JP4171557B2 - 電気車制御装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、電気車の良好な乗り心地を維持しつつ粘着力の有効利用を図った再粘着制御を実現する電気車制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電気車は車輪・レール間の接線力(粘着力ともいう)によって加減速を行っているが、この接線力は、一般にすべり速度に対して図3に破線で示すような特性を有している。この接線力を軸重(車軸1軸当たりのレールに加わる垂直荷重)で割ったものを接線力係数、接線力係数の最大値を粘着係数という。図示の如く、接線力の最大値を超えないトルクを主電動機で発生している場合は、空転・滑走は発生せず、接線力の最大値より左側の微小なすべり速度の粘着領域で電気車は走行する。もし最大値より大きなトルクを発生するとすべり速度は増大し、接線力が低下するのでますますすべり速度が増大する空転・滑走状態になるが、車輪およびレールが乾燥状態では主電動機で発生するトルクは接線力の最大値を超えないように車両の性能が設定されるので、空転・滑走は発生しない。
しかし、実線で示すように、レール面が雨等によって湿潤状態にある場合は、粘着係数が低下して接線力の最大値が車両の設定性能に対応した主電動機の発生トルクより小さくなる。この場合、すべり速度が増大し空転・滑走状態になり、そのまま放置するとこれに対応して接線力が低下し、車両の加速・減速に必要な加減速力がますます低下してしまうので、迅速に空転・滑走を検出し、主電動機が発生するトルクを低減して再粘着させることが必要になる。このようにトルクの制御を行って再粘着させる場合、小さなすべり速度に抑制しつつ、主電動機の発生トルクが極力接線力の最大値近傍の値になるように制御することが、電気車の加減速性能を高める上で必要である。
【0003】
このような再粘着制御の実現を目的とした方法として、主電動機の回転速度を検出し、この情報と主電動機発生トルクの演算値または計測値を入力情報として最小次元外乱オブザーバを用いて車輪・レール間の接線力係数を各制御周期毎に推定して、主電動機の発生トルクを制御する方式が、最近提案されている(参考文献:外乱オブザーバを用いた電気車の接線力係数の推定方法 - 第二報 - 、電気学会半導体電力変換器研究会、平成10年1月30日)。この制御方式によって主電動機トルク指令値に対する実際の発生トルクが異なる等の、パラメータ変動が大きくない場合には、良好な乗り心地を保ちつつ主電動機の発生トルクを極力接線力の最大値近傍に維持することができるようになりつつある。
しかし、主電動機トルク指令値に対する実際の発生トルクが大きく異なる場合や、車輪径が車輪取り替え限度近くまで小さくなった場合等、パラメータの変動が大きい場合には、接線力のピーク点近傍に主電動機の発生トルクを留めおくことができず、徐々に空転・滑走状態になったり、あるいは粘着しているにもかかわらず徐々に発生トルクが小さくなる事象が発生することが考えられる。
このような種々のパラメータ変動によって接線力のピーク点近傍に主電動機の発生トルクを留めおくことができなくなることなく、常にピーク点近傍のトルクを発生できる、よりロバストな再粘着制御を実現することが必要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように種々のパラメータ変動が発生した場合に、接線力を各制御周期毎に推定してトルクを制御する方式を用いた場合でも、接線力のピーク点近傍に主電動機の発生トルクを留めおくことができず、徐々に空転・滑走状態が拡大したり、粘着領域で発生トルクが小さくなったりする事象の発生が考えられる。
【0005】
本発明は上述した点に鑑みて創案されたもので、その目的とするところは、1次外乱オブザーバを用いて、電気車の接線力または接線力係数と接線力または接線力係数の時間微分値を推定して、必ず空転・滑走領域に入るようなトルクを指令するようにしておき、接線力または接線力係数の時間微分値の推定値を用いて微小な空転・滑走のうちにこれを検出してトルクを低減するようにして、常に粘着力のピーク点近傍に発生トルクを維持するようにして、粘着力の有効利用可能な再粘着制御機能を具備した電気車制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
つまり、その目的を達成するための手段は、主電動機の_ トルク指令値1と、速度センサによって検出した電気車の主電動機軸の回転速度を入力情報とする電気車制御装置であって、1次外乱オブザーバを用いて推定した電気車の接線力の推定値_ より大きなトルク指令値2を発生する指令トルク発生器と、前記1次外乱オブザーバを用いて推定した電気車の接線力係数の時間微分値の推定値を用いて空転・滑走の検知を行って主電動機の発生トルクを低減するトルク低減開始信号を発生するトルク低減開始信号発生器と、該トルク低減開始信号発生器で発生したトルク低減開始信号を用いて低減指令トルクを発生する低減指令トルク発生器と、前記指令トルク発生器からのトルク指令値2と該低減指令トルク発生器からの低減指令トルクを入力し、前記トルク指令値2から前記低減指令トルクを減じた出力である前記トルク指令値1を前記1次外乱オブザーバにフィードバックする演算器から構成されることを特徴とする電気車制御装置。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電気車制御装置について、図示の実施例を用いて詳細に説明する。図1は本発明の一実施例を示すブロック図、図2は本発明の一実施例による制御状態の説明図、図3は接線力係数あるいは接線力のすべり速度に対する一般的な特性を示す特性図である。
【0008】
図1において、トルク指令値1のTc、回転速度ωmが1次外乱オブザーバに入力される。そして、1次外乱オブザーバ1において、後述する式(1)〜(6)を用いて接線力Ttrhおよび接線力の時間微分値Tdrhを推定し、接線力の推定値Ttrhは指令トルク発生器2に入力され、接線力の時間微分値Tdrhはトルク低減開始信号発生器3に入力される。指令トルク発生器2では、接線力の推定値Ttrhをもとにこれより_大きいトルクTczをトルク指令値として出力する。Tcz>Ttrhであるので、すべり速度が徐々に大きくなり、空転・滑走領域に入り込むようになる。一方、トルク低減開始信号発生器3に入力された接線力の時間微分値Tdrhは、車輪・レール間のすべり速度が徐々に大きくなり空転・滑走領域に入り込むようになると、正の値からゼロを経てマイナスの値をとるようになる。この接線力の時間微分値Tdrhがマイナスの値になったことをトルク低減開始信号発生器3が検出して、トルク低減開始信号Sdnを発生し、これを低減指令トルク発生器4に出力する。低減指令トルク発生器4では、トルク低減開始信号Sdnが発生したことを受けて、図2(a)に示すような低減指令トルクδTcを発生し、これが指令トルク発生器の出力トルクTczから減ぜられるので、空転・滑走領域に入った車輪は再粘着に向かい、低減指令トルクδTcが消滅する時点では完全に再粘着する。低減指令トルクδTcが消滅すると、再び空転・滑走領域に向い出し、以下上記の過程を繰り返して、図2(b)に示すようにトルク指令値1のTcが推移して、図2(c)に示すように、接線力のピーク点近傍で、微小空転・滑走領域と粘着領域の間でループを描くことになる。なお図2(a)に示した低減指令トルクδTcは一例であって、必ずしもこのような形である必要はない。しかし、十分に再粘着させることができる範囲で極力小さくして乗り心地を害さないような配慮を行う必要がある。以下に、新規性の喪失の例外証明書提出書に添付した論文集に掲載の式(6),(7)に対応する式(1),(2)、同様に式(8),(9)に対応する式(5),(6)を示す。
dZ1/dt=−a・Z2+a・b・Jm・ωm+a・Tm・・・・・(1)
dZ2/dt=Z1−b・Z2+(−a・Jm+b・b・Jm)・ωm+b・Tm・(2)
dTl/dt=Z1−a・Jm・ωm・・・・・・・・・・・・(3)
Tl=Z2−b・Jm・ωm・・・・・・・・・・・・(4)
μh=Rg・Tl/(W・g・r)・・・・・・・・・・・・(5)
dμh/dt=(Rg/(W・g・r))・dTl/dt・・・・・・・・(6)
ここに、
t :時間
Tm:電動機トルク
Jm:電動機の慣性モーメント
Tl:負荷トルクの推定値
a,b:1次外乱オブザーバの極
ωm:電動機の回転速度
μh:接線力係数の推定値
Rg:駆動装置の歯車比
r :車輪半径
g :重力加速度
W :軸重(車軸1軸当たりのレールに加わる垂直荷重)
【0009】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明によれば、1次外乱オブザーバによって、接線力とともに接線力の時間微分値も推定することができるので、推定接線力よりも_大きいトルクを指令して、空転・滑走領域に入るようにしておいて、接線力の時間微分値の推定値を用いて迅速に空転・滑走を検出して、速やかに再粘着させる制御を行うので、接線力のピーク点近傍に主電動機の発生トルクを維持できるので、パラメータ変動がある場合でも、常に粘着力の有効利用可能な、また乗り心地の良好な再粘着制御を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例による制御状態の説明図である。
【図3】接線力係数あるいは接線力のすべり速度に対する一般的な特性を示す特性図である。
【符号の説明】
1 1次外乱オブザーバ
2 指令トルク発生器
3 トルク低減開始信号発生器
4 低減指令トルク発生器
Tc トルク指令値
Ttrh 接線力の推定値
Tdrh 接線力の時間微分値の推定値
Tcz 接線力の推定値より僅かに大きいトルク指令値
δTc 低減指令トルク
Sdn トルク低減開始信号
ωm 電動機の回転速度
Claims (1)
- 主電動機のトルク指令値1と、速度センサによって検出した電気車の主電動機軸の回転速度を入力情報とする電気車制御装置であって、1次外乱オブザーバを用いて推定した電気車の接線力の推定値より大きなトルク指令値2を発生する指令トルク発生器と、前記1次外乱オブザーバを用いて推定した電気車の接線力係数の時間微分値の推定値を用いて空転・滑走の検知を行って主電動機の発生トルクを低減するトルク低減開始信号を発生するトルク低減開始信号発生器と、該トルク低減開始信号発生器で発生したトルク低減開始信号を用いて低減指令トルクを発生する低減指令トルク発生器と、前記指令トルク発生器からのトルク指令値2と該低減指令トルク発生器からの低減指令トルクを入力し、前記トルク指令値2から前記低減指令トルクを減じた出力である前記トルク指令値1を前記1次外乱オブザーバにフィードバックする演算器から構成されることを特徴とする電気車制御装置。
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1999
- 1999-06-14 JP JP16656799A patent/JP4171557B2/ja not_active Expired - Fee Related
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