JP4161545B2 - スイッチングアンプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オーディオのスイッチングアンプに関し、特に、従来のスイッチング周波数よりも低い周波数でスイッチイングを行うことにより、歪率が改善でき、かつ、従来と同等に周波数帯域が得られるスイッチングアンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
オーディオアンプでは、トランジスタで増幅するリニアアンプが広く用いられている。
しかし、トランジスタで増幅するリニアアンプでは、トランジスタからの発熱があり、効率の点で難点がある。このため、スイッチング素子に直流電圧を供給し、スイッチング素子をスイッチングすることによって効率よく増幅するスイッチングアンプが用いられるようになってきている。
【0003】
かかる従来のスイッチングアンプの構成を図15に示す。
スイッチングアンプは、アンプ部81と、フィルタ部82と、直流阻止部84と、を備えて構成されている。
【0004】
アンプ部81は、2つの電界効果トランジスタ(FET)Q51とQ52とを備えて構成されている。トランジスタQ51とQ52とは、スイッチング素子であり、直流電源86から直流電圧が供給されて交互にオン、オフする。
【0005】
フィルタ部82は、コイルL51と、L52と、コンデンサC51と、C52と、を備え、ローパスフィルタを構成している。
直流阻止部84は、コンデンサC53からなる。
出力部85は、スピーカ87からなる。
【0006】
図16に、かかる従来のスイッチングアンプの動作を示す。
制御部83には、図16(a)に示すような音声信号が、クロック信号とともに供給される。トランジスタQ51とQ52とは、制御部83によってPWM制御され、交互にオン、オフする。トランジスタQ51とQ52とがオン、オフすることにより、アンプ部81は、図16(b)に示すようなPWM信号を供給する。
【0007】
フィルタ部82は、PWM信号のスイッチング周波数成分をカットして、増幅された音声信号をスピーカ87に供給する。
スピーカ87には、音声信号に応じた信号が、直流阻止部84を介して供給され、これによりスピーカ87は音声を出力する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、オーディオアンプでは、音を忠実に再生するため、周波数帯域を100kHz以上にする必要がある。このため、フィルタ部82をLC2段で構成し、スイッチング周波数は、従来、2MHz以上にする必要があった。
また、PWM信号のスイッチング周波数成分がスピーカ87に供給されないようにするため、フィルタ部82には、かなり性能の良いものを必要としていた。
【0009】
言い換えると、アンプ部81の周波数帯域を100kHzまで伸ばすためには、LCフィルタを2段にしてスイッチング周波数を2MHz以上にする必要があった。
【0010】
しかし、現在のFETでは、2MHz以上で安定にスイッチングすることは非常に難しい。
このため、FETの電源電圧を下げてスイッチング周波数を2MHzにすることもできるが、電源電圧を下げると、スピーカ87にインピーダンスの低いものを使用しなければならず、スピーカ87のインピーダンスを低くすると、大きな出力は得られず、帯域も狭くなり、大出力高帯域のアンプを得ることは困難である。
【0011】
出力電力の不足を解消する手段としては、ブリッジ接続したBTL(Balanced
Transformerless)回路を用いることも考えられる。
図17に、BTL回路を用いたスイッチングアンプの構成を示す。
かかるスイッチングアンプは、アンプ部81−1と、アンプ部81−2と、フィルタ部82と、制御部83と、を備えて構成されている。
【0012】
アンプ部81−1は、トランジスタQ61とQ62とを備えて構成され、アンプ部81−2は、トランジスタQ63と、Q64と、インバータ88、89と、を備えて構成されている。
フィルタ部82は、コイルL61〜L64と、コンデンサC61〜C64と、を備えて構成されている。
【0013】
制御部83は、三角波発生回路90と、コンパレータ91と、インバータ92と、を備えて構成されている。
そして、フィルタ部82は、スピーカ87の両端に、増幅した音声信号と、音声信号を反転した信号と、を供給する。これにより、直流電源86の直流電圧が同じでも、出力電圧を2倍にすることができ、出力電力を4倍にすることができる。
【0014】
しかし、かかる従来のスイッチングアンプでも、図18(a)、(b)に示すようなアンプ部81−1の出力とアンプ部81−2の出力とが合成され、図18(c)に示すような信号がフィルタ部82に供給され、スイッチング周波数は2MHzのままであり、その周波数成分は、図19に示すようになっている。
【0015】
また、ディジタル信号が供給されてディジタル信号のまま処理し、変調し、スイッチングするような、全てがディジタル信号で処理するスイッチングアンプもある。
このような方式では、スイッチングするFETのスイッチングスピードがそのまま出力の歪に影響する。
【0016】
ところで、FETでは、スイッチングスピードが遅かったり、スイッチング時間がばらついたりする。
【0017】
スイッチング時間のばらつきは、デッドタイムによる遅れに起因する。このデッドタイムは、上下のスイッチング素子に貫通電流が流れることを防止するために設けられたものである。
このようにスイッチングスピードが遅かったり、スイッチング時間がばらついたりすると歪率は悪くなる。
【0018】
また、スイッチングのオフからオンに至る時間やオンからオフに至る時間が、供給された音声信号に応じて変わると回路の微妙な浮遊容量やインダクタンスにより、出力信号のパルス幅が入力パルスの幅と多少相違する場合がある。この相違は出力の歪率にも影響することになる。
【0019】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、現状のスイッチング素子でも、所定の周波数帯域を確保することが可能となるスイッチングアンプを提供することを目的とする。
また、本発明は、歪率が良好となるようなスイッチングアンプを提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るスイッチングアンプは、パルス信号を生成し、生成したパルス信号のオン期間とオフ期間との比を、増幅すべき原信号の信号レベルに基づいて設定し、当該パルス信号に基づいて直流電圧をスイッチングし濾波することにより、前記原信号を増幅し、増幅した信号を負荷に供給するスイッチングアンプにおいて、
それぞれ位相が異なる複数のパルス信号を生成するパルス信号生成部と、
前記パルス信号生成部によって生成された複数のパルス信号がそれぞれ供給され、供給されたパルス信号に基づいて、直流電圧をスイッチングすることにより、それぞれ位相が異なるパワーパルス信号を生成する複数のアンプ部と、
前記複数のアンプ部から出力された各パワーパルス信号を合成するとともに濾波して負荷に供給する濾波部と、を備え、
前記濾波部は、第1のリアクトルと第2のリアクトルと第3のリアクトルと第4のリアクトルとを備え、
前記複数のアンプ部は、それぞれ、2つのスイッチング素子を直列に接続し、前記直流電圧が前記直列接続された2つのスイッチング素子に供給されるように構成された第1のアンプ部と第2のアンプ部と第3のアンプ部と第4のアンプ部とからなり、
前記第1のアンプ部の前記2つのスイッチング素子の接続点に前記濾波部の前記第1のリアクトルの一端を接続し、前記第2のアンプ部の前記2つのスイッチング素子の接続点に前記濾波部の前記第2のリアクトルの一端を接続し、前記第3のアンプ部の前記2つのスイッチング素子の接続点に前記濾波部の前記第3のリアクトルの一端を接続し、前記第4のアンプ部の前記2つのスイッチング素子の接続点に前記濾波部の前記第4のリアクトルの一端を接続し、前記第1のリアクトル乃至前記第4のリアクトルの各他端を接続し、前記第1のアンプ部乃至前記第4のアンプ部の前記2つのスイッチング素子のそれぞれの接続点に、前記第1のリアクトル乃至前記第4のリアクトルを介して負荷の一端を接続することにより、ハーフブリッジ回路が構成され、
前記パルス信号生成部は、第1のパルス信号生成部と第2のパルス信号生成部と第3のパルス信号生成部と第4のパルス信号生成部とからなり、それぞれ、
クロック信号を所定の位相だけシフトしたシフト信号を生成するクロック信号シフト手段と、
前記クロック信号シフト手段によってシフトされたクロック信号の位相で比較基準信号を生成する比較基準信号生成手段と、
前記増幅すべき原信号を、前記比較基準信号生成手段によって生成された比較基準信号と比較することにより、パルス信号を生成するパルス信号生成手段と、
前記パルス信号生成手段によって生成されたパルス信号を反転して、反転パルス信号を生成する反転パルス信号生成手段と、を備え、
前記第1のパルス信号生成部は、前記パルス信号生成手段が生成したパルス信号、前記反転パルス信号生成手段が生成した反転パルス信号を、それぞれ、前記第1のアンプ部の一方のスイッチング素子、他方のスイッチング素子に出力し、
前記第2のパルス信号生成部は、前記パルス信号生成手段が生成したパルス信号、前記反転パルス信号生成手段が生成した反転パルス信号を、それぞれ、前記第2のアンプ部の一方のスイッチング素子、他方のスイッチング素子に出力し、
前記第3のパルス信号生成部は、前記パルス信号生成手段が生成したパルス信号、前記反転パルス信号生成手段が生成した反転パルス信号を、それぞれ、前記第3のアンプ部の一方のスイッチング素子、他方のスイッチング素子に出力し、
前記第4のパルス信号生成部は、前記パルス信号生成手段が生成したパルス信号、前記反転パルス信号生成手段が生成した反転パルス信号を、それぞれ、前記第4のアンプ部の一方のスイッチング素子、他方のスイッチング素子に出力し、
前記第1のパルス信号生成部乃至前記第4のパルス信号生成部からそれぞれ出力される パルス信号の位相が異なり、前記パワーパルス信号の基本波成分及び高調波成分キャンセルされるように、前記第1のパルス信号生成部乃至前記第4のパルス信号生成部の各クロック信号シフト手段が、互いに異なる位相で前記クロック信号の位相をシフトるものである。
【0021】
このような構成によれば、パルス信号生成部が、スイッチング周波数でそれぞれ異なる位相の複数のパルス信号を生成することにより、複数のアンプ部から出力されるパワーパルス信号の位相は異なることになり、これらを合成したパワーパルス信号のスイッチング周波数は、各アンプ部のスイッチング周波数よりも高くなる。また、パワーパルス信号の基本波はキャンセルされ、キャンセルされると、濾波部は、パワーパルス信号の高調波のみを遮断すればよく、濾波部の構成が簡易となる。
【0022】
本発明の第2の観点に係るスイッチングアンプは、
パルス信号を生成し、生成したパルス信号のオン期間とオフ期間との比を、増幅すべき原信号の信号レベルに基づいて設定し、当該パルス信号に基づいて直流電圧をスイッチングし濾波することにより、前記原信号を増幅し、増幅した信号を負荷に供給するスイッチングアンプにおいて、
それぞれ位相が異なる複数のパルス信号を生成するパルス信号生成部と、
前記パルス信号生成部によって生成された複数のパルス信号がそれぞれ供給され、供給されたパルス信号に基づいて、直流電圧をスイッチングすることにより、それぞれ位相が異なるパワーパルス信号を生成する複数のアンプ部と、
前記複数のアンプ部から出力された各パワーパルス信号を合成するとともに濾波して負荷に供給する濾波部と、を備え、
前記濾波部は、第1のリアクトルと第2のリアクトルと第3のリアクトルと第4のリアクトルとを備え、
前記複数のアンプ部は、それぞれ、2つのスイッチング素子を直列に接続し、前記直流電圧が前記直列接続された2つのスイッチング素子に供給されるように構成された第1のアンプ部と第2のアンプ部と第3のアンプ部と第4のアンプ部とからなり、
前記第1のアンプ部の前記2つのスイッチング素子の接続点に前記濾波部の前記第1のリアクトルの一端を接続し、前記第2のアンプ部の前記2つのスイッチング素子の接続点に前記濾波部の前記第2のリアクトルの一端を接続し、前記第1のリアクトルの他端と前記第2のリアクトルの他端とを接続し、前記第1のアンプ部及び前記第2のアンプ部の前記2つのスイッチング素子のそれぞれの接続点に、前記第1のリアクトル及び前記第2のリアクトルを介して負荷の一端を接続し、
前記第3のアンプ部の前記2つのスイッチング素子の接続点に前記濾波部の前記第3のリアクトルの一端を接続し、前記第4のアンプ部の前記2つのスイッチング素子の接続点に前記濾波部の前記第4のリアクトルの一端を接続し、前記第3のリアクトルの他端と前記第4のリアクトルの他端とを接続し、前記第3のアンプ部及び前記第4のアンプ部の前記2つのスイッチング素子のそれぞれの接続点に、前記第3のリアクトル及び前記第4のリアクトルを介して前記負荷の他端を接続することにより、前記第1のアンプ部乃至前記第4のアンプ部をブリッジ接続したフルブリッジ回路が構成され、
前記パルス信号生成部は、第1のパルス信号生成部と第2のパルス信号生成部と第3のパルス信号生成部と第4のパルス信号生成部とからなり、
前記第1のパルス信号生成部は、
供給されたクロック信号を所定の位相だけシフトしたシフト信号を生成する第1のクロック信号シフト手段と、
前記第1のクロック信号シフト手段によってシフトされたクロック信号の位相で比較基準信号を生成する第1の比較基準信号生成手段と、
前記増幅すべき原信号を、前記第1の比較基準信号生成手段によって生成された比較基準信号と比較することにより、パルス信号を生成する第1のパルス信号生成手段と、
前記第1のパルス信号生成手段によって生成されたパルス信号を反転し、反転パルス信号を生成する第1の反転パルス信号生成手段と、を備え、
前記第2のパルス信号生成部は、
供給されたクロック信号を所定の位相だけシフトしたシフト信号を生成する第2のクロック信号シフト手段と、
前記第2のクロック信号シフト手段によってシフトされたクロック信号の位相で比較基準信号を生成する第2の比較基準信号生成手段と、
前記増幅すべき原信号を、前記第2の比較基準信号生成手段によって生成された比較基準信号と比較することにより、パルス信号を生成する第2のパルス信号生成手段と、
前記第2のパルス信号生成手段によって生成されたパルス信号を反転し、反転パルス信号を生成する第2の反転パルス信号生成手段と、を備え、
前記第3のパルス信号生成部は、
供給されたクロック信号を所定の位相だけシフトしたシフト信号を生成する第3のクロック信号シフト手段と、
前記第3のクロック信号シフト手段によってシフトされたクロック信号の位相で比較基準信号を生成する第3の比較基準信号生成手段と、
前記増幅すべき原信号を反転させる原信号反転手段と、
前記原信号反転手段によって反転された信号を、前記第3の比較基準信号生成手段によって生成された比較基準信号と比較することにより、パルス信号を生成する第のパルス信号生成手段と、
前記第のパルス信号生成手段によって生成されたパルス信号を反転し、反転パルス信号を生成する第の反転パルス信号生成手段と、を備え、
前記第4のパルス信号生成部は、
供給されたクロック信号を所定の位相だけシフトしたシフト信号を生成する第4のクロック信号シフト手段と、
前記第4のクロック信号シフト手段によってシフトされたクロック信号の位相で比較基準信号を生成する第4の比較基準信号生成手段と、
前記第3のパルス信号生成部の前記原信号反転手段によって反転された信号を、前記第4の比較基準信号生成手段によって生成された比較基準信号と比較することにより、パルス信号を生成する第4のパルス信号生成手段と、
前記第4のパルス信号生成手段によって生成されたパルス信号を反転し、反転パルス信号を生成する第4の反転パルス信号生成手段と、を備え、
前記第1のパルス信号生成部は、前記第1のパルス信号生成手段が生成したパルス信号、前記第1の反転パルス信号生成手段が生成した反転パルス信号を、それぞれ前記第1のアンプ部の一方のスイッチング素子、他方のスイッチング素子に出力し、
前記第2のパルス信号生成部は、前記第2のパルス信号生成手段が生成したパルス信号、前記第2の反転パルス信号生成手段が生成した反転パルス信号を、それぞれ前記第2のアンプ部の一方のスイッチング素子、他方のスイッチング素子に出力し、
前記第3のパルス信号生成部は、前記第3のパルス信号生成手段が生成したパルス信号、前記第3の反転パルス信号生成手段が生成した反転パルス信号を、それぞれ前記第3のアンプ部の一方のスイッチング素子、他方のスイッチング素子に出力し、
前記第4のパルス信号生成部は、前記第4のパルス信号生成手段が生成したパルス信号、前記第4の反転パルス信号生成手段が生成した反転パルス信号を、それぞれ前記第4のアンプ部の一方のスイッチング素子、他方のスイッチング素子に出力し、
前記第1のパルス信号生成部乃至前記第4のパルス信号生成部からそれぞれ出力されるパルス信号の位相が異なり、前記パワーパルス信号の基本波成分及び高調波成分キャンセルされるように、前記第1のクロック信号シフト手段乃至第4のクロック信号シフト手段は、互いに異なる位相で前記クロック信号をシフトるものである。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係るスイッチングアンプを図面を参照して説明する。
まず、第1の実施の形態について説明する。
第1の実施の形態に係るスイッチングアンプは、2つのアンプ部を接続し、2つのアンプ部から位相が互いに180°異なるパワーパルス信号を出力し、2つのパワーパルス信号を合成することにより、アンプ部のスイッチング周波数を低減するとともに、パワーパルス信号の基本波成分をキャンセルするようにしたものである。
【0029】
第1の実施の形態に係るスイッチングアンプの構成を図1に示す。
第1の実施の形態に係るスイッチングアンプは、アンプ部1−1、1−2と、フィルタ部2と、制御部3−1、3−2と、直流阻止部4と、を備えている。
これにより、ハーフブリッジ回路が構成されている。
【0030】
出力部5は、スピーカ11からなり、スイッチングアンプから供給された音声信号に基づいて、音声を出力する。
直流電源6は、スイッチングアンプに直流電圧を供給する電源である。
【0031】
アンプ部1−1は、制御部3−1から供給されたパルス信号に基づいてPWM制御に基づくパワーパルス信号を生成するものであり、トランジスタQ11とQ12とを備えて構成されている。
【0032】
トランジスタQ11、Q12は、ともにN形の電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)である。
トランジスタQ11のドレインは、直流電源6の+端子に接続され、トランジスタQ11のソースは、トランジスタQ12のドレインに接続されている。
トランジスタQ12のソースは、直流電源6の−端子に接続されている。
【0033】
アンプ部1−2は、制御部3−2から供給されたパルス信号に基づいてPWM制御に基づくパワーパルス信号を生成するものであり、トランジスタQ13とQ14とを備えて構成されている。
アンプ部1−2も、アンプ部1−1と同様に構成されている。
【0034】
フィルタ部2は、コイルL11〜L13と、コンデンサC11と、C12と、を備え、アンプ部1−1、1−2からそれぞれ供給されたパワーパルス信号を濾波するローパスフィルタを構成したものである。
【0035】
コイルL11、L13は、トランジスタQ11とQ12との接続点に順次、接続されている。
コンデンサC11、C12は、コイルL13の両端に接続され、トランジスタQ12と並列になっている。
【0036】
フィルタ部2は、このように構成され、アンプ部1−1、1−2から、それぞれ供給されたパワーパルス信号を、コイルL11、L12を介して合成するようになっている。
【0037】
制御部3−1は、音声信号及びクロック信号が供給され、供給されたクロック信号の位相から0°シフトした位相のパルス信号を生成するものであり、0°シフト回路21と、三角波発生回路22と、コンパレータ23と、インバータ24と、を備えて構成されている。
【0038】
0°シフト回路21は、供給されたクロック信号の位相を0°シフトする回路である。
三角波発生回路22は、0°シフト回路21によって0°シフトされたクロック信号に基づいて、三角波信号を生成する回路である。
【0039】
コンパレータ23は、音声信号を、三角波発生回路22によって生成された三角波信号と比較することにより、パルス信号を生成する回路である。
インバータ24は、コンパレータ23によって生成されたパルス信号を反転する回路である。
【0040】
制御部3−2は、音声信号及びクロック信号が供給され、供給されたクロック信号の位相から180°シフトした位相のパルス信号を生成するものであり、180°シフト回路25と、三角波発生回路26と、コンパレータ27と、インバータ28と、を備えて構成されている。
【0041】
180°シフト回路25は、供給されたクロック信号の位相を180°シフトする回路である。
三角波発生回路26は、180°シフト回路25によって180°シフトされたクロック信号に基づいて、三角波信号を生成する回路である。
【0042】
コンパレータ27は、音声信号を、三角波発生回路26によって生成された三角波信号と比較することにより、パルス信号を生成する回路である。
インバータ28は、コンパレータ27によって生成されたパルス信号を反転する回路である。
【0043】
直流阻止部4は、コンデンサC13からなる。
コンデンサC13は、フィルタ部2のコイルL13と出力部5のスピーカ11との間に接続されている。
【0044】
次に第1の実施の形態に係るスイッチングアンプの動作を説明する。
第1の実施の形態に係るスイッチングアンプの動作を図2に示す。
制御部3−1には、図2(a)に示すような音声信号S1と、図2(b)に示すようなクロック信号S2と、が供給される。
【0045】
0°シフト回路21は、クロック信号S2の位相を0°シフトして図2(c)に示すようなクロック信号S3を生成する。
三角波発生回路22は、0°シフトしたクロック信号S3から、三角波信号S4を生成し、生成した三角波信号S4をコンパレータ23に供給する。
【0046】
コンパレータ23は、図2(d)に示すように、音声信号S1を、三角波発生回路22によって供給された信号S4と比較する。
そして、コンパレータ23は、図2(e)に示すように、音声信号S1の信号レベルが信号S4の信号レベルよりも高いとローレベル、信号S4の信号レベル以下であるとハイレベルとなるパルス信号S5を生成する。
【0047】
インバータ24は、コンパレータ23の出力信号を反転し、図2(f)に示すようなパルス信号S6を生成する。
制御部3−1は、このパルス信号S5、S6を、それぞれアンプ部1−1のトランジスタQ11、Q12のゲートに供給する。
【0048】
音声信号S1とクロック信号S2とは、制御部3−2にも供給される。
180°シフト回路25は、クロック信号S2の位相を180°シフトし、図2(g)に示すようなクロック信号S7を生成する。
【0049】
三角波発生回路26は、クロック信号S7に基づいて三角波信号S8を生成し、生成した三角波信号S8をコンパレータ27に供給する。
コンパレータ27は、図2(h)に示すように、音声信号S1を、三角波発生回路26によって供給された信号S8と比較し、図2(i)に示すようなパルス信号S9を生成する。
【0050】
インバータ28は、コンパレータ27から供給されたパルス信号S9を反転して図2(j)に示すようなパルス信号S10を生成する。
制御部3−2は、生成されたパルス信号S9、S10を、それぞれアンプ部1−2のトランジスタQ13、Q14のゲートに供給する。
【0051】
アンプ部1−1のトランジスタQ11、Q12は、それぞれ、制御部3−1から供給されたパルス信号S5、S6に基づいてオン、オフする。
アンプ部1−2のトランジスタQ13、Q14は、それぞれ、制御部3−2から供給されたパルス信号S9、S10に基づいてオン、オフする。
【0052】
図3に、アンプ部1−1、1−2から出力されたPWM出力と音声出力の波形を示す。
トランジスタQ11、Q12がオン、オフすることにより、アンプ部1−1は、図3(a)に示すような、パワーパルス信号S11をフィルタ部2に供給する。
トランジスタQ13、Q14がオン、オフすることにより、アンプ部1−2は、図3(b)に示すようなパワーパルス信号S12をフィルタ部2に供給する。パワーパルス信号S11とパワーパルス信号S12とは、合成されて図3(c)に示すような合成信号S13がフィルタ部2に供給される。
【0053】
その拡大波形を図4に示す。
パワーパルス信号S11とS12との間には、180°の位相差がある。
アンプ部1−1及び1−2から、図4(a)に示すような信号S11と、図4(b)に示すような信号S12とが交互に供給されるので、図4(c)に示す合成信号S13の周波数は、従来のものに比較して同一になる。
この2つのパワーパルス信号を合成することにより、パワーパルス信号の基本波はキャンセルされる。
【0054】
即ち、図5に示すように0点を設定し、図4のパワーパルス信号S11を、高さA、パルス幅Tのパルス波としてフーリエ展開すると、パワーパルス信号S11は、数式1によって表される。
【数1】
Figure 0004161545
【0055】
この2つのパワーパルス信号S11とS12とを合成すると、その合成信号S13は、次の数式2によって表される。
【数2】
Figure 0004161545
この合成信号S13に含まれる周波数成分を図6に示す。
数式3及び図6から分かるように、合成信号S13の基本波はキャンセルされている。
【0056】
フィルタ部2は、アンプ部1−1及び1−2から供給されたパワーパルス信号S11、S12を濾波し、所定周波数以上の信号成分を遮断し、所定周波数未満の信号成分のみを通過させる。このようにして、フィルタ部2は、図4(d)に示すような信号S14をスピーカ11に供給する。
そして、スピーカ11は、図3(d)に示すような音声を出力する。
【0057】
以上説明したように、本実施の形態によれば、2つのアンプ部1−1、1−2から異なる位相のパワーパルス信号をフィルタ部2に供給し、フィルタ部2においてこのパワーパルス信号を合成するようにしたので、合成されたパワーパルス信号の周波数を従来と同じと考えて比較すると、アンプ部1−1、1−2のスイッチング周波数を従来の1/2にすることができる。
【0058】
従って、スイッチング速度が遅いFETを用いることができ、コストを安くすることができる。また、スピーカ11も、応答速度が比較的遅い従来のものを使用することができる。また、スイッチング周波数が低くなるので、スイッチングアンプが作りやすくなり、動作も安定する。
【0059】
また、2つのアンプ部1−1、1−2をリアクタを介して接続することにより、パワーパルス信号の基本波成分をキャンセルすることができる。
例えば、スイッチング周波数を2MHzとすると、2MHzの基本波成分がキャンセルされ、2MHzの2倍の4MHz以上の高調波が残ることになる。
従って、フィルタ部2では、4MHz以上の周波数成分をカットすればよくなり、フィルタ部2の構成を簡単にすることができる。
【0060】
また、スイッチング周波数が従来のものに比較して1/2になるので、歪率への影響も1/2となる。
特に、オールデジタルアンプの場合、0.1%の歪みでも問題視される。FETのスイッチング時間に例えば1nSの遅れが生じると、スイッチング周波数が1MHzでは、周期が1μSなので、波形には0.1%の影響があり、2MHzのときは周期が0.5μSになるので、0.2%の影響になる。
このように、歪率も低減することができる。
【0061】
尚、本発明を実施するにあたっては、種々の形態が考えられ、上記実施の形態に限られるものではない。
例えば、スイッチングアンプの制御は、PWM制御に限られるものではなく、周波数制御についても、本実施の形態を適用することができる。
トランジスタQ11〜Q14は、FETに限られるものではなく、例えば、バイポーラトランジスタを用いることができる。
【0062】
次に、第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態に係るスイッチングアンプは、4つのアンプ部を並列に接続し、パワーパルス信号の位相を90°ずつシフトして各パワーパルス信号を合成するようにしたものである。
【0063】
第2の実施の形態に係るスイッチングアンプの構成を図7に示す。
第2の実施の形態に係るスイッチングアンプは、アンプ部1−1〜1−4と、フィルタ部2と、制御部3−1〜3−4と、直流阻止部4と、を備えて構成されている。
【0064】
アンプ部1−1は、トランジスタQ21とQ22とを備えて構成されている。
アンプ部1−2は、トランジスタQ23とQ24とを備えて構成されている。
アンプ部1−3は、トランジスタQ25とQ26とを備えて構成されている。
アンプ部1−4は、トランジスタQ27とQ28とを備えて構成されている。
フィルタ部2は、コイルL21〜L25と、コンデンサC21、C22と、を備えて構成されている。
【0065】
制御部3−1〜3−4の構成を図8に示す。
制御部3−1は、0°シフト回路31と、三角波発生回路32と、コンパレータ33と、インバータ34と、を備えて構成されている。
0°シフト回路31は、第1の実施の形態の0°シフト回路21と同様に、クロック信号を0°シフトする回路である。
【0066】
制御部3−2は、90°シフト回路36と、三角波発生回路37と、コンパレータ38と、インバータ39と、を備えて構成されている。
90°シフト回路36は、クロック信号を90°シフトする回路である。
【0067】
制御部3−3は、180°シフト回路41と、三角波発生回路42と、コンパレータ43と、インバータ44と、を備えて構成されている。
180°シフト回路41は、第1の実施の形態の180°シフト回路25と同様に、クロック信号を180°シフトする回路である。
【0068】
制御部3−4は、270°シフト回路46と、三角波発生回路47と、コンパレータ48と、インバータ49と、を備えて構成されている。
270°シフト回路46は、クロック信号を270°シフトする回路である。
尚、図1と同一要素については同一符号を付して説明は省略する。
【0069】
次に第2の実施の形態に係るスイッチングアンプの動作を説明する。
制御部3−1は、第1の実施の形態と同様に、クロック信号を0°シフトし、シフトしたクロック信号に基づいてパルス信号S21、S22を生成し、生成したパルス信号S21、S22を、それぞれアンプ部1−1のトランジスタQ21、Q22のゲートに供給する。
【0070】
制御部3−2では、90°シフト回路36が、クロック信号を90°シフトし、90°シフトしたクロック信号を三角波発生回路37に供給する。
三角波発生回路37は、90°シフトしたクロック信号から、三角波信号を生成し、生成した三角波信号をコンパレータ38に供給する。
【0071】
コンパレータ38は、音声信号を、三角波発生回路37によって生成された三角波信号と比較することにより、パルス信号S21と位相が90°ずれたパルス信号S23を生成する。
【0072】
インバータ39は、コンパレータ38によって生成されたパルス信号S23を反転し、信号S22と位相を90°シフトしたパルス信号S24を生成する。
制御部3−2は、生成したパルス信号S23、S24を、それぞれアンプ部1−2のトランジスタQ23、Q24のゲートに供給する。
【0073】
制御部3−3は、第1の実施の形態の制御部3−2と同様に、パルス信号S21の位相から180°シフトされたパルス信号S25、及びパルス信号S22の位相から180°シフトされたパルス信号S26を生成し、生成したパルス信号S25、S26を、それぞれアンプ部1−3のトランジスタQ25、Q26のゲートに供給する。
【0074】
制御部3−4では、270°シフト回路46がクロック信号の位相を270°シフトする。
三角波発生回路47は、この270°シフトされたクロック信号に基づいて三角波信号を生成し、生成した三角波信号をコンパレータ48に供給する。
コンパレータ48は、音声信号を、三角波発生回路47から供給された三角波信号と比較することにより、信号S21の位相から270°シフトされたパルス信号S27を生成する。
【0075】
インバータ49は、パルス信号S27を反転し、パルス信号S22の位相から270°シフトされた信号S28を生成する。
そして、制御部3−4は、生成されたパルス信号S27、S28を、それぞれアンプ部1−4のトランジスタQ27、Q28のゲートに供給する。
【0076】
トランジスタQ21〜Q28は、ゲートに供給されたパルス信号に基づいてオン、オフする。
【0077】
アンプ部1−1〜1−4の出力信号の波形を図9に示す。
アンプ部1−1〜1−4は、それぞれ図9(a)〜(d)に示すようなパワーパルス信号S29〜S32を供給する。
【0078】
パワーパルス信号S29〜S32の位相は、それぞれ90°ずつシフトされている。
パワーパルス信号S29〜S32は合成され、図9(e)に示すような合成信号S33が生成される。
【0079】
パワーパルス信号S29〜S32の位相が、それぞれ90°ずつシフトされているため、パワーパルス信号S29〜S32の基本波はキャンセルされる。
【0080】
合成信号S33の周波数分布を図10に示す。
フィルタ部2は、アンプ部1−1〜1−4から供給されたパワーパルス信号S29〜S32を濾波し、所定周波数以上の信号成分を遮断し、所定周波数未満の信号成分のみを通過させる。このようにして、フィルタ部2は、図9(f)に示すような信号S34をスピーカ11に供給する。
【0081】
以上説明したように、本実施の形態によれば、4つのアンプ部1−1〜1−4を並列に接続し、パワーパルス信号の位相を、それぞれ90°ずつシフトして合成するようにしたので、パワーパルス信号の基本波と、2倍の高調波と、3倍の高調波と、をキャンセルすることができる。
【0082】
従って、スイッチング周波数は、従来の4倍以上の周波数となり、各アンプ部1−1〜1−4のスイッチング周波数を従来の1/4に下げることができるとともに、フィルタが簡単になる。
【0083】
尚、ハーフブリッジ回路は、2つに限られるものではなく、3つ以上のハーフブリッジ回路を接続して本実施の形態を適用することもできる。
【0084】
次に、第3の実施の形態について説明する。
第3の実施の形態に係るスイッチングアンプは、BTL回路において、2つのアンプ部から供給されたパワーパルス信号の位相を同じにして、音声信号を負荷に供給することにより、パワーパルス信号の基本波をキャンセルするようにしたものである。
【0085】
第3の実施の形態に係るスイッチングアンプの構成を図11に示す。
第3の実施の形態に係るスイッチングアンプは、アンプ部1−1、1−2と、フィルタ部2−1、2−2と、制御部3−1、3−2と、を備えて構成されている。
これにより、フルブリッジ回路が構成されている。
【0086】
アンプ部1−1は、トランジスタQ31とQ32とを備えて構成されている。
アンプ部1−2は、トランジスタQ33とQ34とを備えて構成されている。
【0087】
フィルタ部2−1は、コイルL31と、L32と、コンデンサC31と、C32と、を備えて構成されている。
フィルタ部2−2は、コイルL33と、L34と、コンデンサC33と、C34と、を備えて構成されている。
【0088】
制御部3−1は、三角波発生回路51と、コンパレータ52と、インバータ53と、を備えて構成されている。
制御部3−2は、音声信号反転回路56と、コンパレータ57と、インバータ58と、を備えて構成されている。
音声信号反転回路56は、供給された音声信号を反転する回路である。
尚、図1と同一要素については同一符号を付して説明は省略する。
【0089】
次に第3の実施の形態に係るスイッチングアンプの動作を説明する。
BTL回路は、フルブリッジ回路をプッシュプル動作させるように構成された回路である。
【0090】
第3の実施の形態にかかるスイッチングアンプの動作を図12に示す。
制御部3−1と制御部3−2とには、図12(a)に示すような音声信号S41が供給される。
制御部3−1には、図12(b)に示すようなクロック信号S42が供給される。
【0091】
三角波発生回路51は、供給されたクロック信号S42に基づいて三角波信号S43を生成し、コンパレータ52に供給する。
コンパレータ52は、図12(c)に示すように、音声信号S41を、供給された三角波信号S43と比較し、図12(d)に示すようなパルス信号S44を生成する。
【0092】
インバータ53は、コンパレータ52の出力信号を反転し、図12(e)に示すようなパルス信号S45を生成する。
制御部3−1は、このパルス信号S44、S45を、それぞれアンプ部1−1のトランジスタQ31、Q32のゲートに供給する。
【0093】
制御部3−2の音声信号反転回路56は、音声信号S41を反転することにより、音声反転信号S46を生成し、コンパレータ57に供給する。
三角波発生回路51は、三角波信号S43をコンパレータ57に供給する。
コンパレータ57は、図12(f)に示すように、音声反転信号S46を、三角波発生回路51から供給された三角波信号S43と比較し、図12(g)に示すようなパルス信号S47を生成する。
【0094】
インバータ58は、コンパレータ57から供給されたパルス信号S47を反転して図2(h)に示すようなパルス信号S48を生成する。
制御部3−2は、生成したパルス信号S47、S48を、それぞれアンプ部1−2のトランジスタQ33、Q34のゲートに供給する。
【0095】
アンプ部1−1のトランジスタQ31、Q32は、それぞれ、制御部3−1から供給されたパルス信号S44、S45に基づいてオン、オフする。
アンプ部1−2のトランジスタQ33、Q34は、それぞれ、制御部3−2から供給されたパルス信号S47、S48に基づいてオン、オフする。
【0096】
トランジスタQ31〜Q34がオン、オフすることにより、アンプ部1−1、1−2は、それぞれフィルタ部2−1、2−2にパワーパルス信号を供給する。フィルタ部2−1、2−2は、それぞれアンプ部1−1、1−2から供給されたパワーパルス信号を濾波し、所定周波数以上の信号成分を遮断し、所定周波数未満の信号成分のみを通過させる。このようにして、フィルタ部2−1,2−2は、音声信号をスピーカ11に供給する。
【0097】
以上説明したように、本実施の形態によれば、BTL回路において、制御部3−2において音声信号を反転し、三角波信号が同位相なパワーパルス信号をフィルタ部2−1,2−2に供給することにより、スピーカ11に流れるパワーパルス信号の基本波をキャンセルすることができる。
【0098】
次に、第4の実施の形態について説明する。
第4の実施の形態に係るスイッチングアンプは、2つのBTL回路を接続し、パワーパルス信号の基本波をキャンセルするようにしたものである。
【0099】
第4の実施の形態に係るスイッチングアンプの構成を図13に示す。
第4の実施の形態に係るスイッチングアンプは、アンプ部1−1〜1−4と、フィルタ部2−1、2−2と、制御部3−1〜3−4と、を備えて構成されている。
【0100】
アンプ部1−1は、トランジスタQ41とQ42とを備えて構成されている。
アンプ部1−2は、トランジスタQ43とQ44とを備えて構成されている。
アンプ部1−3は、トランジスタQ45とQ46とを備えて構成されている。
アンプ部1−4は、トランジスタQ47とQ48とを備えて構成されている。
【0101】
フィルタ部2−1は、コイルL41〜L43と、コンデンサC41と、C42と、を備えて構成されている。
フィルタ部2−2は、コイルL44〜L46と、コンデンサC43と、C44と、を備えて構成されている。
【0102】
制御部3−1〜3−4の構成を図14に示す。
制御部3−1は、0°シフト回路61と、三角波発生回路62と、コンパレータ63と、インバータ64と、を備えて構成されている。
制御部3−2は、180°シフト回路66と、三角波発生回路67と、コンパレータ68と、インバータ69と、を備えて構成されている。
【0103】
制御部3−3は、90°シフト回路71と、三角波発生回路72と、コンパレータ73と、インバータ74と、音声信号反転回路75と、を備えて構成されている。
制御部3−4は、270°シフト回路76と、三角波発生回路77と、コンパレータ78と、インバータ79と、を備えて構成されている。
【0104】
制御部3−3の音声信号反転回路75は、音声信号を反転出力する回路75であり、反転した音声信号をコンパレータ73と、制御部3−4のコンパレータ78と、に出力する。
尚、図1と同一要素については同一符号を付して説明は省略する。
【0105】
次に第4の実施の形態に係るスイッチングアンプの動作を説明する。
第4の実施の形態に係るスイッチングアンプでは、制御部3−1と制御部3−2とが、アンプ部1−1、アンプ部1−2から供給されるパワーパルス信号の位相差が180°となるようにアンプ部1−1、1−2を制御し、制御部3−3と制御部3−4とは、アンプ部1−3、1−4から供給されるパワーパルス信号の位相差が180°となるようにアンプ部1−3、1−4を制御する。
これにより、スピーカ11の前段で、パワーパルス信号の基本波はキャンセルされる。
【0106】
また、制御部3−1と制御部3−3とは、アンプ部1−1、1−3から供給されるパワーパルス信号の位相差が90°となるように制御し、制御部3−2と制御部3−4とは、アンプ部1−2、1−4から出力されるパワーパルス信号の位相差が90°となるように制御する。
これにより、2倍の高調波がカットされ、この高調波はスピーカ11に供給されなくなる。
【0107】
以上説明したように、本実施の形態によれば、BTL回路を図13に示すように接続し、各アンプ部1−1〜1−4から供給されるパワーパルス信号の位相を制御することにより、パワーパルス信号の基本波、さらに2倍の高調波をキャンセルすることができる。
【0108】
尚、BTL回路は2つに限られるものではなく、さらに3つ以上のBTL回路を接続して本実施の形態を適用することもできる。
【0109】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、スイッチング周波数を低減し、パワーパルス信号の基本波または基本波と高調波とをキャンセルすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るスイッチングアンプの構成を示す回路図である。
【図2】図1のスイッチングアンプの動作を示す信号波形図である。
【図3】図1のスイッチングアンプの動作を示す信号波形図である。
【図4】図1のスイッチングアンプの動作を示す拡大波形図である。
【図5】図1のスイッチングアンプの動作を説明するための説明図である。
【図6】図1のスイッチングアンプのパワーパルス信号の周波数成分を示す説明図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るスイッチングアンプの構成を示す回路図である。
【図8】図7の制御部の構成を示すブロック図である。
【図9】図7のスイッチングアンプの動作を示す拡大波形図である。
【図10】図7のスイッチングアンプのパワーパルス信号の周波数成分を示す説明図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係るスイッチングアンプの構成を示す回路図である。
【図12】図11のスイッチングアンプの動作を示す信号波形図である。
【図13】本発明の第4の実施の形態に係るスイッチングアンプの構成を示す回路図である。
【図14】図13の制御部の構成を示すブロック図である。
【図15】従来のスイッチングアンプの構成を示す回路図である。
【図16】従来のスイッチングアンプの動作を示す信号波形図である。
【図17】従来のBTL回路を用いたスイッチングアンプの構成を示す回路図である。
【図18】従来のBTL回路を用いたスイッチングアンプの動作を示す拡大信号波形図である。
【図19】従来のBTL回路を用いたスイッチングアンプのパワーパルス信号の周波数成分を示す説明図である。
【符号の説明】
1−1、1−2 アンプ部
2 フィルタ部
3,3−1、3−2 制御部
4 直流阻止部
5 出力部
6 直流電源

Claims (2)

  1. パルス信号を生成し、生成したパルス信号のオン期間とオフ期間との比を、増幅すべき原信号の信号レベルに基づいて設定し、当該パルス信号に基づいて直流電圧をスイッチングし濾波することにより、前記原信号を増幅し、増幅した信号を負荷に供給するスイッチングアンプにおいて、
    それぞれ位相が異なる複数のパルス信号を生成するパルス信号生成部と、
    前記パルス信号生成部によって生成された複数のパルス信号がそれぞれ供給され、供給されたパルス信号に基づいて、直流電圧をスイッチングすることにより、それぞれ位相が異なるパワーパルス信号を生成する複数のアンプ部と、
    前記複数のアンプ部から出力された各パワーパルス信号を合成するとともに濾波して負荷に供給する濾波部と、を備え、
    前記濾波部は、第1のリアクトルと第2のリアクトルと第3のリアクトルと第4のリアクトルとを備え、
    前記複数のアンプ部は、それぞれ、2つのスイッチング素子を直列に接続し、前記直流電圧が前記直列接続された2つのスイッチング素子に供給されるように構成された第1のアンプ部と第2のアンプ部と第3のアンプ部と第4のアンプ部とからなり、
    前記第1のアンプ部の前記2つのスイッチング素子の接続点に前記濾波部の前記第1のリアクトルの一端を接続し、前記第2のアンプ部の前記2つのスイッチング素子の接続点に前記濾波部の前記第2のリアクトルの一端を接続し、前記第3のアンプ部の前記2つのスイッチング素子の接続点に前記濾波部の前記第3のリアクトルの一端を接続し、前記第4のアンプ部の前記2つのスイッチング素子の接続点に前記濾波部の前記第4のリアクトルの一端を接続し、前記第1のリアクトル乃至前記第4のリアクトルの各他端を接続し、前記第1のアンプ部乃至前記第4のアンプ部の前記2つのスイッチング素子のそれぞれの接続点に、前記第1のリアクトル乃至前記第4のリアクトルを介して負荷の一端を接続することにより、ハーフブリッジ回路が構成され、
    前記パルス信号生成部は、第1のパルス信号生成部と第2のパルス信号生成部と第3のパルス信号生成部と第4のパルス信号生成部とからなり、それぞれ、
    クロック信号を所定の位相だけシフトしたシフト信号を生成するクロック信号シフト手段と、
    前記クロック信号シフト手段によってシフトされたクロック信号の位相で比較基準信号を生成する比較基準信号生成手段と、
    前記増幅すべき原信号を、前記比較基準信号生成手段によって生成された比較基準信号と比較することにより、パルス信号を生成するパルス信号生成手段と、
    前記パルス信号生成手段によって生成されたパルス信号を反転して、反転パルス信号を生成する反転パルス信号生成手段と、を備え、
    前記第1のパルス信号生成部は、前記パルス信号生成手段が生成したパルス信号、前記反転パルス信号生成手段が生成した反転パルス信号を、それぞれ、前記第1のアンプ部の一方のスイッチング素子、他方のスイッチング素子に出力し、
    前記第2のパルス信号生成部は、前記パルス信号生成手段が生成したパルス信号、前記反転パルス信号生成手段が生成した反転パルス信号を、それぞれ、前記第2のアンプ部の一方のスイッチング素子、他方のスイッチング素子に出力し、
    前記第3のパルス信号生成部は、前記パルス信号生成手段が生成したパルス信号、前記反転パルス信号生成手段が生成した反転パルス信号を、それぞれ、前記第3のアンプ部の一方のスイッチング素子、他方のスイッチング素子に出力し、
    前記第4のパルス信号生成部は、前記パルス信号生成手段が生成したパルス信号、前記反転パルス信号生成手段が生成した反転パルス信号を、それぞれ、前記第4のアンプ部の一方のスイッチング素子、他方のスイッチング素子に出力し、
    前記第1のパルス信号生成部乃至前記第4のパルス信号生成部からそれぞれ出力されるパルス信号の位相が異なり、前記パワーパルス信号の基本波成分及び高調波成分キャンセルされるように、前記第1のパルス信号生成部乃至前記第4のパルス信号生成部の各クロック信号シフト手段が、互いに異なる位相で前記クロック信号の位相をシフトする、
    ことを特徴とするスイッチングアンプ。
  2. パルス信号を生成し、生成したパルス信号のオン期間とオフ期間との比を、増幅すべき原信号の信号レベルに基づいて設定し、当該パルス信号に基づいて直流電圧をスイッチングし濾波することにより、前記原信号を増幅し、増幅した信号を負荷に供給するスイッチングアンプにおいて、
    それぞれ位相が異なる複数のパルス信号を生成するパルス信号生成部と、
    前記パルス信号生成部によって生成された複数のパルス信号がそれぞれ供給され、供給されたパルス信号に基づいて、直流電圧をスイッチングすることにより、それぞれ位相が異なるパワーパルス信号を生成する複数のアンプ部と、
    前記複数のアンプ部から出力された各パワーパルス信号を合成するとともに濾波して負荷に供給する濾波部と、を備え、
    前記濾波部は、第1のリアクトルと第2のリアクトルと第3のリアクトルと第4のリアクトルとを備え、
    前記複数のアンプ部は、それぞれ、2つのスイッチング素子を直列に接続し、前記直流電圧が前記直列接続された2つのスイッチング素子に供給されるように構成された第1のアンプ部と第2のアンプ部と第3のアンプ部と第4のアンプ部とからなり、
    前記第1のアンプ部の前記2つのスイッチング素子の接続点に前記濾波部の前記第1のリアクトルの一端を接続し、前記第2のアンプ部の前記2つのスイッチング素子の接続点に前記濾波部の前記第2のリアクトルの一端を接続し、前記第1のリアクトルの他端と前記第2のリアクトルの他端とを接続し、前記第1のアンプ部及び前記第2のアンプ部の前記2つのスイッチング素子のそれぞれの接続点に、前記第1のリアクトル及び前記第2のリアクトルを介して負荷の一端を接続し、
    前記第3のアンプ部の前記2つのスイッチング素子の接続点に前記濾波部の前記第3のリアクトルの一端を接続し、前記第4のアンプ部の前記2つのスイッチング素子の接続点に前記濾波部の前記第4のリアクトルの一端を接続し、前記第3のリアクトルの他端と前記第4のリアクトルの他端とを接続し、前記第3のアンプ部及び前記第4のアンプ部の前記2つのスイッチング素子のそれぞれの接続点に、前記第3のリアクトル及び前記第4のリアクトルを介して前記負荷の他端を接続することにより、前記第1のアンプ部乃至前記第4のアンプ部をブリッジ接続したフルブリッジ回路が構成され、
    前記パルス信号生成部は、第1のパルス信号生成部と第2のパルス信号生成部と第3のパルス信号生成部と第4のパルス信号生成部とからなり、
    前記第1のパルス信号生成部は、
    供給されたクロック信号を所定の位相だけシフトしたシフト信号を生成する第1のクロック信号シフト手段と、
    前記第1のクロック信号シフト手段によってシフトされたクロック信号の位相で比較基準信号を生成する第1の比較基準信号生成手段と、
    前記増幅すべき原信号を、前記第1の比較基準信号生成手段によって生成された比較基準信号と比較することにより、パルス信号を生成する第1のパルス信号生成手段と、
    前記第1のパルス信号生成手段によって生成されたパルス信号を反転し、反転パルス信号を生成する第1の反転パルス信号生成手段と、を備え、
    前記第2のパルス信号生成部は、
    供給されたクロック信号を所定の位相だけシフトしたシフト信号を生成する第2のクロック信号シフト手段と、
    前記第2のクロック信号シフト手段によってシフトされたクロック信号の位相で比較基準信号を生成する第2の比較基準信号生成手段と、
    前記増幅すべき原信号を、前記第2の比較基準信号生成手段によって生成された比較基準信号と比較することにより、パルス信号を生成する第2のパルス信号生成手段と、
    前記第2のパルス信号生成手段によって生成されたパルス信号を反転し、反転パルス信号を生成する第2の反転パルス信号生成手段と、を備え、
    前記第3のパルス信号生成部は、
    供給されたクロック信号を所定の位相だけシフトしたシフト信号を生成する第3のクロック信号シフト手段と、
    前記第3のクロック信号シフト手段によってシフトされたクロック信号の位相で比較基準信号を生成する第3の比較基準信号生成手段と、
    前記増幅すべき原信号を反転させる原信号反転手段と、
    前記原信号反転手段によって反転された信号を、前記第3の比較基準信号生成手段によって生成された比較基準信号と比較することにより、パルス信号を生成する第のパルス信号生成手段と、
    前記第のパルス信号生成手段によって生成されたパルス信号を反転し、反転パルス信号を生成する第の反転パルス信号生成手段と、を備え、
    前記第4のパルス信号生成部は、
    供給されたクロック信号を所定の位相だけシフトしたシフト信号を生成する第4のクロック信号シフト手段と、
    前記第4のクロック信号シフト手段によってシフトされたクロック信号の位相で比較基準信号を生成する第4の比較基準信号生成手段と、
    前記第3のパルス信号生成部の前記原信号反転手段によって反転された信号を、前記第4の比較基準信号生成手段によって生成された比較基準信号と比較することにより、パルス信号を生成する第4のパルス信号生成手段と、
    前記第4のパルス信号生成手段によって生成されたパルス信号を反転し、反転パルス信号を生成する第4の反転パルス信号生成手段と、を備え、
    前記第1のパルス信号生成部は、前記第1のパルス信号生成手段が生成したパルス信号、前記第1の反転パルス信号生成手段が生成した反転パルス信号を、それぞれ前記第1のアンプ部の一方のスイッチング素子、他方のスイッチング素子に出力し、
    前記第2のパルス信号生成部は、前記第2のパルス信号生成手段が生成したパルス信号、前記第2の反転パルス信号生成手段が生成した反転パルス信号を、それぞれ前記第2のアンプ部の一方のスイッチング素子、他方のスイッチング素子に出力し、
    前記第3のパルス信号生成部は、前記第3のパルス信号生成手段が生成したパルス信号、前記第3の反転パルス信号生成手段が生成した反転パルス信号を、それぞれ前記第3のアンプ部の一方のスイッチング素子、他方のスイッチング素子に出力し、
    前記第4のパルス信号生成部は、前記第4のパルス信号生成手段が生成したパルス信号、前記第4の反転パルス信号生成手段が生成した反転パルス信号を、それぞれ前記第4のアンプ部の一方のスイッチング素子、他方のスイッチング素子に出力し、
    前記第1のパルス信号生成部乃至前記第4のパルス信号生成部からそれぞれ出力されるパルス信号の位相が異なり、前記パワーパルス信号の基本波成分及び高調波成分キャンセルされるように、前記第1のクロック信号シフト手段乃至第4のクロック信号シフト手段は、互いに異なる位相で前記クロック信号をシフトする、
    ことを特徴とするスイッチングアンプ。
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