JP4162510B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、負極活物質としてケイ素を利用した非水電解質二次電池に関する。
【従来の技術】
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池は、高いエネルギー密度を有しかつ高容量であるので、移動情報端末等の駆動電源として有用である。
このようなリチウムイオン電池の負極には、従来、リチウムイオンを吸蔵・放出することのできる炭素材料が使用され、正極には複合金属酸化物が使用されている。この構成の電池は、リチウムが金属状態で存在しないので安全性に優れ、リチウムデンドライトが生じないので、サイクル特性に優れているという長所を有する。
【0002】
しかしながら、近年、携帯電話やノートパソコン等の移動情報端末の小型・軽量化が急速に進展しており、その電源としての電池にはさらなる高容量化が要求されており、このような現状から、負極活物質に炭素材料を用いた上記構成のリチウムイオン電池の電池容量は十分でない。
【0003】
そこで、炭素材料よりも充放電容量を大きくできる可能性を有するケイ素が負極活物質として注目され、種々な検討が行われている。ところが、ケイ素は、黒鉛等の炭素材料に比較し負荷特性が悪いといった問題や、充放電に伴う体積変化が大きく、サイクルの進行に伴って電池が膨張収縮するといった問題、集電体からケイ素が脱落するためサイクル特性が劣化し易いといった問題を有しており、未だ十分な性能の電池を開発できていない。
【0004】
このため、このようなケイ素の弱点を補うために、ケイ素と炭素材料とを組み合わせて用いることにより、負荷特性を改善する試みがなされている。しかし、この方法によると電池のサイクル特性が劣化する等のため、期待したような電池容量が得られていない。なぜなら、ケイ素は炭素材料より充電時の電位が高いため、リチウムイオンがケイ素に優先的に吸蔵される結果、炭素材料が電池容量を確保する活物質としてほとんど寄与しなくなるからである。
【0005】
他方、負極集電体の一方面に黒鉛を塗布し、他方面にハードカーボンや非晶質酸化物等の非黒鉛材料を塗布した負極を用い、この負極の各々の面に正極を対向配置することにより電池容量を高めようとする技術が提案されている(特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−210316号公報(第2−3頁)
【0007】
この技術によると、黒鉛層とこれに対向する正極との間、及び非黒鉛材料からなる層とこれに対向する正極との間で、それぞれリチウムイオンの吸蔵・放出が行われるため、各々の活物質の長所を引き出すことができるので、高容量で電圧平坦性の高い電池を実現することができるとされる。しかし、この技術により、高容量で電圧平坦性の高い電池を実現するためには、電池の充放電を複数の充放電整流器を用いて制御しなければならない。このため、この技術には充放電システムが複雑化し電池製造コストが上昇するという問題がある。
【0008】
更に、この技術で使用されている黒鉛や、ハードカーボンや非晶質酸化物等の非黒鉛材料は、ケイ素に比べて充放電容量が小さいため、ケイ素を用いた電池ほどには電池容量を高めることができない。その一方、この技術にケイ素を組み合わせると、充放電に伴うケイ素の体積変化によって電池が大きくふくれるといった問題や、ケイ素の体積変化によってケイ素相互及び負極集電体とケイ素との接触性が劣化し、サイクル特性が低下するという問題が生じる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上の事情に鑑みなされたものであって、負極活物質としてケイ素を用いることにより単位体積当たりの電池容量を高めるとともに、ケイ素に原因する電池の膨張やサイクル寿命の短さを改善し得た非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材料を充填した多孔性金属基体と、ケイ素を充填した多孔性金属基体とが重ね合わされ、前記金属基体同士が接合されてなる複合負極板と、前記複合負極板の各々の面にそれぞれ対向するように配置された一対の正極板と、正負電極板の間に配置された電解質と、を含んでなるセル基本単位を備えた非水電解質二次電池であることを特徴とする。
【0011】
この構成によると、負極活物質として炭素材料とともに、炭素より理論容量の大きいケイ素が用いられているため、単位体積当たりの電池容量及び単位重量当たりの電池容量の双方を高めることができる。また、ケイ素はリチウムイオンの吸蔵・放出に伴い大きく体積変化するのであるが、上記構成ではケイ素の充填された多孔性金属基体がケイ素の体積変化を吸収する。このため、電極板からケイ素が脱落しにくく、サイクル劣化が生じない。また、上記構成ではケイ素と炭素材料が併用されており、ケイ素単独で負極容量を賄う場合に比べてケイ素量が少なくて済む。また、上記構成ではケイ素の充填された多孔性金属基体と炭素材料の充填された多孔性金属基体が接合されており、炭素材料の充填された多孔性金属基体もケイ素の体積変化を吸収する。したがって、上述した作用効果が相まって電池の膨張が十分に抑制されることになる。
【0012】
他方、炭素材料とケイ素を併用すると、充電時にケイ素が優先的にリチウムイオンを吸蔵するため、炭素材料がリチウムイオンの吸蔵に関与しなくなり、結果として電池容量の低下を招くという問題があるが、上記構成においては、負極板中で炭素材料とケイ素が分離されており、炭素材料の充填されている多孔性金属基体と、ケイ素の充填されている多孔性金属基体のそれぞれに対向させて正極板が配置されているので、このような問題が解消される。つまり、上記構成によると、炭素材料とケイ素との双方が負極活物質として十分に機能するので、負極活物質として炭素材料のみを用いた電池に比較し電池容量を大きくでき、負極活物質としてケイ素のみ用いた電池に比較しサイクル特性を格段に向上させることができる。
【0013】
ここで、上記本発明リチウムイオン電池においては、前記セル基本単位に、正負電極板が互いに対向するようにして、前記複合負極板と前記正極板とからなるセル追加単位を更に1単位以上積層することができる。
【0014】
ケイ素は黒鉛等の炭素材料よりも電気容量が大きいため、ケイ素と炭素材料を併用した複合負極板は炭素材料単独の負極板に比較し、体積当たりのエネルギー密度が高い。したがって、このような複合負極板と正極板とが交互に複数積層され、複合負極板の両面に必ず正極板が位置するようにした上記構成であると、高容量でコンパクトなリチウムイオン電池が実現でき、しかも極板の積層数に対応して容量が大きくなるので高容量化しても集電効率の低下がなく、正負極の表面積が大きくなる。すなわち、上記構成によると、高レート放電特性に優れた高容量でコンパクトなリチウムイオン電池が実現できる。
【0015】
また、上記本発明リチウムイオン電池においては、前記複合負極板の多孔性金属基体同士が電気抵抗溶接により接合された構成とすることができる。
【0016】
多孔性金属基体同士を直接電気抵抗溶接してなる複合負極板であると、多孔性金属基体同士の電気的一体性が良いので、集電効率がよい。
【0017】
また、前記炭素材料を充填した多孔性金属基体と、前記ケイ素を充填した多孔性金属基体の少なくとも一方の厚みが、0.10mm以上0.20mm以下である構成とすることができる。
【0018】
電気抵抗溶接により接合する場合、その接合のしやすさは多孔性金属基体の厚みに大きく影響を受け、接合する多孔性金属基体の両方の厚みが0.20mmより大きいと、溶接が困難になるため好ましくない。その一方、0.10mm以下であると、負極活物質を十分に充填できなくなる。よって、上記範囲内に規制されていることが好ましい。
【0019】
また、上記本発明リチウムイオン電池においては、前記多孔性金属基体が発泡金属体からなり、前記炭素材料が黒鉛からなる構成とすることができる。
【0020】
発泡金属体は三次元的空間を多数有するので、負極活物質を高密度に充填でき、しかもこの空間はその内部に充填された活物質の膨張を金属の伸張や空間形状の変形により吸収することができる。したがって、ケイ素の膨張収縮に起因して負極活物質が負極から脱落するといったことがない。また、黒鉛は比較的容量が大きく電圧平坦性がよいので、前記炭素材料として黒鉛を用いると、コンパクト、高容量で電圧平坦性に優れた非水電極質二次電池を実現することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図面に基づいて以下に詳細に説明する。なお、本発明は下記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更することが可能である。
【0022】
図1は本発明の実施の形態に係るコイン型の非水電解質二次電池の断面図、図2は非水電解質二次電池の正極の平面図、図3は非水電解質二次電池の正極集電体の平面図、図4は非水電解質二次電池の負極板Aの平面図、図5は非水電解質二次電池の負極の平面図、図6は非水電解質二次電池のセパレータの平面図である。
【0023】
図1に示すように、本発明の非水電解質二次電池は、セパレータ3を介して正極1と負極2とが対向してなる電極体を有している。この電極体は負極缶6と正極缶5との間にある空間に配置されている。正極1は正極缶5に、負極2は負極缶6にそれぞれ接続され、電池内部で生じた化学エネルギーを電気エネルギーとして外部へ取り出し得るようになっている。
【0024】
また、負極缶6と正極缶5との間にある空間には、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートが混合された非水溶媒に、LiPF6が1M(モル/リットル)の割合で溶解された電解液が注入されている。また、前記セパレータは、有機溶媒との反応性が低く、安価なオレフィン系樹脂からなる微多孔膜(厚み:0.025mm)から構成されている。
【0025】
図5に示すように、前記負極2は、図4に示す円形の負極板が2つ並んだ形状の黒鉛が充填された多孔性金属基体からなる負極板A(2a)の一方の円形負極板と、ケイ素充填された多孔性金属基体からなる負極板B(2b)とが、抵抗溶接により接合され複合負極板が形成されており、図1に示すように各負極板の対向する位置に正極板が配置されている。
【0026】
正極材料としては、リチウム含有遷移金属複合酸化物を単独で、あるいは二種以上混合して用いることができる。具体例として、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、鉄酸リチウム、またはこれらの酸化物に含まれる遷移金属の一部を他の元素で置換した酸化物等があげられる。また、リチウム含有オリビン型リン酸化合物を用いることもできる。
【0027】
また、負極の炭素材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛系炭素質物が好適に使用できる。そして、本発明の効果を奏する限りにおいて、該黒鉛系炭素質物にカーボンブラック、コークス、ガラス状炭素、炭素繊維、あるいはこれらの焼成体等の炭素質物を、さらに含んでもよい。
【0028】
また、炭素材料やケイ素の充填量は、前記多孔性金属基体の面密度や空孔率に大きく影響を受けるため、好ましくは面密度が400g/m2以下、空孔率90%以上の多孔性金属基体を用いる。このような多孔性金属基体を用いると、電池容量の向上を十分に図れる。多孔性金属基体の材質は特に限定する必要はないが、ケイ素の導電性が低いため、導電性の高い金属の多孔体を用いることが好ましく、またリチウムと合金化しない金属が好ましい。なお、本明細書中において「多孔性金属基体」とは、金属メッシュのような網状の金属ではなく、発泡金属や、燒結金属のように三次元的に多孔を有する金属のことを意味する。
【0029】
また、電解液に用いる非水電解質としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン等のリチウム塩の溶解度が高い高誘電率溶媒と、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、アニソール、1,4−ジオキサン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ジメチルホルムアミド、スルホラン、蟻酸メチル、蟻酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸エチル等の低粘性溶媒とを、それぞれ単独で、あるいは二種以上を混合して用いることができる。
【0030】
また、電解質塩としては、LiN(C2F5SO2)2、LiN(CF3SO2)2、LiClO4、LiPF6、LiBF4等が単独で、あるいは2種以上混合して使用することができる。また、前期非水溶媒に対する溶解量は0.5〜2.0モル/リットルとすることが好ましい。
【0031】
次に実施例に基づいて本発明の内容を更に具体的に説明する。
【0032】
(実施例1)
実施例にかかる非水電解質二次電池を、次のようにして作製した。
【0033】
(正極の作製)
コバルト酸リチウム(LiCoO2)からなる正極活物質89質量部と、アセチレンブラックからなる導電剤8質量部と、ポリフッ化ビニリデン3質量部と、N−メチルピロリドンとを混合し、正極活物質スラリーとした。その後、φ17.9×0.80mmの円形部2個を連結部で連結したひょうたん型のペレット型内に、図3に示す形状を有するアルミニウムエキスパンドメタル製正極集電体5を挿入した後、正極活物質スラリーを注入し、60℃で2時間乾燥させた。その後、ペレット型枠を取り外し、φ18.0mmの円形部2個を連結部で連結したひょうたん型の金型内で加圧調厚したものを、図2に示す正極1とした。この正極1の円形部のサイズはφ18.0×0.55mm、正極活物質充填密度3.2g/cm2であった。
【0034】
(負極の作製)
増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)水性ディスパージョンに、黒鉛(d=0.335nm、平均粒径20μm)と、結着剤としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)水溶液を添加して、負極活物質スラリーAとした。この負極活物質スラリーAの混合比は質量比で黒鉛:CMC:PTFE=98:1:1となるよう調整した。この負極活物質スラリーを発泡状ニッケル(空孔率95%、面密度400g/m2)に充填し、100℃で乾燥し、調厚して打ち抜いて、図4に示す負極板Aとした。この負極板Aの円形部のサイズはφ19.0×0.30mmであり、負極活物質充填密度1.3g/cm2であった。
【0035】
ケイ素粉末(平均粒径10μm)99質量部と、ポリイミドバインダー1質量部と、N−メチルピロリドンとを混合して、負極活物質スラリーBとした。この負極活物質スラリーBを発泡状ニッケル(空孔率95%、面密度400g/m2)に充填し、100℃で乾燥し、400℃で熱処理し、調厚して打ち抜いて、負極板Bとした。この負極板Bのサイズはφ19.0×0.15mm、負極活物質充填密度0.6g/cm2であった。
【0036】
上記で作製した負極板A、Bを抵抗溶接して、図5に示す複合負極2となした。
【0037】
(セパレータの作製)
図6に示す形状(φ22.0×0.025mm)のポリプロピレン製微多孔膜からなるセパレータ3を準備した。
【0038】
(電解液の作製)
エチレンカーボネート(EC)と、ジエチルカーボネート(DEC)と質量比で3:7となるように混合した混合溶媒に、電解質塩としてLiPF6を1M(モル/リットル)になるよう溶解させ、電解液を作製した。
【0039】
正極缶5内に、80℃、8時間乾燥させた正・負極1、2と、常温乾燥させたセパレータ3とを図1のように重ねた。この電極積層体の厚さは2.20mmである。この電極積層体を正極缶5内に挿入し、ガスケット7を装着した後、電解液を400mg注入した。その後、負極缶6をかぶせ、かしめ封口して、φ24.0×3.0mmのコイン型電池を作製した。この電池を実施例1に係る本発明電池とした。
【0040】
(比較例1)
黒鉛を充填した負極板A(厚み0.45mm)のみを用いて負極板を作製し、図7に示すSUS網集電体(厚み0.06mm)に溶接して負極2となし、電池全高が実施例1と同じとなるように正極の厚みを変化させたこと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例1に係る電池を作製した。
【0041】
(比較例2)
ケイ素を充填した負極板B(厚み0.27mm)のみを用いて負極板を作製し、図7に示すSUS網集電体(厚み0.06mm)に溶接して負極2となし、電池全高が実施例1と同じとなるように正極の厚みを変化させたこと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例1に電池を作製した。
【0042】
(比較例3)
黒鉛とケイ素とカルボキシメチルセルロースとを質量比89.1:0.9:1で混合してスラリーとし、発泡ニッケルに充填して厚み0.34mmの負極板を作製し、図7に示すSUS網集電体(厚み0.06mm)に溶接して負極2となし、電池全高が実施例1と同じとなるように正極の厚みを変化させたこと以外は上記実施例1と同様にして、比較例3に係る電池を作製した。
【0043】
(比較例4)
黒鉛を充填した厚み0.64mmの負極板Aと、ケイ素を充填した厚み0.15mmの負極板Bとを、図7に示すSUS網集電体(厚み0.06mm)に溶接して負極2となし、負極板Aを電池中央に配置し、電池全高が実施例1と同じとなるように正極の厚みを変化させたこと以外は上記実施例1と同様にして、比較例4に係る電池を作製した。
【0044】
(比較例5)
負極板Bを電池中央に配置したこと以外は上記比較例4と同様にして、比較例5に係る電池を作製した。
【0045】
(電池特性試験)
本発明電池、比較電池それぞれを下記条件で充放電し、その放電容量と、充電状態、放電状態の電池厚みを測定し、電池厚みの変化量を算出した。その結果を下記表1に示す。
【0046】
充電条件:定電流 10mA、定電圧 4.2V、16時間
放電条件:定電流 10mA、終止電圧 3.0V
ΔT(電池厚みの変化、mm):(充電状態の電池厚み)−(放電状態の電池厚み)
【0047】
【表1】
負極積層厚さとは、折り曲げて2枚となった負極板の合計厚さのことを示す。
【0048】
表1の結果から、ケイ素を充填した負極板と、黒鉛を充填した負極板とを張り合わせた実施例1では、放電容量が98mAhと高く、且つ電池のふくれが0.14mmと小さい電池が得られていることがわかる。
【0049】
このことは、次のように考えられる。ケイ素は黒鉛よりも容量が大きいため、高容量化が可能となる。さらに、ケイ素を充填した負極板と、黒鉛を充填した負極板それぞれに対向する位置に正極板が配置されているため、充放電反応がこの対向する正負極板間に制限される。この結果、充電状態の電位がケイ素よりも低い黒鉛にも均一に充電されるので、活物質の利用効率が向上して高容量となったと考えられる。
また、ケイ素の体積変化を発泡金属と、ケイ素充填発泡金属に接合された黒鉛充填発泡金属とが吸収するため、電池のふくれが抑制されたと考えられる。
【0050】
また、黒鉛のみからなる負極板を用いた比較例1では、電池のふくれは0.06mmと小さいものの、放電容量が86mAhと十分なものではない。これは、黒鉛の放電容量が、ケイ素に比べて小さいことによるものと考えられる。
【0051】
また、ケイ素のみからなる負極板を用いた比較例2では放電容量が92mAhと高いものの、電池のふくれが0.32mmと大きい。これは、充放電に伴うケイ素の体積変化を、発泡金属のみでは十分に吸収できなかったことによるものと考えられる。
【0052】
また、ケイ素と黒鉛とを混合した負極板を用いた比較例3では電池のふくれが0.19mmと実施例1より大きく、放電容量が65mAhと十分なものではない。放電容量が小さいのは、ケイ素の充電電位が黒鉛に比べて高く、ケイ素が優先的に充電され、黒鉛がほとんど充放電に寄与しないことによるものと考えられる。
また、電池のふくれが実施例1より大きいのは、ケイ素の体積変化を、ケイ素と混合されている黒鉛と、発泡金属とでは十分に吸収できなかったためと考えられる。
【0053】
また、ケイ素が充填された負極板と黒鉛が充填された負極板とを別々に負極集電体に張り合わせた負極を用いた比較例4、5では電池のふくれが0.19〜0.24mmと実施例1と比べて大きく、放電容量が76−80mAhと十分なものではない。放電容量が小さいのは、ケイ素の充電電位が黒鉛に比べて高く、ケイ素が優先的に充電され、黒鉛がほとんど充放電に寄与しないことによると考えられる。
また、電池のふくれが実施例1より大きいのは、ケイ素の体積変化を発泡金属のみでは十分に吸収できなかったことによるものと考えられる。
【0054】
(実施例2)
図9に示すように、上記実施例1における正極板−複合負極板−正極板からなるセル基本単位の外側に更にケイ素充填負極板B−正極板を追加し(ただし、負極缶6と対向している正極面にはアルミニウム箔を貼り付けている)、電極積層体の厚さを3.20mm、φ24.0×4.0mmとし、複合負極板2と負極缶6とを電気的に接続する負極リード8を設けたこと以外は、実施例1と同様にして電池を作製した。この電池における黒鉛理論容量の全負極理論容量は180mAh、全正極理論容量は160mAhである。
【0055】
この電池を実施例1と同様な条件で測定した放電容量は131mAhと高容量であり、電池の厚み変化ΔTは0.24mmと比較例2よりも小さかった。上記結果は、実施例1で考察したものと同じ理由によるものと考えられる。
【0056】
また、この電池は積層することによって集電性能の低下は見られず、正負極表面積が増加したことから、高レート放電特性が向上したことが確認された。
【0057】
なお、本発明は上記実施例に限定されることはなく、多層積層型の電池にも応用することができる。
【0058】
また、上記実施例ではコイン型の電池を作製したが、この形状に限定されるものではなく、極板を積層した角型電池等他の形状の電池を作製することもできる。
【0059】
【発明の効果】
上記の結果から明らかなように、本発明電池では、電池容量が大きく、さらにリチウムイオンが吸蔵、放出する際の体積変動が小さい、という優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る非水電解質二次電池の断面図。
【図2】本発明に係る非水電解質二次電池に使用する正極の平面図。
【図3】本発明に係る非水電解質二次電池に使用する正極集電体の平面図。
【図4】本発明に係る非水電解質二次電池に使用する負極板Aの平面図。
【図5】本発明に係る非水電解質二次電池に使用する複合負極の平面図。
【図6】本発明に係る非水電解質二次電池に使用するセパレータの平面図。
【図7】比較例1に係る非水電解質二次電池に使用する負極集電体の平面図。
【図8】比較例1に係る非水電解質二次電池に使用する負極の平面図。
【図9】実施例2に係る非水電解質二次電池の断面図。
【符号の説明】
1 正極
2 複合負極
3 セパレータ
4 正極集電体
5 正極缶
6 負極缶
7 ガスケット
8 負極リード
Claims (5)
- リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材料を充填した多孔性金属基体と、ケイ素を充填した多孔性金属基体とが重ね合わされ、前記金属基体同士が接合されてなる複合負極板と、
前記複合負極板の各々の面にそれぞれ対向するように配置された一対の正極板と、
正負電極板の間に配置された電解質と、
を含んでなるセル基本単位を備えた非水電解質二次電池。 - 請求項1記載の非水電解質二次電池において、
前記セル基本単位に更に、正負電極板が互いに対向するようにして、前記複合負極板と前記正極板とからなるセル追加単位を1単位以上積層したことを特徴とする非水電解質二次電池。 - 請求項1または2記載の非水電解質二次電池において、
前記複合負極板の多孔性金属基体同士が、電気抵抗溶接により接合されていることを特徴とする非水電解質二次電池。 - 請求項3に記載の非水電解質二次電池において、
前記炭素材料を充填した多孔性金属基体と、前記ケイ素を充填した多孔性金属基体の少なくとも一方の厚みが、0.10mm以上0.20mm以下であることを特徴とする非水電解質二次電池。 - 請求項4に記載の非水電解質二次電池において、
前記多孔性金属基体が発泡金属体からなり、前記炭素材料が黒鉛からなることを特徴とする非水電解質二次電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003054466A JP4162510B2 (ja) | 2003-02-28 | 2003-02-28 | 非水電解質二次電池 |
Applications Claiming Priority (1)
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