JP4165316B2 - プラスチック成形体光加熱装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、飲料・食料用のペットボトルとなるプラスチック成形体の口部を加熱し結晶化処理を行い口部を強化するためのプラスチック成形体光加熱装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
飲料・食料用のペットボトルは、内部に空間を有するプラスチック成形体であるパリソンを白熱ランプから放射される光で加熱し、パリソンが軟化した状態の時にパリソンの周囲に金型を配置し、パリソン内部の空間を気体で加圧して膨張させ、パリソンを所定の形状に膨らませてペットボトルを成型するものである。
【0003】
そして、ペットボトルの口部は、そのままでは比較的柔らかく、そのため口部に異物があたったり、あるいはペットボトル内に内容物を充填し、口部に形成された螺旋状のネジ部にキャップを螺合させると、口部が変形して密閉性が損なわれる恐れがあるので、一般的に、パリソンを所定の形状に形成した後、別工程で、パリソンの口部のみ110〜180℃に加熱して口部を結晶化させ強化する方法が採用されている。
【0004】
この口部の加熱技術は、赤外線セラミックヒータで口部を取り囲んで加熱する技術や、赤外線ランプからの光によって加熱する技術が知られている。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−235751号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来から知られている、赤外線セラミックヒータや赤外線ランプで口部を加熱する技術は、単に、口部を加熱することだけに着目して装置を設計しており、赤外線や、赤外線を含む光の方向制御に関しては何ら検討されておらず、効率よく口部を加熱することができないという問題があった。
【0007】
さらには、赤外線ランプで口部を加熱する装置では、口部の高温加熱化に伴いランプ出力が増大し、反射鏡が受ける熱的影響が大きくなるが、その熱影響に対する反射鏡の構造改良がなされていないという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、プラスチック成形体の口部を白熱ランプで加熱する際に、効率良く光を利用することができ、しかも、白熱ランプからの熱的影響を受ける反射鏡の構造が最適な構造であるプラスチック成形体光加熱装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のプラスチック成形体光加熱装置は、ポリエステル樹脂よりなるプラスチック成形体の口部を白熱ランプで加熱するプラスチック成形体光加熱装置において、前記白熱ランプは両端に封止部を有する管状の白熱ランプであり、当該白熱ランプを取り囲むように樋状の反射鏡を有し、前記プラスチック成形体の口部が、白熱ランプの管軸に沿って一定の離間距離を保った状態で自転しながら移動し、前記白熱ランプからの直射光と前記反射鏡からの反射光によって加熱され、前記反射鏡は、長手方向に沿って分割された2つの分割ミラーよりなり、前記それぞれの分割ミラーは反射面が楕円形状であるとともに、それぞれの分割ミラーの第1焦点が共通し、それぞれの分割ミラーの第2焦点が他方の分割ミラー側に位置することにより分割ミラーの第1焦点と第2焦点の間で分割ミラーから反射された光が交差し、前記それぞれの分割ミラーは、その両側面がケーシングを構成する側板に固定されており、前記側板のうち、一方の側板は前記反射鏡の背後に設けられたケーシングを構成する背板に移動不能に固定され、他方の側板は前記背板に対して相対的に移動可能に係合されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載のプラスチック成形体光加熱装置は、請求項1に記載のプラスチック成形体光加熱装置であって、特に、前記反射鏡は、それぞれの分割ミラーが略水平状態になるようにケーシングに保持されており、前記反射鏡の開口を構成するそれぞれの分割ミラーの開口縁に、光透過性の窓部材が嵌め込まれており、前記下方に位置する分割ミラーの下方には、前記背板に固定された当該分割ミラーを支持する支持部材が設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載のプラスチック成形体光加熱装置は、請求項2に記載のプラスチック成形体光加熱装置であって、特に、前記反射鏡の開口とは反対側の頂部は、前記それぞれの分割ミラーとの間に隙間が形成され、前記隙間から反射鏡内部に冷却風が流入することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のプラスチック成形体光加熱装置の断面図であり、図2は、反射鏡の開口方向から見た本発明のプラスチック成形体光加熱装置の正面図である。
白熱ランプ1は両端に封止部を有する管状の白熱ランプであり、白熱ランプ1を取り囲むように樋状の反射鏡2が設けられている。
反射鏡2の前方には、ポリエステル樹脂よりなるプラスチック成形体Pの口部P1が位置しており、口部P1が白熱ランプの管軸に沿って一定の離間距離を保った状態で自転しながら移動し、白熱ランプ1からの直射光と反射鏡からの反射光によって加熱される構造になっている。
【0014】
反射鏡2は、アルミ合金からなり、長手方向に沿って2つに分割された分割ミラー21、22よりなる。
【0015】
図3は、反射鏡2の構造とプラスチック成形体Pの口部P1との位置関係を光線軌跡を含めて示す位置関係説明図である。
図3に示すように、それぞれの分割ミラー21、22は反射面20が楕円形状であるとともに、それぞれの分割ミラー21、22は第1焦点F1が共通しており、共通する第1焦点F1に白熱ランプ1が配置され、それぞれの分割ミラー21、22の第2焦点F21、F22が他方の分割ミラー21、22側に位置している。具体的には、分割ミラー21の第2焦点F21が他方の分割ミラー22側に位置し、分割ミラー22の第2焦点F22が他方の分割ミラー21側に位置することにより、分割ミラー21、22の第1焦点F1と第2焦点F21、F22の間で分割ミラー21、22から反射された光が交差するようになっている。
【0016】
そして、図3に示すように、口部P1を透過したところにそれぞれの分割ミラー21、22の第2焦点F21、F22が位置するように反射鏡2に対して口部P1を位置させることにより、言い換えれば、それぞれの分割ミラー21、22から反射された光が交差する領域に口部P1を位置させることにより、口部P1内にそれぞれの分割ミラー21、22の焦点がこないため口部P1の一部を強く加熱することなく、しかも反射鏡2によって反射された光が口部P1のみに集光されるので効率よく光を利用しながら、口部P1をほぼ均一に加熱することができる。
【0017】
さらには、図4に示すように、それぞれの分割ミラー21、22の一方の側面がケーシングを構成する側板K2にネジによって固定されている。なお、分割ミラー21、22の他方の側面も同じように側板K1ネジによって固定されている。
【0018】
図5を用いて、分割ミラー21、22が固定された側板K1、K2とケーシングを構成する背板K3との連結構造を説明する。なお、白熱ランプ1は省略している。
背板K3は両側に貫通孔K31、K32を有し、一方の貫通孔K32は反射鏡2の長手方向に沿って長孔になっている。そして、略L字状に曲げられた側板K1、K2と背板K3は、背板K3の貫通孔K31、K32にネジを通し、そのネジによって、背板K3と側板K1、K2を連結している。
【0019】
具体的には、背板K3の貫通孔K31にネジN1を貫通させ、ネジN1の先端部を側板K1に形成された孔に螺合させ、側板K1と背板K3をネジN1で締め付けることにより、側板K1が背板K3に対して移動不能に固定されている。一方、背板K3の貫通孔K32を貫通するように背板K3の厚みより長いブッシュN2が嵌めこまれ、このブッシュN2内を貫通するようにネジN1が挿入され、ネジN1の先端を側板K2に形成された孔に螺合させ、側板K2と背板K3をネジN1で締め付けるので、側板K2と背板K3が離れることなく、しかも、側板K2と背板K3は固定されず、背板K3の貫通孔K32が反射鏡2の長手方向に沿って長孔になっているので、反射鏡2が白熱ランプからの熱によって膨張して長手方向に伸びても、側板K2は背板K3に対して相対的に移動することになり、反射鏡2が膨張しても反射鏡2やケーシングを破壊することがない。
【0020】
また、図1に戻り、説明を続けると、反射鏡2は、それぞれの分割ミラー21、22が略水平状態になるようにケーシングに保持されている。
そして、反射鏡2の開口を構成するそれぞれの分割ミラー21、22の開口縁21a、22aに光透過性の石英ガラスよりなる窓部材3が配置されている。この窓部材3は分割ミラー21、22の開口縁21a、22aに渡って嵌め込まれている。
【0021】
白熱ランプ1の点灯中、上方に位置する分割ミラー21は熱によって軟化し、しかも自重によって下方に撓もうとするが、分割ミラー21の開口縁21aの長手方向全域に渡って窓部材3の上方縁3aが接触していることになり、この窓部材3が分割ミラー21の撓みを防止する役目を果たすものであり、装置を長時間使用しても分割ミラー21が下方に撓むことを防止できる。
【0022】
一方、下方に位置する分割ミラー22の下方には、背板K3に固定され分割ミラー22を支持し撓みを防止するための支持板4が設けられている。
つまり、白熱ランプ1の点灯中、下方に位置する分割ミラー22は熱によって軟化し、しかも自重によって下方に撓もうとするが、分割ミラー22は、下方から支持部材4によって支持されているので、この支持部材4が分割ミラー22の撓みを防止する役目を果たすものであり、装置を長時間使用しても分割ミラー22が下方に撓むことを防止できる。
【0023】
つまり、反射鏡2は、上方に位置する分割ミラー21と下方に位置する分割ミラー22の2つの部材からなり、下方のミラー22は支持部材4によって下方に撓むことが防止され、上方のミラー21は、撓むことがない下方の分割ミラー22に当接している窓部材3によって下方に撓むことが防止されており、結果的に、分割ミラー21、22の両方は下方に撓むことがないので、点灯中に反射鏡2とプラスチック成形体Pの口部P1との位置関係が常に最適な状態となる。
【0024】
なお、窓部材3は、プラスチック成形体の口部を加熱する際、ポリエステル樹脂が蒸発して反射鏡2の方向に飛来してきても、この窓部材3に樹脂が付着するだけであり、反射鏡2の反射面20の汚染を防止することができる。
そして、窓部材3は、反射鏡2から図1では紙面上下方向にスライドして抜くことができ、汚染した窓部材3の表面をふき取りなどの簡易な方法で洗浄することができる。
【0025】
前述したように、反射鏡2の開口には窓部材3が配置されているので、開口から冷却風を流し込むことできない。一方、反射鏡2の開口が窓部材3で覆われているので、反射鏡2の内部は高温になり、反射面20が黒化したり、或いは、白熱ランプ1のバルブが高温になり変形することがあるので、反射鏡2内部に冷却風を流し込む必要がある。
このような問題を解決するために、反射鏡2の窓部材3が嵌め込まれた開口とは反対側の頂部は、それぞれの分割ミラー21、22との間に隙間Sが形成されており、この隙間Sから反射鏡2内部に冷却風を流入して、反射鏡2の冷却と白熱ランプ1の冷却を行うものである。
【0026】
【発明の効果】
本発明のプラスチック成形体光加熱装置によれば、白熱ランプは両端に封止部を有する管状の白熱ランプであり、白熱ランプを取り囲むように樋状の反射鏡を有し、反射鏡は、長手方向に分割された2つの分割ミラーよりなり、それぞれの分割ミラーは反射面が楕円形状であるとともに、それぞれの分割ミラーの第1焦点が共通し、それぞれの分割ミラーの第2焦点が他方の分割ミラー側に位置することにより分割ミラーの第1焦点と第2焦点の間で分割ミラーから反射された光が交差する構造であり、この交差した領域にプラスチック成形体の口部を位置させることにより、口部内にそれぞれの分割ミラーの焦点がこないため口部の一部を強く加熱することなく、しかも反射鏡によって反射された光が口部のみに集光されるので効率よく光を利用しながら、口部をほぼ均一に加熱することができる。
【0027】
さらには、それぞれの分割ミラーは、その両側面がケーシングを構成する側板に固定されており、側板のうち、一方の側板は反射鏡の背後に設けられたケーシングを構成する背板に移動不能に固定され、他方の側板は背板に対して相対的に移動可能に係合されているので、白熱ランプの点灯中に反射鏡が膨張しても反射鏡の伸びを逃がすことができ、反射鏡の破壊やケーシングの破壊を防止することができる。
【0028】
さらに、反射鏡は、それぞれの分割ミラーが略水平状態になるようにケーシングに保持されており、反射鏡の開口を構成するそれぞれの分割ミラーの開口縁に、光透過性の窓部材が嵌め込まれており、下方に位置する分割ミラーの下方には、背板に固定された分割ミラーを支持する支持部材が設けられているので、分割ミラーの垂直方向の撓みを防止することができ、点灯中に反射鏡とプラスチック成形体の口部との位置関係が常に最適な状態となる。
【0029】
また、反射鏡の開口とは反対側の頂部は、それぞれの分割ミラーとの間に隙間が形成され、この隙間から反射鏡内部に冷却風が流入するので、反射鏡の反射面と反射鏡内の白熱ランプを確実に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプラスチック成形体光加熱装置の断面図である。
【図2】本発明のプラスチック成形体光加熱装置の開口側からみた平面図である。
【図3】本発明のプラスチック成形体光加熱装置の反射鏡の構造とプラスチック成形体の口部との位置関係を光線軌跡を含めて示す位置関説明図である。
【図4】本発明のプラスチック成形体光加熱装置の分割ミラーと側板の固定構造説明図である。
【図5】本発明のプラスチック成形体光加熱装置の分割ミラーが固定された側板と背板の連結構造説明図である。
【符号の説明】
1 白熱ランプ
2 反射鏡
21 分割ミラー
22 分割ミラー
3 窓部材
4 支持部材
K1 側板
K2 側板
K3 背板

Claims (3)

  1. ポリエステル樹脂よりなるプラスチック成形体の口部を白熱ランプで加熱するプラスチック成形体光加熱装置において、
    前記白熱ランプは両端に封止部を有する管状の白熱ランプであり、当該白熱ランプを取り囲むように樋状の反射鏡を有し、
    前記プラスチック成形体の口部が、白熱ランプの管軸に沿って一定の離間距離を保った状態で自転しながら移動し、前記白熱ランプからの直射光と前記反射鏡からの反射光によって加熱され、
    前記反射鏡は、長手方向に沿って分割された2つの分割ミラーよりなり、
    前記それぞれの分割ミラーは反射面が楕円形状であるとともに、それぞれの分割ミラーの第1焦点が共通し、それぞれの分割ミラーの第2焦点が他方の分割ミラー側に位置することにより分割ミラーの第1焦点と第2焦点の間で分割ミラーから反射された光が交差し、
    前記それぞれの分割ミラーは、その両側面がケーシングを構成する側板に固定されており、
    前記側板のうち、一方の側板は前記反射鏡の背後に設けられたケーシングを構成する背板に移動不能に固定され、他方の側板は前記背板に対して相対的に移動可能に係合されていることを特徴とするプラスチック成形体光加熱装置。
  2. 前記反射鏡は、それぞれの分割ミラーが略水平状態になるようにケーシングに保持されており、
    前記反射鏡の開口を構成するそれぞれの分割ミラーの開口縁に、光透過性の窓部材が嵌め込まれており、
    前記下方に位置する分割ミラーの下方には、前記背板に固定された当該分割ミラーを支持する支持部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック成形体光加熱装置。
  3. 前記反射鏡の開口とは反対側の頂部は、前記それぞれの分割ミラーとの間に隙間が形成され、
    前記隙間から反射鏡内部に冷却風が流入することを特徴とする請求項2に記載のプラスチック成形体光加熱装置。
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