JP4162192B2 - スランプロス防止に優れるセメント減水剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリート、モルタルなどのセメント組成物を製造する際に使用されるスランプロス防止に優れるセメント減水剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンクリート、モルタルなどのセメント組成物は、その品質を改善する目的でセメント減水剤が広く使用されている。セメント減水剤としては、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物系減水剤、メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物系減水剤、リグニンスルホン酸系減水剤、ポリカルボン酸系減水剤などが一般的に使用されている。その中でも、近年に開発されたポリカルボン酸系減水剤は、他のセメント減水剤と比較して減水性能及びスランプロスの防止効果に優れているために、その需要が増加しつつある。
【0003】
ポリカルボン酸系減水剤は、これまでの開発の経緯からみて、減水効果に着目した「分散型」のポリカルボン酸と、スランプロス防止に着目した「スランプ保持型」のポリカルボン酸に大別することができる。
ポリカルボン酸系セメント減水剤の開発当初においては専ら「分散型」のものが着目されており、ポリアルキレンオキシド基をもたない、不飽和ジカルボン酸や不飽和モノカルボン酸の共重合体などが提案されていた(特許1708477号や特許1675225号)。しかし、これらはスランプロス防止性能が不十分であったことは勿論、減水性能においても充分に満足するものではなかった。その後、ポリエチレングリコールメタクリレートとメタクリル酸との共重合体(特開昭58−38380)、ポリエチレングリコールメタクリレートとメタクリル酸と不飽和カルボン酸のポリアルキレンオキシドを有するアミド化合物付加物との共重合体(特開昭62−70250)など、より減水性能の高いポリアルキレンオキシド基を有するポリカルボン酸系セメント減水剤が開発され、前者に変わって広く使われるようになった。しかし、この「分散型」のポリカルボン酸系セメント減水剤は、それまでのポリアルキレンオキシド基をもたないものと比較すれば減水性能は向上したものの、スランプロス防止効果に関しては、なお充分に満足する性能ではなかった。
【0004】
一方、コンクリート技術の進歩に伴い、コンクリートのスランプロス防止効果への要求もより大きくなり、「スランプ保持型」のポリカルボン酸の開発が進んだ。例えば、ポリエチレングリコールメタクリレートとメタクリル酸との共重合体(特開平5−213644)、不飽和結合を有するポリアルキレングリコールジエステル系単量体とアクリル酸系単量体と不飽和結合を有するポリアルキレングリコールモノエステル系単量体から選択された共重合体(特開平5−238795)、オキシエチレン基が1〜10と11〜100の異なる鎖長のポリエチレングリコールメタクリレートとメタクリル酸との共重合体(特開平9−286645)、ポリオキシアルキレン誘導体と無水マレイン酸との共重合体(特許2541218号)、ポリオキシアルキレン誘導体と無水マレイン酸との共重合体(特開平7−215746)、アルケニルエーテルと無水マレイン酸との共重合体(特開平5−310458)、炭素数2〜8のオレフィンとエチレン性不飽和ジカルボン酸無水物との共重合体(特開平4−74748)、ポリアクリル酸や炭素数2〜8のオレフィンとエチレン性不飽和ジカルボン酸との共重合体などとの金属コンプレックス(特開昭62−83344)などが提案され、前述の「分散型」のポリカルボン酸系セメント減水剤と「スランプ保持型」との併用により、「分散型」では不十分とされていたスランプロス防止効果が改善されるようになった(特許第2741631号)。
【0005】
しかしながら、このような併用型のものは、一応所期の目的を達成するものとはいえるものの、以下のような実用上の点が問題視されるようになってきた。
即ち、コンクリートが、製造プラントで製造・出荷され、トラックアジテータ車によって工事現場まで運搬され、ポンプ車に荷卸して打設場所までポンプ圧送されるまでに要する時間は、製造プラントから工事現場までの交通事情や距離、あるいは現場のコンクリート打設状況により大きく左右されるが、スランプロスはこの時間に大きく依存し、さらに、コンクリート温度にも依存する。それ故に、コンクリートに要求されるスランプロスの防止効果も現場毎に大きく異なるが、コンクリートの品質管理上、スランプは、現場の状況に依存することなく、できるだけ一定であることが望まれる。
【0006】
一方、コンクリートは、使用対象となるコンクリート構造物によりスランプや強度などの要求性能が異なるために、その配合において単位水量や水セメント比が異なる多種類のものが製造されている。このため、コンクリートの製造に使用するセメント減水剤に要求されるスランプロスの防止効果も種々異なる。
【0007】
スランプロスは、一般的には水セメント比が小さい配合のコンクリートの方が大きい配合のコンクリートよりも顕著となる傾向を示すために、通常これに対応するスランプロス防止効果の異なる2種類以上のセメント減水剤を用意してこれらを適宜配合して対処しなければならない。
例えば、スランプロス防止効果という要求性能に焦点を当てたセメント減水剤においては、水セメント比が大きい配合のコンクリートに適したセメント減水剤を、水セメント比が小さい配合のコンクリートに使用した場合、減水性能が充分に発揮されず、かつ、スランプロスが大きくなるという結果を招来してしまうなど、水セメント比や要求されるスランプロス防止効果に応じた複数種類のセメント減水剤を適切に選択すること自体容易なこととはいえない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、上記の問題点を解消し、コンクリートの品質管理上、水セメント比が異なる配合のコンクリートにおいて、また、要求されるスランプロス防止効果が異なる状況においても使用することができ、減水性能が高く、かつ、コンクリートのスランプロスを十分に防止することできる汎用性のあるセメント減水剤を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、特定の共重合体を2種以上組み合わせると、驚くべきことにコンクリートの配合如何に拘わらずそれぞれ単独で用いた場合に比べて高いスランプロス防止効果が得られることを見出し、さらに研究を進めた結果、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、 式(1):
R1−O−(A)n1−(AO)n2−R2 (1)
(ただし、R1は炭素数2〜5のアルケニル基、R2は炭素数1〜4のアルキル基、Aは炭素数2〜4のアルキレンイミン基、n1は0〜30、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、n2は0〜35である。)で表される化合物
および式(2):
【化4】
(ただし、R3、R4は水素、メチル基、a1は0〜2の整数、Aは炭素数2〜4のアルキレンイミン基、n3は0〜30、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、n4は0〜35、X1は1〜3のアルキル基である。)で表される化合物
からなる群から選択される1又は2以上の単量体と、式(3)
【0011】
【化5】
(ただし、R5、R6、R7は水素、メチル基、(CH2)a2COOM1、a2は0〜2の整数、Y1およびM1は水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウムである。)で表される化合物、
【0012】
式(4):
【化6】
(ただし、R8は水素、メチル基、Z1は水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウムである。)で表される化合物、スチレン、スチレンスルホン酸、無水マレイン酸およびアクリルアミドアルカンスルホン酸からなる群から選択される1又は2以上の単量体との共重合体および/またはその塩の2種以上の組み合わせからなり、該組み合わせが夫々単独で用いた場合より、スランプロスが減少する組み合わせである、セメント減水剤に関する。
【0013】
さらに、本発明は、2種以上の共重合体のうち、第1の共重合体の式(1)および/または式(2)のn2が9〜35、n4が9〜35であり、第2の共重合体の式(1)および/または式(2)のn2が0〜8、n4が0〜8であり、第1の共重合体の含有割合が共重合体全量に対して70重量%以下であることを特徴とする、前記セメント減水剤に関する。
また、本発明は、第1の共重合体の平均分子量がポリエチレングリコール換算で10000〜30000、第2の共重合体の平均分子量がポリエチレングリコール換算で5000〜30000であることを特徴とする、前記セメント減水剤に関する。
【0014】
さらに、本発明は、第1の共重合体、第2の共重合体の酸残存基を示す単量体の重量比が、各共重合体の重量に対して10%以上であることを特徴とする、前記セメント減水剤に関する。
また、本発明は、さらにオキシカルボン酸および/またはその塩、糖類、糖アルコール類からなる群から選択される1または2以上を、共重合体全量に対して5〜40重量%含有することを特徴とする、前記セメント減水剤に関する。
【0015】
本発明のセメント減水剤は、ある特定の共重合体のうち、主に付加されるアルキレン鎖長の異なる単量体を用いた共重合体を2種以上組み合わせてなり、夫々単独で用いた場合より、スランプロスが減少する組み合わせのものである。
即ち、本発明により、これらの共重合体を適宜2種以上組み合わせるだけで、スランプ防止効果が得られるだけでなく、さらにそのスランプ防止効果が水セメント比に依存しない、従来では達成できなかった汎用性の減水剤が得られる。
このことは、単独で用いた場合には、十分なスランプ防止効果が得られないため、前述のとおりコンクリートの配合などに応じてスランプ防止剤と組み合わせざるを得なかった従来技術に比べ格段に経済性、作業効率の向上に資するものである。
【0016】
本発明の減水剤のこのような作用効果のメカニズムは必ずしも明確ではないが以下のことが推測される。
コンクリートのスランプロスを防止する作用機構は、一般的にはDLVO理論と立体的反発理論とによって説明され得るが、ポリカルボン酸系セメント減水剤は、一般的には強力な立体的反発力の作用により、低添加量でスランプロス防止効果が得られるとされている。
本発明のスランプロス防止に優れるセメント減水剤は、立体的反発力に優れるポリカルボン酸と、DLVO理論に基づく電気的反発力に優れるポリカルボン酸を適宜組み合わせることで、相乗的なスランプロス防止効果が得られ、水セメント比が異なる場合や、要求されるスランプロス防止効果が異なる状況の中であっても、スランプロスの防止効果を一律に改善することが可能になるものと考えられる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明のスランプロス防止に優れるセメント減水剤は、特定の共重合体を2種以上の組み合わせからなり、組み合わせが夫々単独で用いた場合より、スランプロスが減少する組み合わせであることを特徴とし、夫々単独で用いた場合より、スランプロスが減少するものであれば、いずれの組み合わせであってもよい。
本発明に用いられる共重合体は、
式(1):
R1−O−(A)n1−(AO)n2−R2 (1)
(ただし、R1は炭素数2〜5のアルケニル基、R2は炭素数1〜4のアルキル基、Aは炭素数2〜4のアルキレンイミン基、n1は0〜30、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、n2は0〜35である。)で表される化合物
【0018】
および式(2):
【化7】
(ただし、R3、R4は水素、メチル基、a1は0〜2の整数、Aは炭素数2〜4のアルキレンイミン基、n3は0〜30、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、n4は0〜35、X1は1〜3のアルキル基である。)で表される化合物
からなる群から選択される1又は2以上の単量体と、式(3)
【0019】
【化8】
(ただし、R5、R6、R7は水素、メチル基、(CH2)a2COOM1、a2は0〜2の整数、Y1およびM1は水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウムである。)で表される化合物、
【0020】
式(4):
【化9】
(ただし、R8は水素、メチル基、Z1は水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウムである。)で表される化合物、スチレン、スチレンスルホン酸、無水マレイン酸およびアクリルアミドアルカンスルホン酸からなる群から選択される1又は2以上の単量体との共重合体である。
【0021】
2種以上組み合わせてなる共重合体のうち、付加されるアルキレンオキサイド鎖長の長い単量体と短い単量体を用いた共重合体を組み合わせて用いることが、スランプロス防止効果の点から好ましく、具体的には、2種の共重合体のうち、第1の共重合体の式(1)および/または式(2)のn2が9〜35、n4が9〜35であり、第2の共重合体の式(1)および/または式(2)のn2が0〜8、n4が0〜8を第1の共重合体の含有割合が共重合体全量に対して70重量%以下で用いるのが好ましい。
第1の共重合体に用いられる、式(1)におけるn1が0、n2が9〜35の化合物としては、具体的には、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル(11EO)、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル(25EO)、メトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールアリルエーテル(11EO・3PO)、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル(35EO)、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル(12EO)が挙げられ、好ましくは、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル(11EO)である。
【0022】
第1の共重合体に用いられる、式(2)におけるn3が0、n4が9〜35の化合物としては、具体的には、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(11EO)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(11EO)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(25EO)、メトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールメタクリレート(11EO・3PO)、メトキシポリエチレングリコール−メタリルカルボン酸エステル(25EO)が挙げられ、好ましくは、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(11EO)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(25EO)である。
【0023】
第2の共重合体に用いられる、式(1)におけるn2が0〜8であり、特にアルキレンイミンを有さないn1が0である化合物としては、具体的には、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル(4EO)、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル(6EO)、メトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールアリルエーテル(4EO・2PO)、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル(5EO)、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル(6EO)が挙げられ、好ましくは、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル(6EO)である。
【0024】
第2の共重合体に用いられる、式(1)におけるn2が0〜8であり、n1が1〜30である化合物としては、具体的には、メトキシポリエチレングリコール(4)−ポリエチレンイミン(10)アリルエーテル、メトキシポリエチレングリコール(6)−ポリエチレンイミン(10)アリルエーテル、メトキシポリエチレングリコール(8)−ポリエチレンイミン(25)アリルエーテル、メトキシポリエチレングリコール(6)−ポリエチレンイミン(10)ビニルエーテルが挙げられ、メトキシポリエチレングリコール(4)−ポリエチレンイミン(10)アリルエーテル、メトキシポリエチレングリコール(6)−ポリエチレンイミン(10)ビニルエーテルが好ましい。
【0025】
第2の共重合体に用いられる、式(2)におけるn4が0〜8であり、特にアルキレンイミンを有さないn3が0である化合物としては、具体的には、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(6EO)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(2EO)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(6EO)、メトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールメタクリレート(4EO・2PO)、メトキシポリエチレングリコール−メタリルカルボン酸エステル(6EO)が挙げられ、好ましくは、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(4EO)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(6EO)である。
【0026】
第2の共重合体に用いられる、式(2)におけるn4が0〜8であり、n3が1〜30である化合物としては、具体的には、メトキシポリエチレングリコール(4)−ポリエチレンイミン(10)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(4)−ポリエチレンイミン(10)メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(6)−ポリエチレンイミン(10)メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(8)−ポリエチレンイミン(25)メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(6)−ポリエチレンイミン(10)メタリルスルホン酸エステルが挙げられ、好ましくは、メトキシポリエチレングリコール(4)−ポリエチレンイミン(10)メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(6)−ポリエチレンイミン(10)メタクリレートである。
【0027】
本発明に用いられる共重合体の他の単量体である、式(3)の化合物としては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸が挙げられ、好ましくは、メタクリル酸、マレイン酸である。
また、同じく他の単量体である、式(4)の化合物としては、具体的には、メタクリルスルホン酸が挙げられ、他には、スチレン、スチレンスルホン酸、無水マレイン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸が挙げられ、スチレン、無水マレイン酸が好ましい。
【0028】
本発明のスランプロス防止に優れるセメント減水剤は、上記第1の共重合体の平均分子量がポリエチレングリコール換算で10000〜30000が好ましく、特に好ましくは、15000〜25000であり、上記第2の共重合体の平均分子量がポリエチレングリコール換算で5000〜30000が好ましく、特に好ましくは、8000〜20000である。
組み合わせてなる本発明のセメント減水剤の上記第1および第2の共重合体の平均分子量が上記範囲内であれば、相乗的なスランプロス防止効果が得られ、水セメント比が異なる場合や、要求されるスランプロス防止効果が異なる状況の中でも、スランプを一定に保持することできることから特に好ましい。
【0029】
本発明のスランプロス防止に優れるセメント減水剤は、上記第1の共重合体および第2の共重合体の酸残存基を示す単量体の重量比が、各共重合体の重量に対して10%以上であることを特徴とし、20%〜40%が好ましく、10%未満の場合、セメントに対する減水性が低下し、添加量が増加するために経済性に劣ることと、相乗的なスランプロス防止効果が得られ難くなり、すなわち、水セメント比が異なる場合や、要求されるスランプロス防止効果が異なる状況の中でも、スランプを一定に保持することが困難となる。
【0030】
本発明のスランプロス防止に優れるセメント減水剤は、共重合体の混合物に、さらにオキシカルボン酸および/またはその塩、糖類、糖アルコール類の中から1以上選択されたものを、適宜の量、好ましくは共重合体の総重量に対して、5〜40重量%、とくに好ましくは10〜30重量%を含有する。
【0031】
前記のオキシカルボン酸としては、クエン酸、グルコン酸、フマル酸などが、またその塩としては、アルカリ金属塩が、糖類としてはマルトース、ラクトース、キシロース、サッカロースなどが、糖アルコール類としては、ソルビトール、キシリトール、エリスリトールなどが各々好適に用いられる。
【0032】
本発明のスランプロス防止に優れるセメント減水剤は、多様性を持たせるために、他の添加剤を所望により配合させることもできる。他の添加剤としては、慣用のAE剤、ポリサッカライド誘導体、リグニン誘導体、乾燥収縮低減剤、促進剤、遅延剤、起泡剤、消泡剤、防錆剤、急結剤、増粘剤、水溶性高分子物質等を例示することができる。
【0033】
【実施例】
本発明のスランプロス防止に優れるセメント減水剤の実施例を示すが、本発明はこれらの実施態様例によって限定されるものではない。
【0034】
以下に、本発明に用いられる共重合体を表1および表2に示す。
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
以下に、本実施例に用いる第1の共重合体と第2の共重合体の重量混合比を表3に示す。
【表3】
【0037】
以下に、第1の共重合体と第2の共重合体の混合したセメント添加剤に、さらにオキシカルボン酸、糖類、糖アルコールを混合したセメント添加剤を表4に示す。
【表4】
【0038】
本発明のスランプロス防止効果を確認するために、下記に異なる水セメント比として、配合I、IIおよびIIIのコンクリートを調製し、調製直後のスランプとコンクリートを60分間静置した後のスランプとの差で比較するとともに、セメント減水剤の使用量の変化を比較して、スランプロス防止効果の良否の判断を行った。
【0039】
(スランプロス防止効果の評価:スランプの差)
a:調製直後のスランプの差が±2cm以内。
b:調製直後のスランプの差が±2cmの範囲を逸脱し、スランプの差が±4cm以内。
c:調製直後のスランプの差が±4cmを超える。
【0040】
(スランプロス防止効果の評価:セメント減水剤の使用量の変化)
a:水セメント比50%のセメント減水剤の使用量に対して、同一のスランプ18cmを得るための使用量が±20%以内。
b:水セメント比50%のセメント減水剤の使用量に対して、同一のスランプ18cmを得るための使用量が±20〜40%。
c:水セメント比50%のセメント減水剤の使用量に対して、同一のスランプ18cmを得るための使用量が±40%以上。
【0041】
【表5】
【0042】
(コンクリートの配合および練混ぜ)
表6に示す配合により、目標スランプ18.0±0.5cm、目標空気量4.5±0.5%のコンクリートを調製した。
コンクリートの練混ぜは、練混ぜ量が80リットルとなるようにそれぞれ材料を計量した後、100リットルパン型強制ミキサに全材料を投入後、120秒間練混ぜてコンクリ−トを調製した。
【0043】
【表6】
【0044】
(使用材料)
セメント:太平洋セメント社製普通ポルトランドセメントを使用した。(密度3.16)
細骨材 :大井川水系産陸砂を使用した。(密度2.59)
粗骨材 :青梅産砕石を使用した。(密度2.65)
【0045】
スランプの測定:JIS A−1101に準ずる。
空気量の測定:JIS A−1128に準ずる。
【0046】
【表7】
【0047】
比較例1、4〜11は、本発明に用いられる共重合体を2種以上組み合わせたものであるが、それぞれ単独で用いた比較例2および3と比較してスランプ防止効果が充分でないものである。
実施例1〜18および実施例28〜32に示した本発明のセメント減水剤を用いた場合、本発明のセメント減水剤を用いない比較例19〜27および比較例33〜34と比較して、スランプロス防止効果が認められた。
【0048】
すなわち、各実施例と比較例との比較より、本発明のセメント減水剤を用いることで、相乗的なスランプロス防止効果が得られ、水セメント比が異なる場合や、要求されるスランプロス防止効果が異なる状況の中でも、スランプを一定に保持することが可能となることが確認された。
【0049】
【発明の効果】
本発明のセメント減水剤を用いることで、フレッシュコンクリートの品質管理上、出荷、運搬、荷卸し、打設におけるコンクリートの流動性を、経過時間や配合に影響することなく、すなわち、従来技術にはない、簡便かつ経済的な優れた手法で、スランプロスの防止効果が異なる状況の中でも、コンクリートの流動性を一定に保持することが可能となり、水セメント比が異なる場合や、要求されるスランプロス防止効果が異なる状況の中でも、スランプを一定に保持することが可能となる。
Claims (4)
- 式(1):
R1−O−(A)n1−(AO)n2−R2 (1)
(ただし、R1は炭素数2〜5のアルケニル基、R2は炭素数1〜4のアルキル基、Aは炭素数2〜4のアルキレンイミン基、n1は0〜30、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、n2は0〜35である。)で表される化合物
および式(2):
からなる群から選択される1又は2以上の単量体と、式(3)
- 第1の共重合体の平均分子量がポリエチレングリコール換算で10000〜30000、第2の共重合体の平均分子量がポリエチレングリコール換算で5000〜30000であることを特徴とする、請求項1に記載のセメント減水剤。
- 第1の共重合体、第2の共重合体の酸残存基を示す単量体の重量比が、各共重合体の重量に対して10%以上であることを特徴とする、請求項2に記載のセメント減水剤。
- さらにオキシカルボン酸および/またはその塩、糖類、糖アルコール類からなる群から選択される1または2以上を、共重合体全量に対して5〜40重量%含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のセメント減水剤。
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