JP4161358B2 - 感放射線性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感放射線性組成物に関する。さらに詳しくは、KrFエキシマレーザー等の紫外線、遠紫外線、X線あるいは荷電粒子線の如き各種放射線を使用する微細加工に好適な化学増幅型ポジ型レジストとして有用な感放射線性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
集積回路素子の製造に代表される微細加工の分野においては、集積回路のより高い集積度を得るために、リソグラフィーにおけるデザインルールの微細化が急速に進行しており、近年では、線幅0.5μm以下の高精度の微細加工を安定して行なうことができるリソグラフィープロセスの開発が強く推し進められている。
【0003】
しかしながら、従来の可視光線(波長700〜400nm)や近紫外線(波長400〜300nm)を用いる方法では、このような微細パターンを高精度に形成することが困難であり、そのため、より幅広い焦点深度を達成でき、デザインルールの微細化に有効な短波長(波長300nm以下)の放射線を用いるリソグラフィープロセスが提案されている。
【0004】
このような短波長の放射線を用いるリソグラフィープロセスとしては、例えば、KrFエキシマレーザー(波長248nm)やArFエキシマレーザー(波長193nm)等の遠紫外線、シンクロトロン放射線等のX線あるいは電子線等の荷電粒子線を使用する方法が提案されている。そして、これらの短波長の放射線に対応する高解像度レジストとして、インターナショナル・ビジネス・マシーン(IBM)社により「化学増幅型レジスト」が提唱され、現在この化学増幅型レジストの改良が精力的に進められている。
【0005】
このような化学増幅型レジストは、それに含有させる感放射線性酸発生剤への放射線の照射(以下、「露光」という。)により酸を発生させ、この酸の触媒作用により、レジスト膜中で化学反応(例えば極性の変化、化学結合の開裂、架橋反応等)を生起させ、現像液に対する溶解性が露光部において変化する現象を利用して、パターンを形成するものである。
【0006】
そして、従来の化学増幅型レジストのうち比較的良好なレジスト性能を示すものに、樹脂成分として、アルカリ可溶性樹脂中のアルカリ親和性基をt−ブチルエステル基やt−ブトキシカルボニル基で保護した樹脂(特公平2−27660号公報参照)、アルカリ可溶性樹脂中のアルカリ親和性基をケタール基で保護した樹脂(特開平7−140666号公報参照)、エトキシエチル基やテトラヒドロピラニル基のようなアセタール基で保護した樹脂(特開平2−161436号公報および特開平5−249682号公報参照)およびアルカリ可溶性樹脂中のアルカリ親和性基をt−ブトキシカルボニル基で保護した樹脂とアルカリ可溶性樹脂中のアルカリ親和性基をアセタール基で保護した樹脂との組合せ(特開平8−15864号および特開平10−31309号公報参照)等を使用したレジストが知られている。
【0007】
しかしながら、これらの化学増幅型レジストにはそれぞれ固有の問題があり、特に設計寸法0.26μm以下の微細工程への実用化に際して種々の困難を伴うことが指摘されている。
例えば、アルカリ可溶性樹脂中のアルカリ親和性基をt−ブチルエステル基で保護した樹脂を用いたレジストでは、露光後に130℃以上の温度で加熱処理を行わないと、露光から露光後の加熱処理までの引き置き時間(Post Exposure Time Delay;以下、「PED」という。)の変動に対する安定性を十分確保することが困難であるため、工業的に不利であり、また、アルカリ可溶性樹脂中のアルカリ親和性基をt−ブトキシカルボニル基で保護した樹脂を用いたレジストでは、解像性能が不十分であり、さらにアルカリ可溶性樹脂中のアルカリ親和性基をシリル基で保護した樹脂を用いたレジストでは、レジストを基板から剥離するのが困難であるという問題がある。
【0008】
一方、アルカリ可溶性樹脂中のアルカリ親和性基をエトキシエチル基やテトラヒドロピラニル基で保護した樹脂を用いたレジストは、ノボラック樹脂−ナフトキノンジアジドをベースとするi線レジストと同様のプロセス条件(例えば、加熱処理温度、現像条件等)を採用することができ、高いポテンシャルを有するといえるが、形成されたパターンの表面および側面の凹凸が大きく、微細パターンの精密な線幅制御に支障をきたすことが第1の問題として挙げられる。また第2の問題として、いわゆる光近接効果の影響が大きく、パターンの疎密による寸法差あるいはパターン端部における丸まりや後退現象が生じやすいという点が指摘される。パターンの疎密による寸法差が大きいと、ライン・アンド・スペースパターンの最適露光量で露光を行うと、孤立パターンではその設計寸法どおりのパターンが得られず、近年におけるマルチメディアの普及により、ロジック回路とメモリ回路のワンチップ化へのニーズを満足させることができない。さらに、第3の問題として近年ダマシンプロセスの採用などでニーズが高くなってきたアスペクト比(レジスト膜厚/開口寸法)の高い微細なコンタクトホールを加工する際に、解像性能が不十分で十分なフォーカス許容性が得られないという問題があった。
【0009】
このような事情から、ライン・アンド・スペースパターンの解像度やパターン形状に加えて、光近接効果が小さく孤立パターンの解像度に優れ、高アスペクト比のコンタクトホールの加工に際しても十分なフォーカス許容性があり、かつパターンの表面および側面の凹凸(即ち、膜面荒れ)も小さなレジストが求められるようになってきている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、各種の放射線に有効に感応し、解像度およびパターン形状が優れ、かつ膜面荒れも小さく、さらに光近接効果が小さく、ライン・アンド・スペースパターン、孤立パターン、コンタクトホールパターンのいずれについても、微細パターンを高精度にかつ安定して形成することができる化学増幅型ポジ型レジストとして有用な感放射線性組成物を提供することにある。
本発明の他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、
(A)下記式(1)
【化4】
(式中、R1は水素原子またはメチル基を示す。)
で表される繰返し単位と下記式(2)
【化5】
(式中、R1の定義は上記に同じであり、R2は水素原子またはメチル基を示し、R3はメチル基またはエチル基を示す。)
で表される繰返し単位を含む共重合体、
(B)上記式(1)で表される繰返し単位と下記式(3)
【化6】
(式中、R1の定義は上記に同じである)
で表される繰返し単位を含む共重合体、並びに
(C)感放射線性酸発生剤
を含有することを特徴とする感放射線性組成物によって達成される。
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
(A)共重合体
本発明において使用される(A)共重合体は、前記式(1)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(1)」という。)、前記式(2)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(2)」という。)を含む共重合体である。(A)共重合体において、繰返し単位(1)および(2)の合計の含有率は全繰返し単位に対して70モル%以上であり、かつ繰返し単位(1)の含有率は全繰返し単位に対して40モル%を超え90モル%未満であり、繰返し単位(2)の含有率は全繰返し単位に対して3モル%を超え40モル%未満であることが好ましい。さらに好ましくは、繰返し単位(1)および(2)の合計の含有率は全繰返し単位に対して75モル%以上であり、かつ繰返し単位(1)の含有率は全繰返し単位に対して50モル%を超え80モル%未満であり、繰返し単位(2)の含有率は全繰返し単位に対して5モル%を超え30モル%未満である。
【0013】
この場合、繰返し単位(1)および(2)の合計の含有率が全繰返し単位に対して70モル%未満では、ライン・アンド・スペースパターンの解像度およびコンタクトホールのフォーカス許容性が低下する傾向がある。また、繰返し単位(1)の含有率が全繰返し単位に対して40モル%以下では、レジストとしての耐熱性が低下する傾向があり、一方80モル%以上では、共重合体のアルカリ現像液に対する溶解性が高くなりすぎ、ライン・アンド・スペースパターンの解像度が低下する傾向がある。さらに繰返し単位(2)の含有率が全繰返し単位に対して3モル%以下となると、コンタクトホールのフォーカス許容性が低下する傾向があり、40モル%以上となると光近接効果が大きくなり、またパターンの膜面荒れも大きくなる傾向がある。
【0014】
(A)共重合体において、繰返し単位(2)の具体例としては、下記式(4)〜(6)に示される繰返単位を挙げることができる。
【0015】
【化7】
【0016】
【化8】
【0017】
【化9】
【0018】
このなかで、式(4)に示される繰返し単位がとくに好ましい。
【0019】
上記式(2)で表わされる骨格が他のアセタール骨格と比較して、何故優れた性能を発現するか詳細なメカニズムは不明であるが、下記▲1▼〜▲3▼の点で優れた性能を発現しているものと推察される。
【0020】
▲1▼1―エトキシエチル基や1―エトキシプロピル基などのように炭素数が7以下の小さなアセタール保護基と比べて炭素数が大きいため溶解抑止効果が大きく、脱保護反応後の露光部と未露光部の溶解速度差(溶解コントラスト)が大きくなり、微細コンタクトホールを加工するのに十分な高解像性が得られる。
▲2▼1―エトキシエチル基や1―エトキシプロピル基などのように炭素数が7未満の小さなアセタール保護基と比べて脱保護時に副生するアルコールの沸点が十分高く、PEB時にも膜中に一部残留し酸の拡散を助成する。結果として局所的な脱保護反応の異常進行は発生せず、露光部内で均一に脱保護反応が進行するようになり、膜面荒れが抑制される。
▲3▼炭素数10以上のアセタール、とくにドデシル骨格やトリエチレングリコールなどの長鎖アルキル基や長鎖エーテル骨格を有するようなアセタールを用いると、溶解抑止効果は高くなるが、側鎖のセグメント運動が大きくなり耐熱性が極端に悪化する。一方、シクロヘキサン骨格を有し炭素数7〜9の本願のアセタール保護基は、脂環骨格のため直鎖骨格よりリジッドであることもあって、レジストとして必要とされる耐熱性を維持することができる。
【0021】
(A)共重合体は、場合により、前記繰返し単位(1)および(2)以外の繰返し単位(以下、「他の繰返し単位」という。)を1種以上含むことができる。
【0022】
他の繰返し単位を与える単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、4―メチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−t−ブトキシスチレン、4―(1―エトキシエトキシスチレン)、4―(1―エトキシプロポキシスチレン)、4―(1―t−ブトキシエトキシスチレン)、4―(1―n−ブトキシエトキシスチレン)、4−テトラヒドロピラニルオキシスチレン、4−アセトキシスチレン、4−t−ブトキシカルボニルメトキシスチレン、2−ヒドロキシスチレン、3−ヒドロキシスチレン、3−メチル−4−ヒドロキシスチレン等のスチレン類;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、メチル無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸類またはそれらの酸無水物類;前記不飽和カルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、i−プロピルエステル、n−ブチルエステル、i−ブチルエステル、sec−ブチルエステル、t−ブチルエステル、n−アミルエステル、2−ヒドロキシエチルエステル、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルエステル、ベンジルエステル、イソボルニルエステル、アダマンチルエステル、トリシクロデカニルエステル、テトラシクロデカニルエステル等のエステル類;(メタ)アクリロニトリル、マレインニトリル、フマロニトリル、メサコンニトリル、シトラコンニトリル、イタコンニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、クロトンアミド、マレインアミド、フマルアミド、メサコンアミド、シトラコンアミド、イタコンアミド等の不飽和アミド類;マレイミド、N−フェニルマレイミド等の不飽和イミド類;(メタ)アリルアルコール等の不飽和アルコール類や、ビニルアニリン類、ビニルピリジン類、N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール等の他のビニル化合物を挙げることができる。これらの単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0023】
前記他の繰返し単位を与える単量体のうち、スチレン、4―メチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−t−ブトキシスチレン、4−t−ブトキシカルボニルオキシスチレン、4―(1―エトキシエトキシスチレン)、4―(1―エトキシプロポキシスチレン)、4−テトラヒドロピラニルオキシスチレン、4−アセトキシスチレン、4−t−ブトキシカルボニルメトキシスチレン、2−ヒドロキシスチレン、3−ヒドロキシスチレン、3−メチル−4−ヒドロキシスチレン、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリロニトリル等を好ましい具体例として挙げることができる。
これらの単量体に由来する他の繰返し単位の含有率は、(A)共重合体中の全繰返し単位に対して、30モル%以下であることが好ましく、さらに好ましくは25モル%以下である。
【0024】
(A)共重合体は、例えば、下記(イ)〜(ハ)等の方法により製造することができる。
(イ)ラジカル重合、アニオン重合あるいはカチオン重合等により製造されたヒドロキシスチレン類のポリマー、例えばポリ(4−ヒドロキシスチレン)、ポリ(4−ヒドロキシスチレン−co−スチレン)等のナトリウムフェノキシド誘導体と、下記式(7)
【化10】
ここで、R2およびR3の定義は式(2)に同じである、
で表される化合物、例えば、1−シクロヘキシルオキシ−1−クロロエタン等)とを反応させて、フェノール性水酸基の一部をアセタール化する方法。
【0025】
(ロ)ラジカル重合、アニオン重合あるいはカチオン重合等により製造されたヒドロキシスチレン類のポリマー、例えばポリ(4−ヒドロキシスチレン)、ポリ(4−ヒドロキシスチレン−co−スチレン)、ポリ(4−ヒドロキシスチレン−co−4−t−ブトキシスチレン)、ポリ(4−ヒドロキシスチレン−co−4−アセトキシスチレン)、ポリ(4−ヒドロキシスチレン−co−2−ヒドロキシスチレン)、ポリ(4−ヒドロキシスチレン−co−3−ヒドロキシスチレン)、ポリ(4−ヒドロキシスチレン−co−3−メチル−4−ヒドロキシスチレン)、ポリ(4−ヒドロキシスチレン−co−(メタ)アクリル酸t−ブチル)、ポリ(4−ヒドロキシスチレン−co−(メタ)アクリル酸イソボルニル)、ポリ(4−ヒドロキシスチレン−co−(メタ)アクリル酸アダマンチル)、ポリ(4−ヒドロキシスチレン−co−(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル)、ポリ(4−ヒドロキシスチレン−co−(メタ)アクリロニトリル)等のフェノール性水酸基の一部を、弱酸性触媒の存在下で、上記式(2)に対応する不飽和エーテル化合物、例えば、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルプロペニルエーテル、2―シクロヘキシルオキシプロペン等を必要に応じて他の不飽和エーテル化合物、例えば、エチルビニルエーテルやエチル−1−プロペニルエーテル、2,3−ジヒドロピラン等とともに付加反応させて、アセタール化する方法。
【0026】
(ハ)4−ヒドロキシスチレンと繰返し単位(2)に対応する単量体を、必要に応じて他の繰返し単位に対応する単量体と共に、例えば、ラジカル重合開始剤等を適宜に選定し、塊状重合、溶液重合、沈澱重合、乳化重合、懸濁重合、塊状−懸濁重合等の適宜の方法により共重合する方法。
【0027】
(A)共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)によるポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という)は、通常、1,000〜100,000、好ましくは3,000〜40,000、さらに好ましくは3,000〜30,000である。この場合、(A)共重合体のMwが1,000未満であると、レジストとしたの感度や耐熱性が低下する傾向があり、一方100,000を超えると、現像液に対する溶解性が低下する傾向がある。
また、(A)共重合体のMwとGPCによるポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」という)との比(Mw/Mn)は、通常、1.0〜10.0、好ましくは1.0〜5.0である。
本発明において、(A)共重合体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0028】
(B)共重合体
本発明において使用される(B)共重合体は、前記繰返し単位(1)と前記式(3)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(3)」という。)を含む共重合体である。(B)共重合体において、繰返し単位(1)および(3)の合計の含有率は全繰返し単位に対して70モル%以上であり、かつ繰返し単位(1)の含有率は全繰返し単位に対して40モル%を超え90モル%未満であり、繰返し単位(3)の含有率は全繰返し単位に対して3モル%を超え40モル%未満であることが好ましい。さらに好ましくは、繰返し単位(1)および(3)の合計の含有率は全繰返し単位に対して75モル%以上であり、かつ繰返し単位(1)の含有率は全繰返し単位に対して50モル%を超え80モル%未満であり、繰返し単位(3)の含有率は全繰返し単位に対して5モル%を超え30モル%未満である。
【0029】
この場合、繰返し単位(1)および(3)の合計の含有率が全繰返し単位に対して70モル%未満では、ライン・アンド・スペースパターンの解像度およびコンタクトホールのフォーカス許容性が低下する傾向がある。また、繰返し単位(1)の含有率が全繰返し単位に対して40モル%以下では、レジストとしての耐熱性が低下する傾向があり、一方80モル%以上では、共重合体のアルカリ現像液に対する溶解性が高くなりすぎ、ライン・アンド・スペースパターンの解像度が低下する傾向がある。さらに繰返し単位(3)の含有率が全繰返し単位に対して3モル%以下となると、コンタクトホールのフォーカス許容性が低下する傾向があり、40モル%以上となると光近接効果が大きくなり、またパターンの膜面荒れも大きくなる傾向がある。
【0030】
上記式(3)で表わされる骨格が他のアセタール骨格と比較して、何故優れた性能を発現するか詳細なメカニズムは不明であるが、前記式(2)について記載した▲1▼〜▲3▼の理由と同じ理由で優れた性能を発現しているものと推察される。
(B)共重合体は、場合により、前記繰返し単位(1)および(3)以外の繰返し単位(以下、「他の繰返し単位」という。)を1種以上含むことができる。
【0031】
他の繰返し単位を与える単量体およびそのうちの好ましい単量体としては、共重合体(A)について記載したものと同じ単量体を挙げることができる。
これらの単量体に由来する他の繰返し単位の含有率は、(B)共重合体中の全繰返し単位に対して、30モル%以下であることが好ましく、さらに好ましくは25モル%以下である。
【0032】
(B)共重合体は、例えば、下記(ニ)、(ホ)等の方法により製造することができる。
(ニ)ラジカル重合、アニオン重合あるいはカチオン重合等により製造されたヒドロキシスチレン類のポリマー、例えばポリ(4−ヒドロキシスチレン)、ポリ(4−ヒドロキシスチレン−co−スチレン)、ポリ(4−ヒドロキシスチレン−co−4−t−ブトキシスチレン)、ポリ(4−ヒドロキシスチレン−co−4−アセトキシスチレン)、ポリ(4−ヒドロキシスチレン−co−2−ヒドロキシスチレン)、ポリ(4−ヒドロキシスチレン−co−3−ヒドロキシスチレン)、ポリ(4−ヒドロキシスチレン−co−3−メチル−4−ヒドロキシスチレン)、ポリ(4−ヒドロキシスチレン−co−(メタ)アクリル酸t−ブチル)、ポリ(4−ヒドロキシスチレン−co−(メタ)アクリル酸イソボルニル)、ポリ(4−ヒドロキシスチレン−co−(メタ)アクリル酸アダマンチル)、ポリ(4−ヒドロキシスチレン−co−(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル)、ポリ(4−ヒドロキシスチレン−co−(メタ)アクリロニトリル)等をトリエチルアミンなどの塩基性触媒存在下でジt-ブチルカーボネートとを反応させて、フェノール性水酸基の一部分をt−ブトキシカーボネート化する方法。
(ホ)4−ヒドロキシスチレンと繰返し単位(3)に対応する単量体を、必要に応じて他の繰返し単位に対応する単量体と共に、例えば、ラジカル重合開始剤等を適宜に選定し、塊状重合、溶液重合、沈澱重合、乳化重合、懸濁重合、塊状−懸濁重合等の適宜の方法により共重合する方法。
【0033】
(B)共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)によるポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という)は、通常、1,000〜100,000、好ましくは3,000〜40,000、さらに好ましくは3,000〜30,000である。この場合、(B)共重合体のMwが1,000未満であると、レジストとしたの感度や耐熱性が低下する傾向があり、一方100,000を超えると、現像液に対する溶解性が低下する傾向がある。
また、(B)共重合体のMwとGPCによるポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」という)との比(Mw/Mn)は、通常、1.0〜10.0、好ましくは1.0〜5.0である。
【0034】
また、本発明においては(A)共重合体および(B)共重合体の他に、必要に応じて、基板に塗布した際の塗膜の均一性を損なわず、しかも(A)共重合体および(B)共重合体との相溶性の良い樹脂や低分子化合物とブレンドして用いることもできる。この場合、ブレンドする樹脂や低分子化合物の合計使用量は、(A)共重合体と(B)共重合体の合計100重量部に対して、100重量部以下であることが好ましい。
【0035】
(C)感放射線性酸発生剤
本発明において使用される(C)感放射線性酸発生剤(以下、「酸発生剤」という。)は、露光により酸を発生する化合物からなる。
このような酸発生剤としては、▲1▼オニウム塩、▲2▼スルホン化合物、▲3▼スルホン酸エステル化合物、▲4▼スルホンイミド化合物、▲5▼ジアゾメタン化合物、▲6▼ジスルフォニルメタン化合物等を挙げることができる。
【0036】
これらの酸発生剤の例を以下に示す。
▲1▼オニウム塩:
オニウム塩としては、例えば、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩等を挙げることができる。
【0037】
オニウム塩化合物の具体例としては、
ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムピレンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムドデシルベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムp−トルエンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムオクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、
ジフェニルヨードニウムノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムピレンスルホネート、ジフェニルヨードニウムドデシルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウム10−カンファースルホネート、ジフェニルヨードニウムオクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、
トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムピレンスルホネート、トリフェニルスルホニウムドデシルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、トリフェニルスルホニウムオクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムナフタレンスルホネート、4−t−ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、4−t−ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−t−ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムピレンスルホネート、4−t−ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムドデシルベンゼンスルホネート、4−t−ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、4−t−ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムベンゼンスルホネート、4−t−ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、4−t−ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムオクタンスルホネート、4−t−ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウム2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、
4−t−ブトキシフェニル・ジフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、4−ヒドロキシフェニル・ベンジル・メチルスルホニウムp−トルエンスルホネート
等を挙げることができる。
【0038】
▲2▼スルホン化合物:
スルホン化合物としては、例えば、β−ケトスルホン、β−スルホニルスルホンや、これらのα−ジアゾ化合物等を挙げることができる。
スルホン化合物の具体例としては、フェナシルフェニルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェニルスルホニル)メタン、4−トリスフェナシルスルホン等を挙げることができる。
【0039】
▲3▼スルホン酸エステル化合物:
スルホン酸エステル化合物としては、例えば、アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等を挙げることができる。
スルホン酸エステル化合物の具体例としては、ベンゾイントシレート、ピロガロールトリストリフルオロメタンスルホネート、ピロガロールトリスノナフルオロブタンスルホネート、ピロガロールメタンスルホン酸トリエステル、ニトロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホネート、α−メチロールベンゾイントシレート、α−メチロールベンゾインオクタンスルホネート、α−メチロールベンゾイントリフルオロメタンスルホネート、α−メチロールベンゾインドデシルスルホネート等を挙げることができる。
【0040】
▲4▼スルホンイミド化合物:
スルホンイミド化合物としては、例えば、下記式(8)
【0041】
【化11】
【0042】
(式中、Xはアルキレン基、アリーレン基、アルコキシレン基等の2価の基を示し、R4はアルキル基、アリール基、ハロゲン置換アルキル基、ハロゲン置換アリール基等の1価の基を示す。)
で表される化合物を挙げることができる。
【0043】
スルホンイミド化合物の具体例としては、
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、
N−(10−カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)フタルイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ナフチルイミド、
N−(p−トルエンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、
N−(2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2ートリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、
N−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシ)ナフチルイミド等を挙げることができる。
▲5▼ジアゾメタン化合物:
ジアゾメタン化合物としては、例えば、下記式(9)
【0044】
【化12】
【0045】
(式中、R5およびR6は、互いに同一でも異なってもよく、アルキル基、アリール基、ハロゲン置換アルキル基、ハロゲン置換アリール基等の1価の基を示す。)
で表される化合物を挙げることができる。
【0046】
ジアゾメタン化合物の具体例としては、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、メチルスルホニル−p−トルエンスルホニルジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン等を挙げることができる。▲6▼ジスルフォニルメタン化合物:
ジスルフォニルメタン化合物としては、例えば、下記式(10)
【0047】
【化13】
【0048】
〔式中、R7およびR8は、相互に同一でも異なってもよく、1価の直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基またはヘテロ原子を有する1価の他の有機基を示し、YおよびZは、相互に同一でも異なってもよく、アリール基、水素原子、1価の直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基またはヘテロ原子を有する1価の他の有機基を示し、かつYおよびZの少なくとも一方がアリール基であるか、あるいはYとZが相互に連結して少なくとも1個の不飽和結合を有する単環または多環を形成しているか、あるいはYとZが相互に連結して下記式11で表される基を形成している。〕
【0049】
【化14】
【0050】
(但し、Y’およびZ’は相互に同一でも異なってもよく、かつ複数存在するY’およびZ’はそれぞれ同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基を示すか、あるいは同一のもしくは異なる炭素原子に結合したY’とZ’が相互に連結して炭素単環構造を形成しており、nは2〜10の整数である。)
【0051】
前記酸発生剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明において、酸発生剤の使用量は、(A)共重合体および(B)共重合体の合計100重量部当り、通常、0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜15重量部である。
【0052】
酸拡散制御剤
本発明においては、さらに、露光により酸発生剤から生じた酸のレジスト被膜中における拡散現象を制御し、非露光領域での好ましくない化学反応を抑制する作用を有する酸拡散制御剤を配合することが好ましい。
このような酸拡散制御剤を使用することにより、組成物の貯蔵安定性が向上し、またレジストとして解像度が向上するとともに、PEDの変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れたものとなる。
【0053】
酸拡散制御剤としては、レジストパターンの形成工程中の露光や加熱処理により塩基性が変化しない含窒素有機化合物が好ましい。
このような含窒素有機化合物としては、例えば、下記式(12)
【0054】
【化15】
(式中、R9、R10およびR11は、相互に同一でも異なってもよく、水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を示す。)で表される化合物(以下、「含窒素化合物(I)」という。)、同一分子内に窒素原子を2個有するジアミノ化合物(以下、「含窒素化合物(II)」という。)、窒素原子を3個以上有するジアミノ重合体(以下、「含窒素化合物(III)」という。)、下記式(13)で表される化合物(以下、「含窒素化合物(IV)」という)、
【0055】
【化16】
【0056】
〔式(13)において、X1 は主鎖炭素数が2〜8のポリメチレン鎖を示し、R12、R13、R14およびR15は相互に独立に炭素数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基または炭素数7〜12のアラルキル基を示すか、またはR12とR13が結合し、あるいはR14とR15が結合して、それぞれ式(13)中の1個の窒素原子と共に5〜8員環の複素環構造を形成し、R12〜R15の残りが相互に独立に炭素数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基または炭素数7〜12のアラルキル基を示し、かつ前記ポリメチレン鎖、アルキル基、アリール基、アラルキル基および複素環構造の少なくとも1つが炭素原子に結合した水酸基を1個以上有する。但し、前記ポリメチレン鎖、アルキル基、アリール基、アラルキル基および複素環構造は、それらの任意の炭素−炭素結合間に酸素原子、硫黄原子あるいはカルボニル基を有することができ、またそれらの任意の炭素原子に結合した水素原子がアルコキシル基、フェノキシ基等の水酸基以外の1種以上の置換基で置換されていてもよい。〕
下記式(14)で表される化合物(以下、「含窒素化合物(V)」という)、
【0057】
【化17】
【0058】
〔式(14)において、R16およびR17は相互に独立に炭素数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基または炭素数7〜12のアラルキル基を示し、かつ前記アルキル基、アリール基およびアラルキル基、並びに式(14)中のピペラジン環の少なくとも1つが炭素原子に結合した水酸基を1個以上有する。但し、前記アルキル基、アリール基およびアラルキル基は、それらの任意の炭素−炭素結合間に酸素原子、硫黄原子あるいはカルボニル基を有することができ、またそれらの任意の炭素原子に結合した水素原子がアルコキシル基、フェノキシ基等の水酸基以外の1種以上の置換基で置換されていてもよい。〕
下記式(15)で表される化合物(以下、「含窒素化合物(VI)」という)、
【0059】
【化18】
【0060】
〔式(15)において、X2 は主鎖炭素数が2〜8のポリメチレン鎖を示し、R18およびR19は相互に独立に炭素数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基もしくは炭素数7〜12のアラルキル基を示し、かつ前記ポリメチレン鎖、アルキル基、アリール基およびアラルキル基、並びに式(15)中の1個または2個のピペリジン環の少なくとも1つが炭素原子に結合した水酸基を1個以上有する。但し、前記ポリメチレン鎖、アルキル基、アリール基およびアラルキル基は、それらの任意の炭素−炭素結合間に酸素原子、硫黄原子あるいはカルボニル基を有することができ、またそれらの任意の炭素原子に結合した水素原子がアルコキシル基、フェノキシ基等の水酸基以外の1種以上の置換基で置換されていてもよい。〕
下記式(16)で表される化合物(以下、「含窒素化合物(VII) 」という)、
【0061】
【化19】
【0062】
〔式(16)において、X3 およびX4 は相互に独立に主鎖炭素数が2〜8のポリメチレン鎖を示し、R20、R21、R22、R23およびR24は相互に独立に炭素数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基または炭素数7〜12のアラルキル基を示すか、またはR20とR21が相互に結合し、あるいはR23とR24が相互に結合して、それぞれ式(16)中の1個の窒素原子と共に5〜8員環の複素環構造を形成し、R20〜R24の残りが相互に独立に炭素数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基または炭素数7〜12のアラルキル基を示し、かつ前記ポリメチレン鎖、アルキル基、アリール基、アラルキル基および複素環構造の少なくとも1つが炭素原子に結合した水酸基を1個以上有する。但し、前記ポリメチレン鎖、アルキル基、アリール基、アラルキル基および複素環構造は、それらの任意の炭素−炭素結合間に酸素原子、硫黄原子あるいはカルボニル基を有することができ、またそれらの任意の炭素原子に結合した水素原子がアルコキシル基、フェノキシ基等の水酸基以外の1種以上の置換基で置換されていてもよい。〕
下記式(17)で表される化合物(以下、「含窒素化合物(VIII)」という)、
【0063】
【化20】
【0064】
〔式(17)において、R25、R26、R27、R28、R29およびR30は相互に独立に炭素数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基または炭素数7〜12のアラルキル基を示すか、またはR25とR26が相互に結合し、あるいはR27とR28が相互に結合し、あるいはR29とR30が相互に結合して、それぞれ式(17)中の1個の窒素原子と共に5〜8員環の複素環構造を形成し、R25〜R30の残りが相互に独立に炭素数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基もしくは炭素数7〜12のアラルキル基を示す。但し、前記アルキル基、アリール基、アラルキル基および複素環構造は、それらの少なくとも1つが炭素原子に結合した水酸基を1個以上有することができ、またそれらの任意の炭素−炭素結合間に酸素原子、硫黄原子あるいはカルボニル基を有することができ、さらにそれらの任意の炭素原子に結合した水素原子がアルコキシル基、フェノキシ基等の水酸基以外の1種以上の置換基で置換されていてもよい。〕
下記式(18)で表される化合物(以下、「含窒素化合物(IX)」という)、
【0065】
【化21】
【0066】
〔式(8)において、R31、R32、R33、R34およびR35は相互に独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基または炭素数7〜12のアラルキル基を示すか、またはR31とR32が相互に結合し、あるいはR32とR33が相互に結合し、あるいはR33とR34が相互に結合し、あるいはR34とR35が相互に結合して、それぞれ式(18)中の2個の炭素原子と共に6員環の芳香環構造を形成し、R31〜R35の残りが相互に独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基または炭素数7〜12のアラルキル基を示し、かつR31〜R35の少なくとも1つが水酸基であるか、あるいは前記アルキル基、アリール基、アラルキル基および芳香環構造の少なくとも1つが炭素原子に結合した水酸基を1個以上有する。但し、R31〜R35の少なくとも1つが水酸基であるとき、残りのR31〜R35の前記アルキル基、アリール基、アラルキル基および芳香環構造の少なくとも1つが水酸基を1個以上有することができ、前記アルキル基、アリール基、アラルキル基および芳香環構造は、それらの任意の炭素−炭素結合間に酸素原子、硫黄原子あるいはカルボニル基を有することができ、またそれらの任意の炭素原子に結合した水素原子がアルコキシル基、フェノキシ基、ピリジル基等の水酸基以外の1種以上の置換基で置換されていてもよい。〕
アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等を挙げることができる。
【0067】
含窒素化合物(I)としては、例えば、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン類;ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン等のジアルキルアミン類;トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン等のトリアルキルアミン類;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、1−ナフチルアミン等の芳香族アミン類等を挙げることができる。
【0068】
含窒素化合物(II)としては、例えば、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、1,3−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン等を挙げることができる。
含窒素化合物(III)としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ジメチルアミノエチルアクリルアミドの重合体等を挙げることができる。
【0069】
含窒素化合物(IV)の具体例としては、例えば、
N,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N,N’−トリエチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’−トリエチル−N’−(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’−トリフェニル−N’−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N,N’−トリベンジル−N’−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N,N’−トリベンジル−N’−(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’−トリメチル−N’−(4−ヒドロキシフェニル)エチレンジアミン、N,N,N’−トリメチル−N’−(4−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン、N,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)トリメチレンジアミン、N,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)テトラメチレンジアミン、N,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ペンタメチレンジアミン、N,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ヘキサメチレンジアミン、N,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ヘプタメチレンジアミン、N,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)オクタメチレンジアミン、1,3−ビス(ジメチルアミノ)−2−プロパノール、1,3−ビス(ジエチルアミノ)−2−プロパノール、1−ジメチルアミノ−2−(3’−ヒドロキシピロリジノ)エタン、1−ジメチルアミノ−2−(3’−ヒドロキシメチルピロリジノ)エタン、1−ジメチルアミノ−2−{3’−(2''−ヒドロキシエチル)ピロリジノ}エタン、1−ジメチルアミノ−2−(4’−ヒドロキシピペリジノ)エタン等の水酸基を1個有する化合物;
【0070】
N,N’−ジメチル−N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N’−ジエチル−N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N’−ジエチル−N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ビス(4−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン、1,2−ビス(3’−ヒドロキシピロリジノ)エタン、1,2−ビス(3’−ヒドロキシメチルピロリジノ)エタン、1,2−ビス{(3’−(2''−ヒドロキシエチル) ピロリジノ}エタン、1,2−ビス(4’−ヒドロキシピペリジノ)エタン、1,2−ビス(4’−ヒドロキシメチルピペリジノ)エタン、1,2−ビス{(4’−(2''−ヒドロキシエチル) ピペリジノ}エタン、1−モルホリノ−2−{ビス(2’−ヒドロキシエチル)アミノ}エタン等の水酸基を2個有する化合物;
【0071】
N−メチル−N,N’,N’−トリス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N−n−ドデシル−N,N’,N’−トリス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N−メチル−N,N’,N’−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エチレンジアミン、N−メチル−N,N’,N’−トリス(4−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン、1−(3’−ヒドロキシピロリジノ)−2−{ビス(2’−ヒドロキシエチル)アミノ}エタン、1−(4’−ヒドロキシピペリジノ)−2−{ビス(2’−ヒドロキシエチル)アミノ}エタン等の水酸基を3個有する化合物;
【0072】
N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(4−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシ−3−エトキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシ−3−n−プロポキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)エチレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N’−ジエチル−N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N−メチル−N,N’,N’−トリス(2,3−ジヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2,3−ジヒドロキシプロピル)エチレンジアミン等の水酸基を4個以上有する化合物を挙げることができる。
【0073】
含窒素化合物(V)の具体例としては、例えば、
N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、N−エチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、N−n−プロピル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、N−n−ブチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、N−n−ヘキシル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、N−n−オクチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、N−n−デシル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、N−n−ドデシル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N−メチル−N’−(3−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N−フェニル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、N−ベンジル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、N−メチル−N’−(4−ヒドロキシフェニル)ピペラジン、N−メチル−N’−(4−ヒドロキシベンジル)ピペラジン等の水酸基を1個有する化合物;
【0074】
N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ピペラジン、N,N’−ビス(4−ヒドロキシベンジル)ピペラジン、N−メチル−N’−(2,3−ジヒドロキシプロピル)ピペラジン、N−エチル−N’−(2,3−ジヒドロキシプロピル)ピペラジン等の水酸基を2個有する化合物;
【0075】
N−(2−ヒドロキシエチル)−N’−(2,3−ジヒドロキシプロピル)ピペラジン、N−(2−ヒドロキシプロピル)−N’−(2,3−ジヒドロキシプロピル)ピペラジン、N−(4−ヒドロキシフェニル)−N’−(2,3−ジヒドロキシプロピル)ピペラジン、N−(4−ヒドロキシベンジル)−N’−(2,3−ジヒドロキシプロピル)ピペラジン等の水酸基を3個有する化合物;
【0076】
N,N’−ビス(2,3−ジヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)ピペラジン、N,N’−ビス(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)ピペラジン、N,N’−ビス(3,4−ジヒドロキシベンジル)ピペラジン、N,N’−ビス(3,4,5−トリヒドロキシベンジル)ピペラジン等の水酸基を4個以上有する化合物を挙げることができる。
【0077】
含窒素化合物(VI)の具体例としては、例えば、
1−{4’−(N−メチルピペリジニル)}−2−〔4’−{N−(2''−ヒドロキシエチル)ピペリジニル}〕エタン、1−{4’−(N−n−ドデシルピペリジニル)}−2−〔4’−{N−(2''−ヒドロキシエチル)ピペリジニル}〕エタン、1−{4’−(N−ベンジルピペリジニル)}−2−〔4’−{N−(2''−ヒドロキシエチル)ピペリジニル}〕エタン、1,3−ビス{4’−(N−メチルピペリジニル)}−2−プロパノール、1−{4’−(N−メチルピペリジニル)}−3−〔4’−{N−(2''−ヒドロキシエチル)ピペリジニル}〕プロパン、1−{4’−(N−メチルピペリジニル)}−6−〔4’−{N−(2''−ヒドロキシエチル)ピペリジニル}〕ヘキサン、1−{4’−(N−メチルピペリジニル)}−8−〔4’−{N−(2''−ヒドロキシエチル)ピペリジニル}〕オクタン等の水酸基を1個有する化合物;
【0078】
1,2−ビス〔4’−{N−(2''−ヒドロキシエチル)ピペリジニル}〕エタン、1,2−ビス〔4’−{N−(2''−ヒドロキシプロピル)ピペリジニル}〕エタン、1,2−ビス〔4’−{N−(2''−ヒドロキシエチル)ピペリジニル}〕プロパン、1,2−ビス〔4’−{N−(2''−ヒドロキシプロピル)ピペリジニル}〕プロパン等の水酸基を2個有する化合物;
【0079】
1−〔4’−{N−(2''−ヒドロキシエチル)ピペリジニル}〕−2−〔4’−{N’−(2'',3''−ジヒドロキシプロピル)ピペリジニル}〕エタン、1−〔4’−{N−(2''−ヒドロキシプロピル)ピペリジニル}〕−2−〔4’−{N’−(2'',3''−ジヒドロキシプロピル)ピペリジニル}〕エタン、1−〔4’−{N−(2''−ヒドロキシエチル)ピペリジニル}〕−2−〔4’−{N’−(2'',3''−ジヒドロキシプロピル)ピペリジニル}〕プロパン、1−〔4’−{N−(2''−ヒドロキシプロピル)ピペリジニル}〕−2−〔4’−{N’−(2'',3''−ジヒドロキシプロピル)ピペリジニル}〕プロパン等の水酸基を3個有する化合物;
【0080】
1,2−ビス{N−(2’,3’−ジヒドロキシプロピル)ピペラジニル}エタン、1,2−ビス{N−(3’,4’−ジヒドロキシフェニル)ピペラジニル}エタン、1,2−ビス{N−(3’,4’,5’−トリヒドロキシフェニル)ピペラジニル}エタン、1,2−ビス{N−(3’,4’−ジヒドロキシベンジル)ピペラジニル}エタン、1,2−ビス{N−(3’,4’,5’−トリヒドロキシベンジル)ピペラジニル}エタン等の水酸基を4個以上有する化合物を挙げることができる。
【0081】
含窒素化合物(VII) の具体例としては、例えば、
ビス(2−ジメチルアミノエチル)・2−ヒドロキシエチルアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)・2−ヒドロキシプロピルアミン、N,N,N’−トリメチル−N’−{2−(3’−ヒドロキシピロリジノ)エチル)}エチレンジアミン、ビス(2−ピロリジノエチル)・2−ヒドロキシエチルアミン、ビス(2−ピロリジノエチル)・2−ヒドロキシプロピルアミン、メチル・2−ピロリジノエチル・2−(3’−ヒドロキシピロリジノ)エチルアミン、N,N,N’−トリメチル−N’−{2−(4’−ヒドロキシピペリジノ)エチル)}エチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’−(2−ピペリジノエチル)−N’−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等の水酸基を1個有する化合物;
【0082】
N,N’,N''−トリメチル−N,N''−ビス(2−ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミン、N,N,N'',N''−テトラメチル−N’−(2,3−ジヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン、N−メチル−N−(2−ピロリジノエチル)−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、メチル・ビス{2−(3’−ヒドロキシピロリジノ)エチル}アミン、ビス(2−ピロリジノエチル)・2,3−ジヒドロキシプロピルアミン、N−メチル−N−(2−ピペリジノエチル)−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、メチル・ビス{2−(4’−ヒドロキシピペリジノ)エチル}アミン、ビス(2−モルホリノエチル)・2,3−ジヒドロキシプロピルアミン等の水酸基を2個有する化合物;
【0083】
N,N''−ジメチル−N,N’,N''−トリス(2−ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミン、N,N''−ジメチル−N,N’,N''−トリス(2−ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン、N−(2−ピロリジノエチル)−N,N’,N’−トリス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N−(2−ピペリジノエチル)−N,N’,N’−トリス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、ビス{2−(3’−ヒドロキシピロリジノ)エチル}・2−ヒドロキシエチルアミン、ビス{2−(4’−ヒドロキシピペリジノ)エチル}・2−ヒドロキシエチルアミン等の水酸基を3個有する化合物;
【0084】
N’−メチル−N,N,N'',N''−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミン、N’−エチル−N,N,N'',N''−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミン、N’−n−ブチル−N,N,N'',N''−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミン、N’−n−ヘキシル−N,N,N'',N''−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミン、N’−n−オクチル−N,N,N'',N''−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミン、N’−n−デシル−N,N,N'',N''−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミン、N’−n−ドデシル−N,N,N'',N''−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミン、N’−フェニル−N,N,N'',N''−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミン、N’−ベンジル−N,N,N'',N''−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミン、N,N,N’,N'',N''−ペンタキス(2−ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミン、N,N,N’,N'',N''−ペンタキス(2−ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン、N,N,N’,N'',N''−ペンタキス(4−ヒドロキシフェニル)ジエチレントリアミン、N,N,N’,N'',N''−ペンタキス(4−ヒドロキシベンジル)ジエチレントリアミン、N,N,N’,N'',N''−ペンタキス(2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル)ジエチレントリアミン、N,N,N’,N'',N''−ペンタキス(2−ヒドロキシ−3−エトキシプロピル)ジエチレントリアミン、N,N,N’,N'',N''−ペンタキス(2−ヒドロキシ−3−n−プロポキシプロピル)ジエチレントリアミン、N,N,N’,N'',N''−ペンタキス(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)ジエチレントリアミン、N,N''−ジメチル−N,N’,N''−トリス(2,3−ジヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン、N’−メチル−N,N,N'',N''−テトラキス(2,3−ジヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン、N,N,N’,N'',N''−ペンタキス(2,3−ジヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン等の水酸基を4個以上有する化合物を挙げることができる。
【0085】
含窒素化合物(VIII)の具体例としては、例えば、
2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジエチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジフェニルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジベンジルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ピロリジノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ピペリジノメチル)フェノール、4−モルホリノメチル−2,6−ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(モルホリノメチル)フェノール等の水酸基を1個有する化合物;
【0086】
2,6−ビス(ジメチルアミノメチル)−4−〔{メチル・(2’−ヒドロキシエチル)アミノ}メチル〕フェノール、2,6−ビス(ジメチルアミノメチル)−4−〔{メチル・(2’−ヒドロキシプロピル)アミノ}メチル〕フェノール、2,6−ビス(ジメチルアミノメチル)−4−(3’−ヒドロキシピロリジノメチル)フェノール、2,6−ビス(ジメチルアミノメチル)−4−(4’−ヒドロキシピペリジノメチル)フェノール等の水酸基を2個有する化合物;
【0087】
2,6−ビス(ジメチルアミノメチル)−4−〔{ビス(2’−ヒドロキシエチル)アミノ}メチル〕フェノール、2,6−ビス(ジメチルアミノメチル)−4−〔{ビス(2’−ヒドロキシプロピル)アミノ}メチル〕フェノール、4−(ジメチルアミノメチル)−2,6−ビス(3’−ヒドロキシピロリジノメチル)フェノール、4−(ジメチルアミノメチル)−2,6−ビス(4’−ヒドロキシピペリジノメチル)フェノール、2,6−ビス(ピロリジノメチル)−4−〔{ビス(2’−ヒドロキシエチル)アミノ}メチル〕フェノール、2,6−ビス(ピペリジノメチル)−4−〔{ビス(2’−ヒドロキシエチル)アミノ}メチル〕フェノール等の水酸基を3個有する化合物;
【0088】
4−ジメチルアミノメチル−2,6−ビス〔{ビス(2’−ヒドロキシエチル)アミノ}メチル〕フェノール、4−ジメチルアミノメチル−2,6−ビス〔{ビス(2’−ヒドロキシプロピル)アミノ}メチル〕フェノール、2,4,6−トリス〔{ビス(2’−ヒドロキシエチル)アミノ}メチル〕フェノール、2,4,6−トリス〔{ビス(2’−ヒドロキシプロピル)アミノ}メチル〕フェノール、2,4,6−トリス(3’−ヒドロキシピロリジノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(3’−ヒドロキシメチルピロリジノメチル)フェノール、2,4,6−トリス〔{3’−(2''−ヒドロキシエチル)ピロリジノ}メチル〕フェノール、2,4,6−トリス(4’−ヒドロキシピペリジノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(4’−ヒドロキシメチルピペリジノメチル)フェノール、2,4,6−トリス〔{4’−(2''−ヒドロキシエチル)ピペリジノ}メチル〕フェノール、2,4,6−トリス〔{4’−(2'',3''−ジヒドロキシプロピル)ピペリジノ}メチル〕フェノール等の水酸基を4個以上有する化合物を挙げることができる。
【0089】
含窒素化合物(IX)の具体例としては、例えば、
2−ヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシピリジン、4−ヒドロキシピリジン、2−ヒドロキシ−3−メチルピリジン、2−ヒドロキシ−4−メチルピリジン、2−ヒドロキシ−5−メチルピリジン、2−ヒドロキシ−6−メチルピリジン、3−ヒドロキシ−2−メチルピリジン、3−ヒドロキシ−4−メチルピリジン、3−ヒドロキシ−5−メチルピリジン、3−ヒドロキシ−6−メチルピリジン、4−ヒドロキシ−2−メチルピリジン、4−ヒドロキシ−3−メチルピリジン、2−ヒドロキシ−4−エチルピリジン、2−ヒドロキシ−4−n−プロピルピリジン、2−ヒドロキシ−4−i−プロピルピリジン、2−ヒドロキシ−4−n−ブチルピリジン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルピリジン、2−ヒドロキシ−4−フェニルピリジン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルピリジン、2−ヒドロキシメチルピリジン、3−ヒドロキシメチルピリジン、4−ヒドロキシメチルピリジン、2−(2’−ヒドロキシエチル)ピリジン、3−(2’−ヒドロキシエチル)ピリジン、4−(2’−ヒドロキシエチル)ピリジン、2−(2’−ヒドロキシプロピル)ピリジン、3−(2’−ヒドロキシプロピル)ピリジン、4−(2’−ヒドロキシプロピル)ピリジン、4−(4’−ヒドロキシフェニル)ピリジン、4−(4’−ヒドロキシベンジル)ピリジン、2−キノリノール、3−キノリノール、4−キノリノール、1−イソキノリノール、3−イソキノリノール、4−イソキノリノール、α−ピリドイン等の水酸基を1個有する化合物;
【0090】
2,3−ジヒドロキシピリジン、2,4−ジヒドロキシピリジン、2,5−ジヒドロキシピリジン、2,6−ジヒドロキシピリジン、3,4−ジヒドロキシピリジン、3,5−ジヒドロキシピリジン、2−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチルピリジン、2−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチルピリジン、2−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチルピリジン、2−ヒドロキシ−6−ヒドロキシメチルピリジン、3−ヒドロキシ−4−ヒドロキシメチルピリジン、3−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチルピリジン、2−ヒドロキシ−3−(2’−ヒドロキシエチル)ピリジン、2−ヒドロキシ−4−(2’−ヒドロキシエチル)ピリジン、2−ヒドロキシ−5−(2’−ヒドロキシエチル)ピリジン、2−ヒドロキシ−6−(2’−ヒドロキシエチル)ピリジン、3−ヒドロキシ−4−(2’−ヒドロキシエチル)ピリジン、3−ヒドロキシ−5−(2’−ヒドロキシエチル)ピリジン、
2,3−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジン、2,4−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジン、2,5−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジン、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジン、3,4−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジン、3,5−ジ(ヒドロキシメチル)ピリジン、2,3−ビス(2’−ヒドロキシエチル)ピリジン、2,4−ビス(2’−ヒドロキシエチル)ピリジン、2,5−ビス(2’−ヒドロキシエチル)ピリジン、2,6−ビス(2’−ヒドロキシエチル)ピリジン、3,4−ビス(2’−ヒドロキシエチル)ピリジン、3,5−ビス(2’−ヒドロキシエチル)ピリジン、3−(2’−ピリジル)−1,2−プロパンジオール、3−(3’−ピリジル)−1,2−プロパンジオール、3−(4’−ピリジル)−1,2−プロパンジオール、2−(2’−ピリジル)−1,3−プロパンジオール、2−(3’−ピリジル)−1,3−プロパンジオール、2−(4’−ピリジル)−1,3−プロパンジオール、2−(2’−ピリジル)−1,4−ブタンジオール、2−(3’−ピリジル)−1,4−ブタンジオール、2−(4’−ピリジル)−1,4−ブタンジオール、2−(2’−ピリジル)−2,3−ブタンジオール、2−(3’−ピリジル)−2,3−ブタンジオール、2−(4’−ピリジル)−2,3−ブタンジオール、2,3−ジ(2’−ピリジル)−1,4−ブタンジオール、2,3−ジ(3’−ピリジル)−1,4−ブタンジオール、2,3−ビス(4’−ピリジル)−1,4−ブタンジオール、2,3−ビス(2’−ピリジル)−2,3−ブタンジオール、2,3−ビス(3’−ピリジル)−2,3−ブタンジオール、2,3−ビス(4’−ピリジル)−2,3−ブタンジオール等の水酸基を2個有する化合物;
【0091】
2,6−ジヒドロキシ−4−ヒドロキシメチルピリジン、3,5−ジヒドロキシ−4−ヒドロキシメチルピリジン、2,6−ジヒドロキシ−4−(2’−ヒドロキシエチル)ピリジン、3,5−ジヒドロキシ−4−(2’−ヒドロキシエチル)ピリジン、4−ヒドロキシ−2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジン、4−ヒドロキシ−3,5−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジン、4−ヒドロキシ−2,6−ビス(2’−ヒドロキシエチル)ピリジン、4−ヒドロキシ−3,5−ビス(2’−ヒドロキシエチル)ピリジン、2,4,6−トリス(ヒドロキシメチル)ピリジン、3,4,5−トリス(ヒドロキシメチル)ピリジン、2,4,6−トリス(2’−ヒドロキシエチル)ピリジン、3,4,5−トリス(2’−ヒドロキシエチル)ピリジン等の水酸基を3個有する化合物;
【0092】
2,6−ビス(2’−ヒドロキシエチル)−4−(2’,3’−ジヒドロキシプロピル)ピリジン、2,6−ビス(2’,3’−ジヒドロキシプロピル)ピリジン、2,6−ビス(2’,3’−ジヒドロキシプロピル)−4−(2’−ヒドロキシエチル)ピリジン、2,6−ビス(2’,3’−ジヒドロキシプロピル)−4−(2’−ヒドロキシプロピル)ピリジン、2,4,6−トリス(2’,3’−ジヒドロキシプロピル)ピリジン、3,4,5−トリス(2’,3’−ジヒドロキシプロピル)ピリジン等の水酸基を4個以上有する化合物を挙げることができる。
【0093】
前記アミド基含有化合物としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。
前記ウレア化合物としては、例えば、尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリブチルチオウレア等を挙げることができる。
【0094】
前記含窒素複素環化合物としては、例えば、イミダゾール、ベンズイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類;ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、N−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、8−オキシキノリン、アクリジン等のピリジン類のほか、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピペラジン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等を挙げることができる。
【0095】
これらの含窒素有機化合物のうち、含窒素化合物(I)、含窒素複素環化合物等が好ましい。また、含窒素化合物(I)の中では、トリアルキルアミン類が特に好ましく、含窒素複素環化合物の中では、ピリジン類が特に好ましい。
前記酸拡散制御剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0096】
酸拡散制御剤の配合量は、(A)共重合体と(B)共重合体の合計100重量部当り、好ましくは15重量部以下、より好ましくは0.001〜10重量部、さらに好ましくは0.005〜5重量部である。この場合、酸拡散制御剤の配合量が15重量部を超えると、レジストとしての感度や露光部の現像性が低下する傾向がある。なお、酸拡散制御剤の配合量が0.001重量部未満では、プロセス条件によっては、レジストとしてのパターン形状や寸法忠実度が低下するおそれがある。
【0097】
他の添加剤
本発明の感放射線性樹脂組成物には、組成物の塗布性やストリエーション、レジストとしての現像性等を改良する作用を示す界面活性剤を配合することができる。
このような界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等を挙げることができ、また市販品としては、例えば、エフトップEF301、EF303,EF352(トーケムプロダクツ社製)、メガファックス F171、F173(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子(株)製)、KP341(信越化学工業(株)製)、ポリフローNo.75、No.95(共栄社化学(株)製)等を挙げることができる。
界面活性剤の配合量は、(A)共重合体と(B)共重合体の合計100重量部当り、通常、2重量部以下である。
【0098】
また、本発明の感放射線性樹脂組成物には、放射線のエネルギーを吸収して、そのエネルギーを酸発生剤に伝達し、それにより酸の生成量を増加させる作用を示し、レジストの見掛けの感度を向上させる効果を有する増感剤を配合することができる。
好ましい増感剤の例としては、ベンゾフェノン類、ローズベンガル類、アントラセン類等を挙げることができる。
増感剤の配合量は、(A)共重合体と(B)共重合体の合計100重量部当り、通常、50重量部以下である。
【0099】
また、染料および/または顔料を配合することにより、露光部の潜像を可視化させて、露光時のハレーションの影響を緩和でき、接着助剤を配合することにより、基板との接着性をさらに改善することができる。
さらに、他の添加剤として、4−ヒドロキシ−4'−メチルカルコン等のハレーション防止剤、形状改良剤、保存安定剤、消泡剤等を配合することもできる。
【0100】
溶剤
本発明の感放射線性樹脂組成物は、その使用に際して、全固形分の濃度が、例えば1〜50重量%、好ましくは5〜40重量%になるように、溶剤に均一に溶解したのち、例えば孔径0.2μm程度のフィルターでろ過することにより、組成物溶液として調製される。
前記組成物溶液の調製に使用される溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル等のプロピレングリコールジアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸i−プロピル等の乳酸エステル類;ぎ酸n−アミル、ぎ酸i−アミル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸i−プロピル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−ブチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;γ−ブチロラクン等のラクトン類を挙げることができる。
これらの溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0101】
レジストパターンの形成
本発明の感放射線性樹脂組成物からレジストパターンを形成する際には、前述したようにして調製された組成物溶液を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布手段によって、例えば、シリコンウェハー、アルミニウムで被覆されたウェハー等の基板上に塗布することにより、レジスト被膜を形成し、場合により予め70℃〜160℃程度の温度で加熱処理(以下、「プレベーク」という。)を行ったのち、所定のマスクパターンを介して露光する。その際に使用される放射線としては、酸発生剤の種類に応じて、例えば、i線(波長365nm)等の紫外線、ArFエキシマレーザー(波長193nm)やKrFエキシマレーザー(波長248nm)等の遠紫外線、シンクロトロン放射線等のX線、電子線等の荷電粒子線を適宜選択して使用する。また、露光量等の露光条件は、感放射線性樹脂組成物の配合組成、各添加剤の種類等に応じて、適宜選定される。
【0102】
本発明においては、高精度の微細パターンを安定して形成するために、露光後に、70〜160℃の温度で30秒以上加熱処理(以下、「露光後ベーク」という。)を行なうことが好ましい。この場合、露光後ベークの温度が70℃未満では、基板の種類による感度のバラツキが広がるおそれがある。
【0103】
次いで、露光されたレジスト被膜をアルカリ現像液を用い、通常、10〜50℃、30〜200秒の条件でアルカリ現像することにより、所定のレジストパターンを形成する。
前記アルカリ現像液としては、例えば、アルカリ金属水酸化物、アンモニア水、モノ−、ジ−あるいはトリ−アルキルアミン類、モノ−、ジ−あるいはトリ−アルカノールアミン類、複素環式アミン類、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド類、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物を、通常、1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%の濃度となるように溶解したアルカリ性水溶液が使用される。
また、前記アルカリ性水溶液からなる現像液には、例えばメタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤を適宜添加することもできる。
【0104】
このようにアルカリ性水溶液からなる現像液を使用する場合には、一
般に現像後、水洗する。
なお、レジストパターンの形成に際しては、環境雰囲気中に含まれる塩基性不純物等の影響を防止するため、レジスト被膜上に保護膜を設けることもできる。
【0105】
【実施例】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に何ら制約されるものではない。
ここで、MwとMnの測定および各レジストの評価は、下記の要領で行った。
【0106】
MwおよびMn
東ソー(株)製GPCカラム(G2000HXL 2本、G3000HXL 1本、G4000HXL 1本)を用い、流量1.0ミリリットル/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするGPCにより測定した。
【0107】
解像度(1L1S)
設計寸法0.26μmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)を1対1の線幅に形成する露光量を最適露光量とし、この最適露光量で露光したときに解像されるライン・アンド・スペースパターン(1L1S)の最小寸法(μm)を、解像度(1L1S)とした。
【0108】
解像度(1L3S)
ラインパターンの設計寸法が0.26μmの準孤立パターン(1L3S)について、前記の最適露光量で露光したときに解像されるラインパターンの線幅が(設計寸法±10%)の範囲に入る解像度を、準孤立パターン(1L3S)の解像度(1L3S)とした。
【0109】
フォーカス許容性(1H1S)
ホールパターンの設計寸法が0.22μm、ピッチ0.44μmの微細コンタクトホール(1H1S)について、解像されるホールパターンの口径が設計寸法通り0.22μmとなる露光量において、焦点深度を振り、ホールパターンの口径が(設計寸法±10%)の範囲に入る焦点深度の広さを1H1SパターンのDOFとした。DOFが広いレジストほどプロセスマージンが高くなり、実デバイス製造時の歩留まりが高くなるため好ましい。
【0110】
膜面荒れ
設計寸法0.26μmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)について、走査型電子顕微鏡によりラインパターンの断面寸法を測定し、図1に示すように、該断面寸法のうち、最小寸法をLin、最大寸法をLoutとし、(Lout−Lin)をLdとして、Ldの値により、下記基準で評価した。なお、図1における凹凸は実際より誇張されている。
Ldが0.01μm未満:良好
Ldが0.01μm以上:不良
【0111】
(A)共重合体の合成
合成例1
4−t−ブトキシスチレン176gをテトラヒドロフラン500ml中、―78℃で、sec―ブチルリチウムを触媒としてアニオン重合を行った。重合反応終了後、得られた樹脂溶液をメタノール中に凝固し、白色のポリ(4−t−ブトキシスチレン)150gを得た。この固体をジオキサン600gに溶解し、希塩酸を加えて70℃、12時間加水分解反応を実施した後、生成物を多量の水中に凝固し、白色固体を得た。次いで、この樹脂をアセトンに溶解し、大量の水中に凝固する操作を繰返し、生成した白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥した。得られたポリ(4−ヒドロキシスチレン)は、Mwが11,400、Mw/Mnが1.01であった。次いで、このポリ(4−ヒドロキシスチレン)24gを、酢酸ブチル100gに溶解したのち、窒素ガスにより30分間バブリングを行った。その後、この溶液に、シクロヘキシルビニルエーテル8gを加え、触媒としてp−トルエンスルホン酸ピリジニウム塩1gを添加し、室温で12時間反応させた。次いで、反応溶液を1重量%アンモニア水溶液中に滴下して、ポリマーを沈殿させ、ろ過したのち、50℃の真空乾燥器内で一晩乾燥した。このポリマーは、Mwが13,000、Mw/Mnが1.01であり、13C−NMR分析の結果、ポリ(4−ヒドロキシスチレン)中のフェノール性水酸基の水素原子の23%が1−シクロヘキシロキシエチル基で置換された構造を有するものであった。このポリマーを、共重合体(A―1)とする。
【0112】
合成例2
4−t−ブトキシスチレン300gと、アゾビスイソブチロニトリル2.0gとを、ジオキサン300g中に溶解し、この溶液を、窒素雰囲気下において60℃で16時間加熱することにより、4−t−ブトキシスチレンの重合を行った。得られた反応溶液を大量のメタノール中に滴下することにより、生成したポリ(4−t−ブトキシスチレン)樹脂を凝固させた。この凝固した樹脂をジオキサン中に再溶解し、この溶液に希硫酸を添加した後、当該溶液を60℃で12時間加熱することにより、加水分解反応を行った。
【0113】
この樹脂溶液を分液ロートに移し、これに大量の酢酸エチルと水とを加えて十分に振り混ぜた後、静置することにより、酢酸エチル層(上層)と水層(下層)とに分離させ、水層を廃棄した。そして、廃棄した水層が完全に中性になるまで、この操作を繰り返した後、樹脂溶液を減圧下で乾固し、得られた樹脂をアセトンに再溶解した。この樹脂溶液を大量の水中に滴下することにより、樹脂を凝固させ、生成した白色粉末状の樹脂をろ過した後、減圧下において50℃で一晩加熱することにより、乾燥した。
【0114】
得られた樹脂は、重量平均分子量Mw(以下、「Mw」という。)が11,000、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比率Mw/Mn(以下、「Mw/Mn」という。)が1.6のポリ(4−ヒドロキシスチレン)であった。
【0115】
次いで、このポリ(4―ヒドロキシスチレン)24gを、酢酸ブチル100gに溶解したのち、窒素ガスにより30分間バブリングを行った。その後、この溶液に、シクロヘキシルビニルエーテル6g、エチルビニルエーテル4g、および触媒としてp−トルエンスルホン酸ピリジニウム塩1gを添加し、室温で12時間反応させた。次いで、反応溶液を1重量%アンモニア水溶液中に滴下して、ポリマーを沈殿させ、ろ過したのち、50℃の真空乾燥器内で一晩乾燥した。このポリマーは、Mwが13,500、Mw/Mnが1.6であり、13C−NMR分析の結果、ポリ(4−ヒドロキシスチレン)中のフェノール性水酸基の水素原子の15%が1−シクロヘキシロキシエチル基で置換され、7%が1―エトキシエチル基で置換された構造を有するものであった。このポリマーを、共重合体(A―2)とする。
【0116】
合成例3
4―ビニルフェノール108g、スチレン10gを蒸留精製したアセトニトリル1000mlに溶解し、微量のメタノールを添加し、ドライアイスーアセトン浴でー10℃に冷却し、撹拌しながらカチオン重合開始剤であるBF3O(C2H5)2のアセトニトリル溶液(0.1モル/L)を3000g滴下した。1時間撹拌した後、生成物を多量の水中に加えて、析出した白色固体を40℃で一晩減圧下で乾燥した。 この樹脂は、Mwが11,800、Mw/Mnが1.3でった。得られた樹脂は、1H−NMRおよび13C−NMR分析の結果4−ヒドロキシスチレンとスチレンが9:1の割合で共重合体していた。この共重合体24gを、酢酸ブチル100gに溶解したのち、窒素ガスにより30分間バブリングを行った。その後、この溶液に、シクロヘキシルビニルエーテル7gを加え、触媒としてp−トルエンスルホン酸ピリジニウム塩1gを添加し、室温で12時間反応させた。次いで、反応溶液を1重量%アンモニア水溶液中に滴下して、ポリマーを沈殿させ、ろ過したのち、50℃の真空乾燥器内で一晩乾燥した。このポリマーは、Mwが12,700、Mw/Mnが1.3であり、13C−NMR分析の結果、4−ヒドロキシスチレン・スチレン共重合体中のフェノール性水酸基の水素原子の15%が1−シクロヘキシロキシエトキシ基で置換された構造を有するものであった。このポリマーを、共重合体(A―3)とする。
【0117】
合成例4
4−アセトキシスチレン180g、アクリル酸t−ブチル10g、アゾビスイソブチロニトリル6.0g、t−ドデシルメルカプタン1.5gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル200gに溶解し、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して、16時間重合させた。重合後、反応溶液を大量のヘキサン中に滴下して、生成樹脂を凝固精製した。次いで、精製樹脂に、再度プロピレングリコールモノメチルエーテル500gを加えたのち、さらにメタノール300g、トリエチルアミン100g、水20gを加えて、沸点にて還流させつつ、8時間加水分解反応を行なった。反応後、溶媒およびトリエチルアミンを減圧留去し、得られた樹脂をアセトンに溶解したのち、大量の水中に滴下して凝固させ、生成した白色粉末をろ過して、減圧下50℃で一晩乾燥した。
この樹脂は、Mwが12,000、Mw/Mnが1.7であり、13C−NMR分析の結果、4−ヒドロキシスチレンとアクリル酸−t−ブチルとの共重合モル比が、92:8であった。この樹脂24を200gの蒸留した酢酸ブチルに溶解した後、シクロヘキシルビニルエーテル6gを加え、触媒としてp−トルエンスルホン酸ピリジニウム塩1gを添加し、室温で12時間反応させた。次いで、反応溶液を1重量%アンモニア水溶液中に滴下して、ポリマーを沈殿させ、ろ過したのち、50℃の真空乾燥器内で一晩乾燥した。このポリマーは、Mwが13,200、Mw/Mnが1.7であり、13C−NMR分析の結果、ポリ(4−ヒドロキシスチレン・アクリル酸−t−ブチル)共重合体中のフェノール性水酸基の水素原子の16%が1−シクロヘキシロキシエトキシ基で置換された構造を有するものであった。このポリマーを共重合体(A―4)とする。
【0118】
合成例5
合成例1にて製造したMwが11,400、Mw/Mnが1.01のポリ(p−t−ヒドロキシスチレン)36gおよびトリエチルアミン15gを、ジオキサン500gに溶解した溶液に、撹拌下で、ジ−t−ブチルカーボネート20gを添加し、室温でさらに6時間撹拌したのち、しゅう酸を添加してトリエチルアミンを中和した。次いで、反応溶液を大量の水中に滴下してポリマーを凝固させ、凝固したポリマーを純水で数回洗浄して、ろ過したのち、50℃の真空乾燥器内で一晩乾燥した。
得られたポリマーは、Mwが13,000、Mw/Mnが1.03であり、13C−NMR分析の結果、ポリ(4−ヒドロキシスチレン)中のフェノール性水酸基の水素原子の24%がt−ブトキシカルボニル基で置換された構造を有するものであった。この樹脂を共重合体(B―1)とする。
【0119】
合成例6
4−t−ブトキシスチレン170gと、アクリロニトリル15g、アゾビスイソブチロニトリル7gを、ジオキサン400g中に溶解し、この溶液を、窒素雰囲気下において75℃で16時間加熱することにより重合を行った。得られた反応溶液を大量のメタノール中に滴下することにより、生成したポリ−4−t−ブトキシスチレンとアクリロニトリルの共重合樹脂を凝固させた。この凝固した樹脂をジオキサン中に再溶解し、この溶液に希硫酸を添加した後、当該溶液を40℃で12時間加熱することにより、加水分解反応を行った。
【0120】
この樹脂溶液を分液ロートに移し、これに大量の酢酸エチルと水とを加えて十分に振り混ぜた後、静置することにより、酢酸エチル層(上層)と水層(下層)とに分離させ、水層を廃棄した。そして、廃棄した水層が完全に中性になるまで、この操作を繰り返した後、樹脂溶液を減圧下で乾固し、得られた樹脂をアセトンに再溶解した。この樹脂溶液を大量の水中に滴下することにより、樹脂を凝固させ、生成した白色粉末状の樹脂をろ過した後、減圧下において50℃で一晩加熱することにより、乾燥した。
【0121】
得られた樹脂は、重量平均分子量Mw(以下、「Mw」という。)が8,900、Mw/Mnが1.8であり、1H―NMRおよび13C―NMR分析の結果、ニトリルの加水分解は殆ど進行しておらず、樹脂の組成は4−ヒドロキシスチレンとアクリロニトリルが95:5で共重合体したものであった。次いで、この樹脂36gおよびトリエチルアミン15gを、ジオキサン500gに溶解した溶液に、撹拌下で、ジ−t−ブチルカーボネート18gを添加し、室温でさらに6時間撹拌したのち、しゅう酸を添加してトリエチルアミンを中和した。次いで、反応溶液を大量の水中に滴下してポリマーを凝固させ、凝固したポリマーを純水で数回洗浄して、ろ過したのち、50℃の真空乾燥器内で一晩乾燥した。
【0122】
得られたポリマーは、Mwが9,300、Mw/Mnが1.8であり、1H―NMRおよび13C−NMR分析の結果、ポリ(4−ヒドロキシスチレン・アクリロニトリル)共重合体中のフェノール性水酸基の水素原子の21%がt−ブトキシカルボニル基で置換された構造を有するものであった。この樹脂を共重合体(B―2)とする。
【0123】
比較合成例1
Mwが12,000のポリ(4−ヒドロキシスチレン)24gを、ジオキサン100gに溶解したのち、窒素ガスにより30分間バブリングを行った。その後、この溶液に、エチルビニルエーテル5g、触媒としてp−トルエンスルホン酸ピリジニウム塩1gを添加し、室温で12時間反応させた。次いで、反応溶液を1重量%アンモニア水溶液中に滴下して、ポリマーを沈殿させ、ろ過したのち、50℃の真空乾燥器内で一晩乾燥した。
このポリマーは、Mwが13,000、Mw/Mnが1.7であり、13C−NMR分析の結果、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)中のフェノール性水酸基の水素原子の34%が1−エトキシエチル基で置換された構造を有するものであった。このポリマーを、共重合体(α−1)とする。
【0124】
実施例1〜13および比較例1〜3
表1(但し、部は重量に基づく)に示す各成分を混合して均一溶液としたのち、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過して、組成物溶液を調製した。その後、各組成物溶液をシリコンウェハー上にスピンコートしたのち、表2に示す条件でプレベークを行って、膜厚0.7μmのレジスト被膜を形成した。
【0125】
次いで、本発明の実施例1〜10、12、13および比較例1、2では、(株)ニコン製ステッパーNSR2205EX12B(NA=0.55)、実施例11では、日立計測器(株)製直描用電子線描画装置(加速電圧50KeV)を用いて、表2に示す条件で露光、露光後ベークを行ったのち、2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用い、23℃で1分間、パドル法により現像し、純水で水洗し、乾燥して、レジストパターンを形成した。
各レジストの評価結果を、表3に示す。
【0126】
【表1】
【0127】
【表2】
【0128】
【表3】
【0129】
ここで、各実施例および比較例における酸発生剤、酸拡散制御剤、添加剤および溶剤は、下記のとおりである。
酸発生剤
C−1:トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、
C−2:ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムp−トルエンスルホネート、
C−3:4−t−ブトキシフェニル・ジフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、
C−4:ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン
C−5:N−(10−カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド
C−6:1,1−ビス(フェニルスルホニル)シクロヘキサン
C−7:ビス(1、4―ジオキサスピロ[4、5]デカンー7―スルホニル)ジアゾメタン
【0130】
酸拡散制御剤
D−1:ニコチン酸アミド
D−2:トリ−n−オクチルアミン
D−3:トリエタノールアミン
D―4:2―フェニルベンズイミダゾール
【0131】
添加剤
E−1:p−ヒドロキシスチレン/スチレン共重合体(共重合モル比=9:1、Mw=3,000)
E−2:2,2−ビス(4−t−ブトキシフェニル)プロパン
E−3:ジフェノール酸
【0132】
溶剤
F−1:乳酸エチル
F−2:3−エトキシプロピオン酸エチル
F−3:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
E−4:2−ヘプタノン
【0133】
【発明の効果】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、解像度およびパターン形状が優れ、かつ膜面荒れも小さく、さらに光近接効果が小さく、ライン・アンド・スペースパターン、孤立パターンの双方について、微細パターンを高精度にかつ安定して形成することができ、かつ高アスペクト比の微細コンタクトホールパターン加工において広いフォーカス許容性を有する。しかも、本発明の感放射線性樹脂組成物は、紫外線、遠紫外線、X線あるいは電子線の如き各種放射線に有効に感応するものである。したがって、本発明の感放射線性樹脂組成物は、化学増幅型ポジ型レジストとして、今後さらに微細化が進行すると予想される半導体デバイスの製造に極めて好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】膜面荒れの評価方法を説明するレジストパターンの平断面図である。
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