JP4166189B2 - 建築用金属外装材、その製造方法、及び建築物の外装構造 - Google Patents
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Description
このうち、金属系の板状材を外装材の主材として用いる構造として、定尺横葺きの外装材とカバー材を使用するタイプ(例えば特許文献1〜3など)や、カバー材を用いずに広範囲をプレス加工するタイプ(例えば特許文献4,5など)等に開示される構成がある。尚、特許文献4は横葺き、特許文献5は縦葺きの形式である。
前記公知技術(通称:定尺品)のものは、それ以前の長尺品、すなわち現場で加工成形される外装材に対し、工場生産されるので、製品の加工品質に優れている。また、成形機の移動を要しないので、複数の物件の外装材を連続的かつ計画的に生産できる。さらに、施工に際し、同時に多人数を要しないので、施工性に優れるといった優れた特徴を有するものである。
まず、特許文献1〜3については、通常「切断」→「ロール成形」、或いは「ロール成形」→「切断」という加工工程となるので、定尺端部の加工が無いため、ロール成形のスピードは高速化できるものの、定尺接続のための継手部材が不可欠となるので、副資材のコストが上昇するという問題があった。
また、特許文献4,5については、施工性と外装屋根機能を確保するため、長手方向の端部に接続のためのプレス成型が不可欠である。なぜなら、ロール成形で、長さ方向に同一断面の外装材を成形するため、板厚が厚いほど、成形が複雑であるほど、そのまま重合させて接続することができない。したがって、ロール成形後にプレスによる絞り加工を施すことにより接続を可能としている。そのため、この場合は通常「切断(ブランク)」→「ロール成形」→「プレス成型(複数)」という加工工程となるが、ロール成形のスピードが高速であっても、ロール成形に比較して低速なプレス成型のスピードに制限されて、ライン全体のスピードは、低速側に制約されてしまう。尚、プレス成型のスピードを高速化しようとすると、成型プレスの走行化が必要となるので、設備が大型化、複雑化してしまう。結果、生産性の低下や設備投資額の増大から、製造コストが増加してしまうという問題があった。
尚、短手方向の端縁とは長手方向に沿う側縁であり、長手方向の端縁とは短手方向に沿う側縁である。
また、重合成形部の少なくとも一方には、シール材を受けるための位相部が形成されてなることが望ましい。
尚、図1〜5に示す横葺き形式では、外装材を1とし、短手方向とは軒棟方向を指し、長手方向とは桁行き方向を指す。図6〜9に示す縦葺き形式では、外装材を4とし、短手方向とは桁行き方向を指し、長手方向とは軒棟方向を指す。
本発明における重合成形部は、係合又は嵌合により接続するものであれば特にその形状等について限定するものではなく、さらに詳しくは、その接続状態において一部が重合状に組み合わされて係合又は嵌合されるものである。そのため、軒側成形部12も棟側成形部13もそれに準ずる。
図示実施例の軒側成形部12は、面板部11の軒縁を下方へ略鉛直状に曲げ成形した折り下げ片121と、その下端を棟側へ曲げ成形して略水平状に延在させ、さらにその先端を裏面側へ折り返した水平片122とからなる構成とした。
また、棟側成形部13は、面板部11の端縁を表面側へ折り返し状に曲げ成形して延在した軒向き片131と、その軒端を棟側へ折り返し状に曲げ成形して延在させ、その上端を緩く上方へ折り曲げた棟向き片132とからなる構成とした。
これらの軒側成形部12と棟側成形部13とは、図3に示すように、敷設状態において係合する構成とした。
さらに、図示実施例の棟側成形部13の一方の端縁に形成されたブランク加工部13'には、重合時に上側となる外装材1の棟側成形部13の裏面側に挿入される受け部133が形成され、軒向き片131と棟向き片132のそれぞれを傾斜状に切り込んで各端縁を位相させ、シール材を受けるための位相部134を設けている。この位相部134は、シリコーンゴムやブチルゴム等の不定形又は定形のシーリング材やコーキング材を受けるためのスリット部分における位相部である。
〔第1工程〕
まず、外装材1の金属材料素材としては、代表的には概ね0.4〜1.6mm程度の溶融亜鉛メッキ鋼板やガルバリウム鋼板等の防錆処理鋼板、特殊鋼、非鉄金属、ステンレス鋼板、耐候性鋼板、銅板、アルミニウム合金板、鉛板、亜鉛板、チタニウム板などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらは殆ど長尺なコイル状形態で供給される。
上記各種の長尺なコイル状の金属材料を定尺切断する等して、一定幅で所定長さの金属材を作成し、これを成形材料とする。
この成形材料に、長手方向の一方の端縁にブランク加工を施して軒側成形部12,棟側成形部13の一部が欠除する(切除された)ブランク加工部12',13'を形成する。
こうして得られたロール成形前の展開図は図2に示すとおりである。
〔第2工程〕
前記ブランク加工を施された成形材料を、ロール成形機にかけるが、その際、ブランク加工が施された一方側を成形後端とする。ロール成形機では、図2の二点鎖線にて折り曲げ加工が施される。そして、面板部11の軒端縁に前記構成の軒側成形部12が、棟端縁に前記構成の棟側成形部13がロール成形により形成される。
その結果、安価な外装材1を市場に提供することができる。
短手(軒棟)方向に隣接する外装材1,1を接続する場合は、従来の横葺き外装材と全く同様であり、図3に示すように、軒棟方向に隣接する外装材1,1の軒側成形部12と棟側成形部13を係合して接続し、棟側成形部13の棟向き片132を外装下地2に適した公知の釘やビス等の固着具(図示せず)で固定する。
尚、長手(桁行き)方向の接続位置は、通りを揃えてもよいが、一般的には、軒棟方向に隣り合う外装材の接続の通りと同じにならないよう1段ごとに位相させることが好ましい。
上述のような現場でのシール打ちを行わない場合には、図5に示すように、前記不定形シール材3に代えて、定形シール材3A〜3Cを固着するようにしてもよい。尚、定形シール材3Aはブランク加工部13'の棟縁に固定した略円柱状のシール材であり、定形シール材3Bは面板部11に3条固定した略四角柱状のシール材であり、定形シール材3Cはブランク加工部13'の受け部133及び位相部134に被覆させた板状のシール材である。
図示実施例では、下地7上に保持部材5を固定し、面板部41の両側縁に略左右対称な側縁成形部42,42を有する外装材4を敷設してなり、外装材4の側縁成形部42は、面板部41側の高さの途中のみに、保持部材5の被嵌合部51に保持される嵌合部421を備え、該嵌合部421の外方に、隣り合う外装材4と互いに重合する重合部422U,422Dを備え、敷設状態において上側に位置させた重合部422Uの端部が下側に位置させた重合部422Dに弾性的に当接する外装構造を適用した。
嵌合部421は、保持部材5の被嵌合部51に保持され、重合部422は、保持部材5の頂部に弾性的に係合される形状である。
そして、図9(d)に示すように、敷設状態においては、上側に位置させた重合部422の端部を、下側に位置させた重合部422に弾性的に当接(嵌合)させる構成とした。尚、両者を区別するため、以下の説明では前者を上側重合部とし、図面には422Uを付し、後者を下側重合部とし、図面には422Dを付した。
〔第1工程〕
前記各種の長尺なコイル状の金属材料の裏面に、結露防止、防音、防火対策上の理由により、必要に応じてポリエチレンフォーム、グラスウールシート等の裏貼り材40を添装し、これを定尺切断する等して、一定幅で所定長さの金属材を作成し、これを成形材料とする。
この成形材料に、長手方向の一方の端縁にブランク加工を施して側縁成形部42,42の一部が欠除する(切除された)ブランク加工部42A',42B'を形成する。
こうして得られたロール成形前の展開図は図7に示すとおりである。
〔第2工程〕
前記ブランク加工を施された成形材料を、ロール成形機にかけるが、その際、ブランク加工が施された棟側を成形後端とする。ロール成形機では、図7の二点鎖線にて折り曲げ加工が施される。そして、面板部41の左右側縁に前記構成の側縁成形部42がロール成形により形成される。
基本的な施工方法は、従来の縦葺き外装材と同様であって、予め下地に取り付けられた保持部材5に外装材4の側縁成形部42を嵌合することで行うが、短手(桁行き)方向に隣接する外装材4,4を接続する場合も、従来の縦葺き外装材と全く同様に、桁行き方向に隣接する外装材4,4の側縁成形部42,42の一方(の重合部:下側重合部422D)に他方(の重合部:上側重合部422U)を上から嵌合することで行う。
尚、長手(軒棟)方向の接続位置は、桁行き方向に隣り合う外装材の接続の通りと同じにならないよう1枚ごとに位相させることが望ましい。
また、外装材4は、屋根面の傾斜や風向き等の諸条件に応じて上側重合部422U及び下側重合部422Dを設定するが、略左右対称な側縁成形部42の面板部41側のみに嵌合部421を設けているので、左右どちら側からでも施工することができ、施工作業を容易に行えて工期の短縮およびコストの削減を図ることができる。さらに、物品として製造成形性の点でも左右非対称形のものに比べて優れている。
そして、外装面の傾斜や風向き等の諸条件を考慮して水上側に敷設する外装材4の重合部422を水下側に敷設する外装材4の重合部422の上に重合させ、風雨に対して安全性が高い外装構造とすることができる。
また、外装材4の側縁の重合を適宜選択できるので、外装材4の敷設方向とは別方向に傾きを有する屋根について、風雨に対して安全性の高いものとなる。
さらに、外装材4の側縁の重合を適宜に選択できるので、現場成型時建築物の立地条件により施工方法が限定されることがない。
また、上側重合部422Uがカバー材を兼ねるので、部材点数が少なく済み、施工作業が容易であり、コストも低く抑えることができる。
また、重合部422,422間に弾性シール材6を設けたので、万一塵や埃、雨水等が上側重合部422Uの端部の当接部分を越えて入ってくることがあったとしても、それ以上の内部への侵入を確実に防ぐことができる。
11 面板部
12 軒側成形部
12' ブランク加工部
13 棟側成形部
13' ブランク加工部
133 受け部
2 外装下地
3 不定形シール材
3A〜3C 定形シール材
4 (建築用金属)外装材
41 面板部
42 側縁成形部
42',42A',42B' ブランク加工部
5 保持部材
Claims (6)
- 短手方向の端縁に重合成形部を形成した建築用金属外装材であって、
少なくとも長手方向の両端縁のうち一方に、重合成形部の一部が欠除するブランク加工部を形成してなることを特徴とする建築用金属外装材。 - ブランク加工部は、重合成形部へのスリットを含む平面視凹凸状であることを特徴とする請求項1に記載の建築用金属外装材。
- 重合成形部の少なくとも一方には、シール材を受けるための位相部が形成されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の建築用金属外装材。
- 短手方向の端縁に重合成形部をロール成形により形成する建築用金属外装材の製造方法であって、
一定幅で所定長さの金属材を成形材料とし、長手方向の一方にブランク加工を施して重合成形部の一部が欠除するブランク加工部を形成する第1工程と、前記一方側を成形後端として、短手方向の端縁に重合成形部をロール成形により形成する第2工程とからなることを特徴とする建築用金属外装材の製造方法。 - 第1工程のブランク加工は、第2工程のロール成形における成形前端側は略直線状に形成され、成形後端側は重合成形部へのスリットを含む平面視凹凸状のブランク加工部を形成するものであることを特徴とする請求項4に記載の建築用金属外装材の製造方法。
- 請求項1〜3の何れか一項に記載の建築用金属外装材を用いて、短手方向及び長手方向にそれぞれ隣接する建築用金属外装材と、短手方向の端縁、長手方向の端縁をそれぞれ重合接続することを特徴とする建築物の外装構造。
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