁性体3に向けて移動し、第1の磁性体3に近づくにつれて、第2の磁性体5と第1の磁性体3の間の吸引力は増加し、可動部Mの移動速度は加速度的に増加する。最終的に、図10のようになり可動部Mは第1の磁性体3に吸着した状態で保持される。このため、第1の導電体8と第2の導電体9は離れる。
【0074】
ここで、感温磁性体2の温度が低下すると、感温磁性体2の磁気抵抗率は、小さくなる。すると、第2の磁性体5と感温磁性体2との間の吸引力は増加する。この吸引力が自重などで定められる所定の値を上まわったときに、可動部Mは、感温磁性体2の方向に移動し、感温磁性体2から第1の磁性体3に移動するときと逆の現象が生じる。その結果、可動部Mは最終的に感温磁性体2に吸着して保持される。
【0075】
次に、図11の温度と吸引力の関係を用いてこの動作を説明する。この特性図の座標軸に関する説明は図4と同様である。曲線C31は、感温磁性体2に吸着しているときの、曲線C32は、第1の磁性体3に吸着しているときの感温磁性体2の温度と吸引力の関係を示している。
【0076】
まず、初期状態における感温磁性体2の温度がT32であるとすると、可動部Mは、曲線C31上の点P30の特性を示し、感温磁性体2の方向へ吸引力を生じている。ここで、感温磁性体2の温度を上昇させると、その特性は、曲線C31上を右側に進み、吸引力が可動部Mの自重と第2の導電体9のたわみによる弾性力を示すレベルL31まで低下するP31を越えると、可動部Mは、感温磁性体2に吸着された状態で保持されなくなり、第1の磁性体3へ向けて移動し始める。このときに、第2の導電体9は、第1の導電体8から離れる。また、第2の導電体9のたわみによる弾性力が可動部Mに加わるので、自重と第1の磁性体3との間の吸引力により動作するときと比較してその移動速度は向上する。
【0077】
すると、可動部Mは、第1の磁性体3に対する吸引力が増加するため、速度を増しながら移動し、最終的に第1の磁性体3に吸着して停止する。このとき、可動部Mの特性は、曲線C31上の点P31から曲線C32上の点P32に移動し、可動部Mは、P32で示される吸引力で第1の磁性体3に保持される。
【0078】
ここで、感温磁性体2の温度が低下すると、可動部Mの特性は、曲線C32上を左側に移動する。可動部Mは、感温磁性体2と第2の磁性体5との間の吸引力がL32で示されるレベルを越えるP33になったときに、感温磁性体2への方向に移動を開始し、感温磁性体2に吸着して初期状態に戻る。つまり、本実施形態は、感温磁性体2の温度を変化させることにより、T31−T32をヒステリシス幅として、第1の導電体8と第2の導電体9を接離する感温スイッチとして動作する。
【0079】
このように、第4の参考例においては、第1の参考例の感温アクチュエータを用い、固定部Sに第1の導電体8を設け、可動部Mに第2の導電体9を感温磁性体2に吸着するときに可動部Mに引き離す方向に付勢するように設けたので、応答性が良く、感温磁性体2の温度が上昇したときにオンとなる感温スイッチを構成することができる。
【0080】
(第5の参考例)次に、第5の参考例を図12、図13及び図11を用いて説明する。このものは、第4の参考例と可動部Mが感温磁性体2に吸着しているときに第1の導電体8と第2の導電体9が接していない点が異なり、その他は第5の実施形態と同じ構成である。
【0081】
第1の導電体8は、下部ケース1bの底部に付設され、第2の導電体9は第4の参考例のものと同じ形状で、第1の導電体8に折り曲げ部の凸部が向くように可動部Mに接続されている。
【0082】
次に、第5の参考例実施形態の動作について説明する。このものの動作は、第5の実施形態とほぼ同様であるが、図12のように、可動部Mが感温磁性体2に吸着しているときに第2の導電体9はたわまず、図13のように可動部Mが第1の磁性体3に吸着したときにそれを引き離すようにたわむので、可動部Mが移動する吸引力のレベルが変化する。つまり、感温磁性体2の温度が上がって可動部Mが感温磁性体2から離れる吸引力は、図11の可動部Mの自重であるL32であり、点P34の特性となる。一方、感温磁性体2の温度が下がって第1の磁性体3から離れる吸引力は可動部Mの自重から第2の導電体9の弾性力を差し引いたレベルであるL33となり、点P36の特性となる。そのため、スイッチとしてのヒステリシス幅はT33−T34となる。
【0083】
このように、第5の参考例においては、第1の参考例の感温アクチュエータを用い、感温磁性体2に可動部Mが吸着したときに第1の導電体8と第2の導電体9が離れるようにしたので、応答性が良く、感温磁性体2の温度が上昇したときにオンとなる感温スイッチを構成できる。
【0084】
(第7の実施形態)次に、第6の参考例を図14、図15及び図11を用いて説明する。このものは、第5の参考例と第2の導電体9の一端の片側が第1の導電体8に接続されて固定部Sに設けることが異なっており、その他は第5の参考例と同じ構成である。
【0085】
第2の導電体9は、銅で長方形の薄板状に形成され、その一端はへの字状に折り曲げられてその凸部で第1の導電体8に接し、他方の端は第1の導電体8に接続されている。そして、このものは、弾性を有し、弾性力で第1の導電体8との接触部で接点圧を有している。
【0086】
第6の参考例の動作は、第5の参考例の動作と同様であるが、可動部Mに第2の導電体を有しないので、可動部Mの軽量化をすることができ、応答性を向上することができる。
【0087】
このように、第6の参考例においては、第1の参考例の感温アクチュエータを用い、固定部S
に第1の導電体8と第2の導電体9を設けたので、可動部Mを軽量化して、応答性のよい感温スイッチを構成できる。
【0088】
なお、感温磁性体2と第1の磁性体3の距離や、永久磁石4、感温磁性体2、第1の磁性体3の磁気特性を調整することにより、感温磁性体2の温度が上昇した後に低下しても自己復帰することのない感温アクチュエータや感温スイッチを構成することができる。また、感温スイッチに用いる感温アクチュエータとして第1の参考例のものを用いて説明したが、実施形態で説明したどの感温アクチュエータを用いても構成できる。
【0089】
なお、永久磁石4や第2の永久磁石7に、温度上昇による特性変化が少ないサマリウムコバルト磁石を用いたが、使用する温度範囲で必要な特性を保つ磁石であれば、他の種類の磁石を用いることもできる。
【0090】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、温度変化に応じて磁気特性が変化する感温磁性体とこの感温磁性体と所定の距離を離して設けられる第1の磁性体とを具備する固定部と、前記感温磁性体が所定の温度を上まわったときに前記感温磁性体に対する吸着状態から前記第1の磁性体に対する吸着状態に移動する永久磁石を具備する可動部とを有する感温アクチュエータにおいて、前記永久磁石と前記感温磁性体または前記第1の磁性体により形成される磁路に第2の磁性体を介挿するので、この磁路の磁気効率を向上することができる。このことにより、前記永久磁石をはじめとする各部を小型化し、前記可動部を軽量化できるので、感温アクチュエータの応答性を向上することができる。
【0096】
また、前記永久磁石は、その着磁方向が前記感温磁性体から前記第1の磁性体に向かう方向に対して略平行であるので、第2の磁性体5が永久磁石を取り囲む形状にすれば、外部への磁束漏れを減少させることができ、磁気効率を向上させることができる。このことにより、各部を小形化することができ、可動部を軽量化し、感温アクチュエータの応答性を向上することができる。
【0097】
さらにまた、前記第2の磁性体は、前記永久磁石の着磁方向に略平行な表面の一部または全部に付設するので、磁気効率を向上することができる。このことにより、各部を小形化することができ、可動部を軽量化し、感温アクチュエータの応答性を向上することができる。
【0098】
また、前記固定部は、前記感温磁性体に対し前記永久磁石の位置する側と反対側にあり、前記永久磁石と反対の着磁方向となるように配設される第2の永久磁石を有するので、感温磁性体の温度が上昇したときに吸引力の減少割合を向上することができ、感温アクチュエータの応答性を向上することができる。
【0099】
請求項2に係る発明によれば、請求項1記載の感温アクチュエータにおいて、前記第2の永久磁石は、前記感温磁性体に付設するので、請求項1の効果に加え、前記第2の永久磁石と感温磁性体の間の空気部をなくすことができるので、感温磁性体の温度変化に対する吸引力変化の割合を大きくすることができる。このことにより、感温アクチュエータの応答性を向上することができる
【0100】
請求項3に係る発明によれば、請求項1または請求項2記載の感温アクチュエータにおいて、前記可動部の動作に応じて接離する第1の導電体と第2の導電体を有するので、応答性の良い感温スイッチを構成することができる。
【0101】
請求項4に係る発明によれば、請求項3記載の感温スイッチにおいて、前記第1の導電体と前記第2の導電体のどちらか一方を、前記可動部に設けるので、請求項3記載の効果に加え、スイッチがオフ時の第1の導電体と第2の導電体の距離を任意に設定することができる。
【0102】
請求項5に係る発明によれば、請求項3記載の感温スイッチにおいて、前記第1の導電体と前記第2の導電体は、前記固定部に設けるので、請求項3記載の効果に加え、可動部を軽量化し、感温スイッチの応答性を向上することができる。
【0103】
請求項6に係る発明によれば、請求項4または請求項5の感温スイッチにおいて、前記第2の導電体は、弾性を有するので、オンからオフへの動作またはオフからオンへの動作のときにその弾性力が加わるので、感温スイッチの応答性を向上することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る第1の参考例の可動部が感温磁性体に吸着した状態のA−A断面図である。
【図2】 本発明に係る第1の参考例の可動部が第1の磁性体に吸着した状態のA−A断面図である。
【図3】 本発明に係る第1の参考例の外観図である。
【図4】 本発明に係る第1の参考例の温度−吸引力特性を示す特性図である。
【図5】 本発明に係る第2の参考例の可動部の吸着状態を表すA−A断面図であり、(a)は感温磁性体、(b)は第1の磁性体に吸着した状態を示す。
【図6】 本発明に係る第3の参考例の可動部の吸着状態を表すA−A断面図であり、(a)は感温磁性体、(b)は第1の磁性体に吸着した状態を示す。
【図7】 本発明に係る第1の実施形態の可動部の吸着状態を表すA−A断面図であり、(a)は感温磁性体、(b)は第1の磁性体に吸着した状態を示す。
【図8】 本発明に係る第1の実施形態の温度−吸引力特性を示す特性図である。
【図9】 本発明に係る第4の参考例の可動部が感温磁性体に吸着した状態を示すもので、(a)はA−A断面図、(b)はB−B断面図である。
【図10】 本発明に係る第4の参考例の可動部が第1の磁性体に吸着した状態を示すもので、(a)はA−A断面図、(b)はB−B断面図である。
【図11】 本発明に係る第4乃至第6の参考例の温度−吸引力特性を示す特性図である。
【図12】 本発明に係る第5の参考例の可動部が感温磁性体に吸着した状態を示すもので、(a)はA−A断面図、(b)はB−B断面図である。
【図13】 本発明に係る第5の参考例の可動部が第1の磁性体に吸着した状態を示すもので、(a)はA−A断面図、(b)はB−B断面図である。
【図14】 本発明に係る第6の参考例の可動部が感温磁性体に吸着した状態を示すもので、(a)はA−A断面図、(b)はB−B断面図である。
【図15】 本発明に係る第6の参考例の可動部が第1の磁性体に吸着した状態を示すもので、(a)はA−A断面図、(b)はB−B断面図である。
【符号の説明】
S 固定部
M 可動部
1 ケース
1a 上部ケース
1b 下部ケース
2 感温磁性体
3 第1の磁性体
4 永久磁石
5 第2の磁性体
6 シャフト
7 第2の永久磁石
8 第1の導電体
9 第2の導電体
MC1、MC2 磁路
Claims (6)
- 温度変化に応じて磁気特性が変化する感温磁性体とこの感温磁性体と所定の距離を離して設けられる第1の磁性体とを具備する固定部と、前記感温磁性体が所定の温度を上まわったときに前記感温磁性体に対する吸着状態から前記第1の磁性体に対する吸着状態に移動する永久磁石を具備する可動部とを有する感温アクチュエータにおいて、前記永久磁石と前記感温磁性体または前記第1の磁性体により形成される磁路に第2の磁性体を介挿することを特徴とする感温アクチュエータであって、
前記第2の磁性体は、前記可動部もしくは前記固定部に設けられ、
前記永久磁石は、その着磁方向が前記感温磁性体から前記第1の磁性体に向かう方向に対して略平行であり、
前記第2の磁性体は、前記永久磁石の着磁方向に略平行な表面の一部または全部に付設され、
前記固定部は、前記感温磁性体に対し前記永久磁石の位置する側と反対側にあり、前記永久磁石と反対の着磁方向となるように配設される第2の永久磁石を有することを特徴とする感温アクチュエータ。 - 前記第2の永久磁石は、前記感温磁性体に付設することを特徴とする請求項1記載の感温アクチュエータ。
- 請求項1または請求項2記載の感温アクチュエータにおいて、前記可動部の動作に応じて接離する第1の導電体と第2の導電体を有することを特徴とする感温スイッチ。
- 前記第1の導電体と前記第2の導電体のどちらか一方を、前記可動部に設けることを特徴とする請求項3記載の感温スイッチ。
- 前記第1の導電体と前記第2の導電体は、前記固定部に設けることを特徴とする請求項3記載の感温スイッチ。
- 前記第2の導電体は、弾性を有することを特徴とする請求項4または請求項5の感温スイッチ。
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