JP4162100B2 - フェノキシピリジン誘導体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、Na+ /Ca2+交換系阻害作用を有するフェノキシピリジン誘導体およびその塩に関する。
【0002】
【従来の技術】
Na+ /Ca2+交換系を選択的に阻害し、虚血・再潅流後の細胞障害の機序として重要視されている細胞内Ca2+の過剰蓄積を抑制する化合物としては、特開平7−41465号記載のキナゾリン骨格を有する化合物、国際公開番号WO97/09306記載のイソチオウレア誘導体が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、Na+ /Ca2+交換系を阻害する上記以外の有用化合物を提供し、心筋梗塞等の虚血性心疾患、脳梗塞等の虚血性脳疾患あるいは虚血性腎疾患に対する有用な治療および予防、あるいは血栓溶解療法、血管形成術、冠動脈バイパス手術および臓器移植施行時の細胞保護に役立てることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、Na+ /Ca2+交換系阻害作用を有する化合物を鋭意検討した結果、ある種のフェノキシピリジン骨格を有する化合物が当該目的を満たすことを見い出し、その知見に基づいて本発明を完成した。なお、既述した化合物(特開平 7-41465号、国際公開番号WO97/09306)がNa+ /Ca2+交換系阻害作用を有することは知られているが、フェノキシピリジン骨格を有する化合物にこのような作用があることの報告はない。
【0005】
即ち本発明は、下記式(1)
【0006】
【化4】
(式中、R1 m はハロゲン原子を示し(mは0から5の整数を示す。mが2以上のときには、それぞれ同一のハロゲン原子でも異なるハロゲン原子であってもよい)、R2 は水素原子または低級アルキル基を示し、R3 は水素原子、置換もしくは無置換の低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アシロキシ基または、
【0007】
【化5】
を示す。
【0008】
ここで、R4 およびR5 は同一もしくは異なっていてもよく、水素原子、置換もしくは無置換の低級アルキル基またはN−メチル−4−ピペリジニル基を示すか、または、R4 およびR5 が一緒になって式
【0009】
【化6】
を形成する。式中、nは1〜4を示し、Xはメチレン基(−CH2 −)、エポキシ基(−O−)、チオ基(−S−)またはNR7 を示し、R6 は水素原子、ヒドロキシ基またはアルコキシカルボニル基を示す。
【0010】
ここで、R7 は水素原子、低級アルキル基または置換もしくは無置換のフェニル基を示す。)で表されるフェノキシピリジン誘導体およびその塩である。
【0011】
なお、上記本発明に係る化合物においては、R3 は、水素原子、置換もしくは無置換の低級アルキル基等であるよりも、
【0012】
【化7】
であるのが好ましい。
【0013】
本発明において低級アルキル基とは、C1 〜C6 の直鎖または分枝状のアルキル基を意味し、具体的には、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、 tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、 tert-ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基等が挙げられる。
【0014】
低級アルコキシ基とは、C1 〜C6 の直鎖または分枝状のアルコキシ基を意味し、具体的には、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、 tert-ブトキシ基、ペンチロキシ基、イソペンチロキシ基、ネオペンチロキシ基、 tert-ペンチロキシ基、1−メチルブトキシ基、2−メチルブトキシ基、1,2−ジメチルプロポキシ基、ヘキシロキシ基、イソヘキシロキシ基等が挙げられる。
【0015】
ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子をいうが、フッ素原子が最も好ましい。
【0016】
アルコキシカルボニル基は−CO−ORで示されるエステル基であり、本発明に係るアルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜10のものを採用することができる。アルコキシル部分は、直鎖のみならず、枝分かれがあってもよく、環状であってもよい。また、芳香族基を含んでいてもよい。そのようなものとしては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、フェニルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0017】
アシロキシ基は−O−CO−Rで示されるエステル基であり、本発明に係るアシロキシ基としては、炭素数2〜10のものを採用することができる。アシル部分は、直鎖のみならず、枝分かれがあってもよく、環状であってもよい。また、芳香族基を含んでいてもよい。そのようなものとしては、例えばアセトキシ基、プロピオニロキシ基、イソプロピオニロキシ基、シクロヘキシニロキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる。
【0018】
置換基としてはクロロ基、フルオロ基、ニトロ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、メチル基、エチル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基、カルバモイル基などが挙げられる。
【0019】
[塩、水和物、プロドラッグ]
ここで、本発明に係る化合物には本発明に係るフェノキシピリジン誘導体の塩も含まれるが、当該塩は医薬上許容される塩であり、同時に、当該塩は医薬上許容される塩であればいかなるものであってもよい。そのような塩としては、ナトリウム塩やカリウム塩など、本発明に係るフェノキシピリジン誘導体の活性に悪影響を与えないカウンターイオンとの塩などが挙げられる。
【0020】
フェノキシピリジン誘導体もしくはその塩の水和物も本発明の範囲内に含まれる。なお、ここでいう水和は、化合物のイオン性に基づくものは勿論のこと、水素結合により溶媒和したものまでをも含む広義の概念である。
【0021】
生体内で代謝されることにより本発明に係るフェノキシピリジン誘導体もしくはその塩を生ずる化合物(いわゆるプロドラッグ)も本発明の範囲に含まれる。そのようなものとしては、例えば、R3 が置換の低級アルキル基であったときに、その置換基がカルボキシル基であった場合のエステル体やアミド体もしくはこれらの等価体を挙げることができる。
【0022】
【発明の効果】
本発明の化合物は、Na+ /Ca2+交換系を有効に阻害する。従って、細胞内Ca2+の過剰蓄積を抑制し、虚血・再潅流後の細胞障害を防止することができ、心筋梗塞等の虚血性心疾患、脳梗塞等の虚血性脳疾患あるいは虚血性腎疾患に対する有用な治療および予防、あるいは血栓溶解療法、血管形成術、冠動脈バイパス手術および臓器移植施行時の細胞保護に対して有効に作用する。
【0023】
【発明の実施の形態】
[製造方法]
本発明の化合物は、例えば下記に示す製造スキームにより製造することができる(式中、R1 、R2 及びR3 は前記と同意義であり、Yはフッ素原子、塩素原子又は臭素原子を示し、Zは塩素原子または臭素原子を示す。)。
【0024】
【化8】
【0025】
すなわち、式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物とを塩基存在下で反応させ、式(4)で表される化合物を得る。
【0026】
ここで、塩基としては tert-ブトキシカリウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム等の有機及び無機塩基を用いることができ、反応溶媒としてはN,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン等を用いることができる。また、反応温度は、室温から還流温度である。
【0027】
次いで、式(4)で表される化合物を還元することによって、式(5)で表される化合物を得る。
【0028】
ここで、還元剤としてはパラジウム炭素−水素、塩化ニッケル−水素化ホウ素ナトリウム、鉄−塩化アンモニウム、鉄−酢酸等を用いることができ、反応溶媒としては水、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、酢酸等を単独または混合して用いることができる。反応温度は、0℃から還流温度である。
【0029】
次いで、式(5)で表される化合物をアシル化して式(6)で表される本発明化合物を得る。
【0030】
ここで、アシル化剤としては酸無水物、酸クロライド−塩基または酸−縮合剤を用いることができる。塩基としてはトリエチルアミン、ピリジン等を用いることができ、縮合剤としてはジシクロヘキシルカルボジイミドや塩酸1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド等のカルボジイミド類と1−ヒドロキシベンゾトリアゾール等を組み合わせて用いることができる。反応溶媒としてはクロロホルム、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性溶媒を用いることができる。反応温度は、0℃から室温である。
【0031】
次いで、式(6)においてR3 が塩素原子または臭素原子である化合物に式
【0032】
【化9】
(式中、R4 およびR5 は前記と同意義である。)
で表されるアミンを反応させることにより、式(7)で表されるような本発明に係る化合物を得る。
【0033】
ここで、反応溶媒としてはクロロホルム、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性溶媒を用いることができる。反応温度は、0℃から還流温度である。
【0034】
[医薬用途]
本発明に係るフェノキシピリジン誘導体もしくは本発明に係るフェノキシピリジン誘導体の塩またはそれらのプロドラッグを有効量含有するものは、虚血性心疾患、虚血性脳疾患もしくは虚血性腎疾患に対する治療剤もしくは予防剤として特に有効な医薬として使用することができる。この医薬は、血栓溶解療法、血管形成術、冠動脈バイパス手術もしくは臓器移植施行の際の細胞保護剤としても有効である。なお、医薬として使用する場合に、本発明に係るフェノキシピリジン誘導体もしくはその塩は、そのいずれか一方を含有していてもよく、両方を含有していてもよい。
【0035】
薬剤としての本発明に係る化合物群(フェノキシピリジン誘導体およびその塩並びにそれらのプロドラッグ)は、静脈内投与、動脈内投与、注射による局所投与、腹腔・胸腔への投与、経口投与、皮下投与、筋肉内投与、舌下投与、経皮吸収または直腸投与などの合目的的な任意の投与経路により投与することができる。本発明に係る化合物を薬物として投与する場合は、投与方法、投与目的により、注射剤、懸濁剤、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、軟膏剤、クリーム剤等の形状で投与することがでさる。これらの製剤を製造するには溶剤、可溶化剤、等張化剤、保存剤、抗酸化剤、賦形剤、結合剤、滑沢剤、安定剤等を添加することができる。溶剤としては、例えば水、生理食塩水等が、可溶化剤としては、例えばエタノール、ポリソルベート類、クレモフォア等が、賦形剤としては、例えば乳糖、デンプン、結晶セルロ一ス、マンニトール、マルトース、リン酸水素カルシウム、軽質無水ケイ酸、炭酸カルシウム等が、結合剤としては、例えばデンプン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム等が、崩壊剤としては、例えばデンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム等が、滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、硬化油等が、安定剤としては、例えば乳糖、アンニトール、マルトース、ポリソルベート類、マクロゴール類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等があげられる。また、必要に応じて、グリセリン、ジメチルアセトアミド、70%乳酸ナトリウム、界面活性剤、塩基性物質(例えば、水酸化ナトリウム、エチレンジアミン、 エタノールアミン、炭酸ナトリウム、アルギニン、メグルミン、トリスアミノメタン)を添加する。これらの成分を用いて、注射剤、錠剤、顆粒剤、カプセル剤等の剤型に製造することができる。本発明に係る化合物群の投与量は、動物実験の結果および種々の状況を勘案して、単回および反復投与したときに総投与量が一定量を超えないように定められる。具体的な投与量は、投与方法、患者または被処理動物の状況、例えば 0.1mg−1000mgの範囲内で、年齢、体重、性別、感受性、食事(食餌)、投与時間、併用する薬剤、患者またはその病気の程度に応じて変化することは言うまでもなく、また一定の条件のもとにおける適量と投与回数は、上記指針をもととして専門医の適量決定試験によって決定されなければならない。
【0036】
【実施例】
以下、参考例、実施例及び試験例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
また、実施例1〜41により製造した化合物の構造式を表1〜3に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
[参考例1]
5−アミノ−2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]ピリジン
【0041】
(1)4−(ベンジルオキシ)フェノール(40.0g,0.20mol) のN,N−ジメチルホルムアミド(400ml) 溶液にカリウム tert-ブトキシド(22.4g, 0.20mol)を加え、室温で2時間撹拌した。次いで、2−クロロ−5−ニトロピリジン(31.7g, 0.20mol)を加え、150℃で4時間撹拌した。一晩放置後、反応溶液を水にあけ、析出した結晶を濾取した。得られた粗結晶をエタノールで再結晶して2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ニトロピリジン(44.73g)を得た。
【0042】
mp.130 〜131 ℃
【0043】
(2)2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ニトロピリジン(44.73g,0.14mol)、鉄粉(38.76g,0.69g-atom) 及び塩化アンモニウム(4.46g,0.083mol)のエタノール(500ml) −水(50ml)混合液を5時間還流した。不溶物を濾過した後、水(100ml) を加え、溶媒を減圧濃縮して析出した結晶を濾取し、乾燥して5−アミノ−2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]ピリジン(36.54g)を得た。
【0044】
mp.94〜96℃
【0045】
[参考例2〜7]
以下、参考例1と同様にして参考例2〜7の化合物を得た。
【0046】
<参考例2>
5−アミノ−2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−4−メチルピリジン
mp.90〜92℃
【0047】
<参考例3>
5−アミノ−2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−3−メチルピリジン塩酸塩
mp.208.5 〜209.5 ℃
【0048】
<参考例4>
5−アミノ−2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェノキシ]ピリジン
mp.65〜68℃
【0049】
<参考例5>
5−アミノ−2−[4−(3,4−ジフルオロベンジルオキシ)フェノキシ]ピリジン
1H−NMR (CDCl3 ,200MHz) δ(ppm);3.45(br,2H),4.99(s,2H),6.73(d,J=9Hz,1H),6.90-7.32(m,8H),7.70(d,J=3Hz,1H)
【0050】
<参考例6>
5−アミノ−2−[4−(3,5−ジフルオロベンジルオキシ)フェノキシ]ピリジン
1H−NMR (CDCl3 ,200MHz) δ(ppm);3.49(bs,2H),5.01(s,2H),6.73(d,J=9Hz,1H),6.75(tt,J=2,9Hz,1H),6.88-7.11(m,7H),7.69(d,J=2Hz,1H)
【0051】
<参考例7>
5−アミノ−2−[4−(2,3−ジフルオロベンジルオキシ)フェノキシ]ピリジン
1H−NMR (CDCl3 ,200MHz) δ(ppm);5.03(s,2H),5.17(s,2H),6.71(d,J=9Hz,1H),6.89-7.09(m,5H),7.20-7.53(m,4H)
【0052】
[実施例1]
N−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]メトキシ酢酸アミド
【0053】
5−アミノ−2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]ピリジン(584mg,2.0mmol) の塩化メチレン(30ml)溶液にトリエチルアミン(0.6ml) とメトキシ酢酸クロライド(0.3ml) を加え、室温で20時間撹拌した。反応溶液を水にあけ、クロロホルムで抽出した。水洗後、有機層を乾燥し、溶媒を減圧留去した。残留物を酢酸エチル−ヘキサン(1:4) で結晶化し、表題化合物(0.61g) を得た。
【0054】
mp.104 〜105 ℃
【0055】
[実施例2]
N−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]吉草酸アミド
【0056】
5−アミノ−2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]ピリジン(584mg,2.0mmol) のクロロホルム(20ml)に無水吉草酸(0.5ml) を加え、室温で2時間撹拌した。反応溶液を水にあけ、クロロホルムで抽出した。有機層を水酸化ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、溶媒を減圧留去した。残留物を酢酸エチル−ヘキサン(1:4) で結晶化し、表題化合物(0.52g) を得た。
【0057】
mp.108 〜108.5 ℃
【0058】
[実施例3〜7]
以下、実施例2と同様にして実施例3〜7の化合物を得た。
【0059】
<実施例3>
N−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]酢酸アミド
mp.143.1 〜143.8 ℃
【0060】
<実施例4>
N−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]酪酸アミド
mp.112.5 〜114 ℃
【0061】
<実施例5>
N−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−4−メチル−5−ピリジル]酪酸アミド
mp.133 〜133.5 ℃
【0062】
<実施例6>
N−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]プロピオン酸アミド
mp.138.5 〜140 ℃
【0063】
<実施例7>
N−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−3−メチル−5−ピリジル]酪酸アミド
mp.126 〜128 ℃
【0064】
[実施例8]
4−[N−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]アミノ]−4−オキソ酪酸アミド
【0065】
5−アミノ−2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]ピリジン(1.01g,3.45mmol)の塩化メチレン(10ml)溶液に無水コハク酸(0.367g,3.67mmol) を加え、4時間撹拌した。析出した結晶を濾取し、塩化メチレンで洗浄、乾燥して表題化合物(1.48g) を得た。
【0066】
1H−NMR (CDCl3 ,200MHz) δ(ppm);2.48-2.58(m,4H),5.11(s,2H),6.94(d,J=9Hz,2H),7.03(s,4H),7.33-7.50(m,5H),8.02(dd,J=2,9Hz,1H),8.30(d,J=2Hz,1H),10.10(s,1H),12.15(s,1H)
【0067】
[実施例9]
N−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]クロロ酢酸アミド
【0068】
5−アミノ−2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]ピリジン(2.92g,0.1mol)のクロロホルム(30ml)に無水クロロ酢酸(1.71g,0.1mol)を加え、室温で3時間撹拌した。一晩放置後、反応溶液を炭酸ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で洗浄し、乾燥した。溶媒を減圧留去して表題化合物(3.57g) を得た。
【0069】
mp.146 〜147.5 ℃
【0070】
[実施例10〜14]
以下、実施例9と同様にして実施例10〜14の化合物を得た。
【0071】
<実施例10>
N−[2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]クロロ酢酸アミド
mp.130 〜130.5 ℃
【0072】
<実施例11>
N−[2−[4−(3,4−ジフルオロベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]クロロ酢酸アミド
mp.139.5 〜140.5 ℃
【0073】
<実施例12>
N−[2−[4−(3,5−ジフルオロベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]クロロ酢酸アミド
mp.106 〜108 ℃
【0074】
<実施例13>
N−[2−[4−(2,3−ジフルオロベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]クロロ酢酸アミド
mp.137 〜139 ℃
【0075】
<実施例14>
N−[2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]クロロ酢酸アミド
mp.115.7 〜117.2 ℃
【0076】
[実施例15]
N−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]−1−ピロリジン酢酸アミド
【0077】
N−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]クロロ酢酸アミド(0.50g,1.4mmol) のN,N−ジメチルホルムアミド(20ml)溶液にピロリジン(1ml) を加え、60℃で5時間撹拌した。反応溶液を水にあけ、酢酸エチルで抽出した。水洗、乾燥して、溶媒を減圧留去し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出溶媒;酢酸エチル−クロロホルム(1:4)]にて精製し、酢酸エチル−ヘキサン(1:4)にて結晶化させて表題化合物(0.40g) を得た。
【0078】
mp.125.5 〜126 ℃
【0079】
[実施例16〜30]
以下、実施例15と同様にして実施例16〜30の化合物を得た。
【0080】
<実施例16>
N−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]−1−ピペリジン酢酸アミド
mp.115 〜115.5 ℃
【0081】
<実施例17>
N−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]−1−ホモピペリジン酢酸アミド
mp.94〜96℃
【0082】
<実施例18>
N−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]−4−ヒドロキシ−1−ピペリジン酢酸アミド
mp.116 〜118 ℃
【0083】
<実施例19>
N−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]−3−チアゾリジン酢酸アミド
mp.134 〜135 ℃
【0084】
<実施例20>
N−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]−4−チオモルホリン酢酸アミド
mp.149 〜150 ℃
【0085】
<実施例21>
N−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]−4−(エトキシカルボニル)−1−ピペリジン酢酸アミド
mp.104 〜106 ℃
【0086】
<実施例22>
N−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]−4−モルホリン酢酸アミド
mp.139.5 〜140 ℃
【0087】
<実施例23>
N−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシナミド
mp.120 〜121 ℃
【0088】
<実施例24>
N−[2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]−1−ピロリジン酢酸アミド
mp.122 〜122.5 ℃
【0089】
<実施例25>
N−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]−N’,N’−ジメチルグリシナミド
mp.100 〜101 ℃
【0090】
<実施例26>
N−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]−N’,N’−ジエチルグリシナミド
mp.91〜92.5℃
【0091】
<実施例27>
N−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]−4−(2−クロロフェニル)−1−ピペラジン酢酸アミド
mp.120 〜121 ℃
【0092】
<実施例28>
N−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]−3−ヒドロキシ−1−ピロリジン酢酸アミド
mp.145 〜145.5 ℃
【0093】
<実施例29>
N−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]−N’−メチル−N’−(1−メチル−4−ピペリジニル)グリシナミド
1H−NMR (CDCl3 ,200MHz) δ(ppm);1.50-1.84(m,4H),1.90-2.03(m,2H),2.25(s,3H),2.38(s,3H),2.35-2.52(m,1H),2.88-2.99(m,2H),3.19(s,2H),5.05(s,2H),6.86(d,J=10Hz,1H),6.98(d,J=9Hz,2H),7.07(d,J=9Hz,2H),7.31-7.48(m,5H),8.11-8.16(m,2H),9.27(s,1H)
【0094】
<実施例30>
N−[2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]−N’,N’−ジメチルグリシナミド
1H−NMR (CDCl3 ,200MHz) δ(ppm);2.37(s,6H),3.07(s,2H),5.05(s,2H),6.88(d,J=8Hz,1H),6.95-7.09(m,5H),7.15-7.42(m,3H),8.14-8.20(m,2H),9.10(s,1H)
【0095】
[実施例31]
N−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]−N’,N’−ジブチルグリシナミド二メシル酸塩
【0096】
実施例15と同様にしてN−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]クロロ酢酸アミドとジブチルアミンとから製造したN−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]−N’,N’−ジブチルグリシナミド(0.99g,2.15mmol)の酢酸エチル(10ml)溶液にメタンスルホン酸(0.17ml,2.62mmol) を滴下し、室温で3時間撹拌した。析出した結晶を濾取し、酢酸エチルで洗浄、乾燥して表題化合物(1.33g) を得た。
【0097】
mp.106.5 〜107.5 ℃
【0098】
[実施例32〜40]
以下、実施例31と同様にして実施例32〜40の化合物を得た。
【0099】
<実施例32>
N−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]−N’−メチル−N’−[2−(ジメチルアミノ)エチル]グリシナミドメシル酸塩
mp.147.5 〜149 ℃
【0100】
<実施例33>
N−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]−N’−ヘキシル−N’−メチルグリシナミド二メシル酸塩
mp.110 〜111 ℃
【0101】
<実施例34>
N−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]−N’,N’−ビス(2−メトキシエチル)グリシナミド二メシル酸塩
mp.90〜91℃
【0102】
<実施例35>
N−[2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]−1−ピロリジン酢酸アミド二メシル酸塩
mp.99〜101 ℃
【0103】
<実施例36>
N−[2−[4−(3,4−ジフルオロベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]−1−ピロリジン酢酸アミド二塩酸塩
1H−NMR (CDCl3 ,200MHz) δ(ppm);1.82-2.10(m,4H),3.05-3.20(m,2H),3.53-3.70(m,2H),4.26(d,J=5Hz,2H),5.09(s,2H),7.01(d,J=9Hz,1H),7.04(s,4H),7.30-7.60(m,3H),8.04(dd,J=3,9Hz,1H),8.37(d,J=3Hz,1H),10.35(bs,1H),11.05(s,1H)
【0104】
<実施例37>
N−[2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]−N’,N’−ジメチルグリシナミド塩酸塩
mp.193.5 〜194 ℃
【0105】
<実施例38>
N−[2−[4−(3,5−ジフルオロベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]−1−ピロリジン酢酸アミド二塩酸塩
1H−NMR (CDCl3 ,200MHz) δ(ppm);1.94-2.10(m,4H),3.03-3.23(m,2H),3.54-3.70(m,2H),4.26(d,J=5Hz,2H),5.15(s,2H),7.01(d,J=9Hz,1H),7.04(S,4H),7.14-7.28(m,3H),8.06(dd,J=3,9Hz,1H),8.37(d,J=3Hz,1H),10.39(bs,1H),11.09(s,1H)
【0106】
<実施例39>
N−[2−[4−(2,3−ジフルオロベンジルオキシ)フェノキシ]−5− ピリジル]−1−ピロリジン酢酸アミド二塩酸塩
1H−NMR (CDCl3 ,200MHz) δ(ppm);1.84-2.10(m,4H),3.06-3.23(m,2H),3.55-3.70(m,2H),4.27(d,J=5Hz,2H),5.21(s,2H),7.03(d,J=9Hz,1H),7.07(s,4H),7.20-7.44(m,3H),8.07(dd,J=3,9Hz,1H),8.38(d,J=3Hz,1H),10.40(bs,1H),11.11(s,1H)
【0107】
<実施例40>
N−[2−[4−(2,5−ジフルオロベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]−1−ピロリジン酢酸アミド二塩酸塩
1H−NMR (CDCl3 ,200MHz) δ(ppm);1.84-2.10(m,4H),3.06-3.22(m,2H),3.53-3.70(m,2H),4.26(d,J=5Hz,2H),5.13(s,2H),7.02(d,J=9Hz,1H),7.07(s,4H),7.21-7.50(m,3H),8.06(dd,J=3,9Hz,1H),8.38(d,J=3Hz,1H),10.36(bs,1H),11.06(s,1H)
【0108】
[実施例41]
N−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]グリシナミド塩酸塩
【0109】
(1)N−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]クロロ酢酸アミド(1.10g,3.0mmol) のN,N−ジメチルホルムアミド(20ml)溶液にフタルイミドカリウム(555mg,3.0mmol) を加え、60℃で5時間撹拌した。一晩放置後、反応溶液を水にあけ、酢酸エチルで抽出した。水洗、乾燥して溶媒を減圧留去し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出溶媒;酢酸エチル−クロロホルム(1:4)]にて精製してN−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]フタルイミド酢酸アミド(0.78g) を得た
。
【0110】
1H−NMR (DMSO-d6 ,200MHz) δ(ppm);4.43(s,2H),5.08(s,2H),6.96(d,J=9Hz,1H),7.05(s,4H),7.28-7.50(m,5H),7.85-8.03(m,5H),8.27(d,J=3Hz,1H),10.48(s,1H)
【0111】
(2)N−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]フタルイミド酢酸アミド(0.78g,1.6mmol) のメタノール(30ml)溶液にヒドラジン一水和物(1ml) を加え、5時間還流した。一晩放置後、反応溶液を水にあけ、クロロホルムで抽出し、水洗、乾燥後、溶媒を減圧留去した。残留物に酢酸エチル(20ml)を加え、不溶物を濾過した後、4N塩化水素−酢酸エチル溶液(5ml) を加え、室温で30分間撹拌した。析出した結晶を濾取、乾燥して表題化合物(0.53g) を得た。
【0112】
mp.186 〜188 ℃
【0113】
[実施例42]
N−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]アセトキシ酢酸アミド
【0114】
N−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]クロロ酢酸アミド(1.00g,2.7mmol) のN,N−ジメチルホルムアミド(20ml)溶液に酢酸ナトリウム(1.00g,12.2mmol)を加え、60℃で6時間撹拌した。一晩放置後、反応溶液を水にあけ、酢酸エチルで抽出した。水洗、乾燥後、溶媒を減圧留去し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶出溶媒;酢酸エチル−塩化メチレン(1:3)]にて精製し、酢酸エチル−ヘキサン(1:4)で結晶化させ表題化合物(0.95g) を得た。
【0115】
mp.143 〜145 ℃
【0116】
[実施例43]
N−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]ヒドロキシ酢酸アミド
【0117】
N−[2−[4−(ベンジルオキシ)フェノキシ]−5−ピリジル]アセトキシ酢酸アミド(0.75g,1.9mmol) のメタノール(50ml)−水(5ml) 混合溶液に炭酸カリウム(0.53g,3.8mmol) を加え、1時間還流した。反応溶液を水にあけ、酢酸エチルで抽出して、乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残留物を酢酸エチル−ヘキサン(1:4)で結晶化させ表題化合物(0.61g) を得た。
【0118】
mp.179.5 〜180.5 ℃
【0119】
[試験例1]
心筋膜小胞体を用いたNa + /Ca 2+ 交換系阻害作用
【0120】
文献記載の方法(L.R.Jones,Methods Enzymol.,1988,157,pp85. )に準じて摘出イヌ心室筋より調製した膜小胞を用いた。
【0121】
膜小胞を用いたNa+ /Ca2+交換活性の測定は文献記載の方法(K.D.Philipson,et al.,J.Biol.Chem.,1980,255,pp6880.)に準じて行った。まず、膜小胞をナトリウム含有溶液[160mM 塩化ナトリウム、20mMTris−塩酸(pH.7.4)]にタンパク質濃度が1.5mg/mlとなるように懸濁し、1時間放置することにより膜小胞内にNa+ を負荷した。次に、この膜小胞2.5 μl に[45Ca]−塩化カルシウム溶液[20μM [45Ca]−塩化カルシウム、160mM 塩化カリウム、20mMMops−Tris(pH.7.4)]125μl を添加し、10秒後、氷冷した塩化ランタン溶液[10mM塩化ランタン、160mM 塩化カリウム、20mMMops−Tris(pH.7.4)]900 μl を加え、吸引濾過法にてニトロセルロースフィルター上に膜小胞を回収し、塩化ランタン溶液900 μl で3回洗浄した。
【0122】
膜小胞内に取り込まれたCa2+濃度は、液体シンチレーターにて45Ca放射活性を測定することにより求めた。また、Na+ /Ca2+交換活性非依存性の膜小胞内へのCa2+の取り込みは、ナトリウム含有溶液の代わりにカリウム含有溶液[160mM 塩化カリウム、20mMTris−塩酸(pH.7.4)]を用い、同様の操作を行うことで求めた。
【0123】
被験化合物はジメチルスルホキシド溶液とし、その抑制効果は溶媒処置群と比較することにより評価した。結果を表4に示す。
【0124】
【表4】
Claims (4)
- 下式、
ここで、R4 およびR5 は同一もしくは異なっていてもよく、水素原子、置換もしくは無置換の低級アルキル基またはN−メチル−4−ピペリジニル基を示すか、または、R4 およびR5 が一緒になって式
ここで、R7 は水素原子、低級アルキル基または置換もしくは無置換のフェニル基を示す。]で表されるフェノキシピリジン誘導体またはその塩。 - 請求項1記載のフェノキシピリジン誘導体またはその塩を有効量含有する医薬。
- 虚血性心疾患、虚血性脳疾患もしくは虚血性腎疾患に対する治療剤もしくは予防剤であることを特徴とする請求項2記載の医薬。
- 血栓溶解療法、血管形成術、冠動脈バイパス手術もしくは臓器移植施行の際の細胞保護剤であることを特徴とする請求項2記載の医薬。
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-
1997
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