JPH0343682Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔技術分野〕 この考案は、有極リレーの接点開閉などに用い
られる電磁石装置に関する。

〔背景技術〕

従来の電磁石装置で、第３図にみるように、平
面Ｕ字形ヨーク５１の内側に鉄心５２一端がつな
がれて平面Ｅ字形になつた電磁石ブロツク５３
と、２つの磁性体片５４，５４が永久磁石５５を
その着磁方向両端から挟んで平面Ｕ字形になつた
接極子ブロツク５６とが組み合わされたものがあ
る。この電磁石装置は、コイル５７と永久磁石５
５の働きで接極子ブロツク５６が矢印Ｋ，Ｌ方向
に正逆移動するようになつている。ところが、永
久磁石５５が平面Ｕ字形ヨーク５１の外部にある
ため、接極子ブロツク５６が矢印Ｋ方向に動いた
ときは、接極子ブロツク５６が矢印Ｍ方向に傾い
て図示のようになり、矢印Ｌ方向に動いたときに
は、接極子ブロツク５６が矢印Ｎ方向に傾き、動
作が極めて不安定であつた。

〔考案の目的〕

この考案は、以上のことに鑑みて、接極子ブロ
ツクがスライドして正逆移動する電磁石装置であ
つて、接極子ブロツクの動作が安定に行われる電
磁石装置を提供することを目的とする。

〔考案の開示〕

この考案は、上記の目的を達成するために、中
央磁極部およびこれを間にして対向する対向磁極
部を有し、中央磁極部が対向磁極部に磁気的に繋
がつていて、コイルの励磁により対向極部と異な
る極性を持つようになつている電磁石ブツロク
と、対向する２つの磁性体片が永久磁石をその着
磁方向両端から挟んでなる接極子ブロツクとの組
み合わせからなる電磁石装置において、前記中央
磁極部が対向磁極部の対向方向に貫通する切欠き
を有し、前記接極子ブロツクは、永久磁石が前記
切欠きに挿通されるとともに、２つの磁性体片が
前記中央磁極部と対向磁極部との間にある２つの
間隙に挿入されていることを特徴とする電磁石装
置をその要旨としている。以下に、この考案を、
その実施例をあらわす図面に基づいて詳しく説明
する。

第１図は、この考案にかかる電磁石装置の１実
施例をあらわす。第１図にみるように、この電磁
石装置は、電磁石ブロツク１と接極子ブロツク２
との組合せからなつている。電磁石ブロツク１
は、平面Ｕ字形ヨーク１１の内側中央に鉄心１２
の一端がつながつていて平面Ｅ字形になつてい
る。鉄心１２にはコイル１３が巻回されており、
鉄心自由端部１２ａが中央磁極部となつている。
平面Ｕ字形ヨーク１１の両端部１１ａ，１１ｂ
は、中央磁極部１２ａを間にして対向する対向磁
極部となつている。中央磁極部１２ａは、対向磁
極部１１ａ，１１ｂの対向方向（矢印Ａ，Ｂ方
向）に貫通する切欠き１４を鉄心自由端両側に有
しており、鉄心１２は側面Ｙ字形になつている。
中央磁極部１２ａと対向磁極部１１ａ，１１ｂと
は、コイル１３の励磁により異なる極性を持つよ
うになつている。

接極子ブロツク２は、対向する２つの磁性体片
２１，２１の一部分が永久磁石２２をその着磁方
向両端から挟んで、Ｈ字形になつている。

電磁石ブロツク１と接極子ブロツク２とは、接
極子ブロツク２の永久磁石２２が中央磁極部１２
ａの切欠き１４に挿通されるとともに、２つの磁
性体片２１，２１が中央磁極部１２ａと対向磁極
部１１ａ，１１ｂとの間にある２つの間隙にそれ
ぞれ挿入されて組み合わされている。このため、
接極子ブロツク２の永久磁石２２の一部または全
部が平面Ｕ字形ヨーク１１の内側に入ることにな
る。

接極子ブロツク２は、コイル１３と永久磁石２
２の働きでスライドして正逆方向（矢印Ａ，Ｂ方
向）に移動するようになつている。

上記の構成からなるこの電磁石装置の動作状態
を、第２図にみるその平面図に基づき、つぎに説
明する。第２図にみるように、接極子ブロツク２
が実線で示す状態にあるときに、コイル１３に、
ある極性の電流を通じ、中央磁極部１２ａをＳ極
に、対向磁極部１１ａ，１１ｂをＮ極にそれぞれ
励磁すると、同極反発，異極吸引により、接極子
ブロツク２が矢印Ｂ方向に動く。このとき、接極
子ブロツク２は、中央磁極部１２ａの切欠き１４
で案内されながら移動するため、移動したときに
傾かず、磁性体片２１が対向磁極部１１ｂに、磁
性体片２１が中央磁極部１２ａにそれぞれ完全に
当接し、一点鎖線で示す状態になる。この状態に
あるときに、コイル１３に、先とは逆の極性の電
流を通じ、中央磁極部１２ａをＮ極に、対向磁極
部１１ａ，１１ｂをＳ極にそれぞれ励磁すると、
同極反発，異極吸引により接極子ブロツク２が矢
印Ａ方向に動く。このときも、接極子ブロツク２
は、中央磁極部１２ａの切欠き１４で案内されな
がら傾かずに移動し、磁性体片２１が対向磁極部
１１ａに、磁性体片２１が中央磁極部１２ａにそ
れぞれ完全に当接し、実線で示す状態になる。こ
のため、接極子ブロツク２の正逆移動が極めて安
定したものになつている。

この考案にかかる電磁石装置は、この実施例に
示した電磁石装置のように、接極子ブロツク２が
平面Ｕ字形ヨーク１１の内側に入り込むようにな
つていると、接極子ブロツク２の動きしろも外部
に必要としないので、電磁石装置の長さＣを短く
することができ、電磁石装置の厚み（第１図で縦
方向の長さ）Ｄを小さくすることができる。ま
た、永久磁石２２の磁束の漏れを少なくすること
ができる。接極子ブロツク２がＨ字形になつてい
ると、たとえば、Ｕ字形になつている場合に比べ
て、中央磁極部および対向磁極部との対向面積が
大きくなり、動きがより安定に、また、より感度
よくおこなわれるようになる。

この実施例では、接極子ブロツク２が正方向
（たとえば、矢印Ａ方向）および逆方向（たとえ
ば、矢印Ｂ方向）にそれぞれ動いた状態で、永久
磁石２２により形成される磁気回路の磁気抵抗が
同じであるため、コイル１３の励磁をやめてもそ
れぞれの状態を保つている。すなわち、この実施
例の電磁石装置はラツチング型である。

なお、この考案にかかる電磁石装置は、上記の
実施例に限られるものではない。たとえば、電磁
石ブロツクは、コイルが巻回された鉄心およびこ
の一端につながれたヨークを有し、鉄心自由端部
が中央磁極部となり、前記ヨークが鉄心の下方で
鉄心と同方向に延び、ヨーク先端が左右２つに分
かれて立上がり、中央磁極部に間にして対向する
対向磁極部となつているようなものだと、第１図
に示したようにみた状態で、幅（矢印Ａ，Ｂ方向
の長さ）を少なくともヨークの厚みの２倍分だけ
より小さくすることが可能になる。電磁石ブロツ
クは、その他の形状でもよい。中央磁極部が有す
る、対向磁極部の対向方向に貫通する切欠きは、
鉄心先端部分が中央磁極部である場合には、鉄心
先端面にもうけられることが多いが、その他の面
に設けられてもよい。なお、切欠きは、穴であつ
てもよい。切欠きの大きさ，形状は、第１図に示
すように永久磁石の全部が入れるだけの大きさ，
形状でもよいが、それよりも大きめでもよく、永
久磁石の一部だけが入るような大きさ，形状でも
よい。中央磁極部の、切欠きを形成している面と
永久磁石との間は、ある程度の幅をもつた間隙が
あると、そのような面と永久磁石との磁着が防が
れるので好ましい。また、そのような面および永
久磁石のいずれか一方または双方に、非磁性体を
設けて磁着を防ぐことも可能である。切欠きを接
極子ブロツクの正逆移動の案内部とすることもで
きる。このようにする場合、摺動部分には、非磁
性体を設けると磁着を防ぐことができ、さらに、
その部分に摩擦係数の小さい材料を用いるように
すると、接極子ブロツクの正逆移動もよりスムー
ズになる。

この考案にかかる電磁石装置は、接極子ブロツ
クが正方向および逆方向にそれぞれ動いた状態
で、永久磁石により形成される磁気回路の磁気抵
抗を同じくするか差をつけたりするかでラツチン
グ型が得られたり、シングルステイブル型が得ら
れたりする。シングルステイブル型の例を少しあ
げると、第１図に示したものにおいて、２つの対
向磁極部の対向面のいずれか一方、２つの磁性体
片のいずれか一方の中央磁極部または対向磁極部
との対向面、または、中央磁極部の２つの磁性体
片との対向面のいずれか一方に切欠きを設けた
り、穴を設けたり、凸部を設けたり、凹部を設け
たり、非磁性体片を設けたりすることである。こ
の考案にかかる電磁石装置でシングルテスイブル
型のものは、無励磁になつたときに、磁気回路の
磁気抵抗の小さい状態への復帰が外部の力によら
ずに行われる。また、励磁状態をもたらす極性の
電流と逆極性の電流をコイルに通じても動作しな
い。

この考案にかかる電磁石装置は、接極子ブロツ
クが正逆方向にそれぞれ移動したときに、接極子
ブロツクと電磁石ブツロクとの吸収し合う部分が
レジデュアルプレートおよび／またはレジデユア
ルギヤツプを介するようにすることも可能であ
る。正方向に移動したときと、逆方向に移動した
ときとでレジデユアルプレートおよび／またはレ
ジデユアルギヤツプの厚みや種類などを同じにし
たり、変えたりあるいは上記のようにしたりして
レジデユアルプレートおよび／またはレジデユア
ルギヤツプつきの、ラツチング型の電磁石装置、
シングルステイブル型の電磁石装置とすることが
できる。レジデユアルプレートおよび／またはレ
ジデユアルギヤツプつきの電磁石装置は、コイル
の電流（電圧）を０にしても残る残留磁気による
吸引が防がれ、コイルの電流（電圧）をある程度
以下にすれば吸引が解除されるなど、吸引反発や
復帰がよりスムーズに行われ、吸引特性がよりよ
くなる。

〔考案の効果〕

この考案にかかる電磁石装置は、以上にみてき
たように、電磁石ブロツクの中央磁極部が対向磁
極部の対向方向に貫通する切欠きを有し、接極子
ブロツクの永久磁石が前記切欠きに挿通されると
ともに、２つの磁性体片が中央磁極部と対向磁極
部との間にある２つの間隙に挿入されているの
で、接極子ブロツクの永久磁石の一部または全部
が対向磁極部間に配置されるようになり、接極子
ブロツクが２つの対向磁極部のそれぞれに吸引さ
れたときに傾くことがなくなる。このため、接極
子ブロツクの正逆移動が極めて安定したものにな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案にかかる電磁石装置の１実
施例をあらわす斜視図、第２図は、その動作状態
を示す平面図、第３図は、従来例をあらわす平面
図である。 １……電磁石ブロツク、２……接極子ブロツ
ク、１１……平面Ｕ字形ヨーク、１１ａ，１１ｂ
……対向磁極部、１２……鉄心、１２ａ……中央
磁極部、１３……コイル、１４……切欠き、２１
……磁性体片、２２……永久磁石、Ａ，Ｂ……対
向磁極部の対向方向。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 中央磁極部およびこれを間にして対向する対
   向磁極部を有し、中央磁極部が対向磁極部に磁
   気的に繋がつていて、コイルの励磁により対向
   磁極部と異なる極性を持つようになつている電
   磁石ブロツクと、対向する２つの磁性体片が永
   久磁石をその着磁方向両端から挟んでなる接極
   子ブロツクとの組み合わせからなる電磁石装置
   において、前記中央磁極部が対向磁極部の対向
   方向に貫通する切欠きを有し、前記接極子ブロ
   ツクは、永久磁石が前記切欠きに挿通されると
   ともに、２つの磁性体片が前記中央磁極部と対
   向磁極部との間にある２つの間隙に挿入されて
   いることを特徴とする電磁石装置。 (2) 電磁石ブロツクは、平面Ｕ字型ヨークの内側
   に鉄心一端がつながつていて平面Ｅ字形になつ
   ている実用新案登録請求の範囲第１項記載の電
   磁石装置。 (3) 接極子ブロツクが平面Ｕ字形ヨークの内側に
   入り込んでいる実用新案登録請求の範囲第２項
   記載の電磁石装置。 (4) 接極子ブロツクがＨ字形である実用新案登録
   請求の範囲第１項ないし第３項のいずれかに記
   載の電磁石装置。