JP4164148B2 - 記録システムおよび記録計 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被測定アナログ入力信号をA/D変換して記録する記録システムおよび記録計に関し、さらに詳しく言えば、複数台の記録計を同期させてそれぞれ異なる被測定アナログ入力信号を記録する記録システムおよび記録計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
記録計には、1チャンネル(CH)型のものから、同一記録紙に複数の波形を多重書きする多チャンネル型まで種々のものがあるが、いずれにしても、その記録計単体で持っているチャンネル数よりも多い波形記録を行なう場合には、その複数台が同期して用いられる。
【0003】
1チャンネル型記録計を例にして説明すると、図15に示すように、この記録計は、入力端子101A,101B、レンジスイッチ102、記録紙送り速度切換えスイッチ103、プリンタ104などの外に、同期運転切換えスイッチ105を備える。この同期運転切換えスイッチ105は、記録計をマスター機に設定するか、スレーブ機に設定するかを切り換えるものである。
【0004】
例えば、2つの波形を記録する場合、図16に示すようにして、2台の記録計M,Nを用いる。すなわち、記録計M,Nの同期運転切換えスイッチ105をそれぞれ操作して、記録計Mをマスター機に設定し、記録計Nをスレーブ機に設定する。また、記録計Mと記録計Nとの間を信号線CBで接続する。信号線CBは、記録計Mのスタート信号を記録計Nに送信するための接続線である。
【0005】
このような設定および接続が終了して、マスター側の記録計Mをスタートさせると、記録計Mが記録動作を開始すると同時に、記録計Mからスレーブ側の記録計Nにスタート信号が送信される。これにより、記録計Nは同様に記録動作を開始する。こうして、1CH記録型の記録計M,Nによって、2つの波形を連動して記録することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、スレーブ側に設定された記録計Nのサンプリングタイミングがずれるという課題が発生する。すなわち、記録計M,Nは、それぞれ内部クロックからサンプリングタイミングパルスを生成し、その各サンプリングタイミングパルスにて、アナログ信号をディジタル信号に変換している。
【0007】
そのため、たとえスタート時点では同期がとれていても、記録時間の経過に伴なって内部クロックのずれが次第に蓄積し、サンプリングタイミングが大きくずれてしまうおそれがある。
【0008】
また、同期運転するにあたっては、その記録計同士を同期用の信号線CBで接続したり、同期運転切換えスイッチ105にてマスター機、スレーブ機の別を設定する必要があり、その操作が煩わしく面倒でもある。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的は、スレーブ側の記録計がマスター側の記録計と連動して記録動作をするとき、サンプリングタイミングのずれがスレーブ側で発生することを防ぐことができる記録システムおよび記録計を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、複数台の記録計を同期運転させるにあたって、同期用信号線を用いることなく、その各記録計を直結接続できるとともに、その接続作業に伴なってマスター機、スレーブ機の別が設定されるようにした記録システムおよび記録計を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、マスター側記録計およびこれと連動するスレーブ側記録計を含み、これら各記録計を同期させてそれぞれ異なる被測定アナログ信号をA/D変換して記録する記録システムにおいて、上記マスター側記録計は、基準クロックから生成されるサンプリングタイミングパルスと、同サンプリングタイミングパルスと同期がとられ、かつ、同一周期である所定デューティ比の伝送信号とを有し、記録スタート信号に基づいて、上記サンプリングタイミングパルスにより上記被測定アナログ信号のA/D変換を開始するとともに、上記記録スタート信号の前後において上記伝送信号のデューティ比を変えて同伝送信号を上記スレーブ側記録計に送信し、上記スレーブ側記録計は、上記伝送信号に基づいて上記と同じサンプリングタイミングパルスを復元するとともに、上記伝送信号のデューティ比の変化を検知して自機の記録スタート信号を生成し、その記録スタート信号に基づいて上記サンプリングタイミングパルスにより上記被測定アナログ信号のA/D変換を開始することを特徴としている。
【0012】
本発明において、上記マスター側の記録計と上記スレーブ側の記録計は、同期用信号線によって接続されてもよいが、フォトカプラで伝送信号を送受信することが好ましい。
【0013】
より好ましくは、上記フォトカプラを構成する発光素子および受光素子のいずれか一方が上記マスター側記録計の側壁部に設けられ、いずれか他方が上記スレーブ側記録計の側壁部に設けられ、上記マスター側記録計と上記スレーブ側記録計とがそれらの各側壁部を対向させて着脱可能に連結されるようにするとよく、これによれば、同期用信号線を用いることなく、記録計同士を直結することができる。
【0014】
また、上記目的を達成するため、本発明は、複数の記録計の内の一台をマスター機とし、他の記録計をスレーブ機として、それらを同期させてそれぞれ異なる被測定アナログ信号をA/D変換して記録する際に、そのマスター機もしくはスレーブ機として用いられる記録計において、マスター機もしくはスレーブ機のいずれかを設定する設定手段と、A/D変換用のサンプリングタイミングパルスを生成する手段と、そのサンプリングタイミングパルスと同期がとられ、かつ、同一周期である所定デューティ比の伝送信号を相手機に送信するとともに、記録スタート信号の前後においてその伝送信号のデューティ比を変化させる送信手段と、上記伝送信号を受信してA/D変換用のサンプリングタイミングパルスを復元するとともに、上記伝送信号のデューティ比の変化を検知して記録スタート信号を生成する受信手段とを含み、上記設定手段がマスター機に設定されているときには、上記送信手段を動作状態とする一方で上記受信手段を非動作状態とし、上記設定手段がスレーブ機に設定されているときには、上記受信手段を動作状態とする一方で上記送信手段を非動作状態とすることを特徴としている。
【0015】
この場合においても、上記送信手段および上記受信手段の接続手段としては、フォトカプラが好ましく採用される。これによれば、フォトカプラを構成する発光素子および受光素子のいずれか一方の素子を記録計の側壁部に設けることにより、記録計同士を直結することができるばかりでなく、その側壁部にフォトカプラ素子を開閉するカバーを設け、同カバーが開とされた場合に自機をスレーブ機として認識するようにすることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の技術的思想をよりよく理解するために、図面を参照しながら、その好適な実施例について説明する。
【0017】
図1の記録計は、記録システムに用いられるものであり、入力部1、A/Dコンバータ2、記録紙送り速度切換えスイッチ3、マスター・スレーブの別を切り換える運転切換えスイッチ4、スタート指示手段としてスタートスイッチ5、CPU(Central Processing Unit)6、プリンタ7、クロック発生部8、信号発生部9、送信部10、受信部11および信号復元部12を備える。
【0018】
この実施例1では、入力部1、A/Dコンバータ2およびCPU6が制御手段を構成し、信号発生部9と送信部10とが送信手段を構成し、受信部11と信号復元部12とが受信手段を構成する。
【0019】
入力部1は、図2に示すように、端子1A,1Bおよびレンジスイッチ1Cを備える。端子1A,1Bは、外部装置(図示を省略する)などからのアナログ信号を入力信号として加えるためのものである。レンジスイッチ1Cは、使用者等によって操作されるものであり、端子1A,1Bに加えられたアナログ信号のレベルを調整して、A/Dコンバータ2に加える。
【0020】
A/Dコンバータ2は、CPU6の制御によって、入力部1からのアナログ信号をディジタル信号に変換する。信号変換に際して、A/Dコンバータ2は、信号発生部9からのサンプリング信号または信号復元部12からのサンプリング信号を用いて、アナログ信号をサンプリングする。すなわち、A/Dコンバータ2は、サンプリングした信号をデジタルに変換し、各タイミングパルスが示すそれぞれの時点で、アナログ信号の大きさを示す記録データを発生し、この記録データをバス13に出力する。
【0021】
記録紙送り速度切換えスイッチ3は、使用者等によって操作されるツマミ3Aを備える。ツマミ3Aは、プリンタ7による波形の記録スピードを切り換えるためのものである。
【0022】
運転切換えスイッチ4は、使用者等によって操作されるものである。運転切換えスイッチ4の操作により、記録計をマスター側に設定するか、またはスレーブ側に設定するかを切り換えることができる。運転切換えスイッチ4は、切り換えを示す運転切換え信号をバス13に出力する。
【0023】
スタートスイッチ5は、記録計の記録動作を開始するときに、使用者等によって操作される。使用者等の操作によって、スタートスイッチ5は、図3に示すように、ハイレベルのスタート信号aを発生し、このスタート信号aをバス13に出力する。
【0024】
プリンタ7は、波形を記録紙7Aに記録する。波形の記録に際して、プリンタ7は、CPU6の記録制御によって、記録紙送り速度切換えスイッチ3に設定された記録スピードで、A/Dコンバータ2からの記録データが示す波形を記録する。
【0025】
クロック発生部8は、クロックパルスを発生し、発生した各クロックパルスを基準クロックとして、バス13を通してCPU6と信号発生部9とに加える。信号発生部9は、サンプリング信号や伝送信号を発生するものであり、図4に示すように、タイミング生成回路9Aと伝送信号生成回路9Bとを備え、さらに、伝送信号生成回路9Bは、充電信号発生器9Cとパルス発生器9Dとを備える。
【0026】
タイミング生成回路9Aは、クロック発生部8が発生した基準クロックを分周して、サンプリングタイミングパルスを生成し、その各サンプリングタイミングパルスをタイミング信号bとする。タイミング生成回路9Aは、発生したタイミング信号bを充電信号発生器9Cに加える。
【0027】
また、タイミング生成回路9Aは、スタートスイッチ5からハイレベルのスタート信号aを受け取ると、スタート信号aがハイレベルになった時点から2つ目以降に発生するタイミング信号bの各タイミングパルスをサンプリング信号cとする。タイミング生成回路9Aは、発生したサンプリング信号cを、バス13を通してA/Dコンバータ2に加える。
【0028】
充電信号発生器9Cは、例えば、コンデンサと抵抗とを具備する回路である。充電信号発生器9Cは、図5に示すように、タイミング生成回路9Aからのタイミング信号bに同期する期間Tで、抵抗によって決められる充電速度でコンデンサを充電し、この後、高速で放電する。そして、充電信号発生器9Cは、各期間Tで充放電を繰り返し、コンデンサに発生する充電電圧を充電信号d1とする。
【0029】
スタート信号aがハイレベルになると、充電信号発生器9Cは、異なる充電速度でコンデンサを充電して、充電信号d1を生成する。充電信号発生器9Cは、こうして生成した充電信号d1をパルス発生器9Dに加える。
【0030】
パルス発生器9Dは、充電信号d1から伝送信号dを発生する。すなわち、パルス発生器9Dには、基準電圧Vtが設定されている。パルス発生器9Dは、充電信号d1が基準電圧Vtに比べて低いときにパルスを発生する。これにより、パルス発生器9Dは、スタート信号aがロウレベルであるとき、幅T1のパルスを各期間Tで発生し、スタート信号aがハイレベルであるとき、幅T2のパルスを各期間Tで発生する。
【0031】
この結果、パルス発生器9Dは、スタート信号aの状態に応じて、デューティ比の異なるパルスを発生する。パルス発生器9Dは、こうして生成した各パルスによる信号を、伝送信号dとして送信部10に加える。
【0032】
送信部10は、信号発生部9からの伝送信号dを送信する。このために、送信部10には、電気信号を流すための信号線が接続可能である。送信部10は、伝送信号dに対する増幅等の処理をし、処理を終了した伝送信号dを信号線に送信する。
【0033】
受信部11は、伝送信号dを受信する。このために、受信部11には、送信部10に接続される信号線が接続可能である。受信部11は、受信した信号を伝送信号eとして信号復元部12に加える。
【0034】
信号復元部12は、信号発生部9のスタート信号aやサンプリング信号cを復元するものであり、図6に示すように、信号処理回路12A、信号復元回路12B,12Dおよびタイミング生成回路12Cを備え、さらに、タイミング生成回路12Cは、位相検出器12E、フィルタ12Fおよび電圧制御発振器12Gを備える。
【0035】
信号処理回路12Aは、受信部11からの伝送信号eに対して増幅等の処理を行い、この処理を終了した伝送信号eを、信号復元回路12Bと位相検出器12Eとに加える。
【0036】
タイミング生成回路12Cは、PLL(Phase Locked Loop)によって信号発生部9のタイミング信号bを復元するものである。タイミング生成回路12Cの位相検出器12Eは、信号処理回路12Aからの伝送信号eの立ち上がりと、電圧制御発振器12Gからの発振信号の立ち上がりとを比較し、2つの立ち上がりの差に応じた検出信号を生成する。位相検出器12Eは、生成した検出信号をフィルタ12Fに加える。
【0037】
フィルタ12Fは、位相検出器12Eの検出信号から高域成分を除き、直流信号を生成する。この直流信号は、伝送信号eの立ち上がりと発振信号の立ち上がりとの差に応じたものになる。フィルタ12Fは、生成した直流信号を電圧制御発振器12Gに加える。
【0038】
電圧制御発振器12Gは、フィルタ12Fからの直流信号によって、パルスを発振する。このとき、伝送信号eの立ち上がりと発振信号の立ち上がりとが同じであることを示す直流信号が加えられたとき、伝送信号eの立ち上がりのタイミングと同期するパルスを発振するように、電圧制御発振器12Gがあらかじめ設定されている。電圧制御発振器12Gは、こうして生成した各パルスによる信号を、タイミング信号fとして信号復元回路12B,12Dにそれぞれ加える。タイミング信号fは、信号発生部9のタイミング生成回路9Aが生成したタイミング信号bと同期することになる。
【0039】
信号復元回路12Bは、電圧制御発振器12Gが生成したタイミング信号fに同期して動作し、信号処理回路12Aからの伝送信号eによってスタート信号gを復元する。すなわち、信号復元回路12Bは、伝送信号eのパルスの立ち上がりと立ち下がりとから、伝送信号eのパルス幅を調べる。
【0040】
調べたパルス幅が信号復元回路12Bにあらかじめ設定されている設定値に比べて大きくなると、信号復元回路12Bは、スタート信号aが発生したとして、幅が広くなった、最初のパルスの立ち下がりのタイミングで、スタート信号gをハイレベルにする。
【0041】
信号復元回路12Dは、信号復元回路12Bからのスタート信号gと、電圧制御発振器12Gからのタイミング信号fとを用いて、サンプリング信号hを復元する。
【0042】
すなわち、信号復元回路12Dは、スタート信号gがロウレベルからハイレベルに変わったときに、変化の発生時点から後に発生する、タイミング信号fの各パルスをサンプリング信号hとする。
【0043】
このとき、信号発生部9は、スタートスイッチ5からハイレベルのスタート信号aを受け取ると、ハイレベルになった時点から2つ目以降に発生する、タイミング信号bの各タイミングパルスをサンプリング信号cとするので、信号復元回路12Dが復元するサンプリング信号hは、信号発生部9が発生するサンプリング信号cと同じになる。
【0044】
CPU6は、クロック発生部8からのクロックで動作し、記録計に関する各種の制御をする。例えば、A/Dコンバータ2が記録データを出力すると、CPU6は、プリンタ7に対して次のような記録制御を行う。すなわち、CPU6は、スピード切換えスイッチ3に設定された記録スピードで、A/Dコンバータ2からの記録データに基づいて、波形を記録するように制御する。
【0045】
運転切換えスイッチ4からの運転切換え信号がマスター側の設定を示す場合、スタートスイッチ5からハイレベルのスタート信号aを受け取ると、CPU6は、マスター側の記録制御を始める。すなわち、CPU6は、スタート信号aを信号発生部9に加えると共に、A/Dコンバータ2を制御して、アナログ信号をディジタル信号に変換するようにする。このとき、CPU6は、信号発生部9を制御して、信号発生部9が発生したサンプリング信号cをA/Dコンバータ2に加えるようにし、また、プリンタ7に対して記録制御をする。
【0046】
また、運転切換えスイッチ4からの運転切換え信号がスレーブ側の設定を示す場合、信号復元部12がハイレベルのスタート信号gを出力すると、CPU6は、スレーブ側の記録制御を始める。すなわち、CPU6は、信号復元部12を制御して、信号復元部12が復元したサンプリング信号hをA/Dコンバータ2に加えるようにし、また、プリンタ7に対して記録制御をする。
【0047】
次に、この実施例1の動作について説明する。2つの記録計を同期して使用する場合、使用者等は、図7に示すように、例えば記録計Aの送信部10と記録計Bの受信部11との間に、信号線CBを接続し、記録計Aの運転切換えスイッチ4をマスター側に設定し、記録計Bの運転切換えスイッチ4をスレーブ側に設定する。また、使用者等は、記録計A,Bの端子1A,1Bにそれぞれアナログ信号を加え、レンジスイッチ1Cやツマミ3Aを操作して、レンジの切り換えや記録スピードの設定をする。
【0048】
この後、使用者等が、マスター側の記録計Aのスタートスイッチ5を操作すると、スタートスイッチ5がスタート信号aを出力する。これにより、CPU6は、信号発生部9が発生したサンプリング信号cによる、マスター側の記録制御を開始する。この記録制御によって、プリンタ7が記録計Aに加えられたアナログ信号の波形を記録する。また、スタート信号aが信号発生部9に加えられると、信号発生部9は、タイミング信号bのデューティ比を変えて、伝送信号dを発生し、伝送信号dを送信部10に加える。送信部10は、伝送信号dを信号線CBに送信する。
【0049】
スレーブ側の記録計Bの受信部11は、信号線CBからの受信した伝送信号eを信号復元部12に加える。信号復元部12は、伝送信号eのパルス幅から、スレーブ側と同期するタイミング信号fを復元し、また、パルスの変化から、スタート信号gを復元する。また、信号復元部12は、復元したタイミング信号fとスタート信号gから、マスター側cと同期するサンプリング信号hを復元する。
【0050】
記録計Bの信号復元部12がスタート信号gを出力すると、CPU6は、信号復元部12からのサンプリング信号hによる、スレーブ側の記録制御を開始する。この記録制御によって、プリンタ7は、記録計Bに加えられたアナログ信号の波形を、記録計Aと同期して記録する。
【0051】
このようにして、本発明によれば、スレーブ側の記録計Aがタイミング信号bと共にスタート信号aも記録計Bに送信し、スレーブ側の記録計がスタート信号aを復元すると共に、タイミング信号bに同期するサンプリング信号hを復元して用いる。これにより、スレーブ側の記録計Bでは、マスタ側の記録計Aのサンプリングタイミングとのずれが発生することを防ぐことができる。
【0052】
次に、図8に示されている実施例2について説明する。なお、先に説明した図1の記録計と同一もしくは同一と見なされる構成要素には、それと同じ参照符号が付けられている。
【0053】
図8の記録計は、図1の記録計が備える運転切換えスイッチ4を省略している。また、図8の記録計は、図1の記録計が備えるCPU6、送信部10および受信部11の代わりに、CPU21、送信部22および受信部23を備え、検出器24が新たに設けられている。
【0054】
送信部22は、信号発生部9からの伝送信号dを光で送信する。このために、送信部22は、図9に示すように、電気回路等を内部に備える収納ケース50の底板51に設置されている。
【0055】
すなわち、送信部22は、図10に示すように、遮光性を持つ樹脂製の収容体22Aを備える。収容体22Aは、収納ケース50の内側に位置するように設置されている。収容体22Aには、底板51に空けられている開口51Aと向かい合うように、凹部22Bが設けられ、凹部22Bの底部には、発光素子22Cが取り付けられている。発光素子22Cは、信号発生部9からの伝送信号dを、光の伝送信号dに変換し、光の伝送信号dを底板51の開口51Aから外に送信する。
【0056】
このほかに、収容体22Aには、底板51に空けられている開口51Bと向かい合うように、凹部22Dが設けられ、互いに離れて底板51に空けられている、2つの開口51Cを貫通するように、半球形状の突起部22Eがそれぞれ設けられている。
【0057】
受信部23は、光に変換された伝送信号dを受信する。このために、受信部23は、収納ケース50の天井板52に設置されている。天井板52には、底板51の開口51A〜51Cと同形状および同位置に、図11に示すように、開口52A〜52Cが空けられている。
【0058】
受信部23は、遮光性を持つ樹脂製の収容体23Aを備える。収容体23Aは、収納ケース50の内側に位置するように、天井板52に設置されている。収容体23Aには、開口52Aと向かい合うように、凹部23Bが設けられ、凹部23Bの底部には、受光素子23Cが取り付けられている。
【0059】
受光素子23Cは、別の記録計の送信部22から送信される、光の伝送信号dを受信すると、受信した信号を電気信号に変換して、伝送信号eを発生する。そして、受光素子23Cは、伝送信号eを信号復元部12に加える。
【0060】
収容体23Aには、開口52Bと向かい合うように、かつ、開口52Bより長い凹部23Dが設けられている。凹部23B側に位置する、凹部23Dの側壁には、スライドドア23Eが取り付けらている。スライドドア23Eは、凹部23D内を矢印M方向およびにその逆方向に動かすことが可能である。
【0061】
スライドドア23Eは、凹部23B側に位置しているとき、すなわち、図11に示す状態にあるとき、受光素子23Cを遮光状態にする。また、矢印M方向に動かされたとき、スライドドア23Eは、受光素子23Cを受光状態にする。天井板52から突出した、スライドドア23Eの部分が、遮光状態または受光状態にするために、使用者等によって操作されるツマミである。
【0062】
スライドドア23Eが取り付けられている側壁と向かい合う、凹部23Dの側壁には、検出器24が設置されている。検出器24は、図1の運転切換えスイッチ4に相当し、マスター側またはスレーブ側を切り換える。
【0063】
このために、検出器24には、スライドドア23Eと向かい合って、可動片24Aが設けられている。スライドドア23Eが遮光状態であると、可動片24Aがスライドドア23Eと接触しない。このとき、検出器24は、ロウレベルの検出信号をCPU21に加える。また、スライドドア23Eが受光状態であると、可動片24Aがスライドドア23Eによって矢印M方向方向に押される。このとき、検出器24は、ハイレベルの検出信号をCPU21に加える。
【0064】
このほかに、収容体23Aには、天井板52に空けられている、2つの開口52Cと向かい合うように、かつ、収容体22Aの突起部22Eが入る程度の、半球形状の凹部23Fがそれぞれ設けられている。
【0065】
CPU21は、実施例1のCPU6が行う、記録計に関する各種の制御のほかに、次の制御を行う。すなわち、検出器24からの検出信号がロウレベルであるとき、スタートスイッチ5からハイレベルのスタート信号aを受け取ると、CPU21は、図1のCPU6と同じように、マスター側の記録制御を始める。また、検出器24からの検出信号がハイレベルであるとき、スタートスイッチ5からハイレベルのスタート信号aを受け取ると、CPU21は、図1のCPU6と同じように、スレーブ側の記録制御を始める。
【0066】
次に、この実施例2の動作について説明する。2つの記録計を同期して使用する場合、使用者等は、スレーブ側として使用する記録計のスライドドア23Eを操作して、受光素子23Cを受光状態にする。
【0067】
この後、使用者等は、図12に示すように、スレーブ側に設定した記録計Cの天井板に、マスター側として用いる記録計Dを置く。このとき、図13に示すように、記録計Dの突起部22Eと記録計Cの凹部23Fとによって、開口51Aの位置が開口52Aの位置に合わせられ、発光素子22Cが受光素子23Cと向かい合うことになる。同時に、スライドドア23Eのツマミが凹部22Dに入るので、記録計Dの底板51が、記録計Cの天井板52に対して密着状態になる。この結果、受光素子23Cは、外来光の影響を受けることなく、発光素子22Cが送信する光の伝送信号dだけを受信する。
【0068】
この後、使用者等がマスター側に設定された記録計Dのスタートスイッチ5を操作すると、スレーブ側に設定された記録計Cは、記録計Dと同期して記録動作をする。
【0069】
このようにして、本発明によれば、発光素子22Cと受光素子23Cとを収納ケース50に設けたので、伝送信号dを送信するための配線を不要にすることができる。これにより、使用者等が配線用の信号線の携帯を忘れたときでも、複数の記録計を用いた同期運転が可能になる。
【0070】
なお、実施例1では、送信部10と受信部11とに対して信号線CBを接続可能にして、送信部10と受信部11とが電気信号の伝送信号dを送受信したが、伝送信号dを次のようにして送受信してもよい。すなわち、送信部10と受信部11とに対して光ファイバを接続可能にし、送信部10と受信部11とは、光の伝送信号dを光ファイバを通して送受信する構成としてもよい。
【0071】
また、実施例2では、送信部22を収納ケース50の底板51に設置し、受信部23を天井板52に設置したが、設置場所を収納ケース50の側壁にしてもよい。これにより、記録計を並べて置くことができる。
【0072】
さらに、実施例2では、2つの記録計の同期運転が可能であるが、CPU21の制御を次のように若干変更すれば、3つ以上の記録計の同期運転が可能に成る。すなわち、検出器24からの検出信号がハイレベルであるとき、スタートスイッチ5からハイレベルのスタート信号aを受け取ると、CPU21がスレーブ側の記録制御を始める。
【0073】
同時に、CPU21は、信号復元部12が復元したスタート信号gおよびサンプリング信号hを、送信部22に直接加える制御を付加する。これにより、図14に示すように、記録計Dの上に記録計Eを設置すれば、記録計C〜Dの同期運転を可能にする。
【0074】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明の記録システムによれば、マスター側の記録計からスレーブ側の記録計に、サンプリングのタイミングとスタートを示す信号とを送受信することができる。この結果、サンプリングタイミングのずれがスレーブ側の記録計に発生することを防ぐことができる。
【0075】
また、本発明の記録計によれば、設定手段に対する設定により、記録計をマスター側またはスレーブ側として用いることを可能にする。この結果、1種類の記録計だけを用いて、記録計の同期運転を可能にし、かつ、サンプリングタイミングのずれがスレーブ側の記録計に発生することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1による記録計を示すブロック図。
【図2】実施例1による記録計の外観図。
【図3】実施例1による記録計の波形図。
【図4】実施例1による信号発生部のブロック図。
【図5】実施例1による伝送信号生成回路の動作を示す波形図。
【図6】実施例1による信号復元部のブロック図。
【図7】実施例1による記録計の接続を示す外観図。
【図8】本発明の実施例2による記録計を示すブロック図。
【図9】実施例2による記録計の外観を示す外観図。
【図10】実施例2による送信部を示す断面図。
【図11】実施例2による受信部を示す断面図。
【図12】実施例2による記録計の設置の様子を示す外観図。
【図13】実施例2による記録計の設置の様子を示す断面図。
【図14】実施例2による記録計の設置の様子を示す外観図。
【図15】従来の記録計を示す外観図。
【図16】従来の記録計の接続を示す外観図。
【符号の説明】
1 入力部
2 A/Dコンバータ
3 記録紙送り速度切換えスイッチ
4 同期運転切換えスイッチ
5 スタートスイッチ
6 CPU
7 プリンタ
8 クロック発生部
9 信号発生部
10 送信部
11 受信部
12 信号復元部
13 バス

Claims (7)

  1. マスター側記録計およびこれと連動するスレーブ側記録計を含み、これら各記録計を同期させてそれぞれ異なる被測定アナログ信号をA/D変換して記録する記録システムにおいて、
    上記マスター側記録計は、基準クロックから生成されるサンプリングタイミングパルスと、同サンプリングタイミングパルスと同期がとられ、かつ、同一周期である所定デューティ比の伝送信号とを有し、記録スタート信号に基づいて、上記サンプリングタイミングパルスにより上記被測定アナログ信号のA/D変換を開始するとともに、上記記録スタート信号の前後において上記伝送信号のデューティ比を変えて同伝送信号を上記スレーブ側記録計に送信し、
    上記スレーブ側記録計は、上記伝送信号に基づいて上記と同じサンプリングタイミングパルスを復元するとともに、上記伝送信号のデューティ比の変化を検知して自機の記録スタート信号を生成し、その記録スタート信号に基づいて上記サンプリングタイミングパルスにより上記被測定アナログ信号のA/D変換を開始することを特徴とする記録システム。
  2. 上記マスター側記録計から上記スレーブ側記録計への上記伝送信号の送信がフォトカプラを介して行なわれることを特徴とする請求項1に記載の記録システム。
  3. 上記フォトカプラを構成する発光素子および受光素子のいずれか一方が上記マスター側記録計の側壁部に設けられ、いずれか他方が上記スレーブ側記録計の側壁部に設けられ、上記マスター側記録計と上記スレーブ側記録計とがそれらの各側壁部を対向させて着脱可能に連結されることを特徴とする請求項2に記載の記録システム。
  4. 複数の記録計の内の一台をマスター機とし、他の記録計をスレーブ機として、それらを同期させてそれぞれ異なる被測定アナログ信号をA/D変換して記録する際に、そのマスター機もしくはスレーブ機として用いられる記録計において、
    マスター機もしくはスレーブ機のいずれかを設定する設定手段と、A/D変換用のサンプリングタイミングパルスを生成する手段と、そのサンプリングタイミングパルスと同期がとられ、かつ、同一周期である所定デューティ比の伝送信号を相手機に送信するとともに、記録スタート信号の前後においてその伝送信号のデューティ比を変化させる送信手段と、上記伝送信号を受信してA/D変換用のサンプリングタイミングパルスを復元するとともに、上記伝送信号のデューティ比の変化を検知して記録スタート信号を生成する受信手段とを含み、
    上記設定手段がマスター機に設定されているときには、上記送信手段を動作状態とする一方で上記受信手段を非動作状態とし、
    上記設定手段がスレーブ機に設定されているときには、上記受信手段を動作状態とする一方で上記送信手段を非動作状態とすることを特徴とする記録計。
  5. 上記送信手段および上記受信手段は、フォトカプラを介して互いに接続されることを特徴とする請求項4に記載の記録計。
  6. 相手機と接合される側壁部に、上記フォトカプラを構成する発光素子および受光素子のいずれか一方の素子が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の記録計。
  7. 上記側壁部にはその素子を開閉するカバーが設けられており、同カバーが開とされた場合に自機をスレーブ機として認識することを特徴とする請求項6に記載の記録計。
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