JP4166944B2 - 吸入装置 - Google Patents
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Description
本発明は、薬、特に液体若しくは流動形状の粉末の薬の、測定された投与量を患者に分配する装置及び方法に関する。
【0002】
噴霧器及び吸入器が、薬をガス状にして患者に分配するために、開発されてきた。
【0003】
吸入器は、概略、2つのカテゴリに分けられる。その2つは、与圧計量投与量吸入器(pMDI)と乾燥粉末吸入器(DPI)であり、そのどちらも患者に吸入するためのマウスピースを備える。しかしながら、多数の患者、とりわけ小児科の患者に対し、吸入器を効果的に利用するのは困難である。
【0004】
従来の、即ち非呼吸作動式の、与圧計量投与量吸入器に関して言うと、吸入器の効果的な操作に際して、薬を肺奥深く引き入れるために吸入の最初に患者が吸入器を作動させる必要があるために、上記の困難は発生する。この調整を行なうのは、小児科の患者にとっては特に困難なことである。典型的には、与圧計量投与量吸入器が吸入の開始前に作動すると、薬の大部分がのどの奥を打ちつけるし、与圧計量投与量吸入器が吸入の開始後に作動すると、薬の大部分がのど即ち気管支に残る。そこに残っても効果は無い。
【0005】
呼吸作動式の与圧計量投与量吸入器及び乾燥粉末吸入器は、作動と吸入に関するそのような調整は必要ないものの、小児科の患者に対し利用することは困難である。というのは、特に乾燥粉末吸入器では30リットル/分である、所定の流量速度を実現する十分な強さで吸入することを、これらの吸入器は患者に要求するからである。呼吸作動式の与圧計量投与量吸入器でのこの十分な強さによりエアゾルキャニスタを起動するのであり、乾燥粉末吸入器でのこの十分な強さにより吸入器を介して空気を引き入れるのである。特に小児科の患者は、そのような流量速度を実現するのに必要な一回換気量を生成させることができない。小児科の患者にとっては、一回換気量は、典型的には、約3から約15リットル/分の範囲にすぎない流量速度を生じさせる10から150mlの範囲である。
【0006】
(アラディグムコーポレーションの名義である)WO−A−96/01663及び(フルーイドプロパルションテクノロジ、インクの名義である)WO−A−97/07896では、患者の吸入におけるエアゾル分配を調整するように開発された装置の例を開示する。特に、これらの装置は、所定の最小値以上の吸気流量速度を感知してエアゾルを分配するように形成されている。
【0007】
今日まで、エアゾルは、スペーサを備えた噴霧器若しくは吸入器を利用して、小児科の患者に分配されている。これらのシステムの両方とも、小児科の患者に通常数回の呼吸で吸入され得る低速度エアゾル雲を供給するものであるが、患者が得る投与量はかなり変動し得、しかも患者は正確な投与量が分配されたという徴候を有するものではない。
【0008】
この変動は、小児科の患者にはフェースマスクの利用が要求されることに、本質的に起因する。そもそも小児科の患者はマウスピースを効果的に掴むことができない。しかしながら、フェースマスクの利用は、噴霧器若しくはスペーサと、患者との間の、デッドスペースを増加させてしまう。このことは大人の患者においては通常、問題ではない。大人は、概して噴霧器若しくはスペーサの下流にあるデッドスペースよりはるかに多い一回換気量を有するからであり、ガス中の薬の濃度により増加される吸入体積と同様に、患者に受け入れられる投与量は相当程度の正確値にまで近づき得る。
【0009】
(メディックエイドその他の名義である)WO−A−96/13294は、患者に薬を分配する吸入のための装置及び方法を開示する。そこでは、薬は吸入に先立ちチャンバに導入され、患者に受け入れられる薬の全投与量は、チャンバの体積、チャンバの中に導入される薬の量、チャンバの中に薬を導入し始めたときからの時間、及びチャンバから引き出されるガスの流量速度を基にして、計算される。
【0010】
少ない一回換気量しか形成せず低い割合でしか吸入しない患者に対して、より信頼性があり正確な薬の測定投与量を分配する装置及び方法を供給することが、本発明の目的である。
【0011】
気体が吸入され得るインレットを有するフェースマスクと、
フェースマスクのインレットを介して引き入れられる気体の流量速度を測定するセンサと、
フェースマスクが患者に充分に適合するとユーザへの通知を表示するインジケータとを含み、
フェースマスクの適合が、患者の吸入の際に、フェースマスクのインレットを介して引き入れられる気体の流量速度をモニタすることにより、判断され、
実質上規則正しい吸入波形が得られればフェースマスクが患者に適合したと見做され、
吸入波形のピークの大きさが実質的に最大値レベルで維持されるときに、実質上規則正しい吸入波形が達成されることを特徴とする
フェースマスクを患者の顔面に確実に適合させる装置を、本発明は供給する。
【0012】
装置は、フェースマスクのインレットと流体伝達しうる状態にあるアウトレットを包含するチャンバを、更に含むのが、好ましい。チャンバが、気体が注入され得るインレットを含むのが、より好ましい。
【0013】
フェースマスクのインレットが、吐出を防ぐ単方向バルブを含むのが好ましい。
【0014】
フェースマスクが、気体が吐出され得るアウトレットを有するのが好ましい。フェースマスクのアウトレットが、吸入を防ぐ単方向バルブを含むのが、より好ましい。
【0015】
インジケータは、フェースマスクの患者の顔面への適合に係る情報を表示するディスプレイを包含するのが、好適である。ディスプレイが、液晶デジタルディスプレイ又は発光ダイオードディスプレイを含むのが、より好適である。
【0016】
インジケータは、フェースマスクが患者の顔面に十分に適合すると、音を生成する音生成部を更に含むのが好ましい。
【0017】
吸入の前に、一時的に薬を保持するチャンバと、
チャンバの中に薬を注入するデバイスと、
気体が吸入され得るインレットを有するフェースマスクと、
患者の顔面へのフェースマスクの適合を確実なものにし患者に受け入れられる薬の投与量を計算する適合・計算手段とを
含む、患者に薬を分配して吸入させる装置において、
上記適合・計算手段は、
チャンバから引き出される気体の流量速度を測定するセンサと、個々の吸入呼吸の間のチャンバ内の薬の濃度を決定する濃度決定手段とを備え、
その薬の濃度はチャンバの内部面上に薬が少なくとも一部分に沈下することにより時間を経るにつれ減少し、
更に、
フェースマスクの適合が、患者の吸入の際に、チャンバから引き出される気体の流量速度をモニタすることにより、判断され、ここで、実質上規則正しい吸入波形が得られればフェースマスクが患者に適合したとみなされ、吸入波形のピークの大きさが実質的に最大値レベルで維持されるときに、実質上規則正しい吸入波形が達成されるものであり、
患者に受け入れられる薬の総投与量が、個々の吸入呼吸にて受け入れられる薬の投与量を合計することで計算され、
個々の吸入呼吸にて受け入れられる薬の投与量は、チャンバの下流の装置デッドスペースの体積により補正されたその呼吸の体積の中の、チャンバから吸入される薬の総量として計算される、
患者に薬を分配して吸入させる装置もまた、本発明は供給する。
【0018】
フェースマスクのインレットが、吐出を防ぐ単方向バルブを含むのが好ましい。
【0019】
フェースマスクが、気体が吐出され得るアウトレットを包含するのが好ましい。フェースマスクのアウトレットが、吸入を防ぐ単方向バルブを含むのが、更に好ましい。
【0020】
適合・計算手段が、チャンバの中への薬の注入を検出するセンサを包含するのが好適である。
【0021】
一つの実施形態では、チャンバから引き出される気体の流量速度を測定するセンサと、チャンバの中への薬の注入を検出するセンサとが、同じセンサである。
【0022】
別の実施形態では、チャンバから引き出される気体の流量速度を測定するセンサと、チャンバの中への薬の注入を検出するセンサとが、別々のセンサである。
【0023】
チャンバから引き出される気体の流量速度を測定するセンサが、デバイスの上流に位置するのが好ましい。
【0024】
吸入波形、
吸入波形のピークの大きさ、
フェースマスクの患者の顔面への適合、
チャンバ内の薬の濃度、
チャンバ内の薬の濃度が所定の閾値を下回れば発せられる警告、及び、
患者に受け入れられる薬の投与量の
情報を表示するディスプレイを、装置が更に含むのが好ましい。ディスプレイが、液晶デジタルディスプレイ又は発光ダイオードディスプレイを含むのが、より好ましい。
【0025】
フェースマスクが患者の顔面に十分に適合し、
チャンバ内の薬の濃度が所定の閾値を下回り、及び/若しくは、
薬の所与の投与量が患者に受け入れられたら、音を生成する、
音生成部を、装置が更に含むのが好ましい。
【0026】
一つの実施形態では、デバイスが噴霧器を含む。噴霧器が、ジェット噴霧器、超音波噴霧器、若しくは圧力メッシュ噴霧器のうちの一つであるのが好ましい。
【0027】
別の実施形態では、デバイスが、薬の計量投与量を分配する与圧されたエアロゾルコンテナを含む。
【0028】
更なる実施形態では、デバイスが、乾燥粉末吸入器を含む。
【0029】
患者の顔面へフェースマスクを充分に適合することが達成されると、
適合・計算手段が、デバイスを自動的に作動するように設定されているのが好ましい。
【0030】
適合・計算手段が、
チャンバ内の薬の濃度の経時的な減少を表すデータをルックアップテーブル内に格納するメモリを、
吸入の間のチャンバ内の薬の濃度を、メモリ内に格納されるデータを基に、決定する濃度決定手段と共に、
備えるのが好ましい。
【0031】
気体が吸入によりチャンバから引き出され、希釈によりチャンバ内部の薬の濃度の減少を生じさせる際に、チャンバの中に気体を注入させるインレットを、チャンバが備えるのが、好ましい。
【0032】
濃度決定手段が、患者が先に吸入する気体の体積もまた基礎にして、チャンバ内の薬の濃度を決定するのが好ましい。
【0033】
適合・計算手段が、
先に吸入される気体の体積に対し、チャンバ内の薬の濃度が減少することを表すデータをルックアップテーブル内に格納するメモリを備えるのが、好ましい。
【0034】
チャンバが、
気体が注入される第1のインレットと、デバイスと流体伝達し得る状態にある第2のインレットとを含むのが好ましい。
【0035】
患者による吸入のために、利用時に薬を含むエアロゾルを生成する噴霧器と、
気体が吸入され得るインレットを有するフェースマスクと、
患者の顔面へのフェースマスクの適合を確実なものにし患者に受け入れられる薬の全投与量を計算する適合・計算手段とを
含む、患者に薬を分配して吸入させる装置において、
上記適合・計算手段は、
フェースマスクを介して引き出される気体の流量速度を測定するセンサを備えており、
更に、
フェースマスクの適合が、患者の吸入の際に、フェースマスクから引き出される気体の流量速度をモニタすることにより、判断され、ここで、実質上規則正しい吸入波形が得られればフェースマスクが患者に適合したとみなされ、吸入波形のピークの大きさが実質的に最大値レベルで維持されるときに、実質上規則正しい吸入波形が達成されるものであり、
患者に受け入れられる薬の総投与量が、個々の吸入呼吸にて受け入れられる薬の投与量を合計することで計算され、
個々の吸入呼吸にて受け入れられる薬の投与量は、噴霧器の下流の装置デッドスペースの体積により補正されたその呼吸の体積の中の、吸入される薬の総量として計算される、
患者に薬を分配して吸入させる装置を、本発明は更に供給する。
【0036】
フェースマスクのインレットが、吐出を防ぐ単方向バルブを含むのが好ましい。
【0037】
フェースマスクが、気体が吐出され得るアウトレットを包含するのが好ましい。フェースマスクのアウトレットが、吸入を防ぐ単方向バルブを含むのが、より好ましい。
【0038】
吸入波形、
吸入波形のピークの大きさ、
フェースマスクの患者の顔面への適合、及び、
患者に受け入れられる薬の投与量の
情報を表示する、ディスプレイを、装置が更に含むのが好ましい。ディスプレイが、液晶デジタルディスプレイ又は発光ダイオードディスプレイを含むのが、より好ましい。
【0039】
フェースマスクが患者の顔面に十分に適合し、及び/若しくは、
薬の所与の投与量が患者に受け入れられたら、音を生成する、
音生成部を、装置が更に含むのが好ましい。
【0040】
患者の顔面へフェースマスクを充分に適合することが達成されると、
適合・計算手段が、噴霧器を自動的に作動するように設定されているのが好適である。
【0041】
一つの実施形態では、噴霧器が、エアロゾルが生成される霧状化スペースを含み、
該霧状化スペースが、気体が吸入され得るインレットと、フェースマスクと接続するアウトレットとを包含する。
【0042】
センサが、噴霧器の上流に位置するのが、好適である。
【0043】
噴霧器が、ジェット噴霧器、超音波噴霧器、若しくは圧力メッシュ噴霧器のうちの一つであるのが好ましい。
【0044】
気体が吸入され得るインレットを包含するフェースマスクを患者の顔面に適合させるステップと、
患者が吸入するときに、フェースマスクのインレットを介して引き入れられる気体の流量速度を測定するステップと、
実質上規則正しい吸入波形が得られるまで、フェースマスクの位置を調整するステップと
を含む、フェースマスクを患者の顔面に確実に適合させる方法を、更に、本発明は供給する。
【0045】
一つの実施形態では、吸入波形のピークの大きさが、実質上最大値になると、実質上規則正しい吸入波形が得られる。
【0046】
吸入波形、及び吸入波形のピークの大きさの、フェースマスクの適合に係る情報を表示するステップを、上記方法が更に含むのが好ましい。
【0047】
フェースマスクが患者の顔面に充分に適合すると、ユーザへの通知を示すステップを、上記方法が更に含むのが好ましい。一つの実施形態では、ユーザへの通知が、表示される情報を含む。別の実施形態では、ユーザへの通知が、音を含む。
【0048】
吸入の前に、一時的に薬を保持するチャンバと、
チャンバの中に薬を注入するデバイスと、
気体が吸入され得るインレットを包含するフェースマスクと、
患者の顔面へのフェースマスクの適合を確実なものにし患者に受け入れられる薬の総投与量を計算する適合・計算手段とを
含み、
上記適合・計算手段は、
チャンバから引き出される気体の流量速度を測定するセンサと、吸入の間のチャンバ内の薬の濃度を決定する濃度決定手段とを包含し、
その薬の濃度はチャンバの内部面上にて薬が少なくとも一部分に沈下することにより時間を経るにつれ減少する、
装置を操作する方法であって、
デバイスとフェースマスクとの間を流体伝達しうる状態にするステップと、
フェースマスクを患者の顔面に適合させるステップと、
患者が吸入するときに、チャンバから引き出される気体の流量速度をモニタし、実質上規則正しい吸入波形が得られるまで、必要に応じてフェースマスクの位置を調整するステップと、
デバイスを作動してチャンバの中へ薬を注入するステップと、
患者に受け入れられる薬の総投与量を、個々の吸入呼吸にて受け入れられる薬の投与量を合計することで計算するステップとを含み、
その個々の吸入呼吸にて受け入れられる薬の投与量は、チャンバの下流の装置デッドスペースの体積により補正されたその呼吸の体積の中の、チャンバから吸入される薬の総量として計算される、
方法も、更に本発明は供給する。
【0049】
第1の実施形態では、デバイスとフェースマスクとの間を流体伝達しうる状態にするステップと、
フェースマスクを患者の顔面に適合させるステップと、
デバイスを作動するステップとが、
この指定された順序で構成されて、上記方法に含まれる。
【0050】
第2の実施形態では、デバイスとフェースマスクとの間を流体伝達しうる状態にするステップと、
デバイスを作動するステップと、
フェースマスクを患者の顔面に適合させるステップとが、
この指定された順序で構成されて、上記方法に含まれる。
【0051】
第3の実施形態では、フェースマスクを患者の顔面に適合させるステップと、
デバイスとフェースマスクとの間を流体伝達しうる状態にするステップと、
デバイスを作動するステップとが、
この指定された順序で構成されて、上記方法に含まれる。
【0052】
第4の実施形態では、フェースマスクを患者の顔面に適合させるステップと、
デバイスを作動するステップと、
デバイスとフェースマスクとの間を流体伝達しうる状態にするステップとが、
この指定された順序で構成されて、上記方法に含まれる。
【0053】
第5の実施形態では、デバイスを作動するステップと、
デバイスとフェースマスクとの間を流体伝達しうる状態にするステップと、
フェースマスクを患者の顔面に適合させるステップとが、
この指定された順序で構成されて、上記方法に含まれる。
【0054】
第6の実施形態では、デバイスを作動するステップと、
フェースマスクを患者の顔面に適合させるステップと、
デバイスとフェースマスクとの間を流体伝達しうる状態にするステップとが、
この指定された順序で構成されて、上記方法に含まれる。
【0055】
一つの実施形態では、吸入波形のピークの大きさが、実質上最大値になると、実質上規則正しい吸入波形が得られる。
【0056】
吸入波形、及び吸入波形のピークの大きさの、フェースマスクの適合に係る情報を表示するステップを、上記方法が更に含むのが好ましい。
【0057】
フェースマスクが患者の顔面に充分に適合すると、ユーザへの通知を示すステップを、上記方法が更に含むのが好ましい。一つの実施形態では、ユーザへの通知が、表示される情報を含む。別の実施形態では、ユーザへの通知が、音を含む。
【0058】
患者に受け入れられる薬の投与量に係る情報を表示するステップを、上記方法が更に含むのが好ましい。
【0059】
薬の所与の投与量が患者に受け入れられたら、ユーザへの通知を示すステップを、上記方法が更に含むのが好ましい。一つの実施形態では、ユーザへの通知が、表示される情報を含む。別の実施形態では、ユーザへの通知が、音を含む。
【0060】
チャンバ内の薬の濃度が所定の閾値を下回れば、ユーザへの通知を示すステップを、上記方法が更に含むのが好ましい。一つの実施形態では、ユーザへの通知が、表示される情報を含む。別の実施形態では、ユーザへの通知が、音を含む。
【0061】
患者の顔面へのフェースマスクの充分な適合が達成されると、自動的にデバイスを作動するように、適合・計算手段が設定されているのが好ましい。
【0062】
チャンバ内の薬の濃度が所定の閾値を下回れば、自動的にデバイスを作動するように、適合・計算手段が設定されているのが好ましい。
【0063】
患者による吸入のために、利用時に薬を含むエアロゾルを生成する噴霧器と、
気体が吸入され得るインレットを有するフェースマスクと、
患者の顔面へのフェースマスクの適合を確実なものにし患者に受け入れられる薬の総投与量を計算する適合・計算手段とを
含み、
上記適合・計算手段は、
フェースマスクから引き出される気体の流量速度を測定するセンサを備える、
装置を操作する方法であって、
フェースマスクと噴霧器との間を流体伝達しうる状態にするステップと、
フェースマスクを患者の顔面に適合させるステップと、
患者が吸入するときに、フェースマスクから引き出される気体の流量速度をモニタし、実質上規則正しい吸入波形が得られるまで、必要に応じてフェースマスクの位置を調整するステップと、
噴霧器を作動して薬を含むエアロゾルを生成するステップと、
患者に受け入れられる薬の総投与量を、個々の吸入呼吸にて受け入れられる薬の投与量を合計することで計算するステップとを含み、
その個々の吸入呼吸にて受け入れられる薬の投与量は、噴霧器の下流の装置デッドスペースの体積により補正されたその呼吸の体積の中の、吸入される薬の量として計算される、
方法も、更に本発明は提供する。
【0064】
第1の実施形態では、噴霧器とフェースマスクとの間を流体伝達しうる状態にするステップと、
フェースマスクを患者の顔面に適合させるステップと、
噴霧器を作動するステップとが、
この指定された順序で構成されて、上記方法に含まれる。
【0065】
第2の実施形態では、噴霧器とフェースマスクとの間を流体伝達しうる状態にするステップと、
噴霧器を作動するステップと
フェースマスクを患者の顔面に適合させるステップとが、
この指定された順序で構成されて、上記方法に含まれる。
【0066】
第3の実施形態では、フェースマスクを患者の顔面に適合させるステップと、
噴霧器とフェースマスクとの間を流体伝達しうる状態にするステップと、
噴霧器を作動するステップとが、
この指定された順序で構成されて、上記方法に含まれる。
【0067】
第4の実施形態では、フェースマスクを患者の顔面に適合させるステップと、
噴霧器を作動するステップと、
噴霧器とフェースマスクとの間を流体伝達しうる状態にするステップとが、
この指定された順序で構成されて、上記方法に含まれる。
【0068】
第5の実施形態では、噴霧器を作動するステップと、
噴霧器とフェースマスクとの間を流体伝達しうる状態にするステップと、
フェースマスクを患者の顔面に適合させるステップとが、
この指定された順序で構成されて、上記方法に含まれる。
【0069】
第6の実施形態では、噴霧器を作動するステップと、
フェースマスクを患者の顔面に適合させるステップと、
噴霧器とフェースマスクとの間を流体伝達しうる状態にするステップとが、
この指定された順序で構成されて、上記方法に含まれる。
【0070】
一つの実施形態では、吸入波形のピークの大きさが、実質上最大値になると、実質上規則正しい吸入波形が得られる。
【0071】
吸入波形、及び吸入波形のピークの大きさの、フェースマスクの適合に係る情報を表示するステップを、上記方法は更に含むのが好ましい。
【0072】
フェースマスクが患者の顔面に充分に適合すると、ユーザへの通知を示すステップを、上記方法は更に含むのが好ましい。一つの実施形態では、ユーザへの通知が、表示される情報を含む。別の実施形態では、ユーザへの通知が、音を含む。
【0073】
患者に受け入れられる薬の投与量に係る情報を表示するステップを、上記方法が更に含むのが好ましい。
【0074】
薬の所与の投与量が患者に受け入れられたら、ユーザへの通知を示すステップを、上記方法が更に含むのが好ましい。一つの実施形態では、ユーザへの通知が、表示される情報を含む。別の実施形態では、ユーザへの通知が、音を含む。
【0075】
フェースマスクの充分な適合が達成されると、自動的に噴霧器を作動するように、適合・計算手段が設定されているのが好適である。
【0076】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る装置を示す。
【0077】
装置は、薬を含むエアロゾル雲を生成する噴霧器1を含む。噴霧器1は、エアロゾル雲が生成される噴霧スペース3を備え、空気のみが大気から引き入れられ得る吸入バルブ7が接続するインレット5と、フェースマスク11が接続するアウトレット9とを有する。
【0078】
好適な実施形態では、噴霧器1は、ジェット噴霧器、超音波噴霧器若しくは圧力メッシュ噴霧器のうちの、1つを含む。ジェット噴霧器には2つの種類があり、これらは空気ジェット噴霧器と液体ジェット噴霧器である。液体を霧状にする圧縮空気源を利用する、空気ジェット噴霧器の例が、(メディックエイドリミテッドの名義である)EP−A−0627266にて開示されており、その内容が参照されて本明細書に組み込まれる。1つ又はそれ以上のノズルアウトレットを通過して液体を推し進め細かい水滴のスプレイを生成する、液体ジェット噴霧器の例が、(ベーリンガインゲルハイムインタナショナル有限会社その他の名義である)WO−A−94/07607にて開示されており、その内容が参照されて本明細書に組み込まれる。振動圧電素子により通常生成される超音波を利用して液体を霧状にする超音波噴霧器には、多くの形態がある。圧電素子と液体との間に、典型的には封入流体である増幅インタフェースが存在する、液体が圧電素子と直接接触する噴霧器や、圧電素子が、エアロゾルが生成されるメッシュを振動する噴霧器が、それらに含まれる。超音波噴霧器の例が、(マエハラその他の名義である)US−A−4533082と(ロスその他の名義である)US−A−5261601に開示されており、その内容が参照されて本明細書に組み込まれる。これらの文書にて述べられている噴霧器は、一定量の分配すべき液体を保持する貯蔵器を有するハウジングを含み、そのハウジングは貯蔵器と接続する穿孔膜と、ハウジングと接続し穿孔膜を振動させる超音波バイブレータとを備える。超音波噴霧器の別の例が、(フルーイドプロパルションテクノロジ、インクの名義である)WO−A−97/29851にて開示されており、その内容が参照されて本明細書に組み込まれる。圧電素子を含んだり含まなかったりする、圧力メッシュ噴霧器の例が、(アラディグムコーポレイションの名義である)WO−A−96/13292にて開示されており、その内容が参照されて本明細書に組み込まれる。
【0079】
フェースマスク11は、空気を吸入できるインレット11aと、空気を吐出できるアウトレット11bとを含む。インレット11aと独立してアウトレット11bを設定することは、デッドスペースをフェースマスク内部に限定するすることを確実にするものであり、更にアウトレット11bをインレット11aの地点や上流に備えるよりも好ましいものである。というのは、そのように構成してしまうと、吐出される空気がインレット11aの上流のエアロゾルレジデントを希釈してしまい反射的にデッドスペースを増量させてしまうからである。更に、フェースマスク11は、利用時に患者の顔の輪郭に適合しマスクと患者間のシールとなる、可撓性のあるフェイシャルシール13を含む。フェイシャルシール13は、空気でも液体でも満たせるクッションシールである。そのようなクッションシールを備えるフェースマスクは既に公知であり、ヘッドストラップの必要を無くし、十分なシールを確実にするためにリップマスクでは必要になり得る強力貼付力の必要も無くす。そのようなフェイシャルシールの1つが、(レスピロニクス、インクの名義である)WO−A−97/09090にて開示されており、その内容が参照されて本明細書に組み込まれる。フェースマスク11は、患者の鼻と口との間の流体の相互伝達を防ぎ、フェースマスク11内部の比較的小さなデッドスペースを確実なものにする鼻セパレータ15も含む。そのようなフェースマスクの1つが、(ハンスルドルフ、インクの名義である)US−A−5265595にて開示されており、その内容が参照されて本明細書に組み込まれる。フェースマスク11はさらに、アウトレット11bにおいて、空気が吐出され空気が吸入され得ない、吐出バルブ17を備える。
【0080】
噴霧器1とフェースマスク11の吸入及び吐出バルブ7、17は、低い流れ抵抗値設計(典型的には10リットル/分当たり2.5パスカル)を備えるのが好ましく、逆流に対して完全なシールを保証する。そのようなバルブは市場で入手可能である。そのようなバルブの1つが、(スウエーデン、アストラエービーの商標登録されている)NEBUCHAMBERスペーサに含まれるバルブである。
【0081】
装置は更に、噴霧器1の上流に位置し霧状化スペース3から引き出される空気の流量割合を測定するセンサ19、噴霧器1の操作を制御するコントローラ21、コントローラ21を操作し患者に受け入れられる薬の投与量を計算するプロセッサ23、及び、とりわけ霧状化スペース3から引き出される空気の流量割合と、吸入器波形と、患者に受け入れられる薬の投与量とを表示するディスプレイ25を含む。ディスプレイ25は、発光ダイオード若しくは液晶デジタルディスプレイであるのが好ましい。
【0082】
装置は更に、外部装置と通信する、シリアルポートのようなデータインタフェースを含む。
【0083】
好適な実施形態では、フェースマスク11の十分なフィットが得られ薬の所与の投与量が分配されたら、典型的には音の生成なのであるが、ユーザに通知する手段を、装置は備える。
【0084】
センサ19は、この実施形態では、噴霧器1のインレット5に位置する。小児科の患者が吸入する少ない体積の空気を測定するのに必要な分解能を備えていれば、どんな圧力センサでもよく、マイクロフォン、サーミスタ若しくは超音波フロー変換器でもよい。典型的には、センサ19の分解能は、10ミリ秒のインタバルで統合される+/−0.25リットル/分が要求される。好適な実施形態では、センサ19は肺呼吸センサである。肺呼吸センサは、空気フロー測定装置であり、典型的には線形の圧力対フローの関係を備えるメッシュである流れ抵抗素子と、測定される圧力がダクト内のフローに比例する、メッシュダクトを横切って接続される圧力センサとを、含む。
【0085】
噴霧器1が空気ジェット噴霧器であるならば、コントローラ21は、噴霧器1への圧縮された空気の供給を制御し、噴霧器1が超音波噴霧器であるならば、コントローラは噴霧器への電力供給を制御する。コントローラ21は、噴霧器1を操作し、呼吸サイクル全体に渡って霧状化スペース3内の所定の濃度のエアロゾル雲を維持し、分配を最適化して、有意な遅延を生ずることなしに吸入の開始にてエアロゾルが利用可能であることを確実にするように設定されているのが好ましい。実際には、断続的に若しくは連続的にしかし吸入フロー速度に従い不定の速度で、エアロゾルを分配することにより、患者の瞬間の容積量に合わせて、エアロゾル雲は生成され得る。そのような制御は、吸入の開始時のみ噴霧器1にトリガを与えるという別の制御よりも、好ましい。というのは、仮に噴霧器1が吸入の開始時のみにトリガを与えられるならば、例えば効果的な空気ジェット噴霧器を使用しても、噴霧器1にトリガを与えるときとエアロゾルの生成時との間に、例えば約50ミリ秒の遅延が発生することが予想されるのである。この遅延は効果的なエアロゾルの分配を減ずるものである。噴霧器1のアウトレット9とフェースマスク11のインレット11aとの間の容積が最小値ではなく噴霧器1と患者の間のデッドスペースに有意に影響を与えてしまう場合には、特にそうである。
【0086】
プロセッサ23は、増幅器を介してセンサ19と接続し、コントローラ21とも接続し、センサ19により測定されるフロー速度に応答する操作信号とコントロールプログラムによりセットされるパラメータとをコントローラ21に送信するように設定されている。この実施形態では、プロセッサ23は、クロックと、センサ19から受信されるアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログデジタルコンバータと、コントロールプログラムとルックアップテーブルを含む読み出し専用メモリROM(ロム)と、測定データを格納するランダムアクセスメモリRAM(ラム)とを含む。プロセッサ23は、ディスプレイ25と、外部装置との通信を行なうデータインタフェースとにも、接続されている。特に好ましい実施形態では、プロセッサ23を含む装置は、バッテリにより動力を与えられる。
【0087】
実用では、(ときには同じ一人であるのだが)ユーザまたは患者は、要求される投与量か、若しくはプレセットの投与量が入っているのなら分配される薬の何れかを、プロセッサ23の中にインプットする。それからフェースマスク11が患者に合わされ、その時点で患者はそれを介して呼吸し始める。患者は吸入の間は霧状スペース3を通して空気を引き込み、フェースマスク11の吐出バルブ17を介して空気を吐出する。患者により生成されるフロー速度は、ディスプレイ25上に、吸入波形と共に表示される。示される波形はモニタされ、フェースマスク11と患者の顔との間に効果的なシールが形成された時点を判断する。実質的に規則正しい波形が形成されたときに、十分なシールは達成される。即ち、吸入波形のピークの大きさが、図16に示される呼吸パターンの領域Aのように、実質的な最大値レベルで維持されるときである。一方で、図16に示される呼吸パターンの領域Bでは、ピークの大きさが動揺しており、フェースマスク11が患者の顔に不完全にシールしているに過ぎないことを示す。実際にも、呼吸パターンの領域Bは、患者が瞬間的に呼吸を停止した部分(C点)を含む。このことから、図16はある患者の全体の呼吸パターンを示していることがわかる。一方吸入バルブ7を含むフロー経路内に位置するセンサ19は、呼吸パターンの吸入波形のみを見ている。フェースマスク11の十分なフィットを達成するには、フェースマスクの多少の位置変えが略不可避的に要求される。フェースマスク11の効果的なシールが達成されると、噴霧器1がエアロゾル雲を霧状化スペース3にて所定の濃度で生成するように作動し、患者は吸入を続ける。好ましい実施形態では、音が生成されメッセージがディスプレイ25上に表示され、フェースマスク11が患者の顔に十分にフィットしたことをユーザに通知する。別の実施形態では、噴霧器1は、フェースマスク11の十分なフィットが達成されると自動的に動作する。患者が吸入すると、薬を含むエアロゾルが霧状化スペース3から引き出されフェースマスク11を介して患者の肺の中に入れられる。吸入の間、プロセッサ23は患者に分配される投与量を連続して計算する。この実施形態では、必要な投与量が患者に分配されると、メッセージがディスプレイ25上にこの効果のために表示され音が生成される。そしてその時点で、患者はフェースマスク11を外す。
【0088】
実際には、プロセッサ23は、吸入の間に非常に頻繁な時間間隔で、典型的には100分の1秒毎に、患者に分配される薬の量を計算する。この計算は、個々の吸入呼吸の間中、実行され、噴霧器1の下流の装置のデッドスペースを斟酌して補正される。
【0089】
個別の吸入呼吸(n=1、2、3・・・)に対し、患者に受け入れられる投与量(Dn)は以下の様に計算される。
Dn=(V1+V2+・・・+Vi)*C
上式において、
・V1は、霧状化スペース3の下流の装置のデッドスペースに対応する体積が吸入された後の、吸入呼吸nの第1のサンプル期間に吸入される体積である。
・V2は、霧状化スペース3の下流の装置のデッドスペースに対応する体積が吸入された後の、吸入呼吸nの第2のサンプル期間に吸入される体積である。
・Viは、霧状化スペース3の下流の装置のデッドスペースに対応する体積が吸入された後の、吸入呼吸nのi番目のサンプル期間に吸入される体積である。
・Cは、霧状化スペース3での薬の濃度である。
【0090】
このように、患者に分配される薬のトータル投与量は、霧状化スペース3の下流の装置のデッドスペースに対応する体積が吸入された後の各々の吸入呼吸にて分配される投与量の累積トータルである。次の式により示される。
D=D1+D2+・・・+Dn
上式において、Dnは、吸入呼吸の間に要求された投与量が達成されたならば、不充分な呼吸を示し得る。
【0091】
概略として、吸入波形が実質的に周期的な波形であるならば、患者に分配される薬のトータルの投与量は、次のように概算される。
D=(Vt−Vd)*C*f*t
上式において、
・Vtは、個々の吸入呼吸の一回換気量である。
・Vdは、霧状化スペース3の下流の装置のデッドスペースである。
・fは、吸入の周波数である。
・tは、吸入の期間である。
【0092】
図2は、本発明の第2の実施形態に係る装置である。
【0093】
この装置は、図1の装置と実質的に同じ構成である。但し、次の点が異なる。フェースマスク11は、そのインレット11aにて、吐出を防ぐために、吸入バルブ26を含む。吸入バルブ26は、吸入器1とフェースマスク11の吸入バルブ7、吐出バルブ17と同様に、低流量抵抗設計であることが好ましい。更に別の実施形態では、吸入バルブ7は略され得る。この装置の操作は図1の装置に対するものと同じである。
【0094】
図3は、本発明の第3の実施形態に係る装置である。
【0095】
この装置は、図1の装置と実質的に同じ構成である。但し、更に通常スペーサと称される散乱チャンバ27を含む。噴霧器1の霧状化スペース3とは、流体伝達しうる状態にある。チャンバ27は、吸入バルブ7及びセンサ19と流体伝達し得る状態にあるインレット29と、フェースマスク11のインレット11aと流体伝達し得る状態にあるアウトレット31とを含む。
【0096】
第1のモードでは、この装置の操作は図1の装置と同様であり、噴霧器1はチャンバ27内の薬の所与の濃度を維持するように制御される。
【0097】
第2のモードでは、この装置の操作は次のようになる。(一人の同じ人であることもあるが)ユーザ若しくは患者は、要求される投与量か、若しくはプレセットの投与量が入っているのなら分配される薬の何れかを、プロセッサ23の中にインプットする。それからフェースマスク11が患者に合わされ、その時点で患者はそれを介して吸入し始める。患者は吸入の間はチャンバ27から空気を引き込み、フェースマスク11の吐出バルブ17を介して空気を吐出する。患者により生成されるフロー速度は、ディスプレイ25上に、吸入波形と共に表示される。示される波形はモニタされ、フェースマスク11と患者の顔との間に効果的なシールが形成された時点を判断する。図1の装置の使用に関連して前に述べたように、実質的に規則正しい波形が形成されたときに、十分なシールは達成される。即ち、吸入波形のピークの大きさが、実質的な最大値レベルで維持されるときである。フェースマスク11の十分なフィットを達成するには、フェースマスクの多少の位置変えが略不可避的に要求される。フェースマスク11の十分なフィットが達成されると、噴霧器1が作動し、薬を含むエアロゾルがチャンバ27内にて供給される。好ましい実施形態では、音が生成されメッセージがディスプレイ25上に表示され、フェースマスク11が患者の顔に十分にフィットしたことをユーザに通知する。別の実施形態では、噴霧器1は、フェースマスク11の十分なフィットが達成されると自動的に動作する。患者が吸入すると、エアロゾルがアウトレット31とフェースマスク11を介してチャンバ27から引き出され患者の肺の中に入れられる。吸入の間、プロセッサ23は患者に分配される投与量を連続して計算する。この実施形態では、必要な投与量が患者に分配されると、メッセージがディスプレイ25上にこの効果のために表示され音が生成される。そしてその時点で、患者はフェースマスク11を外す。
【0098】
しかしながら、患者に分配される薬の実際の投与量は、後で説明するように、多くの係数に依存するものであり、患者に分配される投与量の計算は、これらの係数の関数として決定される。
【0099】
時が経過するにつれ、チャンバ27内の薬の濃度は減少する。このことは、重力及び静電気力によりチャンバ27の内部面に材料が沈下することの結果であり、薬を含まず、吸入体積分を置き換える患者の各々の吸入呼吸と共にチャンバ41の中に引き入れられる、大気からの空気により生じさせられる希釈効果の結果である。
【0100】
チャンバ27内の薬の濃度は、希釈しないと仮定すると、経過する時間に依存する。時間の関数としてのチャンバ27内の薬の濃度は、図4に示される。
【0101】
チャンバ27から患者により予め引き出される空気の体積の関数である希釈係数が、図5に示される。
【0102】
実際には、プロセッサ23は、吸入の間に非常に頻繁な時間間隔で、典型的には100分の1秒毎に、患者に分配される薬の量を計算する。これらのサンプルされた期間では、チャンバ27内部の薬の濃度は、時間経過に伴うチャンバ27の内部表面への薬の沈下と、チャンバ27に入り込むが薬を担持しない空気の希釈効果とを斟酌して計算される。プロセッサ23の読み出し専用メモリROM(ロム)は、薬の沈下速度を基にして、チャンバ27内に薬を注入した後のあらゆる時刻でのチャンバ27内の薬の濃度を与えるデータルックアップテーブルを含む。専用メモリROM(ロム)は、チャンバ27内に特定体積の空気を注入した後のチャンバ27内の薬の濃度を与えるデータルックアップテーブルをも含む。各々のサンプルされた期間に対するチャンバ27内の薬の濃度は、このように計算される。
【0103】
以上のように分配される薬の投与量が計算される。この計算は、個々の吸入呼吸の間中、連続して実行され、チャンバ27の下流の装置のデッドスペースを斟酌して補正される。
【0104】
個別の吸入呼吸(n=1、2、3・・・)に対し、患者に受け入れられる投与量(Dn)は以下の様に計算される。
Dn=V1C1+V2C2+・・・+ViCi
上式において、
・V1は、チャンバ27の下流の装置のデッドスペースに対応する体積が吸入された後の、吸入呼吸nの第1のサンプル期間に吸入される体積である。
・V2は、チャンバ27の下流の装置のデッドスペースに対応する体積が吸入された後の、吸入呼吸nの第2のサンプル期間に吸入される体積である。
・Viは、チャンバ27の下流の装置のデッドスペースに対応する体積が吸入された後の、吸入呼吸nのi番目のサンプル期間に吸入される体積である。
・C1は、チャンバ27の下流の装置のデッドスペースに対応する体積が吸入された後の、吸入呼吸nの第1のサンプル期間の計算された濃度である。
・C2は、チャンバ27の下流の装置のデッドスペースに対応する体積が吸入された後の、吸入呼吸nの第2のサンプル期間の計算された濃度である。
・Ciは、チャンバ27の下流の装置のデッドスペースに対応する体積が吸入された後の、吸入呼吸nのi番目のサンプル期間の計算された濃度である。
【0105】
このように、患者に分配される薬のトータル投与量は、チャンバ27の下流の装置のデッドスペースに対応する体積が吸入された後の各々の吸入呼吸にて分配される投与量の累積トータルである。次の式により示される。
D=D1+D2+・・・+Dn
上式において、Dnは、吸入呼吸の間に要求された投与量が達成されたならば、不充分な呼吸を示し得る。
【0106】
図6は、本発明の第4の実施形態に係る装置を示す。
【0107】
この装置は、通常スペーサと称される散乱チャンバ41を含み、その中へ薬を含むエアロゾル雲が分配される。チャンバ41は、分配ユニット45と接続するインレット43と、フェースマスク49と接続するアウトレット47とを有する。
【0108】
分配ユニット45は、実使用では空気が吸入されるインレット51と、チャンバ41のインレット43と流体伝達し得る状態にあるアウトレット53とを有する。分配ユニット45は、与圧されたエアロゾルコンテナ57のバルブ軸を受け止め薬を含むエアロゾル雲をチャンバ41の中に注ぐ、スプレイノズルをも有する。この実施形態では、発動するコンテナ57が、計量された薬の投与量を分配する。
【0109】
フェースマスク49は、上述の第2の実施形態で利用されたものと全く同じ種類である。特に、フェースマスク49は、インレット49a,アウトレット49b、可撓性あるフェイシャルシール59、鼻用のセパレータ61、インレット49aでの吸入バルブ63、及びアウトレット49bでの吐出バルブ65を、含む。
【0110】
装置は更に、チャンバ41から引き出される空気の流量割合を測定する第1のセンサ67と、チャンバ41の中に薬を分配する際のコンテナ57の個々の作動を検出する第2のセンサ69とを、含む。この実施形態では、第1と第2のセンサ67、69は、分配ユニット45の一部を形成する。第1のセンサ67は、スプレイノズル55の上流の、分配ユニット45のインレット51に位置し、上述の実施形態のように、小児科の患者が吸入する少ない体積の空気を測定するのに必要な分解能を備えていれば、どんな圧力センサでもよく、マイクロフォン、サーミスタ若しくは超音波フロー変換器でもよい。好適な実施形態では、第1のセンサ67は肺呼吸センサである。この実施形態では、第2のセンサ69は、コンテナ57が作動し薬の計量投与量がチャンバ41の中に分配されたらスイッチが入るように設置されたマイクロスイッチである。別の実施形態では、第2のセンサ69が省かれることができ、第1のセンサ67が、チャンバ41から引き出される空気のフロー速度測定と、コンテナ57の個々の作動の検出との両方を行なう。更に別の実施形態では、第1のセンサ67は、スプレイノズル55の下流に位置し得る。
【0111】
装置は、増幅器を介して第1のセンサ67及び第2のセンサ69と接続するプロセッサ71を更に含み、第1と第2のセンサ67、69の信号とコントロールプログラムに従って、患者の受け入れるべき薬の投与量を計算する。この実施形態では、プロセッサ71は、クロックと、第1のセンサ67から受信されるアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログデジタルコンバータと、コントロールプログラムとルックアップテーブルを含む読み出し専用メモリROM(ロム)と、測定データを格納するランダムアクセスメモリRAM(ラム)とを含む。
【0112】
装置は、とりわけチャンバ41から引き出される空気の流量割合と、吸入器波形と、患者に分配される薬の投与量とを表示する、プロセッサ71に接続するディスプレイ73をも含む。ディスプレイ73も、発光ダイオード若しくは液晶デジタルディスプレイであるのが好ましい。
【0113】
装置は更に、プロセッサ71に接続して外部装置との通信を供給する、シリアルポートのようなデータインタフェースを含む。
【0114】
上述の実施形態のように、フェースマスク49の十分なフィットが得られ薬の所与の投与量が分配されたら、典型的には音の生成なのであるが、ユーザに通知する手段を、装置は更に備えるのが好ましい。チャンバ41内の薬の濃度がコンテナ57のさらなる作動を促す所定の値を下回ると警告を与える手段も、装置は含むことが好ましい。特に好ましい実施形態では、プロセッサ71を含む装置は、バッテリにより動力を与えられる。
【0115】
実用では、(一人の同じ人であることもあるが)ユーザ若しくは患者は、要求される投与量か、若しくはプレセットの投与量が入っているのなら分配される薬の何れかを、プロセッサ71の中にインプットする。それからフェースマスク49が患者に合わされ、その時点で患者はそれを介して吸入し始める。患者は吸入の間はチャンバ41から空気を引き込み、フェースマスク49の吐出バルブ65を介して空気を吐出する。患者により生成されるフロー速度は、ディスプレイ73上に、吸入波形と共に表示される。示される波形はモニタされ、フェースマスク49と患者の顔との間に効果的なシールが形成された時点を判断する。図1の装置の使用に関連して前に述べたように、実質的に規則正しい波形が形成されたときに、十分なシールは達成される。即ち、吸入波形のピークの大きさが、実質的な最大値レベルで維持されるときである。フェースマスク49の十分なフィットを達成するには、フェースマスク49の多少の位置変えが略不可避的に要求される。好ましい実施形態では、音が生成されメッセージがディスプレイ73上に表示され、フェースマスク49が患者の顔に十分にフィットしたことをユーザに通知する。フェースマスク49の十分なフィットが達成されると、コンテナ57が少なくとも一度作動し、薬を含むエアロゾル雲がチャンバ41の中に放出される。薬を推進体内で浮遊状態にする通常の実務に合わせて、コンテナ57は一様な浮遊状態を確実に生成するように作動に先立ち振動され、作動時に薬の正確な投与量を供給する。患者が吸入すると、薬がアウトレット47とフェースマスク49を介してチャンバ41から引き出され患者の肺の中に入れられる。好適な実施形態では、チャンバ41内の薬の濃度がコンテナ57のさらなる作動を促す所定の値を下回ると、音が生成されメッセージがディスプレイ73上に表示される。吸入の間、プロセッサ71は患者に分配される投与量を連続して計算する。この実施形態では、必要な投与量が患者に分配されると、メッセージがディスプレイ73上にこの効果のために表示され音が生成される。そしてその時点で、患者はフェースマスク49を外す。
【0116】
しかしながら、患者に分配される薬の実際の投与量は、後で説明するように、多くの係数に依存するものであり、患者に分配される投与量の計算は、これらの係数の関数として決定される。
【0117】
時が経過するにつれ、チャンバ41内の薬の濃度は減少する。このことは、重力及び静電気力によりチャンバ41の内部面に材料が沈下することの結果であり、薬を含まず、吸入体積分を置き換える患者の各々の吸入呼吸と共にチャンバ41の中に引き入れられる、大気からの空気により生じさせられる希釈効果の結果である。
【0118】
チャンバ41内の薬の濃度は、希釈しないと仮定すると、経過する時間とコンテナ57の作動の数に依存する。時間とコンテナ57の作動の数との関数としてのチャンバ41内の薬の濃度は、図8に示される。
【0119】
チャンバ41から患者により予め引き出される空気の体積の関数である希釈係数が、図9に示される。
【0120】
実際には、プロセッサ71は、吸入の間に非常に頻繁な時間間隔で、典型的には100分の1秒毎に、患者に分配される薬の量を計算する。これらのサンプルされた期間では、チャンバ41内部の薬の濃度は、時間経過に伴うチャンバ41の内部表面への薬の沈下と、チャンバ41に入り込むが薬を担持しない空気の希釈効果とを斟酌して計算される。プロセッサ71の読み出し専用メモリROM(ロム)は、薬の沈下速度を基にして、チャンバ41内に薬を注入した後のあらゆる時刻でのチャンバ41内の薬の濃度を与えるデータルックアップテーブルを含む。専用メモリROM(ロム)は、チャンバ41内に特定体積の空気を注入した後のチャンバ41内の薬の濃度を与えるデータルックアップテーブルをも含む。各々のサンプルされた期間に対するチャンバ41内の薬の濃度は、このように計算される。
【0121】
以上のように分配される薬の投与量が計算される。この計算は、個々の吸入呼吸の間中、連続して実行され、チャンバ41の下流の装置のデッドスペースを斟酌して補正される。
【0122】
個別の吸入呼吸(n=1、2、3・・・)に対し、患者に受け入れられる投与量(Dn)は以下の様に計算される。
Dn=V1C1+V2C2+・・・+ViCi
上式において、
・V1は、チャンバ41の下流の装置のデッドスペースに対応する体積が吸入された後の、吸入呼吸nの第1のサンプル期間に吸入される体積である。
・V2は、チャンバ41の下流の装置のデッドスペースに対応する体積が吸入された後の、吸入呼吸nの第2のサンプル期間に吸入される体積である。
・Viは、チャンバ41の下流の装置のデッドスペースに対応する体積が吸入された後の、吸入呼吸nのi番目のサンプル期間に吸入される体積である。
・C1は、チャンバ41の下流の装置のデッドスペースに対応する体積が吸入された後の、吸入呼吸nの第1のサンプル期間の計算された濃度である。
・C2は、チャンバ41の下流の装置のデッドスペースに対応する体積が吸入された後の、吸入呼吸nの第2のサンプル期間の計算された濃度である。
・Ciは、チャンバ41の下流の装置のデッドスペースに対応する体積が吸入された後の、吸入呼吸nのi番目のサンプル期間の計算された濃度である。
【0123】
このように、患者に分配される薬のトータル投与量は、チャンバ41の下流の装置のデッドスペースに対応する体積が吸入された後の各々の吸入呼吸にて分配される投与量の累積トータルである。次の式により示される。
D=D1+D2+・・・+Dn
上式において、Dnは、吸入呼吸の間に要求された投与量が達成されたならば、不充分な呼吸を示し得る。
【0124】
図10及び図11は、本発明の第5の実施形態に係る装置を示す。この装置は、乾燥粉末吸入器と共に利用することが意図されている。
【0125】
この装置は、通常スペーサと称される散乱チャンバ81を含み、その中へ薬を含む乾燥粉末が散乱される。チャンバ81は、実用ではチャンバ81の中に薬を含む乾燥粉末の雲を分配する乾燥粉末吸入器85のアウトレットと接続するインレット83と、フェースマスク89と接続するアウトレット87と、孔91とを有する。チャンバ81は様々な体積となり、可動ピストン92により部分的に画定される。この実施形態では、乾燥粉末吸入器85は、(スエーデン、アストラエービーの商標として登録される)TURBUHALER乾燥粉末吸入器である。
【0126】
フェースマスク89は、上述の実施形態で利用されたものと全く同じ種類である。即ち、フェースマスク89は、インレット89a,アウトレット89b、可撓性あるフェイシャルシール93、鼻用のセパレータ94、インレット89aでの吸入バルブ95、及びアウトレット89bでの吐出バルブ97を、含む。
【0127】
装置は更に、吸入器85のインレットの上流に位置して、チャンバ81から引き出される空気の流量割合を測定し、チャンバ81の中に薬を分配する際の吸入器85の作動を検出するセンサ99と、増幅器を介してセンサ99と接続して、センサ99から受信される信号とコントロールプログラムに従って患者の受け入れるべき薬の投与量を計算するプロセッサ101と、とりわけチャンバ81から引き出される空気の流量割合、吸入器波形、及び患者に分配される薬の投与量を表示するディスプレイ103とを、含む。ディスプレイ103も、発光ダイオード若しくは液晶デジタルディスプレイであるのが好ましい。
【0128】
該装置もまた、プロセッサ101に接続して外部装置との通信を供給する、シリアルポートのようなデータインタフェースを含む。
【0129】
センサ99は、上述の実施形態と同様に、小児科の患者が吸入する少ない体積の空気を測定するのに必要な分解能を備えていれば、どんな圧力センサでもよく、マイクロフォン、サーミスタ若しくは超音波フロー変換器でもよい。好適な実施形態では、センサ99は肺呼吸センサである。別の実施形態では、センサ99は吸入器85の下流に位置してもよい。
【0130】
この実施形態では、プロセッサ101は、クロックと、センサ99から受信されるアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログデジタルコンバータと、コントロールプログラムとルックアップテーブルを含む読み出し専用メモリROM(ロム)と、測定データを格納するランダムアクセスメモリRAM(ラム)とを含む。
【0131】
好適な実施形態では、上述の実施形態のように、フェースマスク89の十分なフィットが得られ薬の所与の投与量が分配されたら、典型的には音の生成なのであるが、ユーザに通知する手段を、装置は更に備える。チャンバ81内の薬の濃度が吸入器85のさらなる作動を促す所定の値を下回ると警告を与える手段も、装置は含むことが好ましい。特に好ましい実施形態では、プロセッサ101を含む装置は、バッテリにより動力を与えられる。
【0132】
実用では、(一人の同じ人であることもあるが)ユーザ若しくは患者は、要求される投与量か、若しくはプレセットの投与量が入っているのなら分配される薬の何れかを、プロセッサ101の中にインプットする。それからフェースマスク89が患者に合わされ、その時点で患者はそれを介して呼吸し始める。患者は吸入の間は吸入器85を介してチャンバ81から空気を引き込み、フェースマスク89の吐出バルブ97を介して空気を吐出する。患者により生成されるフロー速度は、ディスプレイ103上に、吸入波形と共に表示される。示される波形はモニタされ、フェースマスク89と患者の顔との間に効果的なシールが形成された時点を判断する。図1の装置の使用に関連して前に述べたように、実質的に規則正しい波形が形成されたときに、十分なシールは達成される。即ち、吸入波形のピークの大きさが、実質的な最大値レベルで維持されるときである。フェースマスク89の十分なフィットを達成するには、フェースマスク89の多少の位置変えが略不可避的に要求される。好ましい実施形態では、音が生成されメッセージがディスプレイ103上に表示され、フェースマスク89が患者の顔に十分にフィットしたことをユーザに通知する。フェースマスク89の十分なフィットが達成されると、吸入器85が満たされ作動する。吸入器85は、ピストン92を図10に示される位置まで動かしそして解放することにより、作動する。この実施形態では、ピストン92にはバネが装着されており、解放時にはピストン92は図10の下方に駆動され図11の位置にまで到り、吸入器85のアウトレットでの所与のフロープロファイルを生成しチャンバ81内の粉末の最適な散乱を確実なものにする。患者が吸入すると、薬を含む粉末がアウトレット87とフェースマスク89を介してチャンバ81から引き出され患者の肺の中に入れられる。好適な実施形態では、チャンバ81内の薬の濃度が吸入器85のさらなる作動を促す所定の値を下回ると、音が生成されメッセージがディスプレイ103上に表示される。吸入の間、プロセッサ101は患者に分配される投与量を連続して計算する。この実施形態では、必要な投与量が患者に分配されると、メッセージがディスプレイ103上にこの効果のために表示され音が生成される。そしてその時点で、患者はフェースマスク89を外す。
【0133】
しかしながら、患者に分配される薬の実際の投与量は、ここでも、多くの係数に依存するものであり、患者に分配される投与量の計算は、これらの係数の関数として決定される。
【0134】
時が経過するにつれ、チャンバ81内の薬の濃度は減少する。このことは、重力及び静電気力によりチャンバ81の内部面に材料が沈下することの結果であり、薬を含まず、吸入体積分を置き換える患者の各々の吸入呼吸と共にチャンバ81の中に引き入れられる、大気からの空気により生じさせられる希釈効果の結果である。
【0135】
チャンバ81内の薬の濃度は、希釈しないと仮定すると、経過する時間に依存する。時間の関数としてのチャンバ81内の薬の濃度は、図12に示される。
【0136】
チャンバ81から患者により引き出される空気の体積の関数である希釈係数が、図13に示される。
【0137】
実際には、プロセッサ101は、吸入の間に非常に頻繁な時間間隔で、典型的には100分の1秒毎に、患者に分配される薬の量を計算する。これらのサンプルされた期間では、チャンバ81内部の薬の濃度は、時間経過に伴うチャンバ81の内部表面への薬の沈下と、チャンバ81に入り込むが薬を担持しない空気の希釈効果とを斟酌して計算される。プロセッサ101の読み出し専用メモリROM(ロム)は、薬の沈下速度を基にして、チャンバ81内に薬を注入した後のあらゆる時刻でのチャンバ81内の薬の濃度を与えるデータルックアップテーブルを含む。専用メモリROM(ロム)は、チャンバ81内に特定体積の空気を注入した後のチャンバ81内の薬の濃度を与えるデータルックアップテーブルをも含む。各々のサンプルされた期間に対するチャンバ81内の薬の濃度は、このように計算され、そこから、患者に分配される薬の投与量が計算される。この計算は、個々の吸入呼吸の間中、連続して実行され、チャンバ81の下流の装置のデッドスペースを斟酌して補正される。
【0138】
個別の吸入呼吸(n=1、2、3・・・)に対し、患者に受け入れられる投与量(Dn)は以下の様に計算される。
Dn=V1C1+V2C2+・・・+ViCi
上式において、
・V1は、チャンバ81の下流の装置のデッドスペースに対応する体積が吸入された後の、吸入呼吸nの第1のサンプル期間に吸入される体積である。
・V2は、チャンバ81の下流の装置のデッドスペースに対応する体積が吸入された後の、吸入呼吸nの第2のサンプル期間に吸入される体積である。
・Viは、チャンバ81の下流の装置のデッドスペースに対応する体積が吸入された後の、吸入呼吸nのi番目のサンプル期間に吸入される体積である。
・C1は、チャンバ81の下流の装置のデッドスペースに対応する体積が吸入された後の、吸入呼吸nの第1のサンプル期間の計算された濃度である。
・C2は、チャンバ81の下流の装置のデッドスペースに対応する体積が吸入された後の、吸入呼吸nの第2のサンプル期間の計算された濃度である。
・Ciは、チャンバ81の下流の装置のデッドスペースに対応する体積が吸入された後の、吸入呼吸nのi番目のサンプル期間の計算された濃度である。
【0139】
このように、患者に分配される薬のトータル投与量は、チャンバ81の下流の装置のデッドスペースに対応する体積が吸入された後の各々の吸入呼吸にて分配される投与量の累積トータルである。次の式により示される。
D=D1+D2+・・・+Dn
上式において、Dnは、吸入呼吸の間に要求された投与量が達成されたならば、不充分な呼吸を示し得る。
【0140】
図14及び図15は、本発明の第6の実施形態に係る装置を示す。
【0141】
この装置は、図10及び図11の装置と実質的には同一の構成であるが、センサ99がチャンバ81への更なるインレット105内に備わるという点で本質的に異なる。装置はその更なるインレット105にてバルブ107も備えており、そのバルブ107は、吸入器85が作動する瞬間以外は吸入を行なうように開いているのが通常である。更に装置は、インレット83にて吸入器85へのバルブ109を備え、そのバルブ109は、吸入器85が作動する瞬間以外は閉じているのが通常であるが、吸入器85を介して空気を引き入れ吸入器85内部から薬を含む乾燥粉末を飛沫同伴するときには、開けられる。この実施形態では、バルブ107、109は、吸入器85の作動に応じて、電気的に操作される。この装置の操作は、図10及び図11の装置に対するものと同じである。
【0142】
最後に、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、添付の請求項の範囲から乖離することなく種々異なるように改良されることが可能であることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係る装置を示す。
【図2】 本発明の第2の実施形態に係る装置を示す。
【図3】 本発明の第3の実施形態に係る装置を示す。
【図4】 図3の装置の散乱チャンバ内の薬の濃度における、時間軸に対する変動をグラフで示す。
【図5】 吸入に対する、図3の装置の散乱チャンバ内の薬の希釈をグラフで示す。
【図6】 本発明の第4の実施形態に係る装置を示す。
【図7】 図6の装置の分配ユニットの部分断面図を示す。
【図8】 図6の装置の散乱チャンバ内の薬の濃度における、時間軸に対する変動をグラフで示す。
【図9】 吸入に対する、図6の装置の散乱チャンバ内の薬の希釈をグラフで示す。
【図10】 乾燥粉末吸入器の作動前の、本発明の第4の実施形態に係る装置を示す。
【図11】 乾燥粉末吸入器の作動の後の、図10の装置を示す。
【図12】 図10の装置の散乱チャンバ内の薬の濃度における、時間軸に対する変動をグラフで示す。
【図13】 吸入に対する、図10の装置の散乱チャンバ内の薬の希釈をグラフで示す。
【図14】 乾燥粉末吸入器の作動前の、本発明の第6の実施形態に係る装置を示す。
【図15】 乾燥粉末吸入器の作動の後の、図14の装置を示す。
【図16】 ある患者の呼吸パターンを示す。
Claims (45)
- 気体が吸入され得るインレット(11a;49a;89a)を有するフェースマスク(11;49;89)と、
フェースマスク(11;49;89)のインレット(11a;49a;89a)を介して引き入れられる気体の流量速度を測定するセンサ(19;67;99)と、
フェースマスク(11;49;89)が患者に充分に適合するとユーザへの通知を表示するインジケータとを含み、
フェースマスク(11;49;89)の適合が、患者の吸入の際に、フェースマスク(11;49;89)のインレット(11a;49a;89a)を介して引き入れられる気体の流量速度をモニタすることにより、判断され、
実質上規則正しい吸入波形が得られればフェースマスク(11;49;89)が患者に適合したと見做され、
吸入波形のピークの大きさが実質的に最大値レベルで維持されるときに、実質上規則正しい吸入波形が達成されることを特徴とする
フェースマスクを患者の顔面に確実に適合させる装置。 - フェースマスク(11;49;89)のインレット(11a;49a;89a)と流体伝達しうる状態にあるアウトレット(31;47;87)を包含するチャンバ(27;41;81)を、更に含む、請求項1に記載の装置。
- チャンバ(27;41;81)が、気体が注入され得るインレット(29;43;83)を含む、請求項2に記載の装置。
- フェースマスク(11;49;89)のインレット(11a;49a;89a)が、吐出を防ぐ単方向バルブ(26;63;95)を含む、請求項1乃至請求項3のうちのいずれか一つに記載の装置。
- フェースマスク(11;49;89)が、気体が吐出され得るアウトレット(11b;49b;89b)を有する、請求項1乃至請求項4のうちのいずれか一つに記載の装置。
- フェースマスク(11;49;89)のアウトレット(11b;49b;89b)が、吸入を防ぐ単方向バルブ(17;65;97)を含む、請求項5に記載の装置。
- インジケータが、フェースマスク(11;49;89)の患者の顔面への適合に係る情報を表示するディスプレイ(25;73;103)を含む、請求項1乃至請求項6のうちのいずれか一つに記載の装置。
- ディスプレイ(25;73;103)が、液晶デジタルディスプレイ又は発光ダイオードディスプレイを含む、請求項7に記載の装置。
- インジケータが、フェースマスク(11;49;89)が患者の顔面に充分に適合すると、音を生成する音生成部を含む、請求項1乃至請求項8のうちのいずれか一つに記載の装置。
- 吸入の前に、一時的に薬を保持するチャンバ(27;41;81)と、
チャンバ(27;41;81)の中に薬を注入するデバイス(1;57;85)と、
気体が吸入され得るインレット(11a;49a;89a)を有するフェースマスク(11;49;89)と、
患者の顔面へのフェースマスク(11;49;89)の適合を確実なものにし患者に受け入れられる薬の投与量を計算する適合・計算手段とを
含む、患者に薬を分配して吸入させる装置において、
上記適合・計算手段は、
チャンバ(27;41;81)から引き出される気体の流量速度を測定するセンサ(19;67;99)と、個々の吸入呼吸の間のチャンバ(27;41;81)内の薬の濃度を決定する濃度決定手段とを備え、
その薬の濃度はチャンバ(27;41;81)の内部面上に薬が少なくとも一部分に沈下することにより時間を経るにつれ減少し、
更に、
フェースマスク(11;49;89)の適合が、患者の吸入の際に、チャンバ(27;41;81)から引き出される気体の流量速度をモニタすることにより、判断され、ここで、実質上規則正しい吸入波形が得られればフェースマスク(11;49;89)が患者に適合したとみなされ、吸入波形のピークの大きさが実質的に最大値レベルで維持されるときに、実質上規則正しい吸入波形が達成されるものであり、
患者に受け入れられる薬の総投与量が、個々の吸入呼吸にて受け入れられる薬の投与量を合計することで計算され、
個々の吸入呼吸にて受け入れられる薬の投与量は、チャンバ(27;41;81)の下流の装置デッドスペースの体積により補正されたその呼吸の体積の中の、チャンバ(27;41;81)から吸入される薬の総量として計算される、
患者に薬を分配して吸入させる装置。 - フェースマスク(11;49;89)のインレット(11a;49a;89a)が、吐出を防ぐ単方向バルブ(26;63;95)を含む、請求項10に記載の装置。
- フェースマスク(11;49;89)が、気体が吐出され得るアウトレット(11b;49b;89b)を包含する、請求項10又は請求項11のうちのいずれか一つに記載の装置。
- フェースマスク(11;49;89)のアウトレット(11b;49b;89b)が、吸入を防ぐ単方向バルブ(17;65;97)を含む、請求項12に記載の装置。
- 適合・計算手段が、チャンバ(41;81)の中への薬の注入を検出するセンサ(67;69;99)を包含する、請求項10乃至請求項13のうちのいずれか一つに記載の装置。
- チャンバ(41;81)から引き出される気体の流量速度を測定するセンサ(67;99)と、チャンバ(41;81)の中への薬の注入を検出するセンサ(67;99)とが、同じセンサである、請求項14に記載の装置。
- チャンバ(41)から引き出される気体の流量速度を測定するセンサ(67)と、チャンバ(41)の中への薬の注入を検出するセンサ(69)とが、別々のセンサである、請求項14に記載の装置。
- チャンバ(27;41;81)から引き出される気体の流量速度を測定するセンサ(19;67;99)が、デバイス(1;57;85)の上流に位置する、請求項10乃至請求項16のうちのいずれか一つに記載の装置。
- 吸入波形、
吸入波形のピークの大きさ、
フェースマスク(11;49;89)の患者の顔面への適合、
チャンバ(27;41;81)内の薬の濃度、
チャンバ(27;41;81)内の薬の濃度が所定の閾値を下回れば発せられる警告、及び、
患者に受け入れられる薬の投与量の
情報を表示する、ディスプレイ(25;73;103)を更に含む、請求項10乃至請求項17のうちのいずれか一つに記載の装置。 - ディスプレイ(25;73;103)が、液晶デジタルディスプレイ又は発光ダイオードディスプレイを含む、請求項18に記載の装置。
- フェースマスク(11;49;89)が患者の顔面に十分に適合し、
チャンバ(27;41;81)内の薬の濃度が所定の閾値を下回り、及び/若しくは、
薬の所与の投与量が患者に受け入れられたら、音を生成する、
音生成部を更に含む、請求項10乃至請求項19のうちのいずれか一つに記載の装置。 - デバイス(1)が噴霧器を含む、請求項10乃至請求項20のうちのいずれか一つに記載の装置。
- 噴霧器が、ジェット噴霧器である、請求項21に記載の装置。
- 噴霧器が、超音波噴霧器である、請求項21に記載の装置。
- 噴霧器が、圧力メッシュ噴霧器である、請求項21に記載の装置。
- デバイス(57)が、薬の計量投与量を分配する与圧されたエアロゾルコンテナを含む、請求項10乃至請求項20のうちのいずれか一つに記載の装置。
- デバイス(85)が、乾燥粉末吸入器を含む、請求項10乃至請求項20のうちのいずれか一つに記載の装置。
- 患者の顔面へフェースマスク(11;49;89)を充分に適合することが達成されると、
適合・計算手段が、デバイス(1;57;85)を自動的に作動するように設定されている、請求項10乃至請求項26のうちのいずれか一つに記載の装置。 - 適合・計算手段が、
チャンバ(27;41;81)内の薬の濃度の経時的な減少を表すデータをルックアップテーブル内に格納するメモリを、
吸入の間のチャンバ(27;41;81)内の薬の濃度を、メモリ内に格納されるデータを基に、決定する濃度決定手段と共に、
備える、請求項10乃至請求項27のうちのいずれか一つに記載の装置。 - 気体が吸入によりチャンバ(27;41;81)から引き出され、希釈によりチャンバ(27;41;81)内部の薬の濃度の減少を生じさせる際に、チャンバ(27;41;81)の中に気体を注入させるインレット(29;43;83)を、チャンバ(27;41;81)が備える、請求項10乃至請求項28のうちのいずれか一つに記載の装置。
- 濃度決定手段が、患者が先に吸入する気体の体積もまた基礎にして、チャンバ(27;41;81)内の薬の濃度を決定する、請求項29に記載の装置。
- 適合・計算手段が、
吸入される気体の体積に対し、チャンバ(27;41;81)内の薬の濃度が減少することを表すデータをルックアップテーブル内に格納するメモリを備える、請求項30に記載の装置。 - チャンバ(27;41;81)が、
気体が注入される第1のインレット(29;105)と、デバイス(1;85)と流体伝達し得る状態にある第2のインレット(83)とを含む、
請求項29乃至請求項31のうちのいずれか一つに記載の装置。 - 患者による吸入のために、利用時に薬を含むエアロゾルを生成する噴霧器(1)と、
気体が吸入され得るインレット(11a)を有するフェースマスク(11)と、
患者の顔面へのフェースマスク(11)の適合を確実なものにし患者に受け入れられる薬の量を計算する適合・計算手段とを
含む、患者に薬を分配して吸入させる装置において、
上記適合・計算手段は、
フェースマスク(11)から引き出される気体の流量速度を測定するセンサ(19)を備えており、
更に、
フェースマスク(11)の適合が、患者の吸入の際に、フェースマスク(11)から引き出される気体の流量速度をモニタすることにより、判断され、ここで、実質上規則正しい吸入波形が得られればフェースマスク(11)が患者に適合したとみなされ、吸入波形のピークの大きさが実質的に最大値レベルで維持されるときに、実質上規則正しい吸入波形が達成されるものであり、
患者に受け入れられる薬の総投与量が、個々の吸入呼吸にて受け入れられる薬の投与量を合計することで計算され、
個々の吸入呼吸にて受け入れられる薬の投与量は、噴霧器(1)の下流の装置デッドスペースの体積により補正されたその呼吸の体積の中の、吸入される薬の総量として計算される、
患者に薬を分配して吸入させる装置。 - フェースマスク(11)のインレット(11a)が、吐出を防ぐ単方向バルブ(26)を含む、請求項33に記載の装置。
- フェースマスク(11)が、気体が吐出され得るアウトレット(11b)を包含する、請求項33又は請求項34のうちのいずれか一つに記載の装置。
- フェースマスク(11)のアウトレット(11b)が、吸入を防ぐ単方向バルブ(17)を含む、請求項35に記載の装置。
- 吸入波形、
吸入波形のピークの大きさ、
フェースマスク(11)の患者の顔面への適合、及び、
患者に受け入れられる薬の投与量の
情報を表示する、ディスプレイ(25)を更に含む、請求項33乃至請求項36のうちのいずれか一つに記載の装置。 - ディスプレイ(25)が、液晶デジタルディスプレイ又は発光ダイオードディスプレイを含む、請求項37に記載の装置。
- フェースマスク(11)が患者の顔面に十分に適合し、及び/若しくは、
薬の所与の投与量が患者に受け入れられたら、音を生成する、
音生成部を更に含む、請求項33乃至請求項38のうちのいずれか一つに記載の装置。 - 患者の顔面へフェースマスク(11)を充分に適合することが達成されると、
適合・計算手段が、噴霧器(1)を自動的に作動するように設定されている、請求項33乃至請求項39のうちのいずれか一つに記載の装置。 - 噴霧器(1)が、エアロゾルが生成される霧状化スペース(3)を含み、
該霧状化スペース(3)が、気体が吸入され得るインレット(5)と、フェースマスク(11)と接続するアウトレット(9)とを包含する、
請求項33乃至請求項40のうちのいずれか一つに記載の装置。 - センサ(19)が、噴霧器(1)の上流に位置する、
請求項33乃至請求項41のうちのいずれか一つに記載の装置。 - 噴霧器(1)が、ジェット噴霧器である、請求項33乃至請求項42のうちのいずれか一つに記載の装置。
- 噴霧器(1)が、超音波噴霧器である、請求項33乃至請求項42のうちのいずれか一つに記載の装置。
- 噴霧器(1)が、圧力メッシュ噴霧器である、請求項33乃至請求項42のうちのいずれか一つに記載の装置。
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