JP4161621B2 - 励起光光源ユニット、ラマン増幅器、及び光伝送システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ラマン増幅器において励起光を供給する光源として用いられるラマン増幅用の励起光光源ユニット、それを用いたラマン増幅器、及び光伝送システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバ増幅器は、光伝送システムを構成する光ファイバ伝送路中を伝搬する信号光のパワーを、該光ファイバ伝送路で生じる伝送損失を補償すべく増幅する光学部品である。光ファイバ伝送路上に設置される光ファイバ増幅器は、光ファイバ伝送路の一部としても機能する光増幅用光ファイバと、該光増幅用光ファイバへ励起光を供給する励起光光源とを備える。そして、励起光が供給される光増幅用光ファイバに信号光が入力されると、その信号光は、光増幅用光ファイバにおいて増幅される。
【0003】
このような光ファイバ増幅器としては、Er(エルビウム)などの希土類元素が添加された希土類元素添加ファイバ増幅器と、誘導ラマン散乱によるラマン増幅現象を利用するラマン増幅器とが利用される。
【0004】
ここで、希土類元素添加ファイバ増幅器(例えばEDFA:Erbium-Doped Fiber Amplifier、Er添加ファイバ増幅器)は、希土類元素が添加された光ファイバ(例えばEDF:Erbium-Doped Fiber、Er添加光ファイバ)を光増幅用光ファイバとして利用する。一方、ラマン増幅器は、光ファイバ伝送路を構成している石英系光ファイバなどを、ラマン増幅用光ファイバとして利用する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
発明者らは、従来のラマン増幅器について詳細に検討した結果、以下のような課題を発見した。すなわち、従来の光ファイバ増幅器のうち、ラマン増幅器は、励起光の波長を適当に選択することによって、任意の波長帯域を増幅波長帯域に利用することができる利点がある。また、ラマン増幅用の励起光光源として、互いに波長の異なる複数チャネルの励起光を出力する複数の励起光光源からなる励起光光源ユニットが利用されれば、該励起光光源ユニットから供給される複数チャネルの励起光によって決まるより広い増幅波長帯域において、信号光増幅が可能になる。
【0006】
ここで、複数の励起光光源を含む励起光光源ユニットを適用して、より広い増幅波長帯域のラマン増幅器を実現する場合、一般に、その増幅波長帯域内における利得スペクトル(利得の波長依存性)、あるいは増幅された信号光のパワースペクトル(出力信号光パワーの波長依存性)の平坦化が必要となる。これに対して、米国特許第6115174号公報には、複数の励起光光源が適用されたラマン増幅器が記載されている。このラマン増幅器では、増幅波長帯域内で出力信号光のパワースペクトルが略平坦化されるよう、各励起光光源から供給される励起光の波長及びパワーがそれぞれ設定される。このように、各励起光光源における励起光パワーが調整されることで励起チャネル全体における励起光スペクトルが調整され、結果的に出力信号光のパワースペクトルの調整が可能になる。
【0007】
しかしながら、このように励起光パワーのみによって励起チャネル全体における励起光スペクトルを調整する構成では、励起光スペクトル及びそれに対応する出力信号光スペクトルを十分に制御することができない。例えば増幅波長帯域内における出力信号光スペクトルが大きく変化した場合、従来のラマン増幅器では、そのような変化に対応するように出力信号光スペクトルを十分に調整することができないという課題があった。
【0008】
また、特開2000−208840号公報には、複数の励起光光源からの光を合波する光合波器とこれら励起光光源に対応して設けられた複数の光反射器とが、使用波長帯域内での温度変化に対する中心波長変化の微分係数が略等しい材料で形成され、かつ、使用環境温度範囲内における所定温度下において、該光合波器における入力ポートの最適波長が各光反射器の中心反射波長と略等しい構成が開示されている。しかしながら、上述のような構成では、光反射器と光合波器の各最適波長が環境温度の変化に対して同じように変化してしまう。この結果、励起光の透過損失がほぼ一定に保たれ、励起光パワーは維持できるが、波長変動を許容しているので励起光波長に依存したラマン増幅器では、利得スペクトルの波長シフトが生じてしまうという課題があった。
【0009】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、ラマン増幅器における増幅波長帯域内における出力信号光スペクトルを十分に調整できるよう、励起光スペクトルの制御性を向上させるための構造を備えた励起光光源ユニット、該励起光光源を含むラマン増幅器、及び該ラマン増幅器を含む光伝送システムを提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る励起光光源ユニットは、互いに波長の異なるN(≧2)チャネルの励起光をラマン増幅器に供給する光源として適用されるラマン増幅用の励起光光源ユニットである。当該励起光ユニットは、N個の励起光光源と、励起光合波器と、出力構造を備える。上記N個の励起光光源は、互いに波長の異なるNチャネルの励起光を出力する。上記励起光合波器は、N個の励起光光源それぞれから出力されたNチャネルの励起光を合波する。上記出力構造は、合波器で合波された励起光をラマン増幅用光ファイバへ供給する。特に、この発明に係る励起光ユニットは、上記N個の励起光光源の少なくともいずれかが、出力される励起光のチャネル波長を変更可能な波長可変励起光光源を含むことを特徴としている。
【0011】
ラマン増幅器における励起光供給手段として機能する当該励起光光源ユニットは、複数チャネルの励起光をそれぞれ出力するN個の励起光光源を備えるとともに、これら励起光光源のうち少なくともいずれかは波長可変励起光光源を含む。このような構成により、当該励起光光源ユニットから供給される励起光のスペクトルを調整する際に、各チャネルの励起光パワーのみではなく、必要に応じて波長可変励起光光源から出力されるチャネル波長も調整することができる。したがって、出力される励起光の全チャネルにおける励起光スペクトルが大きく変化した場合も含めて、様々な変化に対して十分に対応可能なよう、該励起光スペクトルの制御性が向上された励起光光源ユニットが実現される。また、このような励起光光源ユニットがラマン増幅器に適用されることにより、ラマン増幅器における増幅波長帯域内における出力信号光のパワースペクトルも十分に調整することが可能になる。
【0012】
出力される励起光のチャネル波長を制御可能な波長可変励起光光源としては、波長可変励起光光源として、励起レーザ、共振用グレーティング及びチャネル調整システムとを備える。共振用グレーティングは励起レーザから出力された光を該励起レーザへ向かって反射させる。チャネル波長調整システムは、該共振用グレーティングの反射波長を調整する。このように、励起レーザの外部に設けられた共振用グレーティングを利用する外部共振器型レーザによれば、その共振用グレーティングの反射波長を調整することにより、出力される励起光のチャネル波長を効率的に制御することができる。
【0013】
上記外部共振器型において、共振用グレーティングは、ブラッグ波長の光を反射するブラッググレーティングであるのが好ましい。また、具体的なブラッググレーティングの例としては、光ファイバの少なくともコア領域内に該光ファイバの長手方向に沿って周期的な屈折率変化が作り込まれたファイバブラッググレーティングが適用可能である。このようなファイバブラッググレーティングによれば、波長可変レーザにおける外部共振の構成と、波長可変レーザから励起光合波器へ励起光を出力する光導波路の構成の両方が、簡単な構成で実現され得る。
【0014】
なお、ファイバブラッググレーティングの反射波長を調整するチャネル波長調整システムとしては、応力付加手段や加熱手段が含まれる。応力印加手段は、ファイバブラッググレーティングに対して所定の応力を加えることによりグレーティング周期を変化させ、反射光の波長を調整する。また、加熱手段は、ファイバブラッググレーティングを加熱することにより、ブラッググレーティングが作り込まれたコア領域部分の屈折率を変化させ、反射光の波長を調整する。
【0015】
また、上記ブラッググレーティングが電気光学効果を有する材質からなる光導波路内に形成された場合、チャネル波長調整システムは、電場印加手段を含んでもよい。この電場印加手段は、ブラッググレーティングが作り込まれた上記光導波路に対して所定強度の電場を印加することにより該光導波路の屈折率を変化させる。このようなチャネル波長調整システムによっても、波長可変レーザにおける外部共振の構成と、波長可変レーザから励起光合波器へ励起光を出力する光導波路の構成の両方が、簡単な構成で実現され得る。
【0016】
また、上記波長可変励起光光源は、半導体レーザと、該半導体レーザのチップ温度を調整することにより該半導体レーザの発振波長を変化させる加熱手段とを備えてもよい。あるいは、上記波長可変励起光光源は、励起レーザと、透過する光の波長を変更可能な波長可変バンドパスフィルタとを備えた波長可変レーザを含んでもよい。これらいずれの構成によっても、上記共振用グレーティングを利用した外部共振器型波長可変レーザと同様に、出力される励起光のチャネル波長を効率的に制御することができる。
【0017】
また、上記励起光合波器は、その透過波長特性を調整するための透過特性調整手段を含んでもよい。これにより、励起光合波器で合波される各励起光光源からの励起光のチャネル波長が変化した場合にも、その波長変化に合わせて励起光合波器における透過特性が調整されることにより、各チャネルの励起光を適切に合波することができる。
【0018】
上記励起光合波器は、例えば、波長が隣接する2チャネルの励起光ごとに、互いについとなるチャネルの励起光をそれぞれ偏波合波する複数の偏波合波器と、これら複数の偏波合波器から出力された励起光をさらに波長合波する波長合波器で構成することが可能である。このように、励起光合波器に偏波合波器が適用された場合、励起光の偏波合波の際に励起光のチャネル波長が変化したしても透過特性を調整する必要がない。したがって、偏波合波器と波長合波器とを組み合わせることによって、励起光の合波を容易に行うことができる。
【0019】
このように構成される励起光合波器は、偏波合波器と波長合波器との間に設けられたデポラライザをさらに備えるのが好ましい。このようにデポラライザが設けられることにより、当該励起光光源ユニットがラマン増幅器に適用されたときの、ラマン増幅における増幅利得の偏波依存性の影響が低減される。
【0020】
さらに上記励起光合波器は、アレイ導波路型回折格子、インターリーバ、あるいはこれらの組み合わせを含んでもよい。アレイ導波路型回折格子やインターリーバで励起光合波器が構成されることにより、励起光のチャネル波長変化に良好に対応することができる。
【0021】
上記N個の励起光光源それぞれは、励起レーザと、共振用グレーティングとを備えた外部共振器型レーザを含み、これらN個の外部共振器型レーザの少なくともいずれかは、共振用グレーティングの反射波長を変更するためのチャネル波長調整システムをさらに備えた外部共振器型波長可変レーザであるのが好ましい。このとき、上記励起光合波器は、少なくとも1つのサーキュレータデバイスと、反射用グレーティングを備えるのが好ましい。上記サーキュレータデバイスは、N個の外部共振器型レーザのそれぞれから出力された励起光を合波する。上記反射用グレーティングそれぞれは、各外部共振器型レーザの共振用グレーティングと光サーキュレータの間に設置される。また、これら反射用グレーティングは、光サーキュレータデバイスから共振用グレーティングへ出力されたいずれかのチャネルの励起光を該光サーキュレータデバイスに向かって反射する反射特性を有する。このように、光サーキュレータデバイスが適用された構成によっても、複数の励起光光源からの励起光を合波することができる。
【0022】
光サーキュレータデバイスが適用された上記励起光合波器は、具体的には、N個の外部共振器型レーザのそれぞれから出力されたNチャネルの励起光を順次合波するように(N−1)段に接続された(N−1)個の3ポート光サーキュレータを含む。あるいは、上記励起光合波器は、N個の外部共振器型レーザのそれぞれから出力されたNチャネルの励起光を合波する1個の(N+1)ポート光サーキュレータを含んでもよい。さらに、上記励起光合波器は、N個の外部共振器型レーザのそれぞれから出力されたNチャネルの励起光を合波する1個の(N+2)ポート光サーキュレータを含んでもよい。この場合、ラマン増幅用光ファイバ内で発生するレイリー散乱などに起因した戻り光が効果的に遮断できるとともに、上記N個の励起光光源それぞれの出力安定化が図れる。
【0023】
また、上記励起光合波器は、上記N個の外部共振器型レーザそれぞれの共振用グレーティングと反射用グレーティングとの間に設けられた光アイソレータをさらに備えてもよい。これにより、反射用グレーティングの影響によって、外部共振器型レーザにおいて複数波長の光が外部共振することが防止される。
【0024】
上記チャネル波長調整システムは、上記反射用グレーティングのうち対応する上記外部共振器型波長可変レーザからの励起光を反射する反射用グレーティングの反射波長を、該対応する外部共振器型波長可変レーザの共振用グレーティングの反射波長と同期して変更する。これにより、外部共振器型波長可変レーザから出力される励起光のチャネル波長が変化させた場合においても、対応する反射用グレーティングにおいて確実に励起光を反射することが可能になる。
【0025】
なお、光サーキュレータデバイスが適用された励起光合波器において、上記共振用グレーティング及び反射用グレーティングは、ブラッグ波長の光を反射するブラッググレーティングを含むのが好ましい。具体的に、上記ブラッググレーティングは、光ファイバの少なくともコア領域内に該光ファイバの長手方向に沿って周期的な屈折率変化が作り込まれたファイバブラッググレーティングを含むのが好ましい。このファイバブラッググレーティングの反射波長の変更は、上記チャネル波長調整システムにおいて行われるが、このチャネル波長調整システムは、応力印加手段、加熱手段あるいは電場印加手段を含む。上記応力印加手段は、ファイバブラッググレーティングに対して所定の応力を加えることによりグレーティング周期を変化させる。上記加熱手段は、ファイバブラッググレーティングを加熱することによりコア領域内の屈折率を変化させる。さらに、上記ブラッググレーティングが電気光学効果を有する材質からなる光導波路に形成された場合、上記チャネル波長調整システムとしての電場印加手段が、ブラッググレーティングが形成された光導波路に対して所定強度の電場を印加することにより該光導波路の屈折率を変化させる。
【0026】
また、上記出力構造は、励起光合波器で合波された励起光をラマン増幅されるべき信号光が伝搬する光伝送路に出力するため、励起光を信号光と合波する出力合波器を含む。ただし、このような出力合波器は、励起光光源ユニット側に設けられるのではなく、光伝送路側に設けられた合波器に励起光光源ユニットの出力用光ファイバを接続する構成であってもよい。
【0027】
なお、複数の励起光光源のうちいずれかの出力が低下した場合でも出力信号光のパワースペクトル(ラマン増幅器の利得スペクトル)の平坦性を維持するため、残りの励起光光源のチャネル波長を変更することで励起光スペクトルを調整する、上述のような構成では、利得スペクトルのある程度の劣化は避けられない。そこで、この発明に係る励起光光源ユニットは、定常的に複数チャネルの励起光を出力する主励起光供給システムとともに、該主励起光供給ユニットに含まれる励起光光源のうちいずれかの出力低下に起因した励起光スペクトルの劣化を防止するための予備励起光供給システムとを備えてもよい。
【0028】
すなわち、当該励起光光源ユニットは、主励起光供給システムと、合波器と、出力構造と、予備励起光光源システムと、光スイッチとを備える。上記主励起光供給システムは、定常状態において、互いに波長の異なるN(≧2)チャネルの励起光をそれぞれ出力するN個の励起光光源を含む。上記合波器は、N個の励起光光源それぞれから出力されたNチャネルの励起光を合波する。上記出力構造は、合波器で合波された励起光を出力する。上記予備励起光供給システムは、1又はそれ以上の予備の励起光光源を含み、該予備の励起光光源のうち少なくともいずれかは出力する励起光のチャネル波長を変更可能な波長可変励起光光源である。上記光スイッチは、主励起光供給システムと合波器との間の光路上に配置される。また、この光スイッチは、該主励起光供給システムに含まれるN個の励起光光源のいずれかからの出力が低下した場合に該低下した励起光光源の出力と予備励起光光源からの出力とを切り替えるよう機能する。
【0029】
上述のように、主励起光供給システムと予備励起光供給システムとを備え、これらからの出力を光スイッチで切り替えることにより、ラマン増幅用光ファイバに供給される励起光に含まれるチャネルの波長は、上記N個の励起光光源のいずれかが故障した非常時でも維持されるため、利得スペクトルへの影響は小さい。
【0030】
なお、上記光スイッチは、合波器へ導かれる励起光の瞬断を回避するため、光干渉効果を利用した光スイッチを含むことが好ましい。
【0031】
また、当該励起光光源ユニットは、予備励起光供給システムに含まれる予備励起光光源の数量を低減し、コストパフォーマンスを向上させるべく、上記光スイッチと上記予備励起光供給システムとの間の光路上に配置された1×M(≧2)ポート光スイッチをさらに備えるのが好ましい。また、当該励起光光源ユニットは、上記光スイッチと上記予備励起光供給システムとの間の光路上に配置されたM(≧2)ポート出力分波器を備えてもよい。
【0032】
さらに、当該励起光光源ユニットは、上記光スイッチと上記1×Mポート光スイッチとの間の光路上にそれぞれ配置された共振用グレーティングをさらに備えてもよい。この共振用グレーティングは、N個の励起光光源のうち該光スイッチを介して切り替えられるべき励起光光源から出力される励起光の波長と略等しい中心反射波長を有する。従来の波長可変方式による信頼性劣化を防ぐことができるからである。
【0033】
当該励起光光源ユニットは、上記共振用グレーティングによって反射される光の波長を変更するためのチャネル波長調整システムをさらに備えてもよく、この場合、予備励起光光源の数量を効果的に低減することが可能になる。なお、このチャネル波長調整システムは、共振用グレーティングに対して所定の応力を加えることによりグレーティング周期を変化させる応力印加手段を含んでもよい。また、上記チャネル波長調整システムは、共振用グレーティングを加熱することにより前記コア領域内の屈折率を変化させる加熱手段を含んでもよい。共振用グレーティングが電気光学効果を有する材質からなる光導波路内に形成された場合、上記チャネル波長調整システムは、共振用グレーティングが形成された光導波路に対して所定強度の電場を印加することにより該光導波路の屈折率を変化させる電場印加手段を含んでもよい。
【0034】
この発明に係るラマン増幅器は、ラマン増幅用光ファイバと、上述のような構造を有する励起光光源ユニットとを備える。上記ラマン増幅用光ファイバは、ラマン増幅用の励起光が供給されることにより所定の増幅波長帯域内の信号光をラマン増幅する。また、上記励起光光源ユニットは、ラマン増幅用光ファイバに励起光を供給する。この構成により、増幅波長帯域内における出力信号光スペクトルが十分に調整可能となる。したがって、この増幅波長帯域内において出力信号光スペクトルが大きく変化した場合も含めて、様々な変化に対して十分に対応可能なように、増幅利得の制御性が向上されたラマン増幅器が実現される。
【0035】
また、当該ラマン増幅器は、入力される信号光のパワーを測定するための入力パワー測定システムと、制御部を備えるのが好ましい。制御部は、入力パワー測定システムの測定結果に基づいて、出力信号光スペクトルが実質的に平坦になるよう、励起光光源ユニットに含まれるN個の励起光光源のそれぞれから出力されるNチャネルの励起光のパワーあるいは波長を制御する。一方、当該ラマン増幅器は、ラマン増幅された出力信号光のパワーを測定する出力パワー測定システムと、制御部を備えてもよい。この場合、制御部は、出力パワー測定システムの測定結果に基づいて、出力信号光スペクトルが実質的に平坦になるよう、励起光光源ユニットに含まれるN個の励起光光源のそれぞれから出力される励起光のパワーあるいは波長を制御する。また、当該ラマン増幅器は、外部からの指示信号を取り込むための指示信号入力システムと、制御部を備えてもよい。この構成において、制御部は、指示信号入力システムにより取り込まれた指示信号に基づいて、出力信号光スペクトルが実質的に平坦になるよう、励起光光源ユニットに含まれるN個の励起光光源のそれぞれから出力される励起光のパワーあるいは波長を制御する。
【0036】
このように、入力信号光パワーの測定結果、出力信号光パワーの測定結果、あるいは指示信号による制御指示に基づいて励起光出力を制御することで、励起光光源ユニットから供給される全チャネルの励起光スペクトル、及びラマン増幅器から出力される信号光のパワースペクトルを、信号光の状態に応じて適切に制御することができる。
【0037】
なお、具体的な制御方法としては、上記制御部が、出力信号光スペクトルが実質的に平坦となるように、励起光のパワーあるいは波長を制御する。また、上記制御部は、出力信号光スペクトルにおいて信号光パワーが最小となる周波数に対して、その周波数から13THz〜15THz高い周波数に近付くように、励起光の少なくともいずれかのチャネル波長を制御するのが好ましい。
【0038】
さらに上記制御部は、励起光光源ユニットに含まれるN個の励起光光源のうち1又はそれ以上の励起光光源から出力される励起光のパワーがラマン増幅に寄与し得ない程度に低下したとき、ラマン増幅された信号光のチャネルごとのパワーバラツキが2dB以下になるよう、該パワー低下した励起光光源を除く残りの励起光光源から出力される励起光のパワーを制御するのが好ましい。
【0039】
この発明による光伝送システムは、複数の中継区間を備え、1中継区間あたりの出力信号光パワーの平均バラツキは2dB以下である。このような光伝送システムは6中継区間で構成されるのが一般的であり、特に、受信器に利用されるアバランシェ・ホトダイオードの受信可能な光パワーのダイナミックレンジが−17〜−32dB程度であることを考慮すると、出力信号光の1中継区間あたりのパワーバラツキは2dB、6中継区間全体で12dB程度に押さえられる必要がある。
【0040】
なお、この発明に係る光伝送システムは、所定の信号波長帯域内の信号光が伝搬する光伝送路と、光伝送路上の所定位置に設置された、上述のような構造を有するラマン増幅器を備える。特に、ラマン増幅器は、上記光伝送路の一部をラマン増幅用光ファイバとして利用し、該光伝送路へ励起光を供給する構成を備えてもよい。この場合、光ファイバ伝送路などの光伝送路を伝送される信号光に対して、信号光波長帯域内における信号光のパワースペクトルを十分に制御可能な、分布定数型の光増幅器を備えた光伝送システムが実現される。
【0041】
一方、この発明に係る光伝送システムに含まれるラマン増幅器は、上記光伝送路とは別にラマン増幅用光ファイバを備えてもよく、該ラマン増幅用光ファイバは上記光伝送路に光学的に接続され、該光伝送路の一部を構成する。この場合、光ファイバ伝送路などの光伝送路を伝搬する信号光に対して、信号光波長帯域内における信号光のパワースペクトルを十分に制御可能な、集中定数型の光増幅器を備えた光伝送システムが実現される。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係る励起光光源ユニット、ラマン増幅器、及び光伝送システムの各実施形態を図1〜38を用いて詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0043】
図1は、この発明に係る励起光光源ユニットの第1実施形態の構成を示す図である。この第1実施形態に係る励起光光源ユニットLUは、ラマン増幅用光ファイバを伝搬する複数チャネルの信号光(WDM信号)をラマン増幅するためのラマン増幅器に適用される光源ユニットであって、該ラマン増幅用光ファイバに互いに波長の異なる複数チャネルの励起光を供給する。
【0044】
当該励起光光源ユニットLUは、複数チャネルの励起光を供給するための励起光供給システム1と、これら複数チャネルの励起光を合波する励起光合波器2と、合波された励起光を外部の光伝送路Lへ出力するための出力構造3とを備える。複数チャネルの励起光が生成される励起光供給システム1は、互いに波長の異なる励起光をそれぞれ出力する複数の励起光光源から構成されている。
【0045】
図1に示された第1実施形態においては、励起光供給システム1は、波長λ1の励起光を出力する第1励起光光源11、波長λ2(λ2>λ1)の励起光を出力する第2励起光光源12、波長λ3(λ3>λ2)の励起光を出力する第3励起光光源13、及び波長λ4(λ4>λ3)の励起光を出力する第4励起光光源14の4個の励起光光源を備えている。また、これらの励起光光源11〜14は、いずれも、出力する励起光の波長λ1〜λ4が所定の波長範囲内で可変に制御可能に構成された波長可変励起光光源である。
【0046】
4個の波長可変励起光光源11〜14のそれぞれから出力された波長λ1〜λ4の励起光(4チャネル励起光)は、励起光合波器2において合波され、全体として所定のパワースペクトルを有する励起光となる。そして、合波された励起光は、出力構造3を介して信号光が伝搬する光伝送路Lへ出力される。出力構造3は、出力用光導波路31及び出力合波器32を含む。これにより、励起光合波器2で合波された励起光は、出力用光導波路31を通過した後、出力合波器32によって光伝送路Lを伝搬する信号光に対して合波される。
【0047】
ラマン増幅器の励起光光源として機能する当該励起光光源ユニットLUにおける励起光供給システム1は、それぞれチャネル波長λ1〜λ4の励起光を出力する複数の励起光光源11〜14から構成される。これら励起光光源11〜14はそれぞれ波長可変励起光光源である。この構成により、当該励起光光源ユニットLUから供給される全体での励起光スペクトルを調整する際に、各励起光のパワーのみではなく、必要に応じて波長可変励起光光源11〜14から出力される励起光の波長を調整することができる。
【0048】
すなわち、複数の励起光光源からなる励起光光源ユニットをラマン増幅器に適用する場合、一般に、広帯域となっている増幅波長帯域内における利得スペクトルあるいは出力信号光のパワースペクトルを平坦化することが必要となる。そして、この調整する対象となるラマン増幅器から出力される信号光のパワースペクトルは、励起光光源ユニットから供給される励起光のパワースペクトルによって決まる。したがって、ラマン増幅器から出力される信号光のパワースペクトルを調整するには、励起光光源ユニットから出力される励起光のパワースペクトルを調整する必要がある。
【0049】
このような励起光スペクトルの調整については、励起光光源ユニットに含まれる各励起光光源からそれぞれ出力される各チャネルの励起光パワーを調整する方法がある。しかしながら、このような調整方法では、励起光スペクトルについて十分な制御性が得られない。例えば、励起光光源ユニットに含まれている複数の励起光光源のうちで1つのパワーがダウンした場合、ダウンした励起光光源が供給していた励起光のチャネル波長に対応する信号光波長の近傍で、出力信号光のパワースペクトルが大きく落ち込むこととなる。このような場合には、ダウンした励起光光源を除いた残りの励起光光源が供給している励起光のパワーを調整しても、出力信号光のパワースペクトルの落ち込みを十分に補償することはできない。
【0050】
これに対して、それぞれが波長可変励起光光源である複数の励起光光源11〜14を備えた当該励起光光源ユニットLUによれば、出力される励起光のチャネル全体でのパワースペクトルが大きく変化した場合も含めて、様々な変化に対して十分に対応可能なよう、励起光スペクトルの制御性が向上された励起光光源ユニットLUが実現される。また、このような励起光光源ユニットLUがラマン増幅器に適用されれば、ラマン増幅器における増幅波長帯域内における出力信号光のパワーバラツキを十分に調整することが可能となる。
【0051】
図1に示された励起光光源ユニットLUにおける励起光スペクトルの調整及び出力信号光スペクトルの平坦化について、図2及び図3を用いて説明する。
【0052】
図2は、図1に示された励起光光源ユニットLUから供給される励起光のパワースペクトルであり、横軸は、励起光波長λを示している。励起光光源ユニットLUの通常の動作時においては、4個の波長可変励起光光源11〜14から、図2中にそれぞれ破線で示された励起光波長λ1〜λ4の4チャネルの励起光が供給される。
【0053】
ここで、4個の励起光光源11〜14のうち、3番目の励起光光源(波長可変励起光光源)13のパワーがダウンし、波長λ3の励起光が供給されなくなった場合について考える。このとき、この励起光光源ユニットLUが適用されたラマン増幅器では、励起光波長λ3に対応する信号光波長の近傍で、出力信号光のパワースペクトルが大きく落ち込むこととなる。
【0054】
図3は、図1に示された励起光源ユニットLUが適用されたラマン増幅器における出力信号光スペクトルであり、横軸は、励起光によって増幅される信号光のチャネル波長(nm)を示している。また、縦軸は、信号光の各チャネル波長における信号光出力パワー(0.5dBm/div)を示している。
【0055】
波長λ1〜λ4の4チャネル励起光が供給される、励起光源ユニットLUの通常動作時においては、励起光源11〜14のそれぞれから供給される励起光のパワーの最適化により、破線Sで示されたように、ラマン増幅器から出力される信号光のパワースペクトルが略平坦化されている。このとき、励起光光源13がダウンしてチャネル波長λ3の励起光が供給されなくなると、出力信号光のパワースペクトルは、破線Sdで示されたように、励起光波長λ3に対応する信号光波長の近傍(図3では波長1565nmの近傍)において、増幅利得及び信号光出力パワーが大きく落ち込んでしまう。
【0056】
これに対し、この第1実施形態に係る励起光光源ユニットLUでは、ダウンせずに残っている3個の波長可変励起光光源11、12、及び14から供給される波長λ1、λ2、及びλ4の3チャネルの励起光が、図2中にそれぞれ実線で示すように、その励起光波長をそれぞれ波長λ3に近付く波長軸方向に変化させて、それぞれλ1'、λ2'及びλ4'に調整される。これにより、励起光光源ユニットLUから供給される励起光のチャネル全体から見たパワースペクトルが調整され、図3の実線S'で示されたように、ラマン増幅器から出力される信号光のパワースペクトルが極力平坦化される。具体的には、ダウンせずに残っている3個の波長可変励起光光源11、12及び14は、ラマン増幅された信号光のチャネルごとのパワーバラツキが2dB以下となるよう波長制御されるのが好ましい。
【0057】
複数の波長可変励起光光源11〜14を利用する第1実施形態に係る励起光光源ユニットLUは、上述のように、増幅波長帯域内で変化した出力信号光スペクトルの調整に対して優れた制御性を有している。また、このような励起光光源ユニットLUは、出力信号光のパワースペクトル平坦化以外でも出力信号光スペクトルに対する種々の調整に対しても有効である。
【0058】
例えば、2以上の異なる波長帯域における出力信号光スペクトルを平坦化して増幅波長帯域として用いる場合(同一構成の2以上のラマン増幅器を利用)、上述のような構造を有する励起光光源ユニットLUであれば、励起光スペクトルを波長に対して全体的にシフトさせることにより、出力信号光スペクトルが平坦化された帯域である増幅波長帯域を変更することが可能である。
【0059】
なお、図1に示された励起光光源ユニットLUにおいて、励起光供給システム1に含まれる複数の励起光光源11〜14をすべて波長可変励起光光源としたが、波長可変励起光光源の個数については、複数の励起光光源のうちで少なくともいずれかが波長可変励起光光源であれば、他の励起光光源では励起光のチャネル波長が固定であってもよい。このような波長可変励起光光源の個数、あるいはは励起光供給システム1における波長可変励起光光源の割合については、各励起光のチャネル間隔(波長間隔)や、励起光光源ユニットが適用されたラマン増幅器で必要とされる出力信号光スペクトルの制御性などに応じて、適宜設定されればよい。
【0060】
また、図1に示された励起光光源ユニットLUにおいて、励起光を光伝送路Lへ出力する出力構造3は、出力用光導波路31に加えて、励起光と信号光とを合波するための出力合波器32を備えている。この出力合波器32は、励起光光源ユニットLU側には合波器を設けずに出力用光導波路31のみの構成とし、光伝送路L側に設けられた合波器に励起光光源ユニットLUの出力用光導波路31を接続する構成であってもよい。あるいは、励起光合波器2の出力端がそのまま出力構造に含まれてもよい。
【0061】
また、図1は、出力用光導波路31からの励起光が、信号光の伝送方向に対して逆方向に光伝送路Lに導かれる構成を示しているが、この励起光の伝搬方向は、ラマン増幅器の構成等に応じて、信号光の伝送方向に一致した順方向であてもよい。
【0062】
図4は、この発明に係る励起光光源ユニットの第2実施形態の構成を示す図である。この第2実施形態に係る励起光光源ユニットLUは、励起光供給システムを構成する複数の励起光光源として、第1実施形態と同様に、それぞれチャネル波長λ1〜λ4(λ1<λ2<λ3<λ4)の励起光を出力する4個の波長可変励起光光源11〜14を備えている。
【0063】
また、励起光光源11〜14のそれぞれから出力された励起光を合波する励起光合波器2として、励起光を波長によって合波する波長合波器21が設けられている。
【0064】
励起光光源11〜14の構成について、第1励起光光源11を例として説明する。この第2実施形態において、第1波長可変励起光光源11は、その励起光生成源として励起レーザに適した第1半導体レーザ110を有する。この半導体レーザ110と波長合波器21との間には、励起光光源11からの励起光を波長合波器21へ導波するための光導波路111が設けられている。光導波路111上の所定位置には、半導体レーザ110から出力された光を反射する共振用グレーティング112が設けられている。共振用グレーティングとしては、ブラッグ波長の光を反射するブラッググレーティングが好ましい。また、励起光光源11は、共振用グレーティング112の反射波長を調整するためのチャネル波長調整システムを備えるのが好ましい。これにより、励起光光源11として、半導体レーザ110と、光導波路111上に設けられた共振用グレーティング112とから、出力する励起光の波長が制御可能な波長可変励起光光源11として、外部共振器型波長可変レーザが得られる。
【0065】
この第2実施形態では、4個の励起光光源11〜14がすべて波長可変励起光光源となっている。そして、他の3個の励起光光源12〜14も、上記第1波長可変励起光光源11と同様の構成を有する。
【0066】
すなわち、第2波長可変励起光光源12は、励起レーザに適した第2半導体レーザ120と、光導波路121上に設けられた共振用グレーティング122、該共振用グレーティングの反射波長を調整するためのチャネル波長調整システムを備えた外部共振器型波長可変レーザである。また、第3波長可変励起光光源13も、励起レーザに適した第3半導体レーザ130と、光導波路131上に設けられた共振用グレーティング132と、該共振用グレーティングの反射波長を調整するためのチャネル波長調整システムを備える。さらに、第4波長可変励起光光源14は、励起レーザに適した第4半導体レーザ140と、光導波路141上に設けられた共振用グレーティング142と、該共振用グレーティングの反射波長を調整するためのチャネル波長調整システムを備えた外部共振器型波長可変レーザである。
【0067】
4個の波長可変励起光光源11〜14のそれぞれから出力されたチャネル波長λ1〜λ4の励起光は、励起光合波器2である波長合波器21によって合波され、全チャネルを含む波長帯域において所定のパワースペクトルを有する。そして、合波された励起光は、出力用光導波路31及び出力合波器32から構成された出力構造3を介して、光伝送路Lへ出力される。
【0068】
この第2実施形態に係る励起光光源ユニットLUによれば、共振用グレーティング112〜142で反射される光の波長を可変に制御することによって、外部共振器型レーザである波長可変励起光光源11〜14のそれぞれから出力される励起光の波長λ1〜λ4を効率的に制御することができる。
【0069】
図5は、図4に示された第2実施形態に係る励起光光源ユニットLUから供給される励起光のパワースペクトルである。図5には、チャネル波長λ1〜λ4の励起光(点線)のうちチャネル波長λ3の励起光がパワーダウンした場合に、波長λ1'、λ2'、及びλ4'(破線)に励起光の各チャネル波長を調整する例が示されている。なお、この第2実施形態においても、ダウンせずに残っている3個の波長可変励起光光源11、12及び14は、ラマン増幅された信号光のチャネルごとのパワーバラツキが2dB以下となるよう波長制御されるのが好ましい。
【0070】
波長可変励起光光源として上述の構造を有する外部共振器型レーザが適用された場合、励起光の外部共振のための共振用グレーティングとしては、ブラッググレーティングが好ましい。また、具体的なブラッググレーティングの構成については、様々な形態のグレーティングを適用することができる。
【0071】
図6は、図4に示された励起光光源ユニットLUに適用される波長可変励起光光源の第1構成の一例を示す図である。ただし、この図6はでは、4個の励起光光源11〜14のうち、第1波長可変励起光光源11の構成のみが示されている。他の励起光光源12〜14については、図6に示された第1波長可変励起光光源11と同様の構造を有する。
【0072】
第1波長可変励起光光源11は、第1半導体レーザ110と、光導波路111上に設けられた共振用グレーティング112とを備え、これら半導体レーザ110及び共振用グレーティング112間の外部共振によってチャネル波長λ1の励起光を生成する外部共振器型波長可変レーザである。
【0073】
図6には、励起光光源11から出力される励起光を波長合波器21へ導く光導波路111として、半導体レーザ110と波長合波器21との間に設けられた光ファイバ111aが示されている。また、光ファイバ111aの所定部位には、共振用グレーティング112として、ファイバブラッググレーティング112aが作り込まれている。
【0074】
さらに、励起光光源11には、ファイバブラッググレーティング112aに対して、その反射波長を調整するチャネル波長調整システム112bが設けられている。チャネル波長調整システム112bは、外部からの制御信号によって制御される。これによって、励起光のチャネル波長λ1となる共振用グレーティング112の反射波長が調整される。
【0075】
このようなファイバグレーティングによれば、外部共振器型波長可変レーザである励起光光源11における外部共振の構成と、励起光光源11から波長合波器21へ励起光を出力する光導波路111の構成との両方を、簡単な構成で実現することができる。
【0076】
上記チャネル波長調整システム112bとしては、例えば、応力印加手段が適用可能である。この応力印加手段は、光ファイバ111aに所定の応力を印加することにより、光ファイバ111aに伸縮を生じさせる。この結果、ファイバブラッググレーティング112aのグレーティング周期が変化し、共振用グレーティング112の反射波長が調整される。励起光光源11から供給される励起光のチャネル波長λ1は、この反射波長が調整された共振用グレーティング112と半導体レーザ110で構成される外部共振器により制御されることになる。
【0077】
また、上記チャネル波長調整システム112bとして、加熱手段も適用可能である。この加熱手段は、光ファイバ111aを加熱することによりファイバブラッググレーティング112aのグレーティング屈折率(ファイバブラッググレーティング112aが作り込まれた光ファイバ111aにおけるコア領域の屈折率)を変化させる。これにより、共振用グレーティング112の反射波長を変化させ、励起光光源11から供給される励起光のチャネル波長を制御している。
【0078】
ここで、図6に示されたように、共振用グレーティングなどのチャネル波長調整手段を利用して励起光光源から供給される励起光のチャネル波長を制御する場合、励起光を合波する波長合波器21などの励起光合波器2における光の透過波長特性が問題となるかもしれない。
【0079】
図5には、波長調整前のチャネル波長λ1〜λ4の励起光、及び波長調整後のチャネル波長λ1'、λ2'、及びλ4'の励起光に対する波長合波器21での透過波長特性(合波波長特性)の一例として、透過波長特性T1〜T4が示されている。
【0080】
これらの透過波長特性T1〜T4は、一般には、励起光光源ユニットLUの通常動作時において、チャネル波長λ1〜λ4の励起光が良好に合波されるように最適化されている。これに対し、チャネル波長λ3の励起光のパワーダウンに対応して励起光スペクトルを調整するために他の励起光のチャネル波長がλ1'、λ2'、及びλ4'へ変化させられると、チャネル波長の変化量が大きい励起光に対して波長合波器21で十分な透過特性が得られない場合がある。
【0081】
例えば、図5に示されたように、パワーダウンした励起光のチャネル波長λ3に近いチャネル波長λ4の励起光について、波長調整したことによるλ4からλ4'へのチャネル波長の変化量が大きくなっている。このように励起光のチャネル波長を大きく変化させる可能性がある場合には、励起光合波器2において各チャネルの励起光に対して十分な透過特性を確保するため、波長合波器21は、透過波長特性を調整可能な構造を備えるのが好ましい。
【0082】
図7は、透過波長特性が調整可能な励起光合波器を有する励起光光源ユニットの構成の一例を示す図である。図7の構成では、波長合波器21に対してその透過特性を調整するための透過特性調整システム22が設けられている。これら波長合波器21及び透過特性調整システム22から、透過波長特性が調整可能な励起光合波器2が構成される。透過特性調整システム22は、外部からの制御信号によって制御される。これによって、各励起光光源11〜14から出力される励起光のチャネル波長λ1〜λ4の変化に応じて、励起光合波器2における励起光の透過特性が最適に制御される。
【0083】
励起光光源ユニットに適用される波長可変励起光光源としては、図6に示されたファイバブラッググレーティングを利用する外部共振器型波長可変レーザには限定されず、様々な励起光光源が適用可能である。
【0084】
図8は、図4に示された励起光光源ユニットに適用可能な波長可変励起光光源の第2構成を示す図である。この場合、波長可変励起光光源11は、第1半導体レーザ110と、光導波路111上に設けられた共振用グレーティング112と、電場印加手段112dとしてのチャネル波長調整システムを備えており、該波長可変励起光光源11は、第1半導体レーザ110及び共振用グレーティング112を利用した外部共振によってチャネル波長λ1の励起光を生成する外部共振器型波長可変レーザである。
【0085】
図8には、励起光光源11から出力される励起光を波長合波器21へ導くための光導波路111として、半導体レーザ110から波長合波器21に向かって順に、光ファイバ111b、光導波路111c、及び光ファイバ111dが設けられている。
【0086】
これらの各光導波路のうち、光導波路111cは、所定の基板上に電気光学効果を有する材質によって形成された光導波路である。また、光導波路111cの所定部位には、共振用グレーティング112として、ブラッググレーティング112cが形成されている。
【0087】
さらに、チャネル波長調整システムである電場印加手段は、ブラッググレーティング112cに対して所定強度の電場を印加すべく、ブラッググレーティング112cを挟んで同一基板上に配置された一対の電極112dを備える。電極112dは、外部からの制御信号によって制御される。これによって、励起光のチャネル波長λ1となる共振用グレーティング112での反射波長が可変に制御される。すなわち、電場印加手段である電極112dによって電気光学効果を有する光導波路111cに所定強度の電場が印加されると、ブラッググレーティング112cの反射波長が変化する。これによって、励起光光源11から供給される励起光のチャネル波長λ1が可変に制御され得る。
【0088】
このようなグレーティングによっても、外部共振器型波長可変レーザである励起光光源11における外部共振の構成と、励起光光源11から波長合波器21へ励起光を出力する光導波路111の構成との両方が、簡単な構成で実現することができる。
【0089】
図9は、図4に示された励起光光源ユニットに適用可能な波長可変励起光光源の第3構成を示す図である。この波長可変励起光光源11は、第1半導体レーザ110と、チャネル波長調整システムとして、半導体レーザ110のチップの温度を調整する加熱手段113とを備える。加熱手段113は、外部からの制御信号によって制御される。これによって、励起光のチャネル波長λ1となる半導体レーザ110における発振波長が可変に制御される。
【0090】
図10は、図4に示された励起光光源ユニットに適用可能な波長可変励起光光源の第4構成を示す図である。この波長可変励起光光源11は、第1励起レーザ114と、リング状光ファイバ115とを利用してチャネル波長λ1の励起光を生成するファイバリング波長可変レーザである。
【0091】
リング状光ファイバ115は、光増幅機能を有する希土類元素添加光ファイバを含む。また、リング状光ファイバ115の励起レーザ114側の所定位置には、波長合波器116が設置されている。励起レーザ114から出力された光は、この波長合波器116を介してリング状光ファイバ115に供給され、希土類元素添加光ファイバであるリング状光ファイバ115において増幅される。また、リング状光ファイバ115上の所定位置には、光アイソレータ118及びバンドパスフィルタ119が設置されており、バンドパスフィルタ119の透過波長特性に応じて、励起光光源11において生成される励起光のチャネル波長λ1が決められる。
【0092】
リング状光ファイバ115の、波長合波器21側の所定位置には、光を一定の割合で分岐する分岐器117が設置されている。リング状光ファイバ115で増幅されたチャネル波長λ1の光は、この分波器117によって光導波路111へ分岐され、励起光として波長合波器21へ出力される。
【0093】
図10の波長可変励起光光源11において、リング状光ファイバ115で増幅される励起光のチャネル波長λ1を決めるバンドパスフィルタ119としては、透過波長が変更可能な波長可変バンドパスフィルタ(チャネル波長調整システムに含まれる)が利用される。バンドパスフィルタ119は、外部からの制御信号によって制御される。これによって、励起光のチャネル波長λ1は、リング状光ファイバ115において可変に制御される。
【0094】
なお、透過波長特性が可変のバンドパスフィルタ119としては、例えば、誘電体多層膜による光学フィルタが利用可能である。誘電体多層膜フィルタは、透過させる光の光路に対してフィルタの角度を回転させることで、透過波長特性を可変かつ容易に制御することができる。また、誘電体多層膜フィルタ以外のバンドパスフィルタの利用も可能である。
【0095】
励起光光源ユニットの実施形態について、さらに説明する。
【0096】
図11は、この発明に係る励起光光源ユニットの第3実施形態の構成を示す図である。この第3実施形態に係る励起光光源ユニットLUは、励起光供給システムを構成する複数の励起光光源として、それぞれチャネル波長λ1〜λ4(λ1<λ2<λ3<λ4)の励起光を出力する4個の波長可変励起光光源11〜14を備えている。各励起光光源11〜14の構成については、図4に示された第2実施形態と同様である。
【0097】
また、励起光光源11〜14のそれぞれから出力された励起光を合波する励起光合波器2は、波長が隣接する2チャネルずつの励起光をそれぞれ合波する2個の偏波合波器23a、23bと、励起光を波長によって合波する波長合波器21とで構成されている。
【0098】
4個の波長可変励起光光源11〜14のうち、励起光光源11、12から出力された、互いに波長が隣接するチャネル波長λ1、λ2の励起光は、偏波合波器23aによって偏波合波される。また、励起光光源13、14から出力された、互いに波長が隣接するチャネル波長λ3、λ4の励起光は、偏波合波器23bによって偏波合波される。
【0099】
さらに、偏波合波器23aから出力されたチャネル波長λ1、λ2の励起光と、偏波合波器23bから出力されたチャネル波長λ3、λ4の励起光は、波長合波器21によって合波されて、該波長合波器21から全体として所定の励起光スペクトルを有する励起光が出力される。そして、合波された励起光は、出力用光導波路31及び出力合波器32により構成された出力構造を介して、光伝送路Lへ出力される。
【0100】
このように、励起光を合波する励起光合波器2に偏波合波器23a、23bが適用された場合、偏波合波器23a、23bによる励起光の偏波合波では、各励起光光源11〜14から供給される励起光のチャネル波長が変化した場合であっても透過特性を調整する必要がない。したがって、複数の偏波合波器23a、23bと波長合波器21とを組み合わせて励起光合波器2を構成することによって、励起光の合波を容易に行うことができる。
【0101】
図12は、図1に示された励起光光源ユニットLUから供給される励起光のパワースペクトルである。図12には、図5と同様に、チャネル波長λ1〜λ4の励起光のうちチャネル波長λ3の励起光がパワーダウンしたときに、チャネル波長λ1'、λ2'、及びλ4'の励起光を調整する例が示されている。また、図12には、偏波合波器23a、23bのそれぞれから出力された励起光に対する波長合波器21の透過波長特性Ta、Tbが示されている。
【0102】
波長合波器21は、励起光がその前段の偏波合波器23a、23bにおいて偏波合波されているため、図12に示されたように、その透過波長特性Ta、Tbをやや広い波長範囲の透過波長特性を有するのが好ましい。この場合、励起光のチャネル波長がある程度大きく変化しても、十分な透過特性が得られる。
【0103】
図13は、この発明に係る励起光光源ユニットの第4実施形態の構成を示す図である。この第4実施形態に係る励起光光源ユニットLUは、励起光供給システムを構成する複数の励起光光源として、それぞれチャネル波長λ1〜λ4(λ1<λ2<λ3<λ4)の励起光を出力する4個の波長可変励起光光源11〜14を備えている。各励起光光源11〜14の構成については、図4に示された第2実施形態と同様である。
【0104】
また、励起光光源11〜14のそれぞれから出力された励起光を合波する励起光合波器2は、波長が互いに隣接する2チャネルの励起光を合波する2個の偏波合波器23a、23bと、励起光を波長によって合波する波長合波器21とが設けられている。さらに、第4実施形態における励起光合波器2には、偏波合波器23a、23bと、波長合波器21との間に、それぞれデポラライザ24a、24bが設置されている。
【0105】
4個の波長可変励起光光源11〜14のうち、励起光光源11、12から出力された波長が互いに隣接するチャネル波長λ1、λ2の励起光は、偏波合波器23aによって偏波合波され、デポラライザ24aによって無偏光化される。また、励起光光源13、14から出力された波長が互いに隣接するチャネル波長λ3、λ4の励起光は、偏波合波器23bによって偏波合波され、デポラライザ24bによって無偏光化される。
【0106】
さらに、偏波合波器23aからデポラライザ24aを介して出力されたチャネル波長λ1、λ2の励起光と、偏波合波器23bからデポラライザ24bを介して出力されたチャネル波長λ3、λ4の励起光は、波長合波器21によって合波されて、該波長合波器21から全体として所定の励起光スペクトルを有する励起光が出力される。そして、合波された励起光は、出力用光導波路31及び出力合波器32から構成された出力構造を介して、光伝送路Lへ出力される。
【0107】
励起光合波器2に偏波合波器23a、23bが適用された構成では、異なる2チャネルの励起光に対して偏波合波が行われるため、偏波合成器23aで偏波合成された励起光と偏波合成器23bで偏波合成された励起光とではその偏波状態が異なってくる。この場合、ラマン増幅利得が励起光の偏波状態の影響を受けて変化する可能性がある。これに対し、この第4実施形態に係る励起光光源ユニットぅのように、偏波合波器23a、23bの後段にデポラライザ24a、24bが設置された構成によれば、ラマン増幅利得の偏波依存性の影響が効果的に低減される。
【0108】
図14は、この発明に係る励起光光源ユニットの第5実施形態の構成を示す図である。この第5実施形態に係る励起光光源ユニットLUは、励起光供給システムを構成する複数の励起光光源として、それぞれチャネル波長λ1〜λ4(λ1<λ2<λ3<λ4)の励起光を出力する4個の波長可変励起光光源11〜14を備えている。各励起光光源11〜14の構成については、図4に示された第2実施形態と同様である。
【0109】
また、この第5実施形態では、励起光光源11〜14のそれぞれから出力された励起光を合波する励起光合波器2として、アレイ導波路型回折格子(AWG:Arrayed Waveguide Grating)25が設けられている。
【0110】
4個の波長可変励起光光源11〜14のそれぞれから出力されたチャネル波長λ1〜λ4の励起光は、励起光合波器2であるAWG25によって合波され、該励起光合波器2から全体として所定の励起光スペクトルを有する励起光が出力される。そして、合波された励起光は、出力用光導波路31及び出力合波器32から構成された出力構造を介して、光伝送路Lへ出力される。
【0111】
図15は、図14に示された励起光光源ユニットLUから供給される励起光のパワースペクトルである。図15には、励起光のチャネル波長λ1〜λ4を全体的にシフトされた波長λ1'〜λ4'へ変化させる例が示されている。また、図15には、上記AWG25の透過波長特性Tも示されている。
【0112】
AWG25は、図15に示されたように、チャネル波長λに対して周期的な透過波長特性Tを有する。したがって、各励起光光源11〜14から供給される励起光のチャネル波長λ1〜λ4のチャネル間隔(波長間隔)、あるいはそれらチャネル波長をそれぞれ波長λ1'〜λ4'へ変化させたときのチャネル波長変化量がAWG25での透過波長特性Tの波長周期と一致していれば、励起光のチャネル波長を全体的に変化させた場合でも、各励起光光源11〜14からの励起光を好適に合波することができる。このような合波特性は、図15に示されたように、各励起光のチャネル波長を全体的にシフトし、ラマン増幅器における増幅波長帯域をシフトさせるような場合に特に有効である。
【0113】
図16は、この発明に係る励起光光源ユニットの第6実施形態の構成を示す図である。第6実施形態に係る励起光光源ユニットLUは、励起光供給システムを構成する複数の励起光光源として、それぞれチャネル波長λ1、λ2(λ1<λ2)の励起光を出力する2個の波長可変励起光光源11、12を備えている。各励起光光源11、12の構成については、図4に示された第2実施形態と同様である。
【0114】
また、この第6実施形態では、励起光光源11、12から出力された励起光を合波する励起光合波器2として、インターリーバ26が設けられている。
【0115】
2個の波長可変励起光光源11、12のそれぞれから出力されたチャネル波長λ1、λ2の励起光は、励起光合波器2であるインターリーバ26によって合波されて、該インターリーバ26から全体として所定の励起光スペクトルを有する励起光が出力される。そして、合波された励起光は、出力用光導波路31及び出力合波器32から構成された出力構造を介して、光伝送路Lへ出力される。
【0116】
図17は、図16に示された励起光光源ユニットLUから供給される励起光のパワースペクトルである。図17には、2チャネル励起光のチャネル波長λ1、λ2が全体的に波長λ1'、λ2'にシフトされた例が示されている。また、図17には、励起光光源11、12のそれぞれから出力される励起光に対するインターリーバ26の透過波長特性T1(実線)、T2(破線)が示されている。
【0117】
インターリーバ26は、図17に示されたように、チャネル波長λに対して周期的な透過波長特性T1、T2を有する。また、その透過波長特性T1、T2は、AWGに比べて波長周期が短い。したがって、励起光合波器2としてAWGが適用された場合よりも、さらに小さい励起光のチャネル間隔(波長間隔)あるいはチャネル波長のシフト量(変化量)に対応することが可能となる。
【0118】
図18は、この発明に係る励起光光源ユニットの第7実施形態の構成を示す図である。この第7実施形態に係る励起光光源ユニットLUは、励起光供給システムを構成する複数の励起光光源として、それぞれチャネル波長λ1〜λ8(λ1<λ2<λ3<λ4<λ5<λ6<λ7<λ8)の励起光を出力する8個の波長可変励起光光源11〜18を備えている。各励起光光源11〜18の構成については、図4に示された第2実施形態と同様である。
【0119】
また、この第7実施形態では、励起光光源11〜18のそれぞれから出力された励起光を合波する励起光合波器2として、2個のアレイ導波路型回折格子(AWG)25a、25bと、インターリーバ26とが設けられている。
【0120】
8個の波長可変励起光光源11〜18のうち、励起光光源11、13、15、17から出力された1チャネル波長おきのチャネル波長λ1、λ3、λ5、λ7の励起光は、AWG25aによって合波される。また、励起光光源12、14、16、18から出力されたチャネル波長λ2、λ4、λ6、λ8の励起光は、AWG25bによって合波される。
【0121】
さらに、AWG25aから出力されたチャネル波長λ1、λ3、λ5、λ7の励起光と、AWG25bから出力されたチャネル波長λ2、λ4、λ6、λ8の励起光は、インターリーバ26によって合波されて、該インターリーバ26から全体として所定の励起光スペクトルを有する励起光が出力される。そして、合波された励起光は、出力用光導波路31及び出力合波器32から構成された出力構造を介して、光伝送路Lへ出力される。
【0122】
図16に示されたように、励起光合波器2として単一のインターリーバが適用された場合、合波可能な励起光の数は2個に限られる。これに対して、図18に示されたように、前段のAWG25a、25bと後段のインターリーバ26とを組み合わせた構成では、より小さいチャネル間隔(波長間隔)あるいは波長変化量の励起光に対応可能なインターリーバによる合波特性を利用しつつ、かつ、任意チャネル数の励起光を合波することが可能となる。
【0123】
図19は、この発明に係る励起光光源ユニットの第8実施形態の構成を示す図である。この第8実施形態に係る励起光光源ユニットLUは、励起光供給システムを構成する複数の励起光光源として、それぞれチャネル波長λ1〜λ4(λ1<λ2<λ3<λ4)の励起光を出力する4個(N個)の波長可変励起光光源11〜14を備えている。各励起光光源11〜14の構成については、図4に示された第2実施形態と同様である。
【0124】
また、この第8実施形態では、励起光光源11〜14のそれぞれから出力された励起光を合波する励起光合波器2として、3個(N−1個)の3ポート光サーキュレータ27a、27b、27cが設けられている。これら光サーキュレータ27a、27b、27cは、4個(N個)の外部共振器型レーザである励起光光源11〜14のそれぞれから出力された励起光を順次合波するように3段(N−1段)に接続されている。
【0125】
すなわち、1段目の光サーキュレータ27cの第1ポートには励起光光源14からの光導波路141が接続され、第2ポートには励起光光源13からの光導波路131が接続され、第3ポートには光導波路430が接続されている。また、2段目の光サーキュレータ27bの第1ポートには光サーキュレータ27cからの光導波路430が接続され、第2ポートには励起光光源12からの光導波路121が接続され、第3ポートには光導波路420が接続されている。また、3段目の光サーキュレータ27aの第1ポートには光サーキュレータ27bからの光導波路420が接続され、第2ポートには励起光光源11からの光導波路111が接続され、第3ポートには出力用光導波路31が接続されている。
【0126】
励起光光源11の共振用グレーティング112と光サーキュレータ27aとの間には、チャネル波長λ2の励起光を反射する反射用グレーティング412、チャネル波長λ3の励起光を反射する反射用グレーティング413、及びチャネル波長λ4の励起光を反射する反射用グレーティング414が設置されている。また、励起光光源12の共振用グレーティング122と光サーキュレータ27bとの間には、チャネル波長λ3の励起光を反射する反射用グレーティング423、及びチャネル波長λ4の励起光を反射する反射用グレーティング424が設置されている。また、励起光光源13の共振用グレーティング132と光サーキュレータ27cとの間には、チャネル波長λ4の励起光を反射する反射用グレーティング434が設置されている。各反射用グレーティングは、対応するチャネル波長の光を略100%反射するブラッググレーティングであるのが好ましい。
【0127】
以上の構成において、励起光光源11から供給されたチャネル波長λ1の励起光は、光サーキュレータ27aを介して出力用光導波路31へ出力される。
【0128】
励起光光源12から供給されたチャネル波長λ2の励起光は、光サーキュレータ27b、光導波路420、及び光サーキュレータ27aを介して光導波路111へ出力される。そして、チャネル波長λ2の励起光は、反射用グレーティング412によって反射されて再び光サーキュレータ27aへ入力され、光サーキュレータ27aを介して出力用光導波路31へ出力される。
【0129】
励起光光源13から供給されたチャネル波長λ3の励起光は、光サーキュレータ27c、光導波路430、及び光サーキュレータ27bを介して光導波路121へ出力される。そして、チャネル波長λ3の励起光は、反射用グレーティング423によって反射されて再び光サーキュレータ27bへ入力され、光サーキュレータ27b、光導波路420、及び光サーキュレータ27aを介して光導波路111へ出力される。さらに、チャネル波長λ3の励起光は、反射用グレーティング413によって反射されて再び光サーキュレータ27aへ入力され、光サーキュレータ27aを介して出力用光導波路31へ出力される。
【0130】
また、励起光光源14から供給されたチャネル波長λ4の励起光は、光サーキュレータ27cを介して光導波路131へ出力される。そして、チャネル波長λ4の励起光は、反射用グレーティング434によって反射されて再び光サーキュレータ27cへ入力され、光サーキュレータ27c、光導波路430、及び光サーキュレータ27bを介して光導波路121へ出力される。さらに、チャネル波長λ4の励起光は、反射用グレーティング424によって反射されて再び光サーキュレータ27bへ入力され、光サーキュレータ27b、光導波路420、及び光サーキュレータ27aを介して光導波路111へ出力される。その後、チャネル波長λ4の励起光は、反射用グレーティング414によって反射されて再び光サーキュレータ27aへ入力され、光サーキュレータ27aを介して出力用光導波路31へ出力される。
【0131】
以上のように、4個の波長可変励起光光源11〜14のそれぞれから出力されたチャネル波長λ1〜λ4の励起光は、励起光合波器2である3個の3ポート光サーキュレータ27a、27b、27cによって合波されて、該励起光合波器2から全体として所定の励起光スペクトルを有する励起光が出力される。そして、合波された励起光は、出力用光導波路31及び出力合波器32から構成された出力構造を介して、光伝送路Lへ出力される。
【0132】
このように、N個の励起光光源に対して、励起光合波器2として(N−1)個の3ポート光サーキュレータが適用された構成によっても、各励起光光源からの励起光を良好に合波することができる。なお、反射用グレーティングとしては、励起光光源の共振用グレーティングと同様に、様々なグレーティングが適用可能である。
【0133】
ここで、各反射用グレーティングによって反射される光の波長は、対応する励起光光源が波長可変励起光光源である場合、その共振用グレーティングの反射波長と同期するように可変に制御されるのが好ましい。この第8実施形態では、励起光光源11〜14がすべて波長可変励起光光源であるので、すべての反射用グレーティングを上記のように可変に制御するチャネル波長調整システムが設置される。これにより、各励起光光源11〜14から供給された励起光を、出力用光導波路31へ効率良く導くことができる。
【0134】
具体的には、チャネル波長λ2の励起光を反射する反射用グレーティング412は、励起光光源12の共振用グレーティング122と同期して制御されることが好ましい。また、チャネル波長λ3の励起光を反射する反射用グレーティング413、423は、励起光光源13の共振用グレーティング132と同期して制御されることが好ましい。また、チャネル波長λ4の励起光を反射する反射用グレーティング414、424、434は、励起光光源14の共振用グレーティング142と同期して制御されることが好ましい。
【0135】
図20(a)は、この発明に係る励起光光源ユニットの第9実施形態の構成を示す図である。この第9実施形態に係る励起光光源ユニットLUは、励起光供給システムを構成する複数の励起光光源として、それぞれチャネル波長λ1〜λ4(λ1<λ2<λ3<λ4)の励起光を出力する4個(N個)の波長可変励起光光源11〜14を備えている。各励起光光源11〜14の構成については、図4に示された第2実施形態と同様である。
【0136】
また、励起光光源11〜14のそれぞれから出力された励起光を合波する励起光合波器2として、1個の5ポート(N+1ポート)光サーキュレータ27が設けられている。この光サーキュレータ27は、4個(N個)の外部共振器型レーザである励起光光源11〜14のそれぞれから出力された励起光を合波するように接続されている。
【0137】
すなわち、光サーキュレータ27の第1ポートには励起光光源14からの光導波路141が接続され、第2ポートには励起光光源13からの光導波路131が接続され、第3ポートには励起光光源12からの光導波路121が接続され、第4ポートには励起光光源11からの光導波路111が接続され、第5ポートには出力用光導波路31が接続されている。
【0138】
励起光光源11の共振用グレーティング112と光サーキュレータ27との間には、チャネル波長λ2の励起光を反射する反射用グレーティング412、チャネル波長λ3の励起光を反射する反射用グレーティング413、及びチャネル波長λ4の励起光を反射する反射用グレーティング414が設置されている。また、励起光光源12の共振用グレーティング122と光サーキュレータ27との間には、チャネル波長λ3の励起光を反射する反射用グレーティング423、及びチャネル波長λ4の励起光を反射する反射用グレーティング424が設置されている。また、励起光光源13の共振用グレーティング132と光サーキュレータ27との間には、チャネル波長λ4の励起光を反射する反射用グレーティング434が設置されている。
【0139】
以上の構成において、励起光光源11から供給されたチャネル波長λ1の励起光は、光サーキュレータ27を介して出力用光導波路31へ出力される。
【0140】
励起光光源12から供給されたチャネル波長λ2の励起光は、光サーキュレータ27を介して光導波路111へ出力される。そして、チャネル波長λ2の励起光は、反射用グレーティング412によって反射されて再び光サーキュレータ27へ入力され、光サーキュレータ27を介して出力用光導波路31へ出力される。
【0141】
励起光光源13から供給されたチャネル波長λ3の励起光は、光サーキュレータ27を介して光導波路121へ出力される。そして、チャネル波長λ3の励起光は、反射用グレーティング423によって反射されて再び光サーキュレータ27へ入力され、光サーキュレータ27を介して光導波路111へ出力される。さらに、チャネル波長λ3の励起光は、反射用グレーティング413によって反射されて再び光サーキュレータ27へ入力され、光サーキュレータ27を介して出力用光導波路31へ出力される。
【0142】
励起光光源14から供給されたチャネル波長λ4の励起光は、光サーキュレータ27を介して光導波路131へ出力される。そして、チャネル波長λ4の励起光は、反射用グレーティング434によって反射されて再び光サーキュレータ27へ入力され、光サーキュレータ27を介して光導波路121へ出力される。さらに、チャネル波長λ4の励起光は、反射用グレーティング424によって反射されて再び光サーキュレータ27へ入力され、光サーキュレータ27を介して光導波路111へ出力される。その後、チャネル波長λ4の励起光は、反射用グレーティング414によって反射されて再び光サーキュレータ27へ入力され、光サーキュレータ27を介して出力用光導波路31へ出力される。
【0143】
以上のように、4個の波長可変励起光光源11〜14のそれぞれから出力されたチャネル波長λ1〜λ4の励起光は、励起光合波器2である1個の5ポート光サーキュレータ27によって合波されて、該5ポート光サーキュレータ27から全体として所定の励起光スペクトルを有する励起光が出力される。そして、合波された励起光は、出力用光導波路31及び出力合波器32から構成された出力構造を介して、光伝送路Lへ出力される。
【0144】
このように、N個の励起光光源に対して、励起光合波器2として1個の(N+1)ポート光サーキュレータが適用された構成によっても、(N−1)個の3ポート光サーキュレータが適用された構成と同様に、各励起光光源からの励起光を好適に合波することができる。
【0145】
なお、光サーキュレータが適用された励起光合波器2の構成としては、図19及び図20(a)に示された実施形態に限らず、様々な構成が可能である。例えば、図20(b)には、図20(a)に示された(N+1)ポート光サーキュレータ27及び出力構造(出力用導波路31及び出力用合波器32を含む)に代え(N+2)ポート光サーキュレータ27aが示されている。この(N+2)ポート光サーキュレータ27aは、図20(a)の(N+1)ポート光サーキュレータ27の励起光合波機能を実現するとともに、出力構造を構成する出力用導波路31及び出力合波器32としても機能し得る。
【0146】
図21は、この発明に係る励起光光源ユニットの第10実施形態の構成を示す図である。この第10実施形態に係る励起光光源ユニットLUは、図19に示された第8実施形態とほぼ同様の構造を有するが、共振用グレーティングと反射用グレーティングとの間に光アイソレータが設置されている点で異なる。
【0147】
すなわち、励起光光源11と光サーキュレータ27aを接続する光導波路111上には、共振用グレーティング112と、反射用グレーティング412、413、414との間に、光アイソレータ415が設置されている。また、励起光光源12と光サーキュレータ27bとを接続する光導波路121上には、共振用グレーティング122と反射用グレーティング423、424との間に、光アイソレータ425が設置されている。また、励起光光源13と光サーキュレータ27cとを接続する光導波路131上には、共振用グレーティング132と反射用グレーティング434との間に、光アイソレータ435が設置されている。また、励起光光源14と光サーキュレータ27cとを接続する光導波路141上には、共振用グレーティング142と光サーキュレータ27cとの間に、光アイソレータ445が設置されている。
【0148】
図22は、この発明に係る励起光光源ユニットの第11実施形態の構成を示す図である。この第11実施形態に係る励起光光源ユニットLUは、図20(a)及び図20(b)に示された第9実施形態とほぼ同様の構造を有するが、上述の第10実施形態と同様に、共振用グレーティングと反射用グレーティングとの間に光アイソレータが設置されている点で異なる。
【0149】
すなわち、励起光光源11と光サーキュレータ27とを接続する光導波路111上には、共振用グレーティング112と、反射用グレーティング412、413、414との間に、光アイソレータ415が設置されている。また、励起光光源12と光サーキュレータ27とを接続する光導波路121上には、共振用グレーティング122と反射用グレーティング423、424との間に、光アイソレータ425が設置されている。また、励起光光源13と光サーキュレータ27とを接続する光導波路131上には、共振用グレーティング132と反射用グレーティング434との間に、光アイソレータ435が設置されている。また、励起光光源14と光サーキュレータ27とを接続する光導波路141上には、共振用グレーティング142と光サーキュレータ27との間に、光アイソレータ445が設置されている。
【0150】
このように、外部共振器型レーザである励起光光源11〜14の共振用グレーティングと、対応する光導波路111〜141上に設けられた反射用グレーティングとの間に、それぞれ光アイソレータ415〜445が設置されることにより、反射用グレーティングの影響によって外部共振器型レーザで複数波長の光が外部共振することが防止される。
【0151】
上述の第1〜第11実施形態に係る励起光光源ユニットLUは、複数の励起光光源のうちいずれかの出力が低下した場合でも出力信号光のパワースペクトル(ラマン増幅器の利得スペクトル)の平坦性を維持するため、残りの励起光光源のチャネル波長を変更することで励起光スペクトルを調整する構成を備える。この構成によって励起光スペクトルの制御性は向上し、結果として、ラマン増幅器の増幅波長帯域における出力信号光のパワースペクトル(利得スペクトル)の調整が可能になる。しかしながら、上述の構成では利得スペクトルのある程度の劣化は避けられない。そこで、この発明に係る励起光光源ユニットは、定常的に複数チャネルの励起光を出力する主励起光供給システムとともに、該主励起光供給ユニットに含まれる励起光光源のうちいずれかの出力低下に起因した励起光スペクトルの劣化を防止するための予備励起光供給システムとを備えてもよい。
【0152】
図23は、2重構造の励起光供給システムを有する励起光光源ユニットの構成を示す図である。この励起光光源ユニットLUは、図1に示された第1実施形態と同様に、定常状態で複数チャネルの励起光を出力する主励起光供給システム1aと、該主励起光供給システム1aからの複数チャネルの励起光を合波する励起光合波器2と、該励起光合波器2から出力された合波光を光伝送路Lへ出力するための出力構造3を備える。なお、出力構造3は、出力用光導波路31及び出力合波器32を含む。当該励起光光源ユニットLUは、主励起光供給システム1aに含まれる励起光光源11a〜13aの出力チャネル波長λ1〜λ3と同じチャネル波長の励起光を出力するための予備励起光供給システム1bと、上記主励起光供給システム1aからの出力と上記予備励起光供給システム1bからの出力とをチャネルごとに切り替える光スイッチ4をさらに備える。上記予備励起光供給システム1bは、主励起光供給システム1aに含まれる励起光光源11a〜13aそれぞれに対応するチャネルの励起光を出力する予備励起光光源11b〜13bを含む。また、上記光スイッチ4は、チャネルごとに主励起光供給システム1aの出力と予備励起光供給システム1bの出力とを切替えるべく用意された複数のチャネルスイッチ41〜43を含む。
【0153】
当該励起光光源ユニットLUにおいて、定常状態では主励起光供給システム1aに含まれる各励起光光源11a〜13aからチャネル波長λ1〜λ3の励起光がそれぞれ出力される。励起光光源11a〜13aからの励起光は、光スイッチ4を介して励起光合波器2に出力され、該励起光合波器2において合波される。そして、励起光合波器2から出力された合波光は、出力構造3に含まれる出力用光導波路31及び出力合波器32を介して光伝送路Lへ導かれる。
【0154】
一方、主励起光供給システム1aに含まれる励起光光源11a〜13aのうち例えば励起光光源12aが故障した場合、光スイッチ4は、励起光合波器2へ導かれる励起光を切り替えるため、対応するチャネルスイッチ42の入力切替えを行う。このように、励起光光源12aが故障した非常時の励起光光源ユニットLUにおいて、光スイッチ4は、励起光光源11aからのチャネル波長λ1の励起光、予備励起光光源12bからのチャネル波長λ2の励起光、及び励起光光源13aからのチャネル波長λ3の励起光を励起光合波器2へ導くよう、各チャネルスイッチ41〜43を制御する。
【0155】
上述の励起光光源ユニットLUは、定常状態でチャネル波長λ1〜λ3の励起光を出力する励起光光源11a〜13aを含む主励起光供給システム1aと、これら励起光光源11a〜13aそれぞれに対応して用意された予備励起光光源11b〜13bを含む予備励起光供給システム1bとを備え、主励起光供給システムの動作状態に応じてチャネルごとに、これら主励起光供給システム1a及び予備励起光供給システム1b間で出力切替を行う構造を備える。しかしながら、このように同数の励起光光源をそれぞれ含む励起光供給システムを用意したのでは、製造コストが倍増してしまう。そこで、予備励起光供給システム1bに含まれる予備励起光光源の数量を低減可能な実施形態を以下に説明する。
【0156】
図24は、この発明に係る励起光光源ユニットの第12実施形態の構成を示す図である。この第12実施形態は、定常状態で複数チャネルの励起光を光伝送路Lへ供給する構造として、図23に示された励起光光源ユニットと同様に主励起複数チャネルの励起光を出力する主励起光供給システム1aと、該主励起光供給システム1aからの複数チャネルの励起光を合波する励起光合波器2と、該励起光合波器2から出力された合波光を光伝送路Lへ出力するための出力構造3を備える。なお、主励起光供給システム1aは、チャネル波長λ1〜λ3の励起光を出力する励起光光源11〜13を含む。また、出力構造3は、出力用光導波路31及び出力合波器32を含む。
【0157】
特に、この第12実施形態に係る励起光光源ユニットLUは、主励起光供給システム1aに含まれる励起光光源11〜13の出力チャネル波長λ1〜λ3と略同じチャネル波長の励起光を出力するための予備励起光供給システム1bと、上記主励起光供給システム1aからの出力と上記予備励起光供給システム1bからの出力とをチャネルごとに切り替える光スイッチ4と、予備励起光供給システム1bと光スイッチ4との間の光路上に配置された1×M(≧2)ポート出力分岐器45をさらに備えたことを特徴としている。上記予備励起光供給システム1bは、主励起光供給システム1aに含まれる励起光光源11〜13それぞれに対応するチャネル波長の励起光を出力するため、予備励起光光源として波長可変励起光光源を含む。この励起光供給システム1bに含まれる波長可変励起光光源の構成は、図8に示されたように、半導体レーザ110と共振用グレーティングの反射波長を調整するためのチャネル波長調整システム112を備える。1×M(≧2)ポート出力分岐器45は、予備励起光供給システム1bからの励起光を入力し、該入力された励起光のチャネル波長に対応する出力ポートから出力する。
【0158】
なお、上記チャネル波長調整システム112は、共振用グレーティングに対して所定の応力を加えることによりグレーティング周期を変化させる応力印加手段を含んでもよい。上記チャネル波長調整システム112は、共振用グレーティングを加熱することにより前記コア領域内の屈折率を変化させる加熱手段を含んでもよい。また、共振用グレーティングが、電気光学効果を有する材質からなる光導波路内に形成される場合、チャネル波長調整システム112は、共振用グレーティングが形成された光導波路に対して所定強度の電場を印加することにより該光導波路の屈折率を変化させる電場印加手段を含んでもよい。
【0159】
この第12実施形態に係る励起光光源ユニットLUにおいて、定常状態では主励起光供給システム1aに含まれる各励起光光源11〜13からチャネル波長λ1〜λ3の励起光がそれぞれ出力される。励起光光源11〜13からの励起光は、光スイッチ4を介して励起光合波器2に出力され、該励起光合波器2において合波される。そして、励起光合波器2から出力された合波光は、出力構造3に含まれる出力用光導波路31及び出力合波器32を介して光伝送路Lへ導かれる。
【0160】
一方、主励起光供給システム1aに含まれる励起光光源11〜13のうち例えば励起光光源12が故障した場合、予備励起光供給システム1bは故障した励起光光源12から出力されるべきチャネル波長と略同じチャネル波長の励起光を1×M(≧2)ポート出力分岐器45へ出力する。1×M(≧2)ポート出力分岐器45へ入力された励起光は、そのチャネル波長に対応した出力ポートから出力され、対応するチャネルスイッチ42へ導かれる。チャネルスイッチ42は、1×M(≧2)ポート出力分岐器45から出力された励起光を励起光合波器2へ出力すべく入力切替えを行う。このように、励起光光源12が故障した非常時の励起光光源ユニットLUにおいて、光スイッチ4は、励起光光源11からのチャネル波長λ1の励起光、予備励起光供給システム1b(波長可変励起光光源)からのチャネル波長λ2の励起光、及び励起光光源13からのチャネル波長λ3の励起光を励起光合波器2へ導くよう、各チャネルスイッチ41〜43を制御する。なお、各チャネルスイッチ41〜43それぞれは、主励起光供給システム1a及び予備励起光供給システム1b間の励起光切替による瞬断を回避するため、光干渉効果を利用した光スイッチであるのが好ましい。
【0161】
図25は、この発明に係る励起光光源ユニットの第13実施形態の構成を示す図である。図25(a)の第13実施形態でも、定常状態で複数チャネルの励起光を光伝送路Lへ供給する構造として、図23に示された励起光光源ユニットと同様に主励起複数チャネルの励起光を出力する主励起光供給システム1aと、該主励起光供給システム1aからの複数チャネルの励起光を合波する励起光合波器2と、該励起光合波器2から出力された合波光を光伝送路Lへ出力するための出力構造3を備える。なお、励起光供給システム1aは、チャネル波長λ1〜λ3の励起光を出力する励起光光源11〜13を含む。また、出力構造3は、出力用光導波路31及び出力合波器32を含む。
【0162】
特に、この第13実施形態に係る励起光光源ユニットLUは、図25(a)に示されたように、主励起光供給システム1aに含まれる励起光光源11〜13の出力チャネル波長λ1〜λ3と略同じチャネル波長の励起光を出力するための予備励起光供給システム1bと、上記主励起光供給システム1aからの出力と上記予備励起光供給システム1bからの出力とをチャネルごとに切り替える光スイッチ4、予備励起光供給システム1bと光スイッチとの間の光路上に配置された光スイッチ400とをさらに備えたことを特徴としている。上記予備励起光供給システム1bは、主励起光供給システム1aに含まれる励起光光源11〜13それぞれに対応するチャネル波長の励起光を出力するため、予備励起光光源として波長可変励起光光源を含む。この予備励起光供給システム1bに含まれる波長可変励起光光源の構成は、図8に示されたように、半導体レーザ110と共振用グレーティングの反射波長を調整するためのチャネル波長調整システム112を備える。光スイッチ400は、予備励起光供給システム1bからの励起光をそのチャネル波長に対応するチャネルスイッチ41〜43のいずれかへ導く。
【0163】
なお、光スイッチ4(チャネルスイッチ41〜43)及び光スイッチ400は、主励起光供給システム1a及び予備励起光供給システム1b間の励起光切替による瞬断を回避するため、光干渉効果を利用した光スイッチであるのが好ましい。例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)などを用いた機械的スイッチの切替時間は通常ミリセカンドオーダーであるが、一方で最近の光伝送信号のビットレートは10Gbps程度にまで向上しており、機械的スイッチが適用されると、1000万程度のビットが消失することになる。そこで、この発明に係る励起光光源スイッチLUに適用される光スイッチとしては、例えば図25(b)に示されたように、光スイッチ4、400は、導波路410上にヒーター420が配置された熱光学スイッチや電気光学式のMach-Zehnder型光スイッチが好ましい。
【0164】
この第13実施形態に係る励起光光源ユニットLUにおいて、定常状態では主励起光供給システム1aに含まれる各励起光光源11〜13からチャネル波長λ1〜λ3の励起光がそれぞれ出力される。励起光光源11〜13からの励起光は、光スイッチ4を介して励起光合波器2に出力され、該励起光合波器2において合波される。そして、励起光合波器2から出力された合波光は、出力構造3に含まれる出力用光導波路31及び出力合波器32を介して光伝送路Lへ導かれる。
【0165】
一方、主励起光供給システム1aに含まれる励起光光源11〜13のうち例えば励起光光源12が故障した場合、予備励起光供給システム1bは故障した励起光光源12から出力されるべきチャネル波長と略同じチャネル波長の励起光を出力する。光スイッチ400は、予備励起光供給システム1bから出力された励起光のチャネル波長に対応するチャネルスイッチ42に該励起光を導くべく出力切替を行うとともに、光スイッチ4は、光スイッチ400から励起光合波器2へ導かれる励起光を切り替えるため、対応するチャネルスイッチ42の入力切替えを行う。このように、励起光光源12が故障した非常時の励起光光源ユニットLUにおいて、光スイッチ4は、励起光光源11からのチャネル波長λ1の励起光、予備励起光供給システム1b(波長可変励起光光源)1bからのチャネル波長λ2の励起光、及び励起光光源13からのチャネル波長λ3の励起光を励起光合波器2へ導くよう、各チャネルスイッチ41〜43を制御する。
【0166】
図26は、この発明に係る励起光光源ユニットの第14実施形態の構成を示す図である。この第14実施形態では、より広い増幅波長帯域を確保するため、主励起光供給システム1aが励起光光源11a〜15aの5つの光源を有する一方、予備励起光供給システム1bは、主励起光供給システム1aでカバーされた増幅波長帯域におけるラマン増幅を可能にするため、波長可変励起光光源ユニット11b、12b(予備励起光光源)を備える。また、この第14実施形態に係る励起光光源ユニットLUは、励起光光源11a〜15aを含む主励起光供給システム1aの出力と予備励起光光源11b、12bを含む予備励起光供給システムの出力との切替を可能にするため、該主励起光供給システム1aと励起光合波器2との間の光路上に配置された光スイッチ4と、該光スイッチ4と予備励起光供給システム1bとの間の光路上に配置された光スイッチ400を備え、これら光スイッチ4の各チャネルスイッチ41〜45と光スイッチ400に含まれる各チャネルスイッチ401、402の各出力ポートとの間の光路上には、それぞれ反射波長λ1〜λ5を有する共振用グレーティング451〜455が配置されている。
【0167】
なお、光スイッチ4は、励起光の各チャネル波長ごとに入力切替を可能にするため、複数のチャネルスイッチ41〜45を備える。また、光スイッチ400は、予備励起光供給システム1bからの励起光を対応するチャネルスイッチ41〜45のいずれかに導くため出力切替するチャネルスイッチ401、402を備える。また、出力構造3は、出力用光導波路31及び出力合波器32を含む。また、予備励起光供給システム1bに含まれる波長可変励起光光源の構成は、図8に示されたように、半導体レーザ110と共振用グレーティングの反射波長を調整するためのチャネル波長調整システム112を備える。光スイッチ4、400は、主励起光供給システム1a及び予備励起光供給システム1b間の励起光切替による瞬断を回避するため、光干渉効果を利用した光スイッチであるのが好ましい。
【0168】
この第14実施形態に係る励起光光源ユニットLUにおいて、定常状態では主励起光供給システム1aに含まれる各励起光光源11a〜15aからチャネル波長λ1〜λ5の励起光がそれぞれ出力される。励起光光源11a〜15aからの励起光は、光スイッチ4を介して励起光合波器2に出力され、該励起光合波器2において合波される。そして、励起光合波器2から出力された合波光は、出力構造3に含まれる出力用光導波路31及び出力合波器32を介して光伝送路Lへ導かれる。
【0169】
一方、主励起光供給システム1aに含まれる励起光光源11a〜15aのうち例えば励起光光源12aが故障した場合、予備励起光供給システム1bの励起光光源11bは故障した励起光光源12aから出力されるべきチャネル波長と略同じチャネル波長の励起光を出力する。このとき、チャネルスイッチ401は、予備励起光供給システム1bから出力された励起光のチャネル波長に対応するチャネルスイッチ42に該励起光を導くべく出力切替を行うとともに、光スイッチ4は、光スイッチ401から励起光合波器2へ導かれる励起光を切り替えるため、対応するチャネルスイッチ42の入力切替えを行う。このように、励起光光源12aが故障した非常時の励起光光源ユニットLUにおいて、光スイッチ4は、励起光光源11bからのチャネル波長λ1の励起光、予備励起光供給システム1bに含まれる波長可変励起光光源11bからのチャネル波長λ2の励起光、及び励起光光源13a〜15aそれぞれからのチャネル波長λ3〜λ5の励起光を励起光合波器2へ導くよう、各チャネルスイッチ41〜45を制御する。
【0170】
図27は、この発明に係る励起光光源ユニットの第15実施形態の構成を示す図である。この第15実施形態では、励起光合波器2が波長合波器21と、主励起光供給システム1aに含まれる励起光光源11、12から出力される、互いに偏波状態の異なるチャネル波長λ1の励起光を偏波合成する偏波合波器23、主励起光供給システム1aに含まれる励起光光源13からチャネル波長λ2の励起光を無偏波化するデポラライザ24を備える。なお、予備励起光供給システム1bの出力と主励起光供給システム1aの出力との切替を行う構成は、上述の第13実施形態と同様である。また、主励起光供給システム1aに含まれる励起光光源11、12と偏波合波器23との間は、該励起光光源11、12から出力された励起光の偏波状態を維持するため、偏波保持ファイバを介して接続されるのが好ましい。同様に、予備励起光供給システム1bと偏波合波器23との間も、該予備励起光供給システム1bから出力された励起光の偏波状態を維持するため、偏波保持ファイバを介して接続されるのが好ましい。なお、光スイッチ400と光スイッチ4の各チャネルスイッチ41〜43との間の光路上には、信頼性向上のため、共振用グレーティングが配置されるのが好ましい。
【0171】
次に、上述の励起光光源ユニットが適用されたラマン増幅器(この発明に係るラマン増幅器)について説明する。
【0172】
図28は、この発明に係るラマン増幅器の第1実施形態の構成を示す図である。この第1実施形態に係るラマン増幅器RAは、ラマン増幅用光ファイバ50と、励起光光源ユニットLUとを備える。ここで、励起光光源ユニットLUは、図1に示された励起光光源ユニット(第1実施形態)であり、この励起光光源ユニットは、4個の波長可変励起光光源11〜14と、励起光合波器2と、出力構造3(出力用光導波路31及び出力合波器32を含む)とを備える。
【0173】
励起光は、励起光光源ユニットLUがラマン増幅用光ファイバ50へ供給する。この励起光光源ユニットLUは、ラマン増幅用光ファイバ50に対して信号光伝搬方向の後方に設置された出力合波器32を介して、ラマン増幅器RA内の光伝送路Lに接続されている。
【0174】
出力合波器32は、励起光光源ユニットLUから供給される励起光を前方のラマン増幅用光ファイバ50に向けて信号光伝搬方向と逆方向に送出する。また、出力合波器32は、ラマン増幅用光ファイバ50から到達した信号光を後方に向けて順方向に通過させる。これによって、この第1実施形態に係るラマン増幅器RAは、後方励起(逆方向励起)の光増幅器として機能する。
【0175】
また、励起光光源ユニットLUの後方にある光伝送路L上の所定位置には、光分岐器51が設置されている。この光分岐器51は、ラマン増幅用光ファイバ50において増幅され、光伝送路Lを順方向に伝搬する出力信号光の一部を、出力信号光測定器52(出力パワー測定システムに含まれる)へ一定の割合で分岐する。出力信号光測定器52は、光スペクトルアナライザやオプティカルパフォーマンスモニタなどから構成され、光分岐器51からの出力信号光について、出力信号光スペクトルなどの出力信号光の状態を測定する。
【0176】
出力信号光測定器52による出力信号光の測定結果は、制御部60へ送られる。制御部60は、出力信号光測定器52の測定結果に基づいて、励起光光源ユニットLUに含まれる複数の励起光光源11〜14のそれぞれから出力される励起光の各チャネルパワーあるいはチャネル波長λ1〜λ4を制御する。
【0177】
このように、波長可変励起光光源を含む上述の励起光光源ユニットLU(この発明に係る励起光光源ユニット)がラマン増幅器RAに適用されることにより、増幅波長帯域内における出力信号光スペクトルが十分に調整され得る。したがって、励起光光源11〜14のいずれかのパワーダウン等に起因して出力信号光スペクトルが大きく変化した場合も含めて、様々な変化に対して十分に対応可能なように、ラマン増幅利得の制御性に優れたラマン増幅器RAが実現される。
【0178】
また、出力信号光の測定結果に基づいて励起光を制御することによって、励起光光源ユニットLUから供給される励起光全体のパワースペクトル、及びラマン増幅器RAから出力される信号光のパワースペクトルの両方が、信号光の状態に応じて良好に制御される。
【0179】
この場合の具体的な励起光の制御方法としては、制御部60は、出力信号光スペクトルが略平坦となるように、励起光の各チャネルパワーあるいはチャネル波長を制御するのが好ましい。これにより、光伝送路Lを伝送される信号光の状態を好適に保持することができる。
【0180】
また、制御部60は、出力信号光スペクトルにおいて信号光パワーが略最小となっている周波数から13THz〜15THz高い周波数(波長でいえば、約100nm〜120nm短い波長に相当)に近付くように、励起光のチャネル波長を制御するのが好ましい。これにより、信号光パワーが小さくなっている波長帯域における増幅利得を高くして、出力信号光スペクトルを効率的に平坦化することができる。
【0181】
図29は、この発明に係るラマン増幅器の第2実施形態の構成を示す図である。この第2実施形態に係るラマン増幅器RAは、ラマン増幅用光ファイバ50と、励起光光源ユニットLUとを備える。励起光光源ユニットLUは、ラマン増幅用光ファイバ50に対して信号光伝送方向の後方に設置された出力合波器32を介して、ラマン増幅器RA内の光伝送路Lに接続されている。
【0182】
出力合波器32は、励起光光源ユニットLUから供給される励起光を前方のラマン増幅用光ファイバ50に向けて信号光伝搬方向と逆方向に送出する。また、出力合波器32は、ラマン増幅用光ファイバ50から到達した信号光を後方に向けて順方向に通過させる。これによって、当該ラマン増幅器RAは、後方励起の光増幅器として機能する。
【0183】
また、励起光光源ユニットLUの後方にある光伝送路L上の所定位置には、光分岐器51が設置されている。この光分岐器51は、ラマン増幅用光ファイバ50において光増幅されて光伝送路Lを順方向に伝送されている出力信号光の一部を、信号光分波器53へ一定の割合で分岐し、分岐された出力信号光は、信号光分波器53によってチャネル波長ごとに分波される。そして、信号光分波器53で分波された各チャネルの出力信号光成分は、それぞれ出力信号光測定器54a〜54dへ入力され、これらの出力信号光測定器54a〜54dによって、出力信号光スペクトルなどの出力信号光の状態が測定される。なお、出力パワー測定システムには、信号光分波器53及び出力信号光測定器54a〜54dが含まれる。
【0184】
出力信号光測定器54a〜54dによる出力信号光の測定結果は、制御部60へ送られる。制御部60は、出力信号光測定器54a〜54dの測定結果に基づいて、励起光光源ユニットLUに含まれる複数の励起光光源11〜14のそれぞれから出力される励起光のチャネルパワーあるいはチャネル波長λ1〜λ4を制御する。
【0185】
このような構成によっても、図28に示された構成(第1実施形態)と同様に、励起光光源ユニットLUから供給される励起光全体のパワースペクトル、及びラマン増幅器RAから出力される信号光のパワースペクトルの両方が、信号光の状態に応じて良好に制御される。
【0186】
図30は、この発明に係るラマン増幅器の第3実施形態の構成を示す図である。この第3実施形態に係るラマン増幅器RAは、ラマン増幅用光ファイバ50と、励起光光源ユニットLUとを備える。励起光光源ユニットLUは、ラマン増幅用光ファイバ50に対して信号光伝送方向の後方に設置された出力合波器32を介して、ラマン増幅器RA内の光伝送路Lに接続されている。
【0187】
出力合波器32は、励起光光源ユニットLUから供給される励起光を前方のラマン増幅用光ファイバ50に向けて信号光伝搬方向と逆方向に送出する。また、出力合波器32は、ラマン増幅用光ファイバ50から到達した信号光を後方に向けて順方向に通過させる。これによって、当該ラマン増幅器RAは、後方励起の光増幅器として機能する。
【0188】
また、ラマン増幅用光ファイバ50の前方にある光伝送路L上の所定位置には、光分岐器55が設置されている。この光分岐器55は、ラマン増幅用光ファイバ50において光増幅される信号光として光伝送路Lを順方向に伝送されている入力信号光の一部を、入力信号光測定器56へ一定の割合で分岐する。入力信号光測定器56(入力パワー測定システムに含まれる)は、光スペクトルアナライザやオプティカルパフォーマンスモニタなどから構成され、光分岐器55からの入力信号光について、入力信号光スペクトルなどの入力信号光の状態を測定する。
【0189】
入力信号光測定器56の測定結果は、制御部60へ送られる。制御部60は、入力信号光測定器56の測定結果に基づいて、励起光光源ユニットLUに含まれる複数の励起光光源11〜14のそれぞれから出力される励起光のチャネルパワーあるいはチャネル波長λ1〜λ4を制御する。
【0190】
このように、入力信号光の測定結果に基づいて励起光を制御することによっても、励起光光源ユニットLUから供給される励起光全体のパワースペクトル、及びラマン増幅器RAから出力される信号光のパワースペクトルの両方が、信号光の状態に応じて良好に制御される。
【0191】
図31は、この発明に係るラマン増幅器の第4実施形態の構成を示す図である。この第4実施形態に係るラマン増幅器RAは、ラマン増幅用光ファイバ50と、励起光光源ユニットLUとを備える。励起光光源ユニットLUは、ラマン増幅用光ファイバ50に対して信号光伝送方向の後方に設置された出力合波器32を介して、ラマン増幅器RA内の光伝送路Lに接続されている。
【0192】
出力合波器32は、励起光光源ユニットLUから供給される励起光を前方のラマン増幅用光ファイバ50に向けて信号光伝搬方向と逆方向に送出する。また、出力合波器32は、ラマン増幅用光ファイバ50から到達した信号光を後方に向けて順方向に通過させる。これによって、当該ラマン増幅器RAは、後方励起の光増幅器として機能する。
【0193】
また、この第4実施形態に係るラマン増幅器RAには、外部からの指示信号を入力する指示信号入力部57(指示信号入力システムに含まれる)が設置されている。指示信号入力部57から入力された指示信号は、制御部60へ送られる。制御部60は、この指示信号に基づいて、励起光光源ユニットLUに含まれる複数の励起光光源11〜14のそれぞれから出力される励起光のチャネルパワーあるいはチャネル波長λ1〜λ4を制御する。
【0194】
このように、外部からの指示信号に基づいて励起光を制御することによっても、励起光光源ユニットLUから供給される励起光全体のパワースペクトル、及びラマン増幅器RAから出力される信号光のパワースペクトルの両方が、信号光の状態に応じて良好に制御される。
【0195】
なお、図28〜図31に示されたラマン増幅器は、いずれも、励起光光源ユニットLUから供給される励起光が出力合波器32を介して信号光伝搬方向と逆方向に光伝送路Lに伝搬する後方励起の構成となっている。これに対して、励起光が出力合波器を介して順方向に光伝送路Lに合波される前方励起(順方向励起)の構成においても、図28〜図31と同様の光増幅器の構成が適用可能である。
【0196】
また、ラマン増幅器は、後述するように分布定数型または集中定数型の形態によって用いられるが、上述の各構成は、いずれの形態に対しても適用することができる。
【0197】
次に、上述のようなラマン増幅器が適用された光伝送システム(この発明に係る光伝送システム)について説明する。
【0198】
図32は、この発明に係る光伝送システムの第1実施形態の構成を示す図である。この第1実施形態に係る光伝送システムは、所定の信号光波長帯域内における複数チャネルの信号光を送信する送信局(送信器)Tと、送信局Tからの信号光が伝搬する光伝送路である光ファイバ伝送路Lと、光ファイバ伝送路Lを伝搬した信号光を受信する受信局(受信器)Rとを備える。
【0199】
光ファイバ伝送路L上の所定位置には、合波器35が設けられている。そして、この合波器35を介して、上述の励起光光源ユニットLU(この発明に係る励起光光源ユニット)が光ファイバ伝送路Lに光学的に接続されている。合波器35は、励起光光源ユニットLUから供給される励起光を前方に向けて逆方向に送出する。この励起光光源ユニットLUは、光ファイバ伝送路Lを伝送される信号光を光増幅するラマン増幅器RAを構成するための励起光供給手段である。
【0200】
なお、合波器35は、励起光光源ユニットLUが出力合波器32を備えている場合、該出力合波器32が合波器35として機能する。また、光ファイバ伝送路L側に別に設けられた合波器35に対して励起光光源ユニットLUを接続する構成であってもよい。
【0201】
この第1実施形態に係る光伝送システムは、励起光光源ユニットLUを含むラマン増幅器RAが、分布定数型の光増幅器として機能している光伝送システムである。このような分布定数型のラマン増幅器RAにおいては、図32に示されたように、光ファイバ伝送路Lの一部を構成している光ファイバが、ラマン増幅用光ファイバ50として利用される。
【0202】
このように、上述の励起光光源ユニットLUが適用された分布定数型のラマン増幅器RAが、光ファイバ伝送路L上の所定位置に設置されることにより、信号光の伝送品質の劣化が抑制されて、送信局Tから受信局Rへ確実に信号光を伝送可能な光伝送システムを実現することができる。
【0203】
図33は、この発明に係る光伝送システムの第2実施形態の構成を示す図である。この第2実施形態に係る光伝送システムは、所定の信号光波長帯域内における複数チャネルの信号光を送信する送信局(送信器)Tと、送信局Tからの信号光が伝送される光伝送路である光ファイバ伝送路Lと、光ファイバ伝送路Lを伝送された信号光を受信する受信局(受信器)Rとを備える。また、送信局Tと受信局Rとの間の所定位置には、光ファイバ伝送路Lを伝搬する信号光を中継する中継局Sが設けられている。
【0204】
中継局S内にある光ファイバ伝送路L上の所定位置には、合波器35が設けられている。そして、この合波器35を介して、上述の励起光光源ユニットLU(この発明に係る励起光光源ユニット)が光ファイバ伝送路Lに接続されている。合波器35は、励起光光源ユニットLUから供給される励起光を前方に向けて信号光伝搬方向と逆方向に送出する。この励起光光源ユニットLUは、光ファイバ伝送路Lを伝送される信号光を増幅するラマン増幅器RAを構成するための励起光供給手段である。
【0205】
この第2実施形態に係る光伝送システムは、励起光光源ユニットLUを含むラマン増幅器RAが、集中定数型の光増幅器として中継局Sの内部に設置された光伝送システムである。このような集中定数型のラマン増幅器RAにおいては、図33に示されたように、光ファイバ伝送路Lに挿入された独立の光ファイバが、ラマン増幅用光ファイバ50として利用される。
【0206】
このように、上述した構成を有する励起光光源ユニットLUを適用した集中定数型のラマン増幅器RAが、光ファイバ伝送路L上の所定位置に設置されることにより、信号光の伝送品質の劣化が抑制されて、送信局Tから受信局Rへ確実に信号光を伝送可能な光伝送システムを実現することができる。
【0207】
図34は、図33に示された光伝送システムにおける中継局の構成を示す図である。
【0208】
中継局Sにおいて、光ファイバ伝送路L上の所定位置には、合波器35が設けられ、この合波器35を介して、励起光光源ユニットLUが光ファイバ伝送路Lに光学的に接続されている。また、この中継局S内には、光ファイバ伝送路Lを伝送される間に信号光に生じた分散を補償するための分散補償ファイバ(DCF)を有する分散補償モジュールDMが設けられている。
【0209】
図34の構成では、この分散補償モジュールDMの後段には、合波器35及び励起光光源ユニットLUが設置されている。そして、この構成は、分散補償モジュールDMに含まれている分散補償ファイバを、ラマン増幅用光ファイバ50として利用する構成である。
【0210】
すなわち、励起光光源ユニットLUから供給された励起光は、合波器35を介して、光ファイバ伝送路Lに対して信号光伝搬方向と逆方向に送出される。そして、送出された励起光は、ラマン増幅用光ファイバ50としての分散補償モジュールDM内の光ファイバに供給される。これにより、中継局S内において信号光を増幅するための集中定数型のラマン増幅器RAが構成されている。
【0211】
なお、中継局S内の構成については、図34は単に一例であり、これ以外にも様々な構成とすることが可能である。例えば、ラマン増幅用光ファイバとしては、分散補償ファイバなどの光ファイバとは別に、ラマン増幅のために専用に設けた光ファイバが利用されてもよい。また、図34にも示されたように、ラマン増幅器RAに加えて、他の光増幅器(例えばEDFA)Sa、Sbが併設されてもよい。
【0212】
図35は、この発明に係る光伝送システムの第3実施形態の構成を示す図である。この第3実施形態に係る光伝送システムは、複数の通信利用者が、それぞれ異なる信号光波長帯域を用いる信号光A、B、C(それぞれ複数チャネルのWDM信号光)を、同一の光伝送路Lを介して伝送する光伝送システムである。このような光伝送システムにおいて、その光伝送路L上に上述のラマン増幅器RA(この発明に係るラマン増幅器)が設置されることにより、信号光A、B、Cが良好に増幅される。
【0213】
ここで、信号光A、B、Cの信号光波長帯域は、それぞれ以下の波長範囲である。
【0214】
(A)1530nm〜1570nm
【0215】
(B)1535nm〜1575nm
【0216】
(C)1540nm〜1580nm
【0217】
また、各信号光の波長帯域における出力信号光スペクトルが平坦化されるようにラマン増幅器RAの増幅利得が制御される。また、ラマン増幅器RAの励起光光源ユニットについては、複数の励起光光源として、3個の波長可変励起光光源を有する。
【0218】
まず、3つの信号光のうちで、中間の信号光波長帯域を有する信号光Bに対する出力信号光スペクトルの平坦化を考える。図36は、信号光Bに関するラマン増幅後のパワースペクトルである。ここでは、励起光光源ユニットから供給される励起光のチャネル波長については、信号光Bの信号光波長帯域1535nm〜1575nmに対応して、波長1428nm、1439nm、1460nmの3チャネルに設定されている。これら励起光チャネルの設定及びそれぞれのパワーの最適化により、図36に示されたように、信号光Bの波長帯域に対して、出力信号光スペクトルが十分に平坦化される。
【0219】
次に、短波長側の信号光波長帯域を有する信号光Aに対する出力信号光スペクトルの平坦化を考える。図37(a)及び図37(b)は、それぞれ、信号光Aに関するラマン増幅後のパワースペクトルである。図37(a)は、信号光Bに対して設定された励起光波長1428nm、1439nm、1460nmの3チャネル励起光をそのまま利用したときの出力信号光スペクトルである。この場合、励起光チャネルが最適化されていないためにスペクトルが十分に平坦化されず、特に短波長側において平坦度が劣化している。
【0220】
これに対して、図37(b)は、信号光Aの信号光波長帯域1530nm〜1570nmに対応して、励起光を1424nm、1434nm、1455nmの3チャネルに設定したときの出力信号光スペクトルである。このように、励起光光源ユニットから供給される励起光の各チャネル波長が最適に調整されることにより、信号光Aの波長帯域に対しても、出力信号光スペクトルを十分に平坦化することができる。
【0221】
次に、長波長側の信号光波長帯域を有する信号光Cに対する出力信号光スペクトルの平坦化を考える。図38(a)及び図38(b)は、それぞれ、信号光Cに関するラマン増幅後のパワースペクトルである。図38(a)は、信号光Bに対して設定された1428nm、1439nm、1460nmの3波長からなる励起光をそのまま用いたときの出力信号光スペクトルを示している。この場合には、励起光波長が最適化されていないためにスペクトルが充分に平坦化されず、特に長波長側において平坦度が劣化している。
【0222】
これに対して、図38(b)のグラフは、信号光Cの信号光波長帯域1540nm〜1580nmに対応して、励起光を1432nm、1443nm、1464nmの3チャネルに設定したときの出力信号光スペクトルである。このように、励起光光源ユニットから供給される励起光の各チャネル波長が最適に調整されるることにより、信号光Cの波長帯域に対しても、出力信号光スペクトルを十分に平坦化することができる。
【0223】
以上のように、波長可変励起光光源を含む励起光光源ユニットを備えるラマン増幅器が適用された光伝送システムによれば、互いに異なる複数波長帯域の信号光(WDM信号光)が伝搬する場合にも、対応することが可能である。すなわち、励起光光源ユニットから供給される励起光のチャネル波長が可変に制御されることによって、ラマン増幅された出力信号光のパワースペクトルが平坦化される増幅波長帯域を、増幅対象となる信号光の波長帯域に合わせて変更することが可能である。
【0224】
また、上述のラマン増幅器によれば、ラマン増幅器を含む光ファイバ伝送路の敷設時、または既設の光ファイバ伝送路へのラマン増幅器の導入時において、出力信号光スペクトルを測定しつつ励起光のチャネル波長及びチャネルパワーを調整することができるので、ラマン増幅器における光増幅の制御性が向上される。また、先に述べたように、励起光光源ユニットに含まれる複数の励起光光源のうちいずれかがダウンした場合でも、他の励起光光源からの励起光のチャネル波長を調整することによって、ダウンした励起光を補償して出力信号光のパワースペクトルを極力平坦に保持することができる。
【0225】
なお、この発明に係る励起光光源ユニット、ラマン増幅器、及び光伝送システムは、上述の実施形態に限られるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、励起光光源ユニットに含まれる複数の励起光光源の個数については、上記実施形態で示された4個の励起光光源が適用された構成等に限らず、ラマン増幅器で必要とされている増幅波長帯域の広さや光増幅利得の制御性などに応じて、好適な個数及び構成を設定することが好ましい。
【0226】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、それぞれ波長の異なる複数チャネルの励起光を出力する複数の励起光光源のうち少なくともいずれかを波長可変励起光光源とした励起光光源ユニット、及びそれが適用したラマン増幅器、光伝送システムによれば、励起光光源ユニットから供給される励起光のパワースペクトル、及びそれに対応する出力信号光のパワースペクトルを調整する際に、励起光の各チャネルパワーのみではなく、必要に応じて波長可変励起光光源から出力される励起光の波長を調整することができる。
【0227】
これにより、励起光スペクトルや出力信号光スペクトルが大きく変化した場合も含めて、様々な変化に対して充分に対応可能なように制御性が向上された励起光光源ユニット、ラマン増幅器、及び光伝送システムが実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る励起光光源ユニットの第1実施形態の構成を示す図である。
【図2】図1に示された励起光光源ユニットから供給される励起光のパワースペクトルである。
【図3】図1に示された励起光光源ユニットが適用されたラマン増幅器における出力信号光のパワースペクトルの一例である。
【図4】この発明に係る励起光光源ユニットの第2実施形態の構成を示す図である。
【図5】図4に示された励起光光源ユニットから供給される励起光のスペクトルである。
【図6】波長可変励起光光源の第1構成を示す図である。
【図7】第2実施形態に係る励起光光源ユニットの応用例の構成を示す図である。
【図8】波長可変励起光光源の第2構成を示す図である。
【図9】波長可変励起光光源の第3構成を示す図である。
【図10】波長可変励起光光源の第4構成を示す図である。
【図11】この発明に係る励起光光源ユニットの第3実施形態の構成を示す図である。
【図12】図11に示された励起光光源ユニットから供給される励起光のスペクトルである。
【図13】励起光光源ユニットの第4実施形態の構成を示す図である。
【図14】この発明に係る励起光光源ユニットの第5実施形態の構成を示す図である。
【図15】図14に示された励起光光源ユニットから供給される励起光のスペクトルである。
【図16】この発明に係る励起光光源ユニットの第6実施形態の構成を示す図である。
【図17】図16に示された励起光光源ユニットから供給される励起光のスペクトルである。
【図18】この発明に係る励起光光源ユニットの第7実施形態の構成を示す図である。
【図19】この発明に係る励起光光源ユニットの第8実施形態の構成を示す図である。
【図20】この発明に係る励起光光源ユニットの第9実施形態の構成を示す図である。
【図21】この発明に係る励起光光源ユニットの第10実施形態の構成を示す図である。
【図22】この発明に係る励起光光源ユニットの第11実施形態の構成を示す図である。
【図23】2重構造の励起光供給システムを有する励起光光源ユニットの構成を示す図である。
【図24】この発明に係る励起光光源ユニットの第12実施形態の構成を示す図である。
【図25】この発明に係る励起光光源ユニットの第13実施形態の構成を示す図である。
【図26】この発明に係る励起光光源ユニットの第14実施形態の構成を示す図である。
【図27】この発明に係る励起光光源ユニットの第15実施形態の構成を示す図である。
【図28】この発明に係るラマン増幅器の第1実施形態の構成を示す図である。
【図29】この発明に係るラマン増幅器の第2実施形態の構成を示す図である。
【図30】この発明に係るラマン増幅器の第3実施形態の構成を示す図である。
【図31】この発明に係るラマン増幅器の第4実施形態の構成を示す図である。
【図32】この発明に係る光伝送システムの第1実施形態の構成を示す図である。
【図33】この発明に係る光伝送システムの第2実施形態の構成を示す図である。
【図34】図28に示された光伝送システムにおける中継局の構成を示すブロック図である。
【図35】この発明に係る光伝送システムの第3実施形態の構成を示す図である。
【図36】信号光Bに関するラマン増幅後のパワースペクトルである。
【図37】信号光Aに関するラマン増幅後のパワースペクトルである。
【図38】信号光Cに関するラマン増幅後のパワースペクトルである。
【符号の説明】
LU…励起光源ユニット、L…光伝送路、RA…ラマン増幅器、T…送信局、S…中継局、R…受信局、1、1a…励起光供給システム(主励起光供給システム)、1b…補助励起光供給システム、11、11a、11b、12、12a、12b、13、13a、13b…波長可変励起光源、110…第1半導体レーザ、111…光導波路、112…共振用グレーティング、113…加熱手段、114…第1励起レーザ、115…リング状光ファイバ、116…波長合成器、117…分岐器、118…光アイソレータ、119…バンドパスフィルタ、12〜18…第2〜第8波長可変励起光源、2…励起光合波部、21…波長合成器、22…透過特性調整手段、23a、23b…偏波合成器、24a、24b…デポラライザ(無偏光化手段)、25、25a、25b…アレイ導波路型回折格子(AWG)、26…インターリーバ、27、27a、27b、27c…光サーキュレータ、3…出力部、31…出力用光導波路、32…出力合波器、35…合波器、4、41〜45、400〜402…光スイッチ、420、430…光導波路、412、413、414、423、424、434…反射用グレーティング、415、425、435、445…光アイソレータ、50…ラマン増幅用光ファイバ、51…光分岐器、52…出力信号光測定器、53…信号光分波器、54a〜54d…出力信号光測定器、55…光分岐器、56…入力信号光測定器、57…指示信号入力部、60…制御部。
Claims (16)
- 所定の増幅波長帯域内の信号光を励起光によってラマン増幅するためのラマン増幅用光ファイバと、
前記ラマン増幅用光ファイバに前記励起光を供給する励起光光源ユニットと、
入力される信号光のパワーを測定する入力パワー測定システムと、
前記入力パワー測定システムの測定結果に基づいて、出力信号光スペクトルが実質的に平坦となるよう、前記励起光光源ユニットに含まれる前記N個の励起光光源のそれぞれから出力されるNチャネルの励起光のパワーあるいは波長を制御する制御部とを備えたラマン増幅器であって、
前記制御部は、出力信号光スペクトルにおける信号光パワーが最小となる周波数に対して、その周波数から13THz〜15THz高い周波数に近付くように、前記励起光の少なくともいずれかのチャネル波長を制御するとともに、さらに、前記励起光光源ユニットに含まれる前記N個の励起光光源のうち、出力する励起光のパワーがラマン増幅に寄与し得ない程度に低下した励起光光源を検出し、該出力パワーが低下した励起光光源から出力されるべき励起光のチャネル波長に、残りの励起光光源から出力される励起光のチャネル波長を近付けるよう、該残りの励起光光源を制御することを特徴とするラマン増幅器。 - 所定の増幅波長帯域内の信号光を励起光によってラマン増幅するためのラマン増幅用光ファイバと、
前記ラマン増幅用光ファイバに前記励起光を供給する励起光光源ユニットと、
ラマン増幅された出力信号光のパワーを測定する出力パワー測定システムと、
前記出力パワー測定システムの測定結果に基づいて、出力信号光スペクトルが実質的に平坦となるよう、前記励起光光源ユニットに含まれる前記N個の励起光光源のそれぞれから出力されるNチャネルの励起光のパワーあるいは波長を制御する制御部とを備えたラマン増幅器であって、
前記制御部は、出力信号光スペクトルにおける信号光パワーが最小となる周波数に対して、その周波数から13THz〜15THz高い周波数に近付くように、前記励起光の少なくともいずれかのチャネル波長を制御するとともに、さらに、前記励起光光源ユニットに含まれる前記N個の励起光光源のうち、出力する励起光のパワーがラマン増幅に寄与し得ない程度に低下した励起光光源を検出し、該出力パワーが低下した励起光光源から出力されるべき励起光のチャネル波長に、残りの励起光光源から出力される励起光のチャネル波長を近付けるよう、該残りの励起光光源を制御することを特徴とするラマン増幅器。 - 所定の増幅波長帯域内の信号光を励起光によってラマン増幅するためのラマン増幅用光ファイバと、
前記ラマン増幅用光ファイバに前記励起光を供給する励起光光源ユニットと、
外部からの指示信号を取り込むための指示信号入力システムと、
前記指示信号入力システムにより取り込まれた指示信号に基づいて、出力信号光スペクトルが実質的に平坦となるよう、前記励起光光源ユニットに含まれる前記N個の励起光光源のそれぞれから出力されるNチャネルの励起光のパワーあるいは波長を制御する制御部とを備えたラマン増幅器であって、
前記制御部は、出力信号光スペクトルにおける信号光パワーが最小となる周波数に対して、その周波数から13THz〜15THz高い周波数に近付くように、前記励起光の少なくともいずれかのチャネル波長を制御するとともに、さらに、前記励起光光源ユニットに含まれる前記N個の励起光光源のうち、出力する励起光のパワーがラマン増幅に寄与し得ない程度に低下した励起光光源を検出し、該出力パワーが低下した励起光光源から出力されるべき励起光のチャネル波長に、残りの励起光光源から出力される励起光のチャネル波長を近付けるよう、該残りの励起光光源を制御することを特徴とするラマン増幅器。 - 請求項1〜3のいずれか一項記載のラマン増幅器に適用される励起光光源ユニットであって、
互いに波長の異なるN(≧2)チャネルの励起光をそれぞれ出力するN個の励起光光源を含み、これら励起光光源のうち少なくともいずれかは出力する励起光のチャネル波長を変更可能な波長可変励起光光源である励起光供給システムと、
前記N個の励起光光源それぞれから出力された前記Nチャネルの励起光を合波する合波器と、
前記合波器で合波された前記励起光を出力する出力構造とを備えたラマン増幅用の励起光光源ユニット。 - 前記波長可変励起光光源は、励起光レーザと、共振用グレーティングと、該共振用グレーティングによって反射される光の波長を変更するためのチャネル波長調整システムとを備えた外部共振器型波長可変レーザを含むことを特徴とする請求項4記載の励起光光源ユニット。
- 前記共振用グレーティングは、ブラッグ波長の光を反射するブラッググレーティングを含むことを特徴とする請求項5記載の励起光光源ユニット。
- 前記ブラッググレーティングは、光ファイバの少なくともコア領域内に該光ファイバの長手方向に沿って周期的な屈折率変化が形成されたファイバブラッググレーティングを含むことを特徴とする請求項6記載の励起光光源ユニット。
- 前記チャネル波長調整システムは、前記ファイバブラッググレーティングに対して所定の応力を加えることによりグレーティング周期を変化させる応力印加手段を含むことを特徴とする請求項7記載の励起光光源ユニット。
- 前記チャネル波長調整システムは、前記ファイバブラッググレーティングを加熱することにより前記コア領域内の屈折率を変化させる加熱手段を含むことを特徴とする請求項7記載の励起光光源ユニット。
- 前記ブラッググレーティングは、電気光学効果を有する材質からなる光導波路内に形成され、そして、前記チャネル波長調整システムは、前記ブラッググレーティングが形成された前記光導波路に対して所定強度の電場を印加することにより該光導波路の屈折率を変化させる電場印加手段を含むことを特徴とする請求項6記載の励起光光源ユニット。
- 前記波長可変励起光光源は、半導体レーザと、該半導体レーザのチップ温度を調整することにより該半導体レーザの発振波長を変化させる加熱手段を含むことを特徴とする請求項4記載の励起光光源ユニット。
- 前記波長可変励起光光源は、励起レーザと、透過する光の波長を変更可能な波長可変バンドパスフィルタを備えた波長可変レーザを含むことを特徴とする請求項4記載の励起光光源ユニット。
- 前記出力構造は、信号光が伝搬する伝送路中に配置され、前記光合波器からの励起光を該伝送路中に出力する一方、該信号光を通過させる出力部を備えたことを特徴とする請求項4記載の励起光光源ユニット。
- 所定の信号光波長帯域内の信号光が伝搬する光伝送路と、
ラマン増幅用光ファイバとして前記光伝送路の一部を含む請求項1〜3のいずれか一項記載のラマン増幅器とを備えた光伝送システム。 - 所定の信号光波長帯域内の信号光が伝搬する光伝送路と、
前記光伝送路上の所定位置に設置されるとともに、該光伝送路と光学的に接続された端部を有するラマン増幅用光ファイバを含む請求項1〜3のいずれか一項記載のラマン増幅器とを備えた光伝送システム。 - 複数の中継区間を有するとともに、請求項1〜3のいずれか一項記載のラマン増幅器を含む光伝送システムであって、1中継区間当たりにおける信号光のチャネルごとのパワーバラツキの平均値は、2dB以下であることを特徴とする光伝送システム。
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