特許文献1に記載されたものは、障害物検出装置の検出信号に応じてシャッターカーテンの下降動作を停止あるいは上昇させるようにしたものである。ところが、特許文献1に記載されたもののように検出信号に応じてシャッターカーテンの下降動作を停止させるだけのものは、シャッターカーテンによって狭められた空間を広げることができないので、シャッターカーテンによって挟まれたものが抜けなくなるおそれがある。一方、検出信号に応じてシャッターカーテンを上昇させるものは、シャッターカーテンによって狭められた空間を広げることができるので、挟まれたものが抜けなくなるという状態は発生しにくくなるが、非常時などのように急いで開口部を閉鎖しなければならない場合などには、検出信号に応じてシャッターカーテンを一々上昇をしているので、開口部の閉鎖に時間を要することとなり、かえって好ましくない場合がある。
本発明の目的は、障害物検出装置と障害物との接触状態に応じて開閉手段の閉鎖動作を適切に制御することのできる開閉体装置を提供することである。
この発明に係る開閉体装置の第1の特徴は、開口部を開閉するように動作する開閉手段と、前記開閉手段の閉鎖側先端部に設けられ、前記開閉手段の閉鎖時に前記開口部付近に存在する障害物に対するそれぞれ異なる2以上の接触状態を検出し、その検出信号を出力する検出手段と、前記検出信号に基づいて前記開閉手段の状態を認識する認識手段とを備えたことにある。
開閉手段は、ビル、住宅、工場、倉庫等の建物などの構造物における、出入口や窓部、あるいは内部の通路や空間などの開口部などを開閉移動するシャッターカーテンなどの開閉部材で構成される。開閉手段がシャッターカーテンの場合には、例えば、建物などの開口部の上部に収納され、まぐさなどを介してガイド手段に沿ってシャッターカーテンが下降し、開口部を閉鎖する。これ以外にも開閉手段が開口部の側部に収納され横引き方式で開閉移動したり、開口部の下部に収納され上昇方式で開閉移動したりするものもある。検出手段は、開閉手段の閉鎖側先端部に設けられ、開閉手段と共に移動するものであり、例えば、開閉部材の開閉移動中の移動経路上あるいはその近傍に障害物が存在することを検出する障害物検出手段(例えば、座板スイッチ)等である。このような障害物検出手段は、例えば、上から下に降下して閉鎖する場合、開閉手段の移動方向と同じ方向に移動する座板を有し、この座板の移動に連動してオン/オフするスイッチ手段を備えている。そこで、このようなスイッチ手段を座板の移動方向に沿って所定の距離を置いて少なくとも2個設けることによって、座板と障害物とのそれぞれ異なる接触状態を検出することができる。すなわち、座板と障害物とが単に接触したことを示す第1の状態と、座板が開閉手段側に押し込まれるように接触したことを示す第2の状態を検出することができる。このような検出手段が設けられている開閉手段の場合、開閉手段の閉鎖時に開口部付近に何らかの障害物が存在すると、障害物検出手段と障害物とが接触し、障害物検出手段と障害物が接触した時点で第1の状態を示す検出信号が出力され、開閉手段の閉動作は停止状態となる。このときに、障害物が静止しているものであればこのままの停止状態が維持されることになるが、障害物が人であったり、移動中の物体であったりした場合には、障害物検出手段はさらに第2の状態を示す検出信号を出力することになる。検出手段によって検出された検出信号は配線手段を介して開閉手段とは別個に設けられた認識手段に伝達される。従って、認識手段は、その検出信号に応じて開閉手段と障害物の接触状態を認識し、それに応じて開閉手段の閉鎖動作を適切に制御することができる。例えば、認識手段は、第1の状態を示す検出信号を認識した場合には、開閉手段の閉動作を停止し、続いて第2の状態を示す検出信号を認識した場合には、停止中の開閉手段を開動作させて、障害物との接触を回避するような動作を行なうことになる。すなわち、障害物が人などの場合には、障害物検出手段と接触すると、それを回避しようとして人が動くことによって、直ぐに第2の状態を示す検出信号が出力され、開閉手段が開動作を開始してその状態が直ちに回避されるようになる。また、第1の状態を示す検出信号が認識されたとしても、開閉手段との接触を第2の状態を示す検出信号が出力される前に回避した場合には、第1の状態を示す検出信号が出力されなくなった時点で直ちに開閉手段の閉動作を開始することができ、速やかに閉動作に移行して開閉手段を閉鎖することができるようになる。なお、認識手段は、障害物検出手段からの検出信号を認識するだけであり、その認識の結果を他の制御装置などに伝達して、障害物回避動作等をその制御装置に実行させるようにしてもよいし、認識手段がこのような制御装置を内蔵していてもよい。なお、検出手段としては、座板スイッチを用いたもの以外にも、座板スイッチを設けた位置に相当する位置に感圧テープを用いて、感圧テープから出力される感圧信号に基づいて2以上の接触状態を認識するようにしてもよい。また、他の方法として、ガイドレールにテープスイッチを設け、座板の押圧スイッチがこのテープスイッチを押すことによる抵抗値の違い等に基づいて、その位置を把握してもよい。
この発明に係る開閉体装置の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉体装置において、前記検出手段は、前記開閉手段の閉鎖側先端部に設けられ、前記開閉手段の閉鎖時に前記開口部付近に存在する障害物と接触することによって、前記開閉手段の移動方向に沿って移動する第1の移動手段と、前記第1の移動手段の移動量に応じた2以上の検出信号を出力する信号出力手段とを備えたことにある。これは、検出手段の構成に関するものであり、検出手段として座板スイッチを用いたものである。第1の移動手段が固定的に取り付けられた上座板に対して上下移動可能に保持された下座板であり、この下座板の上下移動に伴い、それに接触することによって撓んで移動する板バネと、この板バネの移動によってオン/オフ動作するマイクロスイッチとからなる信号出力手段を移動方向に沿って離間した2個所以上設けた。これによって、下座板の移動量に応じて2以上の接触状態を示す検出信号を出力することができる。
この発明に係る開閉体装置の第3の特徴は、前記第2の特徴に記載の開閉体装置において、前記信号出力手段が、前記第1の移動手段の移動方向に沿って離間配置された2以上のスイッチ手段を備えたものである。これは、信号出力手段を第1の移動手段である、例えば下座板の移動方向に沿って離間配置された2個以上のマイクロスイッチなどのスイッチ手段で構成したことにある。スイッチ手段は離間配置されているので、下座板の移動量に応じて、段階的に2以上の接触状態を示す検出信号を出力するので、認識手段は、この検出信号に基づいてその接触状態を容易に認識することができるようになる。
この発明に係る開閉体装置の第4の特徴は、前記第3の特徴に記載の開閉体装置において、前記第1の移動手段が前記障害物と接触することによって前記2以上のスイッチ手段のいずれか一つから検出信号が出力された場合には、前記障害物に開閉手段の荷重が加わらないように第1の移動手段を構成すると共に前記認識手段は前記2以上のスイッチ手段の残りから前記検出信号が出力されないように前記開閉手段の閉動作を停止することにある。これは、前記第3の特徴に記載のように離間配置された2個以上のスイッチ手段で構成した場合に、閉鎖時に第1の移動手段に障害物が当接した際に、最初のスイッチ手段が検出信号を出力してから開閉手段が完全に停止するまでの間に若干ではあるが開閉手段は移動してしまうので、このときに障害物に対して開閉手段の荷重が加わらないように第1の移動手段は余裕を持って閉鎖方向と同じ方向に自由に移動するし、また、開閉手段が完全に停止するまでは次のスイッチ手段はオンしないように離間配置した。この場合に、障害物の接触状態によっては第1の移動手段がさらに閉鎖方向に移動してこの余裕分を超過した場合には、次のスイッチ手段がオン状態となり、検出信号が出力されるので、認識手段はそれに応じて開閉手段を開方向に移動させ、障害物との接触状態を回避させることができる。なお、2以上のスイッチ手段のうち、移動方向に最も近いものから順番に検出信号を出力することが好ましい。また、障害物に開閉手段の荷重が加わらないように第1の移動手段を構成するということは、障害物に対して全く荷重が加わらないということではなく、ほとんど加わらないような状態にするということを含むものである。すなわち、荷重が加わらないか、加わったとしても障害物へ悪影響をほとんど及ぼさない程度の荷重が加わるということである。例えば、下座板のような可動部等の荷重は障害物に加わることはあり得ることを意味する。
この発明に係る開閉体装置の第5の特徴は、前記第1、第2、第3又は第4の特徴に記載の開閉体装置において、前記認識手段が、前記検出手段によって検出された前記2以上の検出信号を認識した場合に、それぞれの検出信号に応じて前記開閉手段を動作させることにある。これは、認識手段が開閉手段の動作を制御して障害物回避動作を行うものである。例えば、2以上の検出信号の中で、座板と障害物とが単に接触したことを示す第1の状態を示す検出信号を認識した場合には、開閉手段の閉動作を停止し、続いて、座板が開閉手段側に押し込まれるように接触したことを示す第2の状態を示す検出信号を認識した場合には、停止中の開閉手段を開動作させて、障害物との接触を回避するような動作を行なう。ここで、2以上の検出信号を認識した場合には、結果として2つ以上のスイッチ手段がある所定の時期にオン状態である場合と時間的にシーケンシャルであるが2つ以上のスイッチ手段がオン状態(同時期にオンである必要はない)である場合のいずれをも含む概念である。
この発明に係る開閉体装置の第6の特徴は、前記第5の特徴に記載の開閉体装置において、前記認識手段が、全閉でない状態で前記2以上の検出信号を認識した場合、前記開閉手段を開放方向に所定時間又は所定距離だけ移動させることにある。これは、認識手段が2以上の検出信号を認識した場合に実行する動作の一つであり、開閉手段が未だ全閉状態にない場合には、開閉手段を開放方向に所定時間又は所定距離だけ移動させて、障害物との接触を回避するように動作させるようにしたものである。
この発明に係る開閉体装置の第7の特徴は、前記第6の特徴に記載の開閉体装置において、前記認識手段が、前記開閉手段を開放方向に移動させる場合に、電源を電源容量の大きいものに切り替えてから移動させることにある。開閉体装置の場合、通常の降下時は自重で動作し、ブレーキ解放のためにバッテリー等を使っている場合がほとんどであり、それほど容量の大きな電源を使用しなくても事足りるが、開放方向へ移動させる場合(上昇時)は開閉機を動作させているために比較的電源容量は大きい方が好ましい。そこで、ここでは、開放方向に移動させる際には、閉鎖時(降下時)よりも、より容量の大きい電源に切り替えるようにしたものである。
この発明に係る開閉体装置の第8の特徴は、前記第5、第6又は第7の特徴に記載の開閉体装置において、前記認識手段は、全閉の状態で前記2以上の検出信号を認識した場合、前記開閉手段を開放方向に移動させないことにある。これは、認識手段が2以上の検出信号を認識した場合に実行する動作の一つであり、特に開閉手段が全閉状態にある場合には、この状態を維持するため開閉手段を開放方向に移動させることなく、なにも動作しないようにしたものである。
本発明の開閉体装置によれば、障害物検出装置と障害物との接触状態に応じて開閉手段の閉鎖動作を適切に制御することができるという効果がある。
以下添付図面に従って本発明に係る障害物検出装置を備えた開閉体装置の好ましい実施の形態について説明する。この実施の形態では開閉体装置として上下に開閉制御されるシャッター装置を例に説明する。図1は、本発明の障害物検出装置を備えたシャッター装置の概略構成を示す図である。
このシャッター装置は、建物の開口部に設けられるものであり、基本的にシャッターケース1、シャッターカーテン2、ガイドレール3,4、巻取シャフト5、チェーン6、モータなどの開閉機7及び認識手段である制御装置8などから構成される。
ガイドレール3,4は、シャッターカーテン2の両端部を案内するように建物の開口部の両端側に設けられ、まぐさ部から床面21まで掛け渡された断面形状が略コの字型の案内溝を有する部材で構成されている。シャッターカーテン2は、このガイドレール3,4の各案内溝に沿って上昇下降し、開口部の開閉動作を行う。巻取りシャフト5は、シャッターケース1内に回動可能に設けられ、シャッターカーテン2を巻き取ったり巻き戻したりする。チェーン6は、開閉機7の回転軸に設けられた主動スプロケットと巻取りシャフト5の回転軸に設けられた従動スプロケットとを連結している。従って、開閉機7の回転駆動力はチェーン6を介して巻取りシャフト5側に伝達され、開閉機7が回転すると、チェーン6を介して巻取りシャフト5が回転し、シャッターカーテン2の開閉動作が制御されるようになっている。
制御装置8は、図示していない電源ラインを介して電力の供給を受けている。制御装置8は、図示していない操作スイッチ上の各操作ボタンの操作状態に対応した制御信号に基づいて直線的に、あるいは、例えば、火災時等の防災用の制御信号などに基づいて間接的に開閉機7の回転を制御したり、障害物検出装置からの2種類の検出信号に基づいて開閉機7の回転を制御して障害物回避動作を制御する。すなわち、制御装置8は、第1の検出信号に基づいてシャッターカーテン2の下降動作を停止させ、第2の検出信号に基づいてその検出信号が出力されなくなるようにシャッターカーテン2を上昇動作させる。この動作の詳細は後述する。
障害物検出装置は、基本的に障害物の検出手段である座板スイッチ10、配線手段であるコード11a〜11c、固定誘導手段となる固定プーリ18a、可動誘導手段となる可動プーリ18b及び錘手段となるフラットバー19からなる配線取回し手段より構成される。
座板スイッチ10は、シャッターカーテン2の閉鎖先端側である下方部に設けられ、座板部分と障害物との接触状態に応じたそれぞれ異なる2種類の検出信号を出力するものである。図2は、図1の座板スイッチの一例を示す図である。この実施の形態では、座板スイッチ10は、第1のスイッチ101と、第2のスイッチ102を含んで構成される。第1及び第2のスイッチ101,102は、上座板(図示せず)に固定的に取り付けられており、この上座板に対して上下移動可能に保持された下座板107と、この下座板107の上下移動に伴い、それに接触することによって撓んで移動する板バネ103,104と、この板バネ103,104の移動によってオン/オフ動作するマイクロスイッチ105,106とを含んで構成されている。
第1及び第2のスイッチ101,102の違いは、板バネ103と板バネ104では、屈曲の度合が異なっている。板バネ103の方が板バネ104よりも大きく屈曲している。従って、下座板107が上方へ移動した場合、板バネ103の方が先に下座板107に接触し、マイクロスイッチ105をオン動作させる。板バネ104は、下座板107が更に上方へ移動した場合に下座板107と接触し、マイクロスイッチ106をオン動作させる。図2は、下座板107が障害物に接触し、上方向に移動することによって、第1のスイッチ101のマイクロスイッチ105がオン状態となり、障害物を検出したことを示す第1の検出信号を出力し、第2のスイッチ102からは何ら第2の検出信号が出力されていない状態を示している。図2では、2個のスイッチを用いて、下座板107の上方への移動の状態、すなわち、下座板107と障害物の接触状態を示す第1及び第2の検出信号を出力する場合を示しているが、これに限らず、一つのスイッチの板バネに対して2個のマイクロスイッチをそれぞれ離れて配置することによって、同様の第1及び第2の検出信号を出力するようにしてもよいし、これ以外の方法によって下座板107と障害物の接触状態を示す第1及び第2の検出信号を出力するようにしてもよい。ここでは、第1のスイッチ101がオンしてから更に第2のスイッチ102がオンになる、両方がオンの状態になる場合について説明したが、第1のスイッチ101がオンしたらその状態を維持するのではなく直ちに又は所定時間経過後や開閉体が所定距離移動後にオフになり、その後に第2のスイッチ102がオンになり同じく直ちに又は所定時間経過後や開閉体が所定距離移動後にオフになるという、順次オンするようにしてもよい。
コード11a〜11cは、座板スイッチ10からの第1及び第2の検出信号をそれぞれ制御装置8に伝達する配線手段である。コード11aは、座板スイッチ10の上昇下降に沿った方向と所定の角度をなすように配線されている。すなわち、ガイドレール3,4に対して所定の角度(床面21に対しても所定の角度)をなすように設けられている。なお、コード11aは、必ずしも所定の角度をなさなくてもよく、上昇下降方向と平行、すなわちガイドレール3,4と平行(床面と鉛直)をなすように設けてもよい。
固定プーリ18aは、コード11aをガイドレール3の長手方向に平行な方向のコード11bに変換する。可動プーリ18bは、コード11bをガイドレール3の長手方向に平行な方向であってコード11bとは逆向きのコード11cに方向変換して屈曲し、コード固定板20を介して制御装置8に導入する。フラットバー19は、コード11a〜11cに一定の引っ張り力を供給するものである。可動プーリ18bとフラットバー19は、ネジやリベット等の固定具によって一体として接続(連結)されている。また、図では、可動プーリ18bはフラットバー19の上側に分離可能に設けられているが、これに限らず、可動プーリ18bをフラットバー19内に一体化して設けてもよい。このようにガイドレール3内に可動プーリ18bやフラットバー19などを収納することによって、設置箇所を別途設けなくてもよい。この実施例では、可動プーリ18b及びフラットバー19がガイドレール3内に収納され、そこを上下方向に移動するので、設置箇所を別途設ける必要もない。また、コード11aがガイドレール3に対して所定の角度を持って座板スイッチ10の第1及び第2のスイッチ101,102に接続されているので、シャッターカーテン2とガイドレール3との間で接触干渉するおそれがなくなり、安定した障害物検知を行なうことができるようになる。
図3は、制御装置8の動作の一例を示すフローチャート図である。まず、ステップS31では、第1のスイッチ101がオン状態か否かの判定を行い、オフ状態(no)の場合はステップS32に進み、オン状態(yes)の場合はステップS33に進む。ステップS32では、第1のスイッチ101がオフ状態と判定されたので、そのまま閉鎖動作を実行し、ステップS31にリターンする。従って、障害物が検出されない場合にはこのステップS31とステップS32の処理が繰り返され、閉鎖動作が実行される。次のステップS33は、座板スイッチ10に障害物が接触して第1のスイッチ101がオン状態になった場合に実行される処理であり、ここでは、第2のスイッチ102がオン状態か否かの判定を行い、オフ状態(no)の場合はステップS34に進み、オン状態(yes)の場合はステップS35に進む。ステップS34では、第1のスイッチ101がオン状態、第2のスイッチ102がオフ状態と判定されたので、シャッターカーテン2の閉鎖動作を停止させ、ステップS31にリターンする。従って、座板スイッチ10に障害物が接触し、第1のスイッチ101がオン状態になっている場合には、ステップS31、ステップS33、ステップS34の処理が繰り返し実行され、シャッターカーテン2は停止した状態を維持することになる。
ステップS35〜ステップS38は、座板スイッチ10に障害物が接触し、第1のスイッチ101及び第2のスイッチ102が共にオン状態になっている場合に実行される処理である。まず、ステップS35では、開閉機7の通常の閉鎖及び開放の動作を行う商用電源から他のバッテリーなどの電源への切替を行う。なお、閉鎖時の電源と開放時の電源を切り替えるようにしても良い。これは、降下の時よりも、より容量が多い方に切り替えることが好ましいからである。特に、防火シャッター等の場合には、降下時は自重で動作し、ブレーキ解放のためにバッテリー等を使っている場合がほとんどであり、これに対して上昇時は開閉機を動作させているために比較的電源容量は大きい方が好ましい。ステップS36では、所定時間(例えば、数秒乃至数十秒程度の時間)又は所定距離(数センチメートル乃至数十センチメートル程度の距離)だけシャッターカーテン2を開放するような動作を行う。ステップS37では、所定時間経過するのを待って、次のステップS38に進む。ステップS38では、ステップS36で切り替えた電源を元に戻すように切り替え、ステップS32に進み、閉鎖動作に復帰する。
図3のフローチャートでは、シャッターカーテン2が全閉状態であるときの判断は、第1スイッチ101がオン状態で、第2スイッチ102がオフ状態であって、ステップS34の停止状態が継続しているときである。すなわち、この場合には、座板スイッチ10が障害物に接触し続けている状態と、シャッターカーテン2が全閉した状態とを明確には区別していない。また、このフローチャートは、閉鎖動作時のフローであり、途中で開放や停止などの指令を受信した場合には、速やかにその指令に対応した処理に移行することになる。
図4は、制御装置8の別の動作の一例を示すフローチャート図である。まず、ステップS41では、第1のスイッチ101がオン状態か否かの判定を行い、オフ状態(no)の場合はステップS42に進み、オン状態(yes)の場合はステップS43に進む。ステップS42では、第1のスイッチ101がオフ状態と判定されたので、そのまま閉鎖動作を実行し、ステップS41にリターンする。従って、障害物が検出されない場合にはこのステップS41とステップS42の処理が繰り返され、閉鎖動作が実行される。次のステップS43は、座板スイッチ10に障害物が接触して第1のスイッチ101がオン状態になった場合に実行される処理であり、ここでは、第2のスイッチ102がオン状態か否かの判定を行い、オフ状態(no)の場合はステップS44に進み、オン状態(yes)の場合はステップS48に進む。ステップS44では、シャッターカーテン2が全閉状態なのか否かの判定を行い、全閉状態でない(no)場合はステップS45に進み、全閉状態(yes)の場合はステップS46に進む。なお、ここでシャッターカーテン2が全閉なのかどうかの認識は、例えば、ガイドレール3に設けられた全閉検出スイッチがオン状態にあるかどうかによって行ったり、開閉機7の回転量を検出したり又は回転パルス数をカウントすることによって全閉状態にあるかどうかによって行うようにする。ステップS45は、第1のスイッチ101がオン状態、第2のスイッチ102がオフ状態であって、シャッカーカーテン2が全閉状態でないと判定された場合に実行される処理であり、障害物を感知したことによってシャッターカーテン2の閉鎖動作を停止させ、ステップS41にリターンする。従って、座板スイッチ10に障害物が接触し、第1のスイッチ101がオン状態になっている場合には、ステップS41、ステップS43、ステップS44及びステップS45の処理が繰り返し実行され、シャッターカーテン2は停止した状態を維持することになる。
ステップS46,ステップS47は、座板スイッチ10に障害物が接触し、第1のスイッチ101がオン状態、第2のスイッチ102がオフ状態であり、シャッターカーテン2が全閉状態になっている場合に実行される処理である。まず、ステップS46では、全閉状態であるが、まだ第2のスイッチ102がオン状態となっていないので、より閉鎖性を高めるために必要が有る場合には、ガードのために、第2のスイッチ102がオンするまで、又は所定時間が経過するまで、閉鎖処理を継続させる。ステップS47では、シャッターカーテン2が全閉してから第2のスイッチ102がオンしたか、又はオンするのに必要な時間が経過したので、閉鎖動作を停止する。これによって、シャッターカーテン2は全閉することになるので、処理を終了する。
ステップS48〜ステップS4Bは、座板スイッチ10に障害物が接触し、第1のスイッチ101及び第2のスイッチ102が共にオン状態になっている場合に実行される処理である。まず、ステップS45では、開閉機7の通常の閉鎖及び開放の動作を行う商用電源から他のバッテリーなどの電源への切替を行う。なお、閉鎖時の電源と開放時の電源を切り替えるようにしても良い。ステップS49では、所定時間(例えば、数秒乃至数十秒程度の時間)又は所定距離(数センチメートル乃至数十センチメートル程度の距離)だけシャッターカーテン2を開放するような動作を行う。ステップS4Aでは、所定時間経過するのを待って、次のステップS4Bに進む。ステップS4Bでは、ステップS48で切り替えた電源を元に戻すように切り替え、ステップS42に進み、閉鎖動作に復帰する。
図4のフローチャートでは、シャッターカーテン2が全閉状態か否かの判断を行っており、座板スイッチ10が障害物に接触し続けている場合には、ステップS45の処理によってシャッターカーテン2は停止動作を継続することになる。なお、閉鎖時に座板スイッチ10に障害物が当接した際に、これを第1のスイッチ101が感知してから実際にシャッターカーテン2が停止するまでの時間、障害物に対してシャッターカーテン2の荷重が加わらないように座板スイッチ10は余裕を持って閉鎖方向と同じ方向に自由に移動するようになっている。従って、障害物に応じて座板スイッチ10がこの余裕分を超過するような場合には、第2のスイッチ102がオン状態となり、前述のような処理が実行されることになる。また、このフローチャートは、閉鎖動作時のフローであり、途中で開放や停止などの指令を受信した場合には、速やかにその指令に対応した処理に移行することになる。
図5は、制御装置8のさらに別の動作の一例を示すフローチャート図である。図3及び図4の動作例は、通常の閉鎖指令に応じた閉鎖動作時のフローを示すものであるが、ここでは、防災信号を受信したときの閉鎖動作について説明する。すなわち、図5のフローチャートでは、防災信号を受信することによってブレーキが解放し、それに伴ってシャッターカーテンがその自重で降下し、この自重降下時に座板スイッチ10の第1及び第2のスイッチ101,102のオン/オフ状態と全閉スイッチのオン/オフ状態に応じて、制御装置8は、ブレーキの解放/復帰を制御すると共にシャッターカーテンを上昇動作させている。
まず、ステップS51では、防災信号そのものの電源を利用して、ブレーキ解放、既に解放されている場合にはその解放を維持する。なお、これは解放の時のみの場合もあれば解放を維持するために電源を必要とする場合もあり、解放維持の電源自体に防災信号そのものを使う場合もある。ステップS52では、ブレーキの解放によってシャッターカーテンが自重降下する。ステップS53では、第1のスイッチ101がオン状態か否かの判定を行い、オフ状態(no)の場合はステップS54に進み、オン状態(yes)の場合はステップS55に進む。ステップS54では、第1のスイッチ101がオフ状態と判定されたので、全閉スイッチがオン状態か否かの判定を行い、オフ状態(no)の場合はステップS52にリターンし、オン状態(yes)の場合はステップS58に進む。従って、障害物が検出されない場合にはこのステップS52、ステップS53及びステップS54の処理が繰り返され、シャッターカーテンの自重降下が実行される。なお、ここでシャッターカーテン2が全閉なのかどうかの認識は、例えば、ガイドレール3に設けられた全閉検出スイッチがオン状態にあるかどうかによって行ったり、開閉機7の回転量を検出したり又は回転パルス数をカウントすることによって全閉状態にあるかどうかによって行うようにする。
ステップS55は、座板スイッチ10に障害物が接触して、又は座板スイッチ10が当接面(床面)に到達して、第1のスイッチ101がオン状態になった場合に実行される処理であり、ここでは、ブレーキを復帰し、自重降下動作を停止させる。ステップS56では、前述と同様に全閉スイッチがオン状態か否かの判定を行い、オフ状態(no)の場合はステップS5Aにジャンプし、オン状態(yes)の場合はステップS57に進む。ステップS57では、第1スイッチ101がオン状態になったために降下停止を解除するために、ブレーキを解放し、シャッターカーテン2が完全に閉鎖するように自重降下を再開させる。ステップS58では、前のステップS54又はステップS56で、全閉スイッチがオン状態であると判定されたので、それに応じた全閉信号を防災センターや火災報知器の制御装置などに送信する。ステップS58では、全閉状態や略全閉状態等の所定の閉鎖状態ではあるが、まだ第2のスイッチ102がオン状態となっていないので、より閉鎖性を高めるために必要が有る場合には、ガードのために、第2のスイッチ102がオンするまで、所定時間が経過するまで、又はオンしてからさらに所定時間が経過するまで、自重降下処理を継続させる。なお、この場合は、全閉を検出しているので、当然開放方向へは動作させない。
ステップS5Aでは、第2のスイッチ102がオン状態か否かの判定を行い、オフ状態(no)の場合はステップS5Bに進み、オン状態(yes)の場合はステップS5Dに進む。ステップS5Bでは、第1のスイッチ101がオン状態か否かの判定を行い、オフ状態(no)の場合はステップS5Cに進み、オン状態(yes)の場合はステップS5Aにリターンする。すなわち、ステップS5A及びステップS5Bでは、シャッターカーテン2がまだ全閉されていない途中で、座板スイッチ10が何らかの障害物に接触して第1のスイッチ101がオン状態となり、ブレーキ復帰によって降下が停止されている場合に、第2のスイッチ102がオン状態とならず、オフ状態のままであるということは、障害物と座板スイッチ10が接触した状態が継続しているか、又は障害物が取り除かれた場合が考えられるので、ステップS5Bでは、第1のスイッチ101の状態に基づいてどちらの状態であるかを判定している。従って、ステップS5Bで、第1のスイッチ101がオフ状態であるということは、障害物が取り除かれたことを意味するので、ステップS5Cに進み、そこで、所定時間待ってステップS51にリターンするようにした。なお、ステップS5A及びステップS5Bの処理が繰り返されるということは、何らかの障害物によってシャッターカーテン2が停止していることを意味する。
ステップS5D〜ステップS5Jは、座板スイッチ10に障害物が接触し、第1のスイッチ101及び第2のスイッチ102が共にオン状態で、全閉スイッチはオフ状態になっている場合に実行される処理である。まず、ステップS5Dでは、開閉機7を動作させるために、バッテリーの切り替えを行う。バッテリーの切り替えは、通常の商用電源又は非常電源などへの切替を行う。ステップS5Eでは、シャッターカーテン2を上昇するために、ブレーキの解放を行う。ステップS5Fでは、所定時間(例えば、数秒乃至数十秒程度の時間)又は所定距離(数センチメートル乃至数十センチメートル程度の距離)だけシャッターカーテン2を上昇させるような動作を行う。ステップS5Gでは、上昇動作を停止するためにブレーキを復帰する。ステップS5Hでは、所定時間経過するのを待って、次のステップS5Jに進む。ステップS5Jでは、ステップS5Dで切り替えた電源を元に戻すようにバッテリーを切り替え、ステップS51にリターンして、自重降下に復帰する。
図5でも、図4の場合と同様に、シャッターカーテン2が全閉状態か否かの判断を行っており、座板スイッチ10が障害物に接触し続けている場合には、ステップS5A及びステップS5Bの処理によってシャッターカーテン2は停止動作を継続することになる。なお、自重降下の場合も同様に、閉鎖時に座板スイッチ10に障害物が当接した際に、これを第1のスイッチ101が感知してから実際にシャッターカーテン2が停止するまでの時間、障害物に対してシャッターカーテン2の荷重が加わらないように座板スイッチ10は余裕を持って閉鎖方向と同じ方向に自由に移動するようになっている。従って、障害物に応じて座板スイッチ10がこの余裕分を超過するような場合には、第2のスイッチ102がオン状態となるので、このような場合には、ステップS5D〜ステップS5Jの処理が実行されることになる。
上述の実施の形態では、シャッターカーテンが上方から下降方式で繰り出される場合について説明したが、逆に上昇方式で繰り出されたりするものであっても同様に適用することができる。さらに、シャッター状の開閉部材が横引き方式で繰り出されたり、あるいは水平方式で繰り出されたりするものであっても同様に適用することができる。開閉体装置としては、例えば、シャッター装置、ブラインド装置、ロールスクリーン装置、垂れ幕装置、引戸装置、移動間仕切装置、オーニング装置、防水板装置などがある。また、開閉手段である開閉部材の材質は、使用目的に応じたものであれば、どのようなものでもよい。具体的には、金属製、木製、プラスチック製、布製、これらの複合されたものなどで構成することができる。
上述の実施の形態では、検出手段として閉鎖方向と同じ方向に自由に移動するような座板スイッチ10を例に説明したが、上座板に対して上下移動可能に保持された下座板の上下移動に伴って回転する回転部によってマイクロスイッチをオン/オフ動作させるように構成されたものでもよい。また、感圧テープを用い、感圧に応じた信号を用いて制御するようにしてもよい。さらに、上述の実施の形態では、閉鎖動作を停止する場合や反転して開放動作をする場合について説明したが、例えば停止まではさせず閉鎖速度を減少させる等の動作を行わせるように制御してもよい。