JP4166500B2 - 手動式アウトリガ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両搭載型クレーンに使用される手動式アウトリガ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
作業の際にクレーンの荷重を支持し転倒を防止するためのアウトリガ装置には、油圧作動式のものや手動式のものがある。油圧作動式のものは装置が大型化し高価であるため、小型の車両搭載型クレーンには手動式アウトリガ装置が用いられている。
【0003】
従来の手動式アウトリガ装置には、図8に示すように、ベース81内に出入自在に嵌装された横リガ82の先端部にハンドル83を備えた連結部材84をピン85で回動自在に枢支し、この連結部材84に縦リガ86をピン87で回動自在に枢支し、連結部材84と縦リガ86とに連結固定孔90、91を設けて、作業位置に設置した状態で連結部材84と縦リガ86とを固定ピンで相互に固定するように構成したものがある(実用新案登録第2553284号参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この手動式アウトリガ装置は、設置時にハンドル83を手で押し下げて車両をジャッキアップしなければならないので、大きな力を必要とし、設置作業が大変である。
また、連結部材84が横リガ82の先端部にピン85を支点として回動自在に枢支されているので、連結部材84のハンドル83を押し下げて設置するとき、接地板88の位置が適切でないと、図9(a)、図9(b)に示すように斜めに設置されてしまうことがある。なお、正しく設置されても、縦リガ86の下部を足払いするような外力が働くとはずれてしまうおそれもある。
【0005】
さらに、車両搭載型クレーンで車両の荷台に積載されていた積荷を下ろす作業を行う場合、手動式アウトリガ装置を設置するときには、車両は積荷の荷重で沈んでいる(ベース81の位置が低い)が、積荷を下ろすと車両が浮き上がる(ベース81の位置が高くなる)ので、作業の途中で接地板88が地面から離れ、縦リガ86がピン85を支点として揺動するようになるおそれもある。
【0006】
本発明は、手動式アウトリガ装置における上記問題を解決するものであって、設置時の車両のジャッキアップの労力を軽減でき、縦リガが揺動せず斜めに設置されたり、はずれたりするおそれのない手動式アウトリガ装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の手動式アウトリガ装置は、ベースと、該ベース内に出入自在に嵌装された横リガと、該横リガの先端部に上下回動自在に枢支された縦リガと、該縦リガの回動支点から所定距離離隔して設けられて前記縦リガを前記横リガに対して垂直に固定するためのピン孔および縦リガ固定ピンと、前記縦リガ内に出入自在に嵌装されるとともに自重で前記縦リガ内から抜け出して接地した接地状態、車両をジャッキアップした設置状態および格納された格納状態にスライド移動可能なインナボックスと、該インナボックスを前記縦リガに対して前記接地状態から設置状態にスライド移動させるように相互を連結する作動リンクおよび従動リンクと、前記作動リンクに設けられて前記インナボックスを前記設置状態に移動させるときに踏み込む設置操作用ペダルと、前記作動リンクに設けられて前記設置状態で当該作動リンクの回動を防止するためのピン孔およびリンク固定ピンと、前記従動リンクを前記インナボックスに複数の位置で選択的に連結可能なように前記インナボックスの上下に所定距離離隔して複数設けられた従動リンク取付孔と、を備えたことにより、上記課題を解決している。
【0008】
この手動式アウトリガ装置は、設置する場合には、まず横リガをベースから側方に引出し、縦リガを回動支点を中心として180度下方へ回動させて、横リガに対して垂直にし、縦リガ固定ピンをピン孔に挿入して固定する。
次いで、リンク固定ピンを抜くとインナボックスが自重で抜け出し接地する。そこで、作動リンクの設置操作用ペダルを踏み込み、インナボックスを押出して車両をジャッキアッブし、設置状態で作動リンクの回動を防止するためのピン孔にリンク固定ピンを挿入する。
【0009】
この手動式アウトリガ装置では、縦リガは横リガに対して垂直に固定されるので、斜めに設置されることはなく、リンク固定ピンを挿入した状態では、作動リンクの回動が防止されるので、作業の途中で縦リガがはずれるおそれもない。また、積荷を下ろす作業を行う場合、積荷を下ろして車両が浮き上がったときでも、縦リガが揺動することはなく、安全性が高い。
【0010】
設置時の車両のジャッキアップは設置操作用ペダルを踏み込むことによって行われるので、労力が軽減され設置が容易である。
手動式アウトリガ装置を格納する場合には、リンク固定ピンを抜き、設置操作用ペダルを引き上げてインナボックスを上昇させ、格納位置にリンク固定ピンで固定する。次に、縦リガ固定ピンを抜いて縦リガを180度上方へ回動させ、縦リガ固定ピンで固定する。その後、横リガをベース内に押入れ格納する。
【0011】
また、インナボックスに従動リンク取付孔を上下に所定距離離隔して複数個設けているので、インナボックスの高さを車両の高さに合わせて適宜調節することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の一形態を示す手動式アウトリガ装置の格納状態の正面図、図2は手動式アウトリガ装置の横リガを引出した状態の正面図、図3は手動式アウトリガ装置の縦リガを下方へ回動させた状態の正面図、図4は手動式アウトリガ装置の縦リガを下方へ回動させた状態の側面図、図5は手動式アウトリガ装置のインナボックスを接地させた状態の側面図、図6は手動式アウトリガ装置を設置した状態の正面図、図7は手動式アウトリガ装置を設置した状態の側面図である。
【0013】
この手動式アウトリガ装置は、ベース1内に横リガ2が出入自在に嵌装され、横リガ2の先端部に、縦リガ3がボルト4で上下回動自在に枢支されている。
ベース1には横リガ固定ピン5が設けられており、横リガ2を図1の格納位置と図2のように引出した位置とで固定することができる。
また、横リガ2と縦リガ3には、縦リガ3の回動支点となるボルト4から所定距離離隔して縦リガ3を横リガ2に対して垂直上方に固定するためのピン孔6、7と、垂直下方に固定するためのピン孔8、9とが設けられており、図1の格納状態では、縦リガ3を横リガ2に対して垂直上方に向け、この位置で合致するピン孔6、7に縦リガ固定ピン10が挿通されている。
【0014】
縦リガ3内にはインナボックス11が出入自在に嵌装されており、縦リガ3とインナボックス11とは作動リンク12と従動リンク13を介して連結されている。
作動リンク12は一端がボルト14で縦リガ3に枢着されており、中間部には従動リンク13が連結ピン15で連結され、他端には設置操作用ペダル16が設けられている。
【0015】
また作動リンク12には、格納状態で作動リンク12の回動を防止するためのピン孔17と、設置状態で作動リンク12の回動を防止するためのピン孔18とが設けられており、図1の格納状態では、ピン孔17にリンク固定ピン19が挿入されている。リンク固定ピン19はこの位置で縦リガ3に当接して作動リンク12の回動を阻止する。
【0016】
インナボックス11には、従動リンク取付孔20が設けられており、この従動リンク取付孔20に従動リンク13が取付ピン21で取付けられている。
なお、従動リンク取付孔20は、上下に所定距離離隔して複数個設けられており、任意の従動リンク取付孔20を選択することでインナボックス11の高さを車両の高さに合わせて適宜調節することができるようになっている。
【0017】
この手動式アウトリガ装置を設置する場合には、図1の格納状態から、まず横リガ固定ピン5を抜いて横リガ2をベース1から側方に引出し、図2の状態で横リガ固定ピン5を押込んで固定した後、縦リガ固定ピン10を抜き、縦リガ3を回動支点のボルト4を中心として180度下方へ回動させて、図3のように横リガ2に対して垂直にし、この位置で合致するピン孔8、9に縦リガ固定ピン10を挿通して固定する。
【0018】
次いで、リンク固定ピン19を抜くとインナボックス11が自重で抜け出して図5のように接地する。そこで、作動リンク12の設置操作用ペダル16を下方へ踏み込み、インナボックス11を押出して車両をジャッキアッブし、図6の設置状態で作動リンク12の回動を防止するためのピン孔18にリンク固定ピン19を挿入する。リンク固定ピン19はこの位置でインナボックス11に当接して作動リンク12の回動を阻止する。
【0019】
この手動式アウトリガ装置では、縦リガ3は横リガ2に対して垂直に固定されるので、斜めに設置されることはなく、リンク固定ピン19を挿入した状態では、作動リンク12の回動が防止されるので、作業の途中で縦リガ3がはずれるおそれもない。また、積荷を下ろす作業を行う場合、積荷を下ろして車両が浮き上がったときでも、縦リガ3が揺動することはなく、安全性が高い。
【0020】
設置時の車両のジャッキアップは設置操作用ペダル16を踏み込むことによって行われるので、労力が軽減され設置が容易である。
手動式アウトリガ装置を格納する場合には、リンク固定ピン19を抜き、設置操作用ペダル16を引き上げてインナボックス11を縦リガ3内に押込み、格納位置にリンク固定ピン19で固定する。次に、縦リガ固定ピン10を抜いて180度上方へ回動させ、縦リガ固定ピン10で固定する。その後、横リガ2をベース1内に押入れ格納する。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の手動式アウトリガ装置は、設置時の車両のジャッキアップの労力を軽減でき、縦リガが揺動せず斜めに設置されたり、はずれたりするおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示す手動式アウトリガ装置の格納状態の正面図である。
【図2】手動式アウトリガ装置の横リガを引出した状態の正面図である。
【図3】手動式アウトリガ装置の縦リガを下方へ回動させた状態の正面図である。
【図4】手動式アウトリガ装置の縦リガを下方へ回動させた状態の側面図である。
【図5】手動式アウトリガ装置のインナボックスを接地させた状態の側面図である。
【図6】手動式アウトリガ装置を設置した状態の正面図である。
【図7】手動式アウトリガ装置を設置した状態の側面図である。
【図8】従来の手動式アウトリガ装置の正面図である。
【図9】従来の手動式アウトリガ装置を設置した状態の説明図である。
【符号の説明】
1 ベース
2 横リガ
3 縦リガ
4 ボルト
5 横リガ固定ピン
6 ピン孔
7 ピン孔
8 ピン孔
9 ピン孔
10 縦リガ固定ピン
11 インナボックス
12 作動リンク
13 従動リンク
14 ボルト
15 連結ピン
16 設置操作用ペダル
17 ピン孔
18 ピン孔
19 リンク固定ピン
20 従動リンク取付用孔
21 取付ピン
Claims (1)
- ベースと、該ベース内に出入自在に嵌装された横リガと、該横リガの先端部に上下回動自在に枢支された縦リガと、該縦リガの回動支点から所定距離離隔して設けられて前記縦リガを前記横リガに対して垂直に固定するためのピン孔および縦リガ固定ピンと、前記縦リガ内に出入自在に嵌装されるとともに、自重で前記縦リガ内から抜け出して接地した接地状態、車両をジャッキアップした設置状態および格納された格納状態にスライド移動可能なインナボックスと、該インナボックスを前記縦リガに対して前記接地状態から設置状態にスライド移動させるように相互を連結する作動リンクおよび従動リンクと、前記作動リンクに設けられて前記インナボックスを前記設置状態に移動させるときに踏み込む設置操作用ペダルと、前記作動リンクに設けられて前記設置状態で当該作動リンクの回動を防止するためのピン孔およびリンク固定ピンと、前記従動リンクを前記インナボックスに複数の位置で選択的に連結可能なように前記インナボックスの上下に所定距離離隔して複数設けられた従動リンク取付孔と、を備えたことを特徴とする手動式アウトリガ装置。
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