JP4162316B2 - コンタクトレンズ用処理溶液 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はコンタクトレンズ用処理溶液に関するものである。より詳細には、例えばコンタクトレンズに付着した汚れを洗浄し、同時に防汚性や親水性を付与するのに好適なコンタクトレンズ用処理溶液に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より使用されているコンタクトレンズは、非含水性コンタクトレンズと含水性コンタクトレンズに分けることができ、非含水性コンタクトレンズとしては、ハードコンタクトレンズとソフトコンタクトレンズが、また含水性コンタクトレンズとしてはソフトコンタクトレンズが知られている。
非含水性コンタクトレンズは、含水性コンタクトレンズと比較して材料が安定であり、またそのメンテナンスも容易である。例えばメチルメタクリレートを主成分とするものや、最近では眼に対する影響を緩和したシリル系メタクリレートまたはフッ素系メタクリレートなどを主成分とする高酸素透過性ハードコンタクトレンズ等が使用されている。
【0003】
しかしハードコンタクトレンズは表面が疎水的であるために装用時に異物感を感じる。特に高酸素透過性ハードコンタクトレンズは疎水性が高いために、装用感の低下とともにタンパク質や脂質の汚れが付着しやすいという欠点があり、このため表面の親水性を高めるようなコンタクトレンズ用処理溶液が求められている。
【0004】
コンタクトレンズの汚れを効率よく除去するために、酵素をコンタクトレンズ用洗浄液に入れる方法が広く用いられている。一般的に酵素を水に溶解するとその安定性は著しく低下するが、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールなどの多価アルコールを加えることで酵素の安定性が向上することが知られている(特公昭53−47810号公報、特開平1−180515号公報、特開平6−95043号公報、特開平8−271841号公報等)。しかし例えば特開平1−180515号公報、特開平4−243215号公報、特開平4−370197号公報ではいずれも多価アルコールを50重量%以上含んでいるが、これらの溶液に直接コンタクトレンズを浸漬するとレンズの物性値に対する影響があるため、使用するに当たっては該溶液を使用直前に精製水など別の溶液で希釈する必要があり、簡便性に問題があった。
【0005】
洗浄力と酵素安定性の問題を解決する方法として、酵素の量を増やすことが考えられる。しかし本来酵素というものは最適な状態であればごく少量で十分な能力を発揮できるものであり、必要以上に酵素を増やすと酵素そのものあるいはその分解物と接触した際アレルギー反応が起こりやすくなるほか、酵素分解物を栄養源として雑菌が繁殖しやすくなるおそれがある。
【0006】
洗浄力を高めるためにさらに界面活性剤を加えるような組成物も知られている。例えば特開平4−51015号公報にはタンパク質分解酵素、多価アルコール、アルカリ金属塩、及び界面活性剤を含むコンタクトレンズ用液剤組成物が開示されている。しかしこの公報に記載されているように酵素を0.01重量%以上加えると、酵素を多量に含むことにより先に述べたように手指等に触れた際に皮膚に対して刺激が出るおそれがある。しかも界面活性剤として陰イオン界面活性剤以外のものを用いた場合は洗浄力が不十分であり、また陰イオン界面活性剤の種類によっては保存安定性が悪いなどの欠点があった。
これらの問題から、酵素濃度が低くかつ高い洗浄力を持ち、溶液の安定性その他の物性も良好な、全ての面においてバランスを兼ね備えたコンタクトレンズ用処理溶液が求められていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、酵素濃度が適度で、かつ高い洗浄力を持ち、溶液の長期安定性その他の物性も良好な、全ての面においてバランスを兼ね備えたコンタクトレンズ用処理溶液を提供することにある。また、コンタクトレンズ用処理溶液を希釈することなく使用し、簡便な浸漬処理によりコンタクトレンズに付着した汚れを落とすことのできる、コンタクトレンズの処理方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の問題点に鑑み、鋭意検討した結果、特定の式で表される陰イオン性界面活性剤を選択し、さらに加水分解酵素、多価アルコール、ホウ酸化合物の配合濃度のバランスを検討することにより問題を解決できることを見いだし、本発明を完成した。即ち、本発明は、次の(1)〜(8)の通りである。
(1)、A成分として下記一般式[1]
【0009】
【化4】
【0010】
{式中、R1は炭素数8以上20以下のアルキル基である。Xは、−(OR3)m+ 1−、または−NR2CO−(R3O)mR3−、または−CONR2−(R3O)mR3−、または−OCOCH2−CH(OCOR4)−、または−COOCH2CH(OH)CH2−のいずれかで表される基(但し、ここでR2は水素原子またはメチル基を示す。R3は炭素数2〜12の二価の炭化水素基を示す。mはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示し、0〜10の数を示す。R4は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を示す。)である。Yはスルホニル基またはその塩、あるいは硫酸基またはその塩、あるいはリン酸基またはその塩、あるいはカルボキシル基またはその塩のうちいずれかの基である。}で表される陰イオン性界面活性剤0.05〜2重量%と、B成分として加水分解酵素10-10〜0.008重量%と、C成分として多価アルコール5〜30重量%と、D成分としてホウ素化合物0.1〜2重量%を含むことを特徴とするコンタクトレンズ用処理溶液。
(2)、E成分として下記一般式[2]
【0011】
【化5】
【0012】
(式中、R1、R2およびR3は、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基または炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基のいずれかを示し、それぞれ同一であっても異なる基であってもよい。R4は炭素数2〜4のアルキレン基を示す。)で表される基を側鎖に有する重合体、またはポリビニルアルコール、またはポリビニルピロリドン、または多糖類、または多糖類誘導体のいずれかから選ばれる少なくとも1種以上の水溶性高分子0.001〜5重量%をさらに含むことを特徴とする(1)に記載のコンタクトレンズ用処理溶液。
(3)、(2)に記載の一般式[2]で表される基を側鎖に有する重合体が、下記一般式[3]
【0013】
【化6】
【0014】
{式中、R1、R2およびR3は、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基のいずれかを示し、それぞれ同一であっても異なる基であってもよい。R4は−CH2CH2−、または−CH2CH2CH2−のいずれかである。R5は−(CHR7)m−、または−(CH2CHR7O)n−CH2CHR7−のいずれかで表される基(但し、ここでR7は水素原子またはメチル基を示す。mは2〜18の整数を示す。nは1〜16の整数を示す。)である。R6は水素原子またはメチル基である。}で表されるホスホリルコリン基含有(メタ)アクリレートモノマーを単独で重合して得た重合体であるか、または一般式[3]で表されるホスホリルコリン基含有(メタ)アクリレートモノマーと一般式[3]で表されるホスホリルコリン基含有(メタ)アクリレートモノマーと共重合が可能なその他のビニルモノマーとを共重合させて得た重合体であることを特徴とする(2)に記載のコンタクトレンズ用処理溶液。
【0015】
(4)、(1)に記載のA成分の陰イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、アルキルアミドポリオキシエチレンエーテル硫酸塩、N−アシル−N−メチルタウリン酸塩、アルキルザルコシネート、N−アシル−N−メチル−β−アミノプロピオン酸塩のいずれかから選ばれる1種以上であることを特徴とする(1)または(2)に記載のコンタクトレンズ用処理溶液。
【0016】
(5)、(1)に記載のB成分の加水分解酵素が、タンパク質分解酵素、脂質分解酵素、糖鎖分解酵素のいずれかから選ばれる1種以上であることを特徴とする(1)または(2)に記載のコンタクトレンズ用処理溶液。
【0017】
(6)、(1)に記載のC成分の多価アルコールが、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールのいずれかから選ばれる1種以上であることを特徴とする(1)または(2)に記載のコンタクトレンズ用処理溶液。
【0018】
(7)、(1)に記載のD成分のホウ素化合物がホウ酸であることを特徴とする(1)または(2)に記載のコンタクトレンズ用処理溶液。
【0019】
(8)、(1)〜(7)に記載のコンタクトレンズ用処理溶液を、希釈することなく使用し、該溶液にコンタクトレンズを浸漬して処理することを特徴とするコンタクトレンズの処理方法、以上である。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明のコンタクトレンズ用処理溶液に用いられるA成分の陰イオン性界面活性剤は、コンタクトレンズ上の汚れを除去することを目的に配合する。一般には、陰イオン性界面活性剤は、酵素の安定性を低下させるため、酵素と併用する界面活性剤には、非イオン性界面活性剤が良いとされる。しかし、非イオン性界面活性剤は陰イオン性界面活性剤に比べて洗浄力が低く、強固な汚れは落とせないという欠点がある。そのため本発明のコンタクトレンズ用処理溶液には、一般式[1]に示す陰イオン性界面活性剤を用いる。一般式[1]に示す以外の陰イオン性界面活性剤には、低温で沈殿を生じるという欠点があり好ましくない。
【0021】
本発明のコンタクトレンズ用処理溶液では、A成分として一般式[1]の構造を持った陰イオン性界面活性剤を、本発明の特定の配合組成および、特定の濃度範囲で加えることにより、酵素の活性や溶液の安定性を損なわずに洗浄力を上げることが出来、また沈殿も生じない。これにより陰イオン性界面活性剤の利点のみを生かした、コンタクトレンズ用処理溶液を得ることができる。
本発明のコンタクトレンズ用処理溶液に用いることが出来るA成分の陰イオン性界面活性剤は、具体的には下記一般式[1]
【0022】
【化7】
【0023】
で示される化合物である。
ここで、R1は炭素数8以上20以下のアルキル基を示す。R1のアルキル基は一般式[1]の化合物が界面活性能を発揮するために必要なものであればいかなるアルキル基であってよいが、好ましくは直鎖あるいは分岐があるアルキル基であるのがよい。より好ましくは、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ヘプタデセニル基、オクタデシル基、オクタデセニル基、ノナデシル基、アイコシル基から選ばれる基を挙げることが出来る。
【0024】
また一般式[1]に示されるXは、−(OR2)m+1−、または−NR2CO−(R3O)mR3−、または−CONR2−(R3O)mR3−、または−OCOCH2−CH(OCOR4)−、または−COOCH2CH(OH)CH2−のいずれかで表される基である。但し、ここでR2は水素原子またはメチル基を示す。R3は炭素数2〜12の二価の炭化水素基を示し、好ましくは水溶性や溶液安定性から、エチレン基またはプロピレン基である。mはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示し、0〜10の数を示し、洗浄力について陰イオン性界面活性剤としての性能を損なわず、かつ安全性や低温保存時の安定性が高いなどの理由から、好ましくはmは0〜5である。R4は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を示し、好ましくは洗浄力の高さから、水素原子、メチル基、オクチル基から選ばれる基である。
【0025】
以上の、一般式[1]に示されるXは、コンタクトレンズ用処理溶液の安定度を高める理由から、好ましくはポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン等のポリオキシアルキレン;アミノメチル、アミノエチル、ポリオキシエチレンアミド等のアミド;ポリオキシエチレン−N−メチルアミド、N−メチルアミノメチル、N−メチルアミノエチル、N−メチルアミノプロピル、N−メチルアミノブチル等のN−メチルアミド;スクシニルメチル、スクシニルエチル、スクシニルオクチル等のコハク酸誘導体;グリセリン誘導体などに分類される二価の炭化水素基であるのがよい。
【0026】
仮にA成分に用いる陰イオン性界面活性剤として、一般式[1]のうち、Xがない構造の界面活性剤や、一般式[1]のXの部分が本発明で示したものとは異なる界面活性剤、例えばXがベンジル等である界面活性剤は、本発明の成分配合、配合濃度の溶液中では安定性が悪くなるので、本発明の配合組成、配合濃度であるかぎり、コンタクトレンズ用処理溶液としては好ましくない。
また、一般式[1]に示されるYは、スルホニル基またはその塩、あるいは硫酸基またはその塩、あるいはリン酸基またはその塩、あるいはカルボキシル基またはその塩のうちいずれかの基であり、好ましくは洗浄力の高さから、スルホン酸塩、硫酸塩またはカルボン酸塩である。ここで用いられる塩の種類としては、通常界面活性剤に使用されるものであればよく、例えばナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、アンモニウム塩などを挙げることが出来、中でもナトリウム塩、マグネシウム塩、トリエタノールアミン塩が好ましく挙げられる。
【0027】
以上に示した、A成分に用いる一般式[1]の陰イオン性界面活性剤として、本発明に好ましく用いられるものは、具体的には例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシプロピレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、アルキルアミドポリオキシエチレンエーテル硫酸塩、アルキルアミドポリオキシエチレンエーテル酢酸塩、アルキルアミドポリオキシエチレンエーテルリン酸塩、N−アシル−N−メチルタウリン酸塩、N−アシル−N−メチル−β−アミノ酢酸塩(アルキルザルコシネート)、N−アシル−N−メチル−β−アミノプロピオン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルアミドスルホコハク酸塩、アシルグリセリル硫酸塩等である。
このうち特に眼への影響が穏やかであることや、溶液の安定性を高める点などからポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミドポリオキシエチレンエーテル硫酸塩、N−アシル−N−メチルタウリン酸塩、N−アシル−N−メチル−β−アミノプロピオン酸塩、アルキルザルコシネートが、より好ましく用いられる。
【0028】
本発明のコンタクトレンズ用処理用液には、A成分として一般式[1]の陰イオン性界面活性剤のうち一種を単独で用いても、二種以上を混合して用いてもどちらでもよい。但し、A成分の陰イオン界面活性剤の含有割合は、コンタクトレンズ用処理用液の全量のうち、0.05〜2重量%、好ましくは0.2〜1.5重量%の範囲である。A成分の含有割合が0.05重量%未満では洗浄能力が不十分であるため好ましくなく、また2重量%を越えると酵素の安定性が損なわれるだけでなく、眼への刺激が大きい等安全性の面でも問題があるので好ましくない。
【0029】
本発明のコンタクトレンズ用処理溶液に用いられるB成分の加水分解酵素は、コンタクトレンズの物性に影響を与えない加水分解酵素であれば、本発明の目的を逸脱しないかぎりいかなるものを用いてもよいが、好ましくは、界面活性剤では落としきれないような強固な汚れを分解して落とすために、ムチンなどの糖タンパク質やリゾチームなどのタンパク質、脂質などの疎水性化合物等に代表される、涙液由来の汚れ成分の一種を分解し、コンタクトレンズ上の汚れを除去しやすくする作用のあるものがよい。このような加水分解酵素として、例えばタンパク質分解酵素、脂質分解酵素、糖鎖分解酵素などを用いることができる。
【0030】
本発明に用いられるタンパク質分解酵素としては、タンパク質分解酵素として通常使われるものであればいかなるものであっても良いが、入手性などの点から、例えば「ビオプラーゼ」(ナガセ生化学工業株式会社製)、「クリアー・レンズ・プロ」(ノボノルディスクバイオインダストリー社製)、「アルカリプロテアーゼGL−440」(協和エンザイム社製)等微生物由来のサブチリシンを用いたものや、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、パパイン等の動植物由来タンパク質分解酵素が好ましく用いられる。
本発明に用いられる脂質分解酵素としては、脂質分解酵素として通常使われるものであればいかなるものであっても良いが、入手性などの点から、例えば「クリアー・レンズ・リポ」(ノボノルディスクバイオインダストリー社製)、ホスホリパーゼA、ホスホリパーゼB、ホスホリパーゼC、ホスホリパーゼD、コレステロールエステラーゼ等の脂質分解酵素が好ましく用いられる。
【0031】
本発明に用いられる糖鎖分解酵素としては、糖鎖分解酵素として通常使われるものであればいかなるものであっても良いが、入手性などの点から、例えばα―アミラーゼ、エンドグリコシダーゼD、エンド−β−ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、セルラーゼ、デキストラナーゼ等の糖鎖分解酵素が用いられる。また本発明には、パンクレアチンのような加水分解酵素の複合物を用いてもよい。
【0032】
本発明のコンタクトレンズ用処理用液には、B成分として本発明に用いる加水分解酵素のうち一種を単独で用いても、二種以上を混合して用いてもどちらでもよい。但し、B成分の加水分解酵素の含有割合は、コンタクトレンズ用処理溶液の全量のうち、10-10重量%〜0.008重量%であるのがよく、より好ましくは10-6重量%〜0.005重量%の範囲であるのがよい。B成分の含有割合が10-10重量%未満では洗浄能力が不十分であるため好ましくなく、また0.008重量%を越えると眼や皮膚への刺激が大きくなり、またアレルギー反応を起こす場合があるなど、安全性の面で問題がある場合があり、さらには過剰の加水分解酵素がレンズに吸着するおそれがあるので好ましくない。
なお市販の酵素の中には、安定化剤等を加えた溶液で供給されるものや、あるいは粉末の状態でしか入手できないものなど色々あるが、その場合、B成分を本発明のコンタクトレンズ用処理溶液に配合し、最終的な加水分解酵素量が本発明に示した含有割合になるように濃縮や希釈などの調整を行って用いる。
【0033】
本発明のコンタクトレンズ用処理溶液に用いられるC成分の多価アルコールは、酵素を安定に保つことができるものであれば、いかなる種類の多価アルコールでも用いることができるが、好ましくは、例えば、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、ショ糖、トレハロースなどの多価アルコールを好ましく用いることが出来る。このうち、酵素への安定化効果が高い点で、ソルビトール、プロピレングリコール、グリセリンを、C成分としてより好ましく用いることが出来る。
【0034】
本発明のコンタクトレンズ用処理用液には、C成分として本発明に用いる多価アルコールのうち一種を単独で用いても、二種以上を混合して用いてもどちらでもよい。但し、C成分の多価アルコールの含有割合は、コンタクトレンズ用処理溶液の全量のうち、5〜30重量%であるのがよく、より好ましくは10〜25重量%であるのがよい。C成分の含有割合が5重量%未満では酵素の安定化効果が十分でないため好ましくなく、また30重量%を越えると粘度が高くなり洗浄などによる除去が難しくなる他、レンズに対して悪影響を及ぼす恐れがあるので好ましくない。
【0035】
本発明のコンタクトレンズ用処理溶液に用いられるD成分のホウ素化合物としては、タンパク質分解酵素の安定化効果のあるものであるならば、通常知られるホウ素化合物である限りいかなるものを用いても良く、例えばホウ酸、硼砂、フェニルホウ素酸などが用いられるが、入手のしやすさやpHの調整効果、酵素ならびに溶液の安定性の点からは、特にホウ酸が好ましく用いられる。
本発明のコンタクトレンズ用処理用液には、D成分として本発明に用いるホウ素化合物のうち一種を単独で用いても、二種以上を混合して用いてもどちらでもよい。但し、D成分のホウ素化合物の含有割合は、コンタクトレンズ用処理溶液の全量のうち、0.1〜2重量%であるのがよく、より好ましくは0.3〜1重量%であるのがよい。D成分の含有割合が0.1重量%未満では酵素の安定化効果ならびにpHの調整効果が不十分であるため好ましくなく、また2重量%を越えると沈殿を生じやすくなり、溶液の安定性に問題が生じるので好ましくない。
【0036】
本発明コンタクトレンズ用処理溶液には、必要に応じてさらにE成分として一般式[2]で表される基を側鎖に有する重合体、またはポリビニルアルコール、またはポリビニルピロリドン、または多糖類又はその誘導体のいずれかから選ばれる少なくとも1種以上の水溶性高分子を加えることが出来る。これらのE成分は、本発明のコンタクトレンズ用処理溶液に配合することにより、コンタクトレンズに親水性等を付与したり、溶液の粘度調整剤、角膜保護剤ならびに酵素の安定化剤等として作用し、本発明のコンタクトレンズ用処理溶液の性能を更に高めるように働く。
本発明に用いられるE成分の水溶性高分子は、一般式[2]で表される基を側鎖に有する重合体、またはポリビニルアルコール、またはポリビニルピロリドン、または多糖類又はその誘導体のいずれかから選ばれる水溶性高分子であれば、コンタクトレンズの物性値に影響を与えず、かつ酵素の安定性を損なわないものであるかぎり、いかなるものであっても用いることができる。
【0037】
本発明に用いられるE成分の水溶性高分子のうち、一般式[2]で表される基を側鎖に有する重合体とは、下記一般式[2]
【0038】
【化8】
【0039】
で表される基を側鎖に有する重合体をいい、ここでR1、R2およびR3は、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基または炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基のいずれかを示し、炭素数1〜8のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基などの基が好ましく挙げられ、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基としてはヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、ヒドロキシペンチル、ヒドロキシヘキシル、ヒドロキシヘプチル、ヒドロキシオクチルなどの基が挙げられるが、安定性や安全性の理由からは、炭素数1〜4のアルキル基又はヒドロキシアルキル基が好ましく、更にはメチル基が最も好ましく挙げられる。また、R1、R2およびR3は、それぞれ同一であっても異なる基であってもよい。R4は炭素数2〜4のアルキレン基を示し、例えばエチレン基、プロピレン基、ブチレン基などの基が好ましく挙げられ、安定性や安全性の理由からは、エチレン基が最も好ましく挙げられる。また、一般式[2]を側鎖に有するとは、高分子主鎖から枝分れした形状で、一般式[2]に示される基を有していることをいい、高分子中に一般式[2]で示される側鎖が10mol/mol%以上含まれていれば本発明でいう、一般式[2]で表される基を側鎖に有する重合体の範囲に含むことができる。一般式[2]で示される側鎖が10mol/mol%未満になると溶解性が悪くなるので好ましくない。また、このときの重合体の高分子主鎖はいかなる形状をしていてもよく、重合体の分子量は1,000から5,000,000程度であるのがよい。更に詳細には、一般式[2]で表される基を側鎖に有する重合体の一例として、一般式[3]で表されるホスホリルコリン基含有(メタ)アクリレートモノマーを単独で重合して得た重合体であるか、または一般式[3]で表されるホスホリルコリン基含有(メタ)アクリレートモノマーと一般式[3]で表されるホスホリルコリン基含有(メタ)アクリレートモノマーと共重合が可能なその他のビニルモノマーとを共重合させて得た重合体を挙げることができ、これを親水性の高さ、酵素の安定化効果の高さなどの点から、一般式[2]で表される基を側鎖に有する重合体として、本発明のE成分に好ましく用いることができる。
【0040】
ここで、一般式[3]で表されるホスホリルコリン基含有(メタ)アクリレートモノマー(以下、PC(メタ)アクリレートと省略して呼称する)とは、下記の一般式[3]
【0041】
【化9】
【0042】
で表される化合物である。式中、R1、R2およびR3は、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基のいずれかであるが、炭素数1〜8のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基などの基が挙げられ、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基としてはヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、ヒドロキシペンチル、ヒドロキシヘキシル、ヒドロキシヘプチル、ヒドロキシオクチルなどの基が挙げられるが、安定性の点からは炭素数1〜4のアルキル基又はヒドロキシアルキル基が好ましく、更にはメチル基が最も好ましく挙げられる。また、R4は−CH2CH2−、または−CH2CH2CH2−のいずれかであり、中でも生体膜の構成成分であるリン脂質と同じ骨格を持つエチレン基が好ましい。R5は−(CHR7)m−、または−(CH2CHR7O)n−CH2CHR7−のいずれかで表される基であり(ここでR7は水素原子またはメチル基を示す。mは2〜18の整数であり、水への溶解性の点からmは2〜10であるのが好ましい。またnは1〜16の整数であり、前記一般式[I]で表される側鎖の性能を十分に発揮させるためにはnが1〜4であるのが好ましい。)、このうち前記一般式[I]で表される側鎖の性能を十分に発揮させるためにはR2はエチレン基が好ましい。R1は水素原子またはメチル基を示す。
【0043】
一般式[3]で表されるPC(メタ)アクリレートとしては、前記一般式[3]の範囲に含まれるものであれば、いかなる構造のものでも用いることができるが、水溶性、防汚染性及び親水性等の点から、例えば2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(2”−トリヒドロキシエチルアンモニオ)エチルホスフェート等のPC(メタ)アクリレートを好ましく挙げることができる。入手性等の点からは、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートが最も好ましく挙げられる。
【0044】
本発明に用いられるE成分の、一般式[2]で表される基を側鎖に有する重合体のうち、好ましいものは、前記PC(メタ)アクリレートを単独で重合させるか、あるいは、PC(メタ)アクリレートと共重合可能なビニルモノマーとPC(メタ)アクリレートとを共重合させることによって得ることができる。
【0045】
PC(メタ)アクリレートを共重合させる場合、PC(メタ)アクリレートと共重合可能な、その他のビニルモノマーとしては、通常知られるビニルモノマーであればいかなるものでも用いることができ、例えばスチレン、メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエーテル系モノマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート系モノマー;(メタ)アクリル酸;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸アミド、N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル等の含窒素モノマー;塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のハロゲン置換炭化水素系又は炭化水素系モノマーを用いることができる。このうち、n−ブチル(メタ)アクリレートが最も好ましく用いられる。これらのビニルモノマーのうち一種もしくは1種以上をPC(メタ)アクリレートと共重合させることによって、一般式[2]で表される基を側鎖に有する重合体の範囲に含まれる共重合体を合成することができる。
【0046】
前記PC(メタ)アクリレートと共重合可能なその他のビニルモノマーとを共重合させる際の仕込量は、好ましくはPC(メタ)アクリレート10〜99重量部、より好ましくは40〜98重量部に対して、共重合可能な他のビニルモノマー1〜90重量部、より好ましくは2〜60重量部である。前記仕込量が10重量部未満では共重合体に親水性を付与する効果が発揮できないので好ましくなく、また前記仕込量が99重量部を越えると、前記PC(メタ)アクリレートが付与する水溶性等の特性が十分発現しないので好ましくない。
【0047】
さらにPC(メタ)アクリレートを単独で重合させるか、あるいは、PC(メタ)アクリレートと共重合可能なビニルモノマーとPC(メタ)アクリレートとを共重合させる条件は、従来の高分子化学の知識を用いて適宜選択することができるが、好ましくは、前述の各モノマー(単量体)成分をラジカル重合開始剤の存在下、窒素、二酸化炭素、ヘリウム等の不活性ガスで置換または雰囲気においてラジカル重合、例えば塊状重合、懸濁重合、乳化重合、溶液重合等の公知の方法により調整することができる。
前記重合開始剤としては、通常のラジカル重合開始剤であれば特に限定されるものではないが、例えば過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシジイソブチレート、アゾビスイソブチロニトリル、アゾイソビスジメチルバレロニトリル、過硫酸塩及び過硫酸塩−亜硫酸水素塩系等を挙げることができる。
前記重合開始剤の仕込量は、モノマー成分100重量部に対して0.0001〜10重量部が好ましく、更に0.01〜5重量部が望ましい。また重合温度は20〜100℃が好ましく、重合時間は0.5〜72時間が望ましい。
更に得られる重合体の分子量は、重合温度、重合開始剤及び重合度調整剤等の使用量によっても異なるが、重量平均分子量で1,000〜5,000,000が好ましく、特にコンタクトレンズ溶液への溶解性、溶液の粘度やコンタクトレンズへの付着性から10,000〜1,000,000が望ましい。
【0048】
また、本発明に用いられるE成分の水溶性高分子のうち、ポリビニルアルコールとは、通常ポリビニルアルコールとして知られ、入手が可能であり、本発明のコンタクトレンズ用処理溶液に配合することができる全てのものをいうが、好ましくは、けん化度86〜89%、重合度400〜2400のものである。
【0049】
また、本発明に用いられるE成分の水溶性高分子のうち、ポリビニルピロリドンとは、通常ポリビニルピロリドンとして知られ、入手が可能であり、本発明のコンタクトレンズ用処理溶液に配合することができる全てのものをいうが、好ましくは日本薬局方に記載されているポリビニルピロリドンK25、ポリビニルピロリドンK30、ポリビニルピロリドンK90である。
【0050】
また、本発明に用いられるE成分の水溶性高分子のうち、多糖類とは、通常多糖類として知られ、入手が可能であり、本発明のコンタクトレンズ用処理溶液に配合することができる全てのものをいうが、好ましくはコンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ヘパラン硫酸、ヘパリンなどのムコ多糖や、アルギン酸ナトリウム、プルランなどが挙げられる。
【0051】
また、本発明に用いられるE成分の水溶性高分子のうち、多糖類誘導体とは、通常多糖類誘導体として知られ、入手が可能であり、本発明のコンタクトレンズ用処理溶液に配合することができる全てのものをいうが、好ましくはヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体や、低分子化キトサン、エチレングリコールキチンなどが挙げられる。
本発明のコンタクトレンズ用処理溶液に用いられるE成分の含有割合は0.001〜5重量%、より好ましくは0.05〜2重量%の範囲である。前記含有割合が0.001重量%未満では、前記E成分のポリマーの効果が不十分であるため好ましくなく、また5重量%を越えると粘性が高くなり洗浄等による除去が難しくなるため好ましくない。
【0052】
本発明のコンタクトレンズ用処理溶液は、前記A成分、B成分、C成分、D成分、そして場合によりE成分の各成分を、精製水等の水に溶解して得ることができる。
【0053】
本発明のコンタクトレンズ用処理溶液には、必要に応じて、溶液のpHを調整するために、pH調整剤として、例えば塩酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、リン酸塩(リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム等)、クエン酸塩(クエン酸ナトリウム等)、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンや、これらの混合物等を好ましく添加することができる。これらのpH調整剤は、適量選択して添加することができるが、好ましくは0.001〜5重量%程度加えることが出来る。
本発明のコンタクトレンズ用処理溶液には、必要に応じて、溶液の安定性等のためにキレート剤を添加することができる。これらは本発明の特徴を損なわないものであれば、特に限定されるものではないが、例えば多価カルボン酸等が好ましく添加され、より好ましくはクエン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、シクロヘキサンジアミンテトラ酢酸及びこれらのアルカリ金属塩や、これらの混合物を好ましく添加することができる。これらのキレート剤は、適量選択して添加することができるが、好ましくは0.01〜1重量%程度加えることが出来る。
【0054】
本発明のコンタクトレンズ用処理溶液前には、必要に応じて、眼への影響を少なくするために無機塩化物を加えることができる。これらは本発明の特徴を損なわないものであれば、特に限定される物ではないが、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム又はこれらの混合物等を好ましく添加することができる。これらの無機塩化物は、適量選択して添加することができるが、好ましくは0.001〜5重量%程度加えることが出来る。
本発明のコンタクトレンズ用処理溶液には、必要に応じて、雑菌の繁殖を防ぐために防腐剤を加えることができる。これらは本発明の特徴を損なわないものであれば、特に限定される物ではないが、例えばクロロブタノール、塩化ベンザルコニウム、チメロザール、グルコン酸クロルヘキシジン、パラオキシ安息香酸エステル、ソルビン酸、ポリヘキサメチレンビグアニド等の、1種あるいはそれ以上を好ましく添加することができる。これらの防腐剤は、適量選択して添加することができるが、好ましくは0.001〜0.2重量%程度加えることが出来る。
【0055】
本発明のコンタクトレンズ用処理溶液には、必要により上記成分を、適宜添加することができるが、さらに適当と思われるその他の成分を、本発明の特徴を損なわない限りにおいて、適宜添加してみることは一向にかまわない。
【0056】
本発明のコンタクトレンズ用処理溶液の使用方法としては、例えばコンタクトレンズ用処理溶液にコンタクトレンズを浸漬ないし接触させ、更に眼に装着前に、水、生理食塩水及び適当な洗浄液等で濯ぐなどの方法があり、これによりコンタクトレンズについた汚れを効率よく除去することが出来る。
また、本発明のコンタクトレンズ用処理溶液は、コンタクトレンズを処理する前に、精製水、生理食塩水などで希釈することなく、そのまま用いることが出来る特徴を持つ。本発明のコンタクトレンズ処理溶液は、希釈すると洗浄力が低下するためなるべく希釈せず用いるのがよい。
【0057】
また、含水性コンタクトレンズを本発明のコンタクトレンズ用処理溶液で処理する場合には、本発明の処理溶液に浸漬した後、生理食塩水などに浸漬して、コンタクトレンズに含まれる水の浸透圧を眼に近い状態にするのが、使用上好ましい。非含水性コンタクトレンズを本発明のコンタクトレンズ用処理溶液で処理する場合には、そのような操作が必要なく簡便であるため、本発明のコンタクトレンズ処理溶液で処理するコンタクトレンズの種類としては、どちらかといえば、ハードコンタクトレンズや非含水性ソフトコンタクトレンズなどの非含水性コンタクトレンズがより好ましい。
【0058】
【実施例】
以下、合成例、参考例、実施例、比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。
合成例1
モノマーとして表1に記載したものを準備した。PC(メタ)アクリレートとして、2−メタクリロイルオキシエチル−2‘−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートを45gならびにビニルモノマーとして、n−ブチルメタクリレート(三菱レーヨン製)を5g、さらにラジカル重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(大塚化学製)0.01gをメタノール450gに溶解し、重合用ガラス反応管に入れ窒素置換した後、恒温槽にて50℃、72時間重合させた。重合終了後、エタノールを良溶媒として、ジエチルエーテルを貧溶媒として再沈精製し、加熱乾燥させて重合体(ポリマーNo1)を得た。得られたポリマーNo1の重量平均分子量は、ゲル濾過クロマトグラフィーによりポリエチレングリコールを基準として測定した結果、約50万であった。
【0059】
合成例2
合成例1とモノマー組成以外を同じ条件を用い、表1に示した組成で重合して、重合体(ポリマーNo2)を得た。得られたポリマーNo2の重量平均分子量は約20万であった。
【0060】
合成例3
合成例1とモノマー組成以外を同じ条件を用い、表1に示した組成で重合して、重合体(ポリマーNo3)を得た。得られたポリマーNo3の重量平均分子量は約8万であった。
【0061】
参考例1
コンタクトレンズテストピースの作成。
トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート40g、トリフルオロエチルメタクリレート30g、メチルメタクリレート10g、トリエチレングリコールジメタクリレート15g、メタクリル酸5g、アゾビスイソブチロニトリル0.2gを試験管に注入して、窒素置換の後に密封した。これを60℃で24時間かけて、試験管内の原料モノマーを加熱硬化させ、無色透明の重合物を得た。得られた重合物を、約40x10x2mmの板状になるよう切削、研磨により加工し、コンタクトレンズテストピースを得た。
【0062】
実施例1
A成分としてポリオキシエチレン(3モル)ラウリルエーテル硫酸エステルナトリウム塩を1重量部、B成分としてサブチリシンを0.005重量部、C成分としてグリセリンを20重量部、D成分としてホウ酸を0.5重量部、その他成分として水酸化ナトリウムを0.3重量部、エチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム塩を0.1重量部、グルコン酸クロルヘキシジンを0.005重量部を各々精製水に溶解した。総重量を100gのコンタクトレンズ用処理溶液を調製した。これを用いて以下の[1]〜[6]試験ならびに総合評価を行った。
[1]洗浄力試験
以下の方法で汚れ除去率(%)を算出した。
ウシ血清アルブミン0.39重量%、γーグロブリン0.16重量%、リゾチーム0.12重量%、豚胃ムチン0.1重量%(いずれも和光純薬工業製)を含む生理食塩水中で、参考例1で得たコンタクトレンズテストピース(以下レンズピースと略)を60℃で2時間処理し、レンズピースを汚染させた。このレンズピースをコンタクトレンズ処理溶液に2時間浸漬した後、水道水で洗浄し、さらに1%ドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬工業製)水溶液でレンズピースからタンパク質を剥離させ、その溶液中のタンパク量をマイクロBCAキット(ピアス社製)を用いて測定し、洗浄前の汚れに対するタンパク質汚れの除去率(%)を計算し、結果を表4に記した。この汚れ除去率が90%以上であれば、通常、目視による汚れは認められないので、十分な洗浄力を持つ良好なコンタクトレンズ用処理溶液であると判断した。
【0063】
[2]長期保存後の洗浄力試験
コンタクトレンズ用処理溶液を40℃で3ヶ月保存した後に[1]と同様の方法で汚れ除去率(%)を算出し、長期保存後の汚れ除去率(%)を算出した。結果を表4に記した。
このとき、汚れ除去率が90%以上であれば、長期保存後も十分な洗浄力を持ち、すなわち酵素安定性が高く、良好なコンタクトレンズ処理溶液であると判断した。
【0064】
[3]低温保存時安定性試験
コンタクトレンズ用処理溶液を4℃、一週間保存した後に水溶液の外観を観察し、以下の基準で低温保存時安定性を評価した。結果を表4に記した。
○:溶液は透明である。
△:溶液に濁りが生じている
×:溶液に沈殿が生じているか、または成分が分離している
以上の結果が○であれば、良好なコンタクトレンズ用処理溶液であると判断した。
【0065】
[4]接触角試験
レンズピースをコンタクトレンズ用処理溶液に2時間浸漬保存した後、生理食塩水で濯いだ。このレンズピースの動的接触角(度)を、動的接触角測定器(オリエンテック(株)製)を用いて測定した。結果を表4に記した。
接触角により以下の基準でコンタクトレンズの親水性を評価した。すなわち、接触角が小さいときは、親水性が高いということであり、このことは、コンタクトレンズを装用した際の不快感を軽減することにつながると考えられる。そこでレンズピースの接触角が40度以下であれば、コンタクトレンズ用処理溶液により親水性が高められていると判断でき、これを良好なコンタクトレンズ用処理溶液であると判断した。
[5]レンズへの影響試験
市販のコンタクトレンズ(セイコーハードEX)を準備し、これをコンタクトレンズ用処理溶液に40℃、1ヶ月浸漬保存した後、レンズの直径、ベースカーブ、パワーを測定し、また形状ならびに表面の状態を目視により調べ、処理前と変化があるかどうかを調べた。そのとき変化がないものは「なし」とし、いずれかに変化のあるものは「あり」とした。結果を表4に記した。「なし」であるものは、コンタクトレンズへの顕著な影響がないものと考えられ、良好なコンタクトレンズ処理溶液であると判断した。
【0066】
[6]皮膚への影響試験
背部を剪毛した白色ウサギに前記コンタクトレンズ処理溶液0.5mlを2週間にわたり毎日塗布し、浮腫の有無を目視で観察した。浮腫が認められないものは「なし」とし、認められるものは「あり」とした。結果を表4に記した。「なし」であるものは、皮膚に対して顕著な影響がないものと考えられ、使用感の良い良好なコンタクトレンズ処理溶液であると判断した。
【0067】
[総合評価]
以上[1]〜[6]の各試験で、結果が良好だった試験の数に基づき、次の基準で総合評価を行った。◎;全ての試験で結果が良好であったもの。これは使用感がよいため、最優良コンタクトレンズ用処理溶液であると判断した。○;5つの試験で結果が良好であったもの。これは優良コンタクトレンズ用処理溶液であると判断した。△;4つの試験で結果が良好であったもの。これはコンタクトレンズ用処理溶液として使用した場合、使用感が悪いと判断した。×;3個以下しか結果が良好でなかったもの。これは性状が劣悪であり、コンタクトレンズ用処理溶液として使用するには適していないと判断した。以上の基準により◎、○、△、×の記号を表4に示した。
【0068】
このうち結果が△または×であればコンタクトレンズ用処理溶液として、実用的な使用には向かないと考えられるが、そうでないものはコンタクトレンズ用処理溶液として好適に使用することができる。
【0069】
実施例2
A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表2に記載した種類および重量部に各々かえてコンタクトレンズ用処理溶液を調製した以外は、実施例1と全て同様に行った。結果を表4に示した。
【0070】
実施例3
A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表2に記載した種類および重量部に各々かえてコンタクトレンズ用処理溶液を調製した以外は、実施例1と全て同様に行った。結果を表4に示した。
【0071】
実施例4
A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表2に記載した種類および重量部に各々かえてコンタクトレンズ用処理溶液を調製した以外は、実施例1と全て同様に行った。結果を表4に示した。
【0072】
実施例5
A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表2に記載した種類および重量部に各々かえてコンタクトレンズ用処理溶液を調製した以外は、実施例1と全て同様に行った。結果を表4に示した。
【0073】
実施例6
A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表2に記載した種類および重量部に各々かえてコンタクトレンズ用処理溶液を調製した以外は、実施例1と全て同様に行った。結果を表4に示した。
【0074】
実施例7
A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表2に記載した種類および重量部に各々かえてコンタクトレンズ用処理溶液を調製した以外は、実施例1と全て同様に行った。結果を表4に示した。
【0075】
実施例8
A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表2に記載した種類および重量部に各々かえてコンタクトレンズ用処理溶液を調製した以外は、実施例1と全て同様に行った。結果を表4に示した。
【0076】
実施例9
A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表2に記載した種類および重量部に各々かえ、更に表2に記載のE成分を、表2に記載の重量部加えてコンタクトレンズ用処理溶液を調製した以外は、実施例1と全て同様に行った。結果を表4に示した。
【0077】
実施例10
A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表2に記載した種類および重量部に各々かえ、更に表2に記載のE成分を、表2に記載の重量部加えてコンタクトレンズ用処理溶液を調製した以外は、実施例1と全て同様に行った。結果を表4に示した。
【0078】
実施例11
A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表3に記載した種類および重量部に各々かえ、更に表3に記載のE成分を、表3に記載の重量部加えてコンタクトレンズ用処理溶液を調製した以外は、実施例1と全て同様に行った。結果を表5に示した。
【0079】
実施例12
A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表3に記載した種類および重量部に各々かえ、更に表3に記載のE成分を、表3に記載の重量部加えてコンタクトレンズ用処理溶液を調製した以外は、実施例1と全て同様に行った。結果を表5に示した。
【0080】
実施例13
A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表3に記載した種類および重量部に各々かえ、更に表3に記載のE成分を、表3に記載の重量部加えてコンタクトレンズ用処理溶液を調製した以外は、実施例1と全て同様に行った。結果を表5に示した。
【0081】
実施例14
A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表3に記載した種類および重量部に各々かえ、更に表3に記載のE成分を、表3に記載の重量部加えてコンタクトレンズ用処理溶液を調製した以外は、実施例1と全て同様に行った。結果を表5に示した。
【0082】
実施例15
A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表3に記載した種類および重量部に各々かえ、更に表3に記載のE成分を、表3に記載の重量部加えてコンタクトレンズ用処理溶液を調製した以外は、実施例1と全て同様に行った。結果を表5に示した。
【0083】
実施例16
A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表3に記載した種類および重量部に各々かえ、更に表3に記載のE成分を、表3に記載の重量部加えてコンタクトレンズ用処理溶液を調製した以外は、実施例1と全て同様に行った。結果を表5に示した。
【0084】
実施例17
A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表3に記載した種類および重量部に各々かえ、更に表3に記載のE成分を、表3に記載の重量部加えてコンタクトレンズ用処理溶液を調製した以外は、実施例1と全て同様に行った。結果を表5に示した。
【0085】
実施例18
A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表3に記載した種類および重量部に各々かえ、更に表3に記載のE成分を、表3に記載の重量部加えてコンタクトレンズ用処理溶液を調製した以外は、実施例1と全て同様に行った。結果を表5に示した。
【0086】
実施例19
A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表3に記載した種類および重量部に各々かえ、更に表3に記載のE成分を、表3に記載の重量部加えてコンタクトレンズ用処理溶液を調製した。また[1]の洗浄力試験を新たな洗浄力試験方法にかえた。実施例1の[1]の試験にかえて行った、新たな洗浄力試験は次の通りである。
トリオレイン0.8重量%、コレステロール0.1重量%、卵黄レシチン0.1重量%を乳化させた生理食塩水中でレンズピースを37℃で12時間処理し、レンズピースを汚染させた。このレンズピースをコンタクトレンズ用処理溶液に2時間浸漬した後、水道水で洗浄し、クロロホルム/メタノール溶液(2:1)でレンズピース上の脂質を抽出した後、溶媒を蒸発させた。硫酸−リン酸−バニリン法を用いて吸光度からレンズピース上に残った脂質の量を計算し、洗浄前の汚れに対する脂質汚れの除去率(%)を計算した。
これ以外は、全て実施例1と同様に行い、結果を表5に示した。
【0087】
実施例20
A成分、B成分、C成分、D成分、E成分、その他成分を、表3に記載した種類および重量部に各々かえてコンタクトレンズ用処理溶液を調製した以外は、全て実施例19と同様に行った。結果を表5に示した。
【0088】
比較例1
A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表6に記載した種類および重量部に各々かえてコンタクトレンズ用処理溶液を調製した以外は、全て実施例1と同様に行った。結果を表7に示した。比較例1の結果から、界面活性剤の濃度が低い場合は十分な洗浄力が得られないことがわかる。
【0089】
比較例2
A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表6に記載した種類および重量部に各々かえてコンタクトレンズ用処理溶液を調製した以外は、全て実施例1と同様に行った。結果を表7に示した。比較例2の結果から、界面活性剤の濃度が高すぎる場合は、酵素の安定性が極端に悪くなることがわかる。
【0090】
比較例3
B成分を加えず、A成分、C成分、D成分、その他成分を、表6に記載した種類および重量部に各々かえてコンタクトレンズ用処理溶液を調製した以外は、全て実施例1と同様に行った。結果を表7に示した。比較例3では、加水分解酵素がないために汚れがほとんど落ちていないことがわかる。
【0091】
比較例4
A成分を加えず、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表6に記載した種類および重量部に各々かえてコンタクトレンズ用処理溶液を調製した以外は、全て実施例1と同様に行った。結果を表7に示した。比較例4では加水分解酵素の濃度が高いために皮膚に対して影響が出ている。
【0092】
比較例5
A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表6に記載した種類および重量部に各々かえてコンタクトレンズ用処理溶液を調製した以外は、全て実施例1と同様に行った。結果を表7に示した。比較例5では多価アルコールが少ないために加水分解酵素の安定性が極端に悪くなっていることがわかる。
【0093】
比較例6
A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表6に記載した種類および重量部に各々かえてコンタクトレンズ用処理溶液を調製した以外は、全て実施例1と同様に行った。結果を表7に示した。比較例6では多価アルコールが多すぎてレンズの形状に影響を与えていた。
【0094】
比較例7
D成分を加えず、A成分、B成分、C成分、その他成分を、表6に記載した種類および重量部に各々かえてコンタクトレンズ用処理溶液を調製した以外は、全て実施例1と同様に行った。結果を表7に示した。比較例7ではホウ素化合物がないために加水分解酵素の安定性が悪くなっている。
【0095】
比較例8
A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表6に記載した種類および重量部に各々かえてコンタクトレンズ用処理溶液を調製した以外は、全て実施例1と同様に行った。結果を表7に示した。比較例8ではホウ素化合物の濃度が高すぎるために溶液の安定性が悪くなっていることがわかる。
【0096】
比較例9
A成分を加えず、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表6に記載した種類および重量部に各々かえてコンタクトレンズ用処理溶液を調製した以外は、全て実施例1と同様に行った。結果を表7に示した。比較例9ではA成分の陰イオン性界面活性剤の種類が、本発明のものとは異なるために溶液の安定性が非常に悪く、また加水分解酵素の安定性も悪くなっていることがわかる。
【0097】
比較例10
A成分を加えず、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表6に記載した種類および重量部に各々かえてコンタクトレンズ用処理溶液を調製した以外は、全て実施例1と同様に行った。結果を表7に示した。比較例10ではA成分のかわりに、本発明のものとは異なる非イオン性の界面活性剤を用いているために洗浄力が十分とは言えない。
【0098】
【表1】
【0099】
注;用いた略号は次の通り
MPC ;2−メタクリロイルオキシエチル−2‘−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート
MMA ;メチルメタクリレート
n−BMA;n−ブチルメタクリレート
n−SMA;n−ステアリルメタクリレート
AIBN ;アゾビスイソブチロニトリル
【0100】
【表2】
【0101】
注;用いた略号は次の通り。
POLS ;ポリオキシエチレン(3モル)ラウリルエーテル硫酸エステルナトリウム塩(日本油脂株式会社製)
POTA ;ポリオキシエチレン(3モル)トリデシルエーテル酢酸ナトリウム塩(日光ケミカルズ社製)
POLT ;ポリオキシエチレン(3モル)ラウリルエーテル硫酸エステルトリエタノールアミン塩(日本油脂株式会社製)
LAPE ;ラウリルアミドポリオキシエチレンエーテル硫酸エステルナトリウム塩(日本油脂株式会社製)
CMT ;N−ココイル−N−メチルタウリンナトリウム(日本油脂株式会社製)
LSNa ;ラウロイルザルコシネートナトリウム(日本油脂株式会社製)
LMAP ;N−ラウロイル−N−メチル−β−アミノプロピオン酸ナトリウム(日光ケミカルズ社製)
DOSS ;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(日本油脂株式会社製)
PG ;プロピレングリコール
合成例1 ;合成例1で得たポリマーNo1
合成例2 ;合成例2で得たポリマーNo2
合成例3 ;合成例3で得たポリマーNo3
【0102】
【表3】
【0103】
注;用いた略号は次の通り。
CLL ;「クリアー・レンズ・リポ(商品名)」(ノボノルディスクインダストリー社製)
PVA ;ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名クラレポバールPVA−224C)
PVP ;ポリビニルピロリドンK25
CHG ;グルコン酸クロルヘキシジン
PHMB ;ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)
【0104】
【表4】
【0105】
【表5】
【0106】
【表6】
【0107】
注:用いた略号は次の通り。
SDS ;ドデシル硫酸ナトリウム
Tween80;ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート
【0108】
【表7】
【0109】
【発明の効果】
本発明のコンタクトレンズ用処理溶液は、配合成分がバランスよく添加されているため、溶液が長期間極めて安定であり、かつ眼への安全性も高い。また、コンタクトレンズを本発明の溶液中に浸漬させることにより、コンタクトレンズに付着したタンパク質や脂質等の汚れを、従来のコンタクトレンズ用処理溶液よりも、効率よく洗浄することができた。
本発明のコンタクトレンズ処理溶液により、溶液を希釈することなく、簡便な浸漬処理のみにより、コンタクトレンズに付着した汚れを落とすことのできる、長期保存後においても安定な、理想的なコンタクトレンズ用処理溶液が得られた。
Claims (6)
- A成分として下記一般式[1]
- 請求項1に記載のA成分の陰イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、アルキルアミドポリオキシエチレンエーテル硫酸塩、N−アシル−N−メチルタウリン酸塩、アルキルザルコシネート、N−アシル−N−メチル−β−アミノプロピオン酸塩のいずれかから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ用処理溶液。
- 請求項1に記載のB成分の加水分解酵素が、タンパク質分解酵素、脂質分解酵素、糖鎖分解酵素のいずれかから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ用処理溶液。
- 請求項1に記載のC成分の多価アルコールが、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールのいずれかから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ用処理溶液。
- 請求項1に記載のD成分のホウ素化合物がホウ酸であることを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ用処理溶液。
- 請求項1〜5に記載のコンタクトレンズ用処理溶液を、希釈することなく使用し、該溶液にコンタクトレンズを浸漬して処理することを特徴とするコンタクトレンズの処理方法。
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