JP4164925B2 - 連続鋳造鋳片の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面割れの少ない連続鋳造鋳片の製造方法に関し、連続鋳造鋳片の曲げあるいは矯正の際に発生しやすいコーナー部の表面割れを防止するための連続鋳造鋳片の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図1に示す概略図を基にして一般的な鋼の連続鋳造方法について説明する。溶鋼2は取鍋1からロングノズル3を介してタンディッシュ4内に注入される。注入された溶鋼2は、浸漬ノズル5を介して鋳型6内に連続的に注入される。鋳型内の溶鋼2は、急冷されて、凝固シェル7が鋳型6の内面に形成され、凝固シェル7はガイドロール8により支持されながら二次冷却水によりさらに冷却される。そして、完全に凝固を終えた鋳片9は、ピンチロール10により連続的に引き抜かれる。
この時、鋳型と凝固シェルが形成した鋳片との摩擦を軽減し、鋳型への焼き付きを防止して安定な鋳込みを行うために、鋳型内へはモールドパウダー11の添加が行われるとともに、鋳型6にはオシレーションと呼ばれる上下動が作動される。また、図1のa、bの領域は、それぞれ曲げ部、矯正部であり、この領域で、鋳片は歪速度0.0001〜0.001sec-1の変形を受ける。
【0003】
ところで、連続鋳造鋳片には、従来から、各種の表面割れが発生することが知られている。この表面割れは、とくに、連続鋳造鋳片を用いて、直送圧延ないしホットチャージ圧延を行う場合には、熱間において、欠陥を検出したり、手入れをしたりすることを必要とするため、工程上の障害を招き、また生産性を著しく阻害していた。
このように有害な影響をもたらす表面割れは、低歪速度の変形時に発生しやすく、また700 〜850 ℃の脆化温度域において極めて発生しやすくなる。
【0004】
低歪速度変形時における鋳片の脆化は、主に、AlNや Nb(C,N)、V(C,N)などの炭窒化物の析出や(Fe、Mn)Sなどの硫化物の析出に起因している。そこで、従来からとられてきた表面割れを抑制するための対策として、これら合金元素を1%以下含有する低合金鋼を連続鋳造する場合には、上述した有害析出物を低減するために、Al、Nb、V、B、Nの含有量を減らしたり、Tiを添加してより無害なTiNを優先的に析出させて高温延性を向上させるなどの方法がとられてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、鋼の材質特性上の要求から、NB、Vなどの元素の添加は不可欠であったり、鋼種によってはTi添加による低温靱性の低下が生じたりすることがあり、上記対策では抜本的な対策にはなっていなかった。
さらに、表面割れを抑制するための別の対策として、連続鋳造時の二次冷却による曲げ部、矯正部における脆化温度域の回避を図るため、低比水量化による高温鋳片鋳造ならびに温度低下が大さいコーナー部の冷却水をカットする幅切りなどの方法も試みられてきた。
これらの対策により表面割れの発生は大幅に低減したものの、鋳片コーナー部では、特にオシレーションマークのノッチ(切欠)作用が大きく、未だ表面割れを完全に防止するには至ってないのが現状である。
【0006】
このような鋳片コーナー部におけるオシレーションマークに起因する表面割れは、図2に示すような機構で発生すると考えられる。すなわち、オシレーションマークが形成されると、図2に示すように、一連の連続鋳造工程で、凝固シェルと鋳型間の摩擦力、不均一冷却による熱応力、曲げ部や矯正部における変形応力などが働いて、オシレーションマークの凹部が応力集中のノッチとして作用して、凹部の底から亀裂が発生し、これが次第に伝播して、表面割れに成長する。
なお、以上のようなノッチ作用に起因する表面割れが、とくに鋳片コーナー部で生じやすいのは、コーナー部ではモールドパウダーの入り込みの差や冷却時の収縮の影響が大きいことのために、オシレーションマークが深くなりやすいからである。
【0007】
そこで、本発明は、従来技術が抱えていた、上記問題を解決し、鋳片コーナー部における表面割れを完全に防止することを目的とする。そして本発明は、直送圧延あるいはホットチャージ圧延に耐えうる、表面割れのない健全な鋳片を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、亀裂が成長する前のできるかぎり早い段階で、オシレーションマーク、特に鋳片コーナー部におけるオシレーションマークの凸部を圧下して、平坦化し、凹部のノッチ作用を緩和することが表面割れ防止に極めて有効であることを知見し本発明を完成させた。その要旨構成は、以下のとおりである。
(1)鋳型に注入した溶鋼から、連続鋳造機の曲げ部と矯正部を経て、鋳片を得る連続鋳造鋳片の製造方法において、鋳片のコーナー部に生じたオシレーションマークの凸部を、曲げ部の上方位置で圧下することにより、鋳片コーナー部のオシレーション深さが0.2mm以下になるように平坦化することを特徴とする連続鋳造鋳片の製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明は、連続鋳造機の曲げ部上方で、鋳片コーナー部におけるオシレーションマークの凸部を圧下して平坦化することが重要である。
まず、上記オシレーションマークの平坦化は、オシレーションマークの深さを0.2 mm以下まで低減できれば表面割れを防止するに十分な効果が得られる。通常、オシレーションマークの深さ(凸部の頂点から凹部の底までの距離) は最大でも2mm程度であるので、2mm以上とするのが望ましい。しかし、1mm程度の圧下であっても、オシレーションマークの深さを0.2 mm以下まで低減できれば、十分な表面割れ防止効果が得られる。
【0011】
連続鋳造ラインにおけるオシレーションマークを圧下する位置は、図1の点線で例示するように、連続鋳造機の曲げ部の上方で行うのがよい。というのは、曲げによる亀裂の発生、伝播、成長が起こるなるべく早期に、予め応力集中のもととなるノッチを消滅又は減殺させておくのが有効であるからである。
さらに、オシレーションマークを圧下する際の温度は、圧下効率から、鋳片の表面温度が 500℃以上とするのが好ましく、オーステナイト粒界(γ粒界)への有害析出物の析出を阻止するということを考慮すると、 700℃以上とするのが好ましい。
【0012】
なお、鋳片に圧下を付与する際には、その歪速度は、析出物径が粗大化して高温延性の向上が期待できる、0.01 sec-1以上とすれば、表面割れ防止効果が増大するので望ましい。
圧下の方法については特に限定しないが、平面図で示せば、例えば、図3(a) のように、両側に内側面が外拡がりのテーパー部を具えた糸車状のロール1基でコーナー部2か所を同時に圧下する方法、同図(b) のように、個別ロールにて各コーナー部を圧下する方法、連続的なプレス(鍛圧)による方法などが挙げられる。
【0013】
このようにして、連続鋳造鋳片のコーナー部を曲げ部の上方で圧下して、コーナー部に形成したオシレーションマークの凹凸を平坦化することにより、オシレーションマークに起因するノッチ作用を軽減し、表面割れの発生を防止することができる。その結果、表面割れ発生に伴う熱間における欠陥検出や手入れなどを必要とすることのない、鋳片の直送化が可能となり、直送圧延あるいはホットチャージ圧延が理想的に実施できるようになる。
なお、本発明は、表面割れが問題となる鋼の連続鋳造のすべてに適用できる。とりわけ、C量0.02〜0.22wt%でSi及び/又はMnを含有する低中炭素鋼、また、Al、Nb、V、B、Ti等の合金元素を1wt%以下の範囲で含有する低合金鋼に適用した場合に有効である。また、近年、鋳造技術の開発が盛んな薄スラブの連続鋳造に適用した場合にも極めて大きな効果があることを確認している。
【0014】
【実施例】
以下実施例により、具体的に説明する。
湾曲半径10mの垂直曲げ型連鋳機により、表1に示す成分組成の中炭素鋼で、断面形状が 220mm×1500mmの鋳片を、鋳造速度1.2 〜1.6 m/min で鋳造した。このとき、メニスカス下3mの位置(曲げ部の0.2 m上方)において、スラブの短辺側に、図3(a) に示す糸車状の圧下ロールを設置し、鋳片のコーナー部分を圧下した。ここで、鋳片圧下装置は圧下ロールと油圧シリンダーから構成され、これらは油圧ユニットを経て圧下量を制御可能なものとした。鋳片コーナー部の圧下量は5mm、鋳片コーナー表層部5mmの平均歪量は20%で歪速度は0.25 sec-1であった。
なお、この値は、図4において、VR =27mm/sec, r=45mm, a=5mm, b=21mm, d0 =25mmとしたので、歪量ε=( a/d0 ) ×100 =20、歪速度ε (ドット) = (ε/100)/ (b/VR )=0.25で求められる。
表2に、これら鋳造の条件とその結果を示す。表2から、連続鋳造時に曲げ部の上方でコーナー部を圧下していない通常の鋳造を行った場合には、鋳片コーナー部に多数の表面割れが発生したが、上記圧下を加えた発明法の場合には、鋳片コーナー部における表面割れは皆無であった。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、連続鋳造鋳片のコーナー部における表面割れが回避できるので、表面割れの検出や手入れといった補助的工程を要することなく、連続鋳造から圧延プロセスへ直行させることが可能となる。このため本発明は、生産性の向上や省エネルギー化、ひいてはコスト低減に大きく寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】連続鋳造の工程をを示す摸式図である。
【図2】表面割れの発生機構を示す模式図である。
【図3】鋳片コーナー部の圧下方法を示す平面図である。
【図4】歪量および歪速度を説明するための図である。
【符号の説明】
1 取鍋
2 溶鋼
3 ロングノズル
4 タンディッシュ
5 浸漬ノズル
6 鋳型
7 凝固シェル
8 ガイドロール
9 鋳片
10 ピンチロール
11 モールドパウダー
12 圧下ロール
a 曲げ部
b 矯正部
Claims (1)
- 鋳型に注入した溶鋼から、連続鋳造機の曲げ部と矯正部を経て、鋳片を得る連続鋳造鋳片の製造方法において、鋳片のコーナー部に生じたオシレーションマークの凸部を、曲げ部の上方位置で圧下することにより、鋳片コーナー部のオシレーションマークの深さが0.2mm以下になるように平坦化することを特徴とする連続鋳造鋳片の製造方法。
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