JP4161329B2 - アゾリルヘプテン誘導体、その製造方法および農薬・医薬としての利用 - Google Patents
アゾリルヘプテン誘導体、その製造方法および農薬・医薬としての利用 Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、農薬・医薬の有効成分として利用できる、新規なアゾリルヘプテン誘導体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、環境汚染や薬剤耐性を回避する観点から、新規な殺菌性化合物に対する要望が高まっている。
他方、化3の式(1・2)のアゾリルヘプテン誘導体について報告する文献は知られていない。従って、その有用性についても検討されていなかった。
(式中、X は、ハロゲン原子、C1〜C5アルキル基、ハロアルキル基、フェニル基、シアノ基またはニトロ基を示す。nは、0 〜5 の整数を示す。nが2 以上の時には、X は、同一であっても相異なっていてもよい。A は、CHまたは、N を示す。Yは、カルボニル基もしくは、ヒドロキシメチレン基を表す。)
【化3】
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者らは、上記式(1・2)のアゾリルヘプテン誘導体、その製造方法、農薬・医薬としての利用方法を提供することを課題とした。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記式(1・2)のアゾリルヘプテン誘導体またはその塩を合成し、この化合物が、農薬や医薬の有効成分として有用であることを見いだし本発明を完成するに至った。
【0005】
本発明は次の構成上の特徴を有する。
第一の発明は、化4の式(1・2)のアゾリルヘプテン誘導体に関する。
(式中、X は、ハロゲン原子、C1〜C5アルキル基、ハロアルキル基、フェニル基、シアノ基またはニトロ基を示す。nは、0 〜5 の整数を示す。nが2 以上の時には、X は、同一であっても相異なっていてもよい。A は、CHまたは、N を示す。Yは、カルボニル基もしくは、ヒドロキシメチレン基を表す。)
【化4】
【0006】
第2の発明は、上記式(1・2)のアゾリルヘプテン誘導体を有効成分として含有する農園芸用殺菌剤に関する。
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のアゾリルヘプテン誘導体(1・2)において、X はハロゲン、C1〜C5アルキル、C1〜C4ハロアルキル、フェニル、シアノまたはニトロを示し、塩素、フルオロ、臭素、フェニル、メチル、1,1−ジメチルエチル、トリフルオロメチルを例示することができる。
なお、X の定義中、ハロアルキルとは、アルキルの1 個以上の水素がハロゲンで置換していることを示す。
n は 0〜 5の整数を示す。好ましいn は、 0〜 2の整数である。n が2 以上の時には、X は同一でも相異なっていてもよい。
【0008】
上記式(1・2)のアゾリルヘプテン誘導体の具体例として、表1の第1表に示すものをあげることができる。
【表1】
第1表
【0009】
上記の第1表及び、実施例における化合物番号の記載方法は、例えば、化合物(1・2-1 )は、式(1・2)のアゾリルヘプテン誘導体に含まれる具体的化合物の1種類を示す。同じように、実施例の製造例3における原料化合物、(ハロアセチル)ヘキセンカルボン酸エステル誘導体(5−1)は、式(5)の(ハロアセチル)ヘキセンカルボン酸エステル誘導体に含まれる具体的化合物の1種類を示す。
すなわち、各々の化学式の化合物の個々の具体的化合物を示す場合には、化学式の番号を幹番号にして、化合物(幹番号−枝番号)のように記載して、それら個々の具体的化合物を区別するように記載している。
【0010】
アゾリルヘプテン誘導体(1・2)は、次のようにして製造することができる。
すなわち、化5の反応式中、式(3)のアセチルヘキセンカルボン酸エステル誘導体(例えば、特願平8-110049記載の方法で調製できる)を、シリルエーテル化して、式(4)の(トリアルキルシリルオキシエテニル)ヘキセンカルボン酸エステル誘導体を得る。以下、この工程をシリルエーテル化反応と記載する。
次に、化合物(4)のハロゲン化を行い、式(5)の(ハロアセチル)ヘキセンカルボン酸エステル誘導体を得る(以下、この工程をハロゲン化反応と記載する)。
続いて、化合物(5)のアゾリル化を行い、式(6)の(アゾリルアセチル)ヘキセンカルボン酸エステル誘導体を得る。以下、この工程をアゾリル化反応と記載する。
(式中、X は、ハロゲン原子、C1〜C5アルキル基、ハロアルキル基、フェニル基、シアノ基またはニトロ基を示す。
nは、0 〜5 の整数を示す。nが2 以上の時には、X は、同一であっても相異なっていてもよい。A は、CHまたは、N を示す。R は、C1〜C6アルキル基を示す。Z はハロゲン原子を示す。Q は、C1〜C4アルキル基を示す。Q は、同一であっても相異なっていてもよい。Z1は、ハロゲン原子を示す。)
【化5】
【0011】
続いて、化6の反応式中、化合物(6)を加水分解・脱炭酸して、式(1)のアゾリルヘプタノン誘導体を得る[アゾリルヘプテン誘導体(1・2)において、Yがカルボニル基の化合物に同じ]。以下、この工程を加水分解・脱炭酸反応と記載する。
また、この化合物(1)のカルボニル基を還元して、式(2)のアゾリルヘプタノール誘導体を得る[アゾリルヘプテン誘導体(1・2)において、Yがヒドロキシメチレン基の化合物に同じ]。以下、この工程を還元反応と記載する。
(式中、X は、ハロゲン原子、C1〜C5アルキル基、ハロアルキル基、フェニル基、シアノ基またはニトロ基を示す。nは、0 〜5 の整数を示す。nが2 以上の時には、X は、同一であっても相異なっていてもよい。A は、CHまたは、N を示す。R は、C1〜C6アルキル基を示す。Z はハロゲン原子を示す。)
【化6】
【0012】
本明細書に記載の反応には、「シリルエーテル化反応」、「ハロゲン化反応」、「アゾリル化反応」、「加水分解・脱炭酸反応」および「還元反応」がある。これらの反応で使用が好ましい時に用いられる溶媒として下記のものを例示し得る。
水。
酢酸、プロピオン酸などの低級脂肪酸類。
ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素類。
塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類。
メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール等の低級アルコール類。
ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類。
N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類
アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類
ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホンなどの含硫黄化合物。
【0013】
本発明の製造法では、上述の希釈剤に加えて塩基または酸の共存下に反応を行なうこともある。
塩基としては下記のものを例示し得る。
炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩。
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物。
ナトリウムメトキド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシドなどのアルカリ金属のアルコキシド。
水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化リチウムなどのアルカリ金属水素化合物。
n−ブチルリチウム等のアルカリ金属の有機金属化合物。
ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属類。
リチウムジイソプロピルアミド等のアルカリ金属アミド類。
トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチルアニリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(以下において、略称のDBUを使用する)等の有機アミン類。
酸としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸等の無機酸ならびにギ酸、酢酸、酪酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸を例示し得る。
ハロゲン化試薬としては、塩素、臭素、沃素、N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド、スルフリルクロリドを例示できる。
還元剤として、水素化シアノ化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム等の金属水素化物及び、水素ガスとパラジウム/炭素、ラネーニッケルを例示することができる。
【0014】
次に本明細書に記載の個々の反応について説明する。
「シリルエーテル化反応」
アセチルヘキセンカルボン酸エステル誘導体(3)のアセチル基を上記の希釈溶媒液中、強塩基性化合物(例えば、リチウムジイソプロピルアミドのようなアルカリ金属アミド)を用いてエノールエーテルの金属塩とし、続いて、トリアルキルシリルハライドとの置換反応により、(トリアルキルシリルオキシエテニル)ヘキセンカルボン酸エステル誘導体(4)を得る。
化合物(3)のカルボン酸エステル部分のR は、C1〜C6アルキル基の内、好ましくは、C1〜C4アルキル基を示し、より好ましくは、メチル基を示す。
この反応で使用するトリアルキルシリルハライド[Q3SiZ1]において、Q3におけるQ (C1〜C4アルキル基)は、同一でも相異なっていてもよい。Z1は、塩素原子、臭素原子が好ましい。トリアルキルシリルハライドの好ましい化合物として、トリメチルシリルクロリドを例示することができる。
反応温度と反応時間に関しては、−80から40℃、好ましくは−70から室温を反応温度にして、1時間から1日間程反応させることにより目的物を得ることが出来る。
【0015】
「ハロゲン化反応」
(トリアルキルシリルオキシエテニル)ヘキセンカルボン酸エステル誘導体(4)のトリアルキルシリルオキシエテニル基を、上記の希釈溶媒液中、ハロゲン化試薬と反応させて、(ハロアセチル)ヘキセンカルボン酸エステル誘導体(5)を得る。
反応温度と反応時間に関しては、−20から40℃、好ましくは室温を反応温度にして、1時間から1日間程反応させることにより目的物をえることが出来る。
「アゾリル化反応」
(ハロアセチル)ヘキセンカルボン酸エステル誘導体(5)のハロアセチル基のハロゲン原子と、上記の希釈溶媒液中、1H−1,2,4−トリアゾールもしくは、1H−イミダゾールとを塩基の存在下(好ましくは、アゾールをナトリウム塩として使用)、置換反応を行い、(アゾリルアセチル)ヘキセンカルボン酸エステル誘導体(6)を得る。
反応温度と反応時間に関しては、室温から還流点、好ましくは60℃から還流点を反応温度にして、30分から10時間程反応させることにより目的物を得ることが出来る。
【0016】
「加水分解・脱炭酸反応」
(アゾリルアセチル)ヘキセンカルボン酸エステル誘導体(6)のエステル基の加水分解・脱炭酸反応は、上記に希釈溶媒中で、塩基性、酸性のいずれの条件でも行うことが出来る。反応生成物として、アゾリルヘプタノン誘導体(1)を得る。
酸性条件で行う時には、水の他に、溶媒として酢酸を併用することが望ましく、触媒としては、塩酸や臭化水素酸等の無機酸を使用する。この時の反応温度は、50℃〜還流点、好ましくは80℃〜還流点である。
塩基性条件で行う時には、水の他に、低級アルコールや芳香族炭化水素を併用することが望ましい。塩基としてアルカリ金属塩基、好ましくは、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムを使用する。この時の反応温度は、50℃〜還流点、好ましくは80℃〜還流点である。
酸性あるいは塩基性条件下での反応時間は、2 〜24時間の範囲であって、攪拌下に反応を行うことがより好ましい。
【0017】
「還元反応」
アゾリルヘプタノン誘導体(1)の還元反応は、上記の無水系の希釈溶媒中、金属水素化物を用いて行い、アゾリルヘプタノール誘導体(2)を得る。
反応温度と反応時間に関しては、0℃から還流点、好ましくは室温から還流点を反応温度にして、1時間から1日間程反応させることにより目的物を得ることが出来る。
本明細書に記載の「シリルエーテル化反応」、「ハロゲン化反応」、「アゾリル化反応」、「加水分解・脱炭酸反応」および、「還元反応」の生成物を単離する場合には、通常用いられる化学操作、例えば、カラムクロマトグラフィー、再結晶、蒸留、その他の方法を単独で、あるいは、これらの方法を適宣組み合わせて使用することができる。
【0018】
アゾリルヘプテン誘導体(1・2)は、1,2,4−トリアゾリル基もしくは、イミダゾリル基を有するので、無機酸、有機酸の酸付加塩や、金属錯体を形成する。したがって、アゾリルヘプテン誘導体(1・2)は、酸付加塩や金属錯体の一部として、農薬や医薬の有効成分として使用することもできる。
また、アゾリルヘプテン誘導体(1・2)には、少なくとも1個の不斉炭素が存在する。したがって、これらの光学異性体の1種類を農薬や医薬の有効成分として使用することもできる。
【0019】
本発明化合物を農薬の有効成分として使用する場合には、そのまま使用することもできるが、通常は製剤補助剤とともに、粉剤、水和剤、粒剤、乳剤などの種々の形態に製剤して使用する。
このとき製剤中に、1種または2種以上の本発明化合物が0.1〜95重量%、好ましくは0.5〜90重量%、より好ましくは2〜70重量%含まれるように製剤する。
製剤補助剤として使用する担体、希釈剤、界面活性剤を例示すれば、固体担体として、タルク、カオリン、ベントナイト、珪藻土、ホワイトカーボン、クレーなど。
液体希釈剤として、水、キシレン、トルエン、クロロベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンアルコールなど。界面活性剤はその効果により使いわけるのがよく、乳化剤として、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなど。
分散剤として、リグニンスルホン酸塩、ジブチルナフタリンスルホン酸塩など、湿潤剤として、アルキルスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩など、をあげることができる。
【0020】
上記製剤には、そのまま使用するものと水等の希釈剤で所定濃度に希釈して使用するものとがある。
希釈して使用する時の本発明化合物の濃度は0.001〜1.0%の範囲が望ましい。
また、本発明化合物の使用量は畑、田、果樹園、温室などの農園芸用地1haあたり、20〜5000g 、より好ましくは50〜1000g である。
これらの使用濃度および使用量は剤形、使用時期、使用方法、使用場所、対象作物等によっても異なるため、上記の範囲にこだわることなく増減することは勿論可能である。
さらに、本発明化合物は他の有効成分、例えば、殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、除草剤と組み合わせて使用することもできる。
【0021】
次に、本発明化合物を医薬の有効成分として使用する場合について記載する。この場合にも、そのまま使用することもできるが、通常は、製剤補助剤とともに、錠剤、丸剤、粉剤、エリキシル剤、乳剤、液剤、シロップ剤、懸濁剤、噴霧剤、軟膏、ゼラチン軟カプセル、ゼラチン硬カプセル、座薬、滅菌注射用液および滅菌包装粉剤などの種々の形態に製剤して使用する。
【0022】
適当な担体または希釈剤としては、例えば、乳糖、デキストロース、シュクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ゼラチン、シロップ、メチルセルロース、オキシ安息香酸メチル、オキシ安息香酸プロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよび水を挙げることができる。また、製剤には滑沢剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、防腐剤、甘味料またはフレーバー等を添加してもよい。
【0023】
医薬品として使用の際には、経口投与の場合は、本化合物を担体および希釈剤と混合して粉剤または散剤としたり、錠剤に打錠したり、ゼラチンカプセルに充填したりすることができる。あるいは、これらの混合物をブドウ糖水溶液、等張性食塩水または滅菌水等の液体に溶解し、静脈投与または注射してもよい。
本発明化合物を、抗真菌剤や抗アロマターゼ剤として使用する場合は、剤形中に本化合物を0.01〜500mg、より好ましくは0.1〜300mgの量で含有させて使用することができるので、投与単位剤形に製剤化することが好ましい。本化合物は広範な用量域で有効である。例えば1日当たり投与量は通常0.005〜100mg/kgの範囲内である。ヒト成人に対する治療時には約0.1〜40mg/kgを1回で、または分割投与するとよい。しかしながら、実際の投与量は個々の患者の年齢、症状の重篤度、並びに投与経路等に照らして医師が決定するので、上記の用量域範囲を越えることもあるが、この場合も本発明の範囲内に含まれる。
【0024】
【実施例】
以下、製造例、参考製造例、製剤例、試験例を示し、本発明を具体的に説明する。なお、本発明はその要旨を越えない限り以下の製造例、製剤例および試験例に限定されるものではない。
製造例1 3−(4−クロロベンジル)−6−メチル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−5−ヘプテン−2−オン(1・2-1 )の合成
反応フラスコに、製造例3で合成した、(アゾリルアセチル)ヘキセンカルボン酸エステル誘導体(6−1)580mg(1.54mM) を入れ、この中に25%水酸化ナトリウム水溶液5ml とイソプロパノール5ml を加えて80℃下で2時間加熱撹拌した。
冷却後、反応液を氷水に注ぎ反応を終了した。減圧下で、イソプロパノールを留去し、残分を酢酸エチルで抽出。酢酸エチル層を飽和食塩水、水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で、酢酸エチルを留去し、粗生成物を得た。シリカゲルカラムクロマト(和光ゲルC−200を使用、展開液ヘキサン:酢酸エチル=11)に付して精製し、3−(4−クロロベンジル)−6−メチル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−5−ヘプテン−2−オン(1・2-1 )を得た。
無色粘稠油状物、収量 380mg(収率76%)
NMR(CDCl3)δ
1.55 (bs,3H),1.70 (bs,3H), 2.03〜2.40 (m,3H),
2.70 〜2.90 (m,2H),4.45 (d,1H,J=18Hz),4.83 (d,1H,J=18Hz),
5.00 (t,1H,J=6Hz), 6.90 (d,2H,J=8Hz),7.20 (d,2H,J=8Hz), 7.83 (s,2H)
【0025】
製造例2 3−(4−クロロベンジル)−6−メチル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−5−ヘプテン−2−オール(1・2-2 )の合成
25mlの反応フラスコに、製造例1で合成した、アゾリルヘプタノン誘導体(1・2-1 )115mg(0.36mM) と無水メタノール5ml を入れ、氷水下で水素化ホウ素ナトリウム7mg(0.18mM) を5分間で加え、室温下で1時間撹拌した。
反応液を氷水に注ぎ酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を飽和食塩水、水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、残分をシリカゲルカラムクロマト(和光ゲルC−200、展開液:酢酸エチル/n−ヘキサン=1/1)にて精製し、3−(4−クロロベンジル)−6−メチル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−5−ヘプテン−2−オール(1・2-2 )を得た。
NMRスペクトルから、アゾリルヘプタノール誘導体(1・2-2 )は2種のジアステロマー混合物と確認した。
無色粘稠油状物、収量100mg (収率86% )
NMR(CDCl3)δ
1.53,1.60,1.70 (3bs,3H×2), 2.25〜2.50(m,2H),
3.67〜4.58(m,5H),4.83〜5.33 (m,1H), 7.00〜7.17 (bs,4H),
7.60(s,2/3H),7.66 (s,1/3H),7.90 (s,1H)
【0026】
製造例3 2−(4−クロロベンジル)−5−メチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾールー1−イル)メチルカルボニル−4−ヘキセンカルボン酸メチルエステル(6−1)の合成
100ml のフラスコに、製造例4で合成した、(ハロアセチル)ヘキセンカルボン酸エステル誘導体(5−1)5.05g(13.0mM) を入れ、無水ジメチルホルムアミド40mlを加えた。油浴温度80℃でトリアゾール・ナトリウム1.42g(15.6mM) を少量づつ5分間で加えた。添加後、同温度下で60分間撹拌した。反応液は暗褐色を呈した。反応液に氷水を加えて反応を終了した。酢酸エチルで抽出し、酢酸エチル層を食塩水、水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。酢酸エチルを減圧下で留去し、残油状物を得た。この油状物を、シリカゲルカラムクロマト(和光純薬製シリカゲルC−200、展開液:ヘキサン/酢酸エチル=1/1)に付して精製し、2−(4−クロロベンジル)−5−メチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾールー1−イル)メチルカルボニル−4−ヘキセンカルボン酸メチルエステル(6−1)を得た。
無色油状物、収量 3.1g(収率63%)
NMR(CDCl3)δ
1.57(bs,3H),1.70(bs,3H),2.60(bd,2H,J=8Hz),
3.02(d,1H,J=14Hz),3.28(d,1H,J=14Hz),3.68(s,3H),
4.93(bt,1H,J=7Hz),5.00(s,2H),6.90(d,2H,J=8Hz),
7.17(d,2H,J=8Hz),7.85(s,1H),7.95(s,1H)
【0027】
製造例4 2−ブロモアセチル−2−(4−クロロベンジル)−5−メチル−4−ヘキセンカルボン酸メチルエステル(5−1)の合成
100ml のフラスコに、製造例5で合成した、(トリアルキルシリルオキシエテニル)ヘキセンカルボン酸エステル誘導体(4−1)5g(13.0mM)を入れ、無水テトラヒドロフラン40mlを加えた。
室温下で、撹拌しながらN−ブロムこはく酸イミド2.32g(13.0mM) を5分間を要して少量づつ加えた。若干の発熱があった。そのまま室温下で2時間撹拌した。溶媒テトラヒドロフランを減圧下で留去し、残分を酢酸エチルに溶かし、食塩水、水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。酢酸エチルを減圧下で留去し、2−ブロモアセチル−2−(4−クロロベンジル)−5−メチル−4−ヘキセンカルボン酸メチルエステル(5−1)を得た。
無色油状物、収量5.05g(収率100%)
NMR(CDCl3)δ
1.57(bs,3H),1.70(bs,3H),2.53(bd,2H,J=8Hz),
2.98(d,1H,J=14Hz),3.28(d,1H,J=14Hz),3.63(s,3H),3.90(s,2H),
4.90(t,1H,J=6Hz),6.90(d,2H,J=8Hz),7.17(d,2H,J=8Hz)
【0028】
製造例5 2−(4−クロロベンジル)−5−メチル−2−(1−トリメチルシリルオキシエテニル)−4−ヘキセンカルボン酸メチルエステル(4−1)の合成
窒素気流下にて、100ml の4口フラスコにリチウムジイソプロピルアミド・モノテトラヒドロフランのシクロヘキサン溶液8.4ml(12.5mM) を入れ、−70℃下で冷却撹拌した。
この中に、参考製造例1で合成した、アセチルヘキセンカルボン酸エステル誘導体(3−1)3.52g(11.4mM) を無水テトラヒドロフラン10mlに溶かした溶液を15分間で加え、−70℃下で2時間撹拌した。この反応溶液の中にトリメチルシリルクロライド 2.1g(19.3mM) を15分間で加えた。−70℃下で1時間撹拌した後、1時間を要して室温下まで反応温度を上げ、さらに室温下で1時間撹拌し反応を終了した。
反応液に60mlの無水ヘキサンを加えて、塩化リチウムを析出させ、濾別後、濾液を減圧下で濃縮し、粘ちょう性の2−(4−クロロベンジル)−5−メチル−2−(1−トリメチルシリルオキシエテニル)−4−ヘキセンカルボン酸メチルエステル(4−1)を得た。
無色油状物、収量 4.4g(収率100%)
NMR(CDCl3)δ
0.20(s,9H,3Me),1.52(bs,3H,Me),1.72(bs,3H,Me),
2.37(bd,2H,J=7Hz),2.98(s,2H),3.60(s,3H,CO2Me),
4.00(d,1H,J=2.0Hz),4.13(d,1H,J=2.0Hz),5.08(bt,1H,J=8.0H),
6.92(d,2H,J=8Hz),7.17(d,2H,J=8Hz)
【0029】
参考製造例1 2−アセチル−2−(4−クロロベンジル)−5−メチル−4−ヘキセンカルボン酸メチルエステル(3−1)の合成
窒素気流下にて、300ml の4口フラスコに28%ソジウムメチラート−メタノール液 33.2g(172.2mM)を入れ、室温下でこの中にアセト酢酸メチルエステル 20g(172.2mM)を15分間で加えた。60℃で1時間加熱撹拌した後室温下に戻し、次にプレニルクロライド18g(172.2mM)を15分間で加えた。
60℃にて、90分間加熱撹拌した後、再び室温下に戻し、28%ソジウムメチラート−メタノール液 33.2g(172.2mM) を加えた。60℃にて1時間加熱撹拌した後、反応容器を室温下に戻し、続いて、4−クロロベンジルクロライド27.7g(172.2mM)を30分間で加えた。60℃にて、2時間加熱撹拌し反応を終了した。
反応液からメタノールを減圧下で留去し、得られた残分に水を加えて酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を飽和食塩水、水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下で留去し、得られた残分を真空蒸留にて精製し、無色油状物の2−アセチル−2−(4−クロロベンジル)−5−メチル−4−ヘキセンカルボン酸メチルエステル(3−1)を得た。
沸点 124〜135℃/ 0.5mmHg 収量 37.8g(収率71%)
NMR(CDCl3)δ
1.58(bs,3H,Me),1.68(bs,3H,Me),2.05(s,3H,COMe),
2.47(bd,2H,J=7Hz),2.93(d,1H,J=14Hz),3.18(d,1H,J=14Hz),
3.68(s,3H,CO2Me),4.90(bt,1H),6.80(d,2H,J=8Hz),7.17(d,2H,J=8Hz)
【0030】
製剤例1:粉剤
を粉砕混合し、散粉として使用する。
【0031】
製剤例2:水和剤
を粉砕混合して水和剤とし、水で希釈して使用する。
【0032】
製剤例3:粒剤
を均一に混合し更に水を加えて練り合わせ、押し出し式造粒機で粒状に加工乾燥して粒剤とする。
【0033】
製剤例4:乳剤
を均一に混合溶解して乳剤とする。
【0034】
試験例1 コムギうどんこ病防除効果試験
角型プラスチックポット(6.4 cm x 6.4 cm) を用いて栽培した第2葉期の幼苗コムギ(品種:農林64号)に、製剤例2のような水和剤形態のものを、水で所定濃度(1000 mg/l)に希釈懸濁し、100 l / 10 aの割合で散布した。
散布葉を風乾した後、コムギうどんこ病菌の胞子をふりかけて接種し、その後は温室内で管理した。接種後、7 日目にコムギうどんこ病のり病度を調査して、防除価を式1により算出し、結果を表2の第2表に記載した。
【0035】
(調査基準)
り病度 発病面積率
0 無発病のもの
0.5 発病面積率1%未満のもの
1 発病面積率1%以上5%未満のもの
2 発病面積率5%以上10%未満のもの
3 発病面積率10%以上30%未満のもの
4 発病面積率30%以上50%未満のもの
5 発病面積率50%以上のもの
【0036】
【式1】
防除価(%)=(1−散布区のり病度÷無散布区のり病度)×100
【0037】
【表2】
第2表
【0038】
【発明の効果】
本発明による式(1・2 )のアゾリルヘプテン誘導体は、新規化合物であって、農業用殺菌剤のような農薬の有効成分及び、抗真菌剤あるいは抗アロマタ−ゼ剤のような医薬の有効成分として利用できる。
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JPH1180125A JPH1180125A (ja) | 1999-03-26 |
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