JP4167319B2 - 油圧機械式無段変速機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、斜板式油圧ポンプと、容量可変型の斜板式油圧モータとを備え、モータ斜板の傾斜角を調節する傾斜角調節手段と、モータ側偏心輪の偏心量を調節する偏心位置調節手段とが連動する油圧機械式無段変速機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、かかる油圧機械式無段変速機は、たとえば特公平6−89828号公報に開示されているように、既に知られており、このものでは、モータ側偏心輪を偏心側にばね付勢しておき、モータ斜板が直立位置に達したときに、モータ側偏心輪を油圧により偏心量「0」の位置に移動させるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来のものでは、油圧を用いてモータ側偏心輪を作動せしめるようにしているので、油圧回路が必要であり、モータ側偏心輪を作動せしめるための構成が複雑である。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で傾斜角調節手段および偏心位置調節手段を連動させ、モータ斜板がほぼ直立状態となった所望のタイミングでモータ側偏心輪の偏心量を確実に「0」とし得るようにした油圧機械式無段変速機を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、ポンプシリンダに設けられた複数のポンプシリンダ孔にそれぞれ摺動自在に嵌合されるポンププランジャの外端がポンプ斜板に係合、当接され、モータシリンダに設けられた複数のモータシリンダ孔にそれぞれ摺動自在に嵌合されるモータプランジャの外端が傾斜角を調節可能なモータ斜板に係合、当接され、前記ポンプシリンダおよびモータシリンダを有するシリンダブロックの内周側に内側油路が形成されるとともに外周側に外側油路が形成され、前記シリンダブロックの半径方向に往復動して前記ポンプシリンダ孔を内側油路および外側油路に交互に連通させる複数の第1分配弁がポンプ側偏心輪に係合され、前記シリンダブロックの半径方向に往復動して前記モータシリンダ孔を内側油路および外側油路に交互に連通させ得る複数の第2分配弁がモータ側偏心輪に係合され、前記モータ斜板の傾斜角を調節する傾斜角調節手段と、シリンダブロックに対するモータ側偏心輪の偏心位置を調節する偏心位置調節手段とが、前記モータ斜板をほぼ直立状態とさせたときに前記第2分配弁の往復動を停止させるべく連動、連結される油圧機械式無段変速機において、傾斜角調節手段は、シリンダブロックの回転軸線と平行な軸線まわりに回転可能な回転運動部材と、該回転運動部材の回転運動に応じて前記モータ斜板の傾斜角を変更せしめるべく前記回転軸線と平行な方向に往復動する直線運動部材とを備え、前記偏心位置調節手段は、前記回転運動部材に固定されて回転する連動回転部材を備えるとともに、該連動回転部材と前記モータ側偏心輪との相互間を、前記回転運動部材が前記モータ斜板を最大傾斜角とした状態から所定量回転するのに伴って該モータ側偏心輪が所定の偏心位置から偏心量を「0」とする位置に移動するように、機械的に連動させており、回転動力を発揮する動力源が前記回転運動部材に連結されていて、前記回転動力を前記モータ斜板の傾斜角調節と前記モータ側偏心輪の偏心位置調節とに利用可能としたことを特徴とする。
【0006】
かかる構成によれば、偏心位置調節手段は、傾斜角調節手段が備える回転運動部材の回転に連動する連動回転部材の回転に応じて、モータ側偏心輪を機械的に移動させてモータ側偏心輪の偏心位置を調節するので、所望のタイミングでモータ側偏心輪の偏心量を「0」とするために従来必要であった油圧回路が不要となって、簡単な構成で傾斜角調節手段および偏心位置調節手段を相互に連動させることができ、しかも所望のタイミングでモータ側偏心輪の偏心量を確実に「0」とすることができる。
【0007】
また請求項2記載の発明は、前記偏心位置調節手段は、シリンダブロックの回転軸線まわりに回動可能なリングギヤおよび前記連動回転部材間に設けられるギヤ列と、前記リングギヤおよびモータ側偏心輪間に設けられるカム機構とを備え、モータ斜板が所定の回動位置に達するのに応じてモータ側偏心輪を偏心量「0」の位置に移動せしめるべく前記カム機構が構成されることを特徴とする。
【0008】
このような請求項2記載の発明の構成によれば、ギヤ列におけるギヤの噛合タイミングを変化させることにより、モータ斜板の傾斜角変化に伴なうモータ側偏心輪の偏心位置制御を微妙に調節することができる。
【0009】
請求項3記載の発明は、上記請求項1または2記載の発明の構成に加えて、前記カム機構は、モータ側偏心輪に固定されるピンと、該ピンを嵌合せしめてリングギヤの側面に設けられるカム溝とから成ることを特徴とし、かかる構成によれば、モータ斜板が傾斜角を小さくする側に回動するときと、モータ斜板が傾斜角を大きくする側に移動するときとの間で、モータ側偏心輪の移動にヒステリシスを設定することが容易であり、モータ側偏心輪の作動にハンチングが生じることを防止することができる。
【0010】
さらに請求項4記載の発明は、上記請求項2または3記載の発明の構成に加えて、前記カム機構は、モータ斜板がその最大傾斜角の状態から直立位置を超えるオーバートップ位置まで回動するのに応じてモータ側偏心輪の偏心量を「0」とすべく構成されることを特徴とし、かかる構成によれば、モータ斜板が直立位置(トップ位置)から直立位置を超えるオーバートップ位置への遷移時に、ロックアップ変速開始前にオーバートップ位置にあれば出力回転数の滑り分だけ回転数が下がり、トップ位置の回転数に近いのでロックアップ直前および直後の出力回転数差が少なくなり、変速ショックを小さく抑えることができる。すなわちトップ位置でモータ側偏心輪の偏心量が「0」となっていると、トップ位置からオーバートップ位置に変化するときに、トップ位置での滑りロスが殆どなくなることに伴って変速ショックが生じるのであるが、モータ側偏心輪の偏心量が「0」となって滑りロスが殆どなくなったときにはオーバートップ位置となっていることにより、変速ショックを小さく抑えることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0012】
図1ないし図5は本発明の一実施例を示すものであり、図1は油圧機械式無段変速機の横断平面図、図2は図1の要部拡大図、図3は偏心位置調節手段を図2の3−3線矢視方向から見た図、図4は図3の4−4線拡大断面図、図5はタイミングチャートである。
【0013】
先ず図1において、この油圧機械式無段変速機は、定容量型斜板式の油圧ポンプPと、可変容量型斜板式の油圧モータMとが、通常の負荷運転中には低圧路となるが逆負荷運転中(エンジンブレーキ中)には高圧路となる内側油路11、ならびに通常の負荷運転中には高圧路となるが逆負荷運転中には低圧路となる外側油路12を介して油圧閉回路を構成すべく接続されて成るものである。
【0014】
たとえば自動二輪車に搭載されるエンジンEは、発進クラッチ13を介して入力軸14に連結されており、該入力軸14に設けられるギヤ15が、斜板式油圧ポンプPが備える入力筒軸17に設けられる入力ギヤ16に噛合される。一方、斜板式油圧モータMが備える出力軸18には出力ギヤ19が設けられており、該出力ギヤ19は、図示しない駆動輪に連結される駆動軸21に設けられているギヤ20に噛合される。すなわち内燃エンジンEの出力は、発進クラッチ13、油圧機械式無段変速機の油圧ポンプPおよび油圧モータMを介して駆動軸21から駆動輪に伝達される。
【0015】
図2を併せて参照して、油圧ポンプPは、入力ギヤ16を備えた入力筒軸17と、この入力筒軸17の内周壁にボールベアリング23を介して相対回転自在に支承されるポンプシリンダ24と、該ポンプシリンダ24にその回転軸線を囲むように環状配列で設けられた複数かつ奇数のポンプシリンダ孔25…にそれぞれ摺動自在に嵌合される複数のポンププランジャ26…と、各ポンププランジャ26…の外端に前面を係合、当接させるポンプ斜板27と、このポンプ斜板27をポンプシリンダ24の軸線と直交する仮想トラニオン軸線O1 を中心にしてポンプシリンダ24の軸線に対し一定角度傾斜させた状態に保持すべくアンギュラコンタクトベアリング28およびボールベアリング29を介して該斜板27を支承するホルダ部30とから構成され、ホルダ部30は入力筒軸17と一体に形成されている。
【0016】
前記ポンプ斜板27は、入力筒軸17の回転時、ポンププランジャ26…に往復動を与えて吸入および吐出行程を繰返させることができる。
【0017】
油圧モータMは、ポンプシリンダ24と同軸上で図2の右方に配置されるモータシリンダ31と、該モータシリンダ31にその回転軸線を囲むように設けられたモータシリンダ孔32…にそれぞれ摺動可能に嵌合される複数のモータプランジャ33…と、各モータプランジャ33…の外端に前面を係合、当接させるモータ斜板34と、アンギュラコンタクトベアリング35およびボルーベアリング36を介して前記モータ斜板34を支承するモータ斜板ホルダ37と、該モータ斜板ホルダ37の背面を支承してケーシング39に固定されるモータ斜板アンカ38とから構成される。
【0018】
油圧ポンプPにおけるポンプシリンダ孔25…と同数の奇数個である前記モータシリンダ孔32…は、ポンプシリンダ孔25…とは周方向にずれた配置でモータシリンダ31に穿設される。また相互に当接するモータ斜板ホルダ37およびモータ斜板アンカ38の対向当接面は、モータシリンダ31の軸線と前記仮想トラニオン軸線O1 に平行なトラニオン軸線O2 との交点を中心とする球面状に形成される。しかもモータ斜板ホルダ37は、トラニオン軸線O2 まわりの相対回動を可能としてモータ斜板アンカ38に支承される。
【0019】
モータ斜板アンカ38のモータシリンダ31側端部にはシリンダホルダ41が連設され、このシリンダホルダ41とモータシリンダ31の外周との間にはボールベアリング42が介設される。
【0020】
図1で示すように、ケーシング39には回転動力を発揮する駆動源としてのパルスモータ43が取り付けられており、このパルスモータ43の回転動力が、減速ギヤ列44を介して、傾斜角調節手段45に伝達される。
【0021】
傾斜角調節手段45は、ポンプシリンダ24およびモータシリンダ31の回転軸線と平行な軸線を有してケーシング39およびシリンダホルダ41で回転自在に支承される回転運動部材としてのねじ軸46と、該ねじ軸46との間に多数のボール(図示せず)を介在させてねじ軸46に螺合される直線運動部材としてのナット47とを有して、ボールねじ機構として構成されるものであり、ナット47が、トラニオン軸O2 と平行な連結軸48を介してモータ斜板ホルダ37に連結され、ねじ軸46の一端に前記減速ギヤ列44を介してパルスモータ43からの回転動力が減速されて入力される。
【0022】
このような傾斜角調節手段45によれば、パルスモータ43の作動に応じてねじ軸46が回転することにより、ナット47が軸方向に往復動し、それによりモータ斜板34が、或る角度で傾倒する最大傾斜角位置と、該最大傾斜角位置からモータシリンダ31の軸線に対し直角となる直立位置(トップ位置)を経由して最大傾斜角位置とは反対側にわずかに傾斜した位置(オーバートップ位置)との間で回動することになり、その傾斜状態では、モータシリンダ31の回転に伴いモータプランジャ33…に往復動を与えて膨脹および収縮行程を繰り返させることができる。またパルスモータ43の作動量すなわちモータ斜板ホルダ37の傾動角はセンサ49で検出される。
【0023】
ポンプシリンダ24およびモータシリンダ31は相互に一体に結合されてシリンダブロックBを構成するものであり、このシリンダブロックBには、該シリンダブロックBを同軸に貫通する出力軸18が結合される。すなわち出力軸18は、その一端を油圧ポンプPの入力筒軸17内に同軸に配置するようにしてシリンダブロックBにスプライン結合され、出力軸18の一端部および入力筒軸17間にはアンギュラコンタクトベアリング50が、また入力筒軸17およびケーシング39との間にはボールベアリング51が介設される。
【0024】
出力軸18の一端および入力筒軸17間には、ワンウェイクラッチ52が設けられており、該ワンウェイクラッチ52は、逆負荷運転時に出力軸18の回転数が入力筒軸17の回転数を上回るのに応じて入力筒軸17および出力軸18間を連結する働きをする。
【0025】
出力軸18の他端側は、モータ斜板34、モータ斜板ホルダ37およびモータ斜板アンカ38を貫通するように延びており、モータ斜板アンカ38よりも軸方向外方側で出力軸18に出力ギヤ19が固定され、該出力ギヤ19およびモータ斜板ホルダ37間において、ケーシング39ならびに該ケーシング39に固定されるモータ斜板アンカ38と、出力軸18との間にアンギュラコンタクトベアリング53が介設される。またボールベアリング86を介して出力軸18の他端を支承するカバー54がケーシング39に締結されており、該カバー54内で出力軸18の出力ギヤ19と、駆動軸21のギヤ20とが噛合される。而して駆動軸21の一端はボールベアリング55を介してケーシング39に支承されており、駆動軸21の他端はカバー54から突出され、カバー54および駆動軸21間にボールベアリング56およびシール部材57が設けられる。
【0026】
出力軸18には、補給油路58が同軸に設けられており、該補給油路55の一端には、図1で示すように、油溜Rから補給ポンプ59で汲み上げた作動油が供給され、補給油路58の他端はキャップ60で閉塞される。
【0027】
ポンプシリンダ24のポンプシリンダ孔25…群とモータシリンダ31のモータシリンダ孔32…群との間において、シリンダブロックBの内周側に内側油路11が形成され、内側油路11を同心に囲繞する外側油路12が、シリンダブロックBの外周側に形成される。
【0028】
ポンプシリンダ24のポンプシリンダ孔25…群とモータシリンダ31のモータシリンダ孔32…群との間におけるシリンダブロックBの内側油路11および外側油路12間に、前記ポンプシリンダ孔25…と同数の第1および第2弁孔61…,62…が設けられる。しかも第1弁孔61…はポンプシリンダ孔25…群側に配置され、第2弁孔62…はモータシリンダ孔32…群側に配置される。
【0029】
前記第1弁孔61…にはスプール型の第1分配弁63…が、また前記第2弁孔62…には同じくスプール型の第2分配弁64…がそれぞれ摺動自在に嵌合される。そして、第1分配弁63…の外端は、それらの第1分配弁63…を囲むポンプ側偏心輪65の内面に固着されたリング状の摺接部材67に共通に摺接され、第2分配弁64…の外端は、それらの第2分配弁64…を囲むモータ側偏心輪66の内面に固着されたリング状の摺接部材68に摺接される。
【0030】
ポンプ側偏心輪65は入力筒軸17に一体に設けられるものであり、仮想トラニオン軸線O1 に沿ってシリンダブロックBの中心から所定距離だけ偏心して配置される。またモータ側偏心輪66は、トラニオン軸線O2 に沿ってシリンダブロックBの中心から所定距離だけ偏心した位置と、その偏心量を「0」とする位置との間で揺動可能である。
【0031】
ここで第1分配弁63の作用について説明すると、入力筒軸17とポンプシリンダ24すなわちシリンダブロックBとの間に相対回転が生じると、各第1分配弁63は、ポンプ側偏心輪65のポンプシリンダ24に対する偏心量の2倍の距離をストロークとして第1弁孔61内の内方位置および外方位置間を往復動される。そして、ポンプ側偏心輪65およびポンプシリンダ24間の距離が小さい領域である吐出領域では、第1分配弁63が前記内方位置側を移動して、対応するポンプシリンダ孔25を外側油路12に連通するとともに内側油路11と不通にし、それにより吐出行程中のポンププランジャ26によりポンプシリンダ孔25から外側油路12へ作動油が圧送される。またポンプ側偏心輪65およびポンプシリンダ24間の距離が大きな領域である吸入領域では、第1分配弁63が前記外方位置側を移動して、対応するポンプシリンダ孔25を内側油路11に連通するとともに外側油路12と不通にし、それにより吸入行程中のポンププランジャ26により内側油路11からポンプシリンダ孔25に作動油が吸入される。
【0032】
また第2分配弁64の作用について説明すると、モータシリンダ31すなわちシリンダブロックBが回転すると、各第2分配弁64は、モータ側偏心輪66のモータシリンダ31に対する偏心量の2倍の距離をストロークとして第2弁孔62内の内方位置および外方位置間を往復動される。而して、モータ側偏心輪66およびモータシリンダ31間の距離が小さい領域である膨脹領域では、第2分配弁64が前記内方位置側を移動し、対応するモータシリンダ孔32を外側油路12に連通するとともに該モータシリンダ孔32および内側油路11間を不通にし、それにより外側油路12から膨脹行程中のモータプランジャ33のモータシリンダ孔32に高圧の作動油が供給される。またモータ側偏心輪66およびモータシリンダ31間の距離が大きな領域である収縮領域では、第2分配弁64は前記外方位置側を移動し、対応するモータシリンダ孔32を内側油路11に連通するとともに該モータシリンダ孔32および外側油路12間を不通にし、それにより収縮行程中のモータプランジャ33のモータシリンダ孔32から内側油路12へ作動油が排出される。
【0033】
かくして、シリンダブロックBは、ポンプシリンダ24が吐出行程のポンププランジャ26を介してポンプ斜板27から受ける反動トルクと、モータシリンダ31が膨脹行程のモータプランジャ33を介してモータ斜板34から受ける反動トルクとの和によって回転され、その回転トルクが、出力軸18から駆動軸21を介して駆動輪に伝達される。
【0034】
この場合、入力筒軸17に対する出力軸18の変速比は、{変速比=1+(油圧モータMの容量/油圧ポンプPの容量)で与えられる。したがって、油圧モータMの容量を「0」から或る値に変えれば、変速比を1から或る必要な値まで変えることができる。しかも、その油圧モータMの容量はモータプランジャ33のストロークにより決定されるので、モータ斜板34を直立位置から或る傾斜位置まで傾動させることにより変速比を1から或る値まで無段階に制御することができる。
【0035】
図3および図4を併せて参照して、モータ側偏心輪66は、シリンダブロックBの回転軸線と平行な軸線を有してシリンダホルダ41に植設された支持ピン71で揺動可能に支持されており、シリンダホルダ41と、シリンダホルダ41に複数のボルト73…で締結された支持板72との間に前記支持ピン71の軸線まわりに揺動することを可能として挟まれる。
【0036】
而してモータ側偏心輪66は、シリンダブロックBの回転中心CO から偏心量εだけ偏心した位置に摺接部材68の中心CE を配置した偏心位置と、前記回転中心CO に摺接部材68の中心CE を一致させる位置すなわち偏心量εを「0」とする位置との間で揺動可能であり、モータ側偏心輪66がその偏心量εを「0」としたときに、各第2分配弁64はその往復動を停止する。しかも第2分配弁62の往復動停止時には、モータシリンダ孔32を内側油路11および外側油路12のいずれかにわずかに連通させるように、各第2分配弁64が形成されている。
【0037】
モータ側偏心輪66の偏心位置は、傾斜角調節手段45に連動する偏心位置調節手段74により調節されるものであり、該偏心位置調節手段74は、シリンダブロックBの回転軸線まわりに回動可能なリングギヤ75と、傾斜角調節手段45におけるねじ軸46の他端に固定される連動回転部材としての小径ギヤ76と、リングギヤ75および小径ギヤ76に噛合してギヤ列78を構成するアイドルギヤ77と、リングギヤ75およびモータ側偏心輪66間に設けられるカム機構79とを備える。
【0038】
リングギヤ75は、モータ側偏心輪66およびシリンダホルダ41間に挟まれて、シリンダブロックBの回転軸線から偏心量εだけ偏心した位置を中心として回転するようにシリンダホルダ41で回転自在に支持される。またシリンダホルダ41には、シリンダブロックBの回転軸線と平行な軸線を有するカラー80が、支持板72およびカラー80を貫通してシリンダホルダ41に螺合されるボルト81により、支持板72およびシリンダホルダ41間で固定されており、アイドルギヤ77は該カラー80で回転自在に支持される。
【0039】
カム機構79は、モータ側偏心輪66に固定されるピン83と、該ピン83を嵌合せしめてリングギヤ75の側面に設けられるカム溝84とから成る。而してカム溝84は、モータ斜板34がその最大傾斜角の状態から直立位置を超えるオーバートップ位置まで回動するのに応じてモータ側偏心輪66の偏心量を「0」とする位置にピン83をガイドするように形成されている。
【0040】
しかも前記カム機構79は、モータ斜板34がその最大傾斜角の状態から直立位置を超えるオーバートップ位置まで回動するのに応じてモータ側偏心輪66の偏心量を「0」とするように構成されている。
【0041】
次にこの実施例の作用について説明すると、偏心位置調節手段74は、傾斜角調節手段45が備えるねじ軸46の回転に連動する小径ギヤ76の回転に応じて、モータ側偏心輪66を機械的に移動させてモータ側偏心輪66の偏心位置を調節するものであるため、油圧を用いてモータ側偏心輪66の偏心位置を変化させるようにした従来のもので必要であった油圧回路が不要であり、簡単な機械的構成で傾斜角調節手段45および偏心位置調節手段74を連動させることができる。しかもねじ軸46の回転位置位置で偏心位置調節手段74を作動せしめるタイミングが定まるので、所望のタイミングでモータ側偏心輪66の偏心量を確実に「0」とすることができる。
【0042】
また偏心位置調節手段74は、シリンダブロックBの回転軸線まわりに回動可能なリングギヤ75および小径ギヤ76間に設けられるギヤ列78と、リングギヤ75およびモータ側偏心輪66間に設けられるカム機構79とを備えるものであり、モータ斜板34が所定の回動位置に達するのに応じてモータ側偏心輪66を偏心量「0」の位置に移動せしめるべくカム機構79が構成されることにより、ギヤ列78におけるギヤ76,77,78の噛合タイミングを変化させることにより、モータ斜板34の傾斜角変化に伴なうモータ側偏心輪66の偏心位置制御を容易にかつ微妙に調節することができる。
【0043】
さらにカム機構79は、モータ側偏心輪66に固定されるピン83と、該ピン83を嵌合せしめてリングギヤ75の側面に設けられるカム溝84とで構成されるものであり、モータ斜板34が傾斜角を小さくする側に回動するときと、モータ斜板34が傾斜角を大きくする側に移動するときとの間で、モータ側偏心輪66の移動にヒステリシスを設定することは容易であり、したがってモータ側偏心輪66の作動にハンチングが生じることを防止することができる。
【0044】
ところで、設定ローでの変速特性ラインLL と、設定トップでの変速特性ラインLT と、設定オーバートップでの変速特性ラインLOTとを図5で示すように定めた状態で、モータ斜板34をその傾斜角をθとした最大傾斜状態から直立位置を経てマイナス側の角度αまで傾斜させるときの変速特性について説明すると、モータ斜板34の傾斜角をθとしたした最大傾斜状態では、作動油の漏れによる見かけ上のスリップがあるために、太実線で示すように設定ローでの変速特性ラインLL からずれた位置でエンジン回転数の増大に応じて車速を増大させていく。而してモータ斜板34を最大傾斜状態から傾斜角を「0」とする側に回動させていくと、エンジン回転数を一定としたままで車速が増大していくことになる。この際、モータ斜板34の傾斜角が「0」となる直前に、モータ側偏心輪66の偏心量を破線Aで示すようにεから順次減少させてモータ斜板34の傾斜角が「0」となったときに偏心量が「0」となるようにしたときには、滑りロスが殆どなくなるので、破線Bで示すように設定トップでの変速特性ラインLT に移行することになり、比較的大きな変速ショックが生じることになる。しかるに、カム機構79は、モータ斜板34がその最大傾斜角の状態から直立位置を超えるオーバートップ位置(傾斜角−αの位置)まで回動するのに応じてモータ側偏心輪66の偏心量を「0」とするものであるので、モータ斜板34が直立位置(トップ位置)から直立位置を超えるオーバートップ位置への遷移時に、ロックアップ変速開始前にオーバートップ位置にあれば出力回転数の滑り分だけ回転数が下がり、トップ位置の回転数に近いのでロックアップ直前および直後の出力回転数差が少なくなり、変速ショックを小さく抑えることができる。すなわちモータ側偏心輪66の偏心量が「0」となって滑りロスが殆どなくなったときにはオーバートップ状態となっていることにより、変速ラインが滑らかに変化することになり、変速ショックを小さく抑えることができる。
【0045】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。
【0046】
【発明の効果】
以上のように請求項1記載の発明によれば、モータ斜板の傾斜角を調節する傾斜角調節手段と、シリンダブロックに対するモータ側偏心輪の偏心位置を調節する偏心位置調節手段とが、モータ斜板をほぼ直立状態とさせたときに第2分配弁の往復動を停止させるべく連動、連結される油圧機械式無段変速機において、傾斜角調節手段は、シリンダブロックの回転軸線と平行な軸線まわりに回転可能な回転運動部材と、該回転運動部材の回転運動に応じてモータ斜板の傾斜角を変更せしめるべく前記回転軸線と平行な方向に往復動する直線運動部材とを備え、偏心位置調節手段は、前記回転運動部材に固定されて回転する連動回転部材を備えるとともに、該連動回転部材とモータ側偏心輪との相互間を、該回転運動部材がモータ斜板を最大傾斜角とした状態から所定量回転するのに伴って該モータ側偏心輪が所定の偏心位置から偏心量を「0」とする位置に移動するように、機械的に連動させており、回転動力を発揮する動力源が前記回転運動部材に連結されていて、前記回転動力を前記モータ斜板の傾斜角調節と前記モータ側偏心輪の偏心位置調節とに利用可能としたので、所望のタイミングでモータ側偏心輪の偏心量を「0」とするために従来必要であった油圧回路が不要となって、簡単な構成で傾斜角調節手段および偏心位置調節手段を相互に連動させることができ、しかも所望のタイミングでモータ側偏心輪の偏心量を確実に「0」とすることができる。
【0047】
また請求項2記載の発明によれば、モータ斜板の傾斜角変化に伴なうモータ側偏心輪の偏心位置制御を微妙に調節することができる。
【0048】
請求項3記載の発明によれば、モータ側偏心輪の移動にヒステリシスを設定することが容易として、モータ側偏心輪の作動にハンチングが生じることを防止することができる。
【0049】
さらに請求項4記載の発明によれば、モータ斜板が直立位置(トップ位置)から直立位置を超えるオーバートップ位置への遷移時に、変速ショックを小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】油圧機械式無段変速機の横断平面図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】偏心位置調節手段を図2の3−3線矢視方向から見た図である。
【図4】図3の4−4線拡大断面図である。
【図5】タイミングチャートである。
【符号の説明】
24・・・ポンプシリンダ
25・・・ポンプシリンダ孔
26・・・ポンププランジャ
27・・・ポンプ斜板
31・・・モータシリンダ
32・・・モータシリンダ孔
33・・・モータプランジャ
34・・・モータ斜板
B・・・シリンダブロック
11・・・内側油路
12・・・外側油路
63・・・第1分配弁
64・・・第2分配弁
65・・・ポンプ側偏心輪
66・・・モータ側偏心輪
45・・・傾斜角調節手段
74・・・偏心位置調節手段
46・・・回転運動部材としてのねじ軸
47・・・直線運動部材としてのナット
76・・・連動回転部材としての小径ギヤ
43・・・動力源としてのステップモータ
75・・・リングギヤ
78・・・ギヤ列
79・・・カム機構
83・・・ピン
84・・・カム溝
Claims (4)
- ポンプシリンダ(24)に設けられた複数のポンプシリンダ孔(25)にそれぞれ摺動自在に嵌合されるポンププランジャ(26)の外端がポンプ斜板(27)に係合、当接され、モータシリンダ(31)に設けられた複数のモータシリンダ孔(32)にそれぞれ摺動自在に嵌合されるモータプランジャ(33)の外端が傾斜角を調節可能なモータ斜板(34)に係合、当接され、前記ポンプシリンダ(24)およびモータシリンダ(31)を有するシリンダブロック(B)の内周側に内側油路(11)が形成されるとともに外周側に外側油路(12)が形成され、前記シリンダブロック(B)の半径方向に往復動して前記ポンプシリンダ孔(25)を内側油路(11)および外側油路(12)に交互に連通させる複数の第1分配弁(63)がポンプ側偏心輪(65)に係合され、前記シリンダブロック(B)の半径方向に往復動して前記モータシリンダ孔(32)を内側油路(11)および外側油路(12)に交互に連通させ得る複数の第2分配弁(64)がモータ側偏心輪(66)に係合され、前記モータ斜板(34)の傾斜角を調節する傾斜角調節手段(45)と、シリンダブロック(B)に対するモータ側偏心輪(66)の偏心位置を調節する偏心位置調節手段(74)とが、前記モータ斜板(34)をほぼ直立状態とさせたときに前記第2分配弁(64)の往復動を停止させるべく連動、連結される油圧機械式無段変速機において、
前記傾斜角調節手段(45)は、シリンダブロック(B)の回転軸線と平行な軸線まわりに回転可能な回転運動部材(46)と、該回転運動部材(46)の回転運動に応じて前記モータ斜板(34)の傾斜角を変更せしめるべく前記回転軸線と平行な方向に往復動する直線運動部材(47)とを備え、
前記偏心位置調節手段(74)は、前記回転運動部材(46)に固定されて回転する連動回転部材(76)を備えるとともに、該連動回転部材(76)と前記モータ側偏心輪(66)との相互間を、前記回転運動部材(46)が前記モータ斜板(34)を最大傾斜角とした状態から所定量回転するのに伴って該モータ側偏心輪(66)が所定の偏心位置から偏心量を「0」とする位置に移動するように、機械的に連動させており、
回転動力を発揮する動力源(43)が前記回転運動部材(46)に連結されていて、前記回転動力を前記モータ斜板(34)の傾斜角調節と前記モータ側偏心輪(66)の偏心位置調節の何れにも利用可能としたことを特徴とする油圧機械式無段変速機。 - 前記偏心位置調節手段(74)は、シリンダブロック(B)の回転軸線まわりに回動可能なリングギヤ(75)および前記連動回転部材(76)間に設けられるギヤ列(78)と、前記リングギヤ(75)およびモータ側偏心輪(66)間に設けられるカム機構(79)とを備え、モータ斜板(34)が所定の回動位置に達するのに応じてモータ側偏心輪(66)を偏心量「0」の位置に移動せしめるべく前記カム機構(79)が構成されることを特徴とする請求項1記載の油圧機械式無段変速機。
- 前記カム機構(79)は、モータ側偏心輪(66)に固定されるピン(83)と、該ピン(83)を嵌合せしめてリングギヤ(75)の側面に設けられるカム溝(84)とから成ることを特徴とする請求項2記載の油圧機械式無段変速機。
- 前記カム機構(79)は、モータ斜板(34)がその最大傾斜角の状態から直立位置を超えるオーバートップ位置まで回動するのに応じてモータ側偏心輪(66)の偏心量を「0」とすべく構成されることを特徴とする請求項2または3記載の油圧機械式無段変速機。
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