JP2000241773A - コンタクトレンズ用処理溶液 - Google Patents

コンタクトレンズ用処理溶液

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JP2000241773A
JP2000241773A JP11043553A JP4355399A JP2000241773A JP 2000241773 A JP2000241773 A JP 2000241773A JP 11043553 A JP11043553 A JP 11043553A JP 4355399 A JP4355399 A JP 4355399A JP 2000241773 A JP2000241773 A JP 2000241773A
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宣男 中林
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Abstract

(57)【要約】 【課題】酵素濃度が適度で、かつ高い洗浄力を持ち、溶
液の長期安定性その他の物性も良好な、全ての面におい
てバランスを兼ね備えたコンタクトレンズ用処理溶液、
およびそのコンタクトレンズの処理方法を提供する。 【解決手段】A成分として陰イオン性界面活性剤0.0
5〜2重量%と、B成分として加水分解酵素10-10
0.008重量%と、C成分として多価アルコール5〜
30重量%と、D成分としてホウ素化合物0.1〜2重
量%を含むことを特徴とするコンタクトレンズ用処理溶
液。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコンタクトレンズ用
処理溶液に関するものである。より詳細には、例えばコ
ンタクトレンズに付着した汚れを洗浄し、同時に防汚性
や親水性を付与するのに好適なコンタクトレンズ用処理
溶液に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より使用されているコンタクトレン
ズは、非含水性コンタクトレンズと含水性コンタクトレ
ンズに分けることができ、非含水性コンタクトレンズと
しては、ハードコンタクトレンズとソフトコンタクトレ
ンズが、また含水性コンタクトレンズとしてはソフトコ
ンタクトレンズが知られている。非含水性コンタクトレ
ンズは、含水性コンタクトレンズと比較して材料が安定
であり、またそのメンテナンスも容易である。例えばメ
チルメタクリレートを主成分とするものや、最近では眼
に対する影響を緩和したシリル系メタクリレートまたは
フッ素系メタクリレートなどを主成分とする高酸素透過
性ハードコンタクトレンズ等が使用されている。
【0003】しかしハードコンタクトレンズは表面が疎
水的であるために装用時に異物感を感じる。特に高酸素
透過性ハードコンタクトレンズは疎水性が高いために、
装用感の低下とともにタンパク質や脂質の汚れが付着し
やすいという欠点があり、このため表面の親水性を高め
るようなコンタクトレンズ用処理溶液が求められてい
る。
【0004】コンタクトレンズの汚れを効率よく除去す
るために、酵素をコンタクトレンズ用洗浄液に入れる方
法が広く用いられている。一般的に酵素を水に溶解する
とその安定性は著しく低下するが、グリセリン、プロピ
レングリコール、ソルビトールなどの多価アルコールを
加えることで酵素の安定性が向上することが知られてい
る(特公昭53−47810号公報、特開平1−180
515号公報、特開平6−95043号公報、特開平8
−271841号公報等)。しかし例えば特開平1−1
80515号公報、特開平4−243215号公報、特
開平4−370197号公報ではいずれも多価アルコー
ルを50重量%以上含んでいるが、これらの溶液に直接
コンタクトレンズを浸漬するとレンズの物性値に対する
影響があるため、使用するに当たっては該溶液を使用直
前に精製水など別の溶液で希釈する必要があり、簡便性
に問題があった。
【0005】洗浄力と酵素安定性の問題を解決する方法
として、酵素の量を増やすことが考えられる。しかし本
来酵素というものは最適な状態であればごく少量で十分
な能力を発揮できるものであり、必要以上に酵素を増や
すと酵素そのものあるいはその分解物と接触した際アレ
ルギー反応が起こりやすくなるほか、酵素分解物を栄養
源として雑菌が繁殖しやすくなるおそれがある。
【0006】洗浄力を高めるためにさらに界面活性剤を
加えるような組成物も知られている。例えば特開平4−
51015号公報にはタンパク質分解酵素、多価アルコ
ール、アルカリ金属塩、及び界面活性剤を含むコンタク
トレンズ用液剤組成物が開示されている。しかしこの公
報に記載されているように酵素を0.01重量%以上加
えると、酵素を多量に含むことにより先に述べたように
手指等に触れた際に皮膚に対して刺激が出るおそれがあ
る。しかも界面活性剤として陰イオン界面活性剤以外の
ものを用いた場合は洗浄力が不十分であり、また陰イオ
ン界面活性剤の種類によっては保存安定性が悪いなどの
欠点があった。これらの問題から、酵素濃度が低くかつ
高い洗浄力を持ち、溶液の安定性その他の物性も良好
な、全ての面においてバランスを兼ね備えたコンタクト
レンズ用処理溶液が求められていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、酵素
濃度が適度で、かつ高い洗浄力を持ち、溶液の長期安定
性その他の物性も良好な、全ての面においてバランスを
兼ね備えたコンタクトレンズ用処理溶液を提供すること
にある。また、コンタクトレンズ用処理溶液を希釈する
ことなく使用し、簡便な浸漬処理によりコンタクトレン
ズに付着した汚れを落とすことのできる、コンタクトレ
ンズの処理方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の問題
点に鑑み、鋭意検討した結果、特定の式で表される陰イ
オン性界面活性剤を選択し、さらに加水分解酵素、多価
アルコール、ホウ酸化合物の配合濃度のバランスを検討
することにより問題を解決できることを見いだし、本発
明を完成した。即ち、本発明は、次の(1)〜(8)の
通りである。 (1)、A成分として下記一般式[1]
【0009】
【化4】
【0010】{式中、R1は炭素数8以上20以下のア
ルキル基である。Xは、−(OR3m+ 1−、または−N
2CO−(R3O)m3−、または−CONR2−(R3
O)m 3−、または−OCOCH2−CH(OCOR4
−、または−COOCH2CH(OH)CH2−のいずれ
かで表される基(但し、ここでR2は水素原子またはメ
チル基を示す。R3は炭素数2〜12の二価の炭化水素
基を示す。mはオキシアルキレン基の平均付加モル数を
示し、0〜10の数を示す。R4は水素原子または炭素
数1〜20のアルキル基を示す。)である。Yはスルホ
ニル基またはその塩、あるいは硫酸基またはその塩、あ
るいはリン酸基またはその塩、あるいはカルボキシル基
またはその塩のうちいずれかの基である。}で表される
陰イオン性界面活性剤0.05〜2重量%と、B成分と
して加水分解酵素10-10〜0.008重量%と、C成
分として多価アルコール5〜30重量%と、D成分とし
てホウ素化合物0.1〜2重量%を含むことを特徴とす
るコンタクトレンズ用処理溶液。 (2)、E成分として下記一般式[2]
【0011】
【化5】
【0012】(式中、R1、R2およびR3は、水素原子
または炭素数1〜8のアルキル基または炭素数1〜8の
ヒドロキシアルキル基のいずれかを示し、それぞれ同一
であっても異なる基であってもよい。R4は炭素数2〜
4のアルキレン基を示す。)で表される基を側鎖に有す
る重合体、またはポリビニルアルコール、またはポリビ
ニルピロリドン、または多糖類、または多糖類誘導体の
いずれかから選ばれる少なくとも1種以上の水溶性高分
子0.001〜5重量%をさらに含むことを特徴とする
(1)に記載のコンタクトレンズ用処理溶液。 (3)、(2)に記載の一般式[2]で表される基を側
鎖に有する重合体が、下記一般式[3]
【0013】
【化6】
【0014】{式中、R1、R2およびR3は、炭素数1
〜8のアルキル基または炭素数1〜8のヒドロキシアル
キル基のいずれかを示し、それぞれ同一であっても異な
る基であってもよい。R4は−CH2CH2−、または−
CH2CH2CH2−のいずれかである。R5は−(CHR
7m−、または−(CH2CHR7O)n−CH2CHR7
−のいずれかで表される基(但し、ここでR7は水素原
子またはメチル基を示す。mは2〜18の整数を示す。n
は1〜16の整数を示す。)である。R6は水素原子ま
たはメチル基である。}で表されるホスホリルコリン基
含有(メタ)アクリレートモノマーを単独で重合して得
た重合体であるか、または一般式[3]で表されるホス
ホリルコリン基含有(メタ)アクリレートモノマーと一
般式[3]で表されるホスホリルコリン基含有(メタ)
アクリレートモノマーと共重合が可能なその他のビニル
モノマーとを共重合させて得た重合体であることを特徴
とする(2)に記載のコンタクトレンズ用処理溶液。
【0015】(4)、(1)に記載のA成分の陰イオン
性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、
アルキルアミドポリオキシエチレンエーテル硫酸塩、N
−アシル−N−メチルタウリン酸塩、アルキルザルコシ
ネート、N−アシル−N−メチル−β−アミノプロピオ
ン酸塩のいずれかから選ばれる1種以上であることを特
徴とする(1)または(2)に記載のコンタクトレンズ
用処理溶液。
【0016】(5)、(1)に記載のB成分の加水分解
酵素が、タンパク質分解酵素、脂質分解酵素、糖鎖分解
酵素のいずれかから選ばれる1種以上であることを特徴
とする(1)または(2)に記載のコンタクトレンズ用
処理溶液。
【0017】(6)、(1)に記載のC成分の多価アル
コールが、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビ
トールのいずれかから選ばれる1種以上であることを特
徴とする(1)または(2)に記載のコンタクトレンズ
用処理溶液。
【0018】(7)、(1)に記載のD成分のホウ素化
合物がホウ酸であることを特徴とする(1)または
(2)に記載のコンタクトレンズ用処理溶液。
【0019】(8)、(1)〜(7)に記載のコンタク
トレンズ用処理溶液を、希釈することなく使用し、該溶
液にコンタクトレンズを浸漬して処理することを特徴と
するコンタクトレンズの処理方法、以上である。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明のコンタクトレンズ用処理
溶液に用いられるA成分の陰イオン性界面活性剤は、コ
ンタクトレンズ上の汚れを除去することを目的に配合す
る。一般には、陰イオン性界面活性剤は、酵素の安定性
を低下させるため、酵素と併用する界面活性剤には、非
イオン性界面活性剤が良いとされる。しかし、非イオン
性界面活性剤は陰イオン性界面活性剤に比べて洗浄力が
低く、強固な汚れは落とせないという欠点がある。その
ため本発明のコンタクトレンズ用処理溶液には、一般式
[1]に示す陰イオン性界面活性剤を用いる。一般式
[1]に示す以外の陰イオン性界面活性剤には、低温で
沈殿を生じるという欠点があり好ましくない。
【0021】本発明のコンタクトレンズ用処理溶液で
は、A成分として一般式[1]の構造を持った陰イオン
性界面活性剤を、本発明の特定の配合組成および、特定
の濃度範囲で加えることにより、酵素の活性や溶液の安
定性を損なわずに洗浄力を上げることが出来、また沈殿
も生じない。これにより陰イオン性界面活性剤の利点の
みを生かした、コンタクトレンズ用処理溶液を得ること
ができる。本発明のコンタクトレンズ用処理溶液に用い
ることが出来るA成分の陰イオン性界面活性剤は、具体
的には下記一般式[1]
【0022】
【化7】
【0023】で示される化合物である。ここで、R1
炭素数8以上20以下のアルキル基を示す。R1のアル
キル基は一般式[1]の化合物が界面活性能を発揮する
ために必要なものであればいかなるアルキル基であって
よいが、好ましくは直鎖あるいは分岐があるアルキル基
であるのがよい。より好ましくは、オクチル基、2−エ
チルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、
ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデ
シル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ヘプタデセ
ニル基、オクタデシル基、オクタデセニル基、ノナデシ
ル基、アイコシル基から選ばれる基を挙げることが出来
る。
【0024】また一般式[1]に示されるXは、−(O
2m+1−、または−NR2CO−(R3O)m3−、ま
たは−CONR2−(R3O)m3−、または−OCOC
2−CH(OCOR4)−、または−COOCH2CH
(OH)CH2−のいずれかで表される基である。但
し、ここでR2は水素原子またはメチル基を示す。R3
炭素数2〜12の二価の炭化水素基を示し、好ましくは
水溶性や溶液安定性から、エチレン基またはプロピレン
基である。mはオキシアルキレン基の平均付加モル数を
示し、0〜10の数を示し、洗浄力について陰イオン性
界面活性剤としての性能を損なわず、かつ安全性や低温
保存時の安定性が高いなどの理由から、好ましくはm
0〜5である。R4は水素原子または炭素数1〜20の
アルキル基を示し、好ましくは洗浄力の高さから、水素
原子、メチル基、オクチル基から選ばれる基である。
【0025】以上の、一般式[1]に示されるXは、コ
ンタクトレンズ用処理溶液の安定度を高める理由から、
好ましくはポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン
等のポリオキシアルキレン;アミノメチル、アミノエチ
ル、ポリオキシエチレンアミド等のアミド;ポリオキシ
エチレン−N−メチルアミド、N−メチルアミノメチ
ル、N−メチルアミノエチル、N−メチルアミノプロピ
ル、N−メチルアミノブチル等のN−メチルアミド;ス
クシニルメチル、スクシニルエチル、スクシニルオクチ
ル等のコハク酸誘導体;グリセリン誘導体などに分類さ
れる二価の炭化水素基であるのがよい。
【0026】仮にA成分に用いる陰イオン性界面活性剤
として、一般式[1]のうち、Xがない構造の界面活性
剤や、一般式[1]のXの部分が本発明で示したものと
は異なる界面活性剤、例えばXがベンジル等である界面
活性剤は、本発明の成分配合、配合濃度の溶液中では安
定性が悪くなるので、本発明の配合組成、配合濃度であ
るかぎり、コンタクトレンズ用処理溶液としては好まし
くない。また、一般式[1]に示されるYは、スルホニ
ル基またはその塩、あるいは硫酸基またはその塩、ある
いはリン酸基またはその塩、あるいはカルボキシル基ま
たはその塩のうちいずれかの基であり、好ましくは洗浄
力の高さから、スルホン酸塩、硫酸塩またはカルボン酸
塩である。ここで用いられる塩の種類としては、通常界
面活性剤に使用されるものであればよく、例えばナトリ
ウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、モノエタノール
アミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミ
ン塩、アンモニウム塩などを挙げることが出来、中でも
ナトリウム塩、マグネシウム塩、トリエタノールアミン
塩が好ましく挙げられる。
【0027】以上に示した、A成分に用いる一般式
[1]の陰イオン性界面活性剤として、本発明に好まし
く用いられるものは、具体的には例えばポリオキシエチ
レンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシプロピレンア
ルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢
酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、
アルキルアミドポリオキシエチレンエーテル硫酸塩、ア
ルキルアミドポリオキシエチレンエーテル酢酸塩、アル
キルアミドポリオキシエチレンエーテルリン酸塩、N−
アシル−N−メチルタウリン酸塩、N−アシル−N−メ
チル−β−アミノ酢酸塩(アルキルザルコシネート)、
N−アシル−N−メチル−β−アミノプロピオン酸塩、
ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルアミドスルホコ
ハク酸塩、アシルグリセリル硫酸塩等である。このうち
特に眼への影響が穏やかであることや、溶液の安定性を
高める点などからポリオキシエチレンアルキルエーテル
硫酸塩、アルキルアミドポリオキシエチレンエーテル硫
酸塩、N−アシル−N−メチルタウリン酸塩、N−アシ
ル−N−メチル−β−アミノプロピオン酸塩、アルキル
ザルコシネートが、より好ましく用いられる。
【0028】本発明のコンタクトレンズ用処理用液に
は、A成分として一般式[1]の陰イオン性界面活性剤
のうち一種を単独で用いても、二種以上を混合して用い
てもどちらでもよい。但し、A成分の陰イオン界面活性
剤の含有割合は、コンタクトレンズ用処理用液の全量の
うち、0.05〜2重量%、好ましくは0.2〜1.5
重量%の範囲である。A成分の含有割合が0.05重量
%未満では洗浄能力が不十分であるため好ましくなく、
また2重量%を越えると酵素の安定性が損なわれるだけ
でなく、眼への刺激が大きい等安全性の面でも問題があ
るので好ましくない。
【0029】本発明のコンタクトレンズ用処理溶液に用
いられるB成分の加水分解酵素は、コンタクトレンズの
物性に影響を与えない加水分解酵素であれば、本発明の
目的を逸脱しないかぎりいかなるものを用いてもよい
が、好ましくは、界面活性剤では落としきれないような
強固な汚れを分解して落とすために、ムチンなどの糖タ
ンパク質やリゾチームなどのタンパク質、脂質などの疎
水性化合物等に代表される、涙液由来の汚れ成分の一種
を分解し、コンタクトレンズ上の汚れを除去しやすくす
る作用のあるものがよい。このような加水分解酵素とし
て、例えばタンパク質分解酵素、脂質分解酵素、糖鎖分
解酵素などを用いることができる。
【0030】本発明に用いられるタンパク質分解酵素と
しては、タンパク質分解酵素として通常使われるもので
あればいかなるものであっても良いが、入手性などの点
から、例えば「ビオプラーゼ」(ナガセ生化学工業株式
会社製)、「クリアー・レンズ・プロ」(ノボノルディ
スクバイオインダストリー社製)、「アルカリプロテア
ーゼGL−440」(協和エンザイム社製)等微生物由
来のサブチリシンを用いたものや、トリプシン、キモト
リプシン、エラスターゼ、パパイン等の動植物由来タン
パク質分解酵素が好ましく用いられる。本発明に用いら
れる脂質分解酵素としては、脂質分解酵素として通常使
われるものであればいかなるものであっても良いが、入
手性などの点から、例えば「クリアー・レンズ・リポ」
(ノボノルディスクバイオインダストリー社製)、ホス
ホリパーゼA、ホスホリパーゼB、ホスホリパーゼC、
ホスホリパーゼD、コレステロールエステラーゼ等の脂
質分解酵素が好ましく用いられる。
【0031】本発明に用いられる糖鎖分解酵素として
は、糖鎖分解酵素として通常使われるものであればいか
なるものであっても良いが、入手性などの点から、例え
ばα―アミラーゼ、エンドグリコシダーゼD、エンド−
β−ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、セルラ
ーゼ、デキストラナーゼ等の糖鎖分解酵素が用いられ
る。また本発明には、パンクレアチンのような加水分解
酵素の複合物を用いてもよい。
【0032】本発明のコンタクトレンズ用処理用液に
は、B成分として本発明に用いる加水分解酵素のうち一
種を単独で用いても、二種以上を混合して用いてもどち
らでもよい。但し、B成分の加水分解酵素の含有割合
は、コンタクトレンズ用処理溶液の全量のうち、10
-10重量%〜0.008重量%であるのがよく、より好
ましくは10-6重量%〜0.005重量%の範囲である
のがよい。B成分の含有割合が10-10重量%未満では
洗浄能力が不十分であるため好ましくなく、また0.0
08重量%を越えると眼や皮膚への刺激が大きくなり、
またアレルギー反応を起こす場合があるなど、安全性の
面で問題がある場合があり、さらには過剰の加水分解酵
素がレンズに吸着するおそれがあるので好ましくない。
なお市販の酵素の中には、安定化剤等を加えた溶液で供
給されるものや、あるいは粉末の状態でしか入手できな
いものなど色々あるが、その場合、B成分を本発明のコ
ンタクトレンズ用処理溶液に配合し、最終的な加水分解
酵素量が本発明に示した含有割合になるように濃縮や希
釈などの調整を行って用いる。
【0033】本発明のコンタクトレンズ用処理溶液に用
いられるC成分の多価アルコールは、酵素を安定に保つ
ことができるものであれば、いかなる種類の多価アルコ
ールでも用いることができるが、好ましくは、例えば、
エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコー
ル、ソルビトール、ショ糖、トレハロースなどの多価ア
ルコールを好ましく用いることが出来る。このうち、酵
素への安定化効果が高い点で、ソルビトール、プロピレ
ングリコール、グリセリンを、C成分としてより好まし
く用いることが出来る。
【0034】本発明のコンタクトレンズ用処理用液に
は、C成分として本発明に用いる多価アルコールのうち
一種を単独で用いても、二種以上を混合して用いてもど
ちらでもよい。但し、C成分の多価アルコールの含有割
合は、コンタクトレンズ用処理溶液の全量のうち、5〜
30重量%であるのがよく、より好ましくは10〜25
重量%であるのがよい。C成分の含有割合が5重量%未
満では酵素の安定化効果が十分でないため好ましくな
く、また30重量%を越えると粘度が高くなり洗浄など
による除去が難しくなる他、レンズに対して悪影響を及
ぼす恐れがあるので好ましくない。
【0035】本発明のコンタクトレンズ用処理溶液に用
いられるD成分のホウ素化合物としては、タンパク質分
解酵素の安定化効果のあるものであるならば、通常知ら
れるホウ素化合物である限りいかなるものを用いても良
く、例えばホウ酸、硼砂、フェニルホウ素酸などが用い
られるが、入手のしやすさやpHの調整効果、酵素なら
びに溶液の安定性の点からは、特にホウ酸が好ましく用
いられる。本発明のコンタクトレンズ用処理用液には、
D成分として本発明に用いるホウ素化合物のうち一種を
単独で用いても、二種以上を混合して用いてもどちらで
もよい。但し、D成分のホウ素化合物の含有割合は、コ
ンタクトレンズ用処理溶液の全量のうち、0.1〜2重
量%であるのがよく、より好ましくは0.3〜1重量%
であるのがよい。D成分の含有割合が0.1重量%未満
では酵素の安定化効果ならびにpHの調整効果が不十分
であるため好ましくなく、また2重量%を越えると沈殿
を生じやすくなり、溶液の安定性に問題が生じるので好
ましくない。
【0036】本発明コンタクトレンズ用処理溶液には、
必要に応じてさらにE成分として一般式[2]で表され
る基を側鎖に有する重合体、またはポリビニルアルコー
ル、またはポリビニルピロリドン、または多糖類又はそ
の誘導体のいずれかから選ばれる少なくとも1種以上の
水溶性高分子を加えることが出来る。これらのE成分
は、本発明のコンタクトレンズ用処理溶液に配合するこ
とにより、コンタクトレンズに親水性等を付与したり、
溶液の粘度調整剤、角膜保護剤ならびに酵素の安定化剤
等として作用し、本発明のコンタクトレンズ用処理溶液
の性能を更に高めるように働く。本発明に用いられるE
成分の水溶性高分子は、一般式[2]で表される基を側
鎖に有する重合体、またはポリビニルアルコール、また
はポリビニルピロリドン、または多糖類又はその誘導体
のいずれかから選ばれる水溶性高分子であれば、コンタ
クトレンズの物性値に影響を与えず、かつ酵素の安定性
を損なわないものであるかぎり、いかなるものであって
も用いることができる。
【0037】本発明に用いられるE成分の水溶性高分子
のうち、一般式[2]で表される基を側鎖に有する重合
体とは、下記一般式[2]
【0038】
【化8】
【0039】で表される基を側鎖に有する重合体をい
い、ここでR1、R2およびR3は、水素原子または炭素
数1〜8のアルキル基または炭素数1〜8のヒドロキシ
アルキル基のいずれかを示し、炭素数1〜8のアルキル
基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、
イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、
ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基などの
基が好ましく挙げられ、炭素数1〜8のヒドロキシアル
キル基としてはヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、
ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、ヒドロキシペ
ンチル、ヒドロキシヘキシル、ヒドロキシヘプチル、ヒ
ドロキシオクチルなどの基が挙げられるが、安定性や安
全性の理由からは、炭素数1〜4のアルキル基又はヒド
ロキシアルキル基が好ましく、更にはメチル基が最も好
ましく挙げられる。また、R1、R2およびR3は、それ
ぞれ同一であっても異なる基であってもよい。R4は炭
素数2〜4のアルキレン基を示し、例えばエチレン基、
プロピレン基、ブチレン基などの基が好ましく挙げら
れ、安定性や安全性の理由からは、エチレン基が最も好
ましく挙げられる。また、一般式[2]を側鎖に有する
とは、高分子主鎖から枝分れした形状で、一般式[2]
に示される基を有していることをいい、高分子中に一般
式[2]で示される側鎖が10mol/mol%以上含
まれていれば本発明でいう、一般式[2]で表される基
を側鎖に有する重合体の範囲に含むことができる。一般
式[2]で示される側鎖が10mol/mol%未満に
なると溶解性が悪くなるので好ましくない。また、この
ときの重合体の高分子主鎖はいかなる形状をしていても
よく、重合体の分子量は1,000から5,000,0
00程度であるのがよい。更に詳細には、一般式[2]
で表される基を側鎖に有する重合体の一例として、一般
式[3]で表されるホスホリルコリン基含有(メタ)ア
クリレートモノマーを単独で重合して得た重合体である
か、または一般式[3]で表されるホスホリルコリン基
含有(メタ)アクリレートモノマーと一般式[3]で表
されるホスホリルコリン基含有(メタ)アクリレートモ
ノマーと共重合が可能なその他のビニルモノマーとを共
重合させて得た重合体を挙げることができ、これを親水
性の高さ、酵素の安定化効果の高さなどの点から、一般
式[2]で表される基を側鎖に有する重合体として、本
発明のE成分に好ましく用いることができる。
【0040】ここで、一般式[3]で表されるホスホリ
ルコリン基含有(メタ)アクリレートモノマー(以下、
PC(メタ)アクリレートと省略して呼称する)とは、
下記の一般式[3]
【0041】
【化9】
【0042】で表される化合物である。式中、R1、R2
およびR3は、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数
1〜8のヒドロキシアルキル基のいずれかであるが、炭
素数1〜8のアルキル基としては、例えばメチル基、エ
チル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペン
チル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エ
チルヘキシル基などの基が挙げられ、炭素数1〜8のヒ
ドロキシアルキル基としてはヒドロキシメチル、ヒドロ
キシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、
ヒドロキシペンチル、ヒドロキシヘキシル、ヒドロキシ
ヘプチル、ヒドロキシオクチルなどの基が挙げられる
が、安定性の点からは炭素数1〜4のアルキル基又はヒ
ドロキシアルキル基が好ましく、更にはメチル基が最も
好ましく挙げられる。また、R4は−CH2CH2−、ま
たは−CH2CH2CH2−のいずれかであり、中でも生
体膜の構成成分であるリン脂質と同じ骨格を持つエチレ
ン基が好ましい。R5は−(CHR7m−、または−
(CH2CHR7O)n−CH2CHR7−のいずれかで表
される基であり(ここでR7は水素原子またはメチル基
を示す。mは2〜18の整数であり、水への溶解性の点
からmは2〜10であるのが好ましい。またnは1〜16
の整数であり、前記一般式[I]で表される側鎖の性能
を十分に発揮させるためにはnが1〜4であるのが好ま
しい。)、このうち前記一般式[I]で表される側鎖の
性能を十分に発揮させるためにはR2はエチレン基が好
ましい。R1は水素原子またはメチル基を示す。
【0043】一般式[3]で表されるPC(メタ)アク
リレートとしては、前記一般式[3]の範囲に含まれる
ものであれば、いかなる構造のものでも用いることがで
きるが、水溶性、防汚染性及び親水性等の点から、例え
ば2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(ト
リメチルアンモニオ)エチルホスフェート、3−(メ
タ)アクリロイルオキシプロピル−2’−(トリメチル
アンモニオ)エチルホスフェート、4−(メタ)アクリ
ロイルオキシブチル−2’−(トリメチルアンモニオ)
エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ
エチル−2’−(トリエチルアンモニオ)エチルホスフ
ェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’
−(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−
(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチル−2’−
(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−
(メタ)アクリロイルオキシジエトキシエチル−2’−
(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−
(メタ)アクリロイルオキシエチル−2’−(2”−ト
リヒドロキシエチルアンモニオ)エチルホスフェート等
のPC(メタ)アクリレートを好ましく挙げることがで
きる。入手性等の点からは、2−(メタ)アクリロイル
オキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチル
ホスフェートが最も好ましく挙げられる。
【0044】本発明に用いられるE成分の、一般式
[2]で表される基を側鎖に有する重合体のうち、好ま
しいものは、前記PC(メタ)アクリレートを単独で重
合させるか、あるいは、PC(メタ)アクリレートと共
重合可能なビニルモノマーとPC(メタ)アクリレート
とを共重合させることによって得ることができる。
【0045】PC(メタ)アクリレートを共重合させる
場合、PC(メタ)アクリレートと共重合可能な、その
他のビニルモノマーとしては、通常知られるビニルモノ
マーであればいかなるものでも用いることができ、例え
ばスチレン、メチルスチレン、クロロスチレン等のスチ
レン系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の
ビニルエーテル系モノマー;メチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)
アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステア
リル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メ
タ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート系
モノマー;(メタ)アクリル酸;2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレ
ートなどの水酸基含有(メタ)アクリレート;ポリエチ
レングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレン
グリコール(メタ)アクリレート等のポリアルキレング
リコール(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸ア
ミド、N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル等の含
窒素モノマー;塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレ
ン、プロピレン、イソブチレン等のハロゲン置換炭化水
素系又は炭化水素系モノマーを用いることができる。こ
のうち、n−ブチル(メタ)アクリレートが最も好まし
く用いられる。これらのビニルモノマーのうち一種もし
くは1種以上をPC(メタ)アクリレートと共重合させ
ることによって、一般式[2]で表される基を側鎖に有
する重合体の範囲に含まれる共重合体を合成することが
できる。
【0046】前記PC(メタ)アクリレートと共重合可
能なその他のビニルモノマーとを共重合させる際の仕込
量は、好ましくはPC(メタ)アクリレート10〜99
重量部、より好ましくは40〜98重量部に対して、共
重合可能な他のビニルモノマー1〜90重量部、より好
ましくは2〜60重量部である。前記仕込量が10重量
部未満では共重合体に親水性を付与する効果が発揮でき
ないので好ましくなく、また前記仕込量が99重量部を
越えると、前記PC(メタ)アクリレートが付与する水
溶性等の特性が十分発現しないので好ましくない。
【0047】さらにPC(メタ)アクリレートを単独で
重合させるか、あるいは、PC(メタ)アクリレートと
共重合可能なビニルモノマーとPC(メタ)アクリレー
トとを共重合させる条件は、従来の高分子化学の知識を
用いて適宜選択することができるが、好ましくは、前述
の各モノマー(単量体)成分をラジカル重合開始剤の存
在下、窒素、二酸化炭素、ヘリウム等の不活性ガスで置
換または雰囲気においてラジカル重合、例えば塊状重
合、懸濁重合、乳化重合、溶液重合等の公知の方法によ
り調整することができる。前記重合開始剤としては、通
常のラジカル重合開始剤であれば特に限定されるもので
はないが、例えば過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイ
ル、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、t−ブ
チルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチ
ルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシジイソ
ブチレート、アゾビスイソブチロニトリル、アゾイソビ
スジメチルバレロニトリル、過硫酸塩及び過硫酸塩−亜
硫酸水素塩系等を挙げることができる。前記重合開始剤
の仕込量は、モノマー成分100重量部に対して0.0
001〜10重量部が好ましく、更に0.01〜5重量
部が望ましい。また重合温度は20〜100℃が好まし
く、重合時間は0.5〜72時間が望ましい。更に得ら
れる重合体の分子量は、重合温度、重合開始剤及び重合
度調整剤等の使用量によっても異なるが、重量平均分子
量で1,000〜5,000,000が好ましく、特に
コンタクトレンズ溶液への溶解性、溶液の粘度やコンタ
クトレンズへの付着性から10,000〜1,000,
000が望ましい。
【0048】また、本発明に用いられるE成分の水溶性
高分子のうち、ポリビニルアルコールとは、通常ポリビ
ニルアルコールとして知られ、入手が可能であり、本発
明のコンタクトレンズ用処理溶液に配合することができ
る全てのものをいうが、好ましくは、けん化度86〜8
9%、重合度400〜2400のものである。
【0049】また、本発明に用いられるE成分の水溶性
高分子のうち、ポリビニルピロリドンとは、通常ポリビ
ニルピロリドンとして知られ、入手が可能であり、本発
明のコンタクトレンズ用処理溶液に配合することができ
る全てのものをいうが、好ましくは日本薬局方に記載さ
れているポリビニルピロリドンK25、ポリビニルピロ
リドンK30、ポリビニルピロリドンK90である。
【0050】また、本発明に用いられるE成分の水溶性
高分子のうち、多糖類とは、通常多糖類として知られ、
入手が可能であり、本発明のコンタクトレンズ用処理溶
液に配合することができる全てのものをいうが、好まし
くはコンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ヘパラン硫
酸、ヘパリンなどのムコ多糖や、アルギン酸ナトリウ
ム、プルランなどが挙げられる。
【0051】また、本発明に用いられるE成分の水溶性
高分子のうち、多糖類誘導体とは、通常多糖類誘導体と
して知られ、入手が可能であり、本発明のコンタクトレ
ンズ用処理溶液に配合することができる全てのものをい
うが、好ましくはヒドロキシエチルセルロース、ヒドロ
キシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセル
ロースなどのセルロース誘導体や、低分子化キトサン、
エチレングリコールキチンなどが挙げられる。本発明の
コンタクトレンズ用処理溶液に用いられるE成分の含有
割合は0.001〜5重量%、より好ましくは0.05
〜2重量%の範囲である。前記含有割合が0.001重
量%未満では、前記E成分のポリマーの効果が不十分で
あるため好ましくなく、また5重量%を越えると粘性が
高くなり洗浄等による除去が難しくなるため好ましくな
い。
【0052】本発明のコンタクトレンズ用処理溶液は、
前記A成分、B成分、C成分、D成分、そして場合によ
りE成分の各成分を、精製水等の水に溶解して得ること
ができる。
【0053】本発明のコンタクトレンズ用処理溶液に
は、必要に応じて、溶液のpHを調整するために、pH
調整剤として、例えば塩酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナ
トリウム、リン酸塩(リン酸一ナトリウム、リン酸二ナ
トリウム、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム等)、
クエン酸塩(クエン酸ナトリウム等)、トリス(ヒドロ
キシメチル)アミノメタンや、これらの混合物等を好ま
しく添加することができる。これらのpH調整剤は、適
量選択して添加することができるが、好ましくは0.0
01〜5重量%程度加えることが出来る。本発明のコン
タクトレンズ用処理溶液には、必要に応じて、溶液の安
定性等のためにキレート剤を添加することができる。こ
れらは本発明の特徴を損なわないものであれば、特に限
定されるものではないが、例えば多価カルボン酸等が好
ましく添加され、より好ましくはクエン酸、エチレンジ
アミンテトラ酢酸、シクロヘキサンジアミンテトラ酢酸
及びこれらのアルカリ金属塩や、これらの混合物を好ま
しく添加することができる。これらのキレート剤は、適
量選択して添加することができるが、好ましくは0.0
1〜1重量%程度加えることが出来る。
【0054】本発明のコンタクトレンズ用処理溶液前に
は、必要に応じて、眼への影響を少なくするために無機
塩化物を加えることができる。これらは本発明の特徴を
損なわないものであれば、特に限定される物ではない
が、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネ
シウム又はこれらの混合物等を好ましく添加することが
できる。これらの無機塩化物は、適量選択して添加する
ことができるが、好ましくは0.001〜5重量%程度
加えることが出来る。本発明のコンタクトレンズ用処理
溶液には、必要に応じて、雑菌の繁殖を防ぐために防腐
剤を加えることができる。これらは本発明の特徴を損な
わないものであれば、特に限定される物ではないが、例
えばクロロブタノール、塩化ベンザルコニウム、チメロ
ザール、グルコン酸クロルヘキシジン、パラオキシ安息
香酸エステル、ソルビン酸、ポリヘキサメチレンビグア
ニド等の、1種あるいはそれ以上を好ましく添加するこ
とができる。これらの防腐剤は、適量選択して添加する
ことができるが、好ましくは0.001〜0.2重量%
程度加えることが出来る。
【0055】本発明のコンタクトレンズ用処理溶液に
は、必要により上記成分を、適宜添加することができる
が、さらに適当と思われるその他の成分を、本発明の特
徴を損なわない限りにおいて、適宜添加してみることは
一向にかまわない。
【0056】本発明のコンタクトレンズ用処理溶液の使
用方法としては、例えばコンタクトレンズ用処理溶液に
コンタクトレンズを浸漬ないし接触させ、更に眼に装着
前に、水、生理食塩水及び適当な洗浄液等で濯ぐなどの
方法があり、これによりコンタクトレンズについた汚れ
を効率よく除去することが出来る。また、本発明のコン
タクトレンズ用処理溶液は、コンタクトレンズを処理す
る前に、精製水、生理食塩水などで希釈することなく、
そのまま用いることが出来る特徴を持つ。本発明のコン
タクトレンズ処理溶液は、希釈すると洗浄力が低下する
ためなるべく希釈せず用いるのがよい。
【0057】また、含水性コンタクトレンズを本発明の
コンタクトレンズ用処理溶液で処理する場合には、本発
明の処理溶液に浸漬した後、生理食塩水などに浸漬し
て、コンタクトレンズに含まれる水の浸透圧を眼に近い
状態にするのが、使用上好ましい。非含水性コンタクト
レンズを本発明のコンタクトレンズ用処理溶液で処理す
る場合には、そのような操作が必要なく簡便であるた
め、本発明のコンタクトレンズ処理溶液で処理するコン
タクトレンズの種類としては、どちらかといえば、ハー
ドコンタクトレンズや非含水性ソフトコンタクトレンズ
などの非含水性コンタクトレンズがより好ましい。
【0058】
【実施例】以下、合成例、参考例、実施例、比較例を用
いて本発明を更に詳細に説明する。 合成例1 モノマーとして表1に記載したものを準備した。PC
(メタ)アクリレートとして、2−メタクリロイルオキ
シエチル−2‘−(トリメチルアンモニオ)エチルホス
フェートを45gならびにビニルモノマーとして、n−
ブチルメタクリレート(三菱レーヨン製)を5g、さら
にラジカル重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリ
ル(大塚化学製)0.01gをメタノール450gに溶
解し、重合用ガラス反応管に入れ窒素置換した後、恒温
槽にて50℃、72時間重合させた。重合終了後、エタ
ノールを良溶媒として、ジエチルエーテルを貧溶媒とし
て再沈精製し、加熱乾燥させて重合体(ポリマーNo
1)を得た。得られたポリマーNo1の重量平均分子量
は、ゲル濾過クロマトグラフィーによりポリエチレング
リコールを基準として測定した結果、約50万であっ
た。
【0059】合成例2 合成例1とモノマー組成以外を同じ条件を用い、表1に
示した組成で重合して、重合体(ポリマーNo2)を得
た。得られたポリマーNo2の重量平均分子量は約20
万であった。
【0060】合成例3 合成例1とモノマー組成以外を同じ条件を用い、表1に
示した組成で重合して、重合体(ポリマーNo3)を得
た。得られたポリマーNo3の重量平均分子量は約8万
であった。
【0061】参考例1 コンタクトレンズテストピースの作成。 トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリ
レート40g、トリフルオロエチルメタクリレート30
g、メチルメタクリレート10g、トリエチレングリコ
ールジメタクリレート15g、メタクリル酸5g、アゾ
ビスイソブチロニトリル0.2gを試験管に注入して、
窒素置換の後に密封した。これを60℃で24時間かけ
て、試験管内の原料モノマーを加熱硬化させ、無色透明
の重合物を得た。得られた重合物を、約40x10x2
mmの板状になるよう切削、研磨により加工し、コンタ
クトレンズテストピースを得た。
【0062】実施例1 A成分としてポリオキシエチレン(3モル)ラウリルエ
ーテル硫酸エステルナトリウム塩を1重量部、B成分と
してサブチリシンを0.005重量部、C成分としてグ
リセリンを20重量部、D成分としてホウ酸を0.5重
量部、その他成分として水酸化ナトリウムを0.3重量
部、エチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム塩を0.
1重量部、グルコン酸クロルヘキシジンを0.005重
量部を各々精製水に溶解した。総重量を100gのコン
タクトレンズ用処理溶液を調製した。これを用いて以下
の[1]〜[6]試験ならびに総合評価を行った。 [1]洗浄力試験 以下の方法で汚れ除去率(%)を算出した。ウシ血清ア
ルブミン0.39重量%、γーグロブリン0.16重量
%、リゾチーム0.12重量%、豚胃ムチン0.1重量
%(いずれも和光純薬工業製)を含む生理食塩水中で、
参考例1で得たコンタクトレンズテストピース(以下レ
ンズピースと略)を60℃で2時間処理し、レンズピー
スを汚染させた。このレンズピースをコンタクトレンズ
処理溶液に2時間浸漬した後、水道水で洗浄し、さらに
1%ドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬工業製)水溶液
でレンズピースからタンパク質を剥離させ、その溶液中
のタンパク量をマイクロBCAキット(ピアス社製)を
用いて測定し、洗浄前の汚れに対するタンパク質汚れの
除去率(%)を計算し、結果を表4に記した。この汚れ
除去率が90%以上であれば、通常、目視による汚れは
認められないので、十分な洗浄力を持つ良好なコンタク
トレンズ用処理溶液であると判断した。
【0063】[2]長期保存後の洗浄力試験 コンタクトレンズ用処理溶液を40℃で3ヶ月保存した
後に[1]と同様の方法で汚れ除去率(%)を算出し、
長期保存後の汚れ除去率(%)を算出した。結果を表4
に記した。このとき、汚れ除去率が90%以上であれ
ば、長期保存後も十分な洗浄力を持ち、すなわち酵素安
定性が高く、良好なコンタクトレンズ処理溶液であると
判断した。
【0064】[3]低温保存時安定性試験 コンタクトレンズ用処理溶液を4℃、一週間保存した後
に水溶液の外観を観察し、以下の基準で低温保存時安定
性を評価した。結果を表4に記した。 ○:溶液は透明である。 △:溶液に濁りが生じている ×:溶液に沈殿が生じているか、または成分が分離して
いる 以上の結果が○であれば、良好なコンタクトレンズ用処
理溶液であると判断した。
【0065】[4]接触角試験 レンズピースをコンタクトレンズ用処理溶液に2時間浸
漬保存した後、生理食塩水で濯いだ。このレンズピース
の動的接触角(度)を、動的接触角測定器(オリエンテ
ック(株)製)を用いて測定した。結果を表4に記し
た。接触角により以下の基準でコンタクトレンズの親水
性を評価した。すなわち、接触角が小さいときは、親水
性が高いということであり、このことは、コンタクトレ
ンズを装用した際の不快感を軽減することにつながると
考えられる。そこでレンズピースの接触角が40度以下
であれば、コンタクトレンズ用処理溶液により親水性が
高められていると判断でき、これを良好なコンタクトレ
ンズ用処理溶液であると判断した。 [5]レンズへの影響試験 市販のコンタクトレンズ(セイコーハードEX)を準備
し、これをコンタクトレンズ用処理溶液に40℃、1ヶ
月浸漬保存した後、レンズの直径、ベースカーブ、パワ
ーを測定し、また形状ならびに表面の状態を目視により
調べ、処理前と変化があるかどうかを調べた。そのとき
変化がないものは「なし」とし、いずれかに変化のある
ものは「あり」とした。結果を表4に記した。「なし」
であるものは、コンタクトレンズへの顕著な影響がない
ものと考えられ、良好なコンタクトレンズ処理溶液であ
ると判断した。
【0066】[6]皮膚への影響試験 背部を剪毛した白色ウサギに前記コンタクトレンズ処理
溶液0.5mlを2週間にわたり毎日塗布し、浮腫の有
無を目視で観察した。浮腫が認められないものは「な
し」とし、認められるものは「あり」とした。結果を表
4に記した。「なし」であるものは、皮膚に対して顕著
な影響がないものと考えられ、使用感の良い良好なコン
タクトレンズ処理溶液であると判断した。
【0067】[総合評価]以上[1]〜[6]の各試験
で、結果が良好だった試験の数に基づき、次の基準で総
合評価を行った。◎;全ての試験で結果が良好であった
もの。これは使用感がよいため、最優良コンタクトレン
ズ用処理溶液であると判断した。○;5つの試験で結果
が良好であったもの。これは優良コンタクトレンズ用処
理溶液であると判断した。△;4つの試験で結果が良好
であったもの。これはコンタクトレンズ用処理溶液とし
て使用した場合、使用感が悪いと判断した。×;3個以
下しか結果が良好でなかったもの。これは性状が劣悪で
あり、コンタクトレンズ用処理溶液として使用するには
適していないと判断した。以上の基準により◎、○、
△、×の記号を表4に示した。
【0068】このうち結果が△または×であればコンタ
クトレンズ用処理溶液として、実用的な使用には向かな
いと考えられるが、そうでないものはコンタクトレンズ
用処理溶液として好適に使用することができる。
【0069】実施例2 A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表2
に記載した種類および重量部に各々かえてコンタクトレ
ンズ用処理溶液を調製した以外は、実施例1と全て同様
に行った。結果を表4に示した。
【0070】実施例3 A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表2
に記載した種類および重量部に各々かえてコンタクトレ
ンズ用処理溶液を調製した以外は、実施例1と全て同様
に行った。結果を表4に示した。
【0071】実施例4 A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表2
に記載した種類および重量部に各々かえてコンタクトレ
ンズ用処理溶液を調製した以外は、実施例1と全て同様
に行った。結果を表4に示した。
【0072】実施例5 A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表2
に記載した種類および重量部に各々かえてコンタクトレ
ンズ用処理溶液を調製した以外は、実施例1と全て同様
に行った。結果を表4に示した。
【0073】実施例6 A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表2
に記載した種類および重量部に各々かえてコンタクトレ
ンズ用処理溶液を調製した以外は、実施例1と全て同様
に行った。結果を表4に示した。
【0074】実施例7 A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表2
に記載した種類および重量部に各々かえてコンタクトレ
ンズ用処理溶液を調製した以外は、実施例1と全て同様
に行った。結果を表4に示した。
【0075】実施例8 A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表2
に記載した種類および重量部に各々かえてコンタクトレ
ンズ用処理溶液を調製した以外は、実施例1と全て同様
に行った。結果を表4に示した。
【0076】実施例9 A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表2
に記載した種類および重量部に各々かえ、更に表2に記
載のE成分を、表2に記載の重量部加えてコンタクトレ
ンズ用処理溶液を調製した以外は、実施例1と全て同様
に行った。結果を表4に示した。
【0077】実施例10 A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表2
に記載した種類および重量部に各々かえ、更に表2に記
載のE成分を、表2に記載の重量部加えてコンタクトレ
ンズ用処理溶液を調製した以外は、実施例1と全て同様
に行った。結果を表4に示した。
【0078】実施例11 A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表3
に記載した種類および重量部に各々かえ、更に表3に記
載のE成分を、表3に記載の重量部加えてコンタクトレ
ンズ用処理溶液を調製した以外は、実施例1と全て同様
に行った。結果を表5に示した。
【0079】実施例12 A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表3
に記載した種類および重量部に各々かえ、更に表3に記
載のE成分を、表3に記載の重量部加えてコンタクトレ
ンズ用処理溶液を調製した以外は、実施例1と全て同様
に行った。結果を表5に示した。
【0080】実施例13 A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表3
に記載した種類および重量部に各々かえ、更に表3に記
載のE成分を、表3に記載の重量部加えてコンタクトレ
ンズ用処理溶液を調製した以外は、実施例1と全て同様
に行った。結果を表5に示した。
【0081】実施例14 A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表3
に記載した種類および重量部に各々かえ、更に表3に記
載のE成分を、表3に記載の重量部加えてコンタクトレ
ンズ用処理溶液を調製した以外は、実施例1と全て同様
に行った。結果を表5に示した。
【0082】実施例15 A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表3
に記載した種類および重量部に各々かえ、更に表3に記
載のE成分を、表3に記載の重量部加えてコンタクトレ
ンズ用処理溶液を調製した以外は、実施例1と全て同様
に行った。結果を表5に示した。
【0083】実施例16 A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表3
に記載した種類および重量部に各々かえ、更に表3に記
載のE成分を、表3に記載の重量部加えてコンタクトレ
ンズ用処理溶液を調製した以外は、実施例1と全て同様
に行った。結果を表5に示した。
【0084】実施例17 A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表3
に記載した種類および重量部に各々かえ、更に表3に記
載のE成分を、表3に記載の重量部加えてコンタクトレ
ンズ用処理溶液を調製した以外は、実施例1と全て同様
に行った。結果を表5に示した。
【0085】実施例18 A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表3
に記載した種類および重量部に各々かえ、更に表3に記
載のE成分を、表3に記載の重量部加えてコンタクトレ
ンズ用処理溶液を調製した以外は、実施例1と全て同様
に行った。結果を表5に示した。
【0086】実施例19 A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表3
に記載した種類および重量部に各々かえ、更に表3に記
載のE成分を、表3に記載の重量部加えてコンタクトレ
ンズ用処理溶液を調製した。また[1]の洗浄力試験を
新たな洗浄力試験方法にかえた。実施例1の[1]の試
験にかえて行った、新たな洗浄力試験は次の通りであ
る。トリオレイン0.8重量%、コレステロール0.1
重量%、卵黄レシチン0.1重量%を乳化させた生理食
塩水中でレンズピースを37℃で12時間処理し、レン
ズピースを汚染させた。このレンズピースをコンタクト
レンズ用処理溶液に2時間浸漬した後、水道水で洗浄
し、クロロホルム/メタノール溶液(2:1)でレンズ
ピース上の脂質を抽出した後、溶媒を蒸発させた。硫酸
−リン酸−バニリン法を用いて吸光度からレンズピース
上に残った脂質の量を計算し、洗浄前の汚れに対する脂
質汚れの除去率(%)を計算した。これ以外は、全て実
施例1と同様に行い、結果を表5に示した。
【0087】実施例20 A成分、B成分、C成分、D成分、E成分、その他成分
を、表3に記載した種類および重量部に各々かえてコン
タクトレンズ用処理溶液を調製した以外は、全て実施例
19と同様に行った。結果を表5に示した。
【0088】比較例1 A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表6
に記載した種類および重量部に各々かえてコンタクトレ
ンズ用処理溶液を調製した以外は、全て実施例1と同様
に行った。結果を表7に示した。比較例1の結果から、
界面活性剤の濃度が低い場合は十分な洗浄力が得られな
いことがわかる。
【0089】比較例2 A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表6
に記載した種類および重量部に各々かえてコンタクトレ
ンズ用処理溶液を調製した以外は、全て実施例1と同様
に行った。結果を表7に示した。比較例2の結果から、
界面活性剤の濃度が高すぎる場合は、酵素の安定性が極
端に悪くなることがわかる。
【0090】比較例3 B成分を加えず、A成分、C成分、D成分、その他成分
を、表6に記載した種類および重量部に各々かえてコン
タクトレンズ用処理溶液を調製した以外は、全て実施例
1と同様に行った。結果を表7に示した。比較例3で
は、加水分解酵素がないために汚れがほとんど落ちてい
ないことがわかる。
【0091】比較例4 A成分を加えず、B成分、C成分、D成分、その他成分
を、表6に記載した種類および重量部に各々かえてコン
タクトレンズ用処理溶液を調製した以外は、全て実施例
1と同様に行った。結果を表7に示した。比較例4では
加水分解酵素の濃度が高いために皮膚に対して影響が出
ている。
【0092】比較例5 A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表6
に記載した種類および重量部に各々かえてコンタクトレ
ンズ用処理溶液を調製した以外は、全て実施例1と同様
に行った。結果を表7に示した。比較例5では多価アル
コールが少ないために加水分解酵素の安定性が極端に悪
くなっていることがわかる。
【0093】比較例6 A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表6
に記載した種類および重量部に各々かえてコンタクトレ
ンズ用処理溶液を調製した以外は、全て実施例1と同様
に行った。結果を表7に示した。比較例6では多価アル
コールが多すぎてレンズの形状に影響を与えていた。
【0094】比較例7 D成分を加えず、A成分、B成分、C成分、その他成分
を、表6に記載した種類および重量部に各々かえてコン
タクトレンズ用処理溶液を調製した以外は、全て実施例
1と同様に行った。結果を表7に示した。比較例7では
ホウ素化合物がないために加水分解酵素の安定性が悪く
なっている。
【0095】比較例8 A成分、B成分、C成分、D成分、その他成分を、表6
に記載した種類および重量部に各々かえてコンタクトレ
ンズ用処理溶液を調製した以外は、全て実施例1と同様
に行った。結果を表7に示した。比較例8ではホウ素化
合物の濃度が高すぎるために溶液の安定性が悪くなって
いることがわかる。
【0096】比較例9 A成分を加えず、B成分、C成分、D成分、その他成分
を、表6に記載した種類および重量部に各々かえてコン
タクトレンズ用処理溶液を調製した以外は、全て実施例
1と同様に行った。結果を表7に示した。比較例9では
A成分の陰イオン性界面活性剤の種類が、本発明のもの
とは異なるために溶液の安定性が非常に悪く、また加水
分解酵素の安定性も悪くなっていることがわかる。
【0097】比較例10 A成分を加えず、B成分、C成分、D成分、その他成分
を、表6に記載した種類および重量部に各々かえてコン
タクトレンズ用処理溶液を調製した以外は、全て実施例
1と同様に行った。結果を表7に示した。比較例10で
はA成分のかわりに、本発明のものとは異なる非イオン
性の界面活性剤を用いているために洗浄力が十分とは言
えない。
【0098】
【表1】
【0099】注;用いた略号は次の通り MPC ;2−メタクリロイルオキシエチル−2‘−
(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート MMA ;メチルメタクリレート n−BMA;n−ブチルメタクリレート n−SMA;n−ステアリルメタクリレート AIBN ;アゾビスイソブチロニトリル
【0100】
【表2】
【0101】注;用いた略号は次の通り。 POLS ;ポリオキシエチレン(3モル)ラウリルエ
ーテル硫酸エステルナトリウム塩(日本油脂株式会社
製) POTA ;ポリオキシエチレン(3モル)トリデシル
エーテル酢酸ナトリウム塩(日光ケミカルズ社製) POLT ;ポリオキシエチレン(3モル)ラウリルエ
ーテル硫酸エステルトリエタノールアミン塩(日本油脂
株式会社製) LAPE ;ラウリルアミドポリオキシエチレンエーテ
ル硫酸エステルナトリウム塩(日本油脂株式会社製) CMT ;N−ココイル−N−メチルタウリンナトリ
ウム(日本油脂株式会社製) LSNa ;ラウロイルザルコシネートナトリウム(日
本油脂株式会社製) LMAP ;N−ラウロイル−N−メチル−β−アミノ
プロピオン酸ナトリウム(日光ケミカルズ社製) DOSS ;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(日
本油脂株式会社製) PG ;プロピレングリコール 合成例1 ;合成例1で得たポリマーNo1 合成例2 ;合成例2で得たポリマーNo2 合成例3 ;合成例3で得たポリマーNo3
【0102】
【表3】
【0103】注;用いた略号は次の通り。 CLL ;「クリアー・レンズ・リポ(商品名)」
(ノボノルディスクインダストリー社製) PVA ;ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品
名クラレポバールPVA−224C) PVP ;ポリビニルピロリドンK25 CHG ;グルコン酸クロルヘキシジン PHMB ;ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)
【0104】
【表4】
【0105】
【表5】
【0106】
【表6】
【0107】注:用いた略号は次の通り。 SDS ;ドデシル硫酸ナトリウム Tween80;ポリオキシエチレンソルビタンモノオ
レート
【0108】
【表7】
【0109】
【発明の効果】本発明のコンタクトレンズ用処理溶液
は、配合成分がバランスよく添加されているため、溶液
が長期間極めて安定であり、かつ眼への安全性も高い。
また、コンタクトレンズを本発明の溶液中に浸漬させる
ことにより、コンタクトレンズに付着したタンパク質や
脂質等の汚れを、従来のコンタクトレンズ用処理溶液よ
りも、効率よく洗浄することができた。本発明のコンタ
クトレンズ処理溶液により、溶液を希釈することなく、
簡便な浸漬処理のみにより、コンタクトレンズに付着し
た汚れを落とすことのできる、長期保存後においても安
定な、理想的なコンタクトレンズ用処理溶液が得られ
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮崎 剛 茨城県つくば市梅園2−15−5 (72)発明者 中林 宣男 千葉県松戸市小金原5−6−20 (72)発明者 石原 一彦 東京都小平市上水本町3−16−37 Fターム(参考) 2H006 DA08 4H003 AB05 AB06 AB20 AB21 AB22 AB23 AB29 AB31 AB34 AB37 AB39 BA12 DA16 EA02 EA18 EA21 EB05 EB08 EB16 EB28 EB33 EB42 EC01 ED28 FA16

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】A成分として下記一般式[1] 【化1】 {式中、R1は炭素数8以上20以下のアルキル基であ
    る。Xは、−(OR3m+ 1−、または−NR2CO−
    (R3O)m3−、または−CONR2−(R3O)m 3
    −、または−OCOCH2−CH(OCOR4)−、また
    は−COOCH2CH(OH)CH2−のいずれかで表さ
    れる基(但し、ここでR2は水素原子またはメチル基を
    示す。R3は炭素数2〜12の二価の炭化水素基を示
    す。mはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示し、
    0〜10の数を示す。R4は水素原子または炭素数1〜
    20のアルキル基を示す。)である。Yはスルホニル基
    またはその塩、あるいは硫酸基またはその塩、あるいは
    リン酸基またはその塩、あるいはカルボキシル基または
    その塩のうちいずれかの基である。}で表される陰イオ
    ン性界面活性剤0.05〜2重量%と、B成分として加
    水分解酵素10-10〜0.008重量%と、C成分とし
    て多価アルコール5〜30重量%と、D成分としてホウ
    素化合物0.1〜2重量%を含むことを特徴とするコン
    タクトレンズ用処理溶液。
  2. 【請求項2】E成分として下記一般式[2] 【化2】 (式中、R1、R2およびR3は、水素原子または炭素数
    1〜8のアルキル基または炭素数1〜8のヒドロキシア
    ルキル基のいずれかを示し、それぞれ同一であっても異
    なる基であってもよい。R4は炭素数2〜4のアルキレ
    ン基を示す。)で表される基を側鎖に有する重合体、ま
    たはポリビニルアルコール、またはポリビニルピロリド
    ン、または多糖類、または多糖類誘導体のいずれかから
    選ばれる少なくとも1種以上の水溶性高分子0.001
    〜5重量%をさらに含むことを特徴とする請求項1に記
    載のコンタクトレンズ用処理溶液。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の一般式[2]で表される
    基を側鎖に有する重合体が、下記一般式[3] 【化3】 {式中、R1、R2およびR3は、炭素数1〜8のアルキ
    ル基または炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基のいず
    れかを示し、それぞれ同一であっても異なる基であって
    もよい。R4は−CH2CH2−、または−CH2CH2
    2−のいずれかである。R5は−(CHR7m−、また
    は−(CH2CHR7O)n−CH2CHR7−のいずれか
    で表される基(但し、ここでR7は水素原子またはメチ
    ル基を示す。mは2〜18の整数を示す。nは1〜16の
    整数を示す。)である。R6は水素原子またはメチル基
    である。}で表されるホスホリルコリン基含有(メタ)
    アクリレートモノマーを単独で重合して得た重合体であ
    るか、または一般式[3]で表されるホスホリルコリン
    基含有(メタ)アクリレートモノマーと、その他の共重
    合が可能なビニルモノマーとを共重合させて得た重合体
    であることを特徴とする請求項2に記載のコンタクトレ
    ンズ用処理溶液。
  4. 【請求項4】請求項1に記載のA成分の陰イオン性界面
    活性剤が、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、アルキ
    ルアミドポリオキシエチレンエーテル硫酸塩、N−アシ
    ル−N−メチルタウリン酸塩、アルキルザルコシネー
    ト、N−アシル−N−メチル−β−アミノプロピオン酸
    塩のいずれかから選ばれる1種以上であることを特徴と
    する請求項1または2に記載のコンタクトレンズ用処理
    溶液。
  5. 【請求項5】請求項1に記載のB成分の加水分解酵素
    が、タンパク質分解酵素、脂質分解酵素、糖鎖分解酵素
    のいずれかから選ばれる1種以上であることを特徴とす
    る請求項1または2に記載のコンタクトレンズ用処理溶
    液。
  6. 【請求項6】請求項1に記載のC成分の多価アルコール
    が、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール
    のいずれかから選ばれる1種以上であることを特徴とす
    る請求項1または2に記載のコンタクトレンズ用処理溶
    液。
  7. 【請求項7】請求項1に記載のD成分のホウ素化合物が
    ホウ酸であることを特徴とする請求項1または2に記載
    のコンタクトレンズ用処理溶液。
  8. 【請求項8】請求項1〜7に記載のコンタクトレンズ用
    処理溶液を、希釈することなく使用し、該溶液にコンタ
    クトレンズを浸漬して処理することを特徴とするコンタ
    クトレンズの処理方法。
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