JP4593735B2 - 油圧モータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧モータに係り、詳しくは可変容量形油圧モータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、油圧を制御することにより軸に回転力を与える油圧モータが広く用いられている。このような、油圧モータの一例として可変容量形の斜板式油圧モータが知られている。前記斜板式油圧モータは、シリンダブロックと、同シリンダブロックに摺動自在に嵌合されたプランジャ群と、プランジャ群に当接配置された可変斜板と同期回転する出力軸を備えている。
【0003】
前記シリンダブロックのシリンダ孔群には、プランジャ群が配置され、各シリンダ孔に作動油が受入・排出されることにより、可変斜板に回転を与えるようになっている。そして、可変斜板の傾斜角度を変更するようになっている。その結果、各プランジャの斜板とのストローク速度が変化し、出力軸の回転数が変化するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のような油圧モータにおいて、モータの容量を可変にする際には、出力軸と同期回転している斜板の傾斜角を斜板自体が回転している最中に行う必要があり構成が複雑でその一方で機能信頼性に欠けるものであった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は固定容量形モータの場合と同じく、出力軸と一体回転する斜板の傾斜角は固定したままで、可変出力が可能な油圧モータを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、シリンダブロック内の複数のプランジャ孔に挿入されたプランジャ群と、前記シリンダブロックの軸線方向に対して傾斜角が固定された回転斜板面を有するとともに前記プランジャ孔に流れる作動油の流量に応じてプランジャ群にて作動されて相対回転する斜板部材と、各プランジャ孔に対する作動油の受入、排出を制御する弁群と、前記シリンダブロックと前記斜板部材との相対回転に応じて前記弁群を作動させる弁作動機構とを備えた油圧モータにおいて、前記弁は、前記シリンダブロックの軸線方向と平行に設けたスプール型の分配弁であり、前記弁作動機構は、前記斜板部材に支持されるとともに前記分配弁に当接する接当部材と、該接当部材をシリンダブロックの軸線方向において変位自在に可動させる可変機構とを備え、該可変機構が前記接当部材の位置を変位させて前記弁群の受入・排出行程を変化させることにより、前記プランジャ孔に流れる作動油の流量を変化させることを要旨とする。
【0007】
なお、本明細書では、「受入行程」とは、油圧モータが1回転あたりで油圧閉回路から作動油を吸入する区間を表し、「排出行程」とは、油圧モータが1回転あたりで油圧閉回路へ吐出する区間を表すものとする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記可変機構は、前記接当部材における前記分配弁とは逆側の端面に当接可能な当接部と、該当接部を回動させることで前記接当部材の位置を変位させる変位部とを備えることを要旨とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2において、前記接当部材を変位した位置にて保持する保持機構を備えたことを要旨とする。
【0012】
(作用)
各請求項に記載の発明によれば、可変機構が作動すると、弁はストローク量が同じままで、弁の全体のストローク位置がシフトされ、弁作動機構が弁群の受入・排出行程が変更する。この結果、プランジャ孔に対する作動油の行程容積が変更され、容量可変が行われる。
【0014】
とくに、請求項3に記載の発明によれば、分配弁との接当部材は、シリンダブロックの軸線方向に沿って変位し、かつ保持機構に当接すると位置決めされる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施の形態を図1〜図14を参照して詳細に説明する。本実施形態では、油圧モータは油圧式無段変速装置Tの一部を構成している。
【0016】
図1は油圧式無段変速装置(以下、無段変速装置という)Tの断面図であり、図4のE−E線断面図である。図2は同じく無段変速装置Tの油圧ポンプ側の要部断面図、図3は同じく無段変速装置Tの油圧モータ側の要部断面図、図4は図1のA−A線断面図、図5は図1のB−B線断面図である。
【0017】
図1に示すように無段変速装置Tは、農作業用車両のパワーユニットのケース11内に収納されている。無段変速装置Tは、油圧ポンプPと、同油圧ポンプPとの間に油圧閉回路を形成する油圧モータMとから構成されている。
【0018】
無段変速装置Tの入力軸12は図9に示すようにエンジンEGのクランク軸に連結され、出力側である後記するヨーク37に連結された出力ギヤ39は図示しない終減速装置に連結された入力ギヤ10に噛合されている。
【0019】
無段変速装置Tの入力軸12の一端は、ケース11に設けた支持板13に対して軸受部14を介して回転自在に支持され、他端はケース11側壁に対してラジアルベアリング15を介して回転自在に支持されており、PTO軸とされている。前記支持板13の内側面には、ホルダ16が一体に固定されている。前記支持板13及びホルダ16には前記入力軸12が貫通する貫通孔13a,16aが形成され、貫通孔13a,16aの相対する部位は、拡径されて、軸受収納孔18が形成されている。
【0020】
前記軸受収納孔18内において、入力軸12には円錐コロ軸受19が遊嵌されている。又、円錐コロ軸受19に隣接して、入力軸12には大径部20aと小径部20bとを備えたスリーブ20が挿通されており、前記小径部20bは円錐コロ軸受19の内輪19b内に挿入されている。そして、入力軸12に螺合したナット21を外方から内方(図1において、右側方)へ締め付けることにより、スリーブ20を介して、円錐コロ軸受19の外輪19aは、貫通孔16aの拡径した段部底面及び周面、並びに貫通孔13aの拡径部内周面に当接されている。又、スリーブ20の小径部20b端面は入力軸12の周面に係合した係止リング22に対して当接係止されている。前記貫通孔13aの小径部には、シール部材23が配置されている。前記軸受部14は、円錐コロ軸受19、スリーブ20及びナット21により構成されている。
【0021】
油圧ポンプPは、入力軸12と、同入力軸12に対して圧入嵌合により一体に連結されたシリンダブロック24、シリンダブロック24に摺動自在に配置された複数のプランジャ34、及び前記プランジャ34に対して当接する斜板面26を含むクレイドル27とを備えている。前記クレイドル27は、ホルダ16に対しその背面側にて当接支持されているとともに、前記入力軸12が貫通されている。
【0022】
図2に示すようにクレイドル27とホルダ16の当接する対向面E1,E2は、シリンダブロック24の軸線Oと直交するトラニオン軸線TR1を中心とした半円筒面を備えている。この結果、クレイドル27はトラニオン軸線TR1を中心とした傾動が可能とされている。
【0023】
ここで、斜板面26と直交するとともに、トラニオン軸線TR1を通る線α、β、γを想定し、これらの線α、β、γ(以下、単にα、β、γという)と軸線Oとがなす角をθとする。なお、βは軸線Oと一致している。
【0024】
図1及び図2においては、斜板面26はその位置に応じて、前記α、β、γを付して区別して図示している。βは斜板面26が直立位置に位置したときの位置である。又、α及びγは、斜板面26が直立位置に位置したときを基準に互いに正負(図1、図2において、時計回り方向を正とし、反時計回り方向を負とする。)の反対方向に等角度θに傾動した最大傾動角度に位置したときの位置である。
【0025】
本実施形態では、図10の出力回転数Nout =NE を境に、Nout >NE の時に、図1,2に示したように負側に傾動し、Nout <NE の時に、正側に傾動する。
【0026】
なお、図1及び図2に示された斜板面26は、α位置に位置したときの最大傾動角度で傾動した状態を示している。
以下の説明では、α、β、γ位置は、それぞれ斜板面26における負の最大傾動角度位置、直立位置及び正の最大傾動角度位置という。
【0027】
シリンダブロック24には、その回転中心の回りに複数のシリンダ孔33が環状に配列され、軸線Oと平行に延設されている。同シリンダ孔33は、前記ホルダ16側に開口が形成されている。各シリンダ孔33には、プランジャ34が摺動自在に配置されている。プランジャ34の先端には、鋼球34aが転動自在に嵌合されており、プランジャ34は鋼球34a及び鋼球34aを取着したシュー35を介して斜板面26に当接されている。傾斜状態の斜板面26はシリンダブロック24の回転に伴ってプランジャ34を往復作動させ、吸入、吐出行程の作用を付与する。
【0028】
油圧モータMは、前記シリンダブロック24に摺動自在に配置された複数のプランジャ44、及び前記プランジャ44に対して当接する回転斜板面36をもつ筒状のヨーク37とを備えている。前記入力軸12の油圧モータM側の端部には、出力ギヤ39がベアリング38を介して回転自在に支持されている。
【0029】
前記ヨーク37は出力ギヤ39のボス部に一体形成されたフランジ39aに対してボルト40により一体に連結固定されている。回転斜板面36はヨーク37により、シリンダブロック24の軸線Oと直交する仮想のトラニオン軸線TR2を中心として軸線Oに対して一定角度傾斜した状態に保持されている。
【0030】
又、前記ヨーク37の内周面の出力ギヤ39側は拡径部37aが形成されており、同拡径部37a内において、入力軸12には円錐コロ軸受29が嵌合されている。そして、入力軸12に螺合したナット31を出力ギヤ39側からシリンダブロック24側へ締め付けることにより、円錐コロ軸受29の外輪29aは、拡径部37aの段部底面に当接されている。又、円錐コロ軸受29の内輪29bは入力軸12の周溝12aに係合した係止リング32に対して当接係止されている。
【0031】
前記シリンダブロック24には、その回転中心の回りにシリンダ孔33と同数のシリンダ孔43が環状に配列され、軸線Oと平行に延設されている。同シリンダ孔43はプランジャ孔に相当する。同シリンダ孔43は前記シリンダ孔33のピッチ円と同心であり、かつ、その円径のピッチ円上に配置されている。又、各シリンダ孔43は互いに隣接するシリンダ孔33間に位置するように、シリンダブロック24の周方向において、シリンダ孔33とは互いに1/2ピッチずつずらして配置されている(図4及び図5参照)。
【0032】
なお、シリンダ孔33,43内で発生した圧力が油圧ポンプP、油圧モータMのプランジャ34,44を軸方向に押し出すと、そのときにスラスト力を斜板面26,回転斜板面36にて受けるため、同斜板面26,回転斜板面36にはスラスト方向に加え、ラジアル成分の力も働く。前記斜板面26,回転斜板面36は、ラジアル・スラスト荷重兼用軸受である同円錐コロ軸受19,29を介して入力軸12に支持されている。このため、入力軸12がスラスト荷重によって引っ張られ、ラジアル荷重によって曲げられるが、これらの荷重はプランジャ34,44を介してシリンダブロック24が受ける反力により、内部で相殺される。このため、ケース11等の外部に力が働くことはない。この結果、ケース11に振動が伝わることがなくなることにより、ケース11の表面が振動することによる騒音を低減できる。
【0033】
さらに、シリンダ孔43はシリンダ孔33とは図1に示すようにその長さ方向(シリンダブロック24の軸線O方向)において、互いにオーバラップするように配置され、前記ヨーク37側に開口が形成されている。各シリンダ孔43には、プランジャ44が摺動自在に配置され、その先端には、鋼球44aが転動自在に嵌合されている。プランジャ44は鋼球44a及び鋼球44aを取着したシュー45を介して回転斜板面36に当接されている。前記回転斜板面36はシリンダブロック24との相対回転に伴ってプランジャ44が往復作動して吸入、吐出行程を繰り返す。
【0034】
前記油圧ポンプPと油圧モータMとの間に形成されている油圧閉回路について説明する。
シリンダブロック24の軸方向両端の内周面には、ともに環状の第1内側油室51及び第2内側油室52が形成されている。又、シリンダブロック24の軸方向両端の外周側寄りにはともに環状の第1外側油室53及び第2外側油室54が形成されている。前記第1内側油室51と第1外側油室53とは放射状に延びる複数の油路55が、又、第2内側油室52と第2外側油室54とは放射状に延びる複数の油路56を介して連通されている。
【0035】
シリンダブロック24には前記第1外側油室53及び第2外側油室54を共に連通する第1弁孔57が、シリンダ孔33と同数個、シリンダブロック24の軸方向に沿って延設されている。又、シリンダブロック24には前記第1外側油室53及び第2外側油室54を共に連通する第2弁孔58が、シリンダ孔43と同数個、シリンダブロック24の軸方向に沿って延設されている。各第1弁孔57と各第2弁孔58とは、図4及び図5に示すように互い隣接するように配置されている。
【0036】
各第1弁孔57には、第1外側油室53と第2外側油室54との間において、対応するシリンダ孔33に連通する油路59のポンプポートUが形成されている。
【0037】
各第1弁孔57には、スプール型の第1切替弁60が摺動自在に配置されている。第1切替弁60の一端は、図1及び図2に示すようにその周部に巻装されたコイルスプリング63の付勢力により、ホルダ16の外周に形成されたカム61のカム面62に対して常時当接されている。
【0038】
図11には、カム61のカムプロフィールを示しており、同図に示すように前記カム61のカム面62は、第1切替弁60をポート閉鎖位置n0を中心としてポンプポートUと第1外側油室53とを連通させる第1開口位置n1と、ポンプポートUと第2外側油室54とを連通させる第2開口位置n2間を往復移動させる。カム面62において、第1切替弁60を第1開口位置n1及び第2開口位置n2に位置させるための部位はその領域においては、第1切替弁60のストローク変化がないようにシリンダブロック24の軸線Oに直交し、互いに平行な一対の仮想平面上に位置している。又、第1切替弁60が第1開口位置n1と第2開口位置n2とを移動するために、カム面62には斜面を有している。
【0039】
そして、このカム61のカム作用により、油圧ポンプPには図11に示すように領域Hと、領域Iとが付与されている。すなわち、複数個のプランジャ34のうち、何れかは、領域Hに、何れかは領域Iに位置する。
【0040】
領域Hが吸入行程として働く場合においては、シリンダブロック24の回転に伴って、第1切替弁60が第1開口位置n1に移動されて、ポンプポートUを第1外側油室53に連通させるとともに、第2外側油室54とは不通状態にする。そして、領域Hでは、吸入作動(吸入行程)を行うプランジャ34により、第1外側油室53、ポンプポートU、油路59を介してシリンダ孔33に作動油が吸入される。
【0041】
又、この時、領域Iにおいては、領域Hとは、反対に吐出行程として働きシリンダブロック24の回転に伴って、第1切替弁60が第2開口位置n2に移動されて、ポンプポートUを第2外側油室54に連通させるとともに、第1外側油室53とは不通状態にする。そして、領域Iでは、吐出作動(吐出行程)を行うプランジャ34により、シリンダ孔33から、油路59、ポンプポートUを介して第2外側油室54に作動油が吐出される。
【0042】
前記斜板面26が直立位置から負の最大傾動角度位置へと変位した場合、図10において、このときの油圧ポンプPの行程容積は、0からVPmaxとなり、それに応じて入力軸12の入力回転数がNE のとき出力回転数Nout (出力ギヤ39の回転数)はNE から2NE へと増速が得られるように本実施形態ではその油圧ポンプP側の作動油の吐出量が設定されている。
【0043】
また、本実施形態では、図1又は図2のように斜板面26が負側へ傾動した場合に、領域Hが吸入行程として、領域Iが吐出行程として機能し、斜板面26が正側へ傾動した場合に、領域Hが吐出行程として、領域Iが吸入行程として機能するように構成されている。
【0044】
各第2弁孔58には、第1外側油室53と第2外側油室54との間において、対応するシリンダ孔43に連通する油路69のモータポートWが形成されている。
【0045】
各第2弁孔58には、スプール型の第2切替弁70が前記プランジャ44に対して平行となるように摺動自在に配置されている。第2切替弁70は分配弁に相当する。第2切替弁70の一端は、図1及び図2に示すようにその周部に巻装されたコイルスプリング73の付勢力により、ヨーク37の外周に設けられた円筒状のカム71のカム面72に対して常時当接されている。前記カム71は弁作動機構及び分配弁との接当部材に相当する。
【0046】
カム71はヨーク37の外周面に対してシリンダブロック24の軸線O方向に摺動自在に嵌合されている。又、ヨーク37の互いに180度反対位置には、一対のキー74がシリンダブロック24の軸線O方向に沿うように一体に固定されている。そして、カム71はその内周面に設けた一対のガイド溝75がキー74に対してシリンダブロック24の軸線O方向に摺動自在に嵌合されるとともに、同キー74により、ヨーク37に対して周方向への回動が不能にされている。この結果、カム71は、ヨーク37とともに、軸線Oを中心として一体回動可能にされている。
【0047】
又、カム71の内径は、出力ギヤ39のフランジ39aの外径よりも小さくされ、カム71はフランジ39aに対して係止可能にされている。すなわち、カム71とフランジ39aとの係止位置がそれ以上の出力ギヤ39側への移動が不能となったカム71の第1変位位置Q1とされている。フランジ39aは保持機構に相当し、フランジ39aとヨーク37とにより支持部材が構成されている。
【0048】
図6(a)に示すように、カム71の出力ギヤ側端面には、変位付与部材76がケース11に対して回動自在に支持されている。変位付与部材76はカム71の出力ギヤ側端面に当接可能な当接部77と、同当接部77に軸を介して一体連結されたウォームギヤ78とから構成されている。当接部77は図6(b)に示すようにウォームギヤ78の軸を中央にして一対のアーム79,80からなっており、ウォームギヤ78の時計回り方向又は反時計回り方向の回転変位により、いずれか一方のアーム79,80がカム71の出力ギヤ側端面に対して当接可能とされている。
【0049】
本実施形態では、図6(b)において、時計回り方向にウォームギヤ78が回転したときに、アーム80がカム71の出力ギヤ側端面に当接して、基準位置Q0に位置するカム71を第2変位位置Q2に移動する。又、図6(b)において、基準位置Q0にカム71を位置させているアーム79が時計回り方向にウォームギヤ78が回転して、水平位置(図6(b)の実線位置)に達したときに、アーム79が基準位置Q0に位置するカム71から離間し、カム71の第1変位位置Q1への変位を許容する。すなわち、この場合には、コイルスプリング73の付勢力により、カム71は第1変位位置Q1へ移動する。この第2変位位置Q2と基準位置Q0とは、第1変位位置Q1からは、第2変位位置Q2の方が基準位置Q0よりも遠位に位置する。
【0050】
前記ウォームギヤ78には、ケース11に対して回転自在に支持されたウォーム軸81が噛合されている。同ウォーム軸81は、図示しないアクチュエータに作動連結されている。前記アクチュエータが中立位置にあって、作動されていない状態では、当接部77はカム71に当接して、カム71を基準位置Q0に位置させている。そして、前記アクチュエータの正逆回動及びその回動量により、ウォームギヤ78の回動量、ひいては、基準位置Q0と第1変位位置Q1間の移動量及び基準位置Q0と第2変位位置Q2間の移動量が決定されている。
【0051】
ウォームギヤ78とウォーム軸81とにより、保持機構が構成されている。又、前記アクチュエータ、ウォーム軸81、ウォームギヤ78、当接部77とにより、可変機構が構成されている。加えて、シリンダブロック24、プランジャ44、回転斜板面36、第2切替弁70、カム71、及び可変機構とにより油圧モータMが構成されている。
【0052】
図11には、カム71のカムプロフィールを示している。なお、図11において、カム面62とカム面72との相対位置は、カム71がヨーク37とともに回転するため変化するが、説明の便宜上、1つにまとめて図示している。
【0053】
そして、シリンダブロック24の相対回転に伴って、このカム71のカム作用により、油圧モータMには領域J、領域Kが付与されている。すなわち、複数個のプランジャ44のうち、何れかは、領域Jに、何れかは領域Kに位置する。なお、図11に示す領域J、領域Kは、カム71が基準位置Q0に位置している際の範囲を示している。
【0054】
領域Jが受入行程として働く場合は、カム面72により第2切替弁70が、モータポートWと第2外側油室54とを連通させるとともに、第1外側油室53とは不通状態にする。そして、領域Jでは、膨張作動(膨張行程)を行うプランジャ44により、第2外側油室54、モータポートW、油路69を介してシリンダ孔43に作動油が吸入される。
【0055】
又、領域Kにおいては、領域Jとは反対に排出行程として働きシリンダブロック24の相対回転に伴って、モータポートWを第1外側油室53に連通させるとともに、第2外側油室54とは不通状態にする。そして、領域Kでは、収縮作動(収縮行程)を行うプランジャ44により、シリンダ孔43から、油路69、モータポートWを介して第1外側油室53に作動油が排出(吐出)される。
【0056】
また、本実施形態では、ポンプ側と対応して、領域Hが吸入行程の領域Iが吐出行程の場合には、領域Jは受入行程、領域Kは排出行程となり、領域Hが吐出行程、領域Iが吸入行程の場合には、領域Jは排出行程、領域Kは受入行程となる。
【0057】
図12は、カム71のカム作用により、第2切替弁70が切替作動されてモータポートWが第1外側油室53及び第2外側油室54にそれぞれ連通する場合のカム71とシリンダブロック24の相対回転角度範囲を示している。又、図13はカム71とシリンダブロック24の相対回転角度と、第1外側油室53又は第2外側油室54に連通した際に第2切替弁70により開口されるモータポートWの開口面積との関係を表す本実施形態の特性図である。なお、プラス(+)側は、第1外側油室53に連通時の開口面積を示し、マイナス(−)側は第2外側油室54に連通時の開口面積を意味している。
【0058】
(基準位置Q0に位置する場合)
カム71が基準位置Q0に位置する場合、すなわち、図10において、0≦Nout ≦2NE の場合には、両図12,図13に示すようにモータポートWは0°〜180°までが第2外側油室54に連通され、180°〜360°(=0°)までは第1外側油室53に連通される。
【0059】
本実施形態では、基準位置Q0に位置する際には、モータポートWの第1外側油室53との連通時と、第2外側油室54との連通時の開口区間は互いに同じとなるようにカム面72が設定されている。
【0060】
(第1変位位置Q1〜Q0に位置する場合)
カム71が第1変位位置Q1側に位置する場合、すなわち、図10において、Nout >2NE の場合には、図12及び図13に示すようにモータポートWは、数度〜150°までが第2外側油室54に連通され、150°〜数度までは第1外側油室53に連通される。すなわち、領域Jは、基準位置Q0にカム71が位置するときよりもその領域(開口区間)が狭くなるように、逆に領域Kが広がるようにカム71のカム面72が設定されている。
【0061】
このように領域J,Kの開口区間を変化させることにより、受入行程を縮小して、ポンプ行程容積に対して相対的に油圧モータMの行程容積を小量とし、最終的にはQ1の位置でVMmaxに対して0.5VMmaxとなるように領域J,Kの配分を設定している。
【0062】
(第2変位位置Q0〜Q2に位置する場合)
カム71が第2変位位置Q2側に位置している際、いわゆる後進時、図10において、Nout <0の場合には、図12及び図13に示すようにモータポートWは、340数度〜240数度までが第2外側油室54に連通され、240数度〜340数度までは第1外側油室53に連通される。この場合、領域Jは、基準位置Q0にカム71が位置するときよりもその領域(区間)が広くなるように、領域Kが狭くなるようにカム71のカム面72が設定されている。
【0063】
そうすることで、ポンプ行程容積に対して相対的にモータ行程容積を少量とし、最終的にはQ2の位置でVMmaxに対して0.5VMmaxになるように領域J,Kの配分を設定している。
【0064】
シリンダ孔33、シリンダ孔43、第1外側油室53、第2外側油室54、第1弁孔57、第2弁孔58、油路59、油路69、ポンプポートU及びモータポートWとにより、油圧閉回路が構成されている。
【0065】
前記第1外側油室53と第2外側油室54との間には図4、図5及び図7に示すようにシリンダブロック24の軸線Oに沿うように連通路82、83が形成されている。連通路82内には、第1外側油室53側に設けた弁座84を開閉するリリーフ弁85が設けられ、連通路82内に内装したコイルスプリング86により、同弁座84を閉鎖している。そして、第1外側油室53内の作動油の油圧がコイルスプリング86のバネ圧よりも高いときに、リリーフ弁85が弁座84を開放して第1外側油室53と第2外側油室54間を連通する。
【0066】
連通路83内には、第2外側油室54に設けた弁座87を開閉するリリーフ弁88が設けられ、連通路83内に内装したコイルスプリング89により、同弁座87を閉鎖している。そして、第2外側油室54内の作動油の油圧がコイルスプリング89のバネ圧よりも高いときに、リリーフ弁88が弁座87を開放して第2外側油室54と第1外側油室53間を連通する。
【0067】
前記油圧閉回路に作動油をチャージするために、入力軸12内には軸線Oに沿って軸孔90が穿設されている。軸孔90は、スリーブ20の大径部20aにおいて、半径方向に導入油路91を有しており、同導入油路91は大径部20aに半径方向に穿設された油路92及び大径部20aの外周面に形成された周溝93に連通されている。支持板13には周溝93に連通する油路94が設けられ、油路94内には、図示しないチャージポンプから作動油が満たされている。
【0068】
入力軸12において、第1内側油室51及び第2内側油室52と相対する部分には、軸孔90に連通可能な弁座を開閉する一対のチャージ弁95(逆止弁)が配置されている。同チャージ弁95は油圧閉回路が作動油で満たされるまで開口して、軸孔90内の作動油を油圧閉回路に供給する。又、同チャージ弁95は作動油が軸孔90へ逆流するのを防止する。
【0069】
(作用)
さて、上記のように構成された油圧モータMの作用の説明を、油圧式無段変速装置Tの作用とともに説明する。
【0070】
なお、説明の便宜上、エンジンEGのクランク軸から入力軸12に付与される入力回転数NE は一定のものとして説明する。
(出力回転数Nout がNE の場合)
図8に示すシフトレバー97がF領域内の中間付近位置に操作した場合、クレイドル27を介して斜板面26を直立位置に位置させる。この状態では、カム71と当接部77のアーム79とは当接しており、このときのカム面72は図11に示す基準位置Q0に位置している。
【0071】
この状態においては、エンジンEGの駆動力により入力軸12を介してシリンダブロック24が正方向へNE で回転するが、斜板面26は入力軸12の軸線Oに対して直立位置の中立状態にある。油圧ポンプPのプランジャ34は斜板面26によっては往復動されず、従って、この状態では油圧閉回路内を作動油が循環しない。このため、油圧モータM側においては各プランジャ44の突出端がストローク運動ができない状態でシュー45を介して回転斜板面36に当接係合するため、シリンダブロック24と回転斜板面36とは直結状態となり、一体回転する。すなわち、この状態は、入力軸12と出力ギヤ39とが直結状態となる。この回転斜板面36に付与された正方向への回転は、ヨーク37、フランジ39a、出力ギヤ39、入力ギヤ10を介して終減速装置へ伝達される。
【0072】
前記斜板面26が直立位置に位置している場合には、図10に示すようにポンプ/モータ行程容積は0となり、出力回転数Nout (出力ギヤ39の回転数)は入力回転数NE となる。
【0073】
なお、本実施の形態では、この出力回転数Nout (出力ギヤ39の回転数)が入力回転数NE と同じ回転数のときを含めた、すなわち、無段変速装置Tの入力軸12と出力ギヤ39とが直結状態のときを含めた前後の範囲をこの農作業用車両の主作業走行領域に設定している。例えば、図14に示すように本実施の形態の農作業用車両が耕運機の場合、走行速度が5km/h〜8km/hを主作業域の走行速度範囲であるとしており、この走行速度範囲内において、前記直結状態となるように出力回転数Nout (出力ギヤ39の回転数)がNE となるように設定されている。
【0074】
(出力回転数Nout がNE と2NE の間の場合)
図8に示すシフトレバー97をF領域内において、前記中間位置よりもN位置を基準として遠位位置に操作した場合、クレイドル27を介して斜板面26を図1,2で示すように、負側に傾動して負の最大傾動角度位置と直立位置との間の領域に位置させる。
【0075】
この場合、エンジンEGの駆動力により入力軸12を介してシリンダブロック24がNE で回転する。すると、油圧ポンプPでは領域Iにあるプランジャ34はその吐出動作により、ポンプポートUから第2外側油室54に作動油を圧送する。
【0076】
そして、領域Hは、吸入行程として働き、プランジャ34は、この領域を通過する間に、第1外側油室53からポンプポートU、油路59を介してシリンダ孔33に作動油を吸入する。
【0077】
なお、吐出行程として働く領域Iにあるプランジャ34が第2外側油室54に作動油を吐出する量と、吸入行程として働く領域Hにあるプランジャ34が第1外側油室53からシリンダ孔33に作動油を吸入する量は斜板面26の正方向への傾動角度が大きくなるにつれ、増大する。
【0078】
第2外側油室54に圧送された高圧の作動油は、モータポートWと連通している第2弁孔58を介して受入行程として働く領域Jにあるプランジャ44のシリンダ孔43に吸入される。一方、排出行程として働く領域Kにあるプランジャ44によりそのシリンダ孔43内の作動油は、第1外側油室53へ排出(吐出)される。
【0079】
この結果、シリンダブロック24が入力軸12を介して駆動される回転数NE と、領域Jに位置するプランジャ44の回転斜板面36への突出押圧作用による正方向の回転数との和により、回転斜板面36は回転される。この回転斜板面36に付与される正方向の回転は、ヨーク37、フランジ39a、出力ギヤ39、入力ギヤ10を介して終減速装置へ正方向の回転として伝達され、増速作用を行う。
【0080】
このとき、斜板面26が直立位置から負の最大傾動角度位置へと変位すると、図10においてポンプPの行程容積は0からVP へと増加し、それに応じて出力回転数Nout はNE から2NE へと増速する。
【0081】
なお、出力回転数Nout がNE から2NE に変化するときの油圧モータのモータ行程容積はVMmaxのままである。又、本実施形態ではVPmax=VMmaxとしている。
【0082】
(出力回転数Nout が2NE を越える場合)
前進高速にしたい場合、すなわち、図8に示すシフトレバー97をF領域内において、前記遠位位置よりもさらに反N位置側へ操作した場合、クレイドル27を介して斜板面26を負の最大傾動角度位置に位置させる。このとき、油圧ポンプPの行程容積VP はVPmaxとなる。そして、図示しないアクチュエータを作動させ、基準位置Q0に位置するカム71を基準位置Q0と第1変位位置Q1との間に移動する。
【0083】
例えば、カム71が第1変位位置Q1に位置すると、図12及び図13に示すようにモータポートWは、数度〜150°までが第2外側油室54に連通され、150°〜数度までは第1外側油室53に連通される。すなわち、領域Jは、基準位置Q0にカム71が位置するときよりもその領域(区間)が狭くなる。
【0084】
この結果、油圧ポンプPの行程容積VPmaxに対して、油圧モータMの行程容積が相対的小さくなるので、油圧モータMでは、これを補うため油圧モータMのプランジャ44の往復速度が早くなる。このため、領域Jに位置するプランジャ44の回転斜板面36への突出押圧作用によって正方向の回転数が増大し、その増大した回転数と、シリンダブロック24の正方向の回転数との和により、ヨーク37、フランジ39a、出力ギヤ39が正方向へ出力回転数が2NEのときよりも増速回転される。
【0085】
又、回転斜板面36に付与された回転トルクは、ヨーク37、フランジ39a、出力ギヤ39、入力ギヤ10を介して終減速装置へ伝達される。
このとき、図10においてポンプPの行程容積は前述したように一定量のVPmaxであり、一方、油圧モータMの行程容積はVMmaxから0.5VMmaxへと変化する。その結果、VPmax=VMmaxであるため、それに応じて出力回転数Nout は2NE から3NE へと増速する。
【0086】
(出力回転数Nout が0とNE の間の場合)
図8に示すシフトレバー97をF領域内において、前記中間位置よりもN位置側に操作した場合、クレイドル27を介して斜板面26を正側に傾動して正の最大傾動角度位置と直立位置との間の領域に位置させる。
【0087】
この場合、斜板面26が正方向へ傾動するため、エンジンEGの駆動力により入力軸12を介してシリンダブロック24が回転すると、油圧ポンプPにおいて図11で領域Hは、シリンダ孔33から、油路59、ポンプポートUを介して第1外側油室53に作動油を吐出する吐出行程となる。又、領域Iは第2外側油室54から、ポンプポートU、油路59を介してシリンダ孔33に作動油が吸入される吸入行程となる。
【0088】
なお、この図11で領域Hにあるプランジャ34が第1外側油室53に作動油を吐出する量と、図11で領域Iにあるプランジャ34への第2外側油室54からの作動油の吸入量は斜板面26の正方向への傾動角度が大きくなるにつれ、増大する。
【0089】
一方、油圧モータMでは第1外側油室53側の作動油は、モータポートWと連通している第2弁孔58を介して図11で領域Kにあるプランジャ44のシリンダ孔43に受入される。又、図11で領域Jにあるプランジャ44によりそのシリンダ孔43内の作動油は、第2外側油室54へ排出される。
【0090】
この結果、油圧モータMのこの時の領域Kに位置するプランジャ44の回転斜板面36への突出押圧作用により、前記「出力回転数Nout がNE と2NE の間及び2NE を越える場合」とは逆方向の回転を与える。従って、前記逆方向の回転数と、シリンダブロック24の正方向の回転数との和により、ヨーク37、フランジ39a、出力ギヤ39が回転される。このときの回転数の和は、逆方向の回転数分減少した正方向の回転数となるため、出力回転数Nout は「出力回転数Nout がNE の場合」に比較して小さくなる。
【0091】
本実施形態では、このとき、斜板面26が直立位置から正の最大傾動角度位置側へと変位すると、図10においてポンプPの行程容積は0から−VPmax(前記「−」はポンプポートUから第1外側油室53に吐出される場合を意味している。)側へと増加し、それに応じて出力回転数Nout はNE から0へと減速する。
【0092】
なお、このときの出力回転数Nout がNE から0に変化するときの油圧モータMの1回転当たりの行程容積−VMmaxのままである。(前記「−」は、第1外側油室53からモータポートWへ吸入される場合を意味している。)
(出力回転数Nout が0の場合)
次に、シフトレバー97をN位置に操作した場合、クレイドル27を介して斜板面26を正の最大傾動角度位置に位置させる。
【0093】
この場合、本実施形態ではポンプPの行程容積は−VPmaxと固定される。
この結果、−VPmax=−VMmaxであるので前記逆方向の回転数と、シリンダブロック24が入力軸12を介して駆動される回転数NE とが釣り合い、すなわち、回転数の和は0(出力回転数Nout は0)となり、出力ギヤ39は停止する。
【0094】
(出力回転数Nout が0未満の場合)
次に、後進したい場合、すなわち、図8に示すシフトレバー97をR領域に操作した場合、クレイドル27を介して斜板面26を正の最大傾動角度位置に位置させる。このとき、ポンプPの行程容積は−VPmaxと固定される。そして、基準位置Q0に位置するカム71を基準位置Q0と第2変位位置Q2との間に移動する。
【0095】
例えば、カム71が第2変位位置Q2に位置すると、図12及び図13に示すようにモータポートWは、340数度〜240数度までが第2外側油室54に連通され、240数度〜340数度までは第1外側油室53に連通される。すなわち、2NE を越える場合と逆に領域Jは、基準位置Q0にカム71が位置するときよりもその領域(区間)が広くなるように、領域Kが狭くなる。
【0096】
この結果、ポンプ行程容積の−VPmaxに対してモータMの行程容積が相対的に小さくなるので、油圧モータMでは、これを補うため油圧モータMのプランジャ44の往復速度が早くなる。このため、領域Jに位置するプランジャ44の回転斜板面36への突出押圧作用によって逆方向の回転数が増大し、その増大した逆方向の回転数と、シリンダブロック24の正方向の回転数との和により、ヨーク37、フランジ39a、出力ギヤ39が逆方向へ回転される。
【0097】
又、増大した逆方向の回転トルクは、ヨーク37、フランジ39a、出力ギヤ39、入力ギヤ10を介して終減速装置へ伝達される。
なお、本実施形態では、このとき、図10においてポンプPの行程容積は前述したように一定量の−VPmaxであり、一方、油圧モータMの行程容積は−VMmaxから−0.5VMmaxへと変化するように設定されている。又、それに応じて出力回転数Nout は0から後進方向に増速する。
【0098】
本実施の形態の油圧モータMによれば以下のような効果を得ることができる。
(1) 本実施の形態では、油圧モータMは、シリンダブロック24内の複数のシリンダ孔43(プランジャ孔)に挿入されたプランジャ44群と、シリンダ孔43に流れる作動油の流量に応じてプランジャ44群にて作動されて相対回転する回転斜板面36と、各シリンダ孔43に対する作動油の吸入、吐出を制御する第2切替弁70(弁)群と、第2切替弁70群をシリンダブロック24の回転に応じて作動するカム71(弁作動機構)を設けた。又、カム71には、第2切替弁70群の受入・排出行程を切り替えるアクチュエータ、ウォーム軸81、ウォームギヤ78、及び当接部77(可変機構)を設け、この可変機構の作動により、プランジャ44の膨張速度を可変するようにした。
【0099】
この結果、一般のモータ構造として使用できると共に、本モータ単独で出力軸を可変とできる。
(2) 本実施の形態では、第2切替弁70を、各プランジャ44と対応して平行に設けたスプール型の分配弁とし、カム71は回転斜板面36と一体に回転するとともに、シリンダブロック24の軸線に沿って変位自在に配置した分配弁との接当部材とした。この結果、カム71は、回転斜板面36と一体に回転し、シリンダブロック24の軸線に沿って変位する。第2切替弁70は、カム71のカム作用により、変位する結果、第2切替弁70の受入・排出行程が変更できる。
【0100】
(3) 本実施の形態では、カム71は、シリンダブロック24の軸線方向において、基準位置Q0,第1変位位置Q1,第2変位位置Q2位置間を変位自在に設け、カム71を変位した位置にて保持するウォームギヤ78、及びウォーム軸81(保持機構)を設けた。
【0101】
このため、カム71は特に第1変位位置Q1,第2変位位置Q2の位置のうち、いずれかに位置すると、その位置において、保持できる。カム71の各位置において安定したカム作用を第2切替弁70に付与することができる。
【0102】
又、第1変位位置Q1では、フランジ39aが保持機構として機能し、カム71を、コイルスプリング73の付勢力によってフランジ39a側に押圧保持している。このため、第1変位位置Q1においても、安定したカム作用を第2切替弁70に付与することができる。
【0103】
(4) 本実施の形態では、カム71の内径は、出力ギヤ39のフランジ39aの外径よりも小さくし、カム71はフランジ39aに対して係止可能にしている。そして、カム71がフランジ39aに当接することにより、カム71は第1変位位置Q1に位置する。従って、位置決めのためのフランジ39aにカム71が当接することにより、カム71を第1変位位置Q1に位置させることができる。
【0104】
なお、上記各実施形態は以下のような他の実施形態に変更して具体化してもよい。
・又、油圧モータを可変とする為に、受入行程として機能する領域を狭くしたが排出行程として機能する領域を狭くすることも出来る。
【0105】
・本実施形態の油圧モータMを図15に示すような、油圧式無段変速装置に採用してもよい。即ち、この構成は、可変容量油圧ポンプP1と、油圧モータMとから構成されており、可変容量油圧ポンプP1と、油圧モータMとの間には、油圧閉回路を形成している。可変容量油圧ポンプP1から吐出された作動油は油圧モータMに送出され、油圧モータMを作動した後、油圧閉回路を介して再度、可変容量油圧ポンプP1に戻るようにしている。エンジンEGの出力軸は前記可変容量油圧ポンプP1に連結され、油圧モータMの出力軸と、図示しない終減速装置との間には、減速機構Gaが設けられている。このように構成すると、上記の油圧式無段変速装置の構造がシンプルになると共に、コンパクト化できる。
【0106】
次に、上記実施形態から把握できる請求項に記載した発明以外の技術的思想について、それらの効果と共に以下に記載する。
(イ) 前記分配弁との接当部材は、同分配弁との接当部材の側端面に当接可能な当接部を有する変位付与部材の回動量により位置決めされることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載の油圧モータ。このようにすると、変位付与部材の回動量で、分配弁との接当部材を位置決めできる。
【0107】
【発明の効果】
以上詳述したように、各請求項の発明によれば、可変機構の作動により、弁はストローク量が同じままで、弁の全体のストローク位置がシフトできるため、弁作動機構が弁群の受入・排出行程を変更できる。この結果、プランジャ孔に対する作動油の行程容積が変更され、容量可変を行うことができる。
【0110】
とくに、請求項3に記載の発明によれば、位置決めのための保持機構に接当部材が当接することにより、分配弁との接当部材の1つの基準位置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した実施の形態の無段変速装置の断面図であり、図4のE−E線断面図。
【図2】同じく無段変速装置の油圧ポンプ側の要部断面図。
【図3】同じく無段変速装置の油圧モータ側の要部断面図。
【図4】図1のA−A線断面図。
【図5】図1のB−B線断面図。
【図6】(a)は図1のC−C線断面図、(b)は当接部の作用を示す説明図。
【図7】図4のD−D線断面図。
【図8】シフターの平面図。
【図9】本実施の形態の無段変速装置の概念図。
【図10】同じくポンプ/モータ吐出量と出力回転数とを表した特性図。
【図11】カム61,71のカム作用を示す説明図。
【図12】カム作用によるモータポートが開口するタイミングを示す説明図。
【図13】カム71の回転角度に対するモータポートの開口面積の変化を示す説明図。
【図14】車速と、各種作業車両の負荷トルクとの関係を示す分布図。
【図15】他実施の形態の油圧式無段変速装置の概念図。
【符号の説明】
24…シリンダブロック、36…回転斜板面、39a…フランジ、
43…プランジャ孔としてのシリンダ孔、44…プランジャ、
70…弁及び分配弁としての第2切替弁、
71…弁作動機構及び接当部材としてのカム、M…油圧モータ。

Claims (3)

  1. シリンダブロック内の複数のプランジャ孔に挿入されたプランジャ群と、前記シリンダブロックの軸線方向に対して傾斜角が固定された回転斜板面を有するとともに前記プランジャ孔に流れる作動油の流量に応じてプランジャ群にて作動されて相対回転する斜板部材と、各プランジャ孔に対する作動油の受入、排出を制御する弁群と、前記シリンダブロックと前記斜板部材との相対回転に応じて前記弁群を作動させる弁作動機構を備えた油圧モータにおいて
    前記弁は、前記シリンダブロックの軸線方向と平行に設けたスプール型の分配弁であり、
    前記弁作動機構は、前記斜板部材に支持されるとともに前記分配弁に当接する接当部材と、該接当部材をシリンダブロックの軸線方向において変位自在に可動させる可変機構とを備え、該可変機構が前記接当部材の位置を変位させて前記弁群の受入・排出行程を変化させることにより、前記プランジャ孔に流れる作動油の流量を変化させることを特徴とする油圧モータ。
  2. 前記可変機構は、前記接当部材における前記分配弁とは逆側の端面に当接可能な当接部と、該当接部を回動させることで前記接当部材の位置を変位させる変位部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の油圧モータ。
  3. 前記接当部材を変位した位置にて保持する保持機構を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の油圧モータ。
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JP2709238B2 (ja) 油圧式無段変速機のクラッチ機構

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